JP2005320422A - 分子認識ポリマー及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 分子インプリンティング法を利用して、カテコールアミンに対して高い吸着能、選択性を示す分子認識ポリマーを実現する。
【解決手段】 アミノ基と特異的に結合するスルホン酸基を特異的認識部位として、導入したインプリントポリマーを合成する。ジスルフィド構造をもつカテコールアミン誘導体を鋳型分子に用いて、ポリマーを合成し、鋳型分子の遊離除去に還元反応を用い、結合部位内に生成するメルカプト基をさらに酸化してスルホン酸に変換する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、分子認識ポリマー及びその製造方法に関するものであり、特に、分子インプリンティング法により形成された、カテコールアミンを認識する分子認識ポリマー及びその製造方法に関するものである。
標的分子と特異的に結合する分子認識ポリマーの製造手法として、分子認識ポリマーの機能部位のデザインを分子自身に任せる分子インプリンティング法という手法が知られている。分子インプリンティング法とは、ポリマーに対して認識させたい分子(標的分子)の形をインプリントし、その結果生じた穴を用いて分子認識を行なう技術である。図2に示すように、まず標的分子101と、この分子と特異的に結合する部位及び重合可能な官能基を有する分子(機能性モノマー)102とを、架橋剤103と共に重合させ、その後、標的分子101をポリマー104内から遊離除去することによって、標的分子に対して相補的な結合部位106をインプリントポリマー105内に構築する。すなわち、架橋剤由来のポリマーのマトリックス中に機能性モノマー由来の官能基が、標的分子の形に従い標的分子の特徴的な官能基を認識するように配置される。この局在化した官能基周辺が、標的分子に対して特異的に結合する部位(特異的結合部位)となる。
本願発明者等は、分子インプリンティング法において、独自の機能性モノマーを設計して合成し、種々の標的分子を選択的に吸着する分子認識ポリマーをテーラーメイド的に合成できることを実証している(非特許文献1〜5参照)。
ところで、カテコールアミンのうち、生理活性のあるものとしてノルエピネフリン、エピネフリン、ドーパミンが知られている。これらは主に脳、副腎髄質、交感神経などに分布しており、種々の疾患の際、血中や尿中の質的、量的変動が起こることが知られている。このためカテコールアミンを測定することは、疾病の診断および治療にとって有用である。ここで、種々の物質の混合物である生体試料から微量成分であるカテコールアミンのみを分析するには、カテコールアミンに特異的な抽出・分離法が必要となり、さらに生体試料に含まれるカテコールアミンは微量であるために感度のよい測定法が必要となってくる。生体試料からカテコールアミンを抽出、分離する方法としては、溶媒抽出法、イオン交換クロマトグラフィー、アルミナ吸着法などがある。アルミナ吸着法は、アルミナがアルカリ性の領域(pH 8 以上)でカテコール骨格を持つ化合物を選択的に吸着し、酸性領域(pH 3 以下)で脱離するという性質を利用したもので、カテコールアミンの選択的抽出法としてよく用いられている。また、ホウ酸がジオール類と特異的に結合することから、ホウ酸ゲルもアルミナと同様、カテコールアミンの抽出に用いられている。さらにカテコールアミンの分析にはラジオアイソトープ法、蛍光法、クロマトグラフィー、電気化学検出法などが現在まで行われている。
カテコールアミンを抽出・分離する新しい方法として、分子インプリンティング法により形成された、カテコールアミンを認識する分子認識ポリマーを用いる方法は、生体試料等に含まれる微量のカテコールアミンを効率的に抽出・分離する方法としてその効果が期待される。このカテコールアミンを認識する分子認識ポリマーとしては、カテコールアミン誘導体を鋳型として分子インプリンティング法で形成された分子認識ポリマーが報告されている(例えば、非特許文献6参照)。上記非特許文献6では、カテコールアミンのcis−ジオールと特異的に結合するボロン酸基を特異的結合部位として有するように設計された分子認識ポリマーは、カテコールアミンを選択的に吸着することが報告されている。
Takeuchi, T., Mukawa, T., Matsui, J., Higashi, M., Shimizu, K. D. Molecularly Imprinted Polymers with Metalloporphyrin-Based Molecular Recognition Sites Coassembled with Methacrylic acid, Anal. Chem. 2001, 73, 3869-3874. Matsui, J., Higashi, M., Takeuchi, T. Molecularly Imprinted Polymer as 9-Ethyladenine Receptor Having a Porphyrin-based Recognition Center, J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 5218-5219. Takeuchi, T., Dobashi, A., Kimura, K. Molecular Imprinting of Biotin Derivatives and Its Application to Competitive Binding Assay Using Non-isotopic Labeled Ligands, Anal. Chem. 2000, 72, 2418-2422. Molecularly Imprinted Polymers: Man made Mimics of Antibodies and Their Application in Analytical Chemistry, Sellergren, B. Ed., Elsevier, 2001. Takeuchi, T., Haginaka, J. Separation and Sensing Based on Molecular Recognition Using Molecularly Imprinted Polymers, J. Chromatogr. B 1999, 728, 1-20. Piletsky, S.A., Piletska, E.V., Chen, B.N., Karim, K., Weston, D., Barrett, G., Lowe, P., Turner, A.P.F. Chemical grafting of molecularly imprinted homopolymers to the surface of microplates. Application of artificial adrenergic receptor in enzyme-linked assay for beta-agonists determination. Anal. Chem. 2000, 72 (18):4381-4385.
