JP2005319700A - 感熱記録体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い記録画質を維持したまま、高密度・高印画熱エネルギーによる記録においても、記録後の印画カールの少ない感熱記録体を提供する。
【解決手段】 二軸延伸されたフィルムからなる支持体の一方の面に、ロイコ染料と呈色剤を含有する感熱記録層と、を有し、全体として、室温から150℃以上200℃以下の温度領域まで昇降温伸縮測定した際の20℃における測定値が、下記式(1)および(2)の関係を同時に満足する感熱記録体。
−1% ≦Sχ≦ +1% (1) −5 ≦S0/ S90≦+5 (2)
〔ただし、Sは、20℃における伸縮率測定値を表し、また、符号:マイナス(−)及びプラス(+)はそれぞれ収縮及び伸長を意味し、添字χは、記録体の縦方向(MD)を0°、横方向(TD)を90°とした時のすべての方向角度値を表す〕
【選択図】 なし

Description

本発明は、ロイコ染料と呈色剤との発色反応を利用した感熱記録体及びその製造方法に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は、高速記録が可能であって、記録画像が鮮明であり、記録時にカールすることがない、又は少ない高性能の感熱記録体及びその製造方法に関するものである。
ロイコ染料と呈色剤との発色反応を利用した感熱記録体は、その記録装置がコンパクトであり、しかも安価であり、かつ保守が容易であることなどの利点を有し、ファクシミリや自動券売機、科学計測機の記録用媒体として有用であり、かつPOSラベル、CAD,CRT医療画像用などの各種プリンター、プロッターの記録媒体としても広く使用されている。これらの用途の中で高い耐水性、及び/又は引張強度が必要な場合、及び記録画像の高い均一性及び、高解像度が必要な場合、例えばCRT医療計測用の画像プリンター、並びに、記録媒体が高い寸法安定性を有することが必要な場合、例えば細線記録の必要なCADプロッターなどには、複層構造を有する合成紙、並びに必要に応じて無機顔料を含有し、かつ二軸延伸を施して高強度化した熱可塑性樹脂フィルムなどが記録用媒体の支持体として多用されている。
市販の複層構造を有する合成紙は、例えばポリオレフィン系樹脂と白色無機顔料を加熱混練し、ダイから押し出し、縦方向に延伸したフィルム(又はシート)の両面に、ポリオレフィン系樹脂と白色無機顔料からなるフィルムを片面当たり1〜2層積層し、この積層体をさらに横方向に延伸して製造されたものである。また一般の延伸熱可塑性樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂、及びポリエステル系樹脂などの熱可塑性樹脂の1種あるいは2種以上の混合物を、ダイからフィルム状に押し出し、製造流れ方向(MD)およびそれに対し直角をなす方向(TD)に、順次に延伸(逐次二軸延伸)したもの、あるいは、熱可塑性樹脂に白色の無機顔料を加熱混練し、この混練混合物をダイからフィルム状に押し出し、逐次二軸延伸したものである。しかしながら、このような延伸性履歴を有する熱可塑性樹脂フィルムを支持体として含む記録材料に、サーマルヘッドで密度の高い加熱記録を行うと、熱の支持体表面への局所的伝播によって、支持体が、その加熱面側を主として熱収縮するので、記録面側にカール(トップカール)が発生したり、支持体にボコツキが発生してしまう。このため、記録材料がシャウカステンから外れ易くなり取り扱いが不便になるだけでなく、外観を著しく損なってしまうという問題がある。
記録後に、記録材料に発生する前記のカール(以下、印画カールと呼ぶ)及びボコツキに対する防止性を向上させるために、フィルム支持体上に、融点が35〜150℃の熱可塑性化合物を含む下塗り層を設ける技法(特許文献1:特開平11−254832号公報)、密度を調整した下塗り層を設ける技法(特許文献2:特開平11−099748号公報)、紙等と積層させた支持体を用いる技法(特許文献3:特開平10−067173号公報)、支持体の熱収縮率を一定範囲内にコントロールし、かつ、中空粒子を含有する中間層を設ける技法(特許文献4:特開平08−108626号公報)、支持体面上に鉱油を含浸してなる塗布層を設ける技法(特許文献5:特開平05−221126号公報)、さらに、顔料が40〜90%含有する下塗り層を設ける技法(特許文献6:特開平4−364984号公報)などが開示されている。しかしながら、近年の高度情報化社会の進展に伴って、一方では記録面の美観の一更の向上に関する市場要求がさらに高まり、他方ではプリンターの高速化に伴うサーマルヘッドの高温化、記録の高密度化が計られ、それに起因して、カール発生が頻発している。特に、医療用の透明型感熱記録体の場合、高い光透過濃度とコントラストの明確な印画濃度の両立が必須であるため、サーマルヘッドで負荷する印画熱エネルギーが一層大きくなり、印画カールがより一更発生しやすくなっている。このため、様々の用途において、感熱記録体の記録特性及びカール防止性の一層の向上が、望まれている。
このようなさらなる市場要求に対して、特開2003−266943号公報(特許文献7)においては、120℃における熱収縮率を1%未満に抑制し、かつ、水溶性バインダーによるバック層を設ける技術が開示されている。しかしながら、本技術によって改良された感熱記録体においても、まだ市場要求を充分に満足するに至っていない状況にある。また、二軸延伸フィルムの「ボーイング現象」については、下記非特許文献1に記載されている。
特開平11−254832号公報(第2〜3頁) 特開平11−099748号公報(第2〜3頁) 特開平10−067173号公報(第2頁) 特開平08−108626号公報(第2〜3頁) 特開平05−221126号公報(第2〜3頁) 特開平04−364984号公報(第2〜3頁) 特開2003−266943号公報(第2〜4頁) 坂本国輔、「合成樹脂」、37巻11号52頁(1991)
本発明が解決しようとする課題は、記録画質やプリンター走行性などの品質特性を高いレベルに維持したまま、例えば、超高速型プリンターや医療用画像などのように、高密度・高印画熱エネルギーによる記録においても、記録後に、記録体にカール発生のない、又は少ない感熱記録体の提供にある。
本発明の感熱記録体は、二軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムからなる支持体と、その一面上に形成され、かつロイコ染料と発色剤とを含有する感熱記録層と、を含む感熱記録体において、この感熱記録体の、室温から150℃以上200℃以下の温度領域までの温度昇降に伴う伸縮率の測定試験において、温度20℃における伸縮測定値が、下記式(1)及び(2):
−1%≦Sχ≦+1% (1)
−5≦S0/S90≦+5 (2)
〔但し、式(1)及び(2)中、Sは前記温度昇降−伸縮率測定試験における温度20℃の伸縮率を表し、符号:マイナス(−)は収縮を意味し、プラス(+)は伸長を意味し、添字χは、前記感熱記録体の縦方向(MD)角を0°とし、横方向(TD)角を90°としたときのすべての伸縮方向角度を表す〕
により表される要件を同時に満足することを特徴とするものである。式(2)において、S0及びS90は、それぞれ、感熱記録体の縦方向、及び横方向の伸縮率測定値を表す。
本発明の感熱記録体において、前記支持体を形成する前記二軸延伸されたフィルムの平均複屈折率が、下記式(3):
−0.006≦P≦+0.006 (3)
〔但し、式(3)中、Pは、下記式(4)〜(7):
