JP2005313358A - 熱転写型画像記録材料の製造方法、熱転写型画像記録材料及びそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

熱転写型画像記録材料の製造方法、熱転写型画像記録材料及びそれを用いた画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、形成画像の耐光性に優れた、金属イオン含有化合物を含有する熱転写型画像記録材料の製造方法、熱転写型画像記録材料とその製造方法及びそれを用いた画像形成方法を提供する。
【解決手段】 記録信号に応じて加熱することにより、金属イオン含有化合物と、該金属イオン含有化合物とキレート錯体を形成することができる熱拡散性色素との反応によりキレート色素を形成して画像形成する熱転写型画像記録材料の製造方法において、該金属イオン含有化合物が下記一般式〔I〕で表される化合物であって、該熱転写型画像記録材料の製造工程で用いる該金属イオン含有化合物の水及び分子量が80未満のアルコールの総含有量が8.0質量%未満であることを特徴とする熱転写型画像記録材料の製造方法。
一般式〔I〕 M2+(X-2
【選択図】 なし

Description

本発明は、金属イオン含有化合物を用いた熱転写型画像記録材料とその製造方法及びそを用いた画像形成方法に関する。
従来、カラーまたはモノクロの画像の形成技術として、加熱により拡散移行する性質を有する熱拡散性色素を含有するインクシートを、受像シートの色素受容層と対向させて、サーマルヘッドやレーザー等の加熱印字手段を用いて、該色素受容層に該熱拡散性色素を画像様に転写して画像を形成(いわゆる色素熱転写方式)する技術が知られている。このような熱転写方式は、デジタルデータを用いての画像形成を可能とし、現像液等の処理液を使わず、しかも銀塩写真に匹敵する高画質を形成できる方法として定評がある。
しかしながら、得られる画像の保存性や耐久性に関しては、銀塩写真に比較して弱いという欠点を有している。具体的には、以下の事項を挙げることができる。
1)長期間の保存において、光や熱、空気中の酸素、水分等により、画像の退色や滲みが生じる(耐光性、耐熱性)
2)アルバムやクリアファイル、プラスチック消しゴム等の色素染着性の高いものや、可塑剤を含んだ材料と接触させた場合、長期間の保存の間に色素がそれらへ逆転写したり、画像が滲んだりする(耐可塑剤性)
3)水、ジュース、酒、コーヒー等を形成した画像上にこぼした場合、それを拭き取る際、同時に色素も拭き取られ変色する(耐水性、耐溶剤性)
4)指で触ったところが皮脂により変色する(耐皮脂性)
5)消しゴムで擦ると画像がとれる(耐擦過性)
6)市販されているラミネート材による加工、特に低温で加工が可能なコールドラミネート材により加工を施した場合、長期間の保存の間にラミネート材に色素が拡散し画像が滲む(ラミネート適性)
等の問題があった。
これは、銀塩写真で用いている色素では、高沸点溶媒や紫外線吸収剤などによりプロテクトされているのに対し、熱転写画像記録材料で用いられる色素は、主にバインダー中に分散されている状態であり、直接外部からの影響を受けやすい為と考えられる。
上記の欠点を改善する手段として、熱転写により染料層中の化合物と色素受容層中の化合物とを反応させることにより画像を形成する、いわゆる反応型色素を用いた画像形成方法がいくつか提案されている。ここで、染料層側に含有させる化合物を、色素前駆体、色素受容層中に含有させる化合物を色素定着体と定義した場合、例えば、特開平9−327976、米国特許第4,880,769号、米国特許第5,534,479号等には、色素前駆体として脱プロトン化されたカチオン色素を、色素定着体として該カチオン色素をプロトン化し得る有機ポリマー酸またはオリゴマー酸等を用い、熱転写によりカチオン色素を再プロトン化させることにより画像を形成する方法が提案されている。また、特開平5−221151等には、色素前駆体として反応基を有する特定構造の色素を、色素定着体として活性水素化合物を用い、熱転写によりそれらを反応させることにより画像を形成する方法が提案されている。
しかしながら、これらの高拡散性の色素では、転写後の画像が、保存中に再拡散により画像濃度が低下したり、色素の定着が十分でなくにじみ易いという欠点を有する。
これらの問題を解決するために、受像要素に色素の媒染剤を添加したり、色素と反応することにより定着を促進する方法が提案されている。このうちキレート化可能な熱拡散性の色素を含む感熱転写材料を加熱することにより色素を受像要素に転写し、受像要素中の金属イオン含有化合物とキレート色素を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。また、溶解性の改良された金属イオン含有化合物が提案されている(例えば、特許文献3参照。)されているが、反応性が十分でない。
更に、疎水性バインダーに対する分散性が良く、キレート反応も迅速に進む金属イオン含有化合物が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。特許文献4に記載されている金属イオン含有化合物は有効であったが、近年、熱転写プリンターの印字速度の高速化が進むに伴って、キレート反応性、具体的には形成画像の耐光性などが劣ることが判明した。