しかしながら、上記のカテコールアミン誘導体を鋳型として、分子インプリンティング法で形成された、cis−ジオールと特異的に結合するボロン酸基を特異的結合部位として有する分子認識ポリマーは、カテコールアミンに対する吸着能、選択性が十分であるとはいえない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、分子インプリンティング法で形成された、カテコールアミンに対する吸着能・選択性が向上した、分子認識ポリマーを提供することにある。
本発明にかかる分子認識ポリマーは、上記課題を解決するために、分子インプリンティング法により形成された、一般式(1)
Figure 2005320422
(式(1)中、Rは水素原子又は水酸基、Rは水素原子又は水酸基、Rはアミノ基、N−置換アミノ基、又は水酸基、Xは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基を示す。)で表される標的分子と結合できる1以上の官能基を特異的認識部位として有する、上記標的分子を認識する分子認識ポリマーであって、上記官能基の少なくとも1つは、スルホン酸基であることを特徴としている。
上記の構成によれば、分子認識ポリマーの上記標的分子に対する吸着度、選択性を大幅に向上させることが可能となる。
また、上記スルホン酸基は、上記分子認識ポリマー中、上記標的分子のRと対応する位置に配置されていることが好ましい。
上記の構成によれば、上記標的分子のRの位置と、Rと結合する分子認識ポリマー中の特異的認識部位としてのスルホン酸基の位置とを一致させることが可能となる。それゆえ、分子認識ポリマーの上記標的分子に対する吸着能、選択性を向上させることが可能となる。
本発明にかかる分子認識ポリマーは、上記官能基として、さらに、ボロン酸基−B(OH)を有することが好ましい。
上記の構成によれば、上記標的分子の2種類の官能基(R及びcis−ジオール)に対して、2種類の特異的結合部位(ボロン酸基及びスルホン酸基)を形成することができる。それゆえ、分子認識ポリマーの吸着性、選択性をさらに向上させることが可能となる。
本発明にかかる分子認識ポリマーは、少なくとも1種の一般式(2)又は(3)
Figure 2005320422
Figure 2005320422
(式(2)中、Rは水素原子又は水酸基、Rは水素原子又は水酸基、Yは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基、Zは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基又は置換基を有するか有しないフェニレン基を示し、式(3)中、Aは置換基を有するか有しないフェニレン基又は置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基、Qは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基、Tは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基又は置換基を有するか有しないフェニレン基を示す。)で表されるモノマーと、少なくとも1種の架橋剤とを含むポリマー原料を、共重合させて得られる重合体から、一般式(4)
Figure 2005320422
(式(4)中、Rは水素原子又は水酸基、Rは水素原子又は水酸基、Eは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基を示す。)で表される分子が遊離除去されている構造であって、さらに、重合体中の、メルカプト基がスルホン酸基に酸化されているものであることが好ましい。
上記の構成によれば、特異的認識部位としての官能基は、インプリントポリマー中に形成される、標的分子を遊離除去した後の穴に標的分子が結合するときに、その標的分子の対応する官能基と一致する場所に導入されることが可能となる。
本発明にかかる分子認識ポリマーの標的分子は、カテコールアミンであることが好ましい。
本発明にかかる一般式(1)
Figure 2005320422
(式(1)中、Rは水素原子又は水酸基、Rは水素原子又は水酸基、Rはアミノ基、N−置換アミノ基、又は水酸基、Xは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基を示す。)で表される標的分子を認識する分子認識ポリマーの製造方法は、少なくとも1種の一般式(2)又は(3)
Figure 2005320422
Figure 2005320422
(式(2)中、Rは水素原子又は水酸基、Rは水素原子又は水酸基、Yは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基、Zは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基又は置換基を有するか有しないフェニレン基を示し、式(3)中、Aは置換基を有するか有しないフェニレン基又は置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基、Qは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基、Tは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基又は置換基を有するか有しないフェニレン基を示す。)で表されるモノマーと、少なくとも1種の架橋剤とを含むポリマー原料を、共重合させて重合体を得る重合工程と、上記重合工程で得られた重合体から、一般式(4)
Figure 2005320422
(式(4)中、Rは水素原子又は水酸基、Rは水素原子又は水酸基、Eは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基を示す。)で表される分子を遊離除去してインプリントポリマーを得る遊離除去工程とを含むことを特徴としている。
また、上記分子認識ポリマーの製造方法は、さらに、上記遊離除去工程で得られたインプリントポリマーを酸化処理して、該インプリントポリマー中の、メルカプト基をスルホン酸基に酸化する酸化工程を含むことが好ましい。
上記の構成によれば、上記標的分子に対する吸着能、選択性を向上させた分子認識ポリマーを製造することが可能となる。
本発明にかかる分子認識ポリマーは、以上のように、分子インプリンティング法により形成された、上記一般式(1)で表される標的分子と結合できる1以上の官能基を特異的認識部位として有する、上記標的分子を認識する分子認識ポリマーであって、上記官能基の少なくとも1つは、スルホン酸基であるという構成を備えているので、分子認識ポリマーの上記標的分子に対する吸着度、選択性を大幅に向上させることが可能となるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について以下に詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
上述したように、カテコールアミン誘導体を鋳型として、分子インプリンティング法で形成された、cis−ジオールと特異的に結合するボロン酸基を特異的結合部位として有する分子認識ポリマーは、カテコールアミンに対する吸着能、選択性が十分であるとはいえない。そこで、本願発明者らは、ジスルフィド構造をもつカテコールアミン誘導体を鋳型分子に用いて、ポリマーを合成し、鋳型分子の遊離除去に還元反応を用い、結合部位内に生成するメルカプト基をさらに酸化してスルホン酸に変換することによりカテコールアミンを選択的に認識する分子認識ポリマーを得た。そして、得られた分子認識ポリマーが、カテコールアミン及びカテコールアミンに類似する構造を有する分子に対して、高い選択性を有することを見出し、また、鋳型分子として用いたカテコールアミン誘導体と類似の構造を有する鋳型分子を用いる場合にも同様の効果が得られる可能性が高いと考え、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明にかかる、分子認識ポリマーは、分子インプリンティング法により形成された、一般式(1)(式(1)中、Rは水素原子又は水酸基、Rは水素原子又は水酸基、Rはアミノ基、N−置換アミノ基、又は水酸基、Xは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基を示す。)で表される標的分子と結合できる1以上の官能基を特異的認識部位として有する、上記標的分子を認識する分子認識ポリマーであって、上記官能基の少なくとも1つは、スルホン酸基である。また、上記スルホン酸基は、上記分子認識ポリマー中、上記標的分子のRと対応する位置に配置されていることが好ましい。
