JP2005318042A - マイクロレゾネータ及びその製造方法、並びに電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 周波数を容易に下げることにより所望の共振周波数を有することができるマイクロレゾネータ、及びその製造方法、並びにマイクロレゾネータを備える電子機器を提供する。
【解決手段】 シリコン基板と、シリコン基板上に形成された少なくとも絶縁膜を含む積層部と、積層部上に設けられた共振子と、共振子とシリコン基板とを連結する梁43とを備えたマイクロレゾネータにおいて、梁43のバネ定数を調整可能な調整部45を備える。
【選択図】 図3
【解決手段】 シリコン基板と、シリコン基板上に形成された少なくとも絶縁膜を含む積層部と、積層部上に設けられた共振子と、共振子とシリコン基板とを連結する梁43とを備えたマイクロレゾネータにおいて、梁43のバネ定数を調整可能な調整部45を備える。
【選択図】 図3
Description
本発明は、固有の共振周波数で微小振動する共振子を備えるマイクロレゾネータ及びその製造方法、並びにマイクロレゾネータを備える電子機器に関する。
MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いて超小型・超高性能の電子部品を製造する研究・開発が盛んに行われている。MEMS技術を用いた電子部品は多岐に亘るが、その一種としてマイクロレゾネータがある。マイクロレゾネータは、例えばシリコン基板等の基板上に酸化膜からなる絶縁膜が形成され、その絶縁膜上に櫛歯状の固定電極の櫛歯と櫛歯状の可動電極の櫛歯とが基板表面に対して平行に噛み合わされるように形成された構造である。
櫛歯状の可動電極は、シリコン基板上に支持されたバネ性を有する支持部に結合されており、このような互いに噛み合う櫛歯状の固定電極と櫛歯状の可動電極との組を支持部の両側に1組ずつ配置した構成となっている。なお、櫛歯状の可動電極と支持部とが共振子を構成している。更に、絶縁膜上には、櫛歯状の固定電極の各々に接続された2つの電極端子と、これら2つの電極端子に共通した接地電極としての電極端子とが設けられている。以上の櫛歯状の固定電極、櫛歯状の可動電極、支持部、及び電極端子は、例えば絶縁膜上に形成したポリシリコン膜を利用して形成される。
このようなマイクロレゾネータは、一方の櫛歯状の固定電極の電極端子と接地電極としての電極端子との間に交流電圧を印加することにより、その櫛歯状の固定電極と櫛歯状の可動電極との間に静電引力を発生させ、この静電引力により櫛歯状の可動電極を櫛歯の噛み合い方向(櫛歯の長さ方向)に平面的に押し引きすることによって振動させる。この振動は櫛歯状の可動電極と一体化されたバネ性を持つ支持部に伝達され、他方の同様に噛み合い状態にある櫛歯状の可動電極を平面的に振動させる。
入力側である一方の櫛歯状の固定電極と櫛歯状の可動電極との間で発生した振動が、可動電極の質量とバネ性を持つ支持部の構造で定まるバネ定数で決定される共振周波数に一致したところで共振現象が生じ、この共振周波数が出力側である他方の櫛歯状の固定電極の電極端子から取り出される。
かかる構成のマイクロレゾネータは、特定周波数の電気信号を発振する発振子又は複数の周波数を含む電気信号から特定周波数の電気信号をフィルタリングするフィルタとして用いられる。なお、マイクロレゾネータの詳細については、例えば以下の特許文献1,2に開示されている。
米国特許第5025346号明細書(第3欄第37行〜第6欄第2行、第6欄第55行〜第7欄第52行、図1〜図5)
米国特許第5537083号明細書(第4欄第43行〜第10欄第33行、図5〜図10)
かかる構成のマイクロレゾネータは、特定周波数の電気信号を発振する発振子又は複数の周波数を含む電気信号から特定周波数の電気信号をフィルタリングするフィルタとして用いられる。なお、マイクロレゾネータの詳細については、例えば以下の特許文献1,2に開示されている。
ところで、上述したマイクロレゾネータの共振周波数は、可動電極の質量(厳密には可動電極及び支持部の質量)と支持部のバネ定数とによって定まる。
可動電極及び支持部等は、半導体素子等の製造において広く用いられるフォトリソグラフィー技術を用いて基板上に形成されるが、複数の可動電極及び支持部等を設計値通りに形成するのは難しく、製造された可動電極及び支持部の質量及びバネ定数はばらつくことが多い。このため、製造されたマイクロレゾネータの共振周波数もばらつき、共振周波数が等しいマイクロレゾネータを複数製造するのは困難である。
このため、振動体上に設けられた錘をレーザ等により蒸発させて、振動子の質量を適宜減少させることでその周波数を増加させる技術が知られている。
可動電極及び支持部等は、半導体素子等の製造において広く用いられるフォトリソグラフィー技術を用いて基板上に形成されるが、複数の可動電極及び支持部等を設計値通りに形成するのは難しく、製造された可動電極及び支持部の質量及びバネ定数はばらつくことが多い。このため、製造されたマイクロレゾネータの共振周波数もばらつき、共振周波数が等しいマイクロレゾネータを複数製造するのは困難である。
このため、振動体上に設けられた錘をレーザ等により蒸発させて、振動子の質量を適宜減少させることでその周波数を増加させる技術が知られている。
しかしながら、このような方法では、振動子にあらかじめ所望の振動数以下となる程度の錘を載せておく必要があり、また、一度減少させた質量を増加させる事は出来ないため、周波数を下げる調整を行うことができないという問題がある。
なお、後工程で可動電極等の上にポリシリコンを選択的に形成することで、質量を増加させて、周波数を下げる調整を行う試みも行われているが、工業的に実用化することが困難であり、現実的でない。
なお、後工程で可動電極等の上にポリシリコンを選択的に形成することで、質量を増加させて、周波数を下げる調整を行う試みも行われているが、工業的に実用化することが困難であり、現実的でない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、周波数を容易に下げることにより所望の共振周波数を有することができるマイクロレゾネータ、及びその製造方法、並びにマイクロレゾネータを備える電子機器を提供することを目的とする。
