JP2005314843A - 繊維製品処理剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 油剤を高分子化合物による水中油型乳化物にすることで繊維に効率的に吸着出来る繊維処理剤の提供。
【解決手段】 下記水中油型乳化組成物を含有する繊維処理剤、並びにこの繊維処理剤の(b)成分を繊維製品に対して0.05〜5.0質量%で処理する繊維製品の処理方法。
(a)側鎖に炭素数8〜22の炭化水素基を有するビニル系モノマー単位(a1)、及び水素結合能を有する官能基及び/又はイオン性基を有する、総炭素数が2〜16であるビニル系モノマー単位(a2)((a1)のビニル系モノマー単位は除く)を(a2)/(a1)=100/30〜150/1のモル比で含有する重量平均分子量が2000〜20万の高分子化合物、(b)油剤、及び(c)水を含有する水中油型乳化組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は水中油型乳化組成物を含有する繊維製品処理剤に関する
高分子化合物及び油剤を含有する乳化組成物はすでに知られており、例えば、特許文献1には、親水性ポリマー、油、粘土からなる乳化組成物を手荒れ抑制として化粧品分野へ利用する技術が開示され、特許文献2には、両親媒性のコポリマー、消泡剤及び安定化剤からなる乳化物を製紙、パルプの洗浄に利用する技術が開示され、又、特許文献3には親水性モノマー単位及び疎水性モノマー単位を有する両親媒性高分子化合物を紡糸油剤として用いる技術が開示されている。一方、特許文献4には特定多糖誘導体が開示されており、該特許文献の多糖誘導体は疎水性化合物を安定化できる技術が記載されている。
しかしながら、これら水中油型乳化物を用いて、乳化物中の油剤を繊維に吸着させる技術は記載もされていなければ、その様な使用を示唆する記載も見当たらない。
特開平11−188253号公報、 特表2002−522657号公報、 特開2000−54265号公報、 国際公開第00/73351号パンフレット
油剤を水溶液中に乳化させる方法としては高分子化合物以外では、一般に界面活性剤が用いられている。界面活性剤は油滴に吸着し、油滴を水溶液中に乳化/安定化することができるが、過剰の水に希釈すると乳化が壊れ、油滴が安定に存在することができなくなる。このため、希釈して用いる用途には適さない。
希釈して用いる方法の例としては、一般家庭の洗濯工程で油剤を繊維製品に付与する場合が考えられるが、油剤を界面活性剤で乳化させた組成物を洗濯浴中に希釈すると、乳化が壊れ油剤が分離するため繊維製品に効率よく油剤を付着することができない。また、希釈により乳化状態を保てたとしても、繊維製品への吸着性が低いため、効率的に油剤を繊維製品に付着させることができない。このため、希釈しても乳化が壊れず、しかも繊維製品などの対象表面への吸着性を向上させた乳化組成物が望まれる。
従って本発明の課題は、一般の界面活性剤では解決が困難であった、組成物中で安定な乳化物を形成し、希釈しても乳化が壊れず、しかも繊維製品などの対象表面への吸着性を向上させることを可能に出来る水中油型乳化組成物を提供することにある。
本発明は、下記、水中油型乳化組成物を含有する繊維処理剤、並びにこの繊維処理剤の(b)成分を繊維製品に対して0.05〜5.0質量%で処理する繊維製品の処理方法を提供する。
(a)側鎖に炭素数8〜22の炭化水素基を有するビニル系モノマー単位(a1)、及び水素結合能を有する官能基及び/又はイオン性基を有する、総炭素数が2〜16であるビニル系モノマー単位(a2)((a1)のビニル系モノマー単位は除く)を(a2)/(a1)=100/30〜150/1のモル比で含有する重量平均分子量が2000〜20万の高分子化合物、(b)油剤、及び(c)水を含有する水中油型乳化組成物。
本発明の水中油型乳化組成物を含む繊維処理剤は、過剰の水に希釈しても安定な状態を維持し、しかも、繊維製品などの対象物に吸着することで乳化物中の油剤を効率的に対象物に付与することができる。
<(a)成分>
本発明の(a)成分は側鎖に炭素数8〜22の炭化水素基を有するビニル系モノマー単位(a1)、及び側鎖に水素結合能を有する官能基及び/又はイオン性基を有する、総炭素数が2〜16であるビニル系モノマー単位(a2)((a1)のビニル系モノマー単位は除く)を(a2)/(a1)=100/30〜150/1のモル比で含有する重量平均分子量が2000〜20万の高分子化合物である。
ビニル系モノマー単位(a1)の側鎖は炭素数8〜22の炭化水素基を有し、多くの(b)成分を乳化出来、組成物の粘度上昇を抑制する観点から、炭素数10〜20のアルキル基、又はアルケニル基が好ましく、炭素数10〜18のアルキル基がより好ましい。
一方、ビニル系モノマー単位(a2)の側鎖は水素結合能を有する官能基及び/又はイオン性基をする。水素結合能を有する官能基としては、例えば、水酸基、アミド基、アミノ基、エーテル基、エステル基等が挙げられ、イオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等のアニオン性基、4級アンモニウム基等のカチオン基が挙げられる。(a2)の水素結合能を有する官能基及び/又はイオン性基は高分子化合物に水との親和性を付与する効果、及び繊維製品に吸着する効果の両者を併せ持つ基であり、これらの基により本発明の水中油型乳化組成物は繊維処理剤の効果を発現出来る。
(a1)として好ましいビニル系モノマー単位を下記一般式(1)に示すことができる。
Figure 2005314843