以下、本発明にかかる分子認識ポリマーおよびその製造方法について、(I)本発明にかかる分子認識ポリマー、(II)本発明にかかる分子認識ポリマーの製造方法、(III)本発明の利用の順に説明する。
(I)本発明にかかる分子認識ポリマー
(I−1)本発明の分子認識ポリマーが選択的に認識する標的分子
本発明にかかる分子認識ポリマーが選択的に認識する標的分子は、上記一般式(1)で表される分子である。式(1)中、Rは水素原子又は水酸基、Rは水素原子又は水酸基、Rはアミノ基、N−置換アミノ基、又は水酸基、Xは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基を示す。上記N−置換アミノ基としては、例えば、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基等を挙げることができる。また、Xが有する置換基としては、例えば、オキソ基(=O)、水酸基等を挙げることができる。また、式(1)中、−X−Rの、ベンゼン環への結合位置は特に限定されるものではないが、−X−RはRに対してパラ位であることがより好ましい。
また、上記標的分子は、R又はRのいずれか一方が水酸基、他方が水素原子であることがより好ましく、R及びRが水酸基であることがさらに好ましい。また、RはN−メチルアミノ基又はアミノ基であることがより好ましい。またXは、エチレン基であることがより好ましい。
この中でも、上記標的分子は、以下の式(5)に示すノルエピネフリン、式(6)に示すエピネフリン、式(7)に示すドーパミン、イソプロテレノール等のカテコールアミン、式(8)に示すチラミン、式(9)に示すDOPAC、式(10)に示すHVA等であることがより好ましく、ノルエピネフリン、エピネフリン、ドーパミン等のカテコールアミンであることがさらに好ましい。なお、本明細書において、カテコールアミンとは、3、4−ジヒドロキシフェニル骨格とアミングループを持つ有機化合物をいう。
Figure 2005320422
(I−2)本発明の分子認識ポリマーが有する官能基
本発明にかかる分子認識ポリマーは、標的分子と結合できる1以上の官能基を特異的認識部位として有し、該官能基の少なくとも1つはスルホン酸基である。これにより、上記標的分子への吸着度、選択性を大幅に向上させることが可能となる。ここで、標的分子と結合できるとは、標的分子と相互作用し、吸着されるものであれば、その結合形式は特に限定されるものではなく、どのような結合形式であってもよい。かかる結合形式には、共有結合及び水素結合、静電的相互作用、イオン結合、疎水性相互作用、π-πスタッキング等の非共有結合が含まれる。
また、本発明の分子認識ポリマーは、上記スルホン酸基が標的分子と可逆的に結合するものであることが好ましい。これにより、吸着した標的分子を、再び遊離回収することが可能となる。
また、上記スルホン酸基は、上記分子認識ポリマー中、上記標的分子のRと対応する位置に配置されていることが好ましい。これにより、標的分子の官能基であるアミノ基、N−置換アミノ基又は水酸基の位置と、該官能基と結合する分子認識ポリマー中の特異的認識部位としてのスルホン酸基の位置とを一致させることが可能となる。それゆえ、分子認識ポリマーの上記標的分子に対する吸着能、選択性をさらに向上させることが可能となる。
本発明にかかる分子認識ポリマーは、標的分子と結合できる官能基として、少なくとも1つのスルホン酸基を有していればよいが、さらに、標的分子と結合できる「他の官能基」を有していてもよい。標的分子と結合する複数の官能基を有することにより、分子認識ポリマーの標的分子に対する吸着性、選択性を向上させることが可能となる。かかる「他の官能基」としては、標的分子が有する官能基と結合するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、cis−ジオールと結合するボロン酸基;水酸基と結合するアルデヒド基、カルボニル基、ホルミル基、カルボキシル基;リン酸基、遷移金属錯体等を挙げることができる。また、上記「他の官能基」は、標的分子の官能基と、水素結合、静電的相互作用等で非共有結合的に結合する官能基であってもよい。この中でも、本発明の分子認識ポリマーは、上記R及びRが水酸基である、カテコールアミンを標的分子とする場合、cis−ジオールと結合するボロン酸基を特異的認識部位として有することが特に好ましい。また、本発明の分子認識ポリマーは、特異的認識部位として、少なくとも1つのスルホン酸基の他に、上記「他の官能基」を1又は2以上有してしていてもよい。
(I−3)分子インプリンティング法により形成された分子認識ポリマー
本発明にかかる分子認識ポリマーは、分子インプリンティング法により形成されたものである。ここで、分子インプリンティング法とは、ポリマーを合成する際、ポリマー合成用のモノマーに、標的分子を混入させて重合を行い、得られたポリマーから標的分子を遊離除去することにより、標的分子の鋳型をポリマー内にとる方法をいう。標的分子に特徴的な官能基があれば、そのような官能基と結合する官能基を提供するモノマー(機能性モノマー)を、ポリマー合成用のモノマーに混入させて重合を行なう。機能性モノマーを、ポリマー合成用のモノマーに混入させる方法は、非共有結合型と共有結合型とに大別される。非共有結合型インプリンティング法は、機能性モノマーと標的分子とをそのまま混入させ、水素結合や静電的相互作用などの非共有結合を利用して、重合反応液中に、標的分子と機能性モノマーとの複合体を生じさせる方法である。これに対して、共有結合型インプリンティング法は、あらかじめ機能性モノマーと標的分子とを共有結合で複合体とした後、この複合体をモノマーとして混入させる方法である。本発明にかかる分子認識ポリマーは、分子インプリンティング法により形成されており、標的分子と結合できる1以上の官能基を特異的認識部位として有し、該官能基の少なくとも1つは、スルホン酸基であればよく、スルホン酸基又はポストインプリンティング処理で該スルホン酸基に酸化されるメルカプト基のポリマーへの導入方法については特に限定されるものではない。従って、スルホン酸基又は上記メルカプト基は、非共有結合型分子インプリンティング法により導入されたものであってもよいし、共有結合型分子インプリンティング法によって導入されたものであってもよい。これらの方法のうち、本発明にかかる分子認識ポリマーは、共有結合で最初から標的分子とメルカプト基の由来となる機能性モノマーとが複合体となったものを架橋剤とともに重合する共有結合型インプリンティング法によって形成されていることが好ましい。共有結合型のインプリントポリマーでは標的分子と機能性モノマーとの複合体の合成や標的分子の遊離除去が難しいといった問題点があるが、均一な結合能をもつ結合部位を形成することが可能となる。すなわち、特異的認識部位としての官能基は、ポリマー中に形成される、標的分子を遊離除去した後の穴に標的分子が結合するときに、その標的分子の対応する官能基と一致する場所に導入されることが可能となる。
また、スルホン酸基の静電的相互作用は強いので、ポリマーにスルホン酸基を必要以上に導入すると、標的分子以外の塩基性化合物の非特異的吸着が強くなる懸念がある。共有結合型インプリンティング法により上記メルカプト基を導入し、その後ポストインプリンティング処理で酸化してスルホン酸に導くことにより、必要量のスルホン酸基を、結合部位に標的分子が結合するのに最適の位置に必ず導入することが可能となる。