P=(1/3)×(Δnyx+Δnyz+Δnzx) (4)
Δnyx=Ny−Nx (5)
Δnyz=Ny−Nz (6)
及び
Δnzx=Nz−Nx (7)
〔但し、式(4)〜(7)中、Nx、Ny、及びNzは、それぞれ、前記フィルムのTD方向、MD方向、及び厚さ方向の屈折率を表す〕
により規定される平均複屈折率を表す〕
を満足することが好ましい。
本発明の感熱記録体において、前記支持体を形成する二軸延伸フィルムの、マイクロ波法分子配向計で測定された分子配向度(MOR値)が5.0以下であることが好ましい。
本発明の感熱記録体において、前記感熱記録体全体の、室温から150℃以上200℃以下の温度領域まで温度昇降したときの最大伸長値を示す温度が、100℃以上であることが好ましい。
本発明の感熱記録体において、前記支持体を形成する二軸延伸フィルムが、ポリエチレンテレフタレートを主成分として含むことが好ましい。
本発明の感熱記録体において、前記支持体用二軸延伸フィルムが、60〜130℃の範囲内のTgを有することが好ましい。
本発明の感熱記録体において、前記支持体の厚さが、100〜200μmであることが好ましい。
本発明の感熱記録体において、前記支持体の他方の面(バック面)に形成され、かつ疎水性ポリマーをバインダーとして含むバック塗布層を更に含んでいてもよい。
本発明の感熱記録体において、前記支持体の他方の面(バック面)に形成され、かつ硬化性液状ポリマーをバインダーとして含む硬化バック層を更に含んでいてもよい。
本発明の前記請求項1〜9のいずれか1項に記載の感熱記録体を製造する方法は、二軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムに、そのTg温度以上融点以下の温度範囲内の熱処理を1回以上施し、この熱処理されたフィルムを支持体として用い、その一方の面に、ロイコ染料と呈色剤とを含む塗布液を塗布し、乾燥して、感熱記録層を形成することを含むものである。
本発明の前記請求項8又は9に記載の感熱記録体を製造する方法は、二軸延伸された熱可塑性フィルムからなる支持体の裏面に、疎水性ポリマーをバインダーとして含む、バック塗布層用塗布液、又は硬化性液状ポリマーをバインダーとして含む硬化バック層用塗布液を塗布し、この塗布層の乾燥と同時に、前記支持体に、そのTg温度以上融点以下の温度範囲内の熱処理を1回以上施して、前記熱処理されたフィルムからなる支持体を形成し、この支持体の表面に、ロイコ染料と呈色剤とを含む塗布液を塗布し、乾燥して、感熱記録層を形成することを含むものである。
本発明の感熱記録体は、高密度・高印画熱エネルギーによる記録においても、記録画像が鮮明であって、しかも記録後にカール発生のない、又は少ないという効果を有するものである。
本発明の感熱媒体は、室温から印画記録する際の温度に相当する150℃以上200℃以下の温度領域までの、温度昇降に伴う感熱記録体の寸法伸縮率を、例えば熱機械分析装置(TMA)を用いて、測定したとき、温度20℃における伸縮率測定値が、前記式(1)および(2)の関係を同時に満足する、異方性状態を有していることを特徴とするものであって、記録後のカール発生が実用上充分に小さいという特長を有するものである。式(1)は感熱記録体が、すべての方向χにおいて、−1%〜+1%の伸縮率Sを有することを示す。
前記の如く、従来の印画に伴うカール発生を抑制する手段の一つとしては、例えば、特開2003−266943号公報(特許文献7)においては、フィルム支持体の120℃熱収縮率を一定範囲内に抑制することにより、この課題の解決が試みられてきた。しかしながら、120℃、一定時間の収縮条件は、印画記録する際のサーマルヘッドの温度一時間条件より低すぎ、このため熱収縮試験条件では、実際上の印画におけるカール発生条件について充分な相関関係を有していない。しかるに、本発明では、150℃以上つまり印画記録する際のサーマルヘッドの温度に十分近い温度まで昇温する温度条件で試験を採用することにより、それによって得られる伸縮率値が、印画に伴うカール発生条件と高い相関を有していることを見出した。昇温する上限温度は、150℃以上200℃以下の範囲内に設定することが好ましい。室温から150℃未満の温度域により得られる伸縮率値は、印画に伴うカール発生との相関が低くなり、試験評価方法としては好ましくない。また200℃より高い温度域は、多くの有機高分子系フィルムの融点に近く、あるいは、それを超えてしまうため、試験により記録体が液状化するおそれがあり好ましくない。したがって、昇温上限温度は、150℃以上200℃までの、フィルム支持体が融解しない温度範囲において適宜選択され得る。
本発明に係る伸縮率試験は、記録体全体に適用され、その結果が評価される。従来の評価方法では、記録体中のフィルム成分又は支持体成分のみの評価が多かったが、記録体全体の評価の方が、印画するシートそのものの評価となるため、印画カールとの相関がより得られ好ましい。
伸縮試験方法において、熱機械分析装置(TMA)を用いることが好ましい。この装置のメーカー、型式などには、特に制限はないが、測定に用いる治具(プローブ)として、石英製の引張りプローブを用いるのが好ましい。石英製プローブによるTMA試験では、0.01%の伸縮変化も十分な精度で測定可能であるため、本発明の感熱記録体の、ごく僅かな伸縮が大きなカールを生み出す現象の試験方法としては、上記試験装置が通常の熱収縮試験装置より好適である。
TMA試験の測定モードとしては、荷重制御モードを用いることが好ましい。供試試料が負荷する静荷重は、できるだけ小さいことが好ましいが、測定時の試料のたわみを防止する目的で、本発明に適用する測定条件として、幅4mmの試料片に対して49.0mN(5gf)の静荷重を負荷する。
TMA試験における昇降温方法及び昇降温速度には、特に制限はない。試験装置付属の加熱炉をそのまま用いてもよいし、或は前記加熱炉の代りに、溶媒を満たした循環恒温炉等の特殊炉を用いてもよい。また、プログラム制御による一定昇温速度にて、試験上限温度まで昇温させてもよいし、或は予め、昇温上限温度まで加熱しておいた炉あるいは、恒温槽液中に、試験片を素早く入れる方法などによって、急速に昇温させてもよい。プログラム制御による一定昇温の場合の昇温速度としては、プログラム通りの安定した昇温状態が得られるように、1℃/min〜20℃/minの昇温速度を用いることが好ましく、1℃/min〜10℃/minであることがより好ましい。20℃/min以上の昇温速度では、プログラム温度と実際の昇温温度との乖離が過大になることがある。
本発明の感熱記録体用の、印画に伴うカール発生の抑制に効果的な、温度20℃におけるTMA伸縮率値は、本発明では、前記式(1)と式(2)の関係を同時に満足することが必要である。つまり、感熱記録体全体の全方向χにおけるTMA伸縮率値Sχが、−1%〜+1%の範囲内(但し、マイナスは収縮を表しプラスは伸長を表す)であり、かつ縦方向(MD)と横方向(TD)のTMA伸縮率値のS0/S90比が、−5〜+5の範囲内になければならない。
本発明に係る検討の結果、その異方性状態が、印画カール発現に大きく寄与し、単一方向の熱伸縮率だけではなく、全方向における熱伸縮率を小さくする必要があることを見出した。したがって、感熱記録体の全方向の伸縮率Sχが、−1%〜+1%であることが必要であり、好ましくは、−0.8%〜+0.8%であり、より好ましくは、−0.7%〜+0.7%である。この範囲を超えるような熱伸縮率値の場合には、サーマルヘッドの熱による伸縮変形が大きくなるため、印画に伴うカール発生防止が不十分になる。また、特定の方向角度だけ(例えば、従来の縦、横の方向のみ)前記伸縮率値範囲を満たしていても、記録後にネジレカールを引き起こす原因になることがある。
