JP2005313715A - 車両用牽引フックの取付構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 意匠の制約を抑制しつつバンパレインフォース及びフック取付部材の強度を十分に確保することができる車両用牽引フックの取付構造を提供する。
【解決手段】 車両の幅方向に延設されるバンパレインフォース11と、牽引フック13が固定されるフック取付ナット12とが、バンパレインフォース11の下面23aにおいて機械的締結されている。バンパレインフォース11には背面24a側に屈曲されたバンパ側係止片26が形成され、フック取付ナット12にはバンパ側係止片26と係合する、前面22a側に屈曲されたフック側係止片33と、背面24aに当接する当接片34とが形成されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、車両用牽引フックの取付構造に関するものである。
従来、車両用牽引フックの取付構造としては、例えば特許文献1〜3に記載されたものが知られている。これら車両用牽引フックの取付構造では、形態が異なるものの基本的に牽引フックの取付位置はサイドメンバとバンパレインフォースとの接合部に合わせて設定されている。
特開2003−2136号公報(第2図) 特開2002−53066号公報(第2図) 特開2001−63498号公報(第3図)
ところで、例えば特許文献1,2の取付構造では、牽引フックの取付位置がサイドメンバの前方であることを前提にしていることから、意匠に制約を受けることになる。また、特許文献3の取付構造であっても、牽引フックを締結するためのプレート(フック取付ナット17)をバンパレインフォース内に挿入してこれに締結する必要があることから、作業性を考慮すれば自ずとプレートの締結位置はバンパレインフォースの端末付近に限定される。そして、このプレートに締結される牽引フックの取付位置もバンパレインフォースの端末付近(サイドメンバの前方付近)に限定され、やはり意匠に制約を受けることになる。
本発明の目的は、意匠の制約を抑制しつつバンパレインフォース及びフック取付部材の強度を十分に確保することができる車両用牽引フックの取付構造を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両の幅方向に延設されるバンパレインフォースと、牽引フックが固定されるフック取付部材とが、該バンパレインフォースの上面及び下面のいずれか一方において機械的締結手段により結合される車両用牽引フックの取付構造において、前記バンパレインフォースには、背面側に屈曲されたバンパ側係止片が形成され、前記フック取付部材には、前記バンパ側係止片と係合する、正面側に屈曲されたフック側係止片と、前記バンパレインフォースの背面に当接する当接片とが形成されていることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用牽引フックの取付構造において、前記バンパレインフォース及び前記フック取付部材の少なくとも一方は、押し出し成形されていることを要旨とする。
以上詳述したように、請求項1に記載の発明では、例えば車両牽引時において前記牽引フックを正面側から引っ張る場合に、フック取付部材に加わる力は前記機械的締結手段と前記バンパレインフォースの背面及び前記当接片の当接部とで分散されて該バンパレインフォースに伝達される。従って、車両牽引時に前記フック取付部材から前記バンパレインフォースへと伝達される力に対し、これらバンパレインフォース及びフック取付部材の強度を十分に確保することができる。
一方、例えば車両を運搬用の荷台などに縛り付ける、いわゆるタイダウン時において前記牽引フックを正面側の斜め下方から引っ張る場合に、フック取付部材に加わる力は前記機械的締結手段と前記バンパ側係止片及び前記フック側係止片の係合部とで分散されて該バンパレインフォースに伝達される。従って、車両のタイダウン時に前記フック取付部材から前記バンパレインフォースへと伝達される力に対し、これらバンパレインフォース及びフック取付部材の強度を十分に確保することができる。
また、前記バンパ側係止片は、背面側に屈曲させる態様で前記バンパレインフォースに任意に配置しうるため、該バンパレインフォースに固定される前記フック取付部材の取付位置の設計自由度を増大することができ、ひいては意匠の制約を抑制することができる。
なお、本発明において正面側とは、車両に正対したときの手前の端面側(外面側)であって、例えば車両のフロント側では前面側に相当する。
請求項2に記載の発明では、前記バンパレインフォース及び前記フック取付部材の少なくとも一方を、押し出し成形にて極めて簡易に成形することができる。特に、前記バンパレインフォースを押し出し成形した場合には、一定の断面形状を有することで前記バンパ側係止片が押し出された全長に亘って形成され、前記フック取付部材の取付位置の設計自由度を増大することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1及び図2に従って説明する。なお、図1及び図2は、それぞれ牽引フックを車両の前部(フロント側)に取り付ける場合の例を示す斜視図及び断面図である。そして、図2に示した矢印Fは車両のフロント側を、矢印Rは車両のリア側をそれぞれ示しており、図2において紙面に直交する方向は車両の幅方向に相当する。
