JP2005319142A - メカニカルテープのオス材、吸収性物品および止着式紙おむつ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】止着式紙おむつの止着テープ7に用いられるメカニカルファスナーのオス材30として、高さまたは形状が異なる複数種のフック部32を基材シート31上に多数設けてなるオス材30を有するものを用いる。
【選択図】図2
Description
(1) 仮止めにおいては、仮止めの機能を十分に発揮しうる範囲で、可能な限り容易に剥離できる、つまり内面素材に対する剥離容易性が重視される。
(2) 装着に際しては、止着テープの取り外しが十分容易に行える範囲で、可能な限り強固に止着できる、つまり腹側部分に対する剥離強度と剪断強度とが重視される。
(3) 廃棄時には、丸めたおむつが拡がらないように外装不織布に対して強固に止着できる、つまり外装不織布に対する剪断強度が重視される。
この止着式紙おむつの止着テープのように、複数種の固定目的で使用されるメカニカルファスナーにおいては、要求される止着特性は一様ではなく、これに対応するべくオス材のフック部の形状を特殊なものにする等の技術開発が行われている(例えば特許文献1参照)が、依然として満足の行くものとなっていない。
<請求項1>
高さまたは形状が異なる複数種のフック部を基材シート上に多数設けてなることを特徴とするメカニカルファスナーのオス材。
従来のメカニカルファスナーにおけるオス材は、形状にしても高さにしても一種類のフック部が多数配列されているだけであり、これをいくら調整したとしても、発揮される止着特性は一様である。本発明者らはかかる考え方から脱却して本発明をなすに至ったものである。すなわち、本発明では、基材シート上に、高さまたは形状が異なる複数種のフック部を設けることによって、種類の異なるフック部が個々独立にまたは共同して機能することができ、その結果、様々な止着特性を発揮できるのである。
前記基材シート表面から先端までの高さが250〜2000μmである第1のフック部と、前記基材シート表面から先端までの高さが100〜500μmの範囲内にあり且つ前記第1のフック部よりも高さの低い第2のフック部とを有する請求項1記載のメカニカルファスナーのオス材。
このような高さの異なるフック部を設けることにより、通常用いられる多くのメス材において、第1のフック部のみ係合させることにより弱く係合させたり、第1及び第2のフック部の両方を係合させることにより強く係合させたりすることができる。
前記基材シート上に立設された軸部と、軸部の先端部に設けられた掛止部とを有する第1のフック部と、この第1のフック部に対して前記軸部に対する前記掛止部の角度が異なる第2のフック部とを有する、請求項1記載のメカニカルファスナーのオス材。
本発明においては形状の異なる複数種のフック部を設けることもできる。この場合における「形状の異なる」とは、きのこ型や波形等、全体としての形状が異なるものが含まれる。しかし、このような全体形状の異なるフック部を共通の基材上に設けるのは製造上困難を伴う。これに対して、本項記載のように掛止部の角度を異ならしめるのは比較的に容易である。そしてこの場合、全体形状を類似のものにしながらも実質的形状が異なることにより、様々な止着特性を発揮させることができる。
前記第1のフック部及び第2のフック部の総数に対する前記第1のフック部の割合が40〜60%、且つ前記第2のフック部の割合が60〜40%である、請求項2または3記載のメカニカルファスナーのオス材。
前述の第1のフック部および第2のフック部の数の割合は適宜定めることができるが、40%未満になるとそのフック部による止着特性が発揮され難くなるため、本項記載の範囲内が好ましい。
前記フック部を80〜800個/cm2の数密度で設けてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載のメカニカルファスナーのオス材。
フック部の数密度は適宜定めることができるが、あまり疎らであったり、密であったりすると、形状や高さの差による止着特性への影響が弱くなるため、本項記載の範囲内が好ましい。
高さまたは形状が異なる複数種のフック部を基材シート上に多数設けてなるオス材と、このオス材が係合されるメス材とからなるメカニカルファスナーを備えたことを特徴とする吸収性物品。
