JP2005325905A - 軸封装置及びこの軸封装置を備えたコンプレッサ - Google Patents

軸封装置及びこの軸封装置を備えたコンプレッサ Download PDF

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靖仁 大河原
Tsutomu Matsuzaki
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Abstract

【課題】 ハウジング内からの高圧ガスや油漏れを確実に防止できるとともに、製作費用を低減できる軸封装置及びこの軸封装置を備えたコンプレッサの提供。
【解決手段】 回転環37と回転軸21の外周との間に、先端が外径方向へ延びるリップシール32を備え、固定環36の内圧側に、傾斜した摺接面42を具備するシール部33を備え、アンギュラ玉軸受け31にグリス39を封入した軸封装置30を有する。これにより、回転軸21の回転ぶれ時に回転軸21から離隔したシール面の接触面圧の変動を抑制できるとともに、回転軸21の回転力でシール面から余分の油を排除して油膜厚さを薄くできる。また回転軸21の回転が止まった場合、グリス39でシール面を密封してガスシール効果を維持できる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ハウジングの軸孔とシャフトとの間隙を密封する軸封装置及びこの軸封装置を備えたコンプレッサに係り、特に、高圧ガス用コンプレッサ、例えば自動車の車室空調装置(カーエアコン)の冷媒圧縮機用として好適な軸封装置及びこの軸封装置を備えたコンプレッサに関する。
この種の従来技術として、例えば特許文献1に記載されているガス圧縮機のメカニカルシールが挙げられる。これは図5に示すように、ガス圧縮機のシールハウジング1に装着される静止側摺動環(メイティングリング)2と、回転軸3の外周に装着され、軸パッキング4を介して軸方向移動自在に支持される回転側摺動環(シールリング)5とを有している。これらの摺動環2、5はカーボン材から形成され、回転側摺動環5の先端には図示しない油溝が設けられている。そして、回転側摺動環5と回転軸3の外周の段部に固定されるケース6との間に、回転側摺動環5を静止側摺動環2の方向へ付勢するスプリング7が介在し、軸パッキング4の機内空間A側にはシールリップ8が設けられており、これらの軸パッキング4及びシールリップ8によって回転軸3の外周と回転側摺動環5との間が密封されている。このような従来技術にあっては、回転軸3が回転する場合、回転側摺動環5及び静止側摺動環2の各対向端面が互いに摺接している状態で、回転側摺動環5も回転する。その際に回転側摺動環5先端の油溝に溜まった油により、回転側摺動環5及び静止側摺動環2の対向端面の間に油膜が形成され、この油膜で潤滑及びガスシールが行なわれるので、ガス圧縮機の機内空間Aからの油漏れやガス漏れが防止される。
特開2000−193099号公報(段落番号0014〜0021、図1) また、別の従来技術として、例えば特許文献2に記載されているリップ型シールも挙げられる。これは図6に示すように圧縮機の軸受部ハウジング9に固定され、外周側にOリング10を有する金属製の筒状ケース11と、この筒状ケース11の内周にそれぞれ固定されるリップ部材12、バックアップリング13、他のリップ部材14及び他のバックアップリング15とを備えている。このような従来技術にあっては、回転軸16が回転する場合、リップ部材12、14は静止して各先端が回転軸16の外周面に摺接するとともに、これらのリップ部材12、14がバックアップリング13、15により支持されている。このとき、ハウジング9の内周面と筒状ケース11との間がOリング10によって密封されるとともにリップ部材12、14の各先端が回転軸16の外周面に摺接しているため、機内空間Aからの油漏れやガス漏れが防止される。 特開2000−104834号公報(段落番号0009〜0015、図1)
しかしながら、特許文献1に記載されている従来技術では、回転軸3の回転が止まった場合、回転側摺動環5及び静止側摺動環2の対向端面間の油膜が徐々になくなるのでガスシール効果が減少して機内空間Aからの油(冷媒)漏れが生じるという問題があり、さらに、高価であり費用がかさむという問題もあった。