このように全方向において伸縮率Sχが±1%の範囲内にあり、しかもTMA伸縮率値の縦(MD)/横(TD)の比(S0/S90)が、−5〜+5の範囲内になければならない。例え前記式(1)の伸縮率Sχの値が、±1%の範囲条件を満たしたとしても、TMA伸縮率値の縦/横 比(S0/S90)が、−5〜+5の範囲を超えるような異方性が強い伸縮特性を有する場合には、印画に伴うカールが強く発生されるから、実用上好ましくない。したがって、本発明の感熱記録体においては、前記式(1)および(2)の要件を同時に満たす必要がある。これらの一つでも不満足であってはならない。
上記全方向の伸縮率(Sχ)値や、その縦横比(S0/S90)の関係は、そのどれか一つの伸縮率条件を規制すれば、自ずと全て規制範囲内に抑制できるように思われるが、必ずしもそうではない。二軸延伸フィルムの一般的な工業的製法である「逐次二軸延伸法(テンター法)」においては、いわゆる「ボーイング現象」と呼ばれる「分子配向状態がフィルムの幅方向の部位で異なる現象」の発生が、不可避となっている(例えば、「合成樹脂」、37巻11号52頁(1991年)参照)。この現象によって、枚葉フィルムの切出し位置が、例えばマスターロールの幅方向両端に近い位置のような場合、その部分の分子配向状態に依存して配向方向(例えば斜め方向)の伸縮率が他方向(例えば縦方向)より著しく異なる。このような状態のフィルムは、前記の本発明にかかる条件を同時に満すことはできない。また、前述のように、マスターロールの幅方向の両端に近い部位にある部分の配向異方性(ボーイング現象)は、現在の製造方式に固有の現象であり、製造条件の変更によって多少軽減できることがあるが、それを解消することはできない。従って、本発明の範囲の伸縮率条件を得るためには、フィルム支持体用フィルムの製造において、何らかの措置が必要である。
上記要件(1),(2)を満足する感熱記録体を得るための方法には、特に制限はないが、本発明では、例えば、二軸延伸フィルム支持体を、そのポリマーのTg以上融点以下の温度範囲において1回以上熱処理を施す事によって、本発明の感熱記録体の支持体に好適な二軸延伸フィルムを得ることに成功した。この熱処理条件は、好ましくは、Tg+30℃以上融点以下の温度、より好ましくはTg+50℃以上融点以下の温度であり、この熱処理温度は、融点を超えない範囲で、なるべく高いことが好ましい。熱処理温度がTg未満の場合、充分な処理効果が得ることができず、従って本発明のTMA伸縮率要件を達成することができない。また、一般の有機系高分子フィルムの場合、融点より高い温度で熱処理を施せば、液状化してしまい、実用的フィルムを得ることはできない。熱処理の際には、フィルムに張力をできるだけ付与しないことが好ましく、熱弛緩処理を施すことがより好ましい、熱処理の回数は1回以上であれば回数に制限はない。本発明に係るTMA伸縮率値の範囲を達成させるためには、2回以上の熱処理を施してもよい。しかしながら、熱処理回数が過多になると、得られるフィルムの平面性の悪化、厚みムラの発生、白化など、多くの品質を悪化させる可能性もあるから、10回以下であることが好ましく、より好ましくは7回以下である。
延伸フィルムが、この温度領域(Tg以上のいわゆるゴム状領域)で熱処理を施されると、いわゆる配向緩和が進行することが知られている。本発明に係る熱処理によって、ポリマー分子鎖の不安定な拘束状態が緩和され、熱歪みが解放されるため、二軸延伸フィルムの熱機械特性の安定化が進行するものと考えられる。また、上記熱処理では、二軸延伸フィルム中のポリマー分子鎖の拘束緩和過程で、同時に配向異方性の低下、すなわち等方性の向上も進行するので、本発明の前記式(2)の要件も、式(1)の要件と同時に達成されるものと推察される。
二軸延伸フィルムに対する熱処理の方法には、特に限定はなく、公知の方法が広く適用される。例えば、熱風(熱空気流)中、あるいは1対のヒーターの中間を、フィルムを浮上させながら水平方向に移動させ、その間に加熱し処理する浮上走行方式や、ニップローラーを具備している1対のローラー間でフィルムを加熱処理するローラー方式、また、フィルムを上方に設置したローラーを経て下方に自重で垂下させ、その途中で加熱処理する懸垂方式などを用いることができる。フィルムにできるだけ、張力を加えないためには懸垂方式の熱弛緩処理を用いることが好適である。
二軸延伸フィルムの加熱装置としては、熱風を利用する方式(ローラー方式には利用できない)、放射熱を利用する電気式あるいはガス式の赤外線ドライヤー(ローラー方式には利用できない)、電磁誘導発熱を利用したロールヒーター、あるいは加熱油媒を利用するオイルヒーターなどを用いることができる。
本発明方法においては、二軸延伸フィルムに対する熱処理方式として、既存の塗工装置の乾燥設備をそのまま利用できる水平浮上方式が好ましく用いられる。具体的な熱処理方法としては、感熱記録層等を設ける前の支持体用フィルムを塗工装置用乾燥設備を用いて、塗料を塗工せずに乾燥ゾーンにおいて熱処理だけを施した後、冷却し巻き取る方法が用いられる。引き続いて、上記と同一の塗工装置にて或は別の塗工装置において、(必要な場合には、バック層を塗工した後)、感熱記録層、保護層を順次に塗工して、本発明の感熱記録体を製造することができる。また、具体的な熱処理方法の他の一つとして、バック面同時処理方式が挙げられる。この方式においては、支持体用フィルムにバック層を塗工し、乾燥する工程において、塗工されたバック層用塗液の乾燥の際に、乾燥に要するエネルギーより強い熱エネルギーをフィルムの裏面に与え、バック層用塗液の乾燥と同時に支持体用フィルムに熱処理が施される。この方式では、支持体用フィルムの熱処理のための工程を設けることなく、本発明方法を達成できるため好ましい。
このような熱処理を、感熱記録層を設置する前の支持体用フィルムに施すことによって、感熱記録体全体のTMA伸縮率値を本発明の要件(1),(2)を満足させることができる。
本発明の感熱記録体において、フィルム支持体の平均複屈折値が下記式(3)
−0.006≦P≦+0.006 (3)
の関係を満足することが好ましい。複屈折とは、TD、MD、厚さ方向の各屈折率値の互いの差であり、前記式(5)〜(7)によって定義される3つの値である。これらの値は、フィルムの光学的な異方性を表現している。本発明では、これら複屈折値の代表値として、前記式(4)で定義される平均複屈折値Pを用いる。平均複屈折値Pが、−0.006〜+0.006の範囲外にある場合には、配向異方性が過度に強くなり、その結果、印画に伴うカールの形成性が大きくなり、得られる感熱記録体の実用性が低下する。
複屈折率を測定する方法としては、アッベ屈折率計など一般に公知の屈折率計の接眼鏡部に偏光板を取りつけ(屈折率計に付属の偏光板付き接眼鏡を用いてもよい)、偏光方向および試料の取つけ方向を変化させることによって、Nx、Ny、Nzを測定することができる(例えば、Journal of Applied Polymer Science、26巻1381頁(1981年)参照)。これらの値を用い、前記式(4)〜(7)の関係を用いて平均複屈折率を算出することができる。
