JP2005317443A - 水素発生セル及び水素発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】携帯機器に組みこむに際して適切な形態を備えている水素発生セルを提供すること。
【解決手段】 燃料電池に供給する水素ガスを発生させるための水素発生セル19であって、外形が平板状の直方体に形成され、その内部に純鉄の粉末を収容する容器19aと、この容器の一側面に設けられた開口部19cを閉鎖するための蓋19bと、蓋19bに設けられ、純鉄と反応させるための水または水蒸気を導入するための導入部21と、純鉄と水または水蒸気を反応させることで発生した水素ガスを導出するための導出部15とを備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池に供給する水素ガスを発生させるための水素発生セル及びこれを用いた水素発生装置に関するものである。
燃料電池は、他の発電システムに比べると発電効率が高く、大気を汚染する物質を生成しないという点で注目されているエネルギー源である。燃料電池で発電を行わせるために、カソードへ空気(酸素)を供給し、アノードへ水素を供給する。水素はアノードでの触媒反応によって水素イオン及び電子となり、水素イオンは電解質内を移動し、カソードの触媒反応により酸素と反応して水となる。一方、電子は外部回路を伝わってカソードに移動する。この電子の移動により電気エネルギーが発生することになる。
以上のように、燃料電池には燃料としての水素を供給する必要がある。そこで水素を発生するための装置が種々知られており、例えば、下記特許文献1,2に開示されている。これらはいずれも炭化水素を分解することで水素を発生させるものである。かかる方法は、水素以外にも二酸化炭素を生成する可能性があり、環境に対して悪影響を及ぼす可能性がある。
また、特許文献1における水素発生装置は、円筒形の熱供給器と同じく円筒形の反応器により構成され、PDAやノートパソコン等の携帯機器に用いるには不適切な形態を有している。特許文献2についても同様である。
特開2004−63127号公報 特開2004−59340号公報
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、環境に対して悪影響を与えることなく、かつ、携帯機器に組みこむに適した形態を備えている水素発生セル及び水素発生装置を提供することである。
上記課題を解決するため本発明に係る水素発生セルは、
燃料電池に供給する水素ガスを発生させるための水素発生セルであって、
外形が平板状の直方体に形成され、その内部に純鉄の粉末を収容する容器と、
この容器の一側面に設けられた開口部を閉鎖するための蓋と、
蓋に設けられ、純鉄と反応させるための水又は水蒸気を導入するための導入部と、
純鉄と水または水蒸気を反応させることで発生した水素ガスを導出するための導出部とを備えていることを特徴とするものである。
この構成による水素発生セルの作用・効果を説明する。外形が平板状の直方体に形成された容器を有しており、その内部に純鉄の粉末を収容する。外形が平板状に形成されているので、薄型化することができ、携帯機器に使用するには好適な形状である。容器の一側面には、開口部が設けられており、この開口部から純鉄の粉末を中に入れることができる。開口部を閉鎖するための蓋も設けられる。また、この蓋には、導入部と導出部とが設けられており、導入部からは水又は水蒸気が導入される。この水は純鉄と反応すると、酸化鉄と水素ガスを生じさせる。水素ガスは、蓋に設けた導出部から導出され、燃料電池へと供給される。このように、燃料ガスとして水素ガスのみが発生するように構成されており、環境に対して悪影響を与えることがない。その結果、環境に対して悪影響を与えることなく、かつ、携帯機器に組みこむに適した形態を備えている水素発生セルを提供することができる。
本発明において、前記容器を囲うように容器の外側に設けられ、かつ、純鉄の粉末を収容するための第2の容器と、
この第2の容器内に空気を送り込む空気導入部とを備え、
純鉄と空気を反応させることで自己発熱可能に構成したことが好ましい。
純鉄と水(水蒸気)とを反応させるためには、所定の環境温度にする必要がある。そこで、水素を発生するための容器の外側に、第2の容器を更に設け、この中に純鉄を収容する。そして、この第2の容器に空気を送り込むことで酸化反応を生じさせ、発熱させることができる。この熱を利用して純鉄と水(水蒸気)の反応を促進することができる。