本発明に係るマイクロレゾネータ及びその製造方法、並びに電子機器では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
第1の発明は、シリコン基板と、シリコン基板上に形成された少なくとも絶縁膜を含む積層部と、積層部上に設けられた共振子と、共振子とシリコン基板とを連結する梁とを備えたマイクロレゾネータにおいて、梁のバネ定数を調整可能な調整部を備えるようにした。
この発明によれば、共振子とシリコン基板とを連結する梁のバネ定数を調整できるので、任意の共振周波数を有するマイクロレゾネータを得ることができる。
また、調整部が、梁とシリコン基板との支持位置を調整可能に構成されるものでは、容易に梁の長さを伸ばして、梁のバネ定数を調整する(低下させる)ことができる。
また、調整部が、シリコン基板上に設けられた支持部と、支持部と梁とを複数箇所で連結する複数の調整梁を備えるものでは、調整梁を切断することにより、容易に梁の長さを伸ばすことができる。
第1の発明は、シリコン基板と、シリコン基板上に形成された少なくとも絶縁膜を含む積層部と、積層部上に設けられた共振子と、共振子とシリコン基板とを連結する梁とを備えたマイクロレゾネータにおいて、梁のバネ定数を調整可能な調整部を備えるようにした。
この発明によれば、共振子とシリコン基板とを連結する梁のバネ定数を調整できるので、任意の共振周波数を有するマイクロレゾネータを得ることができる。
また、調整部が、梁とシリコン基板との支持位置を調整可能に構成されるものでは、容易に梁の長さを伸ばして、梁のバネ定数を調整する(低下させる)ことができる。
また、調整部が、シリコン基板上に設けられた支持部と、支持部と梁とを複数箇所で連結する複数の調整梁を備えるものでは、調整梁を切断することにより、容易に梁の長さを伸ばすことができる。
第2の発明は、シリコン基板と、シリコン基板上に形成された少なくとも絶縁膜を含む積層部と、積層部上に設けられた共振子と、共振子とシリコン基板とを連結する梁とを備えたマイクロレゾネータの製造方法において、シリコン基板上に支持部を形成するとともに、支持部と梁とを複数箇所で連結する複数の調整梁を形成する工程と、複数の調整梁のうちの少なくとも1つ以上を切断して、梁のバネ定数を段階的に低下させる調整工程とを含むようにした。
この発明によれば、梁のバネ定数が段階的に低下するので、梁のバネ定数を容易に調整でき、任意の共振周波数を有するマイクロレゾネータを得ることができる。
また、調整工程が、調整梁に対してレーザを照射して切断する工程であるものでは、微細な調整梁を容易に切断することができる。
この発明によれば、梁のバネ定数が段階的に低下するので、梁のバネ定数を容易に調整でき、任意の共振周波数を有するマイクロレゾネータを得ることができる。
また、調整工程が、調整梁に対してレーザを照射して切断する工程であるものでは、微細な調整梁を容易に切断することができる。
第3の発明は、電子機器が、第1の発明のマイクロレゾネータ、又は第2の発明の製造方法を用いて製造されたマイクロレゾネータを備えるようにした。
この発明によれば、共振周波数のばらつきが抑えられたマイクロレゾネータが用いられるので、高性能な電気機器を得ることができる。
この発明によれば、共振周波数のばらつきが抑えられたマイクロレゾネータが用いられるので、高性能な電気機器を得ることができる。
以下、本発明のマイクロレゾネータ及びその製造方法、並びに電子機器の実施形態について図を参照して説明する。
〔マイクロレゾネータ〕
図1は、本発明の一実施形態によるマイクロレゾネータを示す平面図であり、図2は、図1中のA−A線に沿った断面矢視図である。
図1及び図2に示すマイクロレゾネータ10は、トランスバーサル型のSAW(Surface Acoustic Wave:弾性表面波素子)フィルタと同様な働きをするフィルタとして構成したものである。
なお、以下の説明においては、必要があれば図中にXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。図1及び図2中のXYZ直交座標系は、X軸及びY軸がシリコン基板50の表面に対して平行となるよう設定され、Z軸がシリコン基板50の表面に対して直交する方向に設定される。
〔マイクロレゾネータ〕
図1は、本発明の一実施形態によるマイクロレゾネータを示す平面図であり、図2は、図1中のA−A線に沿った断面矢視図である。
図1及び図2に示すマイクロレゾネータ10は、トランスバーサル型のSAW(Surface Acoustic Wave:弾性表面波素子)フィルタと同様な働きをするフィルタとして構成したものである。
なお、以下の説明においては、必要があれば図中にXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。図1及び図2中のXYZ直交座標系は、X軸及びY軸がシリコン基板50の表面に対して平行となるよう設定され、Z軸がシリコン基板50の表面に対して直交する方向に設定される。
マイクロレゾネータ10は、シリコン基板50の表面に形成された酸化膜を含む絶縁膜51上において、X方向に沿って送信側IDT(Inter Digital Transducer)20と受信側IDT30とを配置し、これらの間に共振子40を配置した構成である。送信側IDT20、受信側IDT30、及び共振子40は、例えばシリコン基板50上に形成された導電層としてのポリシリコン(p−SiO)膜を利用して形成される。或いは、SOI(Silicon On Insulator)基板の絶縁膜上に結晶化されたシリコン層を利用して形成される。
送信側IDT20は、櫛歯部21を有する固定電極22と櫛歯部23を有する可動電極24とから構成される。送信側IDT20の固定電極22は、リード線25を介して電極端子26に接続される。同様に、受信側IDT30は、櫛歯部31を有する固定電極32と櫛歯部33を有する可動電極34とから構成される。受信側IDT30の固定電極32は、リード線35を介して電極端子36に接続される。なお、電極端子38は、電極端子26,36に対して共通に設定された接地用電極端子である。