特開昭59−78893号公報 特開昭60−2398号公報 特開平3−197088号公報 特開平6−127156号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、形成画像の耐光性に優れた、金属イオン含有化合物を含有する熱転写型画像記録材料の製造方法、熱転写型画像記録材料とその製造方法及びそれを用いた画像形成方法を提供する。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
記録信号に応じて加熱することにより、金属イオン含有化合物と、該金属イオン含有化合物とキレート錯体を形成することができる熱拡散性色素との反応によりキレート色素を形成して画像形成する熱転写型画像記録材料の製造方法において、該金属イオン含有化合物が下記一般式〔I〕で表される化合物であって、該熱転写型画像記録材料の製造工程で用いる該金属イオン含有化合物の水及び分子量が80未満のアルコールの総含有量が8.0質量%未満であることを特徴とする熱転写型画像記録材料の製造方法。
一般式〔I〕
2+(X-2
〔式中、M2+は2価の遷移金属イオンを表す。Xは2価の遷移金属イオンと錯体を形成することができる下記一般式〔II〕で表される配位化合物を表す。〕
Figure 2005313358
〔式中、Zはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ハロゲン原子または水素原子を表す。RおよびR′は各々アルキル基またはアリール基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよく、RとZまたはR′とZが結合して環を形成してもよいが、Zが水素原子のとき、RおよびR′が共にメチル基であることはない。〕
(請求項2)
前記金属イオン含有化合物の水及び分子量が80未満のアルコールの総含有量が、5.0質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写型画像記録材料の製造方法。
(請求項3)
前記金属イオン含有化合物の水及び分子量が80未満のアルコールの総含有量が、3.0質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写型画像記録材料の製造方法。
(請求項4)
前記金属イオン含有化合物の水及び分子量が80未満のアルコールの総含有量を、該金属イオン含有化合物を60℃以上、200℃未満の温度で加熱して制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱転写型画像記録材料の製造方法。
(請求項5)
請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱転写型画像記録材料の製造方法により製造されたことを特徴とする熱転写型画像記録材料。
(請求項6)
請求項5に記載の熱転写型画像記録材料を用いて、記録信号に応じて加熱することにより、金属イオン含有化合物とキレート可能な色素との反応によりキレート色素を形成して画像形成することを特徴とする画像形成方法。
本発明によれば、形成画像の耐光性に優れた、金属イオン含有化合物を含有する熱転写型画像記録材料の製造方法、熱転写型画像記録材料とその製造方法及びそれを用いた画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、記録信号に応じて加熱することにより、金属イオン含有化合物と、該金属イオン含有化合物とキレート錯体を形成することができる熱拡散性色素との反応によりキレート色素を形成して画像形成する熱転写型画像記録材料の製造方法において、該金属イオン含有化合物が前記一般式〔I〕で表される化合物であって、該熱転写型画像記録材料の製造工程で用いる該金属イオン含有化合物の水及び分子量が80未満のアルコールの総含有量が8.0質量%未満である熱転写型画像記録材料の製造方法により、キレート反応性、具体的には形成画像の耐光性などが劣ることなく、安定して製造できる金属イオン含有化合物を含有する熱転写型画像記録材料の製造方法を実現できることを見出し本発明に至った次第である。
熱転写型画像記録材料、例えば、基材シート上にキレート形成可能な色素と反応してキレート化合物を形成し得る金属イオン含有化合物を含有する色素受容層を有する熱転写受像シートにおいて、そこに含有される金属イオン含有化合物は、水や低分子のアルコールも配位が可能な特性を有している。
上記のような金属イオン含有化合物に水や低分子のアルコールが配位した状態は、熱転写インクシートより転写してきた熱拡散性色素のキレート色素の配位を妨げることとなり、その結果、形成画像の耐光性を低下させる要因となることが判明した。
従来、水、あるいは分子量80未満のアルコールはキレート反応に影響しないと考えられてきたが、近年の熱転写プリンターの印字速度の高速化でキレート反応に十分なエネルギーを得られなくなってきた状況では影響していることをつきとめた。メカニズムは良く分かっていないが、熱エネルギーが不足して、キレート可能色素と金属イオン含有化合物の衝突確率が低下し、本来ならキレート色素と交換されるはずの水、あるいは分子量80未満のアルコールが交換されなくなってきたものと思われる。なお、こうしたアルコールは金属イオン含有化合物を合成する際に利用され、該金属イオン含有化合物中に残存したものであり、水は空気中の水分を取り込んだものである。