本発明において、水素発生セル内の化学反応により発生する熱を利用して、貯水セル内の水を水蒸気化するように構成することが好ましい。
貯水セル内の水を水素発生セル内に送り込むために、水を水蒸気化してその蒸気圧により水素発生セル内に送り込むようにすることが好ましい。水蒸気化するための熱は、水素発生セル内の化学反応により発生する熱を利用することができる。かかる機構を採用すれば、ポンプを用いなくても、水(水蒸気)を水素発生セル内に導入することができる。
本発明において、前記容器は、展性の大きな薄板金属材料を絞り加工することで製造されることが好ましい。容器を絞り加工で形成することで、開口部以外は密封した状態にすることができる。また、絞り加工を行うことで、一部品により容器を形成することができる。上記において、展性の大きな材料は、好ましくは、アルミニウムを用いることができる。
上記課題を解決するため本発明に係る水素発生装置は、
本発明に係る水素発生セルと、
内部に水を貯留可能であり、かつ、外形が平板状の直方体に形成された貯水セルと、
この貯水セルと水素発生セルの導入部とを接続するためのパイプとを備えたことを特徴とするものである。
外形が平板状の直方体に形成された水素発生セルと貯水セルを用いることで、薄型化を図ることができる。また、水素発生セルの導入部と貯水セルとをパイプで接続することで、貯水セル内の水(水蒸気)を水素発生セル内に導入することができる。その結果、環境に対して悪影響を与えることなく、かつ、携帯機器に組み込むに適した形態を備えている水素発生装置を提供することができる。
本発明において、水素発生セルの前記導入部と貯水セルとを金属製のパイプで接続し、このパイプを介して熱を伝導するように構成することが好ましい。
かかる構成により、水(水蒸気)を導入するための金属製パイプを利用して熱を伝導できるので、構成を簡素化することができる。
本発明に係る水素発生装置の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る水素発生装置の構成を示す図である。図2は、燃料電池セルと水素発生装置とを接続した状態を示す図である。
<第1実施形態>
図1に示すように水素発生装置は、水素発生セル19と貯水セル20とを備えている。水素発生セル19は、その内部に純鉄の粉末を収容するための容器19aと、容器の開口部19cを閉鎖するための蓋19bとを備えている。容器19aの外形形状は、平板状の直方体形状を有している。直方体の外形寸法としては、例えば、高さA=47mm、幅B=29mm、厚さC=3.5mmである。容器19aは、展性の大きな薄板金属材料を絞り加工することにより製造可能である。薄板金属材料の厚みとしては、t=0.6mm以下、好ましくは、0.1mm〜0.2mm程度を選択することができる。金属材料としては、展性に優れたアルミニウムが最も好ましく、その他、Hvが200以下であれば、ステンレス、銅、しんちゅう等を使用することができる。
蓋19bも同じくアルミニウムにより形成され、開口部19cを閉鎖することができる。蓋19bは、水や水蒸気を導入する導入部と、水素ガスを導出するための導出部として機能し、導出部にはパイプ15が取り付けられ、導入部にはパイプ21が取り付けられる。各パイプ15,21は、圧入やその他の適宜の方法により蓋19bに固定される。パイプ15,21は、好ましくは、金属製のパイプを用いることができ、材料としては、アルミニウム、銅、しんちゅう等の材料を用いることができる。また、金属製ではなく、可撓性を有するゴム製のパイプ(チューブ)を用いてもよい。アルミニウムは、最も展性が優れており、かつ軽量でもあるので好ましい。容器19aに対する蓋19bの固定は、圧入、接着等の適宜の固定方法を用いることができる。
貯水セル20は、その内部に水を収容するための容器20aと、容器20aの開口部20cを閉鎖するための蓋20bとを備えている。容器20aの外形形状は、水素発生セル19の場合と同様に、平板状の直方体形状を有している。大きさは、水素発生セル19と同じ程度か、やや小さめに形成される。貯水セル20の容器20の材質や製造方法、組立方法については、水素発生セル19の場合と同じにすることができる。
