JP2005320324A - ビス(アミノニトロフェニル)メタンおよびテトラアミノジフェニルメタンの製造方法 - Google Patents
ビス(アミノニトロフェニル)メタンおよびテトラアミノジフェニルメタンの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005320324A JP2005320324A JP2005112390A JP2005112390A JP2005320324A JP 2005320324 A JP2005320324 A JP 2005320324A JP 2005112390 A JP2005112390 A JP 2005112390A JP 2005112390 A JP2005112390 A JP 2005112390A JP 2005320324 A JP2005320324 A JP 2005320324A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- bis
- methane
- aminonitrophenyl
- nitrophenyl
- tetraaminodiphenylmethane
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Abstract
【課題】
本発明では、ビス(アミノニトロフェニル)メタン製造法の改良法を提供する。
【解決手段】
メチレンビス(ニトロアニリン)を特定の濃度の硫酸水溶液を用いてビス(アミノニトロフェニル)メタンとし、塩酸で洗浄することにより、高純度のビス(アミノニトロフェニル)メタンを製造することが可能となった。
このビス(アミノニトロフェニル)メタンは還元することにより、工業的に有用なテトラアミノジフェニルメタンとすることができる。
【選択図】なし
本発明では、ビス(アミノニトロフェニル)メタン製造法の改良法を提供する。
【解決手段】
メチレンビス(ニトロアニリン)を特定の濃度の硫酸水溶液を用いてビス(アミノニトロフェニル)メタンとし、塩酸で洗浄することにより、高純度のビス(アミノニトロフェニル)メタンを製造することが可能となった。
このビス(アミノニトロフェニル)メタンは還元することにより、工業的に有用なテトラアミノジフェニルメタンとすることができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、芳香族アミノ化合物の合成方法に関し、詳しくはビス(アミノニトロフェニル)メタンおよびテトラアミノジフェニルメタンの合成方法に関する。
本発明の合成方法による合成されたビス(アミノニトロフェニル)メタン、および、ビス(アミノニトロフェニル)メタンを還元することにより得られるテトラアミノジフェニルメタンは、ポリマー原料として有用である。
本発明の合成方法による合成されたビス(アミノニトロフェニル)メタン、および、ビス(アミノニトロフェニル)メタンを還元することにより得られるテトラアミノジフェニルメタンは、ポリマー原料として有用である。
特に、ポリカルボン酸化合物との反応により得られるポリアミド、ポリイミド樹脂は、超耐熱性樹脂として、航空宇宙産業、自動車産業などの分野において有用である。
また、テトラアミノジフェニルメタンと1,2−ジケトン構造を有するポリケトン化合物との反応により得られるキノキサリン樹脂も、超耐熱性樹脂として有用である。
また、テトラアミノジフェニルメタンと1,2−ジケトン構造を有するポリケトン化合物との反応により得られるキノキサリン樹脂も、超耐熱性樹脂として有用である。
従来、ビス(アミノニトロフェニル)メタンを合成する方法が数多く研究されている。
例えば、N,N’−ビス(2−ニトロフェニル)メチレンジアミンを塩酸中で反応させることによるビス(4−アミノ−3−ニトロフェニル)メタンの合成方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。この方法では、比較的高純度のビス(4−アミノ−3−ニトロフェニル)メタンを合成することができるが、高収率として得ることが難しく、その収率は40〜50%と低い。
例えば、N,N’−ビス(2−ニトロフェニル)メチレンジアミンを塩酸中で反応させることによるビス(4−アミノ−3−ニトロフェニル)メタンの合成方法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。この方法では、比較的高純度のビス(4−アミノ−3−ニトロフェニル)メタンを合成することができるが、高収率として得ることが難しく、その収率は40〜50%と低い。
また、o−ニトロアニリンとホルムアルデヒドを硫酸中で反応させることにより、ビス(アミノニトロフェニル)メタンを製造する、「単一工程によるビス(アミノニトロフェニル)メタンの製造方法」が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、収率97%、純度96%で得られることが記載されているが、本発明者らの追試したところによると、高分子量の副生物が副生し易く、この不純物の生成を抑制する反応条件のコントロールが困難であった。そのため、得られたビス(4−アミノ−3−ニトロフェニル)メタンの純度は、現実的には80%以下となることが多く、ポリマーの原料としての工業的製造方法としては、改良が必要と考えられた。