〔式中;R1aは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R1bは水素原子、又は−COOM(Mは水素原子又はアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子)から選ばれる基であり、R1cは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又はヒドロキシ基から選ばれる基であり、R1dは炭素数8〜22の炭化水素基である。Bは−O−、−COO−、−OCO−、−CONR1e−(R1eは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基)から選ばれる基であり、Dはエーテル基、エステル基、アミド基、陽イオン基から選ばれる基を介してR1dと結合しB及びR2dを連結する炭素数2〜6の2価の炭化水素基、もしくは平均付加モル数が1〜300のポリオキシアルキレン基又は平均付加モル数1〜10のポリグリセリル基である。aは0又は1の数を示す。〕
一般式(1)においてR1a、R1bは水素原子が好ましく、R1cは水素原子又はメチル基が好ましい。R1dは炭素数10〜24のアルキル基、又はアルケニル基が好ましく、炭素数10〜18のアルキル基が更に好ましい。Bは−O−、−COO−又は−CONR1e−が好ましく、R1eは水素原子が好ましい。DはB及びR1dを連結する基であり、B及びR1dを含めた好ましい具体的構造の例として、−B−〔CH2CH(OH)CH2O〕b−(C24O)c−(C36O)d−R1d、−B−Cn2n−N+(CH32−R1d、−B−Cn2n−COO−R1d、−B−Cn2n−CONH−R1dを挙げることができる。ここで、bは0〜10の数、好ましくは1〜5の数である。cは0〜150の数、好ましくは0〜80の数、より好ましくは0〜50の数、特に好ましくは1〜30の数であり、dは0〜100の数、特に好ましくは0〜50の数である。nは2〜6の数、好ましくは2又は3の数である。Dとして好ましい構造としては、多くの油剤を乳化出来、且つ水に希釈しても安定な乳化組成物を維持出来る観点から、−〔CH2CH(OH)CH2O〕b−有し、且つ−(C24O)c−及び/又は−(C36O)d−のアルキレンオキシド、特に好ましくは−(C24O)c−を有する構造である。
(a2)として好ましいビニル系モノマー単位を下記一般式(2)に示すことができる。
Figure 2005314843
〔式中;R2aは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R2bは水素原子、又は−COOM(Mは水素原子又はアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子)から選ばれる基であり、R2cは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又はヒドロキシ基から選ばれる基ある。Aは水素結合能を有する官能基及び/又はイオン性基を有するユニットであり、−COOM、−OH、−CON(R2d)(R2e)、−COO−R2f−N+(R2g)(R2h)(R2i)・X-、−COO−R2f−N(R2g)(R2h)、−CON(R2d)−R2f−N+(R2g)(R2h)(R2i)・X-、−CON(R2d)−R2f−N(R2g)(R2h)、又は環内にアミノ基若しくはアミド基を少なくとも1つ有する5若しくは6員環構造の複素環基である。ここで、Mは水素原子又はアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子、R2d、R2e、R2g、R2h、R2iはそれぞれ水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基のいずれかであり、R2fは、炭素数1〜5のアルキレン基である。X-は有機又は無機の陰イオン基を示す。又、−CON(R2d)−R2f−N+(R2g)(R2h)(R2i)・X-の様にひとつの側鎖中に水素結合能を有する官能基とイオン性基を含んでいて良い。〕
一般式(2)においてR2a、R2bは水素原子が好ましく、R2cは水素原子又はメチル基が好ましい。R2d、R2e、R2g、R2h、R2iは水素原子、メチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基が好ましく、特にR2e、R2g、R2h、R2iはメチル基が最も好ましく、R2dは水素原子、又はメチル基が最も好ましい。R2fはエチレン基又はプロピレン基が好ましい。また、複素環基としては、ピロリドン基、ピリジン基、イミダゾール基、好ましくはピロリドン基を挙げることができる。X-はクロルイオン、硫酸イオン、炭素数1〜3のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数1〜12の脂肪酸イオン、炭素数1〜3のアルキル基が1〜3個置換していてもよいベンゼンスルホン酸イオン、好ましくはクロルイオン又はエチル硫酸エステルイオンが好適である。(a2)の水素結合能を有する官能基及びイオン性基は高分子化合物に水との親和性を付与する効果、及び繊維製品に吸着する効果の両者を併せ持つ基であり、繊維製品により効率的に吸着出来る観点から、上記に記載した中でも、水素結合能を有する官能基又はカチオン性基が好ましい。
