JP2005317841A - 半導体レーザ装置 - Google Patents

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拓生 嶋田
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Abstract

【課題】 複数素子を用いている場合でも一方の素子だけを駆動して他方を予備としていたり、全素子を同時駆動しても各素子の劣化状況に応じたきめ細かい負荷分配の逐次更新を行っていないため、装置全体の寿命が延びないという問題を解決し、また単一素子の特性に装置全体がそのまま影響を受けやすく、装置全体が急に使えなくなったり、装置の平均寿命に極端なバラツキがあったりする問題を解決する。
【解決手段】 レーザダイオード素子1a、1b、1c各々からの光出力を検出する個別光検出手段4a、4b、4cによって検出された光出力量に応じて、レーザダイオード素子各々への分配制御量を逐次更新し、駆動手段3a、3b、3cに制御信号を送出する判定手段5とを備えて、装置全体の長寿命化を図る。
【選択図】 図1

Description

本発明は複数のレーザダイオード素子を有し、装置寿命を長寿命化させる医療、産業用の半導体レーザ装置に関する。
近年、半導体レーザ装置は医療用や産業用など多方面で活用されており、ますます高い信頼性が求められている。そこで、あらかじめ複数のレーザダイオード素子を設けておき、使用中の素子劣化を検出した場合は、瞬時に予備の素子に切り替える方法が採られてきた(例えば下記の特許文献1、特許文献2、特許文献3など参照)。
また下記の特許文献4に記載の装置では、主半導体レーザが劣化した場合にのみ予備に切り替えるのではなく2系統以上の励起光源を常時使用し、モニタ光出力の和が一定になるように制御している。図5は上記従来の半導体レーザ装置の要部を示しており、複数の励起用半導体レーザ光源112、117に電流を供給する制御電流供給装置120が、各光源112、117の出力光強度を入力とし、各光源112、117への供給電流を出力として、これらの入力及び出力の関係が、信号光の利得が所定の一定値となるプログラムに従って動作する構成である。
以上のように構成された半導体レーザ装置は、複数個の励起光源への供給電流を、全体としての信号光利得が一定になるように制御しているため、いずれかの励起光源が劣化して光出力が低下しても、すぐに全体の信号光利得の低下やシステムダウンにはつながらないという特徴を備えている。
特開昭53−90801号公報 特開昭56−46586号公報 特開2000−196184号公報 特開平5−7047号公報
しかし、従来の半導体レーザ装置は、複数の素子を用いている場合でも一方の素子だけを駆動して他方を予備としていたり、全素子を同時駆動しても各素子の劣化状況に応じたきめ細かい負荷分配の逐次更新を行っていないため、装置全体の寿命が延びない場合があるという課題を有していた。一般的にレーザダイオード素子においては、駆動電流に対する光出力の関係(いわゆるL−Iカーブ)の初期特性やその後の劣化進行度合は、同一条件(同一温度、同一電流、同一駆動パルス波形)下で駆動し続けても、個々に異なる。特にこの傾向は数100mW以上の高出力の素子ほど顕著である。すなわち、従来構成では、個々の素子の寿命バラツキがそのまま製品の寿命バラツキに直結し、特性の悪い素子に大きく影響されるため10数年以上にわたり継続運転可能なものから1年以内で修理・交換を余儀なくされるものまで装置の平均寿命や修理交換に至るまでの期間に極端なバラツキがあった。
例えば通常のAPC(Auto Power Control)制御では、素子の劣化に伴い所定光出力を得ようと、ますます多くの駆動電流を流して、素子の劣化を加速させてしまうことになる。複数素子の光出力を合わせて、初めて必要な光出力パワーを得る大出力の半導体レーザ装置の場合、1素子のみが完全に劣化しただけで装置に必要な最高パワーが出せなくなるが、従来構成のままでは最も短寿命な素子への延命措置が講じられていないので、装置全体の平均寿命自体も最短寿命の素子特性の影響を直接受けて、短くなるという課題を有していた。
さらに素子の寿命は、初期特性のみによって決定されるものではなく、同一条件(同一温度、同一電流、同一駆動パルス波形)で使用しても、初期特性の悪い方が必ずしも短寿命であるとは限らないという事実があった。結局のところ、どのレーザダイオード素子が短寿命かどうかは使ってみなければ分からなかった。