また、4,4’−ジアミノジフェニルメタンを原料として、アミノ基の保護、ニトロ化、加水分解、還元により、目的のビス(4−アミノ−3−ニトロフェニル)メタンが合成できることも知られている(例えば、非特許文献2参照。)。しかし、この4,4’−ジアミノジフェニルメタンを原料として用いる方法は、工程数が多く、煩雑な操作を必要とし、また、廃液も多くなるため、環境に対する負荷が大きい。
特開昭61−109758号公報
Chem.Ber.,33,(1900),254
J.Poly.Sci.:Part A,27,(1989),1515
本発明は、比較的簡便な操作で、高純度、高収率でビス(4−アミノ−3−ニトロフェニル)メタンを製造することを課題の一つとする。
本発明者らは、下記式(a)で表されるN,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジ
アミンを硫酸と水との存在下、下記式(b)で表されるビス(アミノニトロフェニル)メタンとし、得られたビス(アミノニトロフェニル)メタンを塩酸で洗浄することにより、ビス(アミノニトロフェニル)メタンが、高純度かつ高収率で得られることを見出し、本発明を完成させた。
アミンを硫酸と水との存在下、下記式(b)で表されるビス(アミノニトロフェニル)メタンとし、得られたビス(アミノニトロフェニル)メタンを塩酸で洗浄することにより、ビス(アミノニトロフェニル)メタンが、高純度かつ高収率で得られることを見出し、本発明を完成させた。
更に、原料のN,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンの純度を向上させておくとより良好な結果が得られる。
更にビス(アミノニトロフェニル)メタンは、還元することにより工業的に有用な純度のテトラアミノジフェニルメタンとすることができる。
更にビス(アミノニトロフェニル)メタンは、還元することにより工業的に有用な純度のテトラアミノジフェニルメタンとすることができる。
すなわち、本発明は例えば次の事項からなる。
(1)下記一般式(a)で表されるN,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンを、硫酸と水との存在下、下記一般式(b)で表されるビス(アミノニトロフェニル)メタンに転移させる反応工程と、
上記反応生成物から単離した式(b)で表されるビス(アミノニトロフェニル)メタンを塩酸で洗浄する精製工程とを含むことを特徴とするビス(アミノニトロフェニル)メタンの製造方法。
(1)下記一般式(a)で表されるN,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンを、硫酸と水との存在下、下記一般式(b)で表されるビス(アミノニトロフェニル)メタンに転移させる反応工程と、
上記反応生成物から単離した式(b)で表されるビス(アミノニトロフェニル)メタンを塩酸で洗浄する精製工程とを含むことを特徴とするビス(アミノニトロフェニル)メタンの製造方法。
(2)硫酸と水との総質量に対する硫酸の濃度が5〜90質量%であり、かつ、
硫酸の使用量が上記式(a)で表されるN,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンの使用量に対して等モル以上である上記(1)に記載のビス(アミノニトロフェニル)メタンの製造方法。
硫酸の使用量が上記式(a)で表されるN,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンの使用量に対して等モル以上である上記(1)に記載のビス(アミノニトロフェニル)メタンの製造方法。
(3)塩酸と水との総質量に対する塩酸の濃度が10質量%以上の濃度である上記(1)または(2)に記載のビス(アミノニトロフェニル)メタンの製造方法。
(4)単離された式(a)で表されるN,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンを用いることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のビス(アミノニトロフェニル)メタンの製造方法。
(4)単離された式(a)で表されるN,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンを用いることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のビス(アミノニトロフェニル)メタンの製造方法。
(5)単離された式(a)で表されるN,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンの液体クロマトグラフィによる純度が99.0%以上である上記(4)に記載のビス(アミノニトロフェニル)メタンの製造方法。
(6)転移させる反応工程における反応温度が20℃〜100℃の範囲であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のビス(アミノニトロフェニル)メタンの製造方法。