また、特許文献2に記載されている従来技術では、回転軸16の回転ぶれ(偏心回転運動)によりリップ部材12、14の先端と回転軸16の外周面との接触面圧が変動することから、リップ部材12、14の偏磨耗が生じるとともに、リップ部材12、14の先端と回転軸16の外周面との間の油膜が厚くなって隙間が生じるため、機内空間Aからの油漏れやガス漏れが生じるという問題があった。同様に、リップ部材12、14のゴム劣化が生じた場合も、リップ部材12、14の先端と回転軸16の外周面との間の油膜が厚くなって隙間が生じるため、機内空間Aからの冷媒漏れが生じるという問題があった。さらに、回転軸16の回転ぶれで回転軸16がバックアップリング13、15と干渉することを避けるため、バックアップリング13、15の先端を回転軸16の外周から所定距離以上離す必要があった。その結果、バックアップリング13、15によるリップ部材12、14の支持が十分でないため、リップ部材12、14にかなりの応力や面圧が発生していた。さらに、リップ部材12、14の先端の接触磨耗を抑制するため回転軸16の外周に表面処理仕上げを施すとともに、リップ部材12、14の先端の発熱磨耗を抑制するため回転軸16の表面に焼入れ等の硬度調整処理を施す必要があり、これらの回転軸16の処理に要する費用がかさむという問題もあった。
本発明は、上記のような従来技術を考慮してなされたもので、その目的は、ハウジング内からの高圧ガス漏れや油漏れを確実に防止できるとともに、製作費用を低減することのできる軸封装置及びこの該軸封装置を備えたコンプレッサを提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、高圧ガス及び油の少なくとも一方を収容するハウジングの軸孔内に備えられ、この軸孔に挿通されるシャフトとの間隙を密封する軸封装置において、回転軸受けの回転環と回転体の周面との間に、先端が径方向へ延びるリップシールを設けるとともに、前記回転軸受けの固定環の内圧側に、前記リップシールの先端が摺接するシール部を設けた構成にしてある。
このように構成した請求項1に記載の発明では、回転軸受けの回転環と回転体の周面との間に設けられるリップシールの先端が径方向へ延びて、このリップシールの先端が回転軸受けの固定環の内圧側に設けたシール部に摺接してシール面を形成する。このシール面が回転体から離隔しており、回転体の回転ぶれなどによる振動がリップシールで吸収されるので、その先端の接触面圧の変動が少なくて済み、リップシールの先端が安定した状態でシール部の摺接面に摺接する。これにより、リップシールの偏磨耗を抑制できるともに、上記摺接面の油膜を所定の厚さに維持できるので、ハウジング内からの高圧ガスや油の漏れを確実に防止できる。そして、リップシール先端が回転体に摺接することがないので、この回転体の外周に表面処理仕上げを施したり、焼入れ等の硬度調整処理を施す必要がなくて済み、これにより、製作費用を低減することもできる。さらに、回転軸受けを用いて軸封装置を形成するようにしたので、この点からも製作費用を低減することができる。
また、上記目的を達成するため、請求項2に記載の発明は、内部にクランク室が形成され、一端に軸孔が設けられるハウジングと、前記軸孔に挿通され、前記ハウジングにより回転軸受けを介して回転可能に支持される回転軸と、この回転軸の駆動により前記ハウジング内で往復動して冷媒を圧縮するピストンとを備えたコンプレッサにおいて、前記回転軸受けの回転環と前記回転軸の外周との間に、先端が外径方向へ延びるリップシールを備えるとともに、前記回転軸受けの固定環の内圧側に、前記リップシールの先端が摺接するシール部を備えた軸封装置を有する構成にしてある。
このように構成した請求項2に記載の発明では、回転軸受けの回転環と回転軸の外周との間に設けられるリップシールの先端が外径方向へ延びて、このリップシールの先端が回転軸受けの固定環の内圧側に設けたシール部に摺接してシール面を形成する。このシール面が回転体から離隔しており、回転体の回転ぶれなどによる振動がリップシールで吸収されるので、上記リップシールの先端の接触面圧の変動が少なくて済み、リップシールの先端が安定した状態でシール部の摺接面に摺接する。これにより、リップシールの偏磨耗を抑制できるともに、上記摺接面の油膜を所定の厚さに維持できるので、ハウジング内からの高圧ガスや油の漏れを確実に防止できる。そして、リップシール先端が回転体に摺接することがないので、この回転体の外周に表面処理仕上げを施したり、焼入れ等の硬度調整処理を施す必要がなくて済み、これにより、製作費用を低減することもできる。さらに、回転軸受けを用いて軸封装置を形成するようにしたので、この点からも製作費用を低減することができる。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記固定環の内圧側に設けられるシール部が、回転軸心に対して45度〜90度傾斜する摺接面を有する構成にしてある。