本発明は、かかる従来の課題を解決し、複数のレーザダイオード素子を有してこれら各素子へ与える負荷を個々の劣化度合又は残存寿命に応じて逐次最適に分配することによって装置全体を長寿命化させる半導体レーザ装置を提供することを目的とする。
本発明の半導体レーザ装置は、上記課題を解決するために、複数のレーザダイオード素子と、前記複数のレーザダイオード素子の光出力を結合させる光結合手段と、前記複数のレーザダイオード素子各々を駆動する複数の駆動手段と、前記複数のレーザダイオード素子各々からの光出力を検出する複数の個別光検出手段と、前記複数の駆動手段出力に対応した前記複数の個別光検出手段で検出された光出力量に応じて前記複数のレーザダイオード素子各々への電流を更新し前記複数の駆動手段に制御信号を送出する判定手段とを備えたものである。
上記構成により、判定手段が複数のレーザダイオード素子各々への印加電流を更新し、複数の駆動手段に制御信号を送出するため、単一レーザダイオード素子を使ったり、複数素子への分配制御量を逐次更新しない構成と比べ、装置全体の長寿命化が図れる。特定のレーザダイオード素子劣化によって装置全体が急に使えなくなるといったリスクも大幅に低減される。
また本発明の半導体レーザ装置は複数のレーザダイオード素子と、前記複数のレーザダイオード素子の光出力を結合させる光結合手段と、前記複数のレーザダイオード素子各々を駆動する複数の駆動手段と、前記光結合手段からの光出力を検出する結合光検出手段と、前記結合光検出手段で検出された光出力量に応じて前記複数のレーザダイオード素子各々への電流を更新し前記複数の駆動手段に制御信号を送出する判定手段とを備えたものである。
上記構成により、判定手段が結合光検出手段で検出された光出力量に応じてレーザダイオード素子への分配制御量を更新するため、各レーザダイオード素子と光結合手段間の個々の光結合ロスも勘案した光出力制御が行えることになる。結合光検出手段で検出された最終端の光出力量によって判定、光量制御されるため、使用者の実態に即した高精度な光出力が得られる。また仮にレーザダイオード素子単体の劣化は進行していない場合でも、振動による光結合手段との光軸ずれなどがあれば、当該レーザダイオード素子からの出力を抑制して装置内部での発熱や戻り光による素子ダメージを回避するなど安全性を高めることができる。
また本発明の半導体レーザ装置は前記判定手段が、駆動手段への制御信号に対応する個別光検出手段又は結合光検出手段の出力から複数のレーザダイオード素子各々の劣化度合を算出し、前記劣化度合の著しい素子ほど投入電力又は駆動電流の負担を低減させるよう構成されたものである。
上記構成により、装置全体の寿命を飛躍的に延ばすことが可能となる。一般に劣化の進んだレーザダイオード素子でも、駆動電流すなわち光出力を抑えれば、素子内部の発熱を抑えられるため、その後の寿命も延命させることができることが知られている。無理に初期状態と同様あるいはそれ以上の駆動電流を印加して所定光出力を得ようとすれば、加速的に劣化が進んでしまう。そこで判定手段が複数のレーザダイオードの劣化度合を算出し、最終出力端で必要な光量の分担を配分することにより装置全体の寿命が延びるばかりでなく、装置全体が急に使えなくなる可能性も低減される。
また本発明の半導体レーザ装置は前記判定手段が、駆動手段への制御信号に対応する個別光検出手段又は結合光検出手段の出力から複数のレーザダイオード素子各々の残存寿命を推定し、前記残存寿命の短い素子ほど投入電力又は駆動電流の負担を低減させるよう構成されたものである。
上記構成により、判定手段は単にL−I特性の低い素子の出力を抑制するのではなく、今後出力特性が著しく劣化していくことが予想される素子の出力をより抑制することになるので装置全体の寿命が更に延びることになる。
また本発明の半導体レーザ装置は前記判定手段が、駆動手段への制御信号に対応する個別光検出手段又は結合光検出手段の出力から複数のレーザダイオード素子各々の劣化度合又は残存寿命を算出し、この劣化度合又は残存寿命に対応した警告表示を行う警告表示手段を備えたものである。
上記構成により、警告表示手段が個々のレーザダイオード素子の劣化度合又は残存寿命に対応した警告表示を行うため、本装置がある瞬間に何の前触れもなく使えなくなることはなくなる。
また本発明の半導体レーザ装置は複数のレーザダイオード素子各々に関し、過去の投入電力又は駆動電流に対する個別光検出手段又は結合光検出手段の出力履歴を記憶する記憶手段を備え、前記判定手段は前記記憶手段に蓄積された前記複数のレーザダイオード素子各々の特性履歴情報から劣化度合又は残存寿命を推定するものである。