本発明にかかる分子認識ポリマーを形成するために用いる、上記機能性モノマーとしては、得られる分子認識ポリマーのメルカプト基の由来となる基を有し、且つ、重合可能な官能基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。したがって、本発明にかかる分子認識ポリマーは、少なくともかかる機能性モノマーと標的分子とを共有結合で結合した複合体を、ポリマー合成用のモノマーとして用い、該複合体と、少なくとも1種の架橋剤とを含むポリマー原料を、共重合させて得られる重合体から、標的分子が遊離除去されている構造であって、さらに、重合体中の、機能性モノマーに由来するメルカプト基がスルホン酸基に酸化されているものであればよい。
上記機能性モノマーと標的分子との複合体としては、例えば、ジスルフィド結合構造を有する標的分子誘導体を挙げることができる。ジスルフィド結合は、酸化・還元しやすいため、かかる目的に好適に用いることができる。かかる複合体を、モノマーとして用い、分子インプリンティング法で形成される分子認識ポリマーとしては、例えば、少なくとも1種の上記一般式(2)で表されるモノマーと、少なくとも1種の架橋剤とを含むポリマー原料を、共重合させて得られる重合体から、上記一般式(4)で表される分子が遊離除去されている構造であって、さらに、重合体中の、上記一般式(2)で表されるモノマーのジスルフィド結合に由来するメルカプト基がスルホン酸基に酸化されているものであることが好ましい。式(2)中、Rは水素原子又は水酸基、Rは水素原子又は水酸基、Yは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基、Zは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基又は置換基を有するか有しないフェニレン基を示す。上記Yが有する置換基としては、例えば、オキソ基(=O)、水酸基等を挙げることができる。また、上記Zが有する置換基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基・エチル基等のアルキル基、オキソ基(=O)、水酸基等を挙げることができる。また、式(2)中、−Y−S−S−Z=の、ベンゼン環への結合位置は特に限定されるものではないが、−Y−S−S−Z=はRに対してパラ位であることがより好ましい。式(4)中、Rは水素原子又は水酸基、Rは水素原子又は水酸基、Eは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基を示す。なお、この場合、Eはモノマーとして用いた一般式(2)で表される化合物におけるYと同じである。
また、上記標的分子は、R又はRのいずれか一方が水酸基、他方が水素原子であることがより好ましく、R及びRが水酸基であることがさらに好ましい。また、Yは、エチレン基であることがより好ましい。Zもエチレン基であることがより好ましい。
また、上記R及びRが水酸基である、カテコールアミンを標的分子とする場合、さらに、cis−ジオールと結合するボロン酸基を特異的認識部位として有することが特に好ましい。この、ボロン酸基も、共有結合で最初から標的分子とボロン酸基の由来となる機能性モノマーとが複合体となったものを架橋剤とともに重合する共有結合型インプリンティング法によって形成されていることが好ましい。これにより、特異的認識部位としてのボロン酸基は、ポリマー中に形成される、標的分子を遊離除去した後の穴に標的分子が結合するときに、その標的分子の対応する官能基であるcis−ジオールと一致する場所に導入されることが可能となる。
したがって、本発明にかかる分子認識ポリマーは、例えば、図1に1例を示すように、少なくとも1種の上記一般式(3)で表されるモノマーと、少なくとも1種の架橋剤とを含むポリマー原料を、共重合させて得られる重合体から、上記一般式(4)で表される分子が遊離除去されている構造であって、さらに、重合体中の、上記一般式(3)で表されるモノマーのジスルフィド結合に由来するメルカプト基がスルホン酸基に酸化されているものであってもよい。これにより、標的分子の2種類の官能基に対して、2種類の特異的結合部位(ボロン酸基及びスルホン酸基)を形成することができる。それゆえ、分子認識ポリマーの吸着性、選択性をさらに向上させることが可能となる。式(3)中、Aは置換基を有するか有しないフェニレン基又は置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基、Qは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基、Tは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基又は置換基を有するか有しないフェニレン基を示す。上記Qが有する置換基としては、例えば、オキソ基(=O)、水酸基等を挙げることができる。上記Aが有する置換基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基・エチル基等のアルキル基、オキソ基(=O)、水酸基等を挙げることができる。また、上記Tが有する置換基も、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基・エチル基等のアルキル基、オキソ基(=O)、水酸基等を挙げることができる。また、式(3)中、−Q−S−S−T=の、ベンゼン環への結合位置は特に限定されるものではないが、−Q−S−S−T=はRに対してパラ位であることがより好ましい。式(4)中、Rは水素原子又は水酸基、Rは水素原子又は水酸基、Eは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基を示す。なお、この場合Eは、モノマーとして加えた一般式(3)で表される分子におけるQと同じである。
なお、分子インプリンティング法において、モノマーとして用いる鋳型分子の構造は、分子認識ポリマーに認識させる標的分子の構造と一致していることが好ましいが、標的分子の構造と類似していれば、両者の構造は異なっていてもよい。構造が類似していれば、得られる分子認識ポリマーは、鋳型分子と構造が類似する標的分子を選択的に認識することが可能となる。
(II)本発明にかかる分子認識ポリマーの製造方法
本発明にかかる分子認識ポリマーは、上述したように、いわゆる共有結合型分子インプリンティング法により製造することが好ましい。すなわち、本発明にかかる分子認識ポリマーは、標的分子と機能性モノマーとを結合した複合体であるモノマーと、架橋剤とを含むポリマー材料を共重合させて重合体をえる重合工程と、該重合工程で得られた重合体から標的分子を遊離除去させる遊離除去工程とを含む方法により製造できる。
上記機能性モノマーと標的分子との複合体としては、例えば、ジスルフィド結合構造を有する標的分子誘導体を挙げることができる。かかる複合体を、モノマーとして用いる分子認識ポリマーは、具体的には、例えば、少なくとも1種の一般式(2)で表されるモノマーと、少なくとも1種の架橋剤とを含むポリマー原料を、共重合させて重合体を得る重合工程と、該重合工程で得られた重合体から、一般式(4)で表される分子を遊離除去してインプリントポリマーを得る遊離除去工程とを含む方法により製造できる。
また、さらに、上記R及びRが水酸基である、カテコールアミンを標的分子とする場合、cis−ジオールと結合するボロン酸基を特異的認識部位として有することが特に好ましい。この、ボロン酸基も、共有結合で最初から標的分子とボロン酸基の由来となる機能性モノマーとが複合体となったものを架橋剤とともに重合する共有結合型インプリンティング法によって形成されていることが好ましい。従って本発明にかかる、分子認識ポリマーの製造方法は、例えば、少なくとも1種の一般式(3)で表されるモノマーと、少なくとも1種の架橋剤とを含むポリマー原料を、共重合させて重合体を得る重合工程と、該重合工程で得られた重合体から、一般式(4)で表される分子を遊離除去してインプリントポリマーを得る遊離除去工程とを含む方法によって製造できる。