車両の幅方向に延設されるバンパレインフォース11は、例えばアルミニウム合金材を押し出し成形することで一定断面を有するように成形されており、このバンパレインフォース11にフック取付部材としてのフック取付ナット12が結合している。そして、このフック取付ナット12に牽引フック13(図2参照)が固定される。
詳述すると、図2に示されるように、前記バンパレインフォース11は、略日字状の中空断面形状を有しており、矩形状に連続する上壁部21、前壁部22、下壁部23及び後壁部24と、これら壁部によって形成される内部空間を上下に2分する隔壁部25とを有している。そして、上壁部21、前壁部22、下壁部23及び後壁部24の外形をなす各端面は、それぞれバンパレインフォース11の上面21a、前面22a、下面23a及び背面24aをなしている。なお、本実施形態では、フロント側から車両に正対したときに手前の端面側(外面側)となる前面22a側が正面側に相当する。
下壁部23の前壁部22側には、隔壁部25側に凹設されて前壁部22に連続する凹部23bが形成されている。そして、前壁部22には、凹部23bの段差分だけ下方に延出して背面24a側に屈曲されたバンパ側係止片26が形成されている。このバンパ側係止片26は、その外形をなす下側の端面が前記下面23aと面一になるように成形されている。
また、下壁部23の凹部23bと後壁部24との中間部には下穴23cが形成されており、この下穴23cと同軸に機械的締結手段を構成するカシメナット27が固定されている。このカシメナット27は、外側から下穴23cに挿通されることで一端が下面23aに係止され、更に下穴23cを介した内部の端面に係止されることで抜け止めされる周知のナットである。
前記フック取付ナット12は、例えばアルミニウム合金材を押し出し成形することで一定断面を有するように成形されており、前記バンパレインフォース11の下壁部23(下面23a)に沿って配置される支持壁部31と、同支持壁部31の前端部に連続して下方に伸びるフック取付壁部32とを有している。そして、支持壁部31には、前記バンパ側係止片26に対応してその上面31aから前面22a側に屈曲されたフック側係止片33が形成されている。
ここで、車両の前後方向において前記バンパ側係止片26の先端から凹部23bの対向する内壁面までの開口長を距離L1で表し、前記フック側係止片33の延出長を距離L2で表すと、距離L1は距離L2よりも長く設定されている。従って、上記フック側係止片33は、前記バンパ側係止片26の先端と干渉しないように凹部23b内に下方から挿入され、更にバンパ側係止片26の対向する内壁面側へと前方に移動されることで互いに引っ掛かるようにバンパ側係止片26と係合する。
また、前記支持壁部31には、その後端部に連続して上方に伸びる当接片34が形成されている。この当接片34は、前記バンパ側係止片26及びフック側係止片33の係合状態において前記背面24aにその対向端面が当接するように成形されている。
さらに、前記支持壁部31には、前記バンパ側係止片26及びフック側係止片33の係合状態において前記下穴23c(カシメナット27)と同軸をなすボルト挿通孔31bが形成されている。フック取付ナット12は、上記ボルト挿通孔31b及び下穴23cに挿通された機械的締結手段を構成する締結ボルト35を前記カシメナット27に螺合することでバンパレインフォース11に締結される。
従って、前記バンパレインフォース11及びフック取付ナット12が機械的締結で結合した状態では、前記バンパ側係止片26及びフック側係止片33が係合するとともに、当接片34がバンパレインフォース11の背面24aに当接している。
前記フック取付壁部32には、車両の前後方向に開口する雌ねじ部32aが形成されている。前記牽引フック13は、この雌ねじ部32aに螺合することでフック取付ナット12に固定される。すなわち、上記牽引フック13は、牽引時等にロープが係止されるリング状のフック部13aと、雄ねじ部13bとを有している。牽引フック13は、そのフック部13aを車両の前方側に突出させる態様で雄ねじ部13bが前記雌ねじ部32aに螺合することでフック取付ナット12に固定されている。なお、この牽引フック13は、車両牽引時等、ロープを係止する場合にのみフック取付ナット12に取り付けられるもので、これ以外では基本的にフック取付ナット12から取り外されている。
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、例えば車両牽引時において牽引フック13を前面22a側から引っ張る場合に、フック取付ナット12に加わる力は機械的締結されるカシメナット27及び締結ボルト35と、バンパレインフォース11の背面24a及び当接片34の当接部とで分散されてバンパレインフォース11に伝達される。従って、車両牽引時にフック取付ナット12からバンパレインフォース11へと伝達される力に対し、これらバンパレインフォース11及びフック取付ナット12の強度を十分に確保することができる。
一方、例えば車両のタイダウン時において牽引フック13を前面22a側の斜め下方から引っ張る場合に、フック取付ナット12に加わる力は機械的締結されるカシメナット27及び締結ボルト35と、バンパ側係止片26及びフック側係止片33の係合部とで分散されてバンパレインフォース11に伝達される。従って、車両のタイダウン時にフック取付ナット12からバンパレインフォース11へと伝達される力に対し、これらバンパレインフォース11及びフック取付ナット12の強度を十分に確保することができる。