上記構成により、判定手段は現在の出力特性1回のみの結果によってではなく、記憶手段に蓄積された過去の特性履歴情報から複数のレーザダイオード素子各々の劣化度合又は残存寿命を推定するので、瞬時的な測定バラツキ、ノイズ重畳などの誤差要因に左右されにくくなり、より正確な判定が行なえる。
また本発明の半導体レーザ装置は複数のレーザダイオード素子各々に関し、過去の投入電力又は駆動電流に対する個別光検出手段又は結合光検出手段の出力履歴を記憶する記憶手段を備え、前記判定手段は前記記憶手段に蓄積された前記複数のレーザダイオード素子各々の初期特性と最新特性との差、比、あるいは特性の時系列変化推移から劣化度合又は残存寿命を推定するものである。
上記構成により、判定手段は記憶手段に蓄積された複数のレーザダイオード素子各々の初期特性と最新特性との差、比、あるいは特性の時系列変化推移から劣化度合又は残存寿命を推定するため、各レーザダイオード素子出力特性の時系列変化から将来予測がより正確に把握できる。
また本発明の半導体レーザ装置は前記判定手段が本半導体レーザ装置の電源投入の都度、あるいは使用者によるレーザ照射前に複数のレーザダイオード素子各々に対応する複数の駆動手段に所定の確認用制御信号を送出して検出された個別光検出手段又は結合光検出手段の出力から、使用者によるレーザ照射時に前記駆動手段へ送出する制御信号を校正するよう構成されたものである。
上記構成により、本半導体レーザ装置の電源投入の都度、あるいは使用者によるレーザ照射前に、統制された所定条件下で複数のレーザダイオード素子各々の特性を正確に把握でき、本照射時の出力精度が正確になる。
また本発明の半導体レーザ装置は判定手段が本半導体レーザ装置の電源投入の都度、あるいは使用者によるレーザ照射前に複数のレーザダイオード素子各々に対応する複数の駆動手段に所定の確認用制御信号を送出し、記憶手段は検出された個別光検出手段又は結合光検出手段の出力から、複数のレーザダイオード素子各々の特性履歴を記憶するよう構成されたものである。
上記構成により、本半導体レーザ装置の電源投入の都度、あるいは使用者によるレーザ照射前といった各レーザダイオード素子の出力特性の時系列変化確認に適したタイミングで同一の確認用制御信号に対する応答(光出力)測定をすることになるので、複数のレーザダイオード素子各々の時系列特性変化としてそのまま容易に記憶手段内に蓄積プロットしていくことができる。
以上のように、本発明の半導体レーザ装置によれば、各レーザダイオード素子への分配制御量の逐次更新により装置全体の長寿命化が図れる。劣化の進行した特定素子が全体へ及ぼす影響を抑制しているため、使用者にとって装置が急に使えなくなるといったリスクも低減される。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1から図3を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体レーザ装置のブロック図である。この半導体レーザ装置は、レーザダイオード素子(LD1、LD2、LD3)1a、1b、1cと、各レーザダイオード素子1a、1b、1cから出力されたレーザ光を1本にバンドル結合する光結合手段2と、トランジスタ回路からなる駆動手段(CNT1、CNT2、CNT3)3a、3b、3cと、各レーザダイオード素子1a、1b、1cからの光出力を検出するフォトダイオード(PD1、PD2、PD3)からなる個別光検出手段4a、4b、4cと、駆動手段3a、3b、3cからの制御出力に対応した個別光検出手段4a、4b、4cで検出された光出力量に応じて複数のレーザダイオード素子1a、1b、1c各々への印加電流(分配制御量)を更新し、複数の駆動手段3a、3b、3cに制御信号を送出する判定手段5と、装置筐体外装6と、操作手段7と、光出力ポート8と、光入力ポート9と、光ファイバ10と、結合光検出手段(PD0)11と、警告表示手段12とを有している。
レーザダイオード素子1a、1b、1cの各々は、独立したパッケージで構成されている。個別光検出手段4a、4b、4cはレーザダイオード素子1a、1b、1c各々のパッケージと一体化されており、常時各レーザダイオード素子1a、1b、1cから発せられるレーザ光量をモニタリングできる構成である。装置筐体外装6には、操作手段7、光出力ポート8、光入力ポート9が接続されている。使用者は、操作手段7によって所望の光出力量を判定手段5へ入力する。