このように構成した請求項3に記載の発明では、ハウジング内の油がシール部の摺接面に付着し、この摺接面とシール部材の先端との間に形成されるシール面が潤滑されるとともにガスシール効果が得られる。その際にシール部の摺接面が回転軸心に対して45度〜90度傾斜しているので、この摺接面に沿って上記シール面の余分の油が遠心力の方向へ流動してハウジング内へ戻される。これにより、上記シール面の油膜厚さを所定の厚さまで薄くすることができるので、高精度のガスシール効果を得ることが可能であり、さらにハウジング内からの油漏れやガス漏れ防止の信頼性向上を図ることができる。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記シール部が、弾性を有するシール部材と、このシール部材の中間部に設けられるバックアップ部材とからなる構成にしてある。
このように構成した請求項4に記載の発明では、シール部材の中間部に設けたバックアップ部材によりシール部材を支持し、このシール部材に掛かる圧力荷重を受けて分散し応力や面圧を低減できるため、リップシールの耐圧性や耐久性を向上させることができる。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記回転軸受けの外端側を密封するダストシールを設け、前記回転軸受けにグリスを封入した構成にしてある。
このように構成した請求項5に記載の発明では、回転軸受けの内圧側をリップシールで密封し、回転軸受けの外端側をダストシールで密封することにより、回転軸受けにグリスを封入した状態を維持する。これによって、回転軸の回転が止まった場合、回転軸受けに封入されたグリスにより、リップシールの先端とシール部の摺接面との間に形成されるシール面を密封してガスシール効果を保持できるので、ハウジング内から冷媒漏れが生じることを確実に防止できる。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記固定環の内圧側に前記シール部を一体成型し、前記回転環の内周に前記リップシールを一体成型した構成にしてある。
このように構成した請求項6に記載の発明では、回転軸受けを用いてリップシール及びシール部を一体成型することにより軸封装置を得るようにしたので、この点からも製作費用を低減することができる。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記リップシールを前記回転環の内周に圧入するとともに、前記シール部を、前記固定環の内圧側に圧入されるシールゴムと、このシールゴムの内圧側に圧入される摺接環とから構成し、この摺接環の摺接面に前記リップシールの先端が摺接する構成にしてある。
このように構成した請求項7に記載の発明では、リップシールを回転環の内周に圧入するとともに、シール部のシールゴム及び摺接環を固定環の内圧側に圧入することにより、軸封装置を組立てることができるので、この点からも製作費用を低減することができる。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記シール部を、前記固定環の内圧側の端面により構成し、前記リップシールを中間部で外径方向へ折曲げてその先端が前記固定環の端面に摺接する構成にしてある。
このように構成した請求項8に記載の発明では、シール部を固定環の端面で構成し、すなわちシール部を固定環と一体に形成したので、コンパクトでかつ安価な軸封装置を得ることができる。
本発明では、ハウジング内からの高圧ガス漏れや油漏れを確実に防止できるとともに、製作費用を低減でき、したがって、ガス漏れや油漏れ防止に関する信頼性が高く、かつ安価な軸封装置及びこの軸封装置を備えたコンプレッサが得られるという効果がある。
以下、本発明の実施の形態に係る軸封装置及びこの軸封装置を備えたコンプレッサの詳細を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)本発明の第1実施形態を図1、図2に示す。