水素発生セル19と貯水セル20は、いずれも外形形状が平板状の直方体形状を有している。従って、その厚みを薄くすることができるので、携帯機器に搭載する場合に搭載するための空間を容易に確保することができる。また、絞り加工により容器19a,20aを製造するので、1つの部品で容器19a,20aを形成することができる。絞り加工により製造するので、開口部19c,20c以外については、隙間等が形成されることがなく、確実に密閉性を確保することができる。また、絞り加工による加工深さを変えることで、容器19a,20aの容量を任意に変えることができる。展性に優れた金属材料を用いて加工するので、容易に深絞り加工を行うことができる。
水素発生セル19は、その内部に純鉄の粉末(20〜30nmφ程度のナノ粒子)が収容されている。貯水セル20の内部には水が収容されており、パイプ21によって水素発生セル19に接続されている。貯水セル20内部の水は、好ましくは、水蒸気の状態で水素発生セル19に供給される。水素発生セル19には、上記のパイプ21の他、もう1つのパイプ15により燃料電池セルSのガス注入口と接続される。これにより、水素発生セル19により発生された燃料である水素ガスを燃料電池セルに供給することができる。
水素を発生するときの化学反応は、次の式に示すとおりである。
[化1]
4H2O+3Fe → Fe34+4H2
すなわち、 純鉄の粒子に水(水蒸気)を供給すると、これらが反応し、酸化鉄と水素ガスを生成する。この化学反応では、二酸化炭素や一酸化炭素のような環境に対して悪影響を与えるガスを発生しない。すなわち、 クリーンなエネルギーであるということができる。水素ガスのみ(純水素)が、燃料電池セルに対して供給されることになる。
水素発生セル19における化学反応は、200℃〜400℃程度で行われる。また、貯水セル20は、水蒸気を送り出すために100℃程度に設定される。水素発生セル19を上記温度範囲となるようにするためには、加熱回路を別に設けることで行うことができる。例えば、発熱用の抵抗体を設けて加熱させることができる。
貯水セル20については、水素発生セル19の余熱を利用して水蒸気を発生させる温度に設定することができる。水蒸気化すれば、蒸気圧力により、水素発生セル19へと水蒸気を供給することができる。パイプ21が金属製であれば、水素発生セル19で発生した熱を貯水セル20へと伝導しやすくなる。その他の手法として、マイクロポンプをパイプ21の途中に設け、このマイクロポンプにより、貯水セル20から水素発生セル19へと水を供給する方法を採用してもよい。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る水素発生セルの構成を図3に示す。第1実施形態では、容器19aは1つのみであったが、第2実施形態では、内側の第1の容器19aと、外側の第2の容器19bにより構成される。第1の容器19aについては、第1実施形態と全く同じである。図3に示すように、第1の容器19aを囲むように第2の容器19dが配置される。第1・第2の容器19a,19dの両方に純鉄Feの粉末が収容される。また、蓋19bには、3つのパイプ15,21,26が設けられる。パイプ15は、発生した水素ガスを燃料電池セルSへ供給するためのものである。パイプ21は、貯水セル20からの水(水蒸気)を導入するためのものである。これらは、第1実施形態の場合と同じである。パイプ26は、第2の容器19d内に空気を供給するために設けられる。なお、パイプ26は1本ではなく、2本以上設けてもよい。
前述した化学式による反応は200℃〜400℃程度で行われるが、上記の構成にして、第2の容器19d内に空気を供給すると、この空気と純鉄とが反応し、これに基づいて発熱する。このように自己発熱させることで、所望の温度に設定することができる。また、第1・第2の容器19a,19dには、同じ純鉄が収容されるので、純鉄を収容するときに特別に区別する必要がなく、純鉄の詰め込み作業に負担が生じない。
<燃料電池セルの構成>
次に、本発明に係る燃料電池モジュールに使用される燃料電池セル(単位セル)の好適な実施形態を図面を参照しながら説明する。図4は、本発明の燃料電池の単位セル(燃料電池セル)の一例を示す組み立て斜視図であり、図5は、本発明の燃料電池の単位セルの一例を示す縦断面図である。
本発明の燃料電池は、図4〜図5に示すように、板状の固体高分子電解質1と、その固体高分子電解質1の一方側に配置されたカソード側電極2と、他方側に配置されたアノード側電極板3とを備えるものである。本実施形態では、アノード側金属板5に、エッチングにより燃料の流路溝9が形成され、アノード側金属板5とカソード側金属板4の周縁部がエッチングにより他の部分より厚みを薄くしてある例を示す。