(7)上記式(a)で表されるN,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンがN,N’−ビス(2−ニトロフェニル)メチレンジアミンであり、上記式(b)で表されるビス(アミノニトロフェニル)メタンがビス(4−アミノ−3−ニトロフェニル)メタンである上記(1)〜(6)のいずれかに記載のビス(アミノニトロフェニル)メタンの製造方法。
(8)液体クロマトグラフィによる純度が90%以上である上記式(b)で表されるビス(アミノニトロフェニル)メタン。
(9)上記(1)〜(7)の製造方法で得られた上記(8)に記載のビス(アミノニトロフェニル)メタン。
(9)上記(1)〜(7)の製造方法で得られた上記(8)に記載のビス(アミノニトロフェニル)メタン。
(10)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の方法により製造されたビス(アミノニトロフェニル)メタンを還元することを特徴とするテトラアミノジフェニルメタンの製造方法。
(11)上記(8)または(9)に記載のビス(アミノニトロフェニル)メタンを還元することを特徴とするテトラアミノジフェニルメタンの製造方法。
(12)硫黄系還元剤、水素、塩化第一錫からなる群から選ばれるすくなくとも1種の還元剤により、還元を行うことを特徴とする上記(10)または(11)に記載のテトラアミノジフェニルメタンの製造方法。
(12)硫黄系還元剤、水素、塩化第一錫からなる群から選ばれるすくなくとも1種の還元剤により、還元を行うことを特徴とする上記(10)または(11)に記載のテトラアミノジフェニルメタンの製造方法。
(13)ビス(アミノニトロフェニル)メタンがビス(4−アミノ−3−ニトロフェニル)メタンであり、テトラアミノジフェニルメタンが3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルメタンである上記(10)〜(12)のいずれかに記載のテトラアミノジフェニルメタンの製造方法。
本発明の方法を用いれば、収率良く、高純度でビス(アミノニトロフェニル)メタンを製造することができる。
更に、該ビス(アミノニトロフェニル)メタンを還元することにより、工業的に有用な純度のテトラアミノジフェニルメタンを製造することができる。
更に、該ビス(アミノニトロフェニル)メタンを還元することにより、工業的に有用な純度のテトラアミノジフェニルメタンを製造することができる。
本発明は、N,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンを硫酸と水の存在下、ビス(アミノニトロフェニル)メタンに転移させる反応工程と該反応生成物から単離したビス(アミノニトロフェニル)メタンを塩酸で洗浄する精製工程を含むビス(アミノニトロフェニル)メタンの製造法である。
本発明に用いられるN,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンは、公知の方法により製造することができる。例えば、仏国特許1462569には、o−ニトロアニリンとホルムアルデヒドを反応させることによるN,N’−ビス(2−ニトロフェニル)メチレンジアミンの合成法について記載してあり、ホルムアルデヒドの40%水溶液とo−ニトロアニリンとを水およびエタノールの混合溶剤中で反応させることにより、N,N’−ビス(2−ニトロフェニル)メチレンジアミンを得ることができる。
また、o−ニトロアニリンとホルムアルデヒドとを硫酸の存在下に反応させて得たN,
N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンを単離せずに転移反応に用いてもよい。
本発明では、N,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンは、単離精製して用いることが好ましい。精製は、エタノール等の溶媒で洗浄、再結晶等により行うことができる。N,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンの純度は、実施例で記載した液体クロマトグラフィ法による純度で、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上である。
N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンを単離せずに転移反応に用いてもよい。
本発明では、N,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンは、単離精製して用いることが好ましい。精製は、エタノール等の溶媒で洗浄、再結晶等により行うことができる。N,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンの純度は、実施例で記載した液体クロマトグラフィ法による純度で、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上である。