図2に示すコンプレッサ17は、ハウジング18と、このハウジング18の後端側(図1の左側)に接合されるリアハウジング19と、これらのハウジング18とリアハウジング19との間に介在するバルブプレート20と、ハウジング18に回転可能に支持される回転軸21と、この回転軸21の先端に連結され、図示しないエンジンによる回転駆動力を伝達する駆動力伝達部22と、回転軸21の中間部に固設される回転支持体23と、この回転支持体23を介して支持される斜板24と、この斜板24に連結され、シリンダボア25内を往復動するピストン26とにより主として構成されている。このコンプレッサ17にあっては、リアハウジング19内の吸入室27及び吐出室28が図示しない外部冷媒回路と接続されており、シリンダボア25内でピストン26が往復動することにより冷媒ガスが吸入室27からシリンダボア25内に流入し、このシリンダボア25内で所定の圧力まで圧縮された後、高圧冷媒ガスが吐出室28へ吐出されて外部冷媒回路を循環するようになっている。
そして、ハウジング18の前端には回転軸21が挿通される軸孔29が形成され、この軸孔29内に第1実施形態の軸封装置30が設けられている。この第1実施形態の軸封装置30は、図1に示すように、回転軸受け(ラジアルベアリング)としてのアンギュラ玉軸受け31と、リップシール32と、シール部33と、Oリング34と、ダストシール35とから構成されている。
アンギュラ玉軸受け31は、外周側の固定環36と、内周側の回転環37と、これらの固定環36及び回転環37の間で転動する複数のボール38とからなり、固定環36及び回転環37の間に潤滑用のグリス39が封入されている。固定環36及び回転環37の前端(外端、すなわち図1の左端)を密封するダストシール35が装着され、グリス39の封入維持及び外部からの塵埃などの異物侵入防止を行なっている。
固定環36の内圧側(図1の右側)には、シリコンカーバイト(SiC)からなる環状のシール部33が一体成型され、回転環37の内周には、弾性を有するシール部材40及びこのシール部材40を支持するバックアップ部材41からなるリップシール32が一体成型されている。シール部材40はHMBRゴムなどの有機材からなり、シール部材40の先端が外径方向へ延設されてシール部33の摺接面42に摺接しており、この摺接面42は回転軸21の軸心に対して図1の反時計方向に45度〜90度のうちの所定角度、例えば45度傾斜している。バックアップ部材41はSPCC製金属からなり、シール部材40の中間部の外周側に設けられている。
この第1実施形態にあっては、図1に示すようにハウジング18の軸孔29内に軸封装置30を挿入したとき、固定環36がハウジング18に保持されるとともに回転環37が回転軸21に保持される。このとき、固定環36の外端(図1の左端)がリテーナ43に当接し、固定環36の外周に装着されるOリング34により固定環36の外周と軸孔29の内周との間が密封されている。同時に回転環37の内周と回転軸21の外周との間がリップシール32のシール部材40により密封され、シール部材40の先端がシール部33の摺接面42に摺接してシール面を形成することにより、固定環36及び回転環37の内圧側が密閉されている。また、ダストシール35により固定環36及び回転環37の外端側の間隙が密閉されている。
この状態でハウジング18内に冷媒(油や高圧ガス)の圧力が掛かると、リップシール32及び回転環37が外側(図1の左側)へ押圧され、リップシール32の先端がシール部33の摺接面42に向かって付勢される。またコンプレッサ17が起動して回転軸21が回転すると、ハウジング18内の油がシール部33の摺接面42に付着し、この摺接面42とシール部材40の先端とにより形成されるシール面が潤滑されるとともにガスシール効果が得られる。このとき、シール部33の摺接面42が回転軸21の軸心に対して45度傾斜しているので、回転軸21の回転力により上記シール面の余分の油が摺接面42に沿って遠心力の方向(すなわち外径方向)へ排除されハウジング18内へ戻される。
このとき、アンギュラ玉軸受け31の固定環36及び回転環37が径方向のガタ(すなわち移動)の少ない精度の良い状態で回転するようになっているので、回転軸21が径方向へ付勢されたときでも固定環36及び回転環37は常にほぼ同じクリアランスで回転する。同時に、固定環36及び回転環37は軸方向のガタも少ないので、回転軸21は常に同軸上で回転する。