吸収性物品の分野では、例えば紙おむつの止着や、生理用ナプキンの包装材の止着等、種々の用途において様々な止着特性が要求される。このような場合において、本発明のメカニカルファスナーは好適である。
腹側部分および背側部分を有し、腹側部分および背側部分のいずれか一方の部分の両側端部に止着部材をそれぞれ有し、前記一方の部分の止着部材を他方の部分に対して止着することにより、胴回り部および一対の脚周り部が形成される止着式紙おむつにおいて、
前記止着部材は、高さまたは形状が異なる複数種のフック部を基材シート上に多数設けてなるオス材を有し、このオス材を他方の部分に対して係合することにより止着するように構成したことを特徴とする止着式紙おむつ。
前述したとおり、止着式の紙おむつにおいては相反するような止着特性が一つの止着部材に要求される。したがって、かかる止着部材に本発明の複数種のフック部を有するオス材を用いるのは非常に好ましい。
前記止着部材は、前記一方の部分の両側端部における内面素材に係合されて仮止めされており、身体への装着に際して剥離されるように構成されており、かつ前記オス材は高さが異なるフック部を有し、前記仮止め状態で高い方のフック部が前記内面素材に係合され、低い方のフック部は前記内面素材に係合されないように構成された、請求項7記載の止着式紙おむつ。
本項記載のように構成することにより、仮止め時における内面素材に対する剥離容易性を重視した止着特性を実現することができる。
前記オス材は高さが異なるフック部を有し、前記他方の部分に対する係合状態で高い方のフック部は前記他方の部分に係合され、低い方のフック部は前記他方の部分に対して前記高い方のフック部よりも浅い位置に係合されるように構成された、請求項7または8記載の止着式紙おむつ。
本項記載のように、装着時には、高低に関係なくフック部が係合する構成を採用することにより、装着時における剪断強度を高く維持できる。しかも、低い方のフック部は他方の部分に対して浅く係合することになるため、剥離方向の力に対しては係合が外れ易い。したがって、止着テープの取り外しが十分容易に行える範囲で、可能な限り強固に止着できるようになる。
前記オス材は高さが異なるフック部を有し、おむつ外面をなす外装不織布に対して係合された状態で、高い方のフック部が前記外装不織布に係合され、低い方のフック部は前記外装不織布に係合されないように構成された、請求項7〜9のいずれか1項に記載の止着式紙おむつ。
最近の一般的な紙おむつでは、吸収体の外面側にポリエチレンシート等よりなる裏面シートが設けられ、更にその外側に外装不織布が配されており、下着のような外観を呈するように構成されており、メカニカルファスナーを利用した止着部材を有するおむつではこの外装不織布に対してオス材のフック部が係合される。通常の場合、外装不織布は薄く、嵩高で、更に裏側に裏面シートがあるため、通常のオス材は係合し難い。これに対して、本項記載の場合、フック部全体としてみると通常の密度で配置されていても、高い方のフック部のみをみると疎らに配置されることになるため、外装不織布内に入り易く従来よりも強固に係合させることができるのである。
前記オス材は、前記基材シート表面から先端までの高さが250〜2000μmである第1のフック部と、前記基材シート表面から先端までの高さが100〜500μmの範囲内にあり且つ前記第1のフック部よりも高さの低い第2のフック部とを有する、請求項6〜10のいずれか1項に記載の止着式紙おむつ。
このような範囲で高さの異なるフック部を設けることにより、通常の止着式紙おむつにおける使用態様に適し、従来の技術の項で述べた(1)〜(3)の要望を満たす止着が可能になる。
前記オス材は、前記基材シート上に立設された軸部と、軸部の先端部に設けられた掛止部とを有する第1のフック部と、この第1のフック部に対して前記軸部に対する前記掛止部の角度が異なる第2のフック部とを有する、請求項6または7記載の止着式紙おむつ。
請求項3記載の発明と同様の作用効果が奏せられる。
前記第1のフック部及び第2のフック部の総数に対する前記第1のフック部の割合が40〜60%、且つ前記第2のフック部の割合が60〜40%である、請求項11または12記載の止着式紙おむつ。
請求項4記載の発明と同様の作用効果が奏せられる。
前記フック部を80〜800個/cm2の数密度で設けてなる請求項6〜13のいずれか1項に記載の止着式紙おむつ。
請求項5記載の発明と同様の作用効果が奏せられる。