ここで、一般式(2)、(3)で表されるモノマー、及び一般式(4)で表される分子については、上記(I−3)で説明したとおりであるので、ここでは説明を省略する。
本発明にかかる分子認識ポリマーの製造方法は、さらに、上記遊離除去工程で得られたインプリントポリマーを酸化処理して、インプリントポリマー中の、メルカプト基をスルホン酸基に酸化する酸化工程を含むことが好ましい。ジスルフィド結合を還元しメルカプト基にすることで鋳型の除去が可能であるが、後述する実施例で示すように、メルカプト基の弱い水素結合だけではあまりインプリント効果が期待できなかった。しかし、酸化工程でメルカプト基を酸化し、安定化すると同時に酸性度の強いスルホン酸基にすることで標的分子に対して高い選択性があることが示された。なお、スルホン酸基は、上記一般式(1)で表される分子において、Rすなわち、アミノ基、N置換アミノ基、水酸基に対して高い選択性を有すると考えられる。
上記重合工程では、重合体を得る方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を好適に用いることができる。例えば、一般式(2)又は(3)で表されるモノマーと、架橋剤とを含むポリマー原料を溶媒中に溶解させ、重合開始剤を用いて共重合反応を行う。溶媒は、ポリマーを多孔性にするためのポアフォーマーとしての役割もある。上記溶媒としては、標的分子や上記標的分子と機能性モノマーとの複合体を溶解できるものであれば特に限定されないが、各試薬をよく溶解することから、クロロホルムが好適である。また、重合開始剤も特に限定されるものではないが、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)や2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等を用いることができる。
上記架橋剤は、一般式(2)又は(3)で表されるモノマーが有する重合可能な基と共重合可能な基、例えばビニル基や(メタ)アクリロイル基を持つ化合物である。架橋剤の例を以下の式(11)〜(30)に示す。
Figure 2005320422
架橋剤としては、付加重合可能な基を複数有するものが好ましい。付加重合可能な基を複数有する架橋剤の例としては、式(14)に示すp−ジビニルベンゼン、式(28)に示すo−ジビニルベンゼン、式(29)に示すm−ジビニルベンゼン等のジビニルベンゼン系架橋剤、(メタ)アクリル酸系架橋剤等がある。(メタ)アクリル酸系架橋剤としては、(メタ)アクリロイル基を複数有する化合物、例えば、式(11)に示すエチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、式(12)に示すトリメチロールプロパントリメタクリレート(TRIM)、式(13)に示すトリメチロールプロパントリアクリレート、式(16)に示すテトラエチレングリコールジアクリレート、式(21)に示すトリエチレングリコールジメタクリレート、式(22)に示すペンタエリスリトールテトラアクリレート、式(23)に示すペンタエリスリトールトリアクリレート、式(24)に示すビスフェノールAジメタクリレート、式(25)に示すN,N’−メチレンジアクリルアミド、式(26)に示すN,N’−1,4−フェニレンジアクリルアミド、式(27)に示す3,5−ビス(アクリロイルアミド)安息香酸、式(30)に示すN,O−ビスアクリロイル−L−フェニルアラニノール等が好適である。架橋剤として、ビニル基を1つだけ持つ化合物(式(15)に示す塩化ビニル、式(17)に示すスチレン、式(19)に示すフェニルビニルスルホキシド、式(20)に示すフェニルビニルスルホン等)や、(メタ)アクリロイル基を1つだけ持つ化合物(例えば式(18)に示すメタクリル酸メチル等)等のような重合可能な基を1つだけ持つ化合物を用いてもよい。架橋剤としては、上記複合体が有する重合可能な基と同じ基を持つ架橋剤を使用することが好ましい。また、架橋剤は、結合部位同士のクロストークを避けるために上記複合体に対して過剰で用いることが好ましい。具体的には、上記複合体1モルに対して架橋剤を1モル〜70モルの範囲で用いることが好ましく、上記複合体1モルに対して架橋剤を10モル〜50モルの範囲で用いることがより好ましい。
上記遊離除去工程では、重合工程で得られた重合体における官能基と標的分子との可逆的な結合を分解することにより、標的分子を遊離除去する。例えば、可逆的な結合がジスルフィド結合である場合には、ジスルフィド結合を還元することにより標的分子を脱離させればよい。
上記酸化工程では、上記遊離除去工程で得られたインプリントポリマーを酸化処理して、インプリントポリマー中の、上記一般式(2)又は(3)で表されるモノマーのジスルフィド結合に由来するメルカプト基をスルホン酸基に酸化する。
(III)本発明にかかる分子認識ポリマーの利用
本発明にかかる分子認識ポリマーは、カテコールアミンに対し、高い吸着能、選択性を有する。このような、カテコールアミンの吸着、選択は、カテコールアミンが極めて希薄な濃度であっても有効に行なうことができる。従って、種々の物質の混合物である生体試料から微量成分であるカテコールアミンのみを分析することが可能となり、疾病診断において非常に有用である。例えば、本発明にかかる分子認識ポリマーを、HPLCカラムに充填して、カテコールアミン又はその類似物質の分析を行なうことができる。また、発明の分子認識ポリマーを、分析前処理において、目的物質の濃縮に用いることもできる。さらには、センサーとして、目的物質の検出に用いることもできる。
また、本発明にかかる分子認識ポリマーの製造方法は、上述したようにジスルフィド結合を持つテンプレートモノマーを利用してインプリントポリマーを合成、還元反応を利用したテンプレート部分の除去、さらにポストインプリント処理によって官能基を変更する。このような、一連のチオールの酸化還元システムの利用は、これまでの分子インプリンティング法の中でも新しい手法であり、これからの応用が期待される。
〔実施例〕
<1.標的分子と機能性モノマーとの複合体(一般式(35)、(36)で表される化合物)の合成>
(1−1)チオ酢酸のラジカル付加
3,4-Dimethoxy styrene はAldrich(特級)から、チオ酢酸はTCI から、酢酸エチル(特級)、ヘキサン(1級)は和光純薬工業からそれぞれ購入した。
500W のハロゲンランプで光照射の下、以下の反応式中、式(31)で示す3,4-Dimethoxy styrene(5.00 g,30.5 mmol)に、チオ酢酸(2.62 ml,36.6mmol)を加え、なす形フラスコ中で反応させた。この反応を以下の反応式(37)に示す。
Figure 2005320422
薄層クロマトグラフィー(TLC) (展開層;シリカゲル,展開溶媒;酢酸エチル:へキサン=1:3)で反応を確認しながら室温で撹拌し、7 時間反応後、カラムクロマトグラフィー(展開層;シリカゲル,展開溶媒;酢酸エチル:へキサン=1:3)を用いて分離・精製した。TLC で確認しながら反応物があるフラクションを集め、ロータリーエバポレーターで溶液を飛ばし、反応物を得た。
白色の固体である反応物はNMR(ブルカーAC-250)により同定した。二重結合のピークが消え、メチル基のピークが表れたためanti-Markownikoff 型にチオ酢酸が付加し、式(32)で示す化合物が合成されたことが確認された。収量6.14 g(収率84%)1H NMR(CDCl3)の結果は、δ2.34(3H,s,-CH3),δ2.78−2.82(2H,t,-CH2-),δ 3.08 − 3.13(2H,t,-CH2-) , δ 3.86(3H,s,-OMe) , 3.88(3H,s,-OMe) ,6.74-6.81(3H,m,C6H3)であった。