光出力ポート8に屈曲時の導光性能に優れる光ファイバ10を接続してその先端から光結合されたレーザ光を照射する構成である。結合ロスがなければ、レーザダイオード素子1a、1b、1cからの総和光量が光ファイバ10先端から出力されることになる。図示しないが、光出力ポート8には光ファイバ10の入射側接続検知センサが備えられており、光ファイバ10が正しく接続されていない場合、外部へのレーザ光照射は禁止される。
本装置の電源投入の都度、すなわち使用者が所望のレーザ光出力をターゲットに照射する前には、必ず光入力ポート9に光ファイバ10を装着し、装置内部で出力確認を行なわなければならないものとなっている。図示しないが、光入力ポート9にも光ファイバ10の出射側接続検知センサが備えられており、光ファイバ10が正しく接続されていない場合、出力確認動作時のレーザ光照射は禁止される。結合光検出手段11は、判定手段5に接続され、光結合手段2や光ファイバ10を含めた導光系全体の出力特性を確認できる構成である。出力確認動作は、レーザダイオード素子1a、1b、1cのうちの1つの単独の駆動と、すべてのレーザダイオード素子1a、1b、1cの同時駆動のそれぞれでの出力モニタ結果から導光系の光伝達効率ロスを個別に把握することができる。
結合光検出手段11は、積分球と呼ばれる球状の均一光拡散室内の入射窓に設けられ、精度よく光ファイバ10の先端からの光量を検出する。図示しないが、警告表示手段12は、判定手段11で異常が判定された場合、その事由を表示する表示部とブザーを備えている。
以上のように構成された半導体レーザ装置について、特に光入力ポート9に光ファイバ10を装着して装置内部で事前に光出力確認する際の判定手段5の動作について説明する。まずレーザダイオード素子1aのみに関し、電流制御に対する光出力のL−I特性カーブが個別光検出手段4a及び結合光検出手段11の両者から検出できる。駆動電流は、例えば0mAから10mA刻みで定格電流までレーザダイオード素子1aに投入される。もし定格電流まで投入される前にレーザダイオード素子1aの定格光出力が得られた場合は、その時点で測定を打ち切る。これにより導光系を含めたものと含めないものに関し、各レーザダイオード素子系列のL−I特性カーブをプロットする。測定点間も直線補間させることにより連続的な曲線を描くことができる。次に導光系を含めた出力結合光検出手段11からのモニタ結果と、導光系を含めない個別光検出手段4aからのモニタ結果とを逐次比較し、導光系の総合光伝達効率が80%以上であることを確認する。
万一、レーザダイオード素子1a、1b、1cの系列中、1系列のみが光伝達効率が80%を下回る場合は、その事前のレーザダイオード素子の駆動を禁止するとともに、警告表示手段12に事由表示を行う。他の2系列のみで使用者が操作手段7によって設定した光出力量が確保できる場合は、そのまま通常動作を継続する。2系列以上において光伝達効率が80%を下回る場合は、警告表示手段12に事由表示を行うとともに装置全体の動作を禁止する。使用者はこれに基づき、光ファイバ10の先端が汚れていないか否かを確認し、拭き取るなどして再度確認動作を行う。
各系列の光伝達効率が80%以上である場合、各レーザダイオード素子1a、1b、1cを単独で駆動したときに結合光検出手段11で検出された光量(つまり光ファイバ10の先端出力)により得られたL−I特性カーブを採用する。仮に光結合手段2、光出力ポート8、光ファイバ10、光入力ポート9を含めたレーザダイオード素子1a、1b、1cの各系列でのL−I特性カーブが図2のようになったとする。ここで1a、1b、1cのカーブをLD1、LD2、LD3と称す。あらかじめ定められた光出力の定格上限値、駆動電流定格上限値以内の中で1a、1b、1cの分担制御量を決定していく。
まず使用者が操作手段7で要求した出力量の1/3ずつの光出力を各レーザダイオード素子1a、1b、1cが受け持つとした場合のLD1、LD2、LD3カーブにおける傾き△P1/△I1、△P2/△I2、△P3/△I3を求め、この比に従って分配に重み付けするのである。図2ではLD1のようにL−I特性カーブの傾斜が急であり、若干の駆動電流アップだけで基準光出力である総光量の1/3より多くの光出力が容易に引き出せるレーザダイオード素子1aは、より多くの電流(I1-1)を投入するものである。逆にLD3のようにL−Iカーブの傾斜が緩やかで、駆動電流をアップさせても光出力の増加が見込めないレーザダイオード素子1cは、より少ない電流(I3-1)を投入して負担を軽減するものである。図2ではそれぞれ○印点位置(I1-1、I3-1など)にまで駆動電流制御量を移動、再配分する。