また、本発明の転移反応工程で用いられる硫酸は、一般市販のものでよく、水と混合して用いることができる。水と硫酸とを混合した状態における、水と硫酸との総質量に対する濃度は、5質量%〜90質量%であることが好ましく、10質量%〜40質量%であることがより好ましい。さらに、硫酸使用量の総量が、原料のN,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンの使用量と等モル以上となるように用いることが好ましい。硫酸濃度が5質量%より低い、あるいは、硫酸使用量の総量が原料の等モル以下である場合は、反応が十分に進行せず、中間体等の副生成物が増加する傾向にある。また、硫酸濃度が90質量%より高い場合は、オリゴマー等の副生成物が増加し、ビス(アミノニトロフェニル)メタンの純度は低下する傾向にある。
N,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンと硫酸水溶液との使用量の上限は特に制限はないが、多く用いすぎると生産性が悪くなるので、生産性の観点からは、メチレンビス(ニトロアニリン)1質量部に対し硫酸水溶液が20質量部以下となるように硫酸水溶液を使用することが好ましい。また、下限は、上記の様にN,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンに対する硫酸使用量の総量に応じて決まるが、一般に、硫酸水溶液が5質量部より少ないと、反応混合物のスラリー濃度が高くなり、攪拌、取出しが困難となるので好ましくない傾向にある。
転移反応の温度は、20℃〜100℃の範囲が好ましく、60℃〜100℃の範囲がより好ましい。反応温度が上記範囲内にあれば、反応の進行が早く、また反応の選択率にも優れる。
反応混合物から生成物を取り出す方法としては、冷却後に生成した固体を濾別する方法を使用することができる。その際、濾別前の反応混合物中に水を投入することにより、目的物の収率を向上させることができる。
本発明は、硫酸の水溶液中で反応し、取り出したビス(アミノニトロフェニル)メタン粗製物の固体を更に塩酸で洗浄することにより、純度を向上することができるというものである。塩酸による洗浄方法は、通常固体を洗浄する方法であれば、いかなる方法でも構わない。リンズ、再スラリー化してろ過等通常用いる方法が使用可能である。洗浄する塩酸の濃度は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。また、加圧条件下で洗浄を行う場合は、50質量%を超える高濃度の塩酸を用いることも可能であるが、加圧を行わない条件下では、通常、45質量%以下、好ましくは40質量%以下の濃度の塩酸を用いることができる。上記範囲以下の濃度の塩酸であれば、塩酸の取り扱いが容易である。また、塩酸は市販の濃塩酸をそのまま用いてもよい。
塩酸洗浄後塩酸残分を少なくするために、希アルカリ水溶液で洗浄することも有効である。その希アルカリ分については、最後に水で洗浄することにより、生成物と分離することができる。
洗浄後の湿潤固体は、一般に使用される乾燥方法により乾燥し、水分を除去することができる。例えば、大気圧下で加熱することにより乾燥しても良く、減圧下で加熱することにより乾燥してもよい。
このようにして得られたビス(アミノニトロフェニル)メタンは、通常のニトロ基の還元方法を用いることにより、ポリマー原料として有用なテトラアミノジフェニルメタンとすることができる。還元方法としては、硫化ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウムなどの硫黄系還元剤を使用する方法や、水素を用いた還元反応、および、塩化第一錫を用いる還元反応などのような方法を使用することができる。
〔実施例〕
以下に本発明について代表的な例を示し具体的に説明する。本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
〔実施例〕
以下に本発明について代表的な例を示し具体的に説明する。本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
<調製例>
N,N’−ビス(2−ニトロフェニル)メチレンジアミンの製造方法
2リットルの四つ口フラスコに、攪拌装置、温度計、およびジムロート冷却管を備えた反応器を準備した。この反応器に、o−ニトロアニリン(東京化成製試薬 66.85g)とエタノール(純正化学試薬特級99% 670ml)とイオン交換水(670ml)とを入れ、70℃に加熱した。30分後、反応器にホルムアルデヒド水溶液(東京化成試薬 36質量%水溶液 33.33g)を投入し1時間加熱還流した。その後、ジムロート冷却管をリービッヒ冷却管に交換し、5時間かけて、約670mlの液体を留出させた。反応混合物を自然冷却し、析出した黄色の結晶性固体を濾過し、200mlのエタノールで2回洗浄し、75℃で真空乾燥することにより、黄色の結晶性粉末を68.91g取得した。収率99.8%。得られた結晶性粉末は、1H−NMR(JEOL製AL−400)から、N,N’−ビス(2−ニトロフェニル)メチレンジアミンと同定した。また、得られた結晶性粉末の高速液体クロマトグラフ分析(以下LC分析)を行ったところ、そのLC純度は99.3area%であった。(LC分析条件:カラム=shodex ODSpak F−411。分析温度=40℃。溶離液=燐酸二水素ナトリウム(2.72g)と水(1000ml)とアセトニトリル(1000ml)の混合溶液。送液速度=1ml/min。検出器=UV(265nm)以下同じ)