固体高分子電解質1としては、従来の固体高分子膜型電池に用いられるものであれば何れでもよいが、化学的安定性及び導電性の点から、超強酸であるスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる陽イオン交換膜が好適に用いられる。このような陽イオン交換膜としては、ナフィオン(登録商標)が好適に用いられる。
その他、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂からなる多孔質膜に上記ナフィオンや他のイオン伝導性物質を含浸させたものや、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂からなる多孔質膜や不織布に上記ナフィオンや他のイオン伝導性物質を担持させたものでもよい。
固体高分子電解質1の厚みは、薄くするほど全体の薄型化に有効であるが、イオン伝導機能、強度、ハンドリング性などを考慮すると、10〜300μmが使用可能であるが、25〜50μmが好ましい。
電極板2,3は、ガス拡散層としての機能を発揮して、燃料ガスや、酸化ガス及び水蒸気の供給・排出を行なうと同時に、集電の機能を発揮するものが使用できる。電極板2,3としては、同一又は異なるものが使用でき、その基材には電極触媒作用を有する触媒を担持させることが好ましい。触媒は、固体高分子電解質1と接する内面2b,3bに少なくとも担持させるのが好ましい。
電極基材としては、例えば、カーボンペーパー、カーボン繊維不織布などの繊維質カーボン、導電性高分子繊維の集合体などの電導性多孔質材が使用できる。一般に、電極板2,3は、このような電導性多孔質材にフッ素樹脂等の撥水性物質を添加して作製されるものであって、触媒を担持させる場合、白金微粒子などの触媒とフッ素樹脂等の撥水性物質とを混合し、これに溶媒を混合して、ペースト状或いはインク状とした後、これを固体高分子電解質膜と対向すべき電極基材の片面に塗布して形成される。
一般に、電極板2,3や固体高分子電解質1は、燃料電池に供給される還元ガスと酸化ガスに応じた設計がなされる。本発明では、酸化ガスとして空気が用いられると共に、還元ガスとして水素ガスを用いるのが好ましい。また、還元ガスの代わりに、メタノールやジメチルエーテル等を用いることもできる。
例えば、水素ガスと空気を使用する場合、空気が自然供給される側のカソード側電極2では、酸素と水素イオンの反応が生じて水が生成するため、かかる電極反応に応じた設計をするのが好ましい。特に、低作動温度、高電流密度及び高ガス利用率の運転条件では、特に水が生成する空気極において水蒸気の凝縮による電極多孔体の閉塞(フラッディング)現象が起こりやすい。したがって、長期にわたって燃料電池の安定な特性を得るためには、フラッディング現象が起こらないように電極の撥水性を確保することが有効である。
触媒としては、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ニッケル、鉄、銅、コバルト及びモリブデンから選ばれる少なくとも1種の金属か、又はその酸化物が使用でき、これらの触媒をカーボンブラック等に予め担持させたものも使用できる。
電極板2,3の厚みは、薄くするほど全体の薄型化に有効であるが、電極反応、強度、ハンドリング性などを考慮すると、50〜500μmが好ましい。
電極板2,3と固体高分子電解質1とは、予め接着、融着等を行って積層一体化しておいてもよいが、単に積層配置されているだけでもよい。このような積層体は、薄膜電極組立体(Membrane Electrode Assembly:MEA)として入手することもでき、これを使用してもよい。
カソード側電極板2の表面にはカソード側金属板4が配置され、アノード側電極板3の表面にはアノード側金属板5が配置される。アノード側金属板5には燃料の注入口5c及び排出口5dが設けられ、更に本実施形態では、アノード側金属板5に流路溝9が設けられている。
カソード側金属板4には、空気中の酸素を供給するための開口部4cが設けられている。開口部4cは、カソード側電極板2が露出可能であれば、その個数、形状、大きさ、形成位置などは何れでもよい。但し、空気中の酸素の供給効率と、カソード側電極板2からの集電効果などを考慮すると、開口部4cの面積はカソード側電極板2の面積の10〜50%であるのが好ましく、特に20〜40%であるのが好ましい。