本発明の(a)成分は、側鎖に炭素数8〜22の炭化水素基を有するビニル系モノマー単位(a1)、及び水素結合能を有する官能基及び/又はイオン性基を有する、総炭素数が2〜16のビニル系モノマー単位(a2)を、(a2)/(a1)=100/30〜150/1のモル比で含有する高分子化合物である。(a2)のビニル系モノマー単位の総炭素数は、上記記載の水素結合能を有する官能基及びイオン性基の機能をより効果的に発現できる観点から、2〜14が好ましく、3〜12がより好ましく、4〜9が特に好ましい。(a1)の炭素数8〜22の炭化水素基は(b)成分の油剤の液滴に吸着し、油剤を水溶液に安定化させる効果を有し、本発明においては炭素数10〜20のアルキル基、又はアルケニル基が好ましく、炭素数10〜18のアルキル基がより好ましい。更に、(a1)の炭化水素基は、本発明の組成物を繊維処理時にすすぎ水等に希釈しても、(b)成分を安定に乳化出来る観点から、−〔CH2CH(OH)CH2O〕b−有し、且つ−(C24O)c−及び/又は−(C36O)d−のアルキレンオキシド、特に好ましくは−(C24O)c−を有する構造(D)と結合しているのが特に好ましい。一方、(a2)の水素結合能を有する官能基又はイオン性基は高分子化合物に水溶性を与える効果、及び繊維製品に吸着する効果の両者を併せ持つ基であり、繊維製品により効率的に吸着出来る観点から、上記に記載した中でも、水素結合能を有する官能基又はカチオン性基が好ましい。
(a2)/(a1)のモル比は、好ましくは100/30〜150/1、より好ましくは100/20〜100/1であり、このような比率に調製することで、多くの油剤を安定に乳化させ、しかも大過剰の水に希釈しても乳化が壊れず、且つ繊維製品などの対象表面への吸着を促進する効果を得ることが可能になる。
(a)成分の重量平均分子量は2000〜20万であり、3000〜15万が好ましく、4000〜12万が特に好ましい。
上記ビニル系モノマー単位を有する高分子化合物は(a1)及び(a2)のビニル系モノマー単位に由来する単量体をラジカル重合などの公知の方法で共重合して得られることができる。また、(a1)のビニル系モノマー単位は、C(R1a)(R1b)=C(R1c)(Y)で示される重合性単量体(a1”)を(a2)のモノマー単位に由来する単量体と予め共重合して得られた高分子化合物に、R1d−Zを反応させて(a1)に由来するモノマー単位を得ることもできる。なおここで、Y及びZは反応して−B−(D)a−R1dを形成する反応基である。
(a2)に由来するビニル系モノマー(a2’)の具体的例としては以下の化合物を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、α−ヒドロキシアクリル酸、(メタ)アクリル酸ジアルキル(炭素数1〜3)アミド、(メタ)アクリル酸モノ(ジ)アルカノール(炭素数2〜3)アミド、重合後ケン価してビニルアルコール骨格に変換出来る酢酸ビニル、N−(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜3)−N,N−ジアルキル(炭素数1〜3)アミン、N−(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜3)−N,N,N−ジアルキル(炭素数1〜3)アンモニウム塩、N−(メタ)アクリロイルアミノアルキル(炭素数1〜3)−N,N−ジアルキル(炭素数1〜3)アミン、N−(メタ)アクリロイルアミノアルキル(炭素数1〜3)−N,N−ジアルカノール(炭素数1〜3)アミン、N−(メタ)アクリロイルアミノアルキル(炭素数1〜3)−N,N,N−ジアルキル(炭素数1〜3)アンモニウム塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾ−ル、N−ビニル−2−カプロラクタム
(a1)に由来するビニル系モノマー(a1’)の具体例としては以下の化合物を挙げることができる。
CH2=CHCOO(C24O)c−R1d
CH2=C(CH3)COO(C24O)c−R1d
CH2=CHCOOC24+(CH32(R1d)・X-
CH2=CHCONHC36+(CH32(R1d)・X-
CH2=CHCOOR1d
CH2=C(CH3)COOR1d
また、(a2’)から選ばれる単量体と酢酸ビニルを共重合させた後、ケン価して得られたビニルアルコール単位のOHに
Figure 2005314843
で示されるグリシジルエーテル化合物を反応させて(a1)由来のモノマー単位を得ることも可能であり、(a2’)から選ばれる単量体と平均付加モル数1〜200、好ましくは1〜100、より好ましくは1〜50のポリオキシエチレンビニルエーテルを共重合させた後、
Figure 2005314843
とを反応させて(a1)由来の繰り返し単位を得ることも可能である。さらに(a2’)から選ばれる単量体とN−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジアルキル(炭素数1〜3)アミン及び/又はN−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジアルキル(炭素数1〜3)アミンを共重合させた後、R1d−Clなどのアルキル化剤を用いて4級化反応を行い(a1)由来の繰り返し単位を得ることも可能である。
本発明の(a)成分は(a1)及び(a2)のビニル系モノマー単位を分子中に50〜100モル%、好ましくは60〜100モル%、特に好ましくは70〜100モル%含有する高分子化合物であり、(a1’)又は(a1”)と(a2’)のビニル系モノマーと共重合可能な他の単量体で共重合させることも可能である。共重合可能な単量体としては、エチレン、プロピレン、N−ブチレン、イソブチレン、N−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、N−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、、2−エチル−1−ブテン、スチレン、ビニルトルエンなどの化合物を挙げることができる。他の単量体と共重合させる場合、(a2)/(a1)のモル比は、好ましくは100/30〜100/1、より好ましくは100/25〜100/2であり、このような比率に調製することで、多くの油剤を安定に乳化させ、しかも大過剰の水に希釈しても乳化が壊れず、且つ繊維製品などの対象表面への吸着を促進する効果を得ることが可能になる。
