JP2001512282A - 微細かつ一様なフィラメント型超伝導体 - Google Patents

微細かつ一様なフィラメント型超伝導体

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リ,キ
ロバーツ,ピーター・アール
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セウントジェンズ,ジェフリー・エム
ハンコック,スティーブン
デモランヴィル,ケネス・エル
クリストファーソン,クレイグ・ジェイ
ギャラント,ジェニフアー・エイチ
クレーブン,クリストファー・エイ
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アメリカン・スーパーコンダクター・コーポレーション
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Abstract

(57)【要約】 高いフィル・ファクタを有するマルチフィラメント型超伝導体複合材が、それぞれが低密度の超伝導体前駆物質モノフィラメントを含む複数のスタック状のモノフィラメント前駆物質要素から形成される。前駆物質要素は、すべて、実質的に等しい寸法と特性とを有し、直線で囲まれた構成でスタックされ統合されて、マルチフィラメント型の前駆物質複合材を提供する。複合材はその後で熱機械的に処理されて、それぞれのモノフィラメントの厚さが約50ミクロン未満である超伝導体複合材が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】 【発明の属する技術分野】
本発明は、高温セラミック超伝導体に関する。より詳しくは、本発明は、複数
の薄く一様なフィラメントを含むマルチフィラメント型超伝導体構造と、ほぼネ
ット状の前駆物質(near net shape precursor)から
そのような構造を製造する方法に関する。
【従来の技術】
超伝導体とは、臨界温度Tcより低い温度では電流に対する抵抗値がほぼゼロ
であるような材料である。様々な酸化銅(銅酸化物)のセラミック材料が比較的
高い温度すなわち77Kよりも高い温度で超伝導性を示すことは、以前から観察
されている。約10年前に酸化銅ベースの超伝導体が最初に発見されて以来、こ
れらの超伝導性のセラミックは広い範囲で興味をもたれ、その物理的及び化学的
な性質が広く研究され、多くの刊行物に記載されてきた。 超伝導材料と金属との複合材は、超伝導材料が単独で有しているよりも優れた
機械的及び電気的特性を得るために、よく用いられている。このような複合材は
、広く知られているパウダー・イン・チューブ(PIT)プロセスなどの様々な
既知のプロセスや、様々な被覆導体(CC)プロセスによって、伸長したワイヤ
、要素及びケーブルの形態で用意されるのが典型的である。PITプロセスでは
、金属容器が前駆物質の粉末で充填され、次に、この充填された容器が変形され
熱機械的処理がなされて、所望の超伝導特性を有するフィラメント型の複合材が
形成される。CCプロセスでは、超伝導材料又はその前駆物質が基板の上に配置
され、この基板が処理されることによって、超伝導性のフィラメントを含む複合
材が形成される。どのようにして形成されたとしても、複数のフィラメントはバ
ンドル及び/又はケーブル状になっており、マルチフィラメント型の複合材を得
るには、追加的な変形及び熱機械的な処理ステップが必要である。 商業的な実現性を有するには、高温超伝導体(HTS)ワイヤは、高性能(す
なわち、超伝導体の高い臨海電流密度Jc)を有し、低コストでなければならな
い。過去には、超伝導グレインの高密度化(densification)や結
晶学的なアライメントによって超伝導性セラミックのJcを改善するためのかな
りの努力がなされてきたし、より最近では、価格対性能比(kAm当たり何ドル
かによって測定される)がより高く商業的に容認可能である長さを有するHTS
ワイヤの製造技術への興味が高まりそのような技術を開発する努力がなされてい
る。 現時点では、HTSの分野では、最も高性能のBSCCO(2212及び22
23の両方)は、寸法が10×100ミクロンのオーダーであるアスペクト比の
大きな(highly aspected)フィラメント(アスペクト比の大き
な(aspected)要素とは、横断面において幅が高さよりも大きいものを
いう)を含むことが知られている。また、PIT技術を用いて作られたBi−2
223の導体は、アスペクト比の大きな要素が結果的に得られる非対称変形が用
いられる場合には比較的高いJc性能を達成できることも知られている。例えば
、非対称変形を用いると、77Kで自己電磁場(self field)の場合
には69000A/cmのJc値が報告されている(Q.Li et al.
,Physica C,217(1993)360)し、超伝導性の層の厚さを
Li et al.の場合の30ミクロンから3ミクロンのレベルまで減少すれ
ば、Bi−2223の導体のJc性能は劇的に向上することが予測されている。
通常の方法によって作られた要素におけるAgに隣接するB1−2223の層(
約1.5ミクロンの厚さ)では、Jcの値は、100000A/cm2(77K
,0T)を超えると考えられる。他のHTSワイヤのタイプでは、ショート・レ
ングス性能(short length performance)を示してい
る。例えば、真空システム、レーザ及びイオン銃などの設備を用いるフィルム技
術によって作られたY−123ベースの被覆導体などである。 非対称変形を用いて円形のマルチフィラメント型前駆物質を用意しその後に高
アスペクト比の要素に圧延する従来のPIT技術を用いる場合には、2つの主な
理由により、3ミクロン程度の厚さを有するフィラメントを達成することは困難
である。すなわち、第1に、それぞれのフィラメントのひずみ経路(strai
npath)は複合材の内部でのその位置の関数であり、最終要素のエッジにお
けるフィラメントは、その要素の中心部分におけるフィラメントよりも組織化の
程度が低く(less textured)性能レベルが低いこと。第2に、そ
れぞれのフィラメントの変形前の断面は円形であるのが典型的であり、最初に円
形であるフィラメントを変形することによって薄く幅の広いフィラメントを達成
することは困難であること。 これまでに様々な変形処理の手順が提案されている。1995年6月6日に出
願された同時出願中である″Simplified Deformation−
Sintering Process for Oxide Supercon
ducting Articles″と題する米国特許出願第08/468,0
89号には、複数のステップではなく単一の変形及びシンタリング・プロセスに
よって組織化の程度が高い酸化物超伝導体による品目を用意する方法が記載され
ている。この米国特許出願は、この出願において援用する。この米国特許出願に
記載されている手順では、前駆物質である品目であって、この品目の長さに沿っ
て延長する複数のフィラメントを含み、支配的な量の正方晶系(tetrago
nal)のBSCCO2212相を有する前駆物質である酸化物とそれぞれのフ
ィラメントを実質的に包囲する拘束部材とを備えている品目に対して、正方晶系
のBSCCO2212酸化物を斜方晶系の(orthorhombic)BSC
CO2212酸化物に変換するように選択された酸素分圧と温度とにおいて熱処
理が施される。その後で、この品目は、厚さの約40%から95%の範囲の単一
の大きな減少圧下(high reduction draft)で圧延処理さ
れ、それによってフィラメントは酸化物超伝導体グレインの最大の寸法とほぼ等
しい拘束寸法を有するようになり、次に、シンタリング(焼結)がなされてBS
CCO2212又は2203の酸化物超伝導体が得られる。他の手順は、199
5年11月11日に出願された同時出願中である″Improved Brea
kdown Process for Superconducting Ce
ramic Composite Conductors″と題する米国特許出
願第08/651,688号に開示されている。この米国特許出願は全体をこの
出願において援用する。 実験室の外において現実的であるためには、ほとんどの電気的及び磁気的な応
用には、電流搬送容量が高いことに加えて、高いフィル・ファクタ(fill
factor)を有する(すなわち、複合材であるマルチフィラメント構造にお
ける超伝導体の体積パーセンテージが高い)ように製造可能であり可撓性を有す
るケーブル状の長さを有する導体が要求される。従って、高いJcを有する個々
のフィラメントを作ることに加えて、複数のHTSフィラメントを含むケーブル
等の製造方法にも多くの努力がなされてきた。例えば、1995年11月11日
に出願された同時出願中である″Cabled Conductors Con
taining Anisotropic Superconducting
Compounds and Method for MakingThem″
と題する米国特許出願第08/554,814号には、複数の転置されたストラ
ンドであってそれぞれのストランドが好ましくはマトリクス材料によって包囲さ
れ指示されている1つ又は複数の好ましくはねじれたフィラメントを備えている
複数の転置されたストランドと、実質的に一方向を向いておりこのケーブル状の
導体におけるストランド及びフィラメントの回転方向とは独立である結晶学的な
グレイン・アライメントを有する組織化された異方性超伝導性化合物とを含むケ
ーブル状の導体が開示されている。この米国特許出願は全体をこの出願において
援用する。ケーブル状の導体は、複数の適切な複合ストランドを形成し、これら
のストランドを予め選択されたストランド撚りピッチ(lay pitch)で
導体の長軸の周りに転置することによってこれらのストランドからケーブル状の
中間物を形成し、ストランドを組織化することによって、作られる。この最後の
ストランドの組織化は、ケーブル状の中間物の最も幅の広い長軸方向の断面と直
交する方向の基本成分を用いた組織化プロセスを適用することを含む少なくとも
1つのステップを含む1つ又は複数のステップにおいてなされる。この直交方向
の組織化ステップの少なくとも1つは、ストランド転置ステップの後になされる
。ある実施例では、フィラメントの断面と、フィラメントのねじれピッチと、ス
トランドの撚りピッチとは、所望の異方性超伝導性化合物の典型的なグレインの
好適な方向の面積の常に少なくとも10倍であるフィラメント転置面積を提供す
るように相互に関係して選択される。双軸組織(biaxial textur
e)を要求する材料については、組織化(texturing)のステップは、
第2の基本成分を用いた組織化プロセスを導体の幅の最も広い長軸方向の断面に
おいて所定の方向に適用することを含みうる。 例えば、米国特許第5,508,254号などの他の文献では、比較的厚い圧
延さえたテープを垂直方向に積み重ねることによってマルチフィラメント構造を
形成することが提案されている。 しかし、この分野における過去になされた及び現在進行中の仕事にもかかわら
ず、コストと性能との両方が、HTSワイヤの市場における広範な使用を依然と
して制限する主な理由である。従って、HTSフィラメントのJcを増加させ、
より大きなフィル・ファクタと全体的な電流搬送能力とを有する様々な幾何学的
形状のマルチフィラメント複合材を提供し、より小さなコストによってこれらを
達成する、という必要性が依然として存在している。
【発明の概要】
本発明の特徴は、多数の超伝導体前駆物質要素から半連続的な手順によって作
られる高いフィル・ファクタ(例えば、30%よりも大きく、好ましくは、35
%から40%よりも大きい)を有するマルチフィラメント型超伝導体である。こ
こで多数の超伝導体前駆物質要素のそれぞれは、全体的な形状が実質的に同一で
あり、同一の全体的構成を有する超伝導体前駆物質のモノフィラメントを含んで
いる。この超伝導体前駆物質のモノフィラメントは、金属成分の上又はその中に
与えられる。圧延の前には、前駆物質であるモノフィラメントは、密度が低い(
すなわち、25から70パーセント、好ましくは、30から65パーセント、最
も好ましくは、40から0パーセントの理論的密度を有する)が、圧延の後では
、モノフィラメントの厚さは、約50ミクロン未満(そして、好ましくは、約4
0ミクロン未満)である。これらの要素は、複合材に統合(consolida
te)される。統合された複合材においては、複数の要素の空間的な関係は、す
べての要素が相互に対称的であり、また、複合材の外部的形状と以後の変形との
両方に対して対称的である。統合された前駆物質の複合材では、複合材の金属成
分が結合されたはしご構造を形成しており、隣接するはしごの横木の間の空間に
超伝導体前駆物質のモノフィラメントが存在している。統合の前後で、異なる前
駆物質要素のフィラメントの構成は、実質的に同一である。 ここで用いている「前駆物質」(precursor)とは、適切な熱処理を
加えることによって所望の異方性超伝導体に変換させることができる任意の材料
(物質)を意味する。例えば、所望の異方性超伝導体が酸化物超伝導体である場
合には、前駆物質は、金属塩、酸化物、亜酸化物、所望の超伝導体への中間物で
ある酸化物超伝導体、所望の酸化物超伝導体の安定電磁場(stability
field)において酸素の存在する場合に反応するとその超伝導体を生じる
それ以外の化合物などの要素の任意の組合せである。どのような特定の前駆物質
でも、本発明の実践においては、複合材とその中の超伝導体モノフィラメントと
の最終的なアスペクト比は、個々の前駆物質要素や超伝導体前駆物質フィラメン
トのアスペクト比からは切り離されている。 ここで用いている「統合する」(consolidate)とは、少なくとも
それ以後の処理の間にそのアセンブリの様々な要素に大きなスケールの変位が存
在しない程度に、複数の要素を1つのユニットとして機能するように組み立てる
ことを可能にする動作の実行を意味する。統合は、熱処理、化学的な接着、延伸
(drawing)又はそれ以外の変形プロセスなどを含む多数の手順によって
達成することができる。好適な手順には、超伝導体前駆物質の初期の相転移を達
成するのに十分な加熱が含まれる。 本発明の1つの特徴においては、複合材前駆物質は、多数の前駆物質要素を含
み、そのそれぞれには、並んで整列しスタック状になっている少なくとも1つの
HTS前駆物質モノフィラメントを含み、それによって、要素のトップ及びボト
ムと要素内のフィラメントとが複合材の幅にわたってほぼ整列されている層が形
成されている。金属(典型的には貴金属であるが、超伝導体成分との相互作用を
防止するために要求されるバッファ層を備えたそれ以外の金属も用いることがで
きる)が、前駆物質フィラメントのそれぞれの隣接する対の間に提供される。こ
の特徴による実施例では、複合材は、並んで構成された前駆物質要素の複数の層
を含み、その場合には、複数の層は垂直方向にスタック状になり、それぞれの前
駆物質フィラメントは垂直方向に整列しているか又は任意の他の層におけるHT
S前駆物質要素の間の狭い空間の中央に位置する。異なる前駆物質要素における
すべてのHTS前駆物質フィラメントは本質的に同一のアスペクト比、幅及び厚
さを有する。スタック状の複合材構造は、典型的には周囲の金属ラップ(覆い)
又はさや(sheath)が提供され、加熱されることによってその様々な成分
が統合される。 本発明の第2の特徴においては、それぞれの前駆物質要素は、この金属の少な
くとも一方の面の上に、好ましくはその対向する両方の面の上に積層されたHT
S前駆物質の層を有する金属を含み、複合材金属においては、層でなければ露出
されている面とHTS前駆物質層のそれぞれのサイド・エッジとの両方が重なっ
ている。 本発明の好適な実施例では、前駆物質複合材は、1DS又は2DS手順(後で
説明する)において、熱機械的に処理され、それによって、要素は、厚さが焼く
40%から95%まで減少し(それ以後、シンタリング・ステップの前には、約
5%を超えては減少することはない)、このように圧延された前駆物質複合材は
シンタリングされ、充分に一様なフィラメントを有する最終的な超伝導体複合材
構造が得られる。高パフォーマンスな構造では、HTSフィラメントは、その厚
さが、典型的には約10ミクロン未満であり、好ましくは約2−7ミクロンであ
り、最も好ましくは5ミクロンである。 好適な前駆物質複合材は、PIT又は被覆導体プロセスによって作られる。そ
のプロセスでは、低い密度のHTS前駆物質モノフィラメントを有する複数のほ
ぼ同一な超伝導体前駆物質要素が、(引き延ばされた後であるがPIT要素のた
めに圧延される前に)スタック状に重ねられ、支持する微細グレイン金属を用い
て包囲される。それぞれの前駆物質要素において、HTS前駆物質フィラメント
は、微細なグレイン金属の上又は中にある。PITプロセスでは、要素は、頻繁
なアニーリングを含む手順において引き延ばされてサイズが小さくなり、微細な
グレイン・サイズや金属の変形特性を維持する。微細なグレインというのは、グ
レインのサイズが、典型的には約300マイクロメータ、好ましくは約200マ
イクロメータ未満、より好ましくは約100マイクロメータ未満、そして最も好
ましくは約50マイクロメータ未満である。スタック状の前駆物質要素とサポー
トとは、統合され熱機械的に処理される。前駆物質要素は、PITプロセスを用
いて作られる。このプロセスでは、それぞれの要素は前駆物質の粉末で低密度に
充填された金属チューブから作られ、次に、これが引き延ばされて直径約600
ミクロン未満の構造が得られる。ここで、超伝導体前駆物質モノフィラメントは
低密度であり厚さは300ミクロンを超えない。このような引き延ばされた要素
は、次に圧延が施され、アスペクト比が高い要素となるが、用いられる手順によ
って、結果的に高い密度のHTS前駆物質フィラメントが生じることもありうる
。前駆物質要素はまた、それぞれの要素が低密度の前駆物質超伝導体層を有する
微細グレインの金属基板で構成されている積層/コーティング・プロセスを用い
ても作ることができる。後の場合には、前駆物質超伝導体層は、好ましくは、基
板の両側に提供され、複合材前駆物質は、隣接する前駆物質要素の間に微細なグ
レインの金属を含む。
【好適実施例の説明】
図1及び2には、例示的な超伝導体前駆物質複合材構造10及び20が図解さ
れており、それぞれに、複数のHTS前駆物質モノフィラメント要素11から1
5及び21から25が含まれている。それぞれの要素は、HTS前駆物質モノフ
ィラメント11aから15a及び21aから25aを有し、複合材のそれぞれに
おいて、すべてのモノフィラメントは、実質的に同じサイズと断面構造とを有し
ている。更に注意すべきは、それぞれの複合材構造10及び20において、HT
S前駆物質モノフィラメントの隣接するそれぞれの対の間に例えばAgなどの貴
金属である金属層が存在することである。以下において論じるように、Agの層
16、26は、PITプロセスによって形成された要素の場合には、プロセスに
おいて用いられたさや(sheath)によって与えられる。それ以外の場合に
は、HTS前駆物質フィラメントが金属基板の上に形成されるときに、隣接する
フィラメントの間のAgの一部が別個のスペーサによって提供されうる。 ここで用いる「貴金属」という用語は、酸化物超伝導体及び前駆物質に対して
、また、酸素に対して、予測される条件(温度、圧力、気圧など)での製造及び
使用の際に実質的に反応性を有さない金属を意味する。銀とその合金とは、これ
らの材料の中で最も低価格であり、大規模な製造のために最も好適である。場合
によっては、銅などのように、所望の超伝導体セラミックの金属元素の1つの化
学量論的に過剰(stoichiometric excess)である場合が
あることには注意すべきである。Agなどの貴金属が好ましくても、特に超伝導
体の前駆物質をその上に配置する基板としては、他の変形可能な金属を用いるこ
とができる。ニッケル、ある種のニッケル合金又はステンレス・スチールなどの
金属を、多くの場合酸化物のバッファ層と共に用いることはこの技術分野におい
て知られている。米国特許第5,284,825号を参照のこと。 HTSモノフィラメントが前駆物質であるような特定の超伝導体セラミックが
重要ではないことは明らかである。例えば、酸化物、硫化物、セレン化物、テル
ル化物、窒化物、炭化ホウ素又はオキシカーボネート型の超伝導体セラミックを
用いることができる。例えば、希土酸化物(RBCO)類の超伝導体、ビスマス
(BSCCO)類の酸化物超伝導体、タリウム(TBSCCO)類の酸化物超伝
導体、水銀(HBSCCO)類の超伝導体などの超伝導体酸化物が好適である。
ビスマス及び希土類が、最も好ましい。理想的な化学量論的な比率からのタリウ
ム化(thallinatioin)による変動すなわちドーピング物質の追加
や所望の超伝導体酸化物の形成におけるそれ以外の変動を、この技術分野の当業
者に知られている態様で用いることができる。現在では、HTS電気系での使用
にはBSCCO材料(2212又は2223のどちらか)とYBCO材料とが最
も現実的な材料であると思われる。現時点で最も好適な材料は、BSCCO22
23とYBCO123とである。BSCCO、YBCO及びそれ以外の材料の組
成はこの分野で広く知られており、また、これらの材料を用いて超伝導体前駆物