本発明者は、引き続き検討を進めた結果、金属イオン含有化合物の水及び分子量が80未満のアルコールの総含有量を8.0質量%未満に制御することにより解決できることが判明し、特にその水及び分子量が80未満のアルコールの総含有量の制御を、熱転写型画像記録材料、すなわち熱転写受像シートの製造工程で行うことが最も効果的であることが判明した。
以下、本発明の詳細について説明する。
はじめに、熱転写型画像記録材料に含有させる本発明に係る前記一般式〔I〕で表される金属イオン含有化合物について説明する。
前記一般式〔I〕において、M2+は2価の遷移金属イオンを表すが、これらの中でも金属イオン含有化合物自身の色およびキレート化した色素の色調から、ニッケルおよび亜鉛が好ましい。Xは2価の金属イオンと錯体を形成することができる前記一般式〔II〕で表された配位化合物を表す。
金属イオン含有化合物において、Zはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ハロゲン原子または水素原子を表す。Zがアリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子などの電子吸引性基が金属イオン含有化合物を安定化させるため好ましいが、この中でもアリールオキシカルボニル基およびアルコキシカルボニル基が溶解性の点で更に好ましい。該アリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基が挙げられ、該アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基などの炭素数1〜20の直鎖または分岐を有するアルコキシカルボニル基を挙げることができ、また、これらのアルコキシカルボニル基にはハロゲン原子、アリール基やアルコキシ基などが置換していてもよい。
RおよびR′は各々アルキル基およびアリール基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよく、RとZまたはR′とZが結合して環を形成してもよいが、Zが水素原子となる時にR、R′が共にメチル基となることはない。Z、RおよびR′で表されるアルキル基としては例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル基などの炭素数1〜20の直鎖または分岐を有するアルキル基を挙げることができ、また、これらのアルキル基にはハロゲン原子、アリール基やアルコキシ基などが置換していてもよい。Z、RおよびR′で表されるアリール基としてはフェニル、ナフチル基が挙げられ、置換基を有していてもよい。Zで表されるアルコキシ基としてはメトキシ、エトキシ、ブトキシなど炭素数1〜20の直鎖または分岐を有するアルコキシ基を挙げることができる。Zで表されるアシル基としてはアセチル、プロピオニル、クロロアセチル、フェナセチル、ベンゾイル基などを挙げることができる。Zで表されるハロゲン原子として好ましくは塩素原子を挙げることができる。
本発明に使用する金属イオン含有化合物の添加量は、通常、熱転写受像シート1m2当たり0.5〜20gが好ましく、1〜15gがより好ましい。
以下に、一般式〔I〕で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005313358
Figure 2005313358
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Figure 2005313358
Figure 2005313358
Figure 2005313358
前記一般式〔I〕で表される金属イオン含有化合物は、例えば、キレート化学(5)錯体化学実験法[I](南江堂編)などに記載の方法に準じて合成することができる。
本発明の熱転写型画像記録材料の製造方法においては、その製造工程で用いる上記一般式〔I〕で表される金属イオン含有化合物の水、あるいは分子量80未満のアルコールの含有率が8.0質量%未満であることが特徴であるが、5.0%未満であることが好ましく、更に好ましくは3.0%未満である。
本発明の熱転写型画像記録材料の製造方法において、金属イオン含有化合物の水、あるいは分子量80未満のアルコールの含有率を上記で規定した範囲に制御する方法として、特に制限はなく、例えば、金属イオン含有化合物を予め加熱処理を行う方法、減圧下で水あるいは分子量80未満のアルコールを脱気する方法、吸湿剤あるいは脱アルコール剤の存在かで保存する方法等が挙げられるが、容易に含水量あるいは分子量80未満のアルコール含有量を制御できる観点からは、加熱処理により含有量を制御する方法が好ましく、特に好ましくは、金属イオン含有化合物を60℃以上、200℃未満の温度で加熱して制御する方法である。
次いで、本発明の熱転写型画像記録材料の構成について、詳細に説明する。
本発明の熱転写型画像記録材料は、具体的には、基材シート上に、金属とキレート形成可能な熱拡散性色素を含有するインク層を有する熱転写インクシートと、基材シート上に該キレート形成可能な熱拡散性色素と反応して金属キレート化合物を形成し得る本発明に係る一般式〔I〕で表される金属イオン含有化合物を含有する色素受容層を有する熱転写受像シートとから構成される。