本発明の(a)成分である高分子化合物はいかなる重合法によって得てもよいが、ラジカル重合法が特に好ましく、塊状、溶液、又は乳化系にてこれを行うことができる。ラジカル重合は加熱によりこれを開始してもよいが、開始剤として、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(N,N−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩などのアゾ系開始剤、過酸化水素及び、過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロパーオキシドなどの有機過酸化物、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩等が挙げられるが、これらのラジカル開始剤以外でも、過酸化水素−Fe3+などのレドックス開始剤、光増感剤の存在/又は非存在下での光照射や、放射線照射により重合を開始させてもよい。
本発明の(a)成分である高分子化合物の重量平均分子量は、好ましくは2000〜20万、より好ましくは3000〜15万、特に好ましくは4000〜12万である。なお、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、ポリエチレングリコールを標準として求めることができる。
<(b)成分>
本発明の(b)成分は油剤である。対象表面に機能を付与する油剤を選択するべきであり、例えば繊維潤滑剤、皮膚保湿成分等を例示することができる。また、本発明の油剤は20℃における水への溶解度が0.1g/100g以下の物質が好ましく、0.08g/100g以下の物質がより好ましい。また融点が60℃以下、好ましくは40℃以下の化合物が対象表面に均一に付着させることができる点から好ましい。
具体的には
(i)炭素数10〜18、好ましくは12〜18、より好ましくは14〜18の飽和又は不飽和の脂肪酸;具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸を挙げることができ、繊維処理剤として用いる場合にはオレイン酸又はパルミトレイン酸が好適である。
(ii)炭素数10〜18、好ましくは12〜18、より好ましくは14〜18の飽和又は不飽和の脂肪アルコール;具体的にはデシルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノールアルコールを挙げることができ、繊維処理剤として用いる場合にはオレイルアルコール、セタノール、ステアリルアルコールが好適である。
(iii)植物性、又は動物性油脂又はそれらの水素化物;オリーブ油、アボガド油、月見草油、ホホバ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ハッカ油、ヒマワリ油、ナタネ油、ゴマ油、小麦胚芽油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、大豆油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、牛脂、豚脂、馬油、魚油、卵黄油、カルナバロウ、ラノリンを挙げることができる。また、これらの油脂をさらにラネーニッケルなどの触媒を用いて部分水素化あるいは完全水素化した半硬化油、あるいは完全硬化油などをもちいることができ、繊維処理剤に用いる場合にはオリ−ブ油、ひまわり油が好適である。
(iv)炭素数10〜30の炭化水素化合物;具体的にはN−パラフィン、イソパラフィン、流動パラフィン、パラフィンワックスなどのパラフィン類や、デカン、イソドデカン、ウンデカン、テトラデカン、ドデカン、トリデカン、ヘキサデカン等の炭化水素化合物を挙げることができる。繊維処理剤に用いる場合にはイソパラフィン、スクアランが好適である。
(v)分子量300〜3000の脂肪酸エステル類(但し(iii)を除く);具体的には炭素数10〜18の脂肪酸と炭素数1〜6の1〜6価のアルコールとのエステル化合物が好適である。アルコールの具体的好ましい例としてはエタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノールから選ばれる1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコール、グリセリン(グリセリンの場合はモノ又はジエステルとする)、ペンタエリスリトール、グルコース、ソルビトール、ソルビタンなどの3価以上のアルコールを挙げることができる。本発明では特にイソプロピルラウレート、イソプロピルミリステート、ペンタエリスリトールモノステアレートが好適である。
(vi)ワセリン又は融点が40〜90℃のロウからなる群から選ばれる化合物;「油脂化学便覧」(丸善(株)発行改訂3版(平成4年1月15日発行)日本油化学協会編集)、104頁表2・4に記載のロウ化合物およびワセリンが好適であり、特に保湿効果の点からワセリンが好ましい。
(vii)セラミドまたは擬似セラミド類;具体的には下記13種類の化合物を挙げることができる。
セラミド1:C17H31COOC29H58CONHCH(CH2OH)CH(OH)C15H29
セラミド2:C23H47CONHCH(CH2OH)CH(OH)C15H29
セラミド3:C23H47CONHCH(CH2OH)CH(OH)CH(OH)C14H29
セラミド4:C24H49CH(OH)CONHCH(CH2OH)CH(OH)C15H29
セラミド5:C22H45CH(OH)CONHCH(CH2OH)CH(OH)C15H29
セラミド6:C22H45CH(OH)CONHCH(CH2OH)CH(OH)CH(OH)C14H29
セラミド7:HOC2H4OCH2NHCO(CH2)6CH(CH3)C3H6CH(CH3)(CH2)6CONHCH2OC2H4OH