可動電極24と可動電極34とは、X方向延びる連結ビーム41で連結される。そして、この連結ビーム41、可動電極24,34、及び後述する方形状のフレームからなる梁部42とから共振子40が構成される。
共振子40は、連結ビーム41の−X方向における端部に連結された可動電極24の櫛歯部23が固定電極22の櫛歯部21と平面的に噛み合うように、且つ連結ビーム41の+X方向における端部に連結された可動電極34の櫛歯部33が固定電極32の櫛歯部31と平面的に噛み合うように、固定電極22と固定電極32との間に配置される。
共振子40は、連結ビーム41の−X方向における端部に連結された可動電極24の櫛歯部23が固定電極22の櫛歯部21と平面的に噛み合うように、且つ連結ビーム41の+X方向における端部に連結された可動電極34の櫛歯部33が固定電極32の櫛歯部31と平面的に噛み合うように、固定電極22と固定電極32との間に配置される。
また、固定電極22の櫛歯部21と可動電極24の櫛歯部23とは、それぞれ複数の櫛歯が所定の平面上の隙間(櫛歯ギャップ)をもって、シリコン基板50の表面に平行に噛み合っている。同様に、固定電極32の櫛歯部31と可動電極34の櫛歯部33とは、それぞれ複数の櫛歯が所定の平面上の隙間をもって、シリコン基板50の表面に平行に噛み合っている。櫛歯部23を有する可動電極24及び櫛歯部33を有する可動電極34が共振子40に設けられているため、櫛歯部23,33の長手方向の振動、又は共振子40のねじれ又は回転による振動等の共振モードを得ることができ、共振周波数の設定範囲を広くする上で好適である。勿論、かかる構成であれば単一の共振周波数を得ることもできる。
可動電極24,34に対して一体的に形成されたフレーム状の梁部42は、梁部42に結合された片持ち梁43によって支持されており、片持ち梁43の支持部44がシリコン基板50上に固定された構造になっている。支持部44は接地電極としての電極端子38と導通しているため、共振子40は電位がほぼ接地電位になる。なお、梁部42の外形形状は、特に方形形状に限定されるものではなく、円形形状、長円形状、紡錘形状等の任意の形状に設定することができる。
連結ビーム41は、図2に示すように、シリコン基板50の絶縁膜51の表面よりも上方(+Z方向)に基板面に対して平行に浮き上がった状態で支持される。従って、連結ビーム41の両端に連結された櫛歯状の可動電極24,34も同様に基板面に平行に浮き上がった状態に配置される。また、可動電極24,34に噛み合う櫛歯状の固定電極22,32も櫛歯の部分が基板面に平行に浮き上がった状態に支持される。
可動電極24,34及び固定電極22,32の浮上高さ、即ち、シリコン基板50上に形成された絶縁膜51との間隔は2〜3μm程度である。
なお、図2において、ポリシリコン等で形成された電極端子26,36及びリード線25,35と絶縁膜51との間の層52は、櫛歯状の固定電極22,32と可動電極24,34との櫛歯部を基板面に平行に浮き上がった構成に形成する際の製造工程において設けられた犠牲層52である。
なお、図2において、ポリシリコン等で形成された電極端子26,36及びリード線25,35と絶縁膜51との間の層52は、櫛歯状の固定電極22,32と可動電極24,34との櫛歯部を基板面に平行に浮き上がった構成に形成する際の製造工程において設けられた犠牲層52である。
共振子40の共振周波数は、共振子40自体の重さのばらつき、又は共振子40の一部をなす梁部42(片持ち梁43)のバネ定数のばらつきが原因で変化する。
調整部45は、何れの原因で共振周波数の変化が生じた場合であっても、共振子40の共振周波数を所望の周波数にするために用いられる。
また、例えば、4つの調整部45を個別に調整することにより、4つ片持ち梁43のバネ定数を対称にし、又は非対称にすることで、共振モードを調整することができる。かかる調整を行うことで、共振子40の共振周波数の設定範囲を広くすることもでき、また共振子40を高いQ値を有するものとすることも、低いQ値を有するものとすることもできる。
調整部45は、何れの原因で共振周波数の変化が生じた場合であっても、共振子40の共振周波数を所望の周波数にするために用いられる。
また、例えば、4つの調整部45を個別に調整することにより、4つ片持ち梁43のバネ定数を対称にし、又は非対称にすることで、共振モードを調整することができる。かかる調整を行うことで、共振子40の共振周波数の設定範囲を広くすることもでき、また共振子40を高いQ値を有するものとすることも、低いQ値を有するものとすることもできる。
以上説明した構成のマイクロレゾネータ10を、例えば発振子として用いる場合には、櫛歯状の固定電極22の電極端子26と接地電極としての電極端子38との間に交流電圧を印加する。これらの電極端子間に交流電圧を印加すると、固定電極22の櫛歯部21と可動電極24の櫛歯部23との間に静電引力が発生する。これによって可動電極24が、櫛歯の噛み合い方向(櫛歯の長さ方向、即ちX方向)にバネ性を有する梁部42を介して引き押しされて振動する。この振動は可動電極24と一体化されたバネ性を持つ梁部42に伝達され、他方の同様に固定電極32の櫛歯部31と噛み合い状態にある櫛歯部33を備える可動電極34がX方向に振動する。
入力側である一方の櫛歯状の固定電極22と可動電極24との間で発生した振動が、共振子40の固有振動数に達すると、共振子40はその振動数で共振する。共振子40が共振することによって、他方の櫛歯部31を有する固定電極32に接続された電極端子36から、その固有振動数に応じた発振周波数を有する電気信号が出力される。発振周波数(共振周波数)は、可動電極24,34を含む共振子40の質量と片持ち梁43のバネ定数で定まる変位に対する復元力(梁部42の弾性力)とによって定まる。
ここで、共振子40の質量をmとし、片持ち梁43のバネ定数をkとすると、固定電極32から出力される電気信号の発振周波数f0は以下の(1)式で表される。