(1−2)カテコール保護基の除去
ジクロロメタン(特級)、塩化カルシウム(特級)、水素化カルシウム(特級)、三臭化ホウ素(特級)、ジエチルエーテル(特級)、硫酸ナトリウム(特級)、酢酸エチル(特級)、ヘキサン(1級)は和光純薬工業から購入した。
ジクロロメタン300 ml に塩化カルシウムを加え、一晩予備乾燥させた。濾過により塩化カルシウムを取り除き、水素化カルシウムを加えて3 時間還流した。還流は、なす形フラスコに還流塔、塩化カルシウム菅を取り付けて行った。その後、蒸留して純粋なジクロロメタンを得た。
80 ml のジクロロメタンに溶かした式(32)で示される化合物(6.00 g,25.0 mmol)を−80℃のacetone-dry ice bath で冷やした。そこへジクロロメタン20 ml に溶かした三臭化ホウ素(4.10 ml,42.4 mmol)を滴下ロートで徐々に注いだ。完全に滴下し終わったところで還流冷却器を取り付け、上部に塩化カルシウム菅をつけて、薄層クロマトグラフィー(TLC) (展開層;シリカゲル,展開溶媒;酢酸エチル:へキサン=1:2)で反応を確認しながら約7 時間反応させた。この反応を以下の反応式(38)に示す。
Figure 2005320422
その後、室温で一晩反応させ、24 時間反応させた後、純水100 ml を徐々に加え、10 分ほど撹拌した。ジクロロメタン層を分離しさらに水層をジエチルエーテル80 ml で4 回抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムを加え一晩乾燥させた。その後、ロータリーエバポレーターで溶液を飛ばし、カラムクロマトグラフィー(展開層;シリカゲル,展開溶媒;酢酸エチル:へキサン=1:2)で分離・精製した。反応物があるフラクションを集め、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、反応物を得た。
橙色の結晶である反応物はNMR により同定した。メトキシのピークが消え水酸基のピークが現れたため式(33)で示される化合物が合成されたことが確認された。収量4.56 g(収率86%)化合物は、NMR(ブルカーAC-250)により同定した。1H NMR(CDCl3) の結果は、δ2.33(3H,s,-CH3),δ2.70−2.76(2H,t,-CH2-),δ3.03−3.09(2H,t,-CH2-),δ6.19(2H,b,-OH),6.63-6.81(3H,m,C6H3)であった。
(1−3)チオエステルの加水分解
水酸化ナトリウム(特級)、エタノール(特級)、1 M 塩酸(精密分析用)、酢酸エチル(特級)、ヘキサン(1級)、硫酸ナトリウム(特級)は和光純薬工業から購入した。
0.2N の水酸化ナトリウム水−エタノール(1:1,v/v) 溶液80 ml に式(33)で示される化合物(4.24 g,20mmol)を溶かし、窒素雰囲気下、室温で5 時間反応させた。この反応を以下の反応式(39)に示す。
Figure 2005320422
反応後、1 M 塩酸で中和し、酢酸エチル50 ml で5 回抽出した後、有機層に硫酸ナトリウムを加え、一晩乾燥させた。ロータリーエバポレーターで溶媒を飛ばし、カラムクロマトグラフィー(展開層;シリカゲル,展開溶媒;酢酸エチル:へキサン=1:2)で分離・精製し、反応物があるフラクションを集め、ロータリーエバポレーターで溶液を飛ばし反応物を得た。
白色固体の反応物はNMR(ブルカーAC-250)により同定した。メチル基のピークが消え、SH 基のピークのようなものが現れたため、呈色反応で確認した。1 ml ほどの亜硝酸ナトリウム水溶液にメタノールに溶かした反応物を数mg 加え、徐々に酢酸を滴下したところ、無色透明から橙色に色の変化が確認できたため、化合物中にSH 基が存在することが示され式(34)で示される化合物が合成できたことが確認された。収量3.11 g(収率92%) 1H NMR(CDCl3)の結果は、δ1.41(1H,t,-SH),δ2.72−2.83(4H,m,-CH2-),δ 5.83 (2H,b,-OH),δ6.61−6.82(3H,m,C6H3)であった。
(1−4)チオール‐ジスルフィド交換反応
トリエチルアミン(特級)、酢酸エチル(特級)、ヘキサン(1級)は和光純薬工業から購入し、アリルジスルフィド(特級)はAldrich から購入した。
トリエチルアミン50 ml に硫酸マグネシウムを加え、一晩予備乾燥させた。濾過により硫酸マグネシウムを取り除き、水素化カルシウムを加えて3 時間還流した。還流は、なす形フラスコに還流塔、塩化カルシウム菅を取り付けて行った。その後、蒸留して純粋なトリエチルアミンを得た。
式(34)で示される化合物(3g,17.6 mmol)にアリルジスルフィド(25.7 g,176 mmol)を加え、トリエチルアミン5 ml を滴下した。窒素雰囲気下、60℃で8 時間反応させた後、へキサンを徐々に加え反応物を析出させ、冷蔵庫で一晩冷却し、完全に析出させた。この反応を以下の反応式(40)に示す。
Figure 2005320422
濾過により反応物を回収し、カラムクロマトグラフィー(展開層;シリカゲル,展開溶媒;酢酸エチル:へキサン=1:2)で分離・精製した。反応物があるフラクションを集め、ロータリーエバポレーターで溶液を飛ばし、反応物を得た。
黄色透明な液体はNMR(ブルカーAC-250)により同定した。チオール基のピークが消え、(34) とアリルジスルフィドが合わさったようなピークが見られたため式(35)で示される化合物が合成されたことが確認された。収量1.96 g (収率46%) 1H NMR(CDCl3 )の結果は、δ2.72−2.94(4H,m,-(CH2)2-),δ3.35−3.38 (2H,d , -CH2-),δ5.15−5.25 (2H,m,-CH=CH2),δ5.56(2H,b,-OH),δ5.83− 5.94(1H,m, -CH=CH2),δ6.63−6.83(3H,m, C6H3)であった。
(1−5)ボロン酸エステル化反応
4-Vinylphenyl Boronic Acid はAldrich から購入し、トルエン(特級)、硫酸マグネシウム(特級)、水素化カルシウム(特級)は和光純薬工業から購入した。
トルエン300 ml に硫酸マグネシウムを加え、一晩予備乾燥させた。濾過により硫酸マグネシウムを取り除き、水素化カルシウムを加えて3 時間還流した。還流は、なす形フラスコに還流塔、塩化カルシウム菅を取り付けて行った。その後、蒸留して純粋なトルエンを得た。
4-Vinylphenyl Boronic Acid(VPBA)1.48g(10 mmol)をトルエン80 ml 中で3 時間共沸させホウ酸の無水物を形成させた。濾過により不純物を取り除き、ロータリーエバポレーターで溶媒を飛ばし、真空乾燥させた。無水VPBA(351 mg,0.9 mmol)と式(35)で示される化合物(654 mg,2.7 mmol)をトルエン80 ml 中で3 時間共沸させた。不純物を濾過により取り除き、濾液をロータリーエバポレーターで飛ばし、反応物を得た。この反応を以下の反応式(41)に示す。
Figure 2005320422
黄色透明な液体はNMR(ブルカーAC-250)により同定した。OH 基のピークが消え、式(35)で示される化合物と無水ボロン酸の合わさったようなピークが現れたため式(36)で表される化合物が合成されたことが確認された。収量774 mg(収率77%) 1H NMR(CDCl3 )の結果は、δ2.69−2.91(4H,m,-(CH2)2-),δ3.32−3.39 (2H,d , -CH2-),δ5.14−5.28 (2H,m,-CH=CH2),δ5.32−5.37 (1H,d,-CH=CH2) δ5.83−5.94(1H,m, -CH=CH2),(1H,d, -CH=CH2),δ6.63−6.83(3H,m, C6H3), (1H,d, -CH=CH2),δ7.49−7.52(2H,d, C6H4),δ8.13−8.16(2H,d, C6H4), であった。