質を作る手順や、この前駆物質を熱機械的に処理して前駆物質から所望の超伝導
体を作る手順も広く知られている。例えば、上で引用した089及び814出願
やそこで参照されている様々な特許及び公開公報を参照のこと。 図1に示されているように、前駆物質複合材10の引き延ばされた(しかしま
だ圧延されていない)前駆物質要素11から15は、断面がほぼ正方形であり、
全体的な厚さ及び幅は約600ミクロンである。それぞれの要素における超伝導
体前駆物質フィラメント11aから15aの密度は低く(例えば、理論的密度の
約60%未満)であり全体的な厚さは約300ミクロンである(例えば、モノフ
ィラメントの厚さは、前駆物質要素全体の全体的な厚さの約半分である。)5つ
の要素11から15は、側面同士が重ねられ、すべての要素のトップ及びボトム
は、実質的に同じ平行な平面に存在し、HTS前駆物質フィラメントが同様に整
列されている。フィラメントの主軸は複合材の主軸と平行であり、また、以後の
変形の基本的な変位や負荷にも平行である。図1の複合材には5つの側面同士が
接したほぼ正方形の前駆物質要素が含まれているが、別の複合材では同様に側面
同士が接する(side−by−side)ように同様に構成された異なる数の
前駆物質要素が含まれ、密度の高低にかかわらずそのような前駆物質を考えるこ
とができる。典型的には、この側面を接する前駆物質要素の幾何学的形状を有す
る複合材は、その幅にわたって、約5から約20の前駆物質要素を含む。後に図
9を参照して論じるように、本発明に従って構成された複合材は、多数の垂直方
向にスタック状の層を含み、それぞれの層には、図1に示されるように多数の側
面同士を接する要素が含まれることは明らかである。 別の例では、図2の前駆物質複合材20の前駆物質要素21から25は、高い
アスペクト比を有するようになるように圧延(roll)される(すなわち、こ
れらは、厚さの少なくとも約2倍、好ましくは数倍の幅を有する)。圧延の前に
は、要素21から25のフィラメントの寸法及び密度は、要素11から15と同
じである。圧延の後では、要素21から25のそれぞれは、厚さが約100以下
であり、それぞれの要素内のモノフィラメント21aから25aは、厚さが約5
0ミクロン未満であり、モノフィラメントは比較的高い密度を有している。図2
に示されているように、要素21から25は垂直方向にスタック状になっており
、すべての要素の対向する測方エッジは相互にほぼ整列され、要素のトップ及び
ボトムと、要素の前駆物質フィラメント21aから25aとはほぼ並行である。
図2の複合材には、5つの垂直方向にスタック状になっている要素が含まれてい
るが、他の複合材では異なる数を有しうることは明らかである。典型的には、こ
の垂直方向にスタック状のエッジが整列している前駆物質要素の幾何学的形状は
、2から10の垂直方向のスタック状の層を含んでいる。 どのような特定のスタック構造が用いられている場合でも、前駆物質要素の寸
法とスタック内の要素の配列とは、スタックのアスペクト比(すなわち、高さ:
幅)は1以下になっている。スタック状の要素は統合され、その後で熱機械的な
処理がなされ(後で論じるが、典型的にはこの技術分野において既知である手順
を用いて)、それによって最終的な所望のマルチフィラメント型超伝導体が得ら
れる。これは、例えば、複合材10などの前駆物質複合材から作られる図1bに
示されているマルチフィラメント型超伝導体10’や、又は、複合材20などの
前駆物質複合材から作られる図2bに示されているマルチフィラメント型超伝導
体20’などである。アスペクト比が大きすぎる場合には、複合材における要素
の統合性と構成とを維持しながらそれ以後の処理を施すことは困難である。図1
及び図2に示されているように、そして、後で更に詳細に論じるように、複合材
の複数の要素は、典型的には、少なくともこれらの要素が統合される時点まで要
素を相互に支持して位置を決定する例えば貴金属であるAgなどの金属要素によ
って包囲されている。 次に図3及び4を参照するが、これらの図には、図1及び2のものなどの超伝
導体前駆物質複合材をPITプロセスに従って作られたモノフィラメント前駆物
質要素から製造する際のいくつかの特徴が図解されている。 広く知られているように、PITプロセスでは、(a)超伝導体前駆物質の粉
末を形成し、(b)チューブ、ビレット(billet)又は溝付きのシートな
どの金属製容器を前駆物質の粉末で充填し、(c)充填された容器に変形処理を
行い周囲の金属製マトリクスの中に超伝導体前駆物質のフィラメントを含む断面
が縮小された複合材を提供することによって、丸いワイヤが得られる。本発明で
は、マトリクスは微細なグレイン化された金属であり、変形処理は、典型的には
、多数の連続的な引っ張り(draws)を含みそれによってワイヤの直径は例
えば0.3から0.6mmに縮小され、フィル・ファクタは公称で47%である
。次に、引き延ばされたワイヤは、引き延ばしの間に1回又は複数回アニーリン
グがなされ、Agのさやを再結晶化し、更に柔軟化される(例えば、半時間の間
、450度を超える温度で)。アニーリングの目的は、過剰なグレイン成長を生
じさせずに貴金属を柔軟化させ、それによって、モノフィラメント要素の引き延
ばし(及びそれ以降の圧延)を通じて貴金属の微細グレインを維持するためであ
る。典型的には、要素は十分な頻度でアニーリングがなされるので、それによっ
て、要素に加えられる歪み(strain)は、次のアニーリングが実行される
前には1を超えることがない。アニーリングは、典型的には、15から60分に
わたって200から400度の範囲で行われる。マトリクスに適した銀又は銀合
金の品目とチューブ・ストックとを作る方法は、特に、壁部の薄いチューブや断
面積が小さなそれ以外の品目のための方法は、現在同じものに属している″Si
lver and Silver Alloy Articles″と称される
Jeffrey M.Seuntjenによる米国特許出願第08/831,5
04に記載されている。この米国特許出願は全体を本出願において援用されるが
、欠陥がなく微細なグレイン・サイズを有し、一様な変形を行うことができ、超
伝導体モノフィラメント又はマルチフィラメント品目を作るのに用いることがで
きる構造の作成方法が開示されている。 本発明を実現する際には、超伝導体製品が微細なモノフィラメントを含むこと
を保証することが重要である。これは、部分的には、直前に述べたように微細な
グレインによる金属マトリクスを提供し、貴金属におけるグレイン成長を回避す
るのに十分な頻度でアニーリングを行うことによって、達成される。更には、前
駆物質の粉末は、低い密度で金属チューブの中に入れられ、それによって、引き
延ばし(前駆物質フィラメントの直径は著しく減少するが、超伝導体前駆物質の
密度を著しく上昇させることはない)の後で、モノフィラメント超伝導体前駆物
質は、理論的密度の約25%から70%の範囲にある密度を有するようになる。
また、圧延された後に(圧延は、フィラメントの密度及び組織化を増加させるけ
れども、要素がスタックされてマルチフィラメント型の超伝導体前駆物質複合材
を形成する前又は後になされる)フィラメントの厚さが約50ミクロンを超えな
いようにするためには、引き延ばされた前駆物質要素の厚さは、典型的には、6
00ミクロン以下であり、要素における前駆物質モノフィラメントの厚さは、約
300ミクロン以下である。 既に述べたように、PITによって作られた要素の複合前駆物質スタックは、
図1との関係で論じたように、密度の低いHTS前駆物質フィラメントを有する
要素から作られる。その理由は、このような要素は、引き延ばされている(dr
awn)が圧延されていない(not rolled)からである。複合材は、
図2の複合材20の場合のように、例えば直径が2から5センチメートルの間の
ロールを用いて引き延ばした(従って、典型的には、80%以上の理論的密度を
備えたフィラメントを有するようになる)後に、図3に示されるように圧延され
て薄い要素30となっている要素から作られる。密度の低いフィラメント・コア
を有するワイヤを圧延すると、そのワイヤの厚さは、70%から85%減少する
。例えば、直径が約0.3から0.6mmの引き延ばされた丸いワイヤ(rou
nd wire)は、公称の厚さが0.07から0.10mmであり幅が約1.
5mmというアスペクト比の高い要素になる。図3に明らかなように、要素30
のAgさやの中の超伝導体前駆物質フィラメント32(大部分が前駆物質の粉末
の形態で残っている)は、その幅のほとんどに沿ってほぼ平坦であるが、タブに
近づくと厚さが減少している。要素の幅のほとんどにわたって、フィラメント3
2は、全体の要素の3分の2未満であり好ましくは半分を超えない厚さを有して
いる(例えば、約50ミクロン未満)。 次に、前駆物質要素(圧延されていてもされていなくても)は、図1及び2に
示されているスタックなどの複合材スタックに形成される。先に論じたように、
図2は、5つの前駆物質要素21aから21e(それぞれは、直前に論じた要素
30と同じ方法によって作られている)の複合材スタック40を図解している。
スタックの全体は、薄い(例えば、0.04mm×1.5mm)Ag要素26を
用いて覆われて(ラップされて)いる。スタックが形成される(図1に示されて
いるものと類似の構成で)態様は、図4に概略が示されている。そこに示されて
いるように、モノフィラメント要素21aから21gの長さがスプール上に配置
され、複合材スタック20におけるそれぞれの要素に1つという関係である。ス
プールは、典型的には、磁気ブレークスタンドの上に設置され、同一平面上の一
連のアイドラに向かう(pay off)。やはりスタンドの上に設置されてい
る矩形のガイド44は、要素をコレート(collate)スタック40にする
。ガイド44の下流側に形成されているスタックは、トルコ帽子(Turk’s
Head)状の水平方向のケーブル・ライン46の中心に向けられる。このケ
ーブル・ラインでは、Ag要素のスプールは、ケーブル・ラインの回転部材上の
磁気ブレーキ・減衰シャフト上に配置されている。アイドラ・プーリ47とガイ
ド・ダイ48とが、Ag要素26をスタックにおいて並ぶ(side−by−s
ide)位置に導き、キャプスタン49が、スタックを、ラップ要素26を搬送
して所望のラップ・レイ・ピッチ(wrap lay pitch)を定義する
回転部材の回転に対して一定の速度で軸方向に引く。好ましくは、このピッチは
、覆われた要素42が重なり合わず、また、隣接する回転の間のギャップが要素
の幅よりも小さくなるように、選択される。トルコ帽子状のラップ・ラインが、
前駆物質要素の成形的な変形が最小となるように、スタックを統合する。覆われ
たスタックは、次に、熱的に結合され(例えば、500℃を超えても、前駆物質
の粉末に悪影響を与えない温度で)、要素30のAg要素42とAgさや34と
を相互にシンタリングし、結果的に、例えば、図2に示されている複合材20や
図1に示されている複合材10などのマルチフィラメント型の前駆物質複合材が
得られるが、この複合材は、最終的な熱処理及び変形処理の用意ができているも
のである。既に論じたように、さや34と要素26とは、銀以外の金属であるこ
とも可能である。注意すべきは、図4に示されているAgラップ要素26は典型
的な場合よりもわずかに厚く、また、図4に示されているスタック40内の特定
の要素30におけるフィラメントもまた構成のための好ましい場合よりも幾分厚
いということである。 更に注意すべきことは、複合材スタック10及び20のフィル・ファクタは典
型的には40%よりも大きく、50%を超える場合もあるということである。こ
れは、従来のHTSマルチフィラメント型導体について達成される典型的な25
から35%のフィル・ファクタの範囲よりもかなり高い。また、オーバーラップ
要素26は熱処理の間にその場で(インシトゥで、in situ)結合される
まで、スタックを相互に保持するのに十分なほどに非常に薄いことがある。標準
的なマルチフィラメント型のさやとは異なり、ラップは、ブレーキダウン及び非
対称圧延の間にフィラメントと共に変形することは必要ない。フィル・ファクタ
が低下したことが導体の性能に否定的な影響を与えることはなく、Jcを増加さ
せコストを低下させるという利点を有する。 以上で述べた技術によると、コストの低減と同時に、必要となる資本設備、労
働力、処理時間及び原材料の歩留まりに関する大幅な節約を提供するという優れ
たパフォーマンスを演じる。次に掲げる表Iには、モノフィラメント・ワイヤに
始まり最終的な熱機械的処理の用意ができているマルチフィラメント前駆物質複
合材スタックに至る上述の手順(表の右側)を、標準的なマルチフィラメント処
理手順(表の左側)と比較している。それぞれのコラムに記載されているプロセ
スは、コイル形式であり1又は数mmの直径の断面を有するモノフィラメントか
ら開始して、熱処理の用意ができているマルチフィラメント導体で終わっている
。明らかなように、本発明のプロセスの方が、はるかに少数のステップしか要求
していない。 次に、図5ないし8を参照するが、これらの図には、以上のものとは異なる好
適な前駆物質成分とそれらを形成する手順とが図解されている。 図5ないし8の手順によると、図5の前駆物質要素50は、典型的にはL.D
.Woolf et al.,Appl.Phys.Let 58(1991)
534に記載されているような電気泳動法、S.E.Dorris,N.Ash
com and N.Vasanthamohan,Argonne Nati
onal Laboratory December 1996 Superc
onductor Development Quarterly Progr
ess Report、又は、スパッタリング若しくはイオン・ビーム支援積層
(IBAD、例えば、米国特許第5,079,224号を参照)などの物理的な
膜(フィルム)形成方法と化学蒸着法(CVD、例えば、米国特許第5,231
,074号を参照)などの化学的膜形成方法とを含む厚膜積層のための多くの既
知の手順の中の任意のものを用いて、前駆物質の粉末を微細グレインのAg又は
それ以外の貴金属基板54上に配置することによって作られる。 基板64の上に前駆物質粉末層62を形成するのに用いられる特定の技術は重
要ではない。更に、既に論じたように、BSCCO2223及びYBCO123
が好適であるのだが、非常に多くのそれ以外の超伝導体前駆物質、特に、RBC
O、BSCCO、TBSCCO及びHBSCCOのファミリに属する酸化物超伝
導体前駆物質の特定のメンバーを用いることもできる。 図5に示されているように、Ag基板54は、所望の前駆物質要素50とほぼ
等しい幅(例えば、典型的には約1500ミクロン)を有しているが、極めて薄
い。典型的には、基板54のアスペクト比(横断方向の断面の)は、10:1(
例えば、約150ミクロンの厚さ)から20:1(例えば、約75ミクロンの厚
さ)の間である。前駆物質層52は、基板54の両側に側面エッジに沿って積層
されている。前駆物質が積層された後で、コーティングされた要素のエッジ部分
はスリットが作られ(例えば、図6に示された点線56に沿って)、コーティン
グされたエッジ58が除去された。 用いられる特定の積層手順に依存して、前駆物質層52は、要素のエッジに近
い部分では幾分厚くなっているが、層は、全体として、Ag基板54の長さを横
切る方向と長さに沿った方向との両方においてほぼ一様である。選択される特定
の厚さは、用いられる特定の前駆物質、前駆物質層が形成される態様と層の結果
的な密度、前駆物質が熱機械的に処理される態様、及び最終製品であるマルチフ
ィラメント型超伝導体の意図された使用法を含む様々なファクタに依存する。例
えば、前駆物質層52の厚さは典型的には約10から約100ミクロンの範囲に
あるが、5ミクロン程度まで薄く、また、1000ミクロン程度まで厚くなりう
る。前駆物質層が理論的密度の約40%の密度で積層されたBSCCO−222
3前駆物質から構成されている好適な実現例では、典型的な厚さは約15から2
0ミクロンである。 図6には、例えばAgである微細グレインの金属内に配置された4つの要素5
0aから50dの複合材スタックが図解されており、その上にある溝62は、例
えば、やはり典型的にはAgの箔64である微細グレインの金属によって被覆さ
れている。注意すべきは、4つの要素が全体で8つのフィラメント前駆物質を提
供しているということである。溝の内部では、隣接する要素50は、全体で3つ
の例えばAgである微細グレイン金属のスペーサ・ストリップ66によって分離
されている。スタック構造の全体が加熱されて(先に述べた複合材20の場合の
ように、前駆物質に悪影響を与えない温度まで)、要素と、中間的なストリップ
と、溝と、被覆箔とが相互に結合される。わずかに修正された手順において、コ
ーティングされた前駆物質であるAgストリップ対の集合が、適切な寸法のAg
チューブの中に挿入され、次に、熱処理がなされてこれらの成分は相互に結合さ
れる。ただし、熱結合の質はそれほど重要ではない。いずれの手順においても、
結合された8つのフィラメント複合材前駆物質構造670は、最終的な熱処理と
変形処理との用意ができている。注意すべきは、図6は分解図であるので、複合
材60の幅の全体を示してはいないということである。既に述べたように、複合
材の完全な幅は、少なくとも、その完全な幅と同じくらいであり、典型的には、
それよりもかなり大きい。 図7には、15個の要素50aから50e、50a’から50e’、50a’
’から50e’’の複合材70が図解されており、これらは、3つの層56、5
6’、56’’として構成されている。それぞれの層には、並んだ構成に配置さ
れている5つの要素が含まれる。複合材の全体は、金属箔の層72によって覆わ
れている。注意すべきは、それぞれの要素は2つの前駆物質フィラメントを提供
し、従って15個の要素は全部で30個の前駆物質フィラメントを有する複合材
を提供していることである。比較すると、PIT手順によって形成された要素の
同様の構成では、これまで議論から明らかなように、多くても半分の前駆物質フ
ィラメントを提供するだけである。複合材70のそれぞれの層においては、例え
ばAgである金属のスペーサ74が、要素50のそれぞれの対の隣接する側面の
間に配置されている。 次に図8を参照する。この図は、やや概略的に、本発明のこの特徴によるマル
チフィラメント型超伝導体複合材を製造するプロセスの全体を図解している。一
般に、前駆物質製造ステーション80が提供され、所望の数のここの前駆物質要
素50のそれぞれを作る。ただ1つのステーション80だけしか示されていない
が、ステーションの総数は、もちろん、完全な複合材を形成するのに用いられる
要素の数に依存する。それぞれのステーションにおいて、微細グレインAgの基
板ストリップ54がスラリ・バス(slurry bath)82を通過して、
前駆物質の層52を基板上に積層して基板50を形成する。次に、要素はヒータ
83によってシンタリングされ、そのエッジ部分が除去された後で、微細グレイ
ンAgのスペーサ・ストリップが、垂直方向のスタックにおける要素50のトッ
プ及びボトム表面の一方又は両方の上の、又は、並んだスタックにおける隣接す
る要素50の間に、しかるべき位置に配置される。次に、要素及びスペーサによ
って形成されているサンドイッチ84aが、複合材製造ステーション86に送ら
れる。 複合材製造ステーション86への入口においては、要素サンドイッチ84aは
、ほぼ同一な要素サンドイッチ84b、84c、84d及び84fと並置され(
要素が垂直方向にスタックされるときには、それぞれの要素サンドイッチは要素
の下側においてただ1つのスペーサ・ストリップを必要とし、水平方向に並んで
スタックされるときには、隣接する要素の間だけにスペーサが必要とされる)、
要素サンドイッチをスタックし整列する溝付きの入口ロール86を通過して送ら
れる。結果的なマルチ要素構造が、微細グレイン・コンジット溝72の中に配置
され、要素50とスペーサ76とを有する溝72は、微細グレイン箔74によっ
て被覆され、次に、構造の全体はロールによって統合され、ヒータ89によって
熱結合され、従って、図7に示されているような結合されたマルチフィラメント
複合材前駆物質構造70が得られる。これは、最終的な熱処理及び変形処理の用
意ができているものである。 図8に概要が示されているように、前駆物質構造60、70は熱機械的に処理
される、すなわち、所望の数の変形(例えば、圧延されて、変形によって生じる
組織化が得られる)及びシンタリング(例えば、加熱により、反応によって生じ
る組織化が得られる)ステップを行い、最終的なマルチフィラメント超伝導体に
おける所望の密度及び組織化の程度とが達成され、巻き取りロールによって巻か
れる。後でいくらか詳しく論じるのであるが、ここで論じられている残りの前駆
物質複合材は、同様に熱機械的に処理がなされて、図1及び2に示されているよ
うな超伝導体複合材が得られる。 次の表IIは、PIT手順を用いて複合材前駆物質を作る手順との関係で既に
論じた表Iの場合よりも一般的に、マルチフィラメント型超伝導体複合材を形成
する上述した被覆導体手順をマルチフィラメント型PIT構造を形成する従来の
手順と比較している。明らかなように、被覆導体複合材前駆物質手順は、PIT
ベースのモノフィラメント要素を用いる本発明による手順よりも大きな程度で、
著しい節約を可能にする。 注意すべきは、図8に示された積層/被覆導体手順によると、個々の要素64