複屈折測定のもう一つの方法として、偏向顕微鏡等を用いたレターデーション値評価による方法が挙げられる。粟屋裕著、「高分子素材の偏向顕微鏡入門」、アグネ技術センター、75頁(2001年)によると、偏向顕微鏡等を用い干渉色を調査することによってレターデーション値を評価でき、このレターデーション値と複屈折値の関係が、複屈折値=(レターデーション値)/(フィルムの厚さ) になることが記述されている。つまり、偏光方向の調整および、フィルムの傾斜などによって、レターデーション値を測定することによって、前記式(5)〜(7)の屈折値が得られ、前記式(4)によって、平均複屈折値を算出することができる。
複屈折率測定のさらにもう一つの方法として、自動複屈折計が挙げられる。本測定機を用いると、複屈折値をはじめとする光学的異方性をより簡便に評価可能となる。市販の自動複屈折計としては、王子計測機器(株)製、自動複屈折計KOBRAシリーズが、その例として挙げられる。本発明に係る複屈折値が測定できれば、測定機の測定方式には特に、制限はないが、例えば、平行ニコル法や回転偏光子法等が例示できる。
本発明の感熱記録体において、マイクロ波法分子配向計で測定した時のフィルム支持体の分子配向度MOR値が5.0以下であることが好ましい。ここで、MOR値とは、マイクロ波法分子配向計で測定された透過マイクロ波強度の最大値と最小値の比(最大値/最小値)を意味する。このMOR値は、フィルムの配向異方性が小さく方向特性のバランスされている程小さくなり、配向異方性が強い程フィルムのMOR値は大きくなる。このMOR値の算出には、王子計測機器(株)製のマイクロ波法分子配向計、MOAシリーズが使用される。
本発明では、例えばTMA測定によって、室温より、150℃以上200℃以下の上限温度領域までの範囲内が温度を昇降したとき、感熱記録体全体最大伸長を示す温度が100℃以上であることが好ましい。このようにすることによって、印画に伴うカールの発生を抑制することができる。TMA測定については、前出の通りの治具(プローブ)、昇温条件、測定モード、静荷重が適用される。最大伸長を示す温度とは、フィルム支持体が、上記温度範囲の昇温において、収縮を開始する温度のことである。
一般に多くのフィルムは、昇温に伴って熱膨張するため、TMA測定では、測定開始からしばらくの間、伸長(膨張)を続ける。しかしながら、ある温度に到達すると、フィルム内ポリマー分子の配向が解放され、収縮挙動に転ずる。この温度は、配向異方性と強い相関があることが見出された。感熱記録体全体の最大伸長を示す温度が100℃以上の場合、印画に伴うカールの発生が抑制され、好ましい結果が得られる。しかしそれが100℃より低い場合には、印画に伴うカールの発生が著しくなり、このような感熱記録体の実用性は低いものとなる。
本発明の感熱記録体に使用できる支持体用フィルムとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂単独または加熱混合した樹脂をフィルム状にダイから押し出し、二軸延伸して得られたフィルム、あるいは、これらの樹脂に酸化チタン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の顔料を混合し、半透明化または不透明化したフィルム、およびポリオレフィン系樹脂と白色無機顔料を加熱混合し、ダイから押し出し、縦方向に延伸したものの両面にポリオレフィン系樹脂と白色無機顔料からなるフィルムを1〜2層積層し、横方向に延伸して半透明化あるいは不透明化した合成紙等を包含する。
本発明では、これら公知の二軸延伸したフィルムの中でも、特に、Tgが60℃以上130℃以下のフィルムを用いることが好ましい。より好ましくは、70℃以上120℃以下のTgを有する二軸延伸フィルムである。Tgが60℃より低いと、得られるフィルムの熱安定性が不十分になり、印画時にプリンター内走行不良や印画面の熱負けなどを生じ、さらには、夏季の高温環境下において、軟化して美観を損うこと、様々な品質上の問題を引き起こすことがある。Tgが130℃より高いと、熱処理を施すための許容温度範囲が狭くなり、製造上に不都合を生ずることがある。また、上記許容温度範囲が狭くなると、充分な処理を施すことができなくなることがある。
本発明の感熱記録体では、その所望の効果を得るために、前出の条件を満たし得るフィルム支持体として、特に、二軸延伸されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた場合、優れた効果が発揮される。
フィルム支持体の厚さは、100μm〜200μmであることが好ましい。100μmより薄いと、腰が弱くなって給紙不良を起こしやすくなることがある。また、あまり厚すぎても、例えば200μmを超えると(透明フィルムの場合には)透明性が不十分になることがあり経済上の不利を生ずることがある。
前記支持体の感熱記録層と保護層とを有する側とは反対側の面(バック面)には、カール適性の改良、導電性、プリンター走行性の改良などを目的にして、バック層を設けることができる。
バック層は、疎水性ポリマーのバインダーを含有するバック塗布層であってもよい。特にこの疎水性ポリマー含有バインダーを多量に含むバック塗布層が好ましい。水溶性バインダーを含有して形成されるバック層の場合には、高湿度下におけるプリンター走行性不良を発生したり、高湿度下でブロッキングを起こすなどの、実用上好ましくない事故を発生することがある。また、バック塗布層には、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤、紫外線吸収剤、マット剤、界面活性剤、防腐剤、PH調整剤、染料などの他の成分を含有しても構わない。
前記バインダー用疎水性ポリマーとしては、例えば従来公知の有機溶剤可溶性(油溶性)ポリマーなどが広く用いられる。例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキッド樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられる。これらは、単独で用いられても良く、複数種類を混合して用いても構わない。また、これらのポリマーはホモポリマーであってもよく、共重合体であってもよい。
中でも、ポリウレタン系樹脂、アルキッド系樹脂、アルキッド樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂等の熱硬化可能なバインダー樹脂は、硬化剤あるいは硬化促進剤等の添加(添加を不要とする場合もあり)により、塗工乾燥時に体積の硬化収縮を促す。このようなバック塗布層を有する製品は、バック面側にやや反った形状となる。このバック面側のカールは、記録印画時に発生するトップカールとバランスする傾向を示し、結果的に、印画に伴うカール発生の抑制に有利に働き効果的である。
バック層を形成するための疎水性ポリマーを含有する塗料は、有機溶剤または水を媒体として調整される。疎水性ポリマーが可溶であれば、有機溶剤に特に制限はなく、例えば、トルエン、2−ブタノン(MEK)、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの一般に使用される溶剤が使用可能である。また、水を媒体とする場合には、前出の疎水性ポリマーを水分散型のラテックスとして用いれば良い。
また、油溶性の疎水性ポリマー含有バインダーを含むバック塗布層の代わりに、溶媒を必要としない無溶剤型硬化性液状樹脂を用いて硬化バック層を形成してもよい。硬化性液状樹脂としては、熱硬化性、あるいは、電子線および/あるいは紫外線等の活性エネルギー線によって硬化する、いわゆるEB/UV樹脂など一般に公知の液状樹脂を制限なく使用可能である。