図1は、本発明の熱転写画像記録材料を構成する熱転写インクシートと熱転写受像シートの構成の一例を示す断面図である。
図1のa)は、本発明に係る熱転写インクシートの代表的な構成を示す断面図であり、熱転写インクシート1は、基材シート2の一方の面にインク層3を有し、基材シート2の他方の面には、耐熱滑性層4を備えている。また、図1のb)は、本発明の熱転写受像シートの代表的な構成を示す断面図であり、熱転写受像シート5は、基材シート6の一方の面に色素受容層7を有している。
《熱転写受像シート》
はじめに、本発明に係る熱転写受像シートについて説明する。
本発明に係る熱転写シートにおいては、基材シート上に該キレート形成可能な熱拡散性色素と反応して金属キレート化合物を形成し得る本発明に係る一般式〔I〕で表される金属イオン含有化合物を含有する色素受容層を有する。
(基材シート)
熱転写受像シートで用いる基材シートは、色素受容層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、過熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有することが好ましい。
このような基材の材料としては特に限定されず、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、またはサイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂またはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネイト、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等のフィルムが挙げられ、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルムあるいは発泡させた発泡シートも使用でき、特に限定されない。
また、上記基材の任意の組み合わせによる積層体も使用できる。代表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合成紙或いはセルロース合成紙とプラスチックフィルムとの合成紙が挙げられる。これらの基材シートの厚みは任意でよく、通常10〜300μm程度である。
より高い印字感度を有すると共に、濃度ムラや白抜けのない高画質を得るためには、微細空隙を有する層を存在させることが好ましい。微細空隙を有する層としては、内部に微細空隙を有するプラスチックフィルムや合成紙を用いることが出来る。また、各種基材シートの上に、各種の塗工方式で微細空隙を有する層を形成できる。微細空隙を有するプラスチックフィルムまたは合成紙としては、ポリオレフィン、特にポリプロピレンを主体として、それに無機顔料及び/またはポリプロピレンと非相溶なポリマーをブレンドし、これらをボイド(空隙)形成開始剤として用い、これらの混合物を延伸、成膜したプラスチックフィルムまたは合成紙が好ましい。これらがポリエステル等を主体としたものの場合には、その粘弾性的あるいは熱的性質から、クッション性、及び断熱性が、ポリプロピレンを主体としたものに比較して劣るため、印字感度に劣り、濃度ムラなども生じやすい。
これらの点を考慮すると、プラスチックフィルム及び合成紙の20℃における弾性率は5×108Pa〜1×1010Paが好ましい。また、これらのプラスチックフィルムや合成紙は、通常2軸延伸により成膜されたものであるが故に、これらは加熱により収縮する。これらを110℃下で60秒放置した場合の収縮率は0.5〜2.5%である。上述のプラスチックフィルムや合成紙は、それ自体が、微細空隙を含む層の単層で合っても良いし、複数の層構成であっても良い。複数の層構成の場合には、その構成する全ての層に微細空隙を含有しても良いし、微細空隙が存在しない層が含有しても良い。このプラスチックフィルムや合成紙には、必要に応じて隠蔽剤として、白色顔料を混入させてもよい。また、白色性を増すために、蛍光増白剤等の添加剤を含有させても良い。微細空隙を有する層は、30〜80μmの厚みが好ましい。
微細空隙を有する層としては、基材の上にコーティング法によって微細空隙を有する層を形成することも可能である。使用するプラスチック樹脂としては、ポリエステル、ウレタン樹脂、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の公知の樹脂を単独或いは複数をブレンドして使用することができる。
また、必要に応じて、基材の受像層を設ける側とは反対側の面に、カール防止の目的として、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネイト等の樹脂や合成紙の層を設けることが出来る。貼り合わせ方法としては、例えば、ドライラミネーション、ノンソルベント(ホットメルト)ラミネーション、ECラミネーション法等の公知の積層方法が使用できるが、好ましい方法はドライラミネーション及びノンソルベントラミネーション法である。ノンソルベントラミネーション法に好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業(株)製のタケネート720L等が挙げられ、ドライラミネーションに好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業(株)製のタケラックA969/タケネートA−5(3/1)、昭和高分子(株)製の、ポリゾール PSA SE−1400、ビニロール PSA AV−6200シリーズ等が挙げられる。これらの接着剤の使用量としては、固形分で約1〜8g/m2、好ましくは2〜6g/m2の範囲である。