に対して用いられる微細なグレインAg又はそれ以外の金属基板の圧延から始ま
り、反応の済んだ複合マルチフィラメント型超伝導体複合材で終了するほぼ連続
的な製造手順を可能にする。更に、これらの積層又は被覆導体技術を用いて形成
された複合材構造70は引き延ばされたのではなく単に圧延されただけであるか
ら、PIT手順において用いられる引っ張り負荷及び力を支持するのに必要であ
る高い銀(又は他の金属)の度合いは、必要ではない。結果的に、基板64とコ
ンジットの溝72とは極めて薄くでき、製品に用いられる銀又はそれ以外の金属
の全体量を著しく減少させることができる。これによって、フィル・ファクタの
更なる上昇が可能となる。典型的には約30%であるが、40%以上にまで上昇
させることができる。 どのようなタイプの前駆物質要素が用いられるとしても、本発明のプロセスに
よると、製造業者は、複合材において組み立てられているストランドの数を変動
させることによって、複合材のIcを選択することが可能になる。これによって
、製造業者は大きな融通性を得ることができる。というのは、広い範囲の商業的
な導体の必要に応じて、ただ1つのタイプのストランド(モノフィラメント)を
在庫とすればよいからである。これによって、また、共通のストランドと類似の
ストランド変形経路とから異なるIcを有する複合材を作ることが可能になるか
らである。比較をすると、標準的なマルチフィラメント複合材プロセスでは、製
造業者は、異なる応用例に対して開発された複数の異なるマルチフィラメント・
ビレット構造を有していなければならず、また、中間又は最終の処理段階におい
て様々なマルチフィラメント複合材の在庫を維持しなければならない。従来のプ
ロセスにおいてJcを変化させるには、ビレットのサイズ、モノフィラメントの
リスタック(restack)サイズ、フィラメントの個数、マルチフィラメン
トの設計又はマルチフィラメントの歪みなどの中の1つ又は複数を変動させなけ
ればならない。本発明によると、単に、共通のストランドを複合材においてスタ
ックしその後に変形させ熱処理する態様を変動させることによって、このほとん
どすべてが達成されうる。 例えば、導体のJc要件は、複合材ケーブルに対して最小で140Aである。
応用例における巻数の要求により、積層材料を全く含まないで、最大の複合材の
厚さは0.2mmである。最適なモノフィラメント・ストランドの寸法は、厚さ
が0.1mmで幅が1.5mmであり、再生可能な長軸のJeレベルは1200
0A/cmである。これらの寸法に対しては、このJeのレベルは、複合材に
おける18A/ストランドのIcと等しい。従って、幅が4つのストランドであ
り厚さが2つのストランドという構成では、強化部材を含まずに、公称0.2×
6mmの断面において144AのIcを生じる。 そのような導体では、この複合材導体から作られる前駆物質要素は水平方向及
び垂直方向の両方の構成で配置され、要素は、典型的には、図1及び2に関して
言及した態様でスタックされる、すなわち、要素の水平方向のロー及び層は、異
なるローにおける要素のフィラメントが垂直方向に整列されるように配置される
。煉瓦塀における煉瓦の配置と同様に、異なるローにおける要素のフィラメント
は、すべてが垂直方向に整列しているとは限らない。このような煉瓦塀構成に配
列された要素伸すタックは、より大きな安定性を提供し、それによって、スタッ
クがそれ以外の場合に望まれるのが通常であるより高いアスペクト比を有するこ
とが可能となる。 図9は、そのような代替的な配列を図解している。図9の複合材90は、全部
で15個の前駆物質要素92を含んでおり、それぞれは、図3の要素30と実質
的に同一である。ただし、図1、6及び7に示されているような要素を用いるこ
ともできる。要素92は、3つの垂直方向にスタック状となった層として配列さ
れている。すなわち、層aからcである。ただし、4以上の層を含むスタックを
用いることもできる。図解されているように、それぞれの層は、図1の複合材1
0における要素と同様の並んだ構成として配列されている5つの前駆物質要素9
2を含む。層aにおける要素92aと層cにおける要素92cとは、相互に垂直
方向に整列されている。層bにおける要素92bは、要素92a及び92cとは
ずれている。すなわち、前駆物質複合材の様々な層における要素は、垂直方向に
離間している異なる層における前駆物質HTSフィラメントは相互に実質的に整
列している(層a及びcにおけるフィラメントのように)か、隣接する層は、1
つの層(すなわち、薄い金属製のさや又はモノフィラメントの間のスペーサ)に
おける隣接するフィラメントの間の相対的な狭い空間の中心が隣接する層におけ
るフィラメントの中心に対して垂直方向に整列(場合によって上又は下)されて
いる。隣接する層のフィラメントの中心は、例えば、層bにおける隣接したフィ
ラメントの間のAgは、層a及びcにおけるフィラメントの中心と、またその逆
と整列されている。 上述した米国特許出願第08/468,089号において論じられているよう
に、超伝導体前駆物質の熱機械的な処理のためには多数の既知の手順が存在する
。これらには、典型的には、用いられる特定事項に依存して変動する圧力及び温
度において変形及びシンタリングを行うステップを反復することが含まれる。こ
れらのプロセスは、多くの場合に、nDSと称される。ここで、Dは変形ステッ
プを意味し、Sはシンタリング又は加熱ステップを意味し、nは変形及びシンタ
リングの反復的なプロセスが反復される回数を意味する。典型的な従来技術によ
るプロセスは、2DS及び3DSプロセスである。 特定の熱機械的な処理手順は本発明の実現に重要ではないが、好適な実現例で
は、’089出願に記載されているように1DSやそれが不可能な場合には2D
Sプロセスなどのように、可能な限り少ない反復回数を用いる変形/シンタリン
グ反復プロセスを用いることである。好適な1DSの実現例では、結合されたマ
ルチフィラメント複合材前駆物質構造、例えば、PIT手順を用いて作られた低
密度のモノフィラメントの複合材や被覆導体手順を用いて作られた低密度のモノ
フィラメントの複合材などは、約40%から95%の厚さの範囲の大きな減少ド
ラフトにおいて圧延処理される。大きな減少ドラフト・ステップの後からシンタ
リング・ステップの前に置いては、約5%&を超える厚さの減少はなく、このよ
うに圧延された複合材構造は、最終的な酸化物超伝導体複合材マルチフィラメン
ト型製品となる。同様の厚さの減少は、2DSの方法を用いて達成される。この
複合材は圧延されたモノフィラメント要素から作られており、従って、複合材に
形成される前に低密度ではなく高密度を有するので、複合材のそれ以降の熱機械
的処理の結果として、厚さの減少ははるかに小さくなる。しかし、どのようなタ
イプの前駆物質要素が用いられるとしても、本発明によれば、個々の前駆物質要
素の処理を、統合されたマルチ要素の前駆物質複合材の以後の処理から切り離し
、従って、それとはかなり独立的な態様で達成することが可能となる。 モノフィラメント型超伝導体前駆物質が低密度を有する超伝導体前駆物質複合
材と共に用いられると、このような単一の大きなドラフト変形は、複合材40、
70における超伝導体前駆物質の厚さを、例えば1から3ミクロン程度大きく減
少させ、同時にシンタリング・ステップによると、密度を理論的密度の95%程
度にまで減少させる。後でより詳細に論じるJcとフィラメントの厚さとの間の
関係を示している図10及び11のグラフに示されているように、超伝導体フィ
ラメントのJcはフィラメントの厚さに大きく依存している。他がすべて同じで
ある場合には、より薄いフィラメントのようなより厚いフィラメントよりもはる
かに大きなJcを有する。本発明によると非常に薄い(例えば、厚さが3ミクロ
ン未満)モノフィラメントを用いた複合材構造を作ることが可能であるから、本
発明によって作られたBSCCO−2223の複合材構造は、100,000A
/cm(77K,0T)を超えるレベルのJcレベルを達成することが予測さ
れる。 本発明の好適な実現例によると、超伝導体前駆物質複合材は、それを、超伝導
体前駆物質複合材の対向する側に接触する2つの伸長した制約部材の間に配置す
ることによって、圧延の間拘束される。複合材は、接触している2つの拘束部材
と共にローラの間を通過し、組織化された超伝導体複合材を形成する。前駆物質
超伝導体複合材テープの単一通貨用の圧延アセンブリは、第1及び第2のロール
と2つの拘束部材とを含む。第1のロールは、第1の軸の周囲を回転するように
整列され、第2の溝付きロールは第1の軸に平行な第2の軸の周囲を回転する用
に整列されている。これらのロールは、選択された距離だけ離間しており、その
間に通路が形成されている。2つの拘束部材は、前駆物質超伝導体複合材と類似
する機械的な特性を有しており、前駆物質超伝導体複合材がローラの間を通過し
て組織化された超伝導体複合材が形成されるときに前駆物質超伝導体の対向する
側面上で前駆物質超伝導体ワイヤと接触するように配置される。第1及び第2の
ロールの間に前駆物質超伝導体複合材と拘束部材とを前進させる固定具には、こ
の前駆物質超伝導体複合材と拘束部材とを受け取る大きさを有するスロットを含
む。この固定具は、前駆物質超伝導体複合材と拘束部材とを第1及び第2のロー
ルの間に導くテーパ状の表面を含む。 拘束付きの圧延によって、他の変形技術と比較してフィラメントの品質を向上
させながら大きな面積の削減を伴う変形が可能となる。拘束付きの圧延によると
、特に、変形の間にクラッキング/剪断に敏感な超伝導体複合材の組織化が容易
になり、他の技術と比較して寸法の制御が向上する。この手順は、共にDeMo
ranville et alによってこの出願と同日に出願され同一人に所属
する同時出願中の″Constrained Rolling and Sup
erconductor Wire Formed Thereby″及び″C
onstrained Rolling and Textured Supe
rconductor Wire Formed Thereby″と題する米
国特許出願第08/902,587号及び第08/902,588号により詳細
に記載されている。これらの出願は全体をこの出願において援用する。 例I PIT手順を用いて作られたモノフィラメントに対して厚さとJcとの間の関
係を調べるために、上述した″Silver and Silver Allo
y Articles″の特許出願に従って製造された微細グレイン銀チューブ
を用いて作られたモノフィラメントBSCCO−2223は、直径が公称で0.
6、0.45及び0.3cmに引き延ばされ、300℃で30分間張力の増加が
1.0でアニーリングがなされAgさやの再結晶がなされた。1及び10cmの
直径のロールを用いた圧延の検査が行われ、約70%から約90%マスタ・デバ
イスの様々な厚さの縮小が得られた。図10には、シンボルによってインチを単
位としてロールの直径/モノフィラメント・ワイヤの直径が定義されており、こ
の検査の結果を示されている。異なるロールの直径によって異なる幅が生じてい
るにもかかわらず、2及び10cm上のJeの結果はフィラメントの厚さに相関
している。14,500A/cm程度の高いJeが得られた。 例II ケーブル開発に向けられた計画の一部として、ケーブル内の超伝導体フィラメ
ントの最終的な厚さとフィラメントのJcとの間の関係が検査された。図11は
、Je(77K、自己電磁界、1マイクロボルト/cm)を縦軸にフィラメント
(モノフィラメント・ストランドとマルチフィラメントとの両方)の厚さを横軸
に撮ったグラフである。例Iの場合と同様に、Jeはフィラメントの厚さに大き
く依存し、フィラメントの厚さが減少すると大きく増加している。 例III 最適化されていないBi−2223の粉末を用いて、電気泳動積層によって被
覆要素前駆物質が作られた。Bi−2223前駆物質の厚さは約20ミクロンで
あり、微細グレインAgストリップの幅にわたり及び長さに沿って寸法的な一様
性が維持されている。前駆物質の密度は理論的には40%以下と評価された。被
覆前駆物質の20個の12’’の長さが組み立てられ、互いの上にスタックされ
、それぞれを微細グレインAgストリップによって分離している。このマルチフ
ィラメント型スタックは、矩形の微細グレインAg溝の中に配置され、微細グレ
インAgストリップを用いて被覆され、複合材の要素を相互に拡散結合させる。
複合材は、次に、圧延され、セラミック・フィラメント内で高レベルの密度及び
組織化を達成する。フィラメントは1から5ミクロンの範囲の厚さを有する。第
1の組の熱処理において、20,000A/cm2(77K、0T)というJc
の値が達成された。 例IV 約75ミクロンの厚さの銀合金基板の対向する側の上の約15ミクロンの厚さ
のHTS層(密度は30%の理論値に等しい)を含む複合材上での高密度化(d
ensification)が計算された。それ以後の熱機械的処理の間のその
ような複合材のすべての変形が高密度化である場合には、HTS層の厚さは約5
ミクロンまで減少される。 例V BSCCO−2223超伝導体フィラメントと微細グレインAg基板及びスペ
ーサとを有する18フィラメントの超微細HTSフィラメント複合材が、図6か
ら8を参照して一般的に論じた被覆導体プロセスを用いて作られた。複合材は、
20,000A/cmのJcと20A(77K、0T)のIcとを有した。 例VI 微細グレイン銀を含む正方形のモノフィラメント要素が、0.0239’’ま
での引き延ばしを用いて作られた。より微細なフィラメントの寸法を達成するに
は、後で、0.018’’までトルコ帽子型に構成された(Turk’s He
aded)。11の要素が図1と一貫するように整列され、熱処理を用いて統合
された。統合された前駆物質は、0.021’’の測方拘束ワイヤを用いて1回
の通過で圧延だれ、結果的に、薄いHTSフィラメントが生じた(50ミクロン
)。この材料のJeは、6,700A/cm(77、sf)であった。 例VII 例VIと同じ手順が行われたが、引き延ばしが用いられ、0.018’’の正
方形の要素が作られた。Jeは、7,500A/cmであった。 例VIII 例VIIと同じ手順が行われたが、引き延ばしと熱処理とを含む統合が実行さ
れた。 例IX 引き延ばしを用いて矩形のモノフィラメント要素が作られ、要素は、図2と一
貫するように整列され、引き延ばしと熱処理とを含む熱機械的なプロセスを用い
て統合が実行された。統合された前駆物質は1回の通過で圧延だれ、結果的に、
薄いHTSフィラメントが生じた(m10ミクロン)。この材料のJcは、42
,000A/cm(77、SF)であった。 例X 例IXと同じ手順が行われたが、引き延ばしを含む機械的プロセスを用いて統
合が実行された。アニーリング温度は、300℃未満に維持された。 例XI 例Xと同じ手順が行われたが、785℃、0.075atm02、1時間とい
う条件で熱処理を用いて統合が実行された。 例XII バッファされた(YSZ)微細グレイン化されたNi基板をYBCOを用いて
ディップ・コーティングすることによって、被覆前駆物質が作られた。被覆前駆
物質要素は、焼成して(calcined)70%未満の被覆密度が得られた。
2つの前駆物質要素が図2に従ってスタックされ、Ag合金を用いてラップされ
た。前駆物質複合材は、熱プロセスを用いて統合された。 例XIII 圧延されたモノフィラメント・テープの長さが、スタック内のそれぞれのスト
ランドに対して1つの割合でスプール上に配置された。これらのスプールは、磁
気ブレーキ・スタンド上に設置され、同一平面にある一連のアイドラに向けられ
た。矩形のガイドもまたスタンドの上に設置され、複数のテープをスタックの中
に送られた。テープ・ストランドのスタックは、ダイを通過して水平方向のケー
ブリング・ラインの中心まで送られ、ケーブリング・ラインは、スタックに重な
るように設定された。厚く(0.05mm)微細なAgテープのスプールが、回
転部材上の磁気ブレーキ減衰シャフト上に配置された。アイドラのプーリが、A
g箔のラップをスタック上に導いた。キャプスタンがスタック固定率をラップ回
転に引き上げ、固定されたラップ・レイ・ピッチを定義した。 Agラップ材料が、アニーリングされたAgワイヤを大きな張力の下で圧延す
ることによって作られた。ラップ材料は、典型的には0.04mm×1.5mm
の断面を有する。水平方向のケーブリング・ラインからラッピング・ラインへの
再構成は、直接的であった。 システムは、7つのモノフィラメント・テープに対して構成され、ラインは、
事故もなく動作した。モノフィラメント・テープの逆張力は、タイト(0.7N
以下)なラップを作るのに適するように調整された。最初の動作は、ラップが0
.05mmの厚さでありラップの回転の間に公称で50%のギャップが生じるよ
うに配置された。ラップの厚さが最適の場合よりも大きいことにより、ラップは
、製品において卵形(オーバル)の形状のまま維持された。ラップは、モノフィ
ラメント・テープ上での成形的な変形が最小となるようにトルコ帽子状にするこ
とにより統合することができる。長さの短いスタック・ケーブルが、固定された
採取的な熱処理に対する第1の熱処理(HT1)条件と中間的な歪みとを調査す
る小規模の検査において用いられた。図12は、3Dプロットであるが、最適な
変数を示している。すなわち、HT1時間(20及び40時間)、HT1温度(
820及び827℃)及び中間的な圧延歪み(10%及び20%)が3つの軸を
形成している。立方体のコーナーが、適切な条件に対する最終的なJeデータを
含む。 自動化されたダンサー・カセット巻き取りシステムが、一様で低い張力によっ
て巻き取りを行うように構築されている。図13に概略が示されているように、
このシステムは、デッド・ウェイト132に接続された線形ベアリング上の移動
プーリ131と、モータ駆動のドライブとから構成されている。モータ駆動は、
リミット・スイッチ133、134によってプーリ移動のトップ及びボトムにお
いて制御されている。カセットの巻き取りによって、スプールの横断に起因する
テープにおけるハード・ウェイの曲げが除去されており、曲げ歪みを最小化する
大きなハブ直径を有している。このユニットは、任意の圧延ミルと共に潜在的に
用いるためにカート上に設置されている。 再スプーリング・プロセスとスタッキング・ライン上でのペイオフ経路とを修
正することによって曲げ歪みが縮小された。Agラップの厚さは、0.03mm
に縮小され、タイトなラップを得るためのスタッキング・プロセスの間の逆張力
の必要性が低下された。 マルチストランド超伝導体は、これらの改善点を備えているように作られた。
圧延ミル巻き取り(take−up)システムは、5m/分を超える速度でテー
プ上を0.98Nの負荷でうまく動作した。このマシンは、高速の際に0.24
Nの張力の能力を有していると考えられる。巻き取りカセットから取られたモノ
フィラメント・サンプルは、横断方向のクラッキングを示さない。これらのサン
プルのJeレベルは、自己電磁界において77Kで5000A/cmを達成し
た。 超伝導体前駆物質モノフィラメントと超伝導体前駆物質複合材との構造は本発
明の実現にとって重要であると考えられる。最終的な超伝導体製品が所望の高性
能を有するためには、その超伝導体フィラメントのそれぞれは、本質的に微細か
つ一様な寸法を有し、好ましくは、実質的に矩形でなければならない。また、マ
ルチフィラメント型の製品における異なるフィラメントの寸法及び特性はほぼ同
一であることが非常に好ましい。本発明によると、これは、ほぼ同一な微細寸法
及び特性を有する前駆物質要素を提供し、これらの要素を横断方向の断面が複合
材スタックとなるように矩形(正方形を含む)に組み立てることによって達成さ
れる。変形力に対するスタック構成によって、その後の熱機械的な処理の間に、
複合材スタックにほぼ垂直方向(すなわち、幅に垂直で高さに平行)に力を加え
る1対のロール等の間にスタックが押しつけられるときに、スタック内のそれぞ
れのフィラメントには、実質的に同じ変形処理がなされ、従って、その中のすべ
てのフィラメントが所望の実質的に同一の超伝導体特性を有するようなマルチフ
ィラメント超伝導体が得られる。更に、前駆物質フィラメントとスタックとの主
軸は、前駆物質と製品との主軸と平行でなければならない。既に述べたように、
超伝導体前駆物質モノフィラメントは、複合材スタックにおいて配列され、フィ
ラメントは整列され、フィラメントのトップ及びボトムはほぼ並行であり、金属
層が、典型的には複合材スタックの全体の外部を包囲しているフィラメントのそ
れぞれの対の間に提供される。金属層は、例えば、Agさや34、Ag基板64
、Agラップ42、溝70、箔74及び/又はスペーサ・ストリップなどによっ
て提供される。 既に述べたように、前駆物質要素は単一の垂直方向の(図2及び6に図示され
ているように)又は単一の水平方向の(図1に図示されているように)ローとし
てスタックすることが可能である。多数の垂直方向のスタックは、並んで配置す
ることもでき、例えば、フィラメントの相互関係が図7に示されているような配
列にすることができるし、又は、多数の水平方向に相互に上下に配置して図7及
び9に図示されているような構造にすることもできる。それぞれの場合に注意す
べきであるが、複合材のフィラメントは、後の熱機械的な処理の間に圧力がほぼ
垂直方向に加えられるときに、それぞれのフィラメントに実質的に同じ力と変形