例えば、熱硬化性ウレタン系プレポリマー、熱硬化性エポキシ系プライマーなどの熱硬化性プレポリマーや、オリゴウレタン系アクリレート、エポキシ系アクリレート、オリゴエステル系アクリレート、ポリオール系アクリレート、ポリエーテル系アクリレート、ビニルエステル系樹脂、など活性エネルギー線反応性のオリゴマーを挙げることが出来る。これらの樹脂は、ホモポリマーであってもよく、或は共重合体であってもよい、また、これらの樹脂は単独で用いてもよく、或は複数種を混合して用いてもよい。また、粘度を低下させて塗工性を改良する事を目的に、希釈用反応性モノマーを使用しても構わない。希釈用反応性モノマーの種類には、本発明の効果を損なわない限りにおいては、特に制限が無い。さらに、硬化反応を開始および/あるいは促進する事を目的に、反応開始剤や反応触媒などを用いてもよい。
なお、バック塗布層又は硬化バック層用塗料中には、アニオン系またはカチオン系の導電剤、青色の染料または顔料のほかに、分散剤、消泡剤、蛍光染料、硬化剤、効果促進剤、紫外線吸収剤、滑剤、白色顔料等を必要により添加してもよい。導電剤の例としては、例えばポリスチレンスルホン酸の塩、ポリアクリルスルホン酸の塩、アルキルベンゼンスルホン酸の塩、ジオクチルスルホコハク酸の塩酸塩、高分子カチオン系導電剤、導電性酸化亜鉛、導電性酸化チタン、合成ヘクトライト粘土等が用いられる。
バック塗布層又は硬化バック層の形成方法については特に限定はない。感熱記録層および保護層を形成するために使用される塗工装置と同様の塗工装置が適宜使用される。乾燥後の塗布量は特に限定されるものではないが、一般には0.1〜20g/m 2 、好ましくは0.5〜10g/m 2 で調節される。バック層(バック塗布又は硬化バック層)および感熱記録層、保護層の形成順序に関しては、特に限定されないが、地肌カブリを考慮すれば、バック層を先に形成するのが好ましい。また、前出の熱処理のバック面同時処理方式を採用する場合には、バック層が先に形成される。
感熱記録層中に含有されるロイコ染料および呈色剤としては、各種公知のものが使用できる。ロイコ染料の具体例としては、例えば3−[2,2−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)ビニル]−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス[1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル]−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−p−(p−ジメチルアミノアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−p−(p−クロロアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−[1,1−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)]−3−p−ジエチルアミノフェニルフタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド等が挙げられる。
勿論本発明に用いられるロイコ染料は上記のものに限定されるものではなく、またこれらのロイコ染料の二種類以上を併用することも可能である。また、ロイコ染料の使用量は、使用する呈色剤により異なるため限定できないが、感熱記録層の全固形量に対して5〜35質量%程度が好ましい。
本発明に用いられる呈色剤の具体例としては、例えば4,4’−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4’−メチルフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス[α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,3−ビス[α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン等のフェノール化合物、N−(p−トルエンスルホニル)カルバモイル酸−p−クミルフェニルエステル、4,4’−ビス(N−p−トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、N−(o−トリル)−p−トリルスルホアミド、N−(p−トリルスルホニル)−N’−フェニル尿素等の分子内に−SO2NHCO−結合を有する化合物、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸亜鉛、4−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛、4−[2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸亜鉛、4−[3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸亜鉛、5−[p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸亜鉛、p−クロロ安息香酸亜鉛等の芳香族カルボン酸の亜鉛塩等が挙げられる。
ロイコ染料と呈色剤との使用比率は、用いるロイコ染料や呈色剤の種類に応じて適宜選択されるものであり、特に限定するものではないが、一般にロイコ染料1質量部に対して1〜10質量部、好ましくは2〜6質量部程度の呈色剤が使用される。
なお、ロイコ染料は、樹脂膜に内包されたマイクロカプセルの形態、または樹脂中に含有された複合粒子の形態で使用されてもよく、このようにすることにより、ヘイズ値の低い感熱記録体が得られる。マイクロカプセルおよび複合粒子の体積平均粒径としては、0.5〜3μm程度が好ましい。
感熱記録層には、記録部の保存安定性を高めるための保存性改良剤、および記録感度を高めるための増感剤を含有させることもできる。このような保存性改良剤の具体例としては、例えば2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物等が挙げられる。
増感剤の具体例としては、例えばステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、p−ベンジルビフェニル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、シュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル、シュウ酸ジベンジルエステル等が挙げられる。
これらの保存性改良剤および増感剤の使用量は特に限定されないが、一般に呈色剤1質量部に対して0.1〜4質量部である。
感熱記録層は、一般には水を媒体とし、例えばロイコ染料、呈色剤、必要により増感剤、保存性改良剤等を共に、あるいは別々にボールミル、アトライター、サンドミル等の粉砕機により平均粒径が3μm以下、好ましくは2μm以下となるように微粉砕した後、少なくともバインダーを添加して調製された感熱記録層用塗液をフイルム支持体の表面に乾燥後の塗布量が5〜30g/m2程度となるように塗布乾燥して形成される。
感熱記録層を形成するためのフィルム支持体表面は、感熱記録層用塗液の塗工性を高めるためにコロナ放電処理を施してもよく、或はアンカーコート層を設けてもよい。