<2.インプリントポリマーの合成>
(2−1)重合過程
クロロホルム(特級)、ジビニルベンゼン(55%異性混合物)、スチレン(特級)、2-2,アゾイソブチロニトリル(特級)、硫酸マグネシウム(特級)、水素化カルシウム(特級)は和光純薬工業から購入した。
ジビニルベンゼン、スチレンは硫酸マグネシウムを加え一晩予備乾燥させた。その後、濾過により硫酸マグネシウムを取り除き、減圧蒸留することで純粋なジビニルベンゼン、スチレンを得た。クロロホルムは純水を加え、分液ロートで洗浄した。この操作を三回行った後、クロロホルムを分液し、硫酸マグネシウムを加え一晩予備乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過し、ろ液に水素化カルシウムを加えて3 時間還流した。その後、蒸留して純粋なクロロホルムを得た。
上記<1>で得られた式(35)、(36)で示される化合物を標的分子と機能性モノマーとの複合体とし、以下に示す表1 のレシピにしたがって、インプリントポリマー IP1、IP2 を合成した。調製した溶液をねじ口試験管に注入し、5 分間窒素置換した。栓をした後パラフィルム、ビニールテープの順で密栓した。水流ポンプで水を循環させ5℃に保った水浴中で24 時間UV 重合をおこなった。その後、80℃で3 時間加熱して溶媒を除去しポリマーを得た。得られたインプリントポリマー及びブランクポリマー BP は乳鉢で軽く粉砕した。
Figure 2005320422
(2−2)遊離除去過程
メタノール(特級)、水素化ホウ素ナトリウム(特級)、塩酸(精密分析用)は和光純薬工業から購入した。
ジスルフィド結合切断のため、得られたインプリントポリマー IP1、IP2 を100 ml のメタノールに浸し、水素化ホウ素ナトリウム(757 mg,20 mmol)を加え、約12 時間撹拌した。この操作を3回繰り返した後、さらにホウ酸エステルを加水分解するために塩酸[5%]/メタノール(1:1,v/v)100 ml 中で約12 時間撹拌した。その後、純水/メタノール(1:1,v/v)100 ml で2回洗浄し、メタノール100 ml で洗浄した後、真空乾燥させた。
(2−3)ポリマー中のSH 基の定量
硝酸銀(特級)、メタノール(特級)、硝酸鉄(III)九水和物(特級) 、チオシアン酸カリウム(特級)は和光純薬工業から購入した。
インプリントポリマー(IP1)を200 mg 量りとり、10 mM の硝酸銀溶液(水:メタノール2:8,v/v)20 ml 中で3 時間撹拌した。ポリマーを保留粒子径7 μm の定量濾紙(ADVANTEC)で濾過し純水で洗浄した後、濾液を純水で正確に100ml に調製した。硝酸鉄(III)九水和物を適量加え、そのうちの10 ml を分取し、2 mM のチオシアン酸カリウムメタノール溶液で滴定した。インプリントポリマー(IP2)も同様の方法で定量した。
3回滴定しその平均をとったところ、ポリマー中のSH 基のモル数はIP1では31 μmol/200 mg(理論値の61%)であった。IP2も同様な操作を行いポリマー中のSH 基のモル数は34 μmol/200 mg(理論値の67%)となった。ポリマー中のジスルフィド結合も水素化ホウ素ナトリウムで長時間攪拌するとある程度結合が切れることが示された。さらに反応性の高いLAH などで還元することで定量的に結合が切れることも考えられる。
(2−4)ポリマー中のSH 基の酸化
過酸化水素(特級)、酢酸(特級)、1 M 硫酸(容量分析用)、メタノール(特級)、塩化ナトリウム(特級)は和光純薬工業から購入した。
IP1、IP2の約4 g をそれぞれ過酸化水素/酢酸(1:1,v/v)溶液100 ml に浸し、約12 時間攪拌した。ポリマーを濾過した後に100 mM の硫酸/メタノール(1:1,v/v)溶液100 ml で2 回、メタノール100 ml で2 回洗浄し、真空乾燥させた。得られたIP1を200 mg 量りとりカラムに詰め、上から1 M のNaCl 水溶液100 ml を通し、そのPH をPH メーターで計測することで水素イオン濃度からスルホン酸への変化量を求めた。この操作を3回繰り返しそれぞれのモル数の和を求めポリマー中のSOH 基の定量を行った。IP2 も同様の方法で定量した。
3 回操作を行いその水素イオン濃度の和からSOH 基の定量を行った結果、ポリマー中のSOH 基モル数はIP1 では20 μmol/200 mg(理論値の65%)であった。IP2も同様な操作を行いポリマー中のSOH 基のモル数は24 μmol/200 mg(理論値の71%)となった。これは、(2−3)の還元反応と同様に、反応溶媒がポリマーの細孔まで浸透しにくいことが上げられる。ポリマー重合の際ジビニルベンゼンのみでは、ポリマーが堅固なネットワークでつながっているが、スチレンの量をある程度増やすことで架橋が緩やかになり、反応溶媒がポリマーの細孔まで浸透しやすく、ジスルフィド結合の還元、チオールの酸化といった反応が起こりやすくなると考えられる。
<3.結合実験>
液体クロマトグラフィーによりインプリントポリマーの結合実験を行った。液体クロマトグラフィーにカラムを接続し、メタノール-10 mM リン酸バッファー(PH6.8)(50:50,v/v)を流量1 ml/min でベースラインが安定するまで流した。各サンプル10 μl をカラムにインジェクションし、ボイドマーカー(硝酸カリウム)、サンプル(ドーパミン)の保持時間を計測した。その他、対照サンプルとして保持時間を計測した物質に、カテコール、チラミン、3,4-Dihydroxyphenylacetic Acid(DOPAC)、4-Hydroxy-3-methoxyphenylacetic Acid(HVA)を用いた。液体クロマトグラフィーの計測にはオートインジェクター、ポンプ(322pump)、UV ランプ(UV/VIS-152)からなる計器(GILSON)にパソコンをつなぎ、計測プログラムにはUnipoint V.3.00 を使用して計測した。その際の溶離液はメタノール-10 mM リン酸バッファー(PH6.8)(50:50,v/v)を用い、波長はUV254 nm で行った。各サンプル、ボイドマーカーはそれぞれ10 mM のメタノール-10 mM リン酸バッファー(PH6.8) (50:50,v/v)溶液を調製し、クロマトチューブに移して計測した。
インプリントポリマー IP1、IP2 中のSH 基を酸化してSOHにしたものについて、以下の式(42)で示される保持係数k’を求めた。
k'=(t−t)/t …(42)
式(42)中、tはボイドマーカーとして用いた硝酸カリウムの溶出時間を、tはサンプルの保持時間である。それぞれのインプリントポリマー IP1、IP2 に対するサンプルの保持係数を以下の表2に示す。
Figure 2005320422
〔比較例〕
結合実験において、インプリントポリマー IP1、IP2 中のSH 基を酸化していないものを用いた以外は、実施例と同様にして、各サンプルについて、上記保持係数k’を求めた。それぞれのインプリントポリマー IP1、IP2 に対するサンプルの保持係数を以下の表2に示す。