f0=(1/(2・π))・(k/m)1/2 ……(1)
図1及び図2に示すマイクロレゾネータ10を発振子として用いる場合には、その発振周波数の設計目標値として、例えば16kHz、32kHz、72kHz等が設定される。
f0=(1/(2・π))・(k/m)1/2 ……(1)
図1及び図2に示すマイクロレゾネータ10を発振子として用いる場合には、その発振周波数の設計目標値として、例えば16kHz、32kHz、72kHz等が設定される。
図3は、片持ち梁43と支持部44との連結部分を拡大した図である。
支持部44には、コ字形に形成された調整部45が形成され、調整部45の底面45aに片持ち梁43が接続される。また、調整部45の2つの側面45bから片持ち梁43に対して複数の調整梁46が連結される。調整梁46は、所定の間隔を空けて、片持ち梁43に対して左右均等に配置される。すなわち、片持ち梁43は、複数の調整梁46を介して、支持部44に複数箇所で支持される。したがって、片持ち梁43のうち調整梁46が連結された部位は、拘束されるため、共振子40の振動(共振)運動には寄与しない。
このため、片持ち梁43は、支持部44(具体的には、調整部45の底面45a)から最も離れた調整梁46からの長さLを有することになる。
なお、詳細については後述するが、複数の調整梁46は、図3(b)に示すように、選択的に切断される。調整梁46は、支持部44から最も離れた調整梁46から順に切断される。これにより、片持ち梁43と支持部44との結合位置が移動して、片持ち梁43の長さLがL2に伸びる。これに反比例して片持ち梁43のバネ定数が小さくなり、共振子40の共振周波数が段階的に低下する。
支持部44には、コ字形に形成された調整部45が形成され、調整部45の底面45aに片持ち梁43が接続される。また、調整部45の2つの側面45bから片持ち梁43に対して複数の調整梁46が連結される。調整梁46は、所定の間隔を空けて、片持ち梁43に対して左右均等に配置される。すなわち、片持ち梁43は、複数の調整梁46を介して、支持部44に複数箇所で支持される。したがって、片持ち梁43のうち調整梁46が連結された部位は、拘束されるため、共振子40の振動(共振)運動には寄与しない。
このため、片持ち梁43は、支持部44(具体的には、調整部45の底面45a)から最も離れた調整梁46からの長さLを有することになる。
なお、詳細については後述するが、複数の調整梁46は、図3(b)に示すように、選択的に切断される。調整梁46は、支持部44から最も離れた調整梁46から順に切断される。これにより、片持ち梁43と支持部44との結合位置が移動して、片持ち梁43の長さLがL2に伸びる。これに反比例して片持ち梁43のバネ定数が小さくなり、共振子40の共振周波数が段階的に低下する。
図4は、マイクロレゾネータ10をフィルタとして用いる場合の通過特性の一例を示す図である。図4に示すように、マイクロレゾネータ10をフィルタとして用いる場合には、共振子40の固有振動数f0を中心とした共振幅Wの通過帯域幅を有するフィルタとして用いられる。マイクロレゾネータ10をフィルタとして用いる場合には、櫛歯状の固定電極22の電極端子26と接地電極としての電極端子38との間に交流電圧が印加される。
これらの電極端子間に印加された交流電圧の周波数が、図4に示す帯域幅Wに含まれる周波数であれば、共振子40が静電力によってX方向に振動して、その周波数を有する電気信号が電極端子36から出力される。一方、帯域幅Wに含まれない周波数の交流電圧が入力された場合には、共振子40が共振しない。この結果として、その周波数は除去される。このような動作によりマイクロレゾネータ10がフィルタとして用いられる。
〔マイクロレゾネータの製造方法〕
図5及び図6は、本発明の一実施形態によるマイクロレゾネータの製造方法を示す工程図である。なお、図5及び図6において、図1及び図2に示した部材と同一の部材には同一の符号を付してある。
まず、図5(a)に示す通り、シリコン基板50上に二酸化珪素(SiO2)からなる酸化膜51aを形成する。シリコン基板50は両面が研磨されており、厚さが約500μm程度である。また、酸化膜51aは減圧気相成長(減圧CVD(Chemical Vapor Deposition))法を用いて形成され、その厚さは0.1μm程度である。
図5及び図6は、本発明の一実施形態によるマイクロレゾネータの製造方法を示す工程図である。なお、図5及び図6において、図1及び図2に示した部材と同一の部材には同一の符号を付してある。
まず、図5(a)に示す通り、シリコン基板50上に二酸化珪素(SiO2)からなる酸化膜51aを形成する。シリコン基板50は両面が研磨されており、厚さが約500μm程度である。また、酸化膜51aは減圧気相成長(減圧CVD(Chemical Vapor Deposition))法を用いて形成され、その厚さは0.1μm程度である。
次に、酸化膜51a上に厚さ0.5μm程度の窒化膜(Si3N4)51bを形成する。この窒化膜51bも減圧CVD法を用いて形成される。なお、これらの酸化膜51a及び窒化膜51bから図1及び図2に示した絶縁膜51が形成される。
窒化膜51bを形成すると、次に窒化膜51b上にSiO2からなり、厚さが2μm程度の犠牲層52を形成する工程が行われる。これらの層により積層部が構成される。なお、図2に示したマイクロレゾネータ10においても窒化膜51bが設けられているが、図2においては図示を省略している。
窒化膜51bを形成すると、次に窒化膜51b上にSiO2からなり、厚さが2μm程度の犠牲層52を形成する工程が行われる。これらの層により積層部が構成される。なお、図2に示したマイクロレゾネータ10においても窒化膜51bが設けられているが、図2においては図示を省略している。
以上の工程が終了すると、犠牲層52の上面の全面に亘ってフォトレジスト(不図示)を塗布し、このフォトレジストに対して露光処理及び現像処理を行って所定形状のレジストパターンを形成する。次いで、このレジストパターンをマスクとして犠牲層52に対してエッチング処理を行うことにより、図5(b)に示す通り、固定電極22,32となるべき箇所及び支持部44となるべき箇所(図1参照)の犠牲層52を除去する。