感熱記録層用バインダーとしては、例えばポリビニルアルコールおよびその誘導体、澱粉およびその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタアクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、カゼイン、ゼラチン等の水溶性接着剤、並びに酢酸ビニル系ラテックス、ウレタン系ラテックス、アクリル系ラテックス、スチレン−ブタジエン系ラテックス等を用いることが好ましい。
また、感熱記録層用助剤としては、例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステル・ナトリウム塩、脂肪酸金属塩等の界面活性剤、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類、カオリン、クレー、タルク、炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、無定形シリカ、水酸化アルミニウム等の顔料、グリオキザール、ホルマリン、グリシン、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、ジメチロール尿素、ケテンダイマー、ジアルデヒド澱粉、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、ケトン−アルデヒド樹脂、ホウ砂、ホウ酸、炭酸ジルコニウムアンモニウム、エポキシ系化合物等の耐水化剤、その他消泡剤、蛍光染料、着色染料等が挙げられる。
感熱記録層上には、記録走行性、耐摩擦カブリ性、耐薬品性を高めるために成膜性を有する樹脂を主成分とする保護層を設けてもよく、このようにすることにより、更に感熱記録層の透明性が高められる効果が得られる。
保護層用樹脂としては、例えば感熱記録層用バインダーと同一のバインダーを使用することができる。更に、保護層中には感熱記録層中に含有される顔料類、架橋剤類、ワックス類、滑剤類等の添加剤を使用することもできる。
保護層は、一般に水を媒体とし、水性樹脂溶液、必要により顔料類、架橋剤類、ワックス類、滑剤類等と共に混合攪拌して調製された保護層用塗液を乾燥後の塗布量が1〜5g/m2となるように感熱記録層上に塗布乾燥して形成される。
バック層、感熱記録層および保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えばエアナイフコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、ショートドウェルコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング等の公知の適当な塗布方法により形成される。
各層を形成した後、スーパーカレンダーやソフトカレンダー等の既知の平滑化方法を用いて平滑化することは、その発色感度を高めることに効果がある。感熱記録面を、カレンダーの金属ロールおよび弾性ロールの何れに当てて処理してもよい。
以下に本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、もちろん本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。また、特に断らない限り、例中の部および%はそれぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
実施例1
(1)感熱記録層用A液(複合粒子分散液)の調製
ロイコ染料として3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン5部、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トルイジノ)フルオラン5部、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン6部、および3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド4部と、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン6部とを、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(住友バイエルウレタン社製、デスモジュールW)11部、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(三井武田ケミカル社製、TMXDI)11部からなる混合溶媒中に加熱溶解(150℃)し、この溶液をポリビニルアルコール(クラレ社製、ポバールPVA−217EE)8.5部と、界面活性剤としてアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(日信化学社製、オルフィンE1010)0.5部とを含む水溶液100部中に徐々に添加し、ホモジナイザーを用い、回転数10000rpmの攪拌によって乳化分散した。この乳化分散液に、水30部、多価アミン化合物(シェル・インターナショナル・ペトロリウム社製、エピキュアT)2.5部を水22.5部に溶解した水溶液を加えて均一化した。この乳化分散液を75℃に昇温し、7時間の重合反応を行い、平均粒子径0.8μm(レーザー光回折法による)のロイコ染料含有複合粒子分散液を調整した。なお、ロイコ染料含有複合粒子分散液を、その濃度が25%となるように水で調整した。
(2)感熱記録層用B液(呈色剤分散液)の調製
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン40部、ポリビニルアルコール[クラレ社製、クラレポバール(登録商標)PVA−203]の25%水溶液40部、天然油脂系消泡剤の2%エマルジョン5部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩の5%水溶液10部、および水30部からなる組成物を横型サンドミル(アイメックス社製、ウルトラビスコミルUVX−2)を用いて、平均粒径が0.3μmになるまで粉砕してB液を調製した。
(3)感熱記録層用C液(呈色剤分散液)の調製
3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン40部、ポリビニルアルコール[クラレ社製、クラレポバール(登録商標)PVA−203]の25%水溶液40部、天然油脂系消泡剤の2%エマルジョン5部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩の5%水溶液10部、および水30部からなる組成物を横型サンドミル(アイメックス社製、ウルトラビスコミルUVX−2)を用いて、平均粒径が0.3μmになるまで粉砕してC液を調製した。
(4)感熱記録層用塗液の調製
A液120部、B液60部、C液45部、ポリビニルアルコール[クラレ社製、クラレポバール(登録商標)PVA−217EE]の8%水溶液15部、ウレタン−アクリル系樹脂ラテックス[大日本インキ化学工業社製、パテラコール(登録商標)H−2090、固形濃度42%]50部、アジピン酸ジヒドラジドの5%水溶液14部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩の10%水溶液3部、および水25部からなる組成物を混合・攪拌して感熱記録層用塗液を調製した。
(5)保護層用塗液の調製