カソード側金属板4の開口部4cは、例えば規則的又はランダムに複数の円孔やスリット等を設けたり、または金属メッシュによって開口部を設けてもよい。
金属板4,5としては、電極反応に悪影響がないものであれば何れの金属も使用でき、例えばステンレス板、ニッケル、銅、銅合金などが挙げられる。但し、伸び、重量、弾性率、強度、耐腐食性、プレス加工性、エッチング加工性などの観点から、ステンレス板、ニッケルなどが好ましい。
アノード側金属板5に設けられる流路溝9は、電極板3との接触により水素ガス等の流路が形成できるものであれば何れの平面形状や断面形状でもよい。但し、流路密度、積層時の積層密度、屈曲性などを考慮すると、金属板5の一辺に平行な縦溝9aと垂直な横溝9bを主に形成するのが好ましい。本実施形態では、複数本(図示した例では3本)の縦溝9aが横溝9bに直列接続されるようにして、流路密度と流路長のバランスを取っている。
なお、このような金属板5の流路溝9の一部(例えば横溝9b)を電極板3の外面に形成してもよい。電極板3の外面に流路溝を形成する方法としては、加熱プレスや切削などの機械的な方法でもよいが、微細加工を好適に行う上で、レーザ照射によって溝加工を行うことが好ましい。レーザ照射を行う観点からも、電極板2,3の基材としては、繊維質カーボンの集合体が好ましい。
金属板5の流路溝9に連通する注入口5c及び排出口5dは、それぞれ1個又は複数を形成することができる。なお、金属板4,5の厚みは、薄くするほど全体の薄型化に有効であるが、強度、伸び、重量、弾性率、ハンドリング性などを考慮すると、0.1〜1mmが好ましい。
金属板5に流路溝9を形成する方法としては、加工の精度や容易性から、エッチングが好ましい。エッチングによる流路溝9では、幅0.1〜10mm、深さ0.05〜1mmが好ましい。また、流路溝9の断面形状は、略四角形、略台形、略半円形、V字形などが好ましい。
金属板4への開口部4cの形成、金属板4,5の周辺部の薄肉化、金属板5への注入口5c等の形成についても、エッチングを利用するのが好ましい。
エッチングは、例えばドライフィルムレジストなどを用いて、金属表面に所定形状のエッチングレジストを形成した後、金属板4,5の種類に応じたエッチング液を用いて行うことが可能である。また、2種以上の金属の積層板を用いて、金属ごとに選択的にエッチングを行うことで、流路溝9の断面形状をより高精度に制御することができる。
図5に示す実施形態は、金属板4,5のカシメ部(周辺部)をエッチングにより厚みを薄くした例である。このように、カシメ部をエッチングして適切な厚さにすることで、カシメによる封止をより容易に行うことができる。この観点から、カシメ部の厚みとしては、0.05〜0.3mmが好ましい。
本発明では、金属板4,5の周縁は、電気的に絶縁した状態でカシメにより封止されている。電気的な絶縁は、絶縁材料6や固体高分子電解質1の周縁部、又はその両者を介在させることで行うことができる。
本発明では、カシメを行う際、図5に示すように、金属板4,5の周縁によって固体高分子電解質1を挟持する構造が好ましく、絶縁材料6を介在させつつ固体高分子電解質1を挟持する構造がより好ましい。このような構造によると、電極板2,3の一方から他方へのガス等の流入を効果的に防止することができる。絶縁材料6の厚みとしては、薄型化の観点から、0.1mm以下が好ましい。なお、絶縁材料をコーティングすることにより、更なる薄型化が可能である(例えば絶縁材料6の厚み1μmも可能)。
絶縁材料6としては、シート状の樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマー、セラミックスなどが使用できるが、シール性を高める上で、樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマーなどが好ましく、特にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、フッ素樹脂、ポリイミドが好ましい。絶縁材料6は、金属板4,5の周縁に直接あるいは粘着剤を介して貼着したり、塗布したりして、予め金属板4,5に一体化しておくことも可能である。
カシメ構造としては、シール性や製造の容易性、厚み等の観点から図5に示すものが好ましい。つまり、一方の金属板5の外縁部5aを他方の外縁部4aより大きくしておき、絶縁材料6を介在させつつ、一方の金属板5の外縁部5を他方の金属板4の外縁部4aを挟圧するように折り返したカシメ構造が好ましい。このカシメ構造では、プレス加工等によって、金属板4の外縁部4aに段差を設けておくのが好ましい。このようなカシメ構造自体は金属加工として公知であり、公知のカシメ装置によって、それを形成することができる。