駆動電流を定格上限値まで引き上げても、使用者が操作手段7で要求した出力量の1/3に相当する基準光出力を得ることのできないレーザダイオード素子(導光系を含む)は、駆動電流定格上限値点におけるL−I特性カーブの傾斜を補正配分判定値とするとともに、警告表示手段12にその素子の劣化を示す警告表示を出す。この駆動電流定格上限値点におけるL−I特性カーブの傾斜が他の2つの素子の系列を含めた平均傾斜より急な場合は、駆動電流定格上限値点でクリップさせ、駆動電流増加の補正は行わない。
各レーザダイオード素子1a、1b、1cのL−I特性カーブは使用を繰り返すうち経年変化し、その変化進行の度合もレーザダイオード素子によって異なる。このため、本装置の電源投入の都度、個別光検出手段4a、4b、4c及び結合光検出手段11から最新の特性を測定、判定する。
また、必ずしも発振閾値電流が高い素子ほど劣化しているとは言い切れないため、各素子すべてから同一の光出力を得るような単純なAPC(Auto Power Control)制御や同一の駆動電流を出力させつつ総光量を所望の値に合わせる単純なACC(Auto Current Control)構成では、劣化の激しい素子への負担を軽減したことにならず、製品全体の寿命も延びない。
このように各レーザダイオード素子からの駆動電流値の補正配分量が決定され、内部校正は終了する。使用者は、この後光入力ポート9から光ファイバ10をはずしてターゲットへの本照射が可能になる。
以上のように、本実施の形態によれば判定手段5が、所定の光出力を得るために必要な各素子の駆動電流点における光出力の傾き△Pi/△Ii(i=1、2、3)から駆動電流値を補正することにより、装置全体の長寿命化を図ることができ、劣化の進行した特定素子が全体へ及ぼす影響を抑制しているため、使用者にとって装置が急に使えなくなるといったリスクも低減される。また判定手段5は、結合光検出手段11で検出された最終端の光量(つまり光ファイバ10の先端出力)に応じて各レーザダイオード素子への分配制御量を更新するため、導光系全体の結合ロスも勘案した実態に即した高精度な光出力制御が行える。光ファイバ10の入射端や出射端の汚れ、光出力ポート8への接続不良により透過光が減少した場合も正確に判定できるので、使用者に注意を喚起しつつ、高精度な光出力の半導体レーザ装置を提供できる。仮にレーザダイオード素子単体の劣化は進行していない場合でも、振動による光結合手段2との光軸ずれなどがあれば、レーザダイオード素子からの出力を抑制して装置内部での発熱や戻り光による素子ダメージを回避するなどの安全性を高めることもできる。
さらに、警告表示手段12が光結合ロスの著しい素子系列や定格出力の得られなくなった素子系列を特定する警告表示を行うため、単一素子の劣化や故障によって装置全体が急に使えなくなるといったリスクが大幅に緩和される。また装置の修理、部品交換を行う際の判断材料に使えるため、サービス性も向上する。さらに個々の素子の寿命バラツキがそのまま製品の寿命バラツキに直結しなくなり、装置の平均寿命や修理交換に至るまでの期間が安定化する効果もある。
なお所望の光出力を3等分する位置を駆動電流分配の起点としているので、補正配分に偏りが生じにくく、各素子にとって適切な負荷制御となる。
また、本装置の電源投入の都度、いったん光ファイバ10の最終端から出力されるレーザ光を結合光検出手段11で各素子のL−I特性カーブを検出後、出力校正するため、同一条件下で導光系も含めた各素子の現状特性を正確に把握でき、本照射時の出力が高精度化される。
なお、実施の形態1において、用いるレーザダイオード素子を1a、1b、1cの3系列のみとしたが、複数であればいくつでも構わない。
各素子系列から同一の光出力が得られるラインを基準に、各素子の駆動電流点における光出力の傾き△Pi/△Ii(i=1、2、3)から駆動電流値を補正するものとしたが、各素子の初期特性を個々の基準とする、あるいは、発振閾値電流や投入電力に対する光出力の効率を組み合わせてもよい。補正の基準位置を、その都度、選ばれる使用者の設定出力によるのではなく、あらかじめ定めた固定光出力を得るための電流値から配分補正してもよい。
L−I特性カーブをプロットする際に、素子内部温度変動の影響を抑えるため、駆動電流を上昇させながら得られた曲線と下降させながら得られた曲線を平均化させたり、何回か測定を繰り返したりしてもよい。
