JP2005322476A - 酸化物超電導導体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 酸化物超電導体層に用いる材質の選択肢を広げ、且つロール圧着により多層構造の酸化物超電導導体を製造できる方法を提供する。
【解決手段】 基板材と酸化物超電導体とが積層された酸化物超電導導体の製造方法であって、活性化処理により活性化処理面を形成した複数の酸化物超電導テープ材を、前記活性化処理面が接合面となるように重ね合わせて、ロール圧着する酸化物超電導導体の製造方法である。
好ましくは、上述の活性化処理は乾式成膜法であるか、若しくはイオンエッチング法である酸化物超電導導体の製造方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、超電導エネルギー貯蔵、超電導マグネット、超電導電力輸送等に利用される酸化物超電導導体の製造方法に関するものである。
従来、酸化物超電導導体は、結晶配向を制御した銀等の基板の上に酸化物超電導体層を形成し、更にその保護のため、銀等の被覆層を形成した構造となっているのが主流だった(特許文献1参照)。
これに対し、特開2001−332142号には、酸化物超電導体層が複数ある多層構造の酸化物超電導導体が開示されている。(特許文献2参照)
特開2003−92036号公報 特開2001−332142号公報
特許文献1に示された酸化物超電導導体は、特許文献2の多層構造と比較し、断面積当たりの酸化物超電導体層の比率が小さく、超電導導体全断面積あたりの臨界電流密度が低いといった問題がある。
そして、特許文献2に記載の方法は、多層構造により超電導導体全断面積あたりの臨界電流密度は向上するが、この方法は特殊な基板の表面に酸化物超電導体のペーストを塗布し、銀合金で包含した後、熱処理するという方法で得られるものであり、工程が煩雑であること,及び酸化物超電導体の材質がペースト状で供給されなければならないなどの制約があった。
本発明の目的は、酸化物超電導体層に用いる材質の選択肢を広げ、且つロール圧着により多層構造の酸化物超電導導体を製造できる方法を提供することにある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものである。
即ち本発明は、基板材と酸化物超電導体とが積層された酸化物超電導導体の製造方法であって、活性化処理により活性化処理面を形成した複数の酸化物超電導テープ材を、前記活性化処理面が接合面となるように重ね合わせて、ロール圧着する酸化物超電導導体の製造方法である。
好ましくは、上述の活性化処理は乾式成膜法であるか、若しくはイオンエッチング法である酸化物超電導導体の製造方法である。
本発明では、複数の酸化物超電導テープ材を,ロールにより圧着積層するため、新規な構造の酸化物超電導導体を製造でき、酸化物超電導体の厚さが実質的に厚い酸化物超電導導体とすることが可能である。
本発明の重要な特徴は、酸化物超電導導体の製造方法において、活性化処理を施した酸化物超電導テープ材をロール圧着することで、複数の層が積層された酸化物超電導導体を製造することにある。
なお、本発明の酸化物超電導導体とは、少なくとも1つ以上の酸化物超電導体と少なくとも2つ以上の基板材とが積層された状態のものである。以下に詳しく本発明を説明する。
先ず本発明で言う酸化物超電導テープ材とは、ロール圧着する際に基板材の片面もしくは両面に酸化物超電導体が形成されているテープ状の素材であり、断面形状が四角形で、長さが、幅もしくは厚さのいずれか大きい方に対して、少なくとも20倍以上長い状態にあり、コイル状に巻かれて連続供給されるものをいう。
この場合、前述の酸化物超電導体をロール圧着直前に基板材表面に形成させても良いし、予め基板材に酸化物超電導体を形成したものを用いても良い。
前述の基板材は材質の制約は特にないが、酸化物超電導導体を送電線用に用いたり、曲げ加工を行ったりする場合は引張強度が高いものを選ぶと良く、具体的には室温での引張り強さが10MPa以上のものであれば良い。
特に好ましくは酸化物超電導体の形成時には300℃以上の高温となる可能性があることから、耐熱性の金属材料の使用が望ましく、より具体的には安価なステンレスや高温耐食性に優れたハステロイなどが好適である。
また、酸化物超電導体の臨界電流密度を高めるため、配向性に優れたAgなどの貴金属やその合金も好適であり、さらにこれらを耐熱性の金属材料上に積層したクラッド材などでもよい。耐熱性の金属材料上に、例えばイオンビームアシスト法により、配向性のよい結晶が形成されているような積層構造であったり、さらに、拡散を防止する層や接合を強化するための層などが付加されたりしていても良いことはいうまでもない。
また、前述の酸化物超電導体としては、特に材質を限定するものではないが、イットリウム、ビスマス、タリウム等を含有する物質であれば良い。
これらは、上述の基板材上に例えば、溶液成長法、化学蒸着法、物理蒸着法などによる方法によって形成することができる。
本発明で言う活性化処理とは、例えば真空槽内等の雰囲気内で新生面を形成する方法をいう。具体的には物理的、もしくは化学的な乾式成膜法で被接合材上に新たな物質の成膜をおこなったり、イオンエッチングで被接合材表面の付着物を除去したり、新生面を露出させたり、これらを併用したりすることをいう。