本発明では、図5に示すような単位セルを1個又は複数個使用することができるが、固体高分子電解質1、一対の電極板2,3、及び一対の金属板4,5で単位セルを構成し、この単位セルを複数積層したり、同一面に配列して使用することも可能である。このようにすると、ボルト及びナットの締結部品で相互結合して、セル部品に一定の圧力を加えなくても、高出力の燃料電池を提供することができる。
使用の際、金属板5の燃料の注入口5c及び排出口5dには、直接、燃料供給用のパイプを接合することも可能であるが、燃料電池の薄型化を行う上で、厚みが小さく、金属板5の表面に平行なパイプを有するジョイント機構を設けるのが好ましい。図5には、注入口5cにジョイント用の金属製ピン5eが金属板5に対して取り付けられている。この取り付けは、カシメや圧入により行うことができる。このピン5eに対して、パイプ15を圧入して取り付けることができる。
本発明の燃料電池は、薄型化が可能で小型軽量かつ自由な形状設計が可能なため、特に、PDA、携帯電話、ノートPC等のモバイル機器(携帯機器)に好適に使用することができる。
<別実施形態>
本発明にかかる水素発生装置を利用することができる燃料電池は、本実施形態に開示された構造に限定されるものではなく、種々の構造の燃料電池に対して利用可能である。
図5〜6では、絶縁材料6(絶縁層に相当)を介してカシメを行っているが、固体高分子電解質1の周縁部を延ばし、これを介在させてカシメを行ってもよい。この場合、固体高分子電解質1が絶縁層として機能する。この場合は、絶縁材料を設ける必要がないので、構成を簡素化することができる。
前述の実施形態では、エッチングによりアノード側金属板に流路溝を形成する例を示したが、本発明では、プレス加工、切削などの機械的な方法により、アノード側金属板に流路溝を形成してもよい。
第1実施形態に係る水素発生装置の構成を示す図 燃料電池セルと水素発生装置とを接続した状態を示す図 第2実施形態に係る水素発生セルの構成を示す図 本発明の燃料電池の単位セルの一例を示す組み立て斜視図 本発明の燃料電池の単位セルの一例を示す縦断面図
符号の説明
19 水素発生セル
19a 容器
19b 蓋
19c 開口部
20 貯水セル
20a 容器
20b 蓋
20c 開口部

Claims (7)

  1. 燃料電池に供給する水素ガスを発生させるための水素発生セルであって、
    外形が平板状の直方体に形成され、その内部に純鉄の粉末を収容する容器と、
    この容器の一側面に設けられた開口部を閉鎖するための蓋と、
    蓋に設けられ、純鉄と反応させるための水または水蒸気を導入するための導入部と、
    純鉄と水または水蒸気を反応させることで発生した水素ガスを導出するための導出部とを備えていることを特徴とする水素発生セル。
  2. 前記容器を囲うように容器の外側に設けられ、かつ、純鉄の粉末を収容するための第2の容器と、
    この第2の容器内に空気を送り込む空気導入部とを備え、
    純鉄と空気を反応させることで自己発熱可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の水素発生セル。
  3. 前記容器は、展性の大きな薄板金属材料を絞り加工することで製造されることを特徴とする請求項1又は2に記載の水素発生セル。
  4. 展性の大きな材料は、アルミニウムであることを特徴とする請求項3に記載の水素発生セル。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の水素発生セルと、
    内部に水を貯留可能であり、かつ、外形が平板状の直方体に形成された貯水セルと、
    この貯水セルと水素発生セルの導入部とを接続するためのパイプとを備えたことを特徴とする水素発生装置。
  6. 水素発生セル内の化学反応により発生する熱を利用して、貯水セル内の水を水蒸気化するように構成したことを特徴とする請求項5に記載の水素発生装置。
  7. 水素発生セルの前記導入部と貯水セルとを金属製のパイプで接続し、このパイプを介して熱を伝導するように構成したことを特徴とする請求項6に記載の水素発生装置。
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