また、本体装置内部温度を測定したり、一定温度に制御したりして、素子の動作条件を統一してもよい。あるいは各レーザダイオード素子1a、1b、1cのパッケージ内部に温度センサあるいは電子冷却素子を内蔵させ、各素子パッケージ内部の温度を測定したり、一定温度に制御したりして、素子の動作条件を統一してもよい。
より厳密に波長を均一に保つよう、レーザダイオード素子ごとに異なる温度制御を常時かけてもよい。
また、1つのレーザダイオード素子用パッケージの中に複数のチップを埋め込み、個別の負荷分散制御を行ってもよい。
光検出は、結合光検出手段11のみで行なってもよく、逆に個別光検出手段4a、4b、4cのみで行なってもよい。
使用者によるレーザ本照射中も、個別光検出手段4a、4b、4cによって光出力を監視しておき、駆動電流の分配をリアルタイムに逐次更新していってもよい。
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について図3、図4を用いて説明する。図3において、実施の形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。本実施の形態が実施の形態1と異なる点は、レーザダイオード素子1a、1b、1c各々に関し、過去の駆動電流に対する結合光検出手段11の出力履歴を記憶する記憶手段13を備えた点にある。また判定手段5は、この記憶手段13に蓄積されたレーザダイオード素子1a、1b、1c各々の特性履歴情報から劣化度合を推定する劣化度合推定部5a及び図示省略の残存寿命推定部を備えたものである。判定手段5は劣化度合の激しいもの又は残存寿命の短い素子ほど駆動電流の負担を低減させる。
判定手段5は、実施の形態1と同様に、あらかじめ各レーザダイオード素子1a、1b、1cのL−I特性カーブを求めておき、使用者が操作手段7で要求した出力量の1/3ずつの光出力をレーザダイオード素子1a、1b、1cが受け持つとした場合のLD1、LD2、LD3カーブにおける傾き△P1/△I1、△P2/△I2、△P3/△I3を求め、この比に従って第1次補正を行う。一方、所定の電流駆動をした場合の光出力履歴はすべて記憶手段13に蓄積しておく。横軸に過去の駆動電流の時間積ΣI、縦軸に所定駆動電流を流したときの光出力Pの軌跡をプロットすると、各レーザダイオード素子1a、1b、1cの経時変化は、例えば図4(a)のようなグラフとなる。代表的なカーブは、初期段階で出力低下が見られた後、数100〜数1000時間の安定出力期間を経て、急激に出力低下を生じていく。この傾向は、駆動電流値が高いほど如実に現れる。逆に言えば、ある程度劣化が進行してしまったレーザダイオード素子でも、低電流領域で駆動すれば延命効果が大きい。素子によっては、初期段階の出力低下はほとんど見られない場合やこの部分の出力低下分を製造工程で取り去っておく場合もある。
横軸に、光出力や駆動電流に関係ない「通電ないし照射累積時間」ではなく、「駆動電流時間積」を取ったので、レーザダイオード素子1a、1b、1cの劣化度合が実態に即した形で管理できる。
記憶手段13には、各レーザダイオード素子1a、1b、1cのそれぞれにおいて、過去の駆動電流時間積ΣI及び一定の駆動電流を流したときの光出力Pを一組とし、電源投入後の出力確認動作の都度、履歴データが蓄積されていく。
図4(b)は一定駆動電流に対する光出力の履歴である図4(a)のグラフを1階時間微分したものであり、図4(c)はさらに1階時間微分したもの(2階微分値)である。この時系列データ群のカーブは、あらかじめ微分演算前にスムージングさせることによって、測定誤差によって生じるデータの不連続を防いでいる。
判定手段5における劣化度合推定部5aは、この図4(c)光出力履歴の2階時間微分値P''を劣化度指標として用いる。P''が正のときはまだレーザダイオード素子が劣化していないものとする。P''が負のときはレーザダイオード素子が劣化していることを示し、点線のデッドラインより下回った場合は、警告表示手段12へ警告信号を伝える。
判定手段5は、劣化度合推定部5aで算出された劣化度指標P''が負の場合、その値に応じてその素子の電流負担を減らす第2次補正を行うものである。
これにより、現在駆動電流に対する光出力が高い特性を示す素子であっても、長期間にわたる特性推移から、P''値が負の劣化が進行しているものへの駆動電流を抑制することになる。