このように構成した第1実施形態では、アンギュラ玉軸受け31の回転支持により回転軸21が径方向及び軸方向へのガタが比較的少ない安定した状態で回転するので、シャフト及びハウジングの位置関係が変動する前提でかなりのクリアランスを設けていた従来の軸封装置と比べて、回転軸21の良好な回転精度を見込めるので高圧下において高荷重を受ける際のガスシール効果の信頼性を向上できる。
また、第1実施形態では、回転軸21の回転ぶれが生じた場合でも上記シール面が回転軸21から離隔し、シール部材40で振動などを吸収するため、上記シール面の接触面圧の変動が少なくて済み、シール部材40の偏磨耗や、上記シール面の油膜が厚くなることに伴う冷媒漏れを防止できる。さらに、回転軸21の回転が止まった場合、固定環36及び回転環37の間に封入されたグリス39によりシール部材40の先端およびシール部33間で形成されるシール面を密封してガスシール効果を維持できるので、ハウジング18から冷媒漏れが生じることを確実に防止できる。
また、第1実施形態では、回転軸21の回転力により上記シール面から余分の油を排除して油膜厚さを所定の厚さまで薄くすることができるので、高精度のガスシール効果を得ることが可能であり、冷媒漏れ防止の信頼性向上を図ることができる。なお、本出願人の実験によると、シール面の油膜厚さを従来の400μmから数十μmまで小さくできるという結果が得られた。
また、第1実施形態では、シール部材40の中間部に設けたバックアップ部材41によりシール部材40に掛かる圧力荷重を受けて分散し応力や面圧を低減できるため、リップシール32の耐圧性や耐久性を向上させることができる。
また、第1実施形態では、アンギュラ玉軸受け31を用いてリップシール32及びシール部33を一体成型することにより軸封装置30を得るようにしたので、製作費用を低減することができる。なお、軸封装置30の主構造体としてアンギュラ玉軸受け31を用いたので、別のラジアルベアリングなどを軸孔29内に設ける必要がない。
また、第1実施形態では、シール部材40の先端が回転軸16に摺接することがないので、この回転軸16の外周に表面処理仕上げを施したり、焼入れ等の硬度調整処理を施す必要がなくて済み、この点からも製作費用を低減することができる。
(第2実施形態)本発明の第2実施形態を図3に示す。なお、図3において前述した図1、図2に示すものと同等のものには同一符号を付してある。
図3に示す第2実施形態の軸封装置44では、図1、図2に示す第1実施形態に比べて、リップシール45を回転環37とは別体に成型したことと、シール部46を固定環36とは別体に成型したこととが異なっており、その他の構成は基本的に同様である。
リップシール45は、回転環37の内周に装着され先端が外径方向へ延設されるシール部材47と、このシール部材40の中間部の外周側に設けられるバックアップ部材48とからなり、このリップシール45を回転環37の内周側に圧入したときに、リップシール45から外径方向に突出する突起49が回転環37の後端(図3の右端)に当接するようになっている。
シール部46は、固定環36の後端側に圧入されるシールゴム50と、シリコンカーバイト(SiC)からなり、シールゴム50の後端側に圧入される摺接環51とを有し、この摺接環51の表面にリップシール45の先端が摺接する。
この第2実施形態にあっては、ハウジング18の軸孔29内に軸封装置44を挿入したとき、固定環36の外端がリテーナ43に当接し、固定環36の外周に装着されるOリング34により固定環36の外周と軸孔29の内周との間が密封されている。このとき回転環37の内周と回転軸21の外周との間がリップシール45のシール部材47により密封され、シール部材47の先端がシール部46の摺接環51に摺接することによりシール面が形成されて固定環36及び回転環37の内圧側が密閉されている。そして、ダストシール35により固定環36及び回転環37の前端が密閉されている。
このように構成した第2実施形態でも、図1、図2に示す第1実施形態と同様の効果が得られる。なお、上記第2実施形態では、リップシール45を回転環37と別体に成型し、シール部46を固定環36と別体に成型したが、これらのリップシール45、シール部46をそれぞれ圧入によって回転環37、固定環36に容易に装着できるので、第1実施形態と同様に製作費用を低減することができる。