アイオノマー型ウレタン系樹脂ラテックス[大日本インキ化学工業社製、ハイドラン(登録商標)AP−30F、固形濃度20%]100部、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール[日本合成化学工業社製、ゴーセファイマー(登録商標)OKS−3431、重合度:約2300、ケン化度:約98モル%]の8%水溶液500部、平均粒子径0.8μmのカオリン(エンゲルハード社製、UW−90)の60%スラリー50部、ステアリン酸アミド(中京油脂社製、ハイミクロンL−271、固形濃度25%)26部、ステアリルリン酸エステルカリウム塩(松本油脂製薬社製、ウーポール1800、固形濃度35%)4部、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物[セイミケミカル社製、サーフロン(登録商標)S−145]の10%水溶液15部、および水300部からなる組成物を混合攪拌して保護層用塗液を調製した。
(6)フィルム支持体の熱処理
厚さ:175μm、幅:44cm、及びTg:約90℃の二軸延伸青色透明PETフィルム(商品名:スカイロールTT94B、SKC(株)製)に、150℃に設定された塗工装置の乾燥設備(炉長8m)を用いて、塗工を行わずに、搬送速度2m/minにて、熱処理だけを施した。熱処理時の張力は、4Kgf/全幅であった。
(7)感熱記録体の作製
熱処理を施した前記二軸延伸青色透明PETフィルムの片面に、感熱記録層用塗液をスロットダイコーターを用いて、乾燥後の塗布量が25g/m 2となるように塗布し、120℃の熱風にて乾燥させて感熱記録層を設け、その上に保護層用塗液をスロットダイコーターを用いて、乾燥後の塗布量が3.5g/m 2 となるように塗布乾燥して保護層を設けて感熱記録体(1)を作製した。
実施例2
実施例1と同様にして感熱記録体(2)を作製した。但し、実施例1のフィルム支持体の熱処理において、乾燥設備の設定温度を180℃に変更した。
実施例3
(1)バック塗布層用塗液の調製
疎水性ポリマーバインダーとしてシェル部がアクリルアミド系樹脂(ガラス転移温度:218℃)でコア部がアクリル系樹脂(ガラス転移温度:10℃)からなるコア・シェル型ラテックス〔三井化学社製、バリアスター(登録商標)B−1000、コア部:シェル部の重量比(1:1.5)、固形分20%〕425部と、同じく疎水性ポリマーバインダーであるウレタン系樹脂ラテックス〔大日本インキ化学工業社製、ハイドラン(登録商標)AP−30F、固形分20%〕75部、及び球状樹脂粒子として体積平均粒径が8μmの球状樹脂粒子〔ガンツ化成社製、ガンツパール(登録商標)GM−0801、ポリメチルメタクリレート〕0.5部からなる組成物を攪拌して裏面層用塗液を得た。
実施例1と同様にして感熱記録体(3)を作製した。但し、熱処理を施した二軸延伸透明PETフィルムの片面に、感熱記録層用塗液および保護層用塗液を塗工する前に、前記バック塗布層用塗液を塗工した。また、バック層塗工時の乾燥設備の設定温度は120℃であり、塗工速度は2m/minであった。
実施例4
実施例1と同様にして感熱記録体(4)を作製した。但し、未熱処理二軸延伸透明PETフィルムの片面に、実施例3と同様のバック層用塗液を、乾燥設備の設定温度150℃、塗工速度2m/minにて、塗工すると共に、その乾燥ゾーンにおいて、フィルム支持体の熱処理を同時に施した。
実施例5
実施例3と同様にして感熱記録体(5)を作製した。但し、実施例3のバック層用塗液中の疎水性ポリマーバインダーを、水溶性バインダーであるポリビニルアルコールに変更した。
実施例6
実施例1と同様にして感熱記録体(6)を作製した。但し、実施例1のフィルム支持体を二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムに変更した。
比較例1
実施例1と同様にして、比較用感熱記録体(7)を作製した。但し、実施例1において、フィルム支持体に熱処理を施さなかった。
比較例2
実施例1と同様にして比較用感熱記録体(8)を作製した。但し、実施例1のフィルム支持体の熱処理において、乾燥設備の設定温度を80℃に変更した。
参考例1
特開2003−266943号公報の実施例1に開示されている方法に準拠して、水溶性ゼラチン層をバック面に有し、フィルム支持体の120℃・10分 熱収縮率値が1%未満の感熱記録体(9)を作製した。
以上のようにして作製された感熱記録体(1)〜(9)を下記の測定・評価試験に供した。その結果を表1に示す。
(1)TMA熱伸縮試験
実施例および比較例で得られた感熱記録体(1)〜(8)について、通常空気浴中下、全自動ガス冷却ユニットが付属した熱機械分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、型式 TMA/SS6100)を用い、20℃から190℃まで昇温し、引き続き冷却して、伸縮率を測定した。上記測定を、引張り・荷重制御(F制御)モードにおいて実施し、このときの昇降温速度は、5℃/minであり、静荷重は49.0mN(5gf)であった。また、試料幅は、4mmに設定され、初期のチャック間距離は20mmに設定された。引張り用の治具には、石英製のプローブを用いた。
昇温スタート時のTMA値を0%ととし、昇温・冷却後の20℃の伸縮率値をTMA伸縮率値(%)として評価に用いた。また、同時に最大伸長を示す温度を測定した。なお、フィルムを、その横方向0°から1周360°まで、10°毎に、縦方向に伸びる短冊形の一試験片を切出してこれらを測定に供した。表1に、0°〜180°までの、30°間隔の測定値を示す。また、マイナス(−)は、収縮を意味する。さらに、最大伸長時温度においては、表1には、縦方向(MD:0°)の値を代表として記載した。
(2)複屈折測定
実施例1〜6および比較例1〜2で用いた塗工前のフィルム支持体について、偏光板付きアッベ屈折率計(アタゴ社製、型式 DRA−1)を用いて、20℃の恒温状態にて縦(Ny)、横(Nx)、および厚さ方向(Nz)の屈折率を各々測定し、前述記載の式(4)〜(7)により複屈折値を算出した。
なお、実施例4(感熱記録体(4))は、バック層同時塗工処理を行ったため、熱処理後かつ塗工前のフィルム支持体の測定評価が不可能であったので、表1には記載していない。
(3)マイクロ波法分子配向測定
実施例1〜6および比較例1〜2で用いた塗工前のフィルム支持体について、マイクロ波法分子配向計(王子計測機器社製、型式 MOA−3012A)を用い、室温にて分子配向度MOR値を測定した。
なお、実施例4(感熱記録体(4))は、バック層同時塗工処理を行ったため、熱処理後かつ塗工前のフィルム支持体の測定評価が不可能であったので、表1には記載していない。
(4)記録後の印画カール評価
得られた感熱記録体を、温度23℃ 湿度50%RHの環境下にて24時間放置後、感熱印字プリンター(商品名:UP−DF500、ソニー(株)製)を用い、内蔵パターンでベタ黒印画記録を行った。記録後の感熱記録体を、同環境条件下にて、縦(MD)方向を上下に横(TD)辺中央部の1点を固定して吊るし、約1〜2時間調湿した。反り上がった側を手前側にし、前記固定点を壁に接地させて吊るし、手前側に盛り上がった四方角の高さを測定し、その平均値を評価した。実用上、30mm以下であるのが最も好ましい。
(5)高湿度下プリンター走行試験(参考試験)