図1〜図3は、本発明が対象とする止着式紙おむつを示している。この紙おむつ例では、使用者の肌側に位置し、実質的に体液を透過する透液性の透液性表面シート1と、製品の外側に位置し、実質的に体液を透過させない不透液性シート、例えばポリエチレン等からなる完全に液を透過させない不透液性裏面シート2との間に、綿状パルプ等からなる、例えば長方形又は好ましくは図示のように砂時計型のある程度剛性を有する吸収体3が介在されている。この吸収体3は、吸収用の上下ティッシュペーパーで被覆することができる。
本発明は、上述の止着テープに用いるオス材30に関するものである。例えば図4、図6、図8に示すように、本発明のオス材30は、高さまたは形状の異なる複数種のフック部32が基材シート31に設けられる。もちろん、高さ及び形状のいずれか一方が異なる限り、両方を異ならしめることもできる。
(仮止め時の係合形態)
止着テープ7の仮止めに際し、オス材30のフック部23を内面素材、すなわち上記おむつ例における起立シート4に係合させる場合、内面素材に対する剥離容易性を重視した止着特性が要求される。このため、仮止め状態において、図11に示すように、高い方のフック部32が起立シート4に係合されるが、低い方のフック部32は起立シート4まで届かず、したがって係合されないように構成するのが好ましい。このような止着は、起立シート4の厚さや嵩、フック部32の高さを適宜調整することにより達成できる。
(1) 耐水圧試験機THIスライドバックFBW50110H(THK製)を用いて測定する。
(2) 試験片を150mm角に切断し、角部を30mmずつ切り落とす。
(3) 試験片を試験機にセットし、スピードコントロールを20に合わせて測定する。
(4) 水が1滴しみ出した時点で加圧を停止し、圧力計の数値を読む。
(1) メス材33をステンレス板STの端部近傍に固定する。
(2) 長手方向中間にオス材30を設けた止着テープ7を用意し、これをメス材に貼り付ける。この際、止着テープ7のオス材30をメス材33と同様ステンレス板端部近傍に合わせ、且つオス材30の全体がメス材33に係合するように配置する。
(3) 重量2kgのローラRを止着テープ7の長手方向に一往復させ止着テープ7のオス材30をメス材33に係合させる。
(4) 止着テープ7の端部に対して分銅を連結し、分銅WTをステンレス板の端部から下方に垂らし、止着テープ7に剪断荷重を与える。この際、剪断荷重が1kgになるように分銅の重さを選択し、かつ剪断荷重を付与する時間を10秒間とする。
(5) 通常の引張試験機を用い、引張方向に対して直交するようにステンレ板STを固定し、これに対して直交する方向に止着テープが引張られるように準備する。この際、オス材30の最後の部位が剥離するときのオス材30とメス材33との角度(最終剥離角度)が90度となるように調整する。引張速度300mm/minで引張試験を行い、測定される荷重変化曲線における剥離開始時から完全剥離までの間の平均値、ならびに最大値を求める。
(1) メス材33をステンレス板ST上に固定する。
(2) 長手方向中間にオス材30を設けた止着テープ7を用意し、これをメス材に貼り付ける。この際、止着テープ7のオス材30の全体がメス材33に係合するように配置する。
(3) 重量2kgのろーらRを止着テープ7の長手方向に一往復させ止着テープ7のオス材30をメス材33に係合させる。
(4) 通常の引張試験機を用い、一方のチャックにステンレス板の端部挟み、他方のチャックに止着テープの端部を挟み、チャック間距離50mm、引張速度300mm/minで剪断方向の引張試験を行い、測定される荷重変化曲線における剥離開始時から完全剥離までの間の最大値を求める。
おむつ装着時には、止着テープ7の取り外しが十分容易に行える範囲で、可能な限り強固に止着できるようにするのが好ましい。この観点から、オス材30を腹側部分、上記止着式紙おむつ例における外装不織布10あるいは被着要素20(以下、被着要素等ともいう)に係合させた状態で、高い方のフック部32は被着要素等に係合され、低い方のフック部32は被着要素等に対して高い方のフック部32よりも浅い位置、例えば表面に露出する繊維に係合されるように構成するのが好ましい。