エッチング処理が完了し、犠牲層52上に形成されたレジストパターンを剥離すると、図5(c)に示すように、犠牲層52及び露出している窒化膜51b上の全面に亘って厚さが2.0μm程度の導電層としてのポリシリコン(p−SiO)膜60が形成される。
次に、ポリシリコン膜60上に不図示のフォトレジストを塗布し、このフォトレジストに対して露光処理及び現像処理を行って所定形状のレジストパターンを形成する。レジストパターンを形成すると、ポリシリコン膜60に対してエッチング処理を行い、最終的に固定電極22,32、共振子40(連結ビーム41、可動電極24,34、及び梁部42)、片持ち梁43、支持部44、調整部45、電極端子26,36,38、及びリード線25,35となるべき部分を残し、それ以外の部分を除去する。エッチング処理を終えて、ポリシリコン膜60上に形成されたレジストパターンを除去すると、図6(a)に示す状態になる。
以上の工程が終了すると、固定電極22の櫛歯部21、固定電極32の櫛歯部31、共振子40(可動電極24,34、連結ビーム41、及び梁部42)、片持ち梁43、支持部44及び調整部45の下方の犠牲層52をエッチングにより除去する。このようなエッチングは、エッチング時間を制御することにより可能である。かかるエッチングを行うことで、図6(b)に示す通り、シリコン基板50上(窒化膜51b上)において、2〜3μm程度の間隔をもって浮上した状態にある共振子40を形成することができる。
次に、バネ定数を調整する調整工程が行われる。図7は、片持ち梁43のバネ定数を調整する工程の様子を示す図である。
まず、共振子40の初期状態における共振周波数を計測する。共振子40の共振周波数の測定には、図7に示す通り、アンプ71、センサヘッド72、レーザドップラー振動計73、及び周波数アナライザ74からなる計測装置を用いる。アンプ71は周波数アナライザ74の信号出力端(signal)から出力される所定の周波数(共振子40の共振周波数又はその近傍の周波数)を有する交流信号を所定の増幅率で増幅して電極端子36に与えるものである。
まず、共振子40の初期状態における共振周波数を計測する。共振子40の共振周波数の測定には、図7に示す通り、アンプ71、センサヘッド72、レーザドップラー振動計73、及び周波数アナライザ74からなる計測装置を用いる。アンプ71は周波数アナライザ74の信号出力端(signal)から出力される所定の周波数(共振子40の共振周波数又はその近傍の周波数)を有する交流信号を所定の増幅率で増幅して電極端子36に与えるものである。
センサヘッド72は、例えばHe−Neレーザ等の光源を備えており、この光源から射出されるレーザ光を共振子40に設けられた可動電極24の櫛歯部23に照射し、その反射光と基準光とを干渉させて得られる干渉光を受光して光電変換した受光信号を出力する。なお、センサヘッド72から射出されるレーザ光の強度は、レーザ70から射出されるレーザ光の強度より遙かに低く設定されており、レーザ光の照射によって可動電極24の重さが変化する等の影響は生じない。
レーザドップラー振動計73は、センサヘッド72から出力される受光信号を周波数変調することにより、共振子40の振動周波数・振動速度を検出した検出信号を出力する。
周波数アナライザ74は、周波数が可変である交流信号を出力するとともに、レーザドップラー振動計73から出力されて入力端(ch1)に入力される検出信号と、信号出力端(signal)から出力されて入力端(ch2)に入力される交流信号とを用いて共振子40の共振周波数を求め、その結果を視覚的にCRT(Cathod Ray Tube)又は液晶表示装置等の表示装置75に表示する。
周波数アナライザ74は、周波数が可変である交流信号を出力するとともに、レーザドップラー振動計73から出力されて入力端(ch1)に入力される検出信号と、信号出力端(signal)から出力されて入力端(ch2)に入力される交流信号とを用いて共振子40の共振周波数を求め、その結果を視覚的にCRT(Cathod Ray Tube)又は液晶表示装置等の表示装置75に表示する。
前述した通り、片持ち梁43のバネ定数は、目標とする共振周波数が得られるバネ定数よりも僅かに、高め(硬め)に形成されるため、以上の測定で得られる共振周波数は、目標とする共振周波数よりも高い値になる。
そこで、図7に示す通り、レーザ70から射出されるレーザ光を調整部45の調整梁46に照射し、調整梁46を選択的に蒸散させて切断することで片持ち梁43のバネ定数を調整する。
具体的には、図3(b)に示すように、複数の調整梁46のうち、支持部44から最も離れた調整梁46を切断する。これにより、片持ち梁43の長さLがL2に伸びることになる。したがって、片持ち梁43のバネ定数が段階的に低下する。
そして、所定の調整梁46を切断したら、再度、共振子40の共振周波数を計測する。共振子40の共振周波数は、調整梁46を切断したことにより、初期状態よりも低くなっている。仮に、得られた共振周波数が所望の共振周波数よりも、まだ高い場合には、再度、支持部44から離れた調整梁46を蒸散させて切断する。
このようにして、共振子40の共振周波数を段階的に低下させて、所望に周波数に合わせる。
なお、共振周波数は、バネ定数の平方根に比例する。またバネ定数は、片持ち梁43の長さに反比例する。仮に、片持ち梁43の長さL=100μmから長さL=100.3μmに調整すると、共振周波数は0.995倍(0.5%)に変化する。したがって、32kHzの共振周波数の共振子40であれば、160Hz程度の共振周波数の変化(低下)を得ることができる。
そこで、図7に示す通り、レーザ70から射出されるレーザ光を調整部45の調整梁46に照射し、調整梁46を選択的に蒸散させて切断することで片持ち梁43のバネ定数を調整する。