(第3実施形態)本発明の第3実施形態を図4に示す。なお、図4において前述した図1〜図3に示すものと同等のものには同一符号を付してある。
図4に示す第3実施形態の軸封装置52では、図1、図2に示す第1実施形態に比べて、固定環36の端面53をシール部として用い、この端面53にリップシール54の先端が摺接するようにしたことが異なっており、その他の構成は基本的に同様である。
リップシール54は、回転環37の内周に装着され、中間部で直角に外径方向へ折曲げられて先端が固定環36の端面53に摺接するシール部材55と、このシール部材55の中間部の外端側に設けられ、硬いテフロンから形成されるバックアップ部材56とから構成されている。なお、固定環36及び回転環37の隙間、すなわち漏れ隙間が小さい場合には、リップシール54で受ける圧力荷重も小さくなるので、上記隙間が小さいアンギュラ玉軸受け31を用いることが望ましい。
この第3実施形態にあっては、ハウジング18の軸孔29内に軸封装置30を挿入したとき、固定環36の外端がリテーナ43に当接し、固定環36の外周に装着されるOリング34により固定環36の外周と軸孔29の内周との間が密封されている。このとき回転環37の内周と回転軸21の外周との間がリップシール54のシール部材55により密封され、シール部材55の先端が固定環36の端面53に摺接することにより固定環36及び回転環37の内圧側が密閉されている。そして、ダストシール35により固定環36及び回転環37の外端が密閉されている。
このように構成した第3実施形態でも、図1、図2に示す第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、上記第3実施形態では、シール部材55の先端が摺接するシール部を固定環36の端面53で構成し、すなわちシール部を固定環36と一体に形成するようにしたので、コンパクトでかつ安価な軸封装置52を得ることができる。また、バックアップ部材56が硬いテフロンから形成されているので、シール部材55に掛かる圧力荷重を受けて分散し応力や面圧を低減できるとともに、このシール部材55の変形によりバックアップ部材56が固定環36の端面53に摺接した際にバックアップ部材56や固定環36の端面53の磨耗を抑制できる。
なお、上記実施形態にあっては、回転軸受け(ラジアルベアリング)としてアンギュラ玉軸受け31を備えた場合を例示したが、このアンギュラ玉軸受け31の代わりに、他の回転軸受け、例えば玉軸受け、テーパコロ軸受け、及び針状コロ軸受けのいずれかを用いることもできる。
さらに、上記実施形態にあっては、シール部33、摺接環51をシリコンカーバイト(SiC)で形成したが、このシリコンカーバイトの代わりに、鋳鉄で形成することもできる。また、シール部材40、47、55をHMBRゴムから形成したが、このHMBRゴムの代わりに他の有機材、例えばフッ素ゴム、EPDMゴムあるいはテフロンで形成することもできる。
さらに、上記実施形態にあっては、コンプレッサ17のハウジング18を固定して回転軸16を回転する場合について例示したが、本発明はこれに限らず、シャフトを固定してハウジングを回転する場合にも適用することができる。
さらに、上記実施形態にあっては、図1に示すシール部33の摺接面42が回転軸21の軸心に対して45度傾斜し、図4に示す固定環36の端面53(すなわちシール部)が回転軸21の軸心に対して90度傾斜した場合を例示したが、シール部の摺接面を45度〜90度のうちの他の所定角度に傾けても、シール面から余分の油を排除して油膜厚さを所定の厚さまで薄くできる。
本発明は、ハウジング内からのガス漏れや油漏れ防止に関して信頼性が高く、かつ安価な軸封装置及びこの軸封装置を備えたコンプレッサが得られるという効果があるので、高圧状態の炭酸ガス(CO2)などの冷媒を用いる高圧ガス用コンプレッサ、例えば自動車の車室空調装置(カーエアコン)の冷媒圧縮機に適用でき、その他、汎用コンプレッサや車両エンジン用コンプレッサにも適用できる。
本発明の第1実施形態に係る軸封装置を示す縦断面図である。 図1の軸封装置を備えたコンプレッサの全体構成を示す縦断面図である。 本発明の第2実施形態に係る軸封装置を示す縦断面図である。 本発明の第3実施形態に係る軸封装置を示す縦断面図である。 従来の軸封装置を示す縦断面図である。 従来の他の軸封装置を示す縦断面図である。