後処理時においては、丸めたおむつが拡がらないように外装不織布10に対して強固に止着できることが重要であるが、外装不織布10は風合いが良い不織布が用いられる。このため、図13に示すように、高い方のフック部32を外装不織布10に係合し、低い方のフック部32は外装不織布10に係合しないように構成するのが好ましい。この場合、フック部全体としてみると通常の密度で配置されていても、高い方のフック部32のみをみると疎らに配置されることになるため、高い方のフック部32が外装不織布10に内に入り易く、強固に係合させることができる。
Claims (14)
- 高さまたは形状が異なる複数種のフック部を基材シート上に多数設けてなることを特徴とするメカニカルファスナーのオス材。
- 前記基材シート表面から先端までの高さが250〜2000μmである第1のフック部と、前記基材シート表面から先端までの高さが100〜500μmの範囲内にあり且つ前記第1のフック部よりも高さの低い第2のフック部とを有する請求項1記載のメカニカルファスナーのオス材。
- 前記基材シート上に立設された軸部と、軸部の先端部に設けられた掛止部とを有する第1のフック部と、この第1のフック部に対して前記軸部に対する前記掛止部の角度が異なる第2のフック部とを有する、請求項1記載のメカニカルファスナーのオス材。
- 前記第1のフック部及び第2のフック部の総数に対する前記第1のフック部の割合が40〜60%、且つ前記第2のフック部の割合が60〜40%である、請求項2または3記載のメカニカルファスナーのオス材。
- 前記フック部を80〜800個/cm2の数密度で設けてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載のメカニカルファスナーのオス材。
- 高さまたは形状が異なる複数種のフック部を基材シート上に多数設けてなるオス材と、このオス材が係合されるメス材とからなるメカニカルファスナーを備えたことを特徴とする吸収性物品。
- 腹側部分および背側部分を有し、腹側部分および背側部分のいずれか一方の部分の両側端部に止着部材をそれぞれ有し、前記一方の部分の止着部材を他方の部分に対して止着することにより、胴回り部および一対の脚周り部が形成される止着式紙おむつにおいて、
前記止着部材は、高さまたは形状が異なる複数種のフック部を基材シート上に多数設けてなるオス材を有し、このオス材を他方の部分に対して係合することにより止着するように構成したことを特徴とする止着式紙おむつ。 - 前記止着部材は、前記一方の部分の両側端部における内面素材に係合されて仮止めされており、身体への装着に際して剥離されるように構成されており、かつ前記オス材は高さが異なるフック部を有し、前記仮止め状態で高い方のフック部が前記内面素材に係合され、低い方のフック部は前記内面素材に係合されないように構成された、請求項7記載の止着式紙おむつ。
- 前記オス材は高さが異なるフック部を有し、前記他方の部分に対する係合状態で高い方のフック部は前記他方の部分に係合され、低い方のフック部は前記他方の部分に対して前記高い方のフック部よりも浅い位置に係合されるように構成された、請求項7または8記載の止着式紙おむつ。
- 前記オス材は高さが異なるフック部を有し、おむつ外面をなす外装不織布に対して係合された状態で、高い方のフック部が前記外装不織布に係合され、低い方のフック部は前記外装不織布に係合されないように構成された、請求項7〜9のいずれか1項に記載の止着式紙おむつ。
- 前記オス材は、前記基材シート表面から先端までの高さが250〜2000μmである第1のフック部と、前記基材シート表面から先端までの高さが100〜500μmの範囲内にあり且つ前記第1のフック部よりも高さの低い第2のフック部とを有する、請求項6〜10のいずれか1項に記載の止着式紙おむつ。
- 前記オス材は、前記基材シート上に立設された軸部と、軸部の先端部に設けられた掛止部とを有する第1のフック部と、この第1のフック部に対して前記軸部に対する前記掛止部の角度が異なる第2のフック部とを有する、請求項6または7記載の止着式紙おむつ。
- 前記第1のフック部及び第2のフック部の総数に対する前記第1のフック部の割合が40〜60%、且つ前記第2のフック部の割合が60〜40%である、請求項11または12記載の止着式紙おむつ。
- 前記フック部を80〜800個/cm2の数密度で設けてなる請求項6〜13のいずれか1項に記載の止着式紙おむつ。
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