セラミド8:HOC2H4OCH2NHCO(CH2)18CONHCH2OC2H4OH
セラミド9:CH3OC3H6NHCO(CH2)6CH(CH3)C3H6CH(CH3)(CH2)6CONHC3H6OCH3
セラミド10:CH3OC3H6NHCO(CH2)18CONHC3H6OCH3
セラミド11:CH3OC3H6NHCO(CH2)8CONHC3H6OCH3
セラミド12:CH3(CH2)11OC3H6NHCO(CH2)8CONHC3H6O(CH2)11CH3
セラミド13:CH3CH2CH2CH2CH(C2H5)CH2NHCO(CH2)8CONHCH2CH(C2H5)CH2CH2CH2CH3
(viii)ステロール類;具体的にはコレステロール、カンベステロール、ステグマスタノール、ステグマステロール、パリステロール、クリオナステロール、γ−シトステロール、ステグマステノール、サルガステロール、アペネステロール、エスゴスタノール、シトステロール、コルビステロール、コンドリラステロール、ポリフェラステロール、ハリクロナステロール、ネオスボンゴステロール、フコステロール、アプトスタノール、コレスタノール、7−デヒドロコレステロール、24−デヒドリコレスタジオン−3β−オール等を挙げることができ、特にコレステロールが好ましい。
(ix)ビタミンE、油溶性ビタミンC、ビタミンA、ビオチン、パンテノール等のビタミン類及びその誘導体
(x)油溶性紫外線吸収剤
(xi)香料
が挙げられる。
本発明の(b)成分としては(i)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(ix)、(xi)が好ましく、特に(i)、(iii)、(iv)、(vi)、(vii)、(ix)が好適である。
本発明の(c)成分は水であり、微量に存在する重金属などを取り除いたイオン交換水や蒸留水を用いることができる。また、塩素などで滅菌した滅菌水を用いることも可能である。
<水中油型乳化組成物>
本発明の水中油型乳化組成物は(a)成分を0.01〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量%、特に好ましくは0.2〜5質量%であり、(b)成分を2〜50質量%、好ましくは3〜45質量%、特に好ましくは5〜40質量%である。また(a)成分/(b)成分を質量比で1/200〜2/1、好ましくは1/100〜1/1、より好ましくは1/80〜1/2が好適である。(c)成分の水は35〜99質量%、好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは50〜85質量%である。
<繊維処理方法>
又、本願は本発明の繊維処理剤の(b)成分を繊維製品に対して0.05〜5.0質量%で処理する繊維製品の処理方法も提供する。
本発明の繊維処理剤の使用方法は、対象の繊維製品に対して、衣料への処理量としては(b)成分が衣料に対して、0.07〜4.0質量%が好ましく、0.1〜3.0質量%がより好ましい。具体的には、本発明の繊維処理剤を繊維製品を含む洗濯水や濯ぎ水に上記の質量%の範囲に成る様に添加、処理することで、効率的に(b)成分である油剤を繊維に吸着させることが出来る。又、処理する繊維製品と水の質量比率(浴比=水の質量/繊維製品)が5〜30、好ましくは8〜20の条件下で、上記に記載の質量%になる様に、本発明の繊維処理剤を添加することが好ましい。即ち、本発明の繊維処理剤を用いることで、(b)成分を含有する組成物を繊維製品に高濃度で直接処理しなくても効率的に吸着させることが出来、更には水の様な媒体で希釈することで、繊維により均一に吸着させることが出来る。
<その他成分>
本発明では(a)成分〜(c)成分を必須成分とする水中油型乳化組成物を含有する繊維処理剤であるが、繊維処理剤の安定性を向上させる目的、及び油剤の対象表面への吸着を促進させる目的から(d)成分として界面活性剤を用いることができる。用いることができる界面活性剤としては非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、及び両性界面活性剤を挙げることができ、乳化組成物の安定性の点から非イオン界面活性剤が好適であり、対象表面への吸着促進の観点から陽イオン界面活性剤を併用することが好適である。
非イオン界面活性剤(d1)としては下記一般式(3)の化合物が乳化組成物の安定性の点から好適である。
3a−F−[(R3b−O)e−R3cf (3)
〔式中、R3aは炭素数8〜32、好ましくは10〜28、より好ましくは10〜24、特に好ましくは10〜18のアルキル基又はアルケニル基、R3bは炭素数2又は3のアルキレン基である。R3cは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、Fは−O−、−COO−、−CON<又は−N<から選ばれる連結基であり、Fが−O−又は−COO−の場合にはfは1であり、Fが−CON<又は−N<の場合にはfは2である。eは数平均で1〜150、好ましくは2〜80、特に好ましくは4〜50の値である。ここで、複数個のR3b及びR3cは同一でも異なっていても良い。〕
一般式(3)において、R3aは炭素数10〜18のアルキル基が最も好ましく、R3bはエチレン基が最も好ましく、R3cは水素原子が最も好ましい。また、Fは−O−又は−COO−、特に−O−が好ましい。
非イオン界面活性剤としては特に一般式(4)で表される化合物が最も好ましい。
3a−O−(C24O)e−H (4)
〔式中、R3a及びeは上述と同一の意味である。〕
陽イオン界面活性剤(d2)としては下記一般式(5)で表される化合物が対象表面への油剤の吸着促進の点から好適である。
Figure 2005314843