具体的には、図3(b)に示すように、複数の調整梁46のうち、支持部44から最も離れた調整梁46を切断する。これにより、片持ち梁43の長さLがL2に伸びることになる。したがって、片持ち梁43のバネ定数が段階的に低下する。
そして、所定の調整梁46を切断したら、再度、共振子40の共振周波数を計測する。共振子40の共振周波数は、調整梁46を切断したことにより、初期状態よりも低くなっている。仮に、得られた共振周波数が所望の共振周波数よりも、まだ高い場合には、再度、支持部44から離れた調整梁46を蒸散させて切断する。
このようにして、共振子40の共振周波数を段階的に低下させて、所望に周波数に合わせる。
なお、共振周波数は、バネ定数の平方根に比例する。またバネ定数は、片持ち梁43の長さに反比例する。仮に、片持ち梁43の長さL=100μmから長さL=100.3μmに調整すると、共振周波数は0.995倍(0.5%)に変化する。したがって、32kHzの共振周波数の共振子40であれば、160Hz程度の共振周波数の変化(低下)を得ることができる。
以上のように、レーザ70からのレーザ光を調整梁46照射して、調整梁46を選択的に切断させて、共振子40の共振周波数を計測する動作を繰り返し、計測される共振子40の共振周波数が目標とする共振周波数に略一致させる。
これにより、目標とする共振周波数を有する共振子40を備えるマイクロレゾネータ10が得られる。
これにより、目標とする共振周波数を有する共振子40を備えるマイクロレゾネータ10が得られる。
なお、櫛歯部23,33の長手方向の振動のみの共振モードが生じている状態で共振周波数を変更する場合には、共振子40の重心に対して対称に配置された調整梁46を切断させて、各々の片持ち梁43のバネ定数を対称的に調整することが望ましい。
他方、共振子40のねじれ又は回転による共振モードを得たい場合には、共振子40の重心に対して非対称に調整梁46を切断させて、各々の片持ち梁43のバネ定数を非対称的に調整する。
なお、共振モードが変わると共振周波数も変わるため、共振子40の共振周波数を高くすることも、低くすることもできる。このように、本実施形態においては、共振モードを変更することなく共振周波数の調整を行うことができ、或いは共振周波数を変えつつ共振周波数を変えることができるため、マイクロレゾネータ10の共振周波数の設定範囲を広くすることができる。
また、高Q値を有するマイクロレゾネータを得ることも、低Q値を有するマイクロレゾネータを得ることもできる。
なお、共振モードが変わると共振周波数も変わるため、共振子40の共振周波数を高くすることも、低くすることもできる。このように、本実施形態においては、共振モードを変更することなく共振周波数の調整を行うことができ、或いは共振周波数を変えつつ共振周波数を変えることができるため、マイクロレゾネータ10の共振周波数の設定範囲を広くすることができる。
また、高Q値を有するマイクロレゾネータを得ることも、低Q値を有するマイクロレゾネータを得ることもできる。
また、前述した通り、マイクロレゾネータ10を発振子として用いる場合には、その発振周波数の設計目標値として、例えば16kHz、32kHz、72kHz等のある程度決まった周波数が用いられる。
このため、各々の発振周波数が得られる片持ち梁43のバネ定数或いは片持ち梁43の長さを設計段階で求めて、そのバネ定数或いは片持ち梁43の長さが得られるように調整梁46を形成しておくことで、特定の発振周波数に近い発振周波数が容易に得られるようすることが好ましい。
このため、各々の発振周波数が得られる片持ち梁43のバネ定数或いは片持ち梁43の長さを設計段階で求めて、そのバネ定数或いは片持ち梁43の長さが得られるように調整梁46を形成しておくことで、特定の発振周波数に近い発振周波数が容易に得られるようすることが好ましい。
このように、同一構造ではあるが異なる発振周波数を有するマイクロレゾネータ10を短時間で製造することができる。ここで、調整梁46の除去をレーザ光の照射によって行うようにすれば、製造ラインを全く変更することなく調整梁46の除去を行うことができる。また、このレーザ光を残りの調整梁46に照射することにより、梁43のバネ定数を微調整することができ、共振子40の発振周波数を目標とする発振周波数に設定することができる。
以上説明したマイクロレゾネータの製造方法によれば、共振子40に連結する片持ち梁43のバネ定数を調整することにより、共振子40等の製造誤差による共振周波数のばらつきがあった場合でも、目標とする共振周波数を有するマイクロレゾネータ10を高い歩留まりで、且つ安価に製造することができる。
また、バネ定数の調整は、片持ち梁43上に形成された調整部45の調整梁46に対してレーザを照射して調整梁46を選択的に蒸散させて切断しているため、片持ち梁43のバネ定数の調整を短時間で且つ高精度で行うことができ、その結果として目標とする共振周波数を有するマイクロレゾネータ10をスループットの低下を招かずに製造することができる。
これにより、高い歩留まりで目標とする共振周波数を有するマイクロレゾネータ10を製造することができる。
これにより、高い歩留まりで目標とする共振周波数を有するマイクロレゾネータ10を製造することができる。
なお、上記実施形態においては、シリコン基板50上に酸化膜51a及び窒化膜51bからなる絶縁膜51を形成し、この絶縁膜51上に犠牲層52を形成し、更に犠牲層52上にポリシリコン膜60を形成して、ポリシリコン膜60に共振子40及び固定電極22,32等を形成した。
また、SOI基板を用いてこれらを形成することもできる。SOI基板を用いる場合には、SOI基板に形成された絶縁膜上に結晶化されたシリコン層を利用して共振子40及び固定電極22,32等を形成し、絶縁膜を上記の犠牲層52と同様にエッチングすることにより、シリコン基板に対して共振子40及び固定電極22,32が浮上した状態にすることができる。
また、SOI基板を用いてこれらを形成することもできる。SOI基板を用いる場合には、SOI基板に形成された絶縁膜上に結晶化されたシリコン層を利用して共振子40及び固定電極22,32等を形成し、絶縁膜を上記の犠牲層52と同様にエッチングすることにより、シリコン基板に対して共振子40及び固定電極22,32が浮上した状態にすることができる。