符号の説明
17 コンプレッサ
18 ハウジング
21 回転軸(回転体)
26 ピストン
29 軸孔
30 軸封装置
31 アンギュラ玉軸受け(回転軸受け)
32 リップシール
33 シール部
34 Oリング
35 ダストシール
36 固定環
37 回転環
39 グリス
40 シール部材
41 バックアップ部材
42 摺接面
44 軸封装置
45 リップシール
46 シール部
47 シール部材
48 バックアップ部材
49 突起
50 シールゴム
51 摺接環
52 軸封装置
53 端面
54 リップシール
55 シール部材
56 バックアップ部材

Claims (8)

  1. 高圧ガス及び油の少なくとも一方を収容するハウジング(18)の軸孔(29)内に備えられ、この軸孔(29)に挿通されるシャフト(21)との間隙を密封する軸封装置(30)において、
    回転軸受け(31)の回転環(37)と回転体(21)の周面との間に、先端が径方向へ延びるリップシール(32)を設けるとともに、前記回転軸受け(31)の固定環(36)の内圧側に、前記リップシール(32)の先端が摺接するシール部(33)を設けたことを特徴とする軸封装置(30)。
  2. 内部にクランク室が形成され、一端に軸孔(29)が設けられるハウジング(18)と、前記軸孔(29)に挿通され、前記ハウジング(18)により回転軸受け(31)を介して回転可能に支持される回転軸(21)と、この回転軸(21)の駆動により前記ハウジング(18)内で往復動して冷媒を圧縮するピストン(26)とを備えたコンプレッサ(17)において、
    前記回転軸受け(31)の回転環(37)と前記回転軸(21)の外周との間に、先端が外径方向へ延びるリップシール(32)を備えるとともに、前記回転軸受け(31)の固定環(36)の内圧側に、前記リップシール(32)の先端が摺接するシール部(33)を備えた軸封装置(30)を有することを特徴とするコンプレッサ(17)。
  3. 前記固定環(34)の内圧側に設けられるシール部(33)が、回転軸心に対して45度〜90度傾斜する摺接面(42)を有することを特徴とする請求項1に記載の軸封装置(30)または請求項2に記載のコンプレッサ(17)。
  4. 前記シール部(33)が、弾性を有するシール部材(40)と、このシール部材(40)の中間部に設けられるバックアップ部材(41)とからなることを特徴とする請求項1に記載の軸封装置(30)または請求項2に記載のコンプレッサ(17)。
  5. 前記回転軸受け(31)の外端側を密封するダストシール(35)を設け、前記回転軸受け(31)にグリス(39)を封入したことを特徴とする請求項1に記載の軸封装置(30)または請求項2に記載のコンプレッサ(17)。
  6. 前記固定環(36)の内圧側に前記シール部(33)を一体成型し、前記回転環(37)の内周に前記リップシール(32)を一体成型したことを特徴とする請求項1に記載の軸封装置(30)または請求項2に記載のコンプレッサ(17)。
  7. 前記リップシール(45)を前記回転環(37)の内周に圧入するとともに、前記シール部(46)を、前記固定環(36)の内圧側に圧入されるシールゴム(50)と、このシールゴム(50)の内圧側に圧入される摺接環(51)とから構成し、この摺接環(51)の摺接面に前記リップシール(45)の先端が摺接するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の軸封装置(44)または請求項2に記載のコンプレッサ(17)。
  8. 前記シール部を、前記固定環(36)の内圧側の端面により構成し、前記リップシール(54)を中間部で外径方向へ折曲げてその先端が前記固定環(36)の端面に摺接するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の軸封装置(52)または請求項2に記載のコンプレッサ(17)。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH07127649A (ja) * 1993-10-29 1995-05-16 Ntn Corp 軸受の密封装置
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