〔式中;R5aは炭素数11〜18の炭化水素基、Xは−COO−又は−CONH−から選ばれる基であり、R5bは炭素数2又は3のアルキレン基である。gは0又は1の数である。R5cは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数2又は3のヒドロキシアルキル基、もしくはR5a−〔X−R5bg−である。R5dは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数2又は3のヒドロキシアルキル基であり、R5eは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数2又は3のヒドロキシアルキル基、もしくは水素原子である。T-は、有機又は無機の陰イオンである。〕
一般式(5)の化合物においてR5aは好ましくは炭素数14〜18のアルキル基、又はアルケニル基が好適であり、gは1の数が好ましい。本発明の(d2)成分としては、R5cがR5a−〔X−R5bg−である化合物(d2−2)、及びR5cがメチル基またはヒドロキシエチル基である化合物(d2−1)の混合物が好ましく、(d2−2)/(d2−1)を重量比で100/1〜100/10、好ましくは100/2〜100/6の混合物が油剤の吸着性を促進させる目的から好適である。R5dはメチル基またはヒドロキシエチル基が好ましく、R5eは水素原子、又はメチル基が好適である。T-はハロゲンイオン(好ましくはクロルイオン)、炭素数1から3のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数1〜12の脂肪酸イオン、炭素数1〜3のアルキル基で置換していてもよいベンゼンスルホン酸イオンが好適である。
本発明では、組成物のレオロジーを制御する目的、及び乳化組成物の安定性の点から水溶性溶剤(e)を併用することが好ましい。具体的に好ましい水溶性溶剤の例としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオールが好適であり、特にグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオールが好ましい。
本発明では、繊維処理剤に用いられる通常の添加剤、例えば防腐剤、染料、顔料、粘度調節剤、無機塩、ハイドロトロープ剤などの成分を必要に応じて用いることができる。
任意成分ではあるが本発明の安定性を向上させる目的から(d1)成分を用いることが好ましいが、多量配合は逆に本発明の効果を損なうおそれがあるため、注意を要する。(d1)成分は組成物中に0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは2〜10質量%であり、〔(b)成分+(a)成分〕/(d1)成分を質量比で1/1〜50/1、好ましくは3/1〜30/1、より好ましくは7/1〜20/1が好適である。(d2)成分は(b)成分の対象表面への吸着を向上させる目的から併用することが好ましいが、(d1)成分と同様多量配合は本発明の効果を損なうおそれがある。(d2)成分は組成物中に0〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、特に好ましくは2〜10質量%であり、〔(b)成分+(a)成分〕/(d2)成分を質量比で0〜80/1、好ましくは3/1〜60/1、より好ましくは5/1〜40/1が好適である。本発明の(e)成分は貯蔵安定性の点から0.5〜30質量%、好ましくは1〜20質量%、特に好ましくは4〜15質量%が好適である。
本発明の組成物は20℃におけるpHを2〜8、好ましくは4〜7.5に調製することが安定性の点から好適である。pH調整剤としては塩酸や硫酸など無機酸や、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸などの有機酸などの酸剤、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニアやその誘導体、モノエタノールアミンなどのアミン塩及び炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸、クエン酸から選ばれる酸と水酸化ナトリウムや水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。
本発明の繊維処理剤は20℃における粘度を2〜300mPa・s、好ましくは5〜200mPa・s、より好ましくは10〜150mPa・sが取り扱いやすさ、および乳化組成物の安定性から好ましい。このような粘度調整には(e)成分や通常の粘度調製剤等を用いて行う。
<水中油型乳化組成物の製造方法>
本発明の組成物の製造方法としては、特に限定されないが、下記製造方法で製造することが出来る。
常温にて(a)成分、必要に応じて(d)成分、(e)成分を、必要量の15%相当量の(c)成分に添加し、次に昇温後80℃にて攪拌した後、25℃まで冷却し(この溶液を(f)とする)、次に(b)成分をゆっくり添加した。(b)成分が常温で固体、若しくは流動しない状態の場合には融点、若しくは流動点以上に加温して添加することが望ましい。また、その場合には溶液(f)も(b)成分の融点、又は流動点以上の温度に加温することが望ましいい。添加後さらに攪拌した後、配合物の温度を60℃、若しくは(b)成分の融点、若しくは流動点以上に上昇させ、さらに攪拌し、組成物を得る。そのままの温度か必要に応じて40℃程度まで冷却し、上記の方法で得られた組成物に残りの(c)成分をゆっくり添加し、攪拌する。また、必要に応じてpHを調整した後、ゆっくり常温まで配合物の温度を下げて、本発明の水中油型乳化組成物を得た。上記製造方法において(b)成分の一部を(a)成分と一緒に添加してもよい。