ちなみに本装置を使い始めて間もない十分なサンプル数の時系列データがない期間(例えば10組以上のデータが蓄積されるまでの期間)は、第2次補正を行なわないものとする。
上記構成により、装置全体の寿命を延ばすことが可能となる。一般に劣化の進んだレーザダイオード素子でも駆動電流、すなわち光出力を抑えれば、素子内部の発熱を抑えられるため、その後の寿命も延命できることが知られている。無理に初期状態と同様、あるいはそれ以上の駆動電流を印加して所定光出力を得ようとすれば、加速的に劣化が進んでしまう。そこで判定手段が複数のレーザダイオードの劣化度合を算出し、最終出力端で必要な光量の分担を配分することにより装置全体の寿命が延びるばかりでなく、装置全体が急に使えなくなる可能性も低減される。
また、警告表示手段12が個々のレーザダイオード素子の劣化度合に対応した警告表示を行うため、装置全体が使えなくなる前に、特定素子の交換を促すなどの措置を取ることができる。
また判定手段5は、今回測定された光出力特性1回のみの結果によってではなく、記憶手段13に蓄積された過去の特性履歴情報から複数のレーザダイオード素子各々の劣化度合又は残存寿命を推定するので、瞬時的な測定バラツキ、ノイズ重畳などの誤差要因に左右されにくくなり、より正確な判定を行なうことができる。
また判定手段5は、本装置の電源投入の都度、レーザダイオード素子1a、1b、1cの各々に対応する駆動手段3a、3b、3cに所定の確認用制御信号を送出し、記憶手段13は検出された結合光検出手段11の出力から、レーザダイオード素子1a、1b、1c各々の特性履歴を記憶するため、常に統制された条件下での光出力履歴が蓄積されていくことになり、データ信頼性も高くなる。
なおここでは、各レーザダイオード素子の特性変化の履歴を、電源投入又は使用の都度、常に記憶手段13に蓄積させていくものとしたが、演算量を減らすために特定時間経過ごとの間欠的な判定にしてもよい。初期特性と最新特性との差や比からのみ判定してもよい。
(実施の形態3)
本実施の形態は、実施の形態2で説明した劣化度合推定部5aを図示省略の残存寿命推定部に置換したものである。残存寿命推定部は、実施の形態2の説明で用いた図4(a)に相当する各駆動電流値用のデータベースを持ち、最もフィットするカーブから将来のデッドライン到達までの期間を算出する。当然ながらその素子への駆動電流負担分を減らせば、寿命は延びるが、他素子への駆動電流負担を増さざるを得なくなる。
判定手段5中の残存寿命推定部は、各レーザダイオード素子1a、1b、1cへ電流分担した駆動電流を継続的に流し続けた場合を想定して、各レーザダイオード素子1a、1b、1cの残存寿命を推定(算出)する。算出結果から、もしレーザダイオード素子1aの残存寿命の方が1bの残存寿命より長ければ、1aの電流負担を増やし、1bの電流負担を減らしていく。このシミュレーション計算を繰り返し、レーザダイオード素子1a、1b、1cの三者の寿命が一致する駆動電流値Ia、Ib、Icを探索決定する。これにより装置全体として見た場合の出力劣化特性は最も緩やかなカーブを描くことになり、特定のレーザダイオード素子のみが先に急激に劣化することもなくなり、装置全体の寿命をさらに延ばすことが可能となる。
なおここでは、始めから各駆動電流値に対応したレーザダイオード素子1a、1b、1cの特性推移をデータベース形式で準備しておくものとしたが、定式化された曲線式の形式で保持してもよい。また、実際に生じたレーザダイオード素子1a、1b、1cの特性推移カーブからデータベース自体を学習更新させていってもよい。
本発明の半導体レーザ装置は装置全体の長寿命化が図れる上、使用者にとって装置が急に使えなくなるといったリスクも低減される。これは高い信頼性、耐久性が求められる(例えばレーザ照射途中での出力中断が許されない)医療用途の半導体レーザ手術装置や過酷な環境条件下で安定した動作を求められる産業用のレーザ加工装置として極めて有用である。
本発明の実施の形態1に係る半導体レーザ装置の構成を示すブロック図 本発明の実施の形態1に係る半導体レーザ装置の駆動電流に対する光出力のL−I特性グラフ 本発明の実施の形態2に係る半導体レーザ装置の構成を示すブロック図 本発明の実施の形態2に係る半導体レーザ装置の駆動電流時間積に対する一定駆動電流時の光出力推移を示すグラフ (a)一定駆動電流に対する光出力 (b)一定駆動電流に対する光出力の時間勾配 (c)一定駆動電流に対する光出力の2階微分値 従来の半導体レーザ装置の要部回路図
符号の説明