<実施例1>
ビス(4−アミノ−3−ニトロフェニル)メタンの合成
100mlの三ツ口フラスコに、調製例1で得られたN,N’−ビス(2−ニトロフェニル)メチレンジアミン1.44gと、30質量%硫酸水溶液10gとを入れ、これらを混合し、80℃で8時間反応させた。黄色のスラリーが橙色のスラリーに変化した。反応終了後、反応混合物を濾過、水洗(20mlを2回)、乾燥することにより、橙色の粉末が1.32g得られた。このときの橙色の粉末のLC純度は86%であった。
N,N’−ビス(2−ニトロフェニル)メチレンジアミンの製造方法
2リットルの四つ口フラスコに、攪拌装置、温度計、およびジムロート冷却管を備えた反応器を準備した。この反応器に、o−ニトロアニリン(東京化成製試薬 66.85g)とエタノール(純正化学試薬特級99% 670ml)とイオン交換水(670ml)とを入れ、70℃に加熱した。30分後、反応器にホルムアルデヒド水溶液(東京化成試薬 36質量%水溶液 33.33g)を投入し1時間加熱還流した。その後、ジムロート冷却管をリービッヒ冷却管に交換し、5時間かけて、約670mlの液体を留出させた。反応混合物を自然冷却し、析出した黄色の結晶性固体を濾過し、200mlのエタノールで2回洗浄し、75℃で真空乾燥することにより、黄色の結晶性粉末を68.91g取得した。収率99.8%。得られた結晶性粉末は、1H−NMR(JEOL製AL−400)から、N,N’−ビス(2−ニトロフェニル)メチレンジアミンと同定した。また、得られた結晶性粉末の高速液体クロマトグラフ分析(以下LC分析)を行ったところ、そのLC純度は99.3area%であった。(LC分析条件:カラム=shodex ODSpak F−411。分析温度=40℃。溶離液=燐酸二水素ナトリウム(2.72g)と水(1000ml)とアセトニトリル(1000ml)の混合溶液。送液速度=1ml/min。検出器=UV(265nm)以下同じ)
<実施例1>
ビス(4−アミノ−3−ニトロフェニル)メタンの合成
100mlの三ツ口フラスコに、調製例1で得られたN,N’−ビス(2−ニトロフェニル)メチレンジアミン1.44gと、30質量%硫酸水溶液10gとを入れ、これらを混合し、80℃で8時間反応させた。黄色のスラリーが橙色のスラリーに変化した。反応終了後、反応混合物を濾過、水洗(20mlを2回)、乾燥することにより、橙色の粉末が1.32g得られた。このときの橙色の粉末のLC純度は86%であった。
得られた橙色の粉末0.48gと濃塩酸5.09gとを混合し、60℃で150分加熱攪拌した。これを冷却、濾過、水洗(5ml)、乾燥することにより、薄橙色の粉末が0.39g得られた。得られた薄橙色粉末は、1H−NMRにより、ビス(4−アミノ−3−ニトロフェニル)メタンと同定した。換算したトータル収率75%。LC純度は95%。
<実施例2〜5>
硫酸濃度が10、50、70、90質量%である硫酸水溶液を10g使用した以外は実施例1と同様の操作により、橙色の粉末を得た。収量、収率、LC純度の結果は下記の表2および表3の通りであった。
<実施例2〜5>
硫酸濃度が10、50、70、90質量%である硫酸水溶液を10g使用した以外は実施例1と同様の操作により、橙色の粉末を得た。収量、収率、LC純度の結果は下記の表2および表3の通りであった。
<参考例1>
1質量%の硫酸を10g使用した以外は実施例1の塩酸洗浄前までと同様の操作により、黄橙色の粉末を得た。収量1.2g、収率97%、LC純度30%
<比較例1>
100mlの三ツ口フラスコに、調製例1で得られたN,N’−ビス(2−ニトロフェニル)メチレンジアミン1.22gと、濃塩酸15gとを入れ、これらを混合し、98℃で2時間反応させた。反応混合物は一旦溶解するものの、反応後冷却すると橙色のスラリーとなった。反応終了後、反応混合物を濾過、濃塩酸洗浄、水洗、乾燥することにより、橙色の粉末が0.54g得られた。収率45%。得られた橙色の粉末は目的のビス(4−アミノ−3−ニトロフェニル)メタンであり、そのLC分析の結果、LC純度は96%であった。
<実施例6>
300mlの三ツ口フラスコに、o−ニトロアニリン(東京化成製試薬 27.62g)と水(88g)とトリメチルドデシルアンモニウムブロマイド(東京化成製試薬 2.00g)とを入れ、これらを混合し、反応器を水冷しながら濃硫酸(58g)を滴下した。室温に冷却後、ホルムアルデヒド水溶液(36質量% 8.60g)を投入し、100℃で4時間加熱攪拌した。得られた赤橙色のスラリーを、濾過、水洗し、さらに、5%炭酸ナトリウム水溶液で洗浄、水洗、乾燥することにより、橙色の粉末を得た。収量27.04g。収率94%(o−ニトロアニリンに対する収率)。LC純度78%。
1質量%の硫酸を10g使用した以外は実施例1の塩酸洗浄前までと同様の操作により、黄橙色の粉末を得た。収量1.2g、収率97%、LC純度30%