本発明では(f)の溶液を20〜75℃、好ましくは30〜60℃に調製し、(c)の水を20〜90℃、好ましくは30〜70℃で混合することが好適である。(c)の添加速度は(f)の溶液1リットル当り、0.001〜0.1リットル/分程度の割合が好ましい。(d)成分に予め添加していてもよ、さらには(f)と(c)を混合した後に添加しても差し支えない。
本発明では、油剤を含有する水中油型乳化組成物を提供するものであり、本発明によれば希釈により乳化が壊れず、かつ対象表面に油剤を効率的に吸着させることが出来、繊維製品処理剤として有用である。
実施例に用いる配合成分を以下にまとめて示す。
<配合成分>
(a)成分
(a−1)ビニルピロリドン、ジメチルアミノプロピルメタクリレート及びN−ラウリル−N−メタクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムクロライドの共重合体(スタイリーゼW-20(アイエスピー・ジャパン株式会社))
(a−2)化合物2
化合物2の調製法は下記の通りである。
ジメチルアクリルアミド 94.2g,ALE-900(日本油脂社製 ラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレート)51.7g エタノール200gを混合した。この溶液中に窒素ガスを吹き込み(20ml/min,1時間)、系内を脱気した後、60℃に昇温した。その後V−65エタノール溶液(3wt%)82.8gを60℃に保ちながら滴下した。滴下終了後60℃で12時間熟成を行った。反応終了後、得られた反応終了物をジイソプロピルエーテル2kg中に滴下した。得られた白色固体を濾別し、更にジイソプロピルエーテルで洗浄した(500g×2回)。減圧乾燥の後、化合物2を115g得た。得られた化合物2のラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレートの導入率をNMRより測定した結果0.054であった。また、重量平均分子量は65000であった。
Figure 2005314843
(a−3)メタクリル酸(MAA)とラウリルメタクリレート(LMA)の共重合体(重量平均分子量:8900、MAA/LMA=96/4(モル比))
(a−4)アクリル酸(AA)とラウリルメタクリレート(LMA)の共重合体(重量平均分子量:5500、AA/LMA=96/4(モル比))
(a−5)ジメチルアミノエチルアクリルアミド(DMAEMA)とステアリルメタクリレート(SMA)の共重合体(重量平均分子量:54000、DMAEMA/SMA=74/26(モル比))
(a−3)〜(a−5)の共重合体も各々のモノマーを用いて、(a−2)の化合物と同様の方法で調製した。
(b)成分
(b−1)オレイン酸
(b−2)オレイルアルコール
(b−3)ひまわり油
(b−4)イソパラフィン
(b−5)スクアラン
(b−6)コレステリルヘミアルケニルコハク酸エステル
(b−7)ワセリン
(b−8)上記セラミド4
(b−9)コレステロール
(d)成分
(d−1)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(平均EO付加モル数:21)
(d-2-2)
N−ステアロイルアミノプロピル−N−ステアロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド
(d-2-1)
N−ステアロイルアミノプロピル−N−2-ヒドロキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド
(e)グリセリン
(a’−1)ポリアクリル酸ナトリウム
(日本触媒株式会社、アクアリックDL−384(重量平均分子量:8000))
(a’−2)ラウリルアルコールにエチレンオキサイドをアルコール1モル当たり平均12モル付加させた非イオン性界面活性剤
配合例1,2及び比較例1
表1に示す(a)〜(e)成分を用い、下記に記す製造方法で表1に示す組成の繊維処理剤組成物を調製した。
<繊維処理剤の調製方法>
表1記載の組成物の出来あがり質量が80gになるように衣料用処理剤組成物を調製した。100mLの市販のガラス製ビーカーに、必要量の1/5相当量の(b)成分、(a)成分、及び必要に応じて(d)成分、(e)成分を添加した。次に、必要量の15/100(25℃)相当量の(c)成分を攪拌しながら添加し、更に25℃にて1時間攪拌した。次に20分攪拌した後、残りの(b)成分を添加した。次に、25℃で1時間攪拌した後、ウォーターバスにて配合物の温度を60℃に上昇し、更に1時間攪拌した。上記の方法で得られた組成物を、40℃のウォーターバスに漬け、攪拌しながら40℃まで冷却した後、残りの(c)成分(40℃)を攪拌しながら添加し、更に30分攪拌した。必要により塩酸、或いは苛性ソーダでpHを調整した後、25℃のウォーターバスに漬けて、攪拌しながら25℃まで冷却し本発明の水中油型乳化組成物を得た。尚、1枚の長さが1.5cmの羽根が3枚有するタービン型の攪拌羽根を用い、回転数は全ての工程で400rpmとした。以上の方法で得られた本発明品1〜10は公知の方法により、乳化の型を調べた結果、全てO/W型乳化物であった。
上記の方法で得られた組成物を水で500倍に希釈し、プレパラート上に適量のせ、デジタルマイクロスコープ(KEYENCE VH−8500)で乳化粒子の状態を観察した。その結果を表1に示す。
Figure 2005314843
*:20℃におけるpH、1/10規定硫酸水溶液及び1/10規定水酸化ナトリウム水溶液を用いて調整した。
配合例3〜9及び比較例2,3
表2に示す(a)〜(e)成分を用い、下記に記す製造方法で表2に示す組成の繊維処理剤組成物を調製し、得られた組成物を下記方法で衣料に処理し、その吸着量を測定した。結果を表2に示す。
<繊維処理剤組成物の調製方法>