更に、上記実施形態では、共振子40の共振周波数を計測するために、センサヘッド72、レーザドップラー振動計73、及び周波数アナライザ74を用いていた。高い精度で共振子40の共振周波数を計測するにはこれらを用いて計測することが望ましい。しかしながら、共振子40の共振周波数の計測方法はこれに限られる訳ではない。例えば、共振子40の振動に起因して生ずる固定電極22と可動電極24との間の電気容量変化又は固定電極32と可動電極34との間の電気容量変化を検出することで共振子40の共振周波数を計測することもできる。
図8は、調整部45の変形例を示す図である。調整部45は、図8(a)に示すように、片持ち梁43に対して調整梁46を左右に互い違いに配置した構造としてもよい。このように、調整梁46を左右に互い違いに配置することにより、バネ定数を調整する工程の際に、切断する調整梁46の数を半減させることができ、作業の効率化を図ることができる。
また、調整部45は、片持ち梁43を複数の調整梁46で支持する構造に限らない。梁43と支持部44とを連続的に連結し、図8(b)に示すように、この部分をレーザ70により蒸散させて、梁43の長さを伸ばしてもよい。なお、この場合には、共振子40の共振周波数を計測しながら、徐々に結合部分をレーザ70により蒸散させることが望ましい。共振周波数が連続的に変化するからである。
また、調整部45は、片持ち梁43を複数の調整梁46で支持する構造に限らない。梁43と支持部44とを連続的に連結し、図8(b)に示すように、この部分をレーザ70により蒸散させて、梁43の長さを伸ばしてもよい。なお、この場合には、共振子40の共振周波数を計測しながら、徐々に結合部分をレーザ70により蒸散させることが望ましい。共振周波数が連続的に変化するからである。
〔電子機器〕
図9は、本発明の一実施形態による電子機器としての携帯電話機の外観を示す斜視図である。図9に示す携帯電話機100は、アンテナ101、受話器102、送話器103、液晶表示部104、及び操作釦部105等を備えて構成される。図10は、図9に示した携帯電話機100の内部に設けられる電子回路の電気的構成を示すブロック図である。
図9は、本発明の一実施形態による電子機器としての携帯電話機の外観を示す斜視図である。図9に示す携帯電話機100は、アンテナ101、受話器102、送話器103、液晶表示部104、及び操作釦部105等を備えて構成される。図10は、図9に示した携帯電話機100の内部に設けられる電子回路の電気的構成を示すブロック図である。
図10に示した電子回路は、携帯電話機100内に設けられる電子回路の基本構成を示し、送話器110、送信信号処理回路111、送信ミキサ112、送信フィルタ113、送信電力増幅器114、送受分波器115、アンテナ116a,116b、低雑音増幅器117、受信フィルタ118、受信ミキサ119、受信信号処理回路120、受話器121、周波数シンセサイザ122、制御回路123、及び入力/表示回路124を含んで構成される。なお、現在実用化されている携帯電話機は、周波数変換処理を複数回行っているため、その回路構成はより複雑である。
送話器110は、例えば音波を電気信号に変換するマイクロフォン等で実現され、図9中の送話器103に相当するものである。送信信号処理回路111は、送話器110から出力される電気信号に対して、例えばD/A変換処理、変調処理等の処理を施す回路である。送信ミキサ112は、周波数シンセサイザ122から出力される信号を用いて送信信号処理回路111から出力される信号をミキシングする。なお、送信ミキサ112に供給される信号の周波数は、例えば380MHz程度である。送信フィルタ113は、中間周波数(IF)の必要となる周波数の信号のみを通過させ、不要となる周波数の信号をカットする。なお、送信フィルタ113から出力される信号は不図示の変換回路によりRF信号に変換される。このRF信号の周波数は、例えば1.9GHz程度である。送信電力増幅器114は、送信フィルタ113から出力されるRF信号の電力を増幅し、送受分波器115へ出力する。
送受分波器115は、送信電力増幅器114から出力されるRF信号をアンテナ116a,116bへ出力し、アンテナ116a,116bから電波の形で送信する。また、送受分波器115はアンテナ116a,116bで受信した受信信号を分波して、低雑音増幅器117へ出力する。なお、送受分波器115から出力される受信信号の周波数は、例えば2.1GHz程度である。低雑音増幅器117は送受分波器115からの受信信号を増幅する。なお、低雑音増幅器117から出力される信号は、不図示の変換回路により中間信号(IF)に変換される。
受信フィルタ118は不図示の変換回路により変換された中間周波数(IF)の必要となる周波数の信号のみを通過させ、不要となる周波数の信号をカットする。受信ミキサ119は、周波数シンセサイザ122から出力される信号を用いて送信信号処理回路111から出力される信号をミキシングする。なお、受信ミキサ119に供給される中間周波数は、例えば190MHz程度である。受信信号処理回路120は受信ミキサ119から出力される信号に対して、例えばA/D変換処理、復調処理等の処理を施す回路である。受話器121は、例えば電気信号を音波に変換する小型スピーカ等で実現され、図9中の受話器102に相当するものである。
周波数シンセサイザ122は送信ミキサ112へ供給する信号(例えば、周波数380MHz程度)及び受信ミキサ119へ供給する信号(例えば、周波数190MHz)を生成する回路である。なお、周波数シンセサイザ122は、例えば760MHzの発振周波数で発振するPLL回路を備え、このPLL回路から出力される信号を分周して周波数が380MHzの信号を生成し、更に分周して周波数が190MHzの信号を生成する。制御回路123は、送信信号処理回路111、受信信号処理回路120、周波数シンセサイザ122、及び入力/表示回路124を制御することにより携帯電話機の全体動作を制御する。入力/表示回路124は、携帯電話機100の使用者に対して機器の状態を表示するとともに操作者の指示を入力するためのものであり、例えば図9に示した液晶表示部104及び操作釦部105に相当する。