得られた感熱記録体を、温度30℃ 湿度85%RHの環境下にて24時間放置後、同環境条件下にて、感熱印字プリンター(商品名:UP−DF500、ソニー(株)製)を用い、内蔵パターンでベタ黒印画記録を行った。その際の給紙および排紙の状況、および印画動作時の異音発生の有無や、スティック発生の有無を総合的に判定した。給紙、排紙がスムーズであり、異音発生やスティック発生が実用上支障の無い程度であれば「○」、何れかに問題があり、実用上好ましく無い場合を「×」と判定した。
Figure 2005319700
本発明の感熱記録体の印画に伴うカール発生防止性は、いずれも良好であり、実用上好ましいものであった(実施例1〜6)。さらに、支持体用フィルムに施される熱処理温度が高い方が、印画に伴うカールの発生の抑制に対する効果が大きかった(実施例2)。また、同じ熱処理を施したフィルム支持体を用いた場合であっても、疎水性のバック塗布層を設置した方が、印画に伴うカール発生の抑制効果が高かった(実施例3)。さらにその上、バック塗布層塗工と同時に熱処理を施した場合であっても、カール発生抑制効果に変わりなく(実施例4)、バック塗布層に水溶性バインダー樹脂を用いた場合でも、本発明のカール発生抑制効果には変わりは無かった。しかし、水溶性バインダー樹脂を用いた場合(実施例5)、高湿度下のプリンター走行試験(5)において、成績不良であったが、実施例1〜4及び6においては成績良好であった。また、本発明の範囲内であれば、支持体用フィルムの種類を変えても本発明にかかる効果には変わりないことが確認された(実施例6、PENフィルム使用)。
しかし、フィルム支持体に熱処理が施されていない(比較例1)場合、あるいは、熱処理が不十分(比較例2)であり、本発明の要件(式(1),(2))を満たしていない場合においては、印画に伴うカール発生の抑制効果に改善は認められなかった。さらに、従来開示されている技術に基づいて作製された感熱記録体(参考例1)の印画に伴うカール発生抑制効果は実用上必ずしも十分なものではなかった。
本発明の感熱記録体は、その全方向にわたり、ほぼ均等な熱伸縮性を有するものであって、良好な感熱記録体と、印画に伴うカール発生に対する高い抑制性を有しており、実用性の高いものであり、本発明方法により効率よく製造することができる。

Claims (11)

  1. 二軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムからなる支持体と、その一面上に形成され、かつロイコ染料と発色剤とを含有する感熱記録層と、を含む感熱記録体において、この感熱記録体の、室温から150℃以上200℃以下の温度領域までの温度昇降に伴う伸縮率の測定試験において、温度20℃における伸縮率測定値が、下記式(1)及び(2):
    −1%≦Sχ≦+1% (1)
    −5≦S0/S90≦+5 (2)
    〔但し、式(1)及び(2)中、Sは前記温度昇降−伸縮率測定試験における温度20℃の伸縮率を表し、符号:マイナス(−)は収縮を意味し、プラス(+)は伸長を意味し、添字χは、前記感熱記録体の縦方向(MD)角を0°とし、横方向(TD)角を90°としたときのすべての伸縮方向角度を表す〕
    により表される要件を同時に満足することを特徴とする感熱記録体。
  2. 前記支持体を形成する前記二軸延伸されたフィルムの平均複屈折率が、下記式(3):
    −0.006≦P≦+0.006 (3)
    〔但し、式(3)中、Pは、下記式(4)〜(7):
    P=(1/3)×(Δnyx+Δnyz+Δnzx) (4)
    Δnyx=Ny−Nx (5)
    Δnyz=Ny−Nz (6)
    及び
    Δnzx=Nz−Nx (7)
    〔但し、式(4)〜(7)中、Nx、Ny、及びNzは、それぞれ、前記フィルムのTD方向、MD方向、及び厚さ方向の屈折率を表す〕
    により規定される平均複屈折率を表す〕
    を満足する、請求項1に記載の感熱記録体。
  3. 前記支持体を形成する二軸延伸フィルムの、マイクロ波法分子配向計で測定された分子配向度(MOR値)が5.0以下である、請求項1又は2に記載の感熱記録体。
  4. 前記感熱記録体全体の、室温から150℃以上200℃以下の温度領域までの範囲内で温度を昇降したときの最大伸長値を示す温度が、100℃以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱記録体。
  5. 前記支持体を形成する二軸延伸フィルムが、ポリエチレンテレフタレートを主成分として含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感熱記録体。
  6. 前記支持体用二軸延伸フィルムが、60〜130℃の範囲内のTgを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感熱記録体。
  7. 前記支持体の厚さが、100〜200μmである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感熱記録体。
  8. 前記支持体の他方の面(バック面)に形成され、かつ疎水性ポリマーをバインダーとして含むバック塗布層を更に含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感熱記録体。
  9. 前記支持体の他方の面(バック面)に形成され、かつ硬化性液状ポリマーをバインダーとして含む硬化バック層を更に含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感熱記録体。
  10. 二軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムに、そのTg温度以上融点以下の温度範囲内の熱処理を1回以上施し、この熱処理されたフィルムを支持体として用い、その一方の面に、ロイコ染料と呈色剤とを含む塗布液を塗布し、乾燥して、感熱記録層を形成することを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の感熱記録体を製造する方法。
  11. 二軸延伸された熱可塑性フィルムからなる支持体の裏面に、疎水性ポリマーをバインダーとして含む、バック塗布層用塗布液、又は硬化性液状ポリマーをバインダーとして含む硬化バック層用塗布液を塗布し、この塗布層の乾燥と同時に、前記支持体に、そのTg温度以上融点以下の温度範囲内の熱処理を1回以上施して、前記熱処理されたフィルムからなる支持体を形成し、この支持体の表面に、ロイコ染料と呈色剤とを含む塗布液を塗布し、乾燥して、感熱記録層を形成することを含む、請求項8又は9に記載の感熱記録体を製造する方法。
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JP2008195066A (ja) * 2007-01-15 2008-08-28 Ricoh Co Ltd 感熱記録材料およびその感熱記録材料を用いた記録方法
US8283287B2 (en) 2007-09-13 2012-10-09 Ricoh Company, Ltd. Thermosensitive recording material
JP2013132778A (ja) * 2011-12-26 2013-07-08 Oji Holdings Corp 感熱記録体およびその製造方法
CN108348957A (zh) * 2015-10-30 2018-07-31 住友化学株式会社 膜制造方法、膜制造装置以及膜

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