活性化処理する表面は、接合しあう酸化物超電導テープ材の二つの面のうち、少なくとも一方の表面に対して活性化処理を施せば密着力が向上するが、より確実に密着させるには接合しあう酸化物超電導テープ材の二つの面に活性化処理を行うと良い。
この場合、接合しあう一方の酸化物超電導テープ材表面にイオンエッチングを施し、もう一方の酸化物超電導テープ材表面には新たな物質を付着形成させる方法であっても構わないが、現実的には接合しあう酸化物超電導テープ材の二つの面に行う活性化処理方法は、同一の活性化処理の方法で行うのが良い。
以下に好ましい活性化処理方法を述べる。
活性化処理方法の第1は、乾式成膜法を用いる方法である。
本発明でいう乾式成膜法は、物理蒸着や化学蒸着法など、気相やプラズマを利用した乾式の成膜方法全般のことである。この中には真空蒸着法は勿論、イオンプレーティングのように真空で加熱し蒸発させたものをイオン化、加速して成膜する方法や、スパッタのように気体イオンをぶつけて所望の原子をたたき出し成膜する方法や、特殊なるつぼを用い、ある特定の材料を分子線状に引き出して蒸発させる分子線蒸着法も含まれるし(以上、物理蒸着法)、化学蒸着法のようにある種の気体を加熱反応させる成膜法も含まれる。
この方法の場合、例えば、
(1)複数の基板材の表面にロール圧着の直前に乾式成膜法により酸化物超電導体を付着形成し、活性化処理面を形成した酸化物超電導テープ材とした後、ロール圧着する方法、
(2)複数の基板材の表面に乾式成膜法により酸化物超電導体を付着形成して酸化物超電導テープ材とした後、これらの酸化物超電導体表面に更に乾式成膜法によりチタンや銀、スズ、銅、アルミニウム、ニッケル等を付着形成して活性化処理面を形成した後、ロール圧着する方法、
(3)予め基板材に酸化物超導電体を形成した酸化物導電テープ材の酸化物超電導体表面に更に乾式成膜法によりチタンや銀、スズ、銅、アルミニウム、ニッケル等を付着形成して活性化処理面を形成した後、ロール圧着する方法、
の(1)、(2)、(3)の何れかの方法を採用することができる。
例えば、上記(1)の方法を採用する場合、ロール圧着する直前に基板材表面に酸化物超電導体を形成するが、図1に一例を示すように、複数の基板材1に対し、酸化物超電導体形成領域2にて、その表面に活性化処理面となる酸化物超電導体を付着形成し、酸化物超電導テープ材1’として、同雰囲気で活性化処理面を重ね合わせてロール3により圧着し酸化物超電導導体4とする。
この方法によれば、酸化物超電導体の形成と接合とが同一の工程で行なわれるため工程が簡易になるといった利点があり、上記の(2)の方法によれば、酸化物超電導体の形成と機械的、電気的な緩衝層となるチタンや銀、スズ、銅、アルミニウム、ニッケルなどの形成と接合とが同一の工程で行なわれるため工程が簡易になるといった利点があり、更に上記の(3)の方法によれば,酸化物超電導体の被覆層として多様な材料を選択できるという利点がある。
何れの方法を採用するかは酸化物超電導導体の使用目的や使用条件を考慮して選定すると良い。
次に、活性化処理する方法の第2としたイオンエッチング法について説明する。
イオンエッチング法を用いる場合、接合面をドライエッチング(イオンエッチング)して新生面を露出させて活性化処理面とし、ロールにて新生面(活性化処理面)を接合面として圧着接合させる。
この場合、酸化物超電導体が形成された酸化物超電導テープ材を用いるか、前記の酸化物超電導体上に更にチタンや銀、スズ、銅、アルミニウム、ニッケル等が形成された酸化物超電導テープ材を用いて行う。
イオンエッチングは前述の酸化物超電導体か、酸化物超電導体上に形成されたチタンや銀、スズ、銅、アルミニウム、ニッケルの表面に行う場合もあるし、例えば酸化物超電導体が形成された基板材の裏面に対して行う場合もあり、用いる酸化物超導電テープの積層構造や、接合する酸化物超導電テープの枚数によっても異なる。
イオンエッチング法によって、酸化物超電導導体を製造する場合、例えば図2に示すように、酸化物超電導テープ材1’に対し、活性化処理装置5により、活性化処理領域2’にてイオンエッチングによる活性化処理を行なって活性化処理面を形成し、ロール3により圧着し酸化物超電導導体4とする。
この方法によれば処理装置内の汚れが少ないなど,装置のメンテナンスが容易であるといった利点がある。
本発明は酸化物超電導体の厚さが厚い酸化物超電導導体を製造することが可能であり、超電導導体を用いる産業機器への利用が期待される。
本発明の一例を示す構成図である。 本発明の一例を示す構成図である。
符号の説明
1 .基板材、
1’.酸化物超電導テープ材、
2 .酸化物超電導体形成領域、
2’.活性化処理領域
3 .ロール、
4 .酸化物超電導導体
5 .活性化処理装置

Claims (3)

  1. 基板材と酸化物超電導体とが積層された酸化物超電導導体の製造方法であって、活性化処理により活性化処理面を形成した複数の酸化物超電導テープ材を、前記活性化処理面が接合面となるように重ね合わせて、ロール圧着することを特徴とする酸化物超電導導体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の活性化処理は、乾式成膜法であることを特徴とする酸化物超電導導体の製造方法。
  3. 請求項1に記載の活性化処理は、イオンエッチング法であることを特徴とする酸化物超電導導体の製造方法。
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