を受けるように配置されるべきである。更に注意すべきは、既に述べたように、
それぞれの複合材の幅が複合材の高さよりも小さく、それによって、以後の処理
の間の安定性が保証されるようにすべきであるということである。 どのような特定の前駆物質が用いられたとしても、以下の規準が高いパフォー
マンスのためには重要である。 1.適切な寸法:フィラメントの寸法は、複合材の全体を通じてほぼ一様であ
るべきである。このためには、超伝導体前駆物質要素内のフィラメントが同様に
ほぼ一様な寸法(任意の特定の要素の内部においてと、複数の要素にわたってと
の両方で)を有することと、更に、最終的な製品内のHTSフィラメントが高い
アスペクト比を有することとが要求される。特定の前駆物質の特定の寸法は、も
ちろん、前駆物質複合材の全体的な構造や、その前駆物質複合材を熱機械的に処
理するのに用いられる特定のnDS手順などに依存する。典型的には、圧延され
ていない前駆物質要素は、厚さが、25から1250ミクロンの間、好ましくは
30から600ミクロンの間、最も好適な実施例では30から250ミクロンの
間にある。前駆物質複合材の幅は、大きく変動する可能性がある。複合材の幅は
少なくとも高さと同じ程度の大きさを有することが常に望ましいが、例えば全体
的な幅が、25000ミクロン程度の大きさを有するなどのように、数倍も幅が
広くなることがあるが、多くの場合には、2500ミクロン以上である。既に述
べたように、前駆物質要素と前駆物質複合材における典型的にはAg等の金属層
の厚さは、それほどには重要でない。典型的には、PIT手順において用いられ
る要素においては、既に述べた理由によって、より厚い層が必要となる。 2.密度:圧延の前に、前駆物質フィラメントの密度は約25%から70%程
度の範囲、好ましくは30%から65%の範囲程度に低くあるべきである。前駆
物質要素の前駆物質フィラメントが35%から60%の範囲での積層/コーティ
ング手順を用いて作られる場合には、特にそういえる。低い密度の前駆物質フィ
ラメントと低い程度の組織化とによって、後の熱機械的処理の間に生じる超伝導
体フィラメントの特性が最適化される。 3.厚さ:前駆物質モノフィラメントは薄くあるべきである。PITプロセス
において圧延がなされた後で、前駆物質フィラメントは、50ミクロンの厚さを
超えるべきではない。積層された超伝導体前駆物質は、著しく薄い場合もある。
特に、高いパフォーマンスを得るためには、最終的な製品におけるそれぞれの超
伝導体フィラメントは、約10ミクロンの厚さを超えるべきではない(好ましく
は、2から7ミクロンの厚さ)。ただし、既に論じたように、より厚いフィラメ
ント(例えば、50以下、好ましくは、40ミクロンの厚さ以下)を適切な状況
で用いることもできる。最終的な超伝導体構造の幅は、典型的には、任意のHT
Sフィラメントの厚さよりも大きい。 4.寸法上の一様性:前駆物質フィラメントと前駆物質要素とは両方共に、ほ
ぼ矩形であり、フィラメント及び要素の幅にわたってほぼ一様であるだけではな
く、前駆物質の長さに沿ってほぼ一様であるべきである。特に、フィラメント及
び前駆物質スタックの主軸は、前駆物質及び製品の主軸と平行であるべきである
。 5.フィル・ファクタ:前駆物質要素、特に、PIT技術ではなく積層/コー
ティング・プロセスを用いて作られたものは、貴金属の量に対して高いパーセン
テージの超伝導体前駆物質フィラメントを含むのが典型的である。これによって
、複合材前駆物質と最終的な超伝導体複合材との両方においてフィル・ファクタ
が高くなる。達成可能なフィル・ファクタは更に減少するが、その理由は、複合
材前駆物質が、通常のマルチフィラメント型ケーブルの場合よりも少ない貴金属
(例えばAg)の充填しか必要としないからである。積層/コーティング前駆物
質要素の場合には、より大きな程度そういえる。理由は、引き延ばしの間に構造
的な支持に必要となる貴金属の量が、更に減少するからである。 6.金属成分:さや、スペーサ及び/又は箔は、少なくともスタッキング・プ
ロセスを通して微細グレインによる変形可能な金属であるべきである。既に述べ
たように、金属は、微細なグレイン・サイズを維持するように選択された条件下
では、引き延ばしのあいだ頻繁にアニーリングされるべきである。微細グレイン
金属は、高パフォーマンスの超伝導体要素の製造には必要であるが、その理由は
、それらによって、高いJcに関連する微細フィラメント・サイズの形成が可能
になるからである。PITプロセスでは、そのような金属によって、前駆物質粉
末を包む微細で一様なチューブの製造が可能になる。被覆導体プロセスでは、微
細グレイン金属は、フィル・ファクタを改善するために一様で微細な寸法の基板
を作るのに必要である。 前駆物質複合材をモノフィラメント前駆物質要素を用いて構築する態様もまた
重要である。重要な規準には以下のものが含まれる。 1.マルチフィラメント複合材におけるすべてのモノフィラメントに以後の熱
機械的処理の間に実質的に同一の圧力/変形条件を与えることができるように、
要素を相互に形成し配列すること。 2.銀などの貴金属である微細グレイン金属層が隣接するHTSフィラメント
の間に提供されることを保証すること。この層の厚さが、処理の間に十分な構造
上の一体性を適するのに必要となるよりも著しく大きくならないように制御する
こと。 3.個々の要素と複合材の要素との両方が高いフィル・ファクタを適する構成
を保証すること。これは、個々の要素における相対的な金属/HTS材料の両方
の関数であり、任意の追加的な金属が複合材を形成する際に用いられる。本発明
の前駆物質要素は、特に、PIT技術ではなく積層/コーティング・プロセスを
用いて作られた場合には、金属の量に比較して高いパーセンテージの超伝導体前
駆物質フィラメントを含むのが典型的である。これによって、複合材前駆物質と
最終的な超伝導体複合材との両方におけるフィル・ファクタが高くなる。達成可
能なフィル・ファクタは更に上昇するが、その理由は、複合材前駆物質が、通常
ののマルチフィラメント型ケーブルの場合よりも少ない貴金属(例えばAg)の
充填しか必要としないからである。積層/コーティング前駆物質要素の場合には
、より大きな程度そういえる。理由は、引き延ばしの間に構造的な支持に必要と
なる貴金属の量が、更に減少するからである。 前駆物質複合材は、複合材が形成されたが熱機械的な処理がなされる前の適切
な処理の後には、比較的低い揮発性の内容しか有していないので、熱処理の間に
ブリスタやそれ以外の欠陥が形成されることはない。 この分野の当業者には明らかなことであるが、本発明の方法及び効果は、様々
な構成及び組成を有するマルチフィラメント型の超伝導体品目において用いるこ
とができるが、これには、超伝導体前駆物質と今日知られ好適である超伝導性の
セラミックやこれまでに発見され開発されてきたものも含む。本発明は、以上で
行った特定の説明や例示のいずれによっても限定されない。それらの説明や例示
は、説明のためだけにこの明細書において与えらのであって、それ以外の構造、
方法及び実施例も特許請求の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
本発明の以上の及びそれ以外の目的、特徴及び効果は、好適実施例に関する以
上の説明を以下の図面を参照しながら読むことによって明らかになる。
【図1】 本発明による複合材超伝導体前駆物質構造の断面である。図1aは、図1の前
駆物質構造から作られたマルチフィラメント型超伝導体構造の断面である。
【図2】 本発明による複合材超伝導体前駆物質構造の断面である。図2aは、図2の前
駆物質構造から作られたマルチフィラメント型超伝導体構造の断面である。
【図3】 本発明の実現において用いられるPIT手順を用いて作られたモノフィラメン
ト前駆物質要素の断面である。
【図4】 図1及び図2の複合材を形成するための手順の概略的な図解である。
【図5】 本発明の実現において用いられる被覆導体技術(coated conduc
tortechnique)を用いて作られたモノフィラメント前駆物質要素の
断面である。
【図6】 図5のモノフィラメント前駆物質要素を複数含む複合材スタックの断面である
【図7】 図5のモノフィラメント前駆物質要素を複数含む第2の複合材スタックの断面
である。
【図8】 図6の前駆物質と図6及び図7の複合材構造とを形成する手順の概略的な図解
である。
【図9】 別の超伝導体前駆物質構造の断面である。
【図10】 フィラメントの厚さとJe(HTS及びそれ以外の構造の両方を含む超伝導体
全体の断面積上の技術(engineering)電流密度)との間の関係を図
解するグラフである。
【図11】 フィラメントの厚さとJe(HTS及びそれ以外の構造の両方を含む超伝導体
全体の断面積上の技術(engineering)電流密度)との間の関係を図
解するグラフである。
【図12】 Jeのデータの図解である。
【図13】 張力巻き取りシステムの図解である。
【手続補正書】
【提出日】平成12年3月28日(2000.3.28)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 微細かつ一様なフィラメント型超伝導体
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、高温セラミック超伝導体に関する。より詳しくは、本発明は、複数
の薄く一様なフィラメントを含むマルチフィラメント型超伝導体構造と、ほぼネ
ット状の前駆物質(near net shape precursor)からそのような構造を製造する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 超伝導体とは、臨界温度Tcより低い温度では電流に対する抵抗値がほぼゼロ
であるような材料である。様々な酸化銅(銅酸化物)のセラミック材料が比較的
高い温度すなわち77Kよりも高い温度で超伝導性を示すことは、以前から観察
されている。約10年前に酸化銅ベースの超伝導体が最初に発見されて以来、こ
れらの超伝導性のセラミックは広い範囲で興味をもたれ、その物理的及び化学的
な性質が広く研究され、多くの刊行物に記載されてきた。
【0003】 超伝導材料と金属との複合材は、超伝導材料が単独で有しているよりも優れた
機械的及び電気的特性を得るために、よく用いられている。このような複合材は
、広く知られているパウダー・イン・チューブ(PIT)プロセスなどの様々な
既知のプロセスや、様々な被覆導体(CC)プロセスによって、伸長したワイヤ
、要素及びケーブルの形態で用意されるのが典型的である。PITプロセスでは
、金属容器が前駆物質の粉末で充填され、次に、この充填された容器が変形され
熱機械的処理がなされて、所望の超伝導特性を有するフィラメント型の複合材が
形成される。CCプロセスでは、超伝導材料又はその前駆物質が基板の上に配置
され、この基板が処理されることによって、超伝導性のフィラメントを含む複合
材が形成される。どのようにして形成されたとしても、複数のフィラメントはバ
ンドル及び/又はケーブル状になっており、マルチフィラメント型の複合材を得
るには、追加的な変形及び熱機械的な処理ステップが必要である。
【0004】 商業的な実現性を有するには、高温超伝導体(HTS)ワイヤは、高性能(す
なわち、超伝導体の高い臨海電流密度Jc)を有し、低コストでなければならな
い。過去には、超伝導グレインの高密度化(densification)や結晶学的なアラ イメントによって超伝導性セラミックのJcを改善するためのかなりの努力がな
されてきたし、より最近では、価格対性能比(kAm当たり何ドルかによって測
定される)がより高く商業的に容認可能である長さを有するHTSワイヤの製造
技術への興味が高まりそのような技術を開発する努力がなされている。
【0005】 現時点では、HTSの分野では、最も高性能のBSCCO(2212及び22
23の両方)は、寸法が10x100ミクロンのオーダーであるアスペクト比の
大きな(highly aspected)フィラメント(アスペクト比の大きな(aspected) 要素とは、横断面において幅が高さよりも大きいものをいう)を含むことが知ら
れている。また、PIT技術を用いて作られたBi−2223の導体は、アスペ
クト比の大きな要素が結果的に得られる非対称変形が用いられる場合には比較的
高いJc性能を達成できることも知られている。例えば、非対称変形を用いると
、77Kで自己電磁場(self field)の場合には69000A/cm2のJc値 が報告されている(Q. Li et al., Physica C, 217 (1993) 360)し、超伝導性 の層の厚さをLi et al.の場合の30ミクロンから3ミクロンのレベルまで減少 すれば、Bi−2223の導体のJc性能は劇的に向上することが予測されてい
る。通常の方法によって作られた要素におけるAgに隣接するB1−2223の
層(約1.5ミクロンの厚さ)では、Jcの値は、100000A/cm2(7
7K,0T)を超えると考えられる。他のHTSワイヤのタイプでは、ショート
・レングス性能(short length performance)を示している。例えば、真空シス
テム、レーザ及びイオン銃などの設備を用いるフィルム技術によって作られたY
−123ベースの被覆導体などである。
【0006】 非対称変形を用いて円形のマルチフィラメント型前駆物質を用意しその後に高
アスペクト比の要素に圧延する従来のPIT技術を用いる場合には、2つの主な
理由により、3ミクロン程度の厚さを有するフィラメントを達成することは困難
である。すなわち、第1に、それぞれのフィラメントのひずみ経路(strain pat
h)は複合材の内部でのその位置の関数であり、最終要素のエッジにおけるフィ ラメントは、その要素の中心部分におけるフィラメントよりも組織化の程度が低
く(less textured)性能レベルが低いこと。第2に、それぞれのフィラメント の変形前の断面は円形であるのが典型的であり、最初に円形であるフィラメント
を変形することによって薄く幅の広いフィラメントを達成することは困難である
こと。
【0007】 これまでに様々な変形処理の手順が提案されている。1995年6月6日に出
願された同時出願中である"Simplified Deformation-Sintering Process for Ox
ide Superconducting Articles"と題する米国特許出願第08/468,089 号には、複数のステップではなく単一の変形及びシンタリング・プロセスによっ
て組織化の程度が高い酸化物超伝導体による品目を用意する方法が記載されてい
る。この米国特許出願は、この出願において援用する。この米国特許出願に記載
されている手順では、前駆物質である品目であって、この品目の長さに沿って延
長する複数のフィラメントを含み、支配的な量の正方晶系(tetragonal)のBS
CCO2212相を有する前駆物質である酸化物とそれぞれのフィラメントを実
質的に包囲する拘束部材とを備えている品目に対して、正方晶系のBSCCO2
212酸化物を斜方晶系の(orthorhombic)BSCCO2212酸化物に変換す
るように選択された酸素分圧と温度とにおいて熱処理が施される。その後で、こ
の品目は、厚さの約40%から95%の範囲の単一の大きな減少圧下(high red
uction draft)で圧延処理され、それによってフィラメントは酸化物超伝導体グ
レインの最大の寸法とほぼ等しい拘束寸法を有するようになり、次に、シンタリ
ング(焼結)がなされてBSCCO2212又は2203の酸化物超伝導体が得
られる。他の手順は、1995年11月11日に出願された同時出願中である"I
mproved Breakdown Process for Superconducting Ceramic Composite Conducto
rs"と題する米国特許出願第08/651,688号に開示されている。この米 国特許出願は全体をこの出願において援用する。
【0008】 実験室の外において現実的であるためには、ほとんどの電気的及び磁気的な応
用には、電流搬送容量が高いことに加えて、高いフィル・ファクタ(fill facto
r)を有する(すなわち、複合材であるマルチフィラメント構造における超伝導 体の体積パーセンテージが高い)ように製造可能であり可撓性を有するケーブル
状の長さを有する導体が要求される。従って、高いJcを有する個々のフィラメ
ントを作ることに加えて、複数のHTSフィラメントを含むケーブル等の製造方
法にも多くの努力がなされてきた。例えば、1995年11月11日に出願され
た同時出願中である"Cabled Conductors Containing Anisotropic Superconduct
ing Compounds and Method for Making Them"と題する米国特許出願第08/5 54,814号には、複数の転置されたストランドであってそれぞれのストラン
ドが好ましくはマトリクス材料によって包囲され指示されている1つ又は複数の
好ましくはねじれたフィラメントを備えている複数の転置されたストランドと、
実質的に一方向を向いておりこのケーブル状の導体におけるストランド及びフィ
ラメントの回転方向とは独立である結晶学的なグレイン・アライメントを有する
組織化された異方性超伝導性化合物とを含むケーブル状の導体が開示されている
。この米国特許出願は全体をこの出願において援用する。ケーブル状の導体は、
複数の適切な複合ストランドを形成し、これらのストランドを予め選択されたス
トランド撚りピッチ(lay pitch)で導体の長軸の周りに転置することによって これらのストランドからケーブル状の中間物を形成し、ストランドを組織化する
ことによって、作られる。この最後のストランドの組織化は、ケーブル状の中間
物の最も幅の広い長軸方向の断面と直交する方向の基本成分を用いた組織化プロ
セスを適用することを含む少なくとも1つのステップを含む1つ又は複数のステ
ップにおいてなされる。この直交方向の組織化ステップの少なくとも1つは、ス
トランド転置ステップの後になされる。ある実施例では、フィラメントの断面と
、フィラメントのねじれピッチと、ストランドの撚りピッチとは、所望の異方性
超伝導性化合物の典型的なグレインの好適な方向の面積の常に少なくとも10倍
であるフィラメント転置面積を提供するように相互に関係して選択される。双軸
組織(biaxial texture)を要求する材料については、組織化(texturing)のス
テップは、第2の基本成分を用いた組織化プロセスを導体の幅の最も広い長軸方
向の断面において所定の方向に適用することを含みうる。
【0009】 例えば、米国特許第5,508,254号などの他の文献では、比較的厚い圧
延さえたテープを垂直方向に積み重ねることによってマルチフィラメント構造を
形成することが提案されている。
【0010】 しかし、この分野における過去になされた及び現在進行中の仕事にもかかわら
ず、コストと性能との両方が、HTSワイヤの市場における広範な使用を依然と
して制限する主な理由である。従って、HTSフィラメントのJcを増加させ、
より大きなフィル・ファクタと全体的な電流搬送能力とを有する様々な幾何学的
形状のマルチフィラメント複合材を提供し、より小さなコストによってこれらを
達成する、という必要性が依然として存在している。
【0011】
【発明の概要】 本発明の特徴は、多数の超伝導体前駆物質要素から半連続的な手順によって作
られる高いフィル・ファクタ(例えば、30%よりも大きく、好ましくは、35
%から40%よりも大きい)を有するマルチフィラメント型超伝導体である。こ
こで多数の超伝導体前駆物質要素のそれぞれは、全体的な形状が実質的に同一で
あり、同一の全体的構成を有する超伝導体前駆物質のモノフィラメントを含んで
いる。この超伝導体前駆物質のモノフィラメントは、金属成分の上又はその中に
与えられる。圧延の前には、前駆物質であるモノフィラメントは、密度が低い(
すなわち、25から70パーセント、好ましくは、30から65パーセント、最
も好ましくは、40から0パーセントの理論的密度を有する)が、圧延の後では
、モノフィラメントの厚さは、約50ミクロン未満(そして、好ましくは、約4
0ミクロン未満)である。これらの要素は、複合材に統合(consolidate)され る。統合された複合材においては、複数の要素の空間的な関係は、すべての要素
が相互に対称的であり、また、複合材の外部的形状と以後の変形との両方に対し
て対称的である。統合された前駆物質の複合材では、複合材の金属成分が結合さ
れたはしご構造を形成しており、隣接するはしごの横木の間の空間に超伝導体前
駆物質のモノフィラメントが存在している。統合の前後で、異なる前駆物質要素
のフィラメントの構成は、実質的に同一である。
【0012】 ここで用いている「前駆物質」(precursor)とは、適切な熱処理を加えるこ とによって所望の異方性超伝導体に変換させることができる任意の材料(物質)
を意味する。例えば、所望の異方性超伝導体が酸化物超伝導体である場合には、
前駆物質は、金属塩、酸化物、亜酸化物、所望の超伝導体への中間物である酸化
物超伝導体、所望の酸化物超伝導体の安定電磁場(stability field)において 酸素の存在する場合に反応するとその超伝導体を生じるそれ以外の化合物などの
要素の任意の組合せである。どのような特定の前駆物質でも、本発明の実践にお
いては、複合材とその中の超伝導体モノフィラメントとの最終的なアスペクト比