表2の(a)成分、(b)成分の1/5(質量比)及び(e)成分を配合表の組成にするのに必要な(c)成分の15%(25℃)に添加、25℃にて1時間攪拌した後、(d1)成分を添加し、更に20分攪拌した後、残りの(b)成分を添加する。次に、25℃で1時間攪拌した後、配合物の温度を60℃に上昇させ、1時間攪拌し、組成物を得る。上記の方法で得られた組成物を30分かけて40℃まで冷却した後、残りの(c)成分から(d)成分を30%含有する組成物を調製するのに必要な分を除いた量(40℃)を上記組成物に添加し、30分攪拌する。更に、この組成物に別に調製しておいた(d2)成分を30質量%含有する組成物(40℃)を添加し、30分攪拌し、pHを調整した後、1時間掛けて、25℃にまで配合物の温度を下げて、本発明の水中油型乳化組成物を得た。尚、攪拌速度は全ての工程で400rpmである。
<吸着量測定方法>
20℃,4度硬水2250ml中に各組成物を3g添加し(0.6gの(b)成分を添加)、1分間攪拌する(ミニ洗濯機使用)。その後、木綿メリヤス約16g×8枚(トータルで約150g)を加え5分間処理する。処理終了後脱水(3分)を行い一晩乾燥(風乾)させる。乾燥後、処理布から1gづつ切り取りヘキサン5mL(配合例6の場合はイソプロピルアルコール(IPA)5ml)および内部標準を添加した後、バス式ソニケーターにて15分処理を行う。抽出液(ヘキサンまたはIPA)を用いキャピラリーGCにて定量を行う。
カラム:DB−1HT 15m
条件: 100℃→10℃/minの速度で340℃まで昇温→340℃保持36min
Figure 2005314843
*:20℃におけるpH、1/10規定硫酸水溶液及び1/10規定水酸化ナトリウム水溶液を用いて調整した。

Claims (5)

  1. 下記、水中油型乳化組成物を含有する繊維処理剤。
    (a)側鎖に炭素数8〜22の炭化水素基を有するビニル系モノマー単位(a1)、及び水素結合能を有する官能基及び/又はイオン性基を有する、総炭素数が2〜16であるビニル系モノマー単位(a2)((a1)のビニル系モノマー単位は除く)を(a2)/(a1)=100/30〜150/1のモル比で含有する重量平均分子量が2000〜20万の高分子化合物、(b)油剤、及び(c)水を含有する水中油型乳化組成物。
  2. (a)成分が(a1)と(a2)の合計が50〜100モル%の高分子化合物である請求項1記載の繊維処理剤。
  3. (a)成分が下記一般式(1)のモノマー単位(a1−1)及び下記一般式(2)のモノマー単位(a2−1)を含有し、(a2−1)/(a1−1)がモル比で100/30〜100/1であり、(a1−1)と(a2−1)の合計が50〜100モル%の高分子化合物である請求項1記載の繊維処理剤。
    Figure 2005314843
    〔式中;R1aは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R1bは水素原子、又は−COOM(Mは水素原子又はアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子)から選ばれる基であり、R1cは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又はヒドロキシ基から選ばれる基であり、R1dは炭素数8〜22の炭化水素基である。Bは−O−、−COO−、−OCO−、−CONR1e−(R1eは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基)から選ばれる基であり、Dはエーテル基、エステル基、アミド基、陽イオン基から選ばれる基を介してR1dと結合しB及びR1dを連結する炭素数2〜6の2価の炭化水素基、もしくは平均付加モル数が1〜300のポリオキシアルキレン基又は平均付加モル数1〜10のポリグリセリル基である。aは0又は1の数を示す。〕
    Figure 2005314843
    〔式中;R2aは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R2bは水素原子、又は−COOM(Mは水素原子又はアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子)から選ばれる基であり、R2cは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又はヒドロキシ基から選ばれる基ある。Aは−COOM、−OH、−CON(R2d)(R2e)、−COO−R2f−N+(R2g)(R2h)(R2i)・X-、−COO−R2f−N(R2g)(R2h)、−CON(R2d)−R2f−N+(R2g)(R2h)(R2i)・X-、−CON(R2d)−R2f−N(R2g)(R2h)、又は環内にアミノ基若しくはアミド基を少なくとも1つ有する5若しくは6員環構造の複素環基である。ここで、Mは水素原子又はアルカリ金属原子もしくはアルカリ土類金属原子、R2d、R2e、R2g、R2h、R2iはそれぞれ水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基のいずれかであり、R2fは、炭素数1〜5のアルキレン基である。X-は有機又は無機の陰イオン基を示す。〕
  4. 水中油型乳化組成物が(a)成分を0.01〜15質量%、(b)成分を2.0〜50質量%、及び(c)水を35〜99質量%含有し、(a)成分/(b)成分の質量比が1/200〜2/1である請求項1〜3のいずれかに記載の繊維処理剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の繊維処理剤の(b)成分を繊維製品に対して0.05〜5.0質量%で処理する繊維製品の処理方法。
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