表2に示すようにジスルフィド結合を切断してSH 基のままの場合、つまり鋳型をとっただけではほとんど吸着能や選択性は見られなかった。これはSH 基の水素結合能は弱いためであると考えられる。しかし、SH 基を酸化しスルホン酸にすることで、特にアミン(ドーパミン、チラミン)に対して吸着能が高まることが示された。これはポリマー中のスルホン酸とサンプルのアミノ基が酸・塩基相互作用により強いインタラクションが働くためであると考えられる。また、BP と比べてIP1(-SOH)、IP2(-SOH)では明らかに保持係数が増していることからインプリントの効果が示されたことが確認された。カテコールはBP、 IP1(-SOH)、IP2(-SOH)ともにほかのサンプルと比較して高い保持係数を示しているが、これはカテコールが他のサンプルに比べ、アミノ基やカルボキシル基が存在しないため疎水度が高く、疎水性相互作用によりポリマーとの吸着が行われていると思われる。IP1、IP2 を比較するとIP1 のほうが少し保持係数が大きくなっているがこれはボロン酸エステルの効果が現れているためである。ドーパミン、チラミンといったアミン類に対してボロン酸の影響が強く出ているため、酸・塩基相互作用によりバインディングサイトに誘引されたサンプルがさらにボロン酸の水素結合あるいはエステル結合により保持されていると考えられる。カテコールに関してIP1(-SOH)、IP2(-SOH)を比較すると、ボロン酸の入ったIP1(-SOH)のほうが保持係数が小さくなってしまっているが、これはボロン酸のOH 基がポリマー中に入ったため、ポリマーの親水度が増加し先ほど述べたポリマーとの疎水性相互作用を打ち消しているためであると考えられる。その結果、ジスルフィド結合だけで固定したIP2(-SOH)よりもボロン酸エステルとジスルフィドの両方で固定したIP1(-SOH)のほうが選択性の高いポリマーになっているといえる。
ボロン酸エステルは通常アルカリ性(PH8 以上)の条件下で強く結合するためアルカリ性の緩衝液を用いることでこのボロン酸エステルの相互作用が強く現れると思われるが、アルカリ性の緩衝液ではポリマー中のSOH基が中和されナトリウムなどの塩になってしまうことからSOH 基とアミノ基の酸・塩基相互作用の影響がほとんどでないことが考えられる。このため今回は中性付近の緩衝液を溶離液としたが、さらにほかのPH 緩衝液での保持係数と比較する必要があると思われる。
本発明にかかる分子認識ポリマーは、カテコールアミンに対して、高い吸着能、選択性を示す。それゆえ、本発明の分子認識ポリマーを用いることによって、生体試料などに含まれる微量のカテコールアミンを効率的に分離、抽出することが可能となる。
したがって、本発明にかかる分子認識ポリマーは、カテコールアミン吸着剤、カテコールアミンセンサ、吸着したカテコールアミンの輸送、カテコールアミンの濃縮等、種々の目的に応用されうる。それゆえ、本発明は、医薬品製造業、工業薬品製造業等の各種化学工業、さらには医療産業等に利用可能であり、しかも非常に有用であると考えられる。
本発明の実施形態の一例を示すものであり、ドーパミンを標的分子とする分子インプリンティング法を示す概念図である。 従来技術を示すものであり、分子インプリンティング法の概要を示す模式図である。
符号の説明
101 標的分子
102 機能性モノマー
103 架橋剤
104 ポリマー
105 インプリントポリマー
106 結合部位

Claims (7)

  1. 分子インプリンティング法により形成された、一般式(1)
    Figure 2005320422
    (式(1)中、Rは水素原子又は水酸基、Rは水素原子又は水酸基、Rはアミノ基、N−置換アミノ基、又は水酸基、Xは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基を示す。)
    で表される標的分子と結合できる1以上の官能基を特異的認識部位として有する分子認識ポリマーであって、
    上記官能基の少なくとも1つは、スルホン酸基であることを特徴とする、上記標的分子を認識する分子認識ポリマー。
  2. 上記スルホン酸基は、上記分子認識ポリマー中、上記標的分子のRと対応する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の分子認識ポリマー。
  3. 上記官能基として、さらに、ボロン酸基−B(OH)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の分子認識ポリマー。
  4. (I)少なくとも1種の一般式(2)又は(3)
    Figure 2005320422
    Figure 2005320422
    (式(2)中、Rは水素原子又は水酸基、Rは水素原子又は水酸基、Yは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基、Zは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基又は置換基を有するか有しないフェニレン基を示し、式(3)中、Aは置換基を有するか有しないフェニレン基又は置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基、Qは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基、Tは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基又は置換基を有するか有しないフェニレン基を示す。)
    で表されるモノマーと、
    (II)少なくとも1種の架橋剤とを含むポリマー原料を、共重合させて得られる重合体から、一般式(4)
    Figure 2005320422
    (式(4)中、Rは水素原子又は水酸基、Rは水素原子又は水酸基、Eは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基を示す。)
    で表される分子が遊離除去されている構造であって、
    さらに、重合体中の、メルカプト基がスルホン酸基に酸化されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の分子認識ポリマー。
  5. 上記標的分子は、カテコールアミンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の分子認識ポリマー。
  6. (I)少なくとも1種の一般式(2)又は(3)
    Figure 2005320422
    Figure 2005320422
    (式(2)中、Rは水素原子又は水酸基、Rは水素原子又は水酸基、Yは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基、Zは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基又は置換基を有するか有しないフェニレン基を示し、式(3)中、Aは置換基を有するか有しないフェニレン基又は置換基を有するか有しない炭素数1〜6アルキレン基、Qは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基、Tは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基又は置換基を有するか有しないフェニレン基を示す。)
    で表されるモノマーと、
    (II)少なくとも1種の架橋剤とを含むポリマー原料を、共重合させて重合体を得る重合工程と、
    上記重合工程で得られた重合体から、一般式(4)
    Figure 2005320422
    (式(4)中、Rは水素原子又は水酸基、Rは水素原子又は水酸基、Eは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基を示す。)
    で表される分子を遊離除去してインプリントポリマーを得る遊離除去工程とを含むことを特徴とする、一般式(1)
    Figure 2005320422
    (式(1)中、Rは水素原子又は水酸基、Rは水素原子又は水酸基、Rはアミノ基、N−置換アミノ基、又は水酸基、Xは置換基を有するか有しない炭素数1〜6のアルキレン基を示す。)
    で表される標的分子を認識する分子認識ポリマーの製造方法。
  7. さらに、上記遊離除去工程で得られたインプリントポリマーを酸化処理して、該インプリントポリマー中の、メルカプト基をスルホン酸基に酸化する酸化工程を含むことを特徴とする、請求項6に記載の分子認識ポリマーの製造方法。
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