は、個々の前駆物質要素や超伝導体前駆物質フィラメントのアスペクト比からは
切り離されている。
【0013】 ここで用いている「統合する」(consolidate)とは、少なくともそれ以後の 処理の間にそのアセンブリの様々な要素に大きなスケールの変位が存在しない程
度に、複数の要素を1つのユニットとして機能するように組み立てることを可能
にする動作の実行を意味する。統合は、熱処理、化学的な接着、延伸(drawing )又はそれ以外の変形プロセスなどを含む多数の手順によって達成することがで
きる。好適な手順には、超伝導体前駆物質の初期の相転移を達成するのに十分な
加熱が含まれる。
【0014】 本発明の1つの特徴においては、複合材前駆物質は、多数の前駆物質要素を含
み、そのそれぞれには、並んで整列しスタック状になっている少なくとも1つの
HTS前駆物質モノフィラメントを含み、それによって、要素のトップ及びボト
ムと要素内のフィラメントとが複合材の幅にわたってほぼ整列されている層が形
成されている。金属(典型的には貴金属であるが、超伝導体成分との相互作用を
防止するために要求されるバッファ層を備えたそれ以外の金属も用いることがで
きる)が、前駆物質フィラメントのそれぞれの隣接する対の間に提供される。こ
の特徴による実施例では、複合材は、並んで構成された前駆物質要素の複数の層
を含み、その場合には、複数の層は垂直方向にスタック状になり、それぞれの前
駆物質フィラメントは垂直方向に整列しているか又は任意の他の層におけるHT
S前駆物質要素の間の狭い空間の中央に位置する。異なる前駆物質要素における
すべてのHTS前駆物質フィラメントは本質的に同一のアスペクト比、幅及び厚
さを有する。スタック状の複合材構造は、典型的には周囲の金属ラップ(覆い)
又はさや(sheath)が提供され、加熱されることによってその様々な成分が統合
される。
【0015】 本発明の第2の特徴においては、それぞれの前駆物質要素は、この金属の少な
くとも一方の面の上に、好ましくはその対向する両方の面の上に積層されたHT
S前駆物質の層を有する金属を含み、複合材金属においては、層でなければ露出
されている面とHTS前駆物質層のそれぞれのサイド・エッジとの両方が重なっ
ている。
【0016】 本発明の好適な実施例では、前駆物質複合材は、1DS又は2DS手順(後で
説明する)において、熱機械的に処理され、それによって、要素は、厚さが焼く
40%から95%まで減少し(それ以後、シンタリング・ステップの前には、約
5%を超えては減少することはない)、このように圧延された前駆物質複合材は
シンタリングされ、充分に一様なフィラメントを有する最終的な超伝導体複合材
構造が得られる。高パフォーマンスな構造では、HTSフィラメントは、その厚
さが、典型的には約10ミクロン未満であり、好ましくは約2−7ミクロンであ
り、最も好ましくは5ミクロンである。
【0017】 好適な前駆物質複合材は、PIT又は被覆導体プロセスによって作られる。そ
のプロセスでは、低い密度のHTS前駆物質モノフィラメントを有する複数のほ
ぼ同一な超伝導体前駆物質要素が、(引き延ばされた後であるがPIT要素のた
めに圧延される前に)スタック状に重ねられ、支持する微細グレイン金属を用い
て包囲される。それぞれの前駆物質要素において、HTS前駆物質フィラメント
は、微細なグレイン金属の上又は中にある。PITプロセスでは、要素は、頻繁
なアニーリングを含む手順において引き延ばされてサイズが小さくなり、微細な
グレイン・サイズや金属の変形特性を維持する。微細なグレインというのは、グ
レインのサイズが、典型的には約300マイクロメータ、好ましくは約200マ
イクロメータ未満、より好ましくは約100マイクロメータ未満、そして最も好
ましくは約50マイクロメータ未満である。スタック状の前駆物質要素とサポー
トとは、統合され熱機械的に処理される。前駆物質要素は、PITプロセスを用
いて作られる。このプロセスでは、それぞれの要素は前駆物質の粉末で低密度に
充填された金属チューブから作られ、次に、これが引き延ばされて直径約600
ミクロン未満の構造が得られる。ここで、超伝導体前駆物質モノフィラメントは
低密度であり厚さは300ミクロンを超えない。このような引き延ばされた要素
は、次に圧延が施され、アスペクト比が高い要素となるが、用いられる手順によ
って、結果的に高い密度のHTS前駆物質フィラメントが生じることもありうる
。前駆物質要素はまた、それぞれの要素が低密度の前駆物質超伝導体層を有する
微細グレインの金属基板で構成されている積層/コーティング・プロセスを用い
ても作ることができる。後の場合には、前駆物質超伝導体層は、好ましくは、基
板の両側に提供され、複合材前駆物質は、隣接する前駆物質要素の間に微細なグ
レインの金属を含む。
【0018】
【好適実施例の説明】 図1及び2には、例示的な超伝導体前駆物質複合材構造10及び20が図解さ
れており、それぞれに、複数のHTS前駆物質モノフィラメント要素11から1
5及び21から25が含まれている。それぞれの要素は、HTS前駆物質モノフ
ィラメント11aから15a及び21aから25aを有し、複合材のそれぞれに
おいて、すべてのモノフィラメントは、実質的に同じサイズと断面構造とを有し
ている。更に注意すべきは、それぞれの複合材構造10及び20において、HT
S前駆物質モノフィラメントの隣接するそれぞれの対の間に例えばAgなどの貴
金属である金属層が存在することである。以下において論じるように、Agの層
16、26は、PITプロセスによって形成された要素の場合には、プロセスに
おいて用いられたさや(sheath)によって与えられる。それ以外の場合には、H
TS前駆物質フィラメントが金属基板の上に形成されるときに、隣接するフィラ
メントの間のAgの一部が別個のスペーサによって提供されうる。
【0019】 ここで用いる「貴金属」という用語は、酸化物超伝導体及び前駆物質に対して
、また、酸素に対して、予測される条件(温度、圧力、気圧など)での製造及び
使用の際に実質的に反応性を有さない金属を意味する。銀とその合金とは、これ
らの材料の中で最も低価格であり、大規模な製造のために最も好適である。場合
によっては、銅などのように、所望の超伝導体セラミックの金属元素の1つの化
学量論的に過剰(stoichiometric excess)である場合があることには注意すべ きである。Agなどの貴金属が好ましくても、特に超伝導体の前駆物質をその上
に配置する基板としては、他の変形可能な金属を用いることができる。ニッケル
、ある種のニッケル合金又はステンレス・スチールなどの金属を、多くの場合酸
化物のバッファ層と共に用いることはこの技術分野において知られている。米国
特許第5,284,825号を参照のこと。
【0020】 HTSモノフィラメントが前駆物質であるような特定の超伝導体セラミックが
重要ではないことは明らかである。例えば、酸化物、硫化物、セレン化物、テル
ル化物、窒化物、炭化ホウ素又はオキシカーボネート型の超伝導体セラミックを
用いることができる。例えば、希土酸化物(RBCO)類の超伝導体、ビスマス
(BSCCO)類の酸化物超伝導体、タリウム(TBSCCO)類の酸化物超伝
導体、水銀(HBSCCO)類の超伝導体などの超伝導体酸化物が好適である。
ビスマス及び希土類が、最も好ましい。理想的な化学量論的な比率からのタリウ
ム化(thallinatioin)による変動すなわちドーピング物質の追加や所望の超伝 導体酸化物の形成におけるそれ以外の変動を、この技術分野の当業者に知られて
いる態様で用いることができる。現在では、HTS電気系での使用にはBSCC
O材料(2212又は2223のどちらか)とYBCO材料とが最も現実的な材
料であると思われる。現時点で最も好適な材料は、BSCCO2223とYBC
O123とである。BSCCO、YBCO及びそれ以外の材料の組成はこの分野
で広く知られており、また、これらの材料を用いて超伝導体前駆物質を作る手順
や、この前駆物質を熱機械的に処理して前駆物質から所望の超伝導体を作る手順
も広く知られている。例えば、上で引用した089及び814出願やそこで参照
されている様々な特許及び公開公報を参照のこと。
【0021】 図1に示されているように、前駆物質複合材10の引き延ばされた(しかしま
だ圧延されていない)前駆物質要素11から15は、断面がほぼ正方形であり、
全体的な厚さ及び幅は約600ミクロンである。それぞれの要素における超伝導
体前駆物質フィラメント11aから15aの密度は低く(例えば、理論的密度の
約60%未満)であり全体的な厚さは約300ミクロンである(例えば、モノフ
ィラメントの厚さは、前駆物質要素全体の全体的な厚さの約半分である。)5つ
の要素11から15は、側面同士が重ねられ、すべての要素のトップ及びボトム
は、実質的に同じ平行な平面に存在し、HTS前駆物質フィラメントが同様に整
列されている。フィラメントの主軸は複合材の主軸と平行であり、また、以後の
変形の基本的な変位や負荷にも平行である。図1の複合材には5つの側面同士が
接したほぼ正方形の前駆物質要素が含まれているが、別の複合材では同様に側面
同士が接する(side-by-side)ように同様に構成された異なる数の前駆物質要素
が含まれ、密度の高低にかかわらずそのような前駆物質を考えることができる。
典型的には、この側面を接する前駆物質要素の幾何学的形状を有する複合材は、
その幅にわたって、約5から約20の前駆物質要素を含む。後に図9を参照して
論じるように、本発明に従って構成された複合材は、多数の垂直方向にスタック
状の層を含み、それぞれの層には、図1に示されるように多数の側面同士を接す
る要素が含まれることは明らかである。
【0022】 別の例では、図2の前駆物質複合材20の前駆物質要素21から25は、高い
アスペクト比を有するようになるように圧延(roll)される(すなわち、これら
は、厚さの少なくとも約2倍、好ましくは数倍の幅を有する)。圧延の前には、
要素21から25のフィラメントの寸法及び密度は、要素11から15と同じで
ある。圧延の後では、要素21から25のそれぞれは、厚さが約100以下であ
り、それぞれの要素内のモノフィラメント21aから25aは、厚さが約50ミ
クロン未満であり、モノフィラメントは比較的高い密度を有している。図2に示
されているように、要素21から25は垂直方向にスタック状になっており、す
べての要素の対向する測方エッジは相互にほぼ整列され、要素のトップ及びボト
ムと、要素の前駆物質フィラメント21aから25aとはほぼ並行である。図2
の複合材には、5つの垂直方向にスタック状になっている要素が含まれているが
、他の複合材では異なる数を有しうることは明らかである。典型的には、この垂
直方向にスタック状のエッジが整列している前駆物質要素の幾何学的形状は、2
から10の垂直方向のスタック状の層を含んでいる。
【0023】 どのような特定のスタック構造が用いられている場合でも、前駆物質要素の寸
法とスタック内の要素の配列とは、スタックのアスペクト比(すなわち、高さ:
幅)は1以下になっている。スタック状の要素は統合され、その後で熱機械的な
処理がなされ(後で論じるが、典型的にはこの技術分野において既知である手順
を用いて)、それによって最終的な所望のマルチフィラメント型超伝導体が得ら
れる。これは、例えば、複合材10などの前駆物質複合材から作られる図1bに
示されているマルチフィラメント型超伝導体10’や、又は、複合材20などの
前駆物質複合材から作られる図2bに示されているマルチフィラメント型超伝導
体20’などである。アスペクト比が大きすぎる場合には、複合材における要素
の統合性と構成とを維持しながらそれ以後の処理を施すことは困難である。図1
及び図2に示されているように、そして、後で更に詳細に論じるように、複合材
の複数の要素は、典型的には、少なくともこれらの要素が統合される時点まで要
素を相互に支持して位置を決定する例えば貴金属であるAgなどの金属要素によ
って包囲されている。
【0024】 次に図3及び4を参照するが、これらの図には、図1及び2のものなどの超伝
導体前駆物質複合材をPITプロセスに従って作られたモノフィラメント前駆物
質要素から製造する際のいくつかの特徴が図解されている。
【0025】 広く知られているように、PITプロセスでは、(a)超伝導体前駆物質の粉
末を形成し、(b)チューブ、ビレット(billet)又は溝付きのシートなどの金
属製容器を前駆物質の粉末で充填し、(c)充填された容器に変形処理を行い周
囲の金属製マトリクスの中に超伝導体前駆物質のフィラメントを含む断面が縮小
された複合材を提供することによって、丸いワイヤが得られる。本発明では、マ
トリクスは微細なグレイン化された金属であり、変形処理は、典型的には、多数
の連続的な引っ張り(draws)を含みそれによってワイヤの直径は例えば0.3 から0.6mmに縮小され、フィル・ファクタは公称で47%である。次に、引
き延ばされたワイヤは、引き延ばしの間に1回又は複数回アニーリングがなされ
、Agのさやを再結晶化し、更に柔軟化される(例えば、半時間の間、450度
を超える温度で)。アニーリングの目的は、過剰なグレイン成長を生じさせずに
貴金属を柔軟化させ、それによって、モノフィラメント要素の引き延ばし(及び
それ以降の圧延)を通じて貴金属の微細グレインを維持するためである。典型的
には、要素は十分な頻度でアニーリングがなされるので、それによって、要素に
加えられる歪み(strain)は、次のアニーリングが実行される前には1を超える
ことがない。アニーリングは、典型的には、15から60分にわたって200か
ら400度の範囲で行われる。マトリクスに適した銀又は銀合金の品目とチュー
ブ・ストックとを作る方法は、特に、壁部の薄いチューブや断面積が小さなそれ
以外の品目のための方法は、現在同じものに属している"Silver and Silver All
oy Articles"と称されるJeffrey M. Seuntjenによる米国特許出願第08/83 1,504に記載されている。この米国特許出願は全体を本出願において援用さ
れるが、欠陥がなく微細なグレイン・サイズを有し、一様な変形を行うことがで
き、超伝導体モノフィラメント又はマルチフィラメント品目を作るのに用いるこ
とができる構造の作成方法が開示されている。
【0026】 本発明を実現する際には、超伝導体製品が微細なモノフィラメントを含むこと
を保証することが重要である。これは、部分的には、直前に述べたように微細な
グレインによる金属マトリクスを提供し、貴金属におけるグレイン成長を回避す
るのに十分な頻度でアニーリングを行うことによって、達成される。更には、前
駆物質の粉末は、低い密度で金属チューブの中に入れられ、それによって、引き
延ばし(前駆物質フィラメントの直径は著しく減少するが、超伝導体前駆物質の
密度を著しく上昇させることはない)の後で、モノフィラメント超伝導体前駆物
質は、理論的密度の約25%から70%の範囲にある密度を有するようになる。
また、圧延された後に(圧延は、フィラメントの密度及び組織化を増加させるけ
れども、要素がスタックされてマルチフィラメント型の超伝導体前駆物質複合材
を形成する前又は後になされる)フィラメントの厚さが約50ミクロンを超えな
いようにするためには、引き延ばされた前駆物質要素の厚さは、典型的には、6
00ミクロン以下であり、要素における前駆物質モノフィラメントの厚さは、約
300ミクロン以下である。
【0027】 既に述べたように、PITによって作られた要素の複合前駆物質スタックは、
図1との関係で論じたように、密度の低いHTS前駆物質フィラメントを有する
要素から作られる。その理由は、このような要素は、引き延ばされている(draw
n)が圧延されていない(not rolled)からである。複合材は、図2の複合材2 0の場合のように、例えば直径が2から5センチメートルの間のロールを用いて
引き延ばした(従って、典型的には、80%以上の理論的密度を備えたフィラメ
ントを有するようになる)後に、図3に示されるように圧延されて薄い要素30
となっている要素から作られる。密度の低いフィラメント・コアを有するワイヤ
を圧延すると、そのワイヤの厚さは、70%から85%減少する。例えば、直径
が約0.3から0.6mmの引き延ばされた丸いワイヤ(round wire)は、公称
の厚さが0.07から0.10mmであり幅が約1.5mmというアスペクト比
の高い要素になる。図3に明らかなように、要素30のAgさやの中の超伝導体
前駆物質フィラメント32(大部分が前駆物質の粉末の形態で残っている)は、
その幅のほとんどに沿ってほぼ平坦であるが、タブに近づくと厚さが減少してい
る。要素の幅のほとんどにわたって、フィラメント32は、全体の要素の3分の
2未満であり好ましくは半分を超えない厚さを有している(例えば、約50ミク
ロン未満)。
【0028】 次に、前駆物質要素(圧延されていてもされていなくても)は、図1及び2に
示されているスタックなどの複合材スタックに形成される。先に論じたように、
図2は、5つの前駆物質要素21aから21e(それぞれは、直前に論じた要素
30と同じ方法によって作られている)の複合材スタック40を図解している。
スタックの全体は、薄い(例えば、0.04mmx1.5mm)Ag要素26を
用いて覆われて(ラップされて)いる。スタックが形成される(図1に示されて
いるものと類似の構成で)態様は、図4に概略が示されている。そこに示されて
いるように、モノフィラメント要素21aから21gの長さがスプール上に配置
され、複合材スタック20におけるそれぞれの要素に1つという関係である。ス
プールは、典型的には、磁気ブレークスタンドの上に設置され、同一平面上の一
連のアイドラに向かう(pay off)。やはりスタンドの上に設置されている矩形 のガイド44は、要素をコレート(collate)スタック40にする。ガイド44 の下流側に形成されているスタックは、トルコ帽子(Turk's Head)状の水平方 向のケーブル・ライン46の中心に向けられる。このケーブル・ラインでは、A
g要素のスプールは、ケーブル・ラインの回転部材上の磁気ブレーキ・減衰シャ
フト上に配置されている。アイドラ・プーリ47とガイド・ダイ48とが、Ag
要素26をスタックにおいて並ぶ(side-by-side)位置に導き、キャプスタン4
9が、スタックを、ラップ要素26を搬送して所望のラップ・レイ・ピッチ(wr
ap lay pitch)を定義する回転部材の回転に対して一定の速度で軸方向に引く。
好ましくは、このピッチは、覆われた要素42が重なり合わず、また、隣接する
回転の間のギャップが要素の幅よりも小さくなるように、選択される。トルコ帽
子状のラップ・ラインが、前駆物質要素の成形的な変形が最小となるように、ス
タックを統合する。覆われたスタックは、次に、熱的に結合され(例えば、50
0℃を超えても、前駆物質の粉末に悪影響を与えない温度で)、要素30のAg
要素42とAgさや34とを相互にシンタリングし、結果的に、例えば、図2に
示されている複合材20や図1に示されている複合材10などのマルチフィラメ
ント型の前駆物質複合材が得られるが、この複合材は、最終的な熱処理及び変形
処理の用意ができているものである。既に論じたように、さや34と要素26と
は、銀以外の金属であることも可能である。注意すべきは、図4に示されている
Agラップ要素26は典型的な場合よりもわずかに厚く、また、図4に示されて
いるスタック40内の特定の要素30におけるフィラメントもまた構成のための
好ましい場合よりも幾分厚いということである。
【0029】 更に注意すべきことは、複合材スタック10及び20のフィル・ファクタは典
型的には40%よりも大きく、50%を超える場合もあるということである。こ
れは、従来のHTSマルチフィラメント型導体について達成される典型的な25
から35%のフィル・ファクタの範囲よりもかなり高い。また、オーバーラップ
要素26は熱処理の間にその場で(インシトゥで、in situ)結合されるまで、 スタックを相互に保持するのに十分なほどに非常に薄いことがある。標準的なマ
ルチフィラメント型のさやとは異なり、ラップは、ブレーキダウン及び非対称圧
延の間にフィラメントと共に変形することは必要ない。フィル・ファクタが低下
したことが導体の性能に否定的な影響を与えることはなく、Jcを増加させコス
トを低下させるという利点を有する。
【0030】 以上で述べた技術によると、コストの低減と同時に、必要となる資本設備、労
働力、処理時間及び原材料の歩留まりに関する大幅な節約を提供するという優れ
たパフォーマンスを演じる。次に掲げる表Iには、モノフィラメント・ワイヤに
始まり最終的な熱機械的処理の用意ができているマルチフィラメント前駆物質複
合材スタックに至る上述の手順(表の右側)を、標準的なマルチフィラメント処
理手順(表の左側)と比較している。それぞれのコラムに記載されているプロセ
スは、コイル形式であり1又は数mmの直径の断面を有するモノフィラメントか
ら開始して、熱処理の用意ができているマルチフィラメント導体で終わっている
。明らかなように、本発明のプロセスの方が、はるかに少数のステップしか要求
していない。
【0031】
【表I】 次に、図5ないし8を参照するが、これらの図には、以上のものとは異なる好
適な前駆物質成分とそれらを形成する手順とが図解されている。
【0032】 図5ないし8の手順によると、図5の前駆物質要素50は、典型的にはL. D.