<比較例1>
100mlの三ツ口フラスコに、調製例1で得られたN,N’−ビス(2−ニトロフェニル)メチレンジアミン1.22gと、濃塩酸15gとを入れ、これらを混合し、98℃で2時間反応させた。反応混合物は一旦溶解するものの、反応後冷却すると橙色のスラリーとなった。反応終了後、反応混合物を濾過、濃塩酸洗浄、水洗、乾燥することにより、橙色の粉末が0.54g得られた。収率45%。得られた橙色の粉末は目的のビス(4−アミノ−3−ニトロフェニル)メタンであり、そのLC分析の結果、LC純度は96%であった。
<実施例6>
300mlの三ツ口フラスコに、o−ニトロアニリン(東京化成製試薬 27.62g)と水(88g)とトリメチルドデシルアンモニウムブロマイド(東京化成製試薬 2.00g)とを入れ、これらを混合し、反応器を水冷しながら濃硫酸(58g)を滴下した。室温に冷却後、ホルムアルデヒド水溶液(36質量% 8.60g)を投入し、100℃で4時間加熱攪拌した。得られた赤橙色のスラリーを、濾過、水洗し、さらに、5%炭酸ナトリウム水溶液で洗浄、水洗、乾燥することにより、橙色の粉末を得た。収量27.04g。収率94%(o−ニトロアニリンに対する収率)。LC純度78%。
得られた橙色の粉末0.48gと濃塩酸5.00gとを混合し、60℃で150分加熱攪拌した。これを冷却、濾過、水洗(5ml)、乾燥することにより、薄橙色の粉末が0.31g得られた。得られた薄橙色粉末は、1H−NMRにより、ビス(4−アミノ−3−ニトロフェニル)メタンと同定した。換算したトータル収率61%。LC純度は92%。
<実施例7>
100mlの三口フラスコに、実施例1で得られたビス(4−アミノ−3−ニトロフェニル)メタン(1.0g)、硫化ナトリウム9水和物(4.3g)、水酸化ナトリウム(0.2g)、水(6.2g)およびメタノール(4.8g)を入れ、16時間加熱還流した。反応混合物を冷却後、生成した肌色の沈殿を濾過、水洗(5mlを2回)、真空乾燥することにより、肌色の粉末を0.59g得た。この肌色の粉末は、LCおよび1H-N
MRにより、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルメタンであると同定された。
収率74%。LC純度95%。
<実施例7>
100mlの三口フラスコに、実施例1で得られたビス(4−アミノ−3−ニトロフェニル)メタン(1.0g)、硫化ナトリウム9水和物(4.3g)、水酸化ナトリウム(0.2g)、水(6.2g)およびメタノール(4.8g)を入れ、16時間加熱還流した。反応混合物を冷却後、生成した肌色の沈殿を濾過、水洗(5mlを2回)、真空乾燥することにより、肌色の粉末を0.59g得た。この肌色の粉末は、LCおよび1H-N
MRにより、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルメタンであると同定された。
収率74%。LC純度95%。
Claims (13)
- 硫酸と水との総質量に対する硫酸の濃度が5〜90質量%であり、かつ、
硫酸の使用量が上記式(a)で表されるN,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンの使用量に対して等モル以上である請求項1に記載のビス(アミノニトロフェニル)メタンの製造方法。 - 塩酸と水との総質量に対する塩酸の濃度が10質量%以上の濃度である請求項1または2に記載のビス(アミノニトロフェニル)メタンの製造方法。
- 単離された式(a)で表されるN,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のビス(アミノニトロフェニル)メタンの製造方法。
- 単離された式(a)で表されるN,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンの液体クロマトグラフィによる純度が99.0%以上である請求項4に記載のビス(アミノニトロフェニル)メタンの製造方法。
- 転移させる反応工程における反応温度が20℃〜100℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のビス(アミノニトロフェニル)メタンの製造方法。
- 上記式(a)で表されるN,N’−ビス(ニトロフェニル)メチレンジアミンがN,N’−ビス(2−ニトロフェニル)メチレンジアミンであり、上記式(b)で表されるビス(アミノニトロフェニル)メタンがビス(4−アミノ−3−ニトロフェニル)メタンである請求項1〜6のいずれかに記載のビス(アミノニトロフェニル)メタンの製造方法。
- 液体クロマトグラフィによる純度が90%以上である上記式(b)で表されるビス(アミノニトロフェニル)メタン。
- 請求項1〜7の製造方法で得られた請求項8に記載のビス(アミノニトロフェニル)メタン。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の方法により製造されたビス(アミノニトロフェニル)メタンを還元することを特徴とするテトラアミノジフェニルメタンの製造方法。
- 請求項8または9に記載のビス(アミノニトロフェニル)メタンを還元することを特徴とするテトラアミノジフェニルメタンの製造方法。