1a、1b、1c レーザダイオード素子
2 光結合手段
3a、3b、3c 駆動手段
4a、4b、4c 個別光検出手段
5 判定手段
5a 劣化度合推定部
6 装置筐体外装
7 操作手段
8 光出力ポート
9 光入力ポート
10 光ファイバ
11 結合光検出手段
12 警告表示手段
13 記憶手段

Claims (9)

  1. 複数のレーザダイオード素子と、前記複数のレーザダイオード素子の光出力を結合させる光結合手段と、前記複数のレーザダイオード素子各々を駆動する複数の駆動手段と、前記複数のレーザダイオード素子各々からの光出力を検出する複数の個別光検出手段と、前記複数の駆動手段出力に対応した前記複数の個別光検出手段で検出された光出力量に応じて前記複数のレーザダイオード素子各々への電流を更新し前記複数の駆動手段に制御信号を送出する判定手段とを備えた半導体レーザ装置。
  2. 複数のレーザダイオード素子と、前記複数のレーザダイオード素子の光出力を結合させる光結合手段と、前記複数のレーザダイオード素子各々を駆動する複数の駆動手段と、前記光結合手段からの光出力を検出する結合光検出手段と、前記結合光検出手段で検出された光出力量に応じて前記複数のレーザダイオード素子各々への電流を更新し前記複数の駆動手段に制御信号を送出する判定手段とを備えた半導体レーザ装置。
  3. 前記判定手段は、駆動手段への制御信号に対応する個別光検出手段又は結合光検出手段の出力から複数のレーザダイオード素子各々の劣化度合を算出し、前記劣化度合の著しい素子ほど投入電力又は駆動電流の負担を低減させるよう構成された請求項1又は2に記載の半導体レーザ装置。
  4. 前記判定手段は、駆動手段への制御信号に対応する個別光検出手段又は結合光検出手段の出力から複数のレーザダイオード素子各々の残存寿命を推定し、前記残存寿命の短い素子ほど投入電力又は駆動電流の負担を低減させるよう構成された請求項1から3のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置。
  5. 前記判定手段は、駆動手段への制御信号に対応する個別光検出手段又は結合光検出手段の出力から複数のレーザダイオード素子各々の劣化度合又は残存寿命を算出し、この劣化度合又は残存寿命に対応した警告表示を行う警告表示手段を備えた請求項1から4のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置。
  6. 複数のレーザダイオード素子各々に関し、過去の投入電力又は駆動電流に対する個別光検出手段又は結合光検出手段の出力履歴を記憶する記憶手段を備え、前記判定手段は前記記憶手段に蓄積された前記複数のレーザダイオード素子各々の特性履歴情報から劣化度合又は残存寿命を推定するよう構成された請求項1から5のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置。
  7. 複数のレーザダイオード素子各々に関し、過去の投入電力又は駆動電流に対する個別光検出手段又は結合光検出手段の出力履歴を記憶する記憶手段を備え、前記判定手段は前記記憶手段に蓄積された前記複数のレーザダイオード素子各々の初期特性と最新特性との差、比あるいは特性の時系列変化推移から劣化度合又は残存寿命を推定するよう構成された請求項1から6のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置。
  8. 前記判定手段は本半導体レーザ装置の電源投入の都度、あるいは使用者によるレーザ照射前に複数のレーザダイオード素子各々に対応する複数の駆動手段に所定の確認用制御信号を送出して検出された個別光検出手段又は結合光検出手段の出力から、使用者によるレーザ照射時に前記駆動手段へ送出する制御信号を校正するよう構成された請求項1から7のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置。
  9. 前記判定手段は本半導体レーザ装置の電源投入の都度、あるいは使用者によるレーザ照射前に複数のレーザダイオード素子各々に対応する複数の駆動手段に所定の確認用制御信号を送出し、記憶手段は検出された個別光検出手段又は結合光検出手段の出力から、複数のレーザダイオード素子各々の特性履歴を記憶するよう構成された請求項1から8のいずれか1つに記載の半導体レーザ装置。
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