Woolf et al.,Appl. Phys. Let 58 (1991) 534に記載されているような電気泳動
法、S.E. Dorris, N. Ashcom and N. Vasanthamohan, Argonne National Labora
tory December 1996 Superconductor Development Quarterly Progress Report 、又は、スパッタリング若しくはイオン・ビーム支援積層(IBAD、例えば、
米国特許第5,079,224号を参照)などの物理的な膜(フィルム)形成方
法と化学蒸着法(CVD、例えば、米国特許第5,231,074号を参照)な
どの化学的膜形成方法とを含む厚膜積層のための多くの既知の手順の中の任意の
ものを用いて、前駆物質の粉末を微細グレインのAg又はそれ以外の貴金属基板
54上に配置することによって作られる。
【0033】 基板64の上に前駆物質粉末層62を形成するのに用いられる特定の技術は重
要ではない。更に、既に論じたように、BSCCO2223及びYBCO123
が好適であるのだが、非常に多くのそれ以外の超伝導体前駆物質、特に、RBC
O、BSCCO、TBSCCO及びHBSCCOのファミリに属する酸化物超伝
導体前駆物質の特定のメンバーを用いることもできる。
【0034】 図5に示されているように、Ag基板54は、所望の前駆物質要素50とほぼ
等しい幅(例えば、典型的には約1500ミクロン)を有しているが、極めて薄
い。典型的には、基板54のアスペクト比(横断方向の断面の)は、10:1(
例えば、約150ミクロンの厚さ)から20:1(例えば、約75ミクロンの厚
さ)の間である。前駆物質層52は、基板54の両側に側面エッジに沿って積層
されている。前駆物質が積層された後で、コーティングされた要素のエッジ部分
はスリットが作られ(例えば、図6に示された点線56に沿って)、コーティン
グされたエッジ58が除去された。
【0035】 用いられる特定の積層手順に依存して、前駆物質層52は、要素のエッジに近
い部分では幾分厚くなっているが、層は、全体として、Ag基板54の長さを横
切る方向と長さに沿った方向との両方においてほぼ一様である。選択される特定
の厚さは、用いられる特定の前駆物質、前駆物質層が形成される態様と層の結果
的な密度、前駆物質が熱機械的に処理される態様、及び最終製品であるマルチフ
ィラメント型超伝導体の意図された使用法を含む様々なファクタに依存する。例
えば、前駆物質層52の厚さは典型的には約10から約100ミクロンの範囲に
あるが、5ミクロン程度まで薄く、また、1000ミクロン程度まで厚くなりう
る。前駆物質層が理論的密度の約40%の密度で積層されたBSCCO−222
3前駆物質から構成されている好適な実現例では、典型的な厚さは約15から2
0ミクロンである。
【0036】 図6には、例えばAgである微細グレインの金属内に配置された4つの要素5
0aから50dの複合材スタックが図解されており、その上にある溝62は、例
えば、やはり典型的にはAgの箔64である微細グレインの金属によって被覆さ
れている。注意すべきは、4つの要素が全体で8つのフィラメント前駆物質を提
供しているということである。溝の内部では、隣接する要素50は、全体で3つ
の例えばAgである微細グレイン金属のスペーサ・ストリップ66によって分離
されている。スタック構造の全体が加熱されて(先に述べた複合材20の場合の
ように、前駆物質に悪影響を与えない温度まで)、要素と、中間的なストリップ
と、溝と、被覆箔とが相互に結合される。わずかに修正された手順において、コ
ーティングされた前駆物質であるAgストリップ対の集合が、適切な寸法のAg
チューブの中に挿入され、次に、熱処理がなされてこれらの成分は相互に結合さ
れる。ただし、熱結合の質はそれほど重要ではない。いずれの手順においても、
結合された8つのフィラメント複合材前駆物質構造670は、最終的な熱処理と
変形処理との用意ができている。注意すべきは、図6は分解図であるので、複合
材60の幅の全体を示してはいないということである。既に述べたように、複合
材の完全な幅は、少なくとも、その完全な幅と同じくらいであり、典型的には、
それよりもかなり大きい。
【0037】 図7には、15個の要素50aから50e、50a’から50e’、50a’
’から50e’’の複合材70が図解されており、これらは、3つの層56、5
6’、56’’として構成されている。それぞれの層には、並んだ構成に配置さ
れている5つの要素が含まれる。複合材の全体は、金属箔の層72によって覆わ
れている。注意すべきは、それぞれの要素は2つの前駆物質フィラメントを提供
し、従って15個の要素は全部で30個の前駆物質フィラメントを有する複合材
を提供していることである。比較すると、PIT手順によって形成された要素の
同様の構成では、これまで議論から明らかなように、多くても半分の前駆物質フ
ィラメントを提供するだけである。複合材70のそれぞれの層においては、例え
ばAgである金属のスペーサ74が、要素50のそれぞれの対の隣接する側面の
間に配置されている。
【0038】 次に図8を参照する。この図は、やや概略的に、本発明のこの特徴によるマル
チフィラメント型超伝導体複合材を製造するプロセスの全体を図解している。一
般に、前駆物質製造ステーション80が提供され、所望の数のここの前駆物質要
素50のそれぞれを作る。ただ1つのステーション80だけしか示されていない
が、ステーションの総数は、もちろん、完全な複合材を形成するのに用いられる
要素の数に依存する。それぞれのステーションにおいて、微細グレインAgの基
板ストリップ54がスラリ・バス(slurry bath)82を通過して、前駆物質の 層52を基板上に積層して基板50を形成する。次に、要素はヒータ83によっ
てシンタリングされ、そのエッジ部分が除去された後で、微細グレインAgのス
ペーサ・ストリップが、垂直方向のスタックにおける要素50のトップ及びボト
ム表面の一方又は両方の上の、又は、並んだスタックにおける隣接する要素50
の間に、しかるべき位置に配置される。次に、要素及びスペーサによって形成さ
れているサンドイッチ84aが、複合材製造ステーション86に送られる。
【0039】 複合材製造ステーション86への入口においては、要素サンドイッチ84aは
、ほぼ同一な要素サンドイッチ84b、84c、84d及び84fと並置され(
要素が垂直方向にスタックされるときには、それぞれの要素サンドイッチは要素
の下側においてただ1つのスペーサ・ストリップを必要とし、水平方向に並んで
スタックされるときには、隣接する要素の間だけにスペーサが必要とされる)、
要素サンドイッチをスタックし整列する溝付きの入口ロール86を通過して送ら
れる。結果的なマルチ要素構造が、微細グレイン・コンジット溝72の中に配置
され、要素50とスペーサ76とを有する溝72は、微細グレイン箔74によっ
て被覆され、次に、構造の全体はロールによって統合され、ヒータ89によって
熱結合され、従って、図7に示されているような結合されたマルチフィラメント
複合材前駆物質構造70が得られる。これは、最終的な熱処理及び変形処理の用
意ができているものである。
【0040】 図8に概要が示されているように、前駆物質構造60、70は熱機械的に処理
される、すなわち、所望の数の変形(例えば、圧延されて、変形によって生じる
組織化が得られる)及びシンタリング(例えば、加熱により、反応によって生じ
る組織化が得られる)ステップを行い、最終的なマルチフィラメント超伝導体に
おける所望の密度及び組織化の程度とが達成され、巻き取りロールによって巻か
れる。後でいくらか詳しく論じるのであるが、ここで論じられている残りの前駆
物質複合材は、同様に熱機械的に処理がなされて、図1及び2に示されているよ
うな超伝導体複合材が得られる。
【0041】 次の表IIは、PIT手順を用いて複合材前駆物質を作る手順との関係で既に
論じた表Iの場合よりも一般的に、マルチフィラメント型超伝導体複合材を形成
する上述した被覆導体手順をマルチフィラメント型PIT構造を形成する従来の
手順と比較している。明らかなように、被覆導体複合材前駆物質手順は、PIT
ベースのモノフィラメント要素を用いる本発明による手順よりも大きな程度で、
著しい節約を可能にする。
【0042】
【表II】 注意すべきは、図8に示された積層/被覆導体手順によると、個々の要素64
に対して用いられる微細なグレインAg又はそれ以外の金属基板の圧延から始ま
り、反応の済んだ複合マルチフィラメント型超伝導体複合材で終了するほぼ連続
的な製造手順を可能にする。更に、これらの積層又は被覆導体技術を用いて形成
された複合材構造70は引き延ばされたのではなく単に圧延されただけであるか
ら、PIT手順において用いられる引っ張り負荷及び力を支持するのに必要であ
る高い銀(又は他の金属)の度合いは、必要ではない。結果的に、基板64とコ
ンジットの溝72とは極めて薄くでき、製品に用いられる銀又はそれ以外の金属
の全体量を著しく減少させることができる。これによって、フィル・ファクタの
更なる上昇が可能となる。典型的には約30%であるが、40%以上にまで上昇
させることができる。
【0043】 どのようなタイプの前駆物質要素が用いられるとしても、本発明のプロセスに
よると、製造業者は、複合材において組み立てられているストランドの数を変動
させることによって、複合材のIcを選択することが可能になる。これによって
、製造業者は大きな融通性を得ることができる。というのは、広い範囲の商業的
な導体の必要に応じて、ただ1つのタイプのストランド(モノフィラメント)を
在庫とすればよいからである。これによって、また、共通のストランドと類似の
ストランド変形経路とから異なるIcを有する複合材を作ることが可能になるか
らである。比較をすると、標準的なマルチフィラメント複合材プロセスでは、製
造業者は、異なる応用例に対して開発された複数の異なるマルチフィラメント・
ビレット構造を有していなければならず、また、中間又は最終の処理段階におい
て様々なマルチフィラメント複合材の在庫を維持しなければならない。従来のプ
ロセスにおいてJcを変化させるには、ビレットのサイズ、モノフィラメントの
リスタック(restack)サイズ、フィラメントの個数、マルチフィラメントの設 計又はマルチフィラメントの歪みなどの中の1つ又は複数を変動させなければな
らない。本発明によると、単に、共通のストランドを複合材においてスタックし
その後に変形させ熱処理する態様を変動させることによって、このほとんどすべ
てが達成されうる。
【0044】 例えば、導体のJc要件は、複合材ケーブルに対して最小で140Aである。
応用例における巻数の要求により、積層材料を全く含まないで、最大の複合材の
厚さは0.2mmである。最適なモノフィラメント・ストランドの寸法は、厚さ
が0.1mmで幅が1.5mmであり、再生可能な長軸のJeレベルは1200
0A/cm2である。これらの寸法に対しては、このJeのレベルは、複合材に おける18A/ストランドのIcと等しい。従って、幅が4つのストランドであ
り厚さが2つのストランドという構成では、強化部材を含まずに、公称0.2x
6mmの断面において144AのIcを生じる。
【0045】 そのような導体では、この複合材導体から作られる前駆物質要素は水平方向及
び垂直方向の両方の構成で配置され、要素は、典型的には、図1及び2に関して
言及した態様でスタックされる、すなわち、要素の水平方向のロー及び層は、異
なるローにおける要素のフィラメントが垂直方向に整列されるように配置される
。煉瓦塀における煉瓦の配置と同様に、異なるローにおける要素のフィラメント
は、すべてが垂直方向に整列しているとは限らない。このような煉瓦塀構成に配
列された要素伸すタックは、より大きな安定性を提供し、それによって、スタッ
クがそれ以外の場合に望まれるのが通常であるより高いアスペクト比を有するこ
とが可能となる。
【0046】 図9は、そのような代替的な配列を図解している。図9の複合材90は、全部
で15個の前駆物質要素92を含んでおり、それぞれは、図3の要素30と実質
的に同一である。ただし、図1、6及び7に示されているような要素を用いるこ
ともできる。要素92は、3つの垂直方向にスタック状となった層として配列さ
れている。すなわち、層aからcである。ただし、4以上の層を含むスタックを
用いることもできる。図解されているように、それぞれの層は、図1の複合材1
0における要素と同様の並んだ構成として配列されている5つの前駆物質要素9
2を含む。層aにおける要素92aと層cにおける要素92cとは、相互に垂直
方向に整列されている。層bにおける要素92bは、要素92a及び92cとは
ずれている。すなわち、前駆物質複合材の様々な層における要素は、垂直方向に
離間している異なる層における前駆物質HTSフィラメントは相互に実質的に整
列している(層a及びcにおけるフィラメントのように)か、隣接する層は、1
つの層(すなわち、薄い金属製のさや又はモノフィラメントの間のスペーサ)に
おける隣接するフィラメントの間の相対的な狭い空間の中心が隣接する層におけ
るフィラメントの中心に対して垂直方向に整列(場合によって上又は下)されて
いる。隣接する層のフィラメントの中心は、例えば、層bにおける隣接したフィ
ラメントの間のAgは、層a及びcにおけるフィラメントの中心と、またその逆
と整列されている。
【0047】 上述した米国特許出願第08/468,089号において論じられているよう
に、超伝導体前駆物質の熱機械的な処理のためには多数の既知の手順が存在する
。これらには、典型的には、用いられる特定事項に依存して変動する圧力及び温
度において変形及びシンタリングを行うステップを反復することが含まれる。こ
れらのプロセスは、多くの場合に、nDSと称される。ここで、Dは変形ステッ
プを意味し、Sはシンタリング又は加熱ステップを意味し、nは変形及びシンタ
リングの反復的なプロセスが反復される回数を意味する。典型的な従来技術によ
るプロセスは、2DS及び3DSプロセスである。
【0048】 特定の熱機械的な処理手順は本発明の実現に重要ではないが、好適な実現例で
は、’089出願に記載されているように1DSやそれが不可能な場合には2D
Sプロセスなどのように、可能な限り少ない反復回数を用いる変形/シンタリン
グ反復プロセスを用いることである。好適な1DSの実現例では、結合されたマ
ルチフィラメント複合材前駆物質構造、例えば、PIT手順を用いて作られた低
密度のモノフィラメントの複合材や被覆導体手順を用いて作られた低密度のモノ
フィラメントの複合材などは、約40%から95%の厚さの範囲の大きな減少ド
ラフトにおいて圧延処理される。大きな減少ドラフト・ステップの後からシンタ
リング・ステップの前に置いては、約5%&を超える厚さの減少はなく、このよ
うに圧延された複合材構造は、最終的な酸化物超伝導体複合材マルチフィラメン
ト型製品となる。同様の厚さの減少は、2DSの方法を用いて達成される。この
複合材は圧延されたモノフィラメント要素から作られており、従って、複合材に
形成される前に低密度ではなく高密度を有するので、複合材のそれ以降の熱機械
的処理の結果として、厚さの減少ははるかに小さくなる。しかし、どのようなタ
イプの前駆物質要素が用いられるとしても、本発明によれば、個々の前駆物質要
素の処理を、統合されたマルチ要素の前駆物質複合材の以後の処理から切り離し
、従って、それとはかなり独立的な態様で達成することが可能となる。
【0049】 モノフィラメント型超伝導体前駆物質が低密度を有する超伝導体前駆物質複合
材と共に用いられると、このような単一の大きなドラフト変形は、複合材40、
70における超伝導体前駆物質の厚さを、例えば1から3ミクロン程度大きく減
少させ、同時にシンタリング・ステップによると、密度を理論的密度の95%程
度にまで減少させる。後でより詳細に論じるJcとフィラメントの厚さとの間の
関係を示している図10及び11のグラフに示されているように、超伝導体フィ
ラメントのJcはフィラメントの厚さに大きく依存している。他がすべて同じで
ある場合には、より薄いフィラメントのようなより厚いフィラメントよりもはる
かに大きなJcを有する。本発明によると非常に薄い(例えば、厚さが3ミクロ
ン未満)モノフィラメントを用いた複合材構造を作ることが可能であるから、本
発明によって作られたBSCCO−2223の複合材構造は、100,000A
/cm2(77K,0T)を超えるレベルのJcレベルを達成することが予測さ れる。
【0050】 本発明の好適な実現例によると、超伝導体前駆物質複合材は、それを、超伝導
体前駆物質複合材の対向する側に接触する2つの伸長した制約部材の間に配置す
ることによって、圧延の間拘束される。複合材は、接触している2つの拘束部材
と共にローラの間を通過し、組織化された超伝導体複合材を形成する。前駆物質
超伝導体複合材テープの単一通貨用の圧延アセンブリは、第1及び第2のロール
と2つの拘束部材とを含む。第1のロールは、第1の軸の周囲を回転するように
整列され、第2の溝付きロールは第1の軸に平行な第2の軸の周囲を回転する用
に整列されている。これらのロールは、選択された距離だけ離間しており、その
間に通路が形成されている。2つの拘束部材は、前駆物質超伝導体複合材と類似
する機械的な特性を有しており、前駆物質超伝導体複合材がローラの間を通過し
て組織化された超伝導体複合材が形成されるときに前駆物質超伝導体の対向する
側面上で前駆物質超伝導体ワイヤと接触するように配置される。第1及び第2の
ロールの間に前駆物質超伝導体複合材と拘束部材とを前進させる固定具には、こ
の前駆物質超伝導体複合材と拘束部材とを受け取る大きさを有するスロットを含
む。この固定具は、前駆物質超伝導体複合材と拘束部材とを第1及び第2のロー
ルの間に導くテーパ状の表面を含む。
【0051】 拘束付きの圧延によって、他の変形技術と比較してフィラメントの品質を向上
させながら大きな面積の削減を伴う変形が可能となる。拘束付きの圧延によると
、特に、変形の間にクラッキング/剪断に敏感な超伝導体複合材の組織化が容易
になり、他の技術と比較して寸法の制御が向上する。この手順は、共にDeMoranv
ille et alによってこの出願と同日に出願され同一人に所属する同時出願中の"C
onstrained Rolling and Superconductor Wire Formed Thereby"及び"Constrain
ed Rolling and Textured Superconductor Wire Formed Thereby"と題する米国 特許出願第08/902,587号及び第08/902,588号により詳細に
記載されている。これらの出願は全体をこの出願において援用する。