- 硫黄系還元剤、水素、塩化第一錫からなる群から選ばれるすくなくとも1種の還元剤により、還元を行うことを特徴とする請求項10または11に記載のテトラアミノジフェニルメタンの製造方法。
- ビス(アミノニトロフェニル)メタンがビス(4−アミノ−3−ニトロフェニル)メタンであり、テトラアミノジフェニルメタンが3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルメタンである請求項10〜12のいずれかに記載のテトラアミノジフェニルメタンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005112390A JP2005320324A (ja) | 2004-04-08 | 2005-04-08 | ビス(アミノニトロフェニル)メタンおよびテトラアミノジフェニルメタンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004114295 | 2004-04-08 | ||
JP2005112390A JP2005320324A (ja) | 2004-04-08 | 2005-04-08 | ビス(アミノニトロフェニル)メタンおよびテトラアミノジフェニルメタンの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005320324A true JP2005320324A (ja) | 2005-11-17 |
Family
ID=35467845
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005112390A Pending JP2005320324A (ja) | 2004-04-08 | 2005-04-08 | ビス(アミノニトロフェニル)メタンおよびテトラアミノジフェニルメタンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005320324A (ja) |
-
2005
- 2005-04-08 JP JP2005112390A patent/JP2005320324A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6183790B2 (ja) | 新規アリル化合物及びその製造方法 | |
JP2008063314A (ja) | 環境調和型超原子価ヨウ素試剤 | |
TWI455914B (zh) | 茀衍生物之製造方法 | |
KR101002061B1 (ko) | 4-아미노메틸벤조산 제조방법 | |
CN109956871B (zh) | 一种3,4,5-三氟-2’-硝基联苯的制备方法 | |
JP2005320324A (ja) | ビス(アミノニトロフェニル)メタンおよびテトラアミノジフェニルメタンの製造方法 | |
JP5000645B2 (ja) | 3,4−ジクロロイソチアゾールカルボン酸の調製方法 | |
JP2006001888A (ja) | イソシアヌル酸化合物 | |
CN101918349B (zh) | 制备双醋瑞因的方法 | |
CN110746323A (zh) | 一种高效Fmoc-Glu(Otbu)-OH的工业化生产方法 | |
JP3000731B2 (ja) | オキシフラバン類の製造法 | |
CN100357245C (zh) | 2,5-二卤代苯甲酸的制备方法 | |
JP3823305B2 (ja) | フェノール化合物およびその製造方法 | |
CN111848423B (zh) | 3-氧代环丁基氨基甲酸叔丁酯的制备方法 | |
KR20140050901A (ko) | 고순도 4-아미노메틸벤조산의 제조방법 | |
US20070093682A1 (en) | Method for producing 2,3,6,7,10,11-hexahydroxytriphenylene | |
WO2022191139A1 (ja) | 3-ブロモ-1-(3-クロロピリジン-2-イル)-1h-ピラゾール-5-カルボン酸エステルの製造方法 | |
JPS60237039A (ja) | ベンザルアセトフエノン及びその誘導体の製造方法 | |
KR20170136165A (ko) | 4'-히드록시-4-비페닐카르복실산의 신규 제조 방법 | |
JP2005263750A (ja) | 高純度5−ヒドロキシキノリンの製造方法 | |
JP4400923B2 (ja) | 1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)チオイソシアヌル酸 | |
CN114539066A (zh) | 一种绿色高效合成2-苯甲酰基-3-硝基苯甲酸的方法 | |
KR101521607B1 (ko) | 메틸 4-포밀벤조에이트와 디메틸테레프탈레이트를 고수율로 분리회수하는 방법 | |
WO2023080193A1 (ja) | インドール化合物の製造方法 | |
JPS60132929A (ja) | m−ヒドロキシアセトフエノンの製造法 |