以上の構成の電子回路において、送信フィルタ113及び受信フィルタ118として前述したマイクロレゾネータが用いられている。これら送信フィルタ113及び受信フィルタ118がフィルタリングする周波数(通過させる周波数帯域)は、送信ミキサ112から出力される信号の内の必要となる周波数、及び、受信ミキサ119で必要となる周波数に応じて送信フィルタ113及び受信フィルタ118で個別に設定される。
また、周波数シンセサイザ122内に設けられるPLL回路の一部として前述したマイクロレゾネータが用いられている。周波数シンセサイザ122内に設けられるPLL回路は、上述した通り特定の周波数で発振する回路であるため、このPLL回路の一部として設けられるマイクロレゾネータは、単一の共振モードで共振し、上記の特定の周波数でてQ値が高くなるように設定される。なお、送信フィルタ113と送信電力増幅器114との間及び低雑音増幅器117と受信フィルタ118との間に設けられる不図示の変換回路にも上述したマイクロレゾネータが用いられている。
送信フィルタ113及び受信フィルタ118並びに周波数シンセサイザ122等に相当する従来の部品は、受信ミキサ119等と集積化することはできなかったため、集積化された受信ミキサ119等とは別個の部品として基板上に搭載されていた。これに対し、図10に示す電子回路では、送信フィルタ113及び受信フィルタ118並びに周波数シンセサイザ122等にマイクロレゾネータが用いられているため、受信ミキサ119等と一緒に集積化することができ、その結果として携帯電話機100の小型化・軽量化を図ることができる。
図11は、本発明の他の実施形態による電子機器としての腕時計の外観を示す斜視図である。図11に示す腕時計200は、発振子として上述したマイクロレゾネータ10を備えている。このマイクロレゾネータ10の発振周波数は、例えば32kHz程度に設定される。現在一般に設けられている腕時計は発振子としてクオーツ(水晶)発振子を備えるものが多いが、マイクロレゾネータ10を発振子として用いることにより、腕時計200の更なる小型・軽量化を図ることができる。
以上、本発明の実施形態によるマイクロレゾネータ及びその製造方法並びに電子機器について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば上記実施形態においては電子機器として携帯電話機及び腕時計を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明の電子機器は携帯電話機及び腕時計に限定される訳ではなく、計時機能を有するコンピュータ、電波時計、ディジタルカメラ、各種の家電製品等の種々の電子機器が含まれる。
また、携帯電話機等の携帯性を有する電子機器のみならずBS放送及びCS放送を受信するチューナ等の据置状態で使用される通信機器も含まれる。更には、通信キャリアとして空中を伝播する電波を使用する通信機器のみならず、同軸ケーブル中を伝播する高周波信号又は光ケーブル中を伝播する光信号を用いるHUB等の電子機器も含まれる。これらの電子機器は、所定の周波数をフィルタリングするため、及び計時機能を実現するためにマイクロレゾネータが用いられる。
10…マイクロレゾネータ、 40…共振子、 43…梁、 44…支持部、 45…調整部、 46…調整梁、 50…シリコン基板、 51…絶縁膜(積層部)、 52…犠牲層(積層部)、 70…レーザ、 100…携帯電話機(電子機器)、 200…腕時計(電子機器)
Claims (6)
- シリコン基板と、前記シリコン基板上に形成された少なくとも絶縁膜を含む積層部と、前記積層部上に設けられた共振子と、前記共振子と前記シリコン基板とを連結する梁と、を備えたマイクロレゾネータにおいて、
前記梁のバネ定数を調整可能な調整部を備えることを特徴とするマイクロレゾネータ。 - 前記調整部は、前記梁と前記シリコン基板との支持位置を調整可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載のマイクロレゾネータ。
- 前記調整部は、前記シリコン基板上に設けられた支持部と、前記支持部と前記梁とを複数箇所で連結する複数の調整梁を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマイクロレゾネータ。
- シリコン基板と、前記シリコン基板上に形成された少なくとも絶縁膜を含む積層部と、前記積層部上に設けられた共振子と、前記共振子と前記シリコン基板とを連結する梁と、を備えたマイクロレゾネータの製造方法において、
前記シリコン基板上に支持部を形成するとともに、前記支持部と前記梁とを複数箇所で連結する複数の調整梁を形成する工程と、
前記複数の調整梁のうちの少なくとも1つ以上を切断して、前記梁のバネ定数を段階的に低下させる調整工程と、
を含むことを特徴とするマイクロレゾネータの製造方法。 - 前記調整工程は、前記調整梁に対してレーザを照射して切断する工程であることを特徴とする請求項4に記載のマイクロレゾネータの製造方法。
- 請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のマイクロレゾネータ、又は請求項4又は請求項5に記載の製造方法を用いて製造されたマイクロレゾネータを備えることを特徴とする電子機器。
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CN108496308A (zh) * | 2016-01-29 | 2018-09-04 | 京瓷株式会社 | 弹性波谐振器、弹性波滤波器、分波器及通信装置 |
-
2004
- 2004-04-27 JP JP2004130868A patent/JP2005318042A/ja not_active Withdrawn
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