【0052】 例I PIT手順を用いて作られたモノフィラメントに対して厚さとJcとの間の関
係を調べるために、上述した"Silver and Silver Alloy Articles"の特許出願に
従って製造された微細グレイン銀チューブを用いて作られたモノフィラメントB
SCCO−2223は、直径が公称で0.6、0.45及び0.3cmに引き延
ばされ、300℃で30分間張力の増加が1.0でアニーリングがなされAgさ
やの再結晶がなされた。1及び10cmの直径のロールを用いた圧延の検査が行
われ、約70%から約90%マスタ・デバイスの様々な厚さの縮小が得られた。
図10には、シンボルによってインチを単位としてロールの直径/モノフィラメ
ント・ワイヤの直径が定義されており、この検査の結果を示されている。異なる
ロールの直径によって異なる幅が生じているにもかかわらず、2及び10cm上
のJeの結果はフィラメントの厚さに相関している。14,500A/cm2程 度の高いJeが得られた。
【0053】 例II ケーブル開発に向けられた計画の一部として、ケーブル内の超伝導体フィラメ
ントの最終的な厚さとフィラメントのJcとの間の関係が検査された。図11は
、Je(77K、自己電磁界、1マイクロボルト/cm)を縦軸にフィラメント
(モノフィラメント・ストランドとマルチフィラメントとの両方)の厚さを横軸
に撮ったグラフである。例Iの場合と同様に、Jeはフィラメントの厚さに大き
く依存し、フィラメントの厚さが減少すると大きく増加している。
【0054】 例III 最適化されていないBi−2223の粉末を用いて、電気泳動積層によって被
覆要素前駆物質が作られた。Bi−2223前駆物質の厚さは約20ミクロンで
あり、微細グレインAgストリップの幅にわたり及び長さに沿って寸法的な一様
性が維持されている。前駆物質の密度は理論的には40%以下と評価された。被
覆前駆物質の20個の12’’の長さが組み立てられ、互いの上にスタックされ
、それぞれを微細グレインAgストリップによって分離している。このマルチフ
ィラメント型スタックは、矩形の微細グレインAg溝の中に配置され、微細グレ
インAgストリップを用いて被覆され、複合材の要素を相互に拡散結合させる。
複合材は、次に、圧延され、セラミック・フィラメント内で高レベルの密度及び
組織化を達成する。フィラメントは1から5ミクロンの範囲の厚さを有する。第
1の組の熱処理において、20,000A/cm2(77K、0T)というJc
の値が達成された。
【0055】 例IV 約75ミクロンの厚さの銀合金基板の対向する側の上の約15ミクロンの厚さ
のHTS層(密度は30%の理論値に等しい)を含む複合材上での高密度化(de
nsification)が計算された。それ以後の熱機械的処理の間のそのような複合材 のすべての変形が高密度化である場合には、HTS層の厚さは約5ミクロンまで
減少される。
【0056】 例V BSCCO−2223超伝導体フィラメントと微細グレインAg基板及びスペ
ーサとを有する18フィラメントの超微細HTSフィラメント複合材が、図6か
ら8を参照して一般的に論じた被覆導体プロセスを用いて作られた。複合材は、
20,000A/cm2のJcと20A(77K、0T)のIcとを有した。
【0057】 例VI 微細グレイン銀を含む正方形のモノフィラメント要素が、0.0239’’ま
での引き延ばしを用いて作られた。より微細なフィラメントの寸法を達成するに
は、後で、0.018’’までトルコ帽子型に構成された(Turk's Headed)。 11の要素が図1と一貫するように整列され、熱処理を用いて統合された。統合
された前駆物質は、0.021’’の測方拘束ワイヤを用いて1回の通過で圧延
だれ、結果的に、薄いHTSフィラメントが生じた(50ミクロン)。この材料
のJeは、6,700A/cm2(77、sf)であった。
【0058】 例VII 例VIと同じ手順が行われたが、引き延ばしが用いられ、0.018’’の正
方形の要素が作られた。Jeは、7,500A/cm2であった。
【0059】 例VIII 例VIIと同じ手順が行われたが、引き延ばしと熱処理とを含む統合が実行さ
れた。
【0060】 例IX 引き延ばしを用いて矩形のモノフィラメント要素が作られ、要素は、図2と一
貫するように整列され、引き延ばしと熱処理とを含む熱機械的なプロセスを用い
て統合が実行された。統合された前駆物質は1回の通過で圧延だれ、結果的に、
薄いHTSフィラメントが生じた(m10ミクロン)。この材料のJcは、42
,000A/cm2(77、SF)であった。
【0061】 例X 例IXと同じ手順が行われたが、引き延ばしを含む機械的プロセスを用いて統
合が実行された。アニーリング温度は、300℃未満に維持された。
【0062】 例XI 例Xと同じ手順が行われたが、785℃、0.075atm02、1時間とい
う条件で熱処理を用いて統合が実行された。
【0063】 例XII バッファされた(YSZ)微細グレイン化されたNi基板をYBCOを用いて
ディップ・コーティングすることによって、被覆前駆物質が作られた。被覆前駆
物質要素は、焼成して(calcined)70%未満の被覆密度が得られた。2つの前
駆物質要素が図2に従ってスタックされ、Ag合金を用いてラップされた。前駆
物質複合材は、熱プロセスを用いて統合された。
【0064】 例XIII 圧延されたモノフィラメント・テープの長さが、スタック内のそれぞれのスト
ランドに対して1つの割合でスプール上に配置された。これらのスプールは、磁
気ブレーキ・スタンド上に設置され、同一平面にある一連のアイドラに向けられ
た。矩形のガイドもまたスタンドの上に設置され、複数のテープをスタックの中
に送られた。テープ・ストランドのスタックは、ダイを通過して水平方向のケー
ブリング・ラインの中心まで送られ、ケーブリング・ラインは、スタックに重な
るように設定された。厚く(0.05mm)微細なAgテープのスプールが、回
転部材上の磁気ブレーキ減衰シャフト上に配置された。アイドラのプーリが、A
g箔のラップをスタック上に導いた。キャプスタンがスタック固定率をラップ回
転に引き上げ、固定されたラップ・レイ・ピッチを定義した。
【0065】 Agラップ材料が、アニーリングされたAgワイヤを大きな張力の下で圧延す
ることによって作られた。ラップ材料は、典型的には0.04mmx1.5mm
の断面を有する。水平方向のケーブリング・ラインからラッピング・ラインへの
再構成は、直接的であった。
【0066】 システムは、7つのモノフィラメント・テープに対して構成され、ラインは、
事故もなく動作した。モノフィラメント・テープの逆張力は、タイト(0.7N
以下)なラップを作るのに適するように調整された。最初の動作は、ラップが0
.05mmの厚さでありラップの回転の間に公称で50%のギャップが生じるよ
うに配置された。ラップの厚さが最適の場合よりも大きいことにより、ラップは
、製品において卵形(オーバル)の形状のまま維持された。ラップは、モノフィ
ラメント・テープ上での成形的な変形が最小となるようにトルコ帽子状にするこ
とにより統合することができる。長さの短いスタック・ケーブルが、固定された
採取的な熱処理に対する第1の熱処理(HT1)条件と中間的な歪みとを調査す
る小規模の検査において用いられた。図12は、3Dプロットであるが、最適な
変数を示している。すなわち、HT1時間(20及び40時間)、HT1温度(
820及び827℃)及び中間的な圧延歪み(10%及び20%)が3つの軸を
形成している。立方体のコーナーが、適切な条件に対する最終的なJeデータを
含む。
【0067】 自動化されたダンサー・カセット巻き取りシステムが、一様で低い張力によっ
て巻き取りを行うように構築されている。図13に概略が示されているように、
このシステムは、デッド・ウェイト132に接続された線形ベアリング上の移動
プーリ131と、モータ駆動のドライブとから構成されている。モータ駆動は、
リミット・スイッチ133、134によってプーリ移動のトップ及びボトムにお
いて制御されている。カセットの巻き取りによって、スプールの横断に起因する
テープにおけるハード・ウェイの曲げが除去されており、曲げ歪みを最小化する
大きなハブ直径を有している。このユニットは、任意の圧延ミルと共に潜在的に
用いるためにカート上に設置されている。
【0068】 再スプーリング・プロセスとスタッキング・ライン上でのペイオフ経路とを修
正することによって曲げ歪みが縮小された。Agラップの厚さは、0.03mm
に縮小され、タイトなラップを得るためのスタッキング・プロセスの間の逆張力
の必要性が低下された。
【0069】 マルチストランド超伝導体は、これらの改善点を備えているように作られた。
圧延ミル巻き取り(take-up)システムは、5m/分を超える速度でテープ上を 0.98Nの負荷でうまく動作した。このマシンは、高速の際に0.24Nの張
力の能力を有していると考えられる。巻き取りカセットから取られたモノフィラ
メント・サンプルは、横断方向のクラッキングを示さない。これらのサンプルの
Jeレベルは、自己電磁界において77Kで5000A/cm2を達成した。
【0070】 超伝導体前駆物質モノフィラメントと超伝導体前駆物質複合材との構造は本発
明の実現にとって重要であると考えられる。最終的な超伝導体製品が所望の高性
能を有するためには、その超伝導体フィラメントのそれぞれは、本質的に微細か
つ一様な寸法を有し、好ましくは、実質的に矩形でなければならない。また、マ
ルチフィラメント型の製品における異なるフィラメントの寸法及び特性はほぼ同
一であることが非常に好ましい。本発明によると、これは、ほぼ同一な微細寸法
及び特性を有する前駆物質要素を提供し、これらの要素を横断方向の断面が複合
材スタックとなるように矩形(正方形を含む)に組み立てることによって達成さ
れる。変形力に対するスタック構成によって、その後の熱機械的な処理の間に、
複合材スタックにほぼ垂直方向(すなわち、幅に垂直で高さに平行)に力を加え
る1対のロール等の間にスタックが押しつけられるときに、スタック内のそれぞ
れのフィラメントには、実質的に同じ変形処理がなされ、従って、その中のすべ
てのフィラメントが所望の実質的に同一の超伝導体特性を有するようなマルチフ
ィラメント超伝導体が得られる。更に、前駆物質フィラメントとスタックとの主
軸は、前駆物質と製品との主軸と平行でなければならない。既に述べたように、
超伝導体前駆物質モノフィラメントは、複合材スタックにおいて配列され、フィ
ラメントは整列され、フィラメントのトップ及びボトムはほぼ並行であり、金属
層が、典型的には複合材スタックの全体の外部を包囲しているフィラメントのそ
れぞれの対の間に提供される。金属層は、例えば、Agさや34、Ag基板64
、Agラップ42、溝70、箔74及び/又はスペーサ・ストリップなどによっ
て提供される。
【0071】 既に述べたように、前駆物質要素は単一の垂直方向の(図2及び6に図示され
ているように)又は単一の水平方向の(図1に図示されているように)ローとし
てスタックすることが可能である。多数の垂直方向のスタックは、並んで配置す
ることもでき、例えば、フィラメントの相互関係が図7に示されているような配
列にすることができるし、又は、多数の水平方向に相互に上下に配置して図7及
び9に図示されているような構造にすることもできる。それぞれの場合に注意す
べきであるが、複合材のフィラメントは、後の熱機械的な処理の間に圧力がほぼ
垂直方向に加えられるときに、それぞれのフィラメントに実質的に同じ力と変形
を受けるように配置されるべきである。更に注意すべきは、既に述べたように、
それぞれの複合材の幅が複合材の高さよりも小さく、それによって、以後の処理
の間の安定性が保証されるようにすべきであるということである。
【0072】 どのような特定の前駆物質が用いられたとしても、以下の規準が高いパフォー
マンスのためには重要である。
【0073】 1.適切な寸法:フィラメントの寸法は、複合材の全体を通じてほぼ一様であ
るべきである。このためには、超伝導体前駆物質要素内のフィラメントが同様に
ほぼ一様な寸法(任意の特定の要素の内部においてと、複数の要素にわたってと
の両方で)を有することと、更に、最終的な製品内のHTSフィラメントが高い
アスペクト比を有することとが要求される。特定の前駆物質の特定の寸法は、も
ちろん、前駆物質複合材の全体的な構造や、その前駆物質複合材を熱機械的に処
理するのに用いられる特定のnDS手順などに依存する。典型的には、圧延され
ていない前駆物質要素は、厚さが、25から1250ミクロンの間、好ましくは
30から600ミクロンの間、最も好適な実施例では30から250ミクロンの
間にある。前駆物質複合材の幅は、大きく変動する可能性がある。複合材の幅は
少なくとも高さと同じ程度の大きさを有することが常に望ましいが、例えば全体
的な幅が、25000ミクロン程度の大きさを有するなどのように、数倍も幅が
広くなることがあるが、多くの場合には、2500ミクロン以上である。既に述
べたように、前駆物質要素と前駆物質複合材における典型的にはAg等の金属層
の厚さは、それほどには重要でない。典型的には、PIT手順において用いられ
る要素においては、既に述べた理由によって、より厚い層が必要となる。
【0074】 2.密度:圧延の前に、前駆物質フィラメントの密度は約25%から70%程
度の範囲、好ましくは30%から65%の範囲程度に低くあるべきである。前駆
物質要素の前駆物質フィラメントが35%から60%の範囲での積層/コーティ
ング手順を用いて作られる場合には、特にそういえる。低い密度の前駆物質フィ
ラメントと低い程度の組織化とによって、後の熱機械的処理の間に生じる超伝導
体フィラメントの特性が最適化される。
【0075】 3.厚さ:前駆物質モノフィラメントは薄くあるべきである。PITプロセス
において圧延がなされた後で、前駆物質フィラメントは、50ミクロンの厚さを
超えるべきではない。積層された超伝導体前駆物質は、著しく薄い場合もある。
特に、高いパフォーマンスを得るためには、最終的な製品におけるそれぞれの超
伝導体フィラメントは、約10ミクロンの厚さを超えるべきではない(好ましく
は、2から7ミクロンの厚さ)。ただし、既に論じたように、より厚いフィラメ
ント(例えば、50以下、好ましくは、40ミクロンの厚さ以下)を適切な状況
で用いることもできる。最終的な超伝導体構造の幅は、典型的には、任意のHT
Sフィラメントの厚さよりも大きい。
【0076】 4.寸法上の一様性:前駆物質フィラメントと前駆物質要素とは両方共に、ほ
ぼ矩形であり、フィラメント及び要素の幅にわたってほぼ一様であるだけではな
く、前駆物質の長さに沿ってほぼ一様であるべきである。特に、フィラメント及
び前駆物質スタックの主軸は、前駆物質及び製品の主軸と平行であるべきである
【0077】 5.フィル・ファクタ:前駆物質要素、特に、PIT技術ではなく積層/コー
ティング・プロセスを用いて作られたものは、貴金属の量に対して高いパーセン
テージの超伝導体前駆物質フィラメントを含むのが典型的である。これによって
、複合材前駆物質と最終的な超伝導体複合材との両方においてフィル・ファクタ
が高くなる。達成可能なフィル・ファクタは更に減少するが、その理由は、複合
材前駆物質が、通常のマルチフィラメント型ケーブルの場合よりも少ない貴金属
(例えばAg)の充填しか必要としないからである。積層/コーティング前駆物
質要素の場合には、より大きな程度そういえる。理由は、引き延ばしの間に構造
的な支持に必要となる貴金属の量が、更に減少するからである。
【0078】 6.金属成分:さや、スペーサ及び/又は箔は、少なくともスタッキング・プ
ロセスを通して微細グレインによる変形可能な金属であるべきである。既に述べ
たように、金属は、微細なグレイン・サイズを維持するように選択された条件下
では、引き延ばしのあいだ頻繁にアニーリングされるべきである。微細グレイン
金属は、高パフォーマンスの超伝導体要素の製造には必要であるが、その理由は
、それらによって、高いJcに関連する微細フィラメント・サイズの形成が可能
になるからである。PITプロセスでは、そのような金属によって、前駆物質粉
末を包む微細で一様なチューブの製造が可能になる。被覆導体プロセスでは、微
細グレイン金属は、フィル・ファクタを改善するために一様で微細な寸法の基板
を作るのに必要である。
【0079】 前駆物質複合材をモノフィラメント前駆物質要素を用いて構築する態様もまた
重要である。重要な規準には以下のものが含まれる。
【0080】 1.マルチフィラメント複合材におけるすべてのモノフィラメントに以後の熱
機械的処理の間に実質的に同一の圧力/変形条件を与えることができるように、
要素を相互に形成し配列すること。
【0081】 2.銀などの貴金属である微細グレイン金属層が隣接するHTSフィラメント
の間に提供されることを保証すること。この層の厚さが、処理の間に十分な構造
上の一体性を適するのに必要となるよりも著しく大きくならないように制御する
こと。
【0082】 3.個々の要素と複合材の要素との両方が高いフィル・ファクタを適する構成
を保証すること。これは、個々の要素における相対的な金属/HTS材料の両方
の関数であり、任意の追加的な金属が複合材を形成する際に用いられる。本発明
の前駆物質要素は、特に、PIT技術ではなく積層/コーティング・プロセスを
用いて作られた場合には、金属の量に比較して高いパーセンテージの超伝導体前
駆物質フィラメントを含むのが典型的である。これによって、複合材前駆物質と
最終的な超伝導体複合材との両方におけるフィル・ファクタが高くなる。達成可
能なフィル・ファクタは更に上昇するが、その理由は、複合材前駆物質が、通常
ののマルチフィラメント型ケーブルの場合よりも少ない貴金属(例えばAg)の
充填しか必要としないからである。積層/コーティング前駆物質要素の場合には
、より大きな程度そういえる。理由は、引き延ばしの間に構造的な支持に必要と
なる貴金属の量が、更に減少するからである。
【0083】 前駆物質複合材は、複合材が形成されたが熱機械的な処理がなされる前の適切
な処理の後には、比較的低い揮発性の内容しか有していないので、熱処理の間に
ブリスタやそれ以外の欠陥が形成されることはない。
【0084】 この分野の当業者には明らかなことであるが、本発明の方法及び効果は、様々
な構成及び組成を有するマルチフィラメント型の超伝導体品目において用いるこ
とができるが、これには、超伝導体前駆物質と今日知られ好適である超伝導性の
セラミックやこれまでに発見され開発されてきたものも含む。本発明は、以上で
行った特定の説明や例示のいずれによっても限定されない。それらの説明や例示
は、説明のためだけにこの明細書において与えらのであって、それ以外の構造、