(2)本実施形態では、バンパレインフォース11を押し出し成形にて一定の断面形状(下穴23cを除く)に成形したことで、バンパ側係止片26が押し出された全長に亘って形成される。従って、フック取付ナット12の取付位置の設計自由度を増大することができ、ひいては意匠の制約を抑制することができる。
(3)本実施形態では、バンパレインフォース11及び前記フック取付ナット12を、押し出し成形にて極めて簡易に成形することができる。
(4)本実施形態では、バンパレインフォース11にフック取付ナット12が固定されるものの、その断面形状の変更はわずかであることから基本的にバンパレインフォース11の剛性に影響を及ぼすことがない。このため、車両のフロント衝突時には、バンパレインフォース11は前後方向に圧潰変形して好適にエネルギー吸収することができる。
(5)本実施形態では、牽引フック13をバンパレインフォース11直下のフック取付ナット12に直に締結したことで、例えば従来例(特許文献1,2)のようにバンパレインフォースを貫通させて牽引フックを締結する場合に比べフック部13aの突出長を抑制することができる。そして、例えば車両のタイダウン時には牽引フック13(フック部13a)に加わる力のモーメントが低減され、その変形を抑制することができる。
(6)本実施形態では、バンパレインフォース11及びフック取付ナット12の結合において、機械的締結(カシメナット27及び締結ボルト35)に併せて応力が集中する部分にこれらの係合形状(バンパ側係止片26及びフック側係止片33等)を設定して強度を確保した。そして、例えばアルミニウム合金材からなるこれらバンパレインフォース及びフック取付ナットを溶接にて接合する場合に生じる、応力腐食割れによる強度低下も回避することができる。
(7)本実施形態では、バンパレインフォース11及びフック取付ナット12をともにアルミニウム合金材にて成形したことで、例えば金属異材間の当接部で生じる電食も回避することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、バンパ側係止片及びフック側係止片の形状及びその形成位置は一例である。例えば、図3に示されるバンパレインフォース11では、下壁部23の凹部23bを割愛して下面23aを面一にしている。そして、前壁部22に連続して下方に延出し背面24a側に屈曲されたバンパ側係止片41を形成している。一方、フック取付ナット12では、支持壁部31の前端部を溝状に切り欠いてその上面31aに連続する、前面22a側に屈曲されたフック側係止片42を形成している。このように変更しても前記実施形態と同様の効果が得られる。
また、こうした係合形状の配置も、機械的締結手段(カシメナット27及び締結ボルト35)の前方に限定されるのではなく、当該機械的締結手段と当接片34との中間部に配置してもよい。
要は、バンパレインフォース11に対し背面24a側に屈曲するバンパ側係止片を形成し、フック取付ナット12に対し前面22a側に屈曲するフック側係止片を形成して互いに引っ掛かるように係合させればよい。また、バンパレインフォース11及びフック取付ナット12の締結位置も、バンパレインフォース11の下面23aに限定されるものではなく上面21aであってもよい。
・機械的締結手段として、例えばリベットを採用してもよい。
・前記実施形態において、バンパレインフォース及びフック取付ナットを切削で成形してもいい。この場合、バンパ側係止片をバンパレインフォースの全長に亘って成形する必要はなく、フック取付ナット(牽引フック)の取付位置が決まっているのであれば、当該取付位置に合わせた箇所のみにバンパ側係止片を成形してもよい。このように変更しても、バンパ側係止片は、背面24a側に屈曲させることでバンパレインフォース11に任意に配置しうるため、フック取付ナット12の取付位置の設計自由度を増大することができ、ひいては意匠の制約を抑制することができる。
・前記実施形態において、意匠の制約や押し出し成形のストロークに対応してバンパレインフォースを延設方向に複数分割しこれらを適宜連結したとしても本発明を何ら逸脱するものではない。
・本発明は、車両のリア側に設けられる牽引フックに対応して適用してもよい。
本発明の一実施形態を示す斜視図。 同実施形態を示す断面図。 同実施形態の別例を示す断面図。
符号の説明
11…バンパレインフォース、12…フック取付部材としてのフック取付ナット、13…牽引フック、21a…上面、22a…前面、23a…下面、24a…背面、26,41…バンパ側係止片、27…機械的締結手段を構成するカシメナット、33,42…フック側係止片、35…機械的締結手段を構成する締結ボルト。

Claims (2)

  1. 車両の幅方向に延設されるバンパレインフォースと、牽引フックが固定されるフック取付部材とが、該バンパレインフォースの上面及び下面のいずれか一方において機械的締結手段により結合される車両用牽引フックの取付構造において、
    前記バンパレインフォースには、背面側に屈曲されたバンパ側係止片が形成され、
    前記フック取付部材には、
    前記バンパ側係止片と係合する、正面側に屈曲されたフック側係止片と、
    前記バンパレインフォースの背面に当接する当接片とが形成されていることを特徴とする車両用牽引フックの取付構造。
  2. 請求項1に記載の車両用牽引フックの取付構造において、
    前記バンパレインフォース及び前記フック取付部材の少なくとも一方は、押し出し成形されていることを特徴とする車両用牽引フックの取付構造。
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