方法及び実施例も特許請求の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】 本発明の以上の及びそれ以外の目的、特徴及び効果は、好適実施例に関する以
上の説明を以下の図面を参照しながら読むことによって明らかになる。
【図1】 本発明による複合材超伝導体前駆物質構造の断面である。図1aは、図1の前
駆物質構造から作られたマルチフィラメント型超伝導体構造の断面である。
【図2】 本発明による複合材超伝導体前駆物質構造の断面である。図2aは、図2の前
駆物質構造から作られたマルチフィラメント型超伝導体構造の断面である。
【図3】 本発明の実現において用いられるPIT手順を用いて作られたモノフィラメン
ト前駆物質要素の断面である。
【図4】 図1及び図2の複合材を形成するための手順の概略的な図解である。
【図5】 本発明の実現において用いられる被覆導体技術(coated conductor technique
)を用いて作られたモノフィラメント前駆物質要素の断面である。
【図6】 図5のモノフィラメント前駆物質要素を複数含む複合材スタックの断面である
【図7】 図5のモノフィラメント前駆物質要素を複数含む第2の複合材スタックの断面
である。
【図8】 図6の前駆物質と図6及び図7の複合材構造とを形成する手順の概略的な図解
である。
【図9】 別の超伝導体前駆物質構造の断面である。
【図10】 フィラメントの厚さとJe(HTS及びそれ以外の構造の両方を含む超伝導体
全体の断面積上の技術(engineering)電流密度)との間の関係を図解するグラ フである。
【図11】 フィラメントの厚さとJe(HTS及びそれ以外の構造の両方を含む超伝導体
全体の断面積上の技術(engineering)電流密度)との間の関係を図解するグラ フである。
【図12】 Jeのデータの図解である。
【図13】 張力巻き取りシステムの図解である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】要約書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【要約】 高いフィル・ファクタを有するマルチフィラメント型超伝導体複合材
が、それぞれが低密度の超伝導体前駆物質モノフィラメントを含む複数のスタッ
ク状のモノフィラメント前駆物質要素から形成される。前駆物質要素は、すべて
、実質的に等しい寸法と特性とを有し、直線で囲まれた構成でスタックされ統合
されて、マルチフィラメント型の前駆物質複合材を提供する。複合材はその後で
熱機械的に処理されて、それぞれのモノフィラメントの厚さが約50ミクロン未
満である超伝導体複合材が得られる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正内容】
【図11】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】変更
【補正内容】
【図12】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】変更
【補正内容】
【図13】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ロバーツ,ピーター・アール アメリカ合衆国マサチューセッツ州01540 −3027,グロトン,ピー・オー・ボックス 1027 (72)発明者 アンタヤ,ピーター・ディー アメリカ合衆国マサチューセッツ州01590, サットン,ウーブリッジ・ロード 109 (72)発明者 セウントジェンズ,ジェフリー・エム シンガポール国809352,ジャラン・バンガ ウ (72)発明者 ハンコック,スティーブン アメリカ合衆国マサチューセッツ州01606 ウースター,サントロ・ロード 47 (72)発明者 デモランヴィル,ケネス・エル アメリカ合衆国マサチューセッツ州01522, ジェファーソン,ノース・ストリート 157 (72)発明者 クリストファーソン,クレイグ・ジェイ アメリカ合衆国マサチューセッツ州01604, ウースター,ウォール・ストリート 6, アパートメント ナンバー2 (72)発明者 ギャラント,ジェニフアー・エイチ アメリカ合衆国マサチューセッツ州01760, ナティック,ポンド・ストリート 35,ア パートメント ナンバー1 (72)発明者 クレーブン,クリストファー・エイ アメリカ合衆国マサチューセッツ州01730, ベッドフォード,ハートウェル・ロード 106 Fターム(参考) 5G321 AA01 CA05 CA24 CA27 DD02

Claims (45)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マルチフィラメント型高温超伝導体の前駆物質複合材であっ
    て、相互に水平又は垂直方向に整列して構成された複数の前駆物質要素を備えて
    おり、前記要素のそれぞれはHTS(高温超伝導体)前駆物質モノフィラメント
    を含み、前記モノフィラメントのそれぞれは約30%から約70%の理論的密度
    の範囲にある密度を有し、この超伝導体前駆物質複合材は、更に、前記モノフィ
    ラメント型HTS前駆物質を包囲する微細グレイン金属成分を含み、前記金属成
    分が統合されていることを特徴とする複合材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の複合材において、前記モノフィラメントは低
    レベルの組織化を有することを特徴とする複合材。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の複合材において、前記密度は約60%の理論
    的密度未満であることを特徴とする複合材。
  4. 【請求項4】 マルチフィラメント型高温超伝導体の前駆物質複合材であっ
    て、相互に水平又は垂直方向に整列して構成された複数の前駆物質要素を備えて
    おり、前記要素のそれぞれは金属成分によって包囲されたHTS前駆物質モノフ
    ィラメントを含み、前記モノフィラメントのそれぞれは横断面において厚さより
    も大きな幅を有し、前記厚さは約50ミクロン未満であり、前記金属成分は重ね
    られていることを特徴とする複合材。
  5. 【請求項5】 請求項1又は請求項4記載の複合材において、複数の前記前
    駆物質要素はこの前駆物質複合材の幅を横断する方向に延長する層内に構成され
    、前記層における前記要素はこの複合材の幅にわたって相互に実質的に整列され
    ており、この複合材は、前記層における隣接するHTS前駆物質モノフィラメン
    トのそれぞれの対の隣接する側方エッジの間に配置された金属を含むことを特徴
    とする複合材。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の複合材において、前記層は少なくとも5つの
    前記HTS前駆物質モノフィラメントを含むことを特徴とする複合材。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の複合材において、前記層は少なくとも5つの
    前記HTS前駆物質要素を含むことを特徴とする複合材。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の複合材において、前記要素のそれぞれはただ
    1つの前記モノフィラメントを含むことを特徴とする複合材。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の複合材において、前記要素のそれぞれは2つ
    の前記モノフィラメントを含むことを特徴とする複合材。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の複合材において、その幅は少なくともその
    高さと同じ程度の大きさを有することを特徴とする複合材。
  11. 【請求項11】 請求項5記載の複合材において、複数の前記層は相互に上
    下の関係に配置され、前記層のそれぞれにおける要素はすべての残りの要素のそ
    れぞれにおける要素の方向に向いており、この複合材におけるすべてのHTS前
    駆物質モノフィラメントは相互に対称的であることを特徴とする複合材。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の複合材において、前記層のそれぞれにお
    ける要素は、前記層のそれぞれにおけるHTS前駆物質モノフィラメントは、前
    記層のそれ以外の層それぞれにおけるHTS前駆物質モノフィラメントに対して
    、(i)垂直方向に整列している、(ii)その中心と垂直方向に整列している
    側方エッジと整列している、のいずれか一方であることを特徴とする複合材。
  13. 【請求項13】 請求項11記載の複合材において、前記モノフィラメント
    のそれぞれは幅が厚さよりも大きく、前記層のそれぞれにおける要素は、その幅
    の広い寸法が相互にかつこの複合材の横断方向の幅に平行である方向に向いてい
    ることを特徴とする複合材。
  14. 【請求項14】 請求項11記載の複合材において、前記モノフィラメント
    のそれぞれは幅が厚さよりも大きく、複数の前記前駆物質要素は相互に実質的に
    垂直方向に整合されたモノフィラメントと垂直に構成され、この複合材は、前記
    モノフィラメントの隣接するものの間に配置され、この複合材の全体的な幅はこ
    の複合材の全体的な高さよりも小さくないことを特徴とする複合材。
  15. 【請求項15】 請求項14記載の複合材において、少なくとも5つの前記
    垂直に構成された要素を含むことを特徴とする複合材。
  16. 【請求項16】 請求項14記載の複合材において、前記要素のそれぞれは
    2以下の前記前駆物質モノフィラメントを含むことを特徴とする複合材。
  17. 【請求項17】 請求項1又は請求項4記載の超伝導体前駆物質複合材を処
    理することによって形成されるマルチフィラメント型超伝導体であって、複数の
    超伝導体モノフィラメントのそれぞれは横断方向の断面において厚さの少なくと
    も5倍の幅を有し、前記超伝導体モノフィラメントのそれぞれの厚さは約50ミ
    クロン未満であることを特徴とするマルチフィラメント型超伝導体。
  18. 【請求項18】 請求項17記載の複合材において、前記モノフィラメント
    のそれぞれは横断方向の断面においてその厚さよりも大きな幅を有し、前記厚さ
    は約50ミクロン以下であることを特徴とする複合材。
  19. 【請求項19】 請求項18記載の複合材において、前記厚さは約40ミク
    ロン以下であることを特徴とする複合材。
  20. 【請求項20】 請求項18記載の複合材において、前記前駆物質複合材は
    約30%よりも大きなフィル・ファクタを有することを特徴とする複合材。
  21. 【請求項21】 請求項17記載の複合材において、前記フィル・ファクタ
    は約40%よりも大きいことを特徴とする複合材。
  22. 【請求項22】 請求項17記載の超伝導体において、前記超伝導体モノフ
    ィラメントのそれぞれの厚さは約10ミクロン未満であることを特徴とする超伝
    導体。
  23. 【請求項23】 請求項22記載の超伝導体において、前記超伝導体モノフ
    ィラメントのそれぞれの厚さは約2から7ミクロンの範囲にあることを特徴とす
    る超伝導体。
  24. 【請求項24】 請求項23記載の超伝導体において、前記超伝導体モノフ
    ィラメントのそれぞれの厚さは約5ミクロンであることを特徴とする超伝導体。
  25. 【請求項25】 請求項17記載の超伝導体において、前記超伝導体モノフ
    ィラメントの厚さと同じ方向において測定された前記超伝導体の高さは前記マル
    チフィラメント型超伝導体複合材の対応する高さの60%未満であることを特徴
    とする超伝導体。
  26. 【請求項26】 請求項24記載のマルチフィラメント型超伝導体において
    、その高さは前記対応する高さの5%から60%の範囲にあることを特徴とする
    マルチフィラメント型超伝導体。
  27. 【請求項27】 請求項1記載の複合材において、前記前駆物質要素のそれ
    ぞれは金属基板と前記基板の少なくとも一方の面の上に積層されたHTS前駆物
    質層とを含むことを特徴とする複合材。
  28. 【請求項28】 請求項1記載の複合材において、前記金属は貴金属である
    ことを特徴とする複合材。
  29. 【請求項29】 請求項28記載の複合材において、前記前駆物質要素のそ
    れぞれは金属基板と前記基板の2つの対向する面の上に積層されたHTS前駆物
    質層とを含むことを特徴とする複合材。
  30. 【請求項30】 請求項29記載の複合材において、前記金属基板は前記前
    駆物質要素のそれぞれの側面エッジにおいて露出されていることを特徴とする複
    合材。
  31. 【請求項31】 請求項27記載の超伝導体前駆物質において、前記金属基
    板はAg又はAg合金であることを特徴とする超伝導体前駆物質。
  32. 【請求項32】 相互に水平方向及び垂直方向に整列して配列された複数の
    前駆物質要素を備えているマルチフィラメント型高温超伝導体前駆物質複合材を
    製造する方法であって、 複数の前記前駆物質要素を提供するステップであって、前記要素のそれぞれは
    HTS前駆物質モノフィラメントを含む、ステップと、 前記複数の前駆物質要素を相互にスタックし、それによって、前記モノフィラ
    メントが相互に対称的になり微細グレイン成分によって包囲されるようにするス
    テップと、 前記スタックされた要素を、統合し熱機械的に処理して、それぞれが約50ミ
    クロン未満の厚さを有する複数のHTSモノフィラメントから構成されるマルチ
    フィラメント型超伝導体を提供するステップと、 を含むことを特徴とする方法。
  33. 【請求項33】 請求項32記載の方法において、前記モノフィラメントの
    それぞれは高さよりも大きな幅を有し、前記モノフィラメントは幅が前記複合材
    を横断する方向に延長しているように前記複合材において配列されていることを
    特徴とする方法。
  34. 【請求項34】 請求項33記載の方法において、前記前駆物質要素のそれ
    ぞれはそのモノフィラメントに隣接する金属成分を含んでおり、前記スタッキン
    グの前に前記前駆物質要素を引き延ばすステップと、前記引き延ばしの間に前記
    金属における微細グレインを維持する条件下で前記要素を複数回アニーリングす
    るステップと、を更に含むことを特徴とする方法。
  35. 【請求項35】 請求項33記載の方法において、前記スタッキングの前に
    前記前駆物質要素を圧延するステップを更に含むことを特徴とする方法。
  36. 【請求項36】 請求項32記載の方法において、前記モノフィラメントの
    それぞれは約10ミクロン以下の厚さを有することを特徴とする方法。
  37. 【請求項37】 請求項32記載の方法において、HTS超伝導体前駆物質
    の少なくとも1つの層を金属基板の上に積層して前記要素を提供するステップを
    更に含むことを特徴とする方法。
  38. 【請求項38】 請求項37記載の方法において、HTS超伝導体前駆物質
    の層を前記金属基板の対向する両側に積層して前記基板を提供するステップと、
    複数の前記そのようにして作られた基板を相互に隣接して配列し前記超伝導体前
    駆物質層のそれぞれの対の間には金属層が存在するようにするステップと、を更
    に含むことを特徴とする方法。
  39. 【請求項39】 請求項38記載の方法において、複数の前記そのようにし
    て作られた基板は相互に垂直方向に整列するように配列されていることを特徴と
    する方法。
  40. 【請求項40】 請求項32記載の方法において、前記要素は前記複合材の
    幅に対して横断する方向に延長する層において配列され、前記要素は前記複合材
    の幅にわたって相互に実質的に整列されており、金属成分が前記層における前記
    HTS前駆物質モノフィラメントの隣接するものの間に配置されていることを特
    徴とする方法。
  41. 【請求項41】 請求項32記載の方法において、前記要素のそれぞれはP
    IT手順を用いて作られ、金属製のさやの中に低密度のHTS前駆物質フィラメ
    ントを備えており、前記前駆物質要素を前記スタッキングの前に引き延ばすステ
    ップと、前記要素を前記引き延ばしの間に複数回アニーリングするステップと、
    を更に含むことを特徴とする方法。
  42. 【請求項42】 請求項32記載の方法において、前記モノフィラメントの
    それぞれは約30%から約70%の範囲の理論的密度を有していることを特徴と
    する方法。
  43. 【請求項43】 相互に水平方向又は垂直方向に整列して配列された複数の
    モノフィラメント型伝導体モノフィラメントから構成されるマルチフィラメント
    型高温超伝導体前駆物質を製造する方法であって、 複数の前駆物質要素を提供するステップであって、前記要素のそれぞれはHT
    S前駆物質モノフィラメントを含み、前記モノフィラメント前駆物質のそれぞれ
    は約30%から約70%の理論的密度の範囲の密度と、低い程度の組織化とを有
    する、ステップと、 前記複数のモノフィラメント前駆物質要素を相互にスタックし、それによって
    、前記モノフィラメントが相互に対称的になるようにするステップと、 前記複合材に変形処理を施し、て前記超伝導体フィラメントのそれぞれを約5
    0ミクロン以下の厚さまで縮小させ、前記前駆物質モノフィラメントを前記超伝
    導体フィラメントに変換する、ステップと、 を含むことを特徴とする方法。
  44. 【請求項44】 請求項43記載の方法において、前記要素を複合材に統合
    するステップを更に含み、前記前駆物質要素のそれぞれの前記HTS前駆物質モ
    ノフィラメントのそれぞれは、断面を横断する方向にその厚さの少なくとも2倍
    の幅を有し、前記複合材はその幅よりも大きくない高さを有することを特徴とす
    る方法。
  45. 【請求項45】 請求項34記載の方法において、前記アニーリングは前記
    要素における歪みが1未満であるときに実行されることを特徴とする方法。
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