上述したような、プラスチックフィルムと合成紙、或いはそれら同士、或いは各種紙とプラスチックフィルムや合成紙、等を積層する場合、接着層により貼り合わせることができる。
上記基材シートと色素受容層との接着強度を大きくする等の目的で、基材シートの表面に各種プライマー処理やコロナ放電処理を施すのが好ましい。
(バインダー樹脂)
本発明に係る熱転写受像シートにおいては、色素受容層にバインダー樹脂を用いることが好ましく、バインダー樹脂としては公知のものを用いることができ、その中でも色素が染着しやすいものを用いることが好ましい。具体的には、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステルなどのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノキシ樹脂、エチレンやプロピレンなどのオレフィンと他のビニル系モノマーとの共重合体、ポリウレタン、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、アイオノマー、セルロース誘導体等の単体、または混合物を用いることができ、これらの中でもポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂及びセルロース誘導体が好ましい。
(離型剤)
本発明に係る色素受容層には、インク層との熱融着を防止する目的で、離型剤を添加することが好ましい。離型剤としては、燐酸エステル系可塑剤、フッ素系化合物、シリコーンオイル(反応硬化型シリコーンを含む)等を使用することができるが、この中でもシリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンをはじめ各種の変性シリコーンを用いることができる。具体的には、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン等を用い、これらをブレンドしたり、各種の反応を用いて重合させて用いることもできる。離型剤は1種でも、あるいは2種以上のものを併せて用いても良い。また、離型剤の添加量は、色素受容層形成用のバインダー樹脂100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましい。この添加量の範囲を満たさない場合は、熱転写インクシートと熱転写受像シートの色素受容層との融着もしくは印画感度低下などの問題が生じる場合がある。なお、これらの離型剤は、色素受容層に添加せず、色素受容層上に別途離型層として設けても良い。
(中間層)
また、熱転写受像シートは、基材シートと色素受容層との間に中間層を設けても良い。本発明でいう中間層は、基材シートと色素受容層との間に存在する全ての層を指し、多層構成であってもよい。中間層の機能としては、耐溶剤性能、バリア性能、接着性能、白色付与能、隠蔽性能、帯電防止機能等が挙げられるが、これらに限定されることなく、従来公知の中間層全てが適用できる。
中間層に耐溶剤性能、バリア性能を付与させるためには、水溶性樹脂を用いることが好ましい。水溶性樹脂としては、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂、でんぷん等の多糖類系樹脂、カゼイン等の蛋白質、ゼラチン、寒天、また、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル共重合体(例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製ベオパ)、酢酸ビニル(メタ)アクリル共重合体、(メタ)アクリル樹脂、スチレン(メタ)アクリル共重合体、スチレン樹脂等のビニル系樹脂、また、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のポリアミド系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン等が挙げられる。ここで言う水溶性樹脂とは、水を主体とする溶媒に、完全溶解(粒径0.01μm以下)、またはコロイダルディスパージョン(0.01〜0.1μm)、またはエマルジョン(0.1〜1μm)、またはスラリー(1μm以上)の状態になる樹脂のことである。これらの水溶性樹脂のなかで、特に好ましいのは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン等の汎用溶剤により、溶解はもとより、膨潤さえしない樹脂である。この意味で、水を主体とする溶媒に完全に溶解する樹脂が最も好ましい。特に、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂が挙げられる。
中間層に接着性能をもたせるためには、基材シートの種類やその表面処理により異なるが、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が一般的である。また、活性水素を有する熱可塑性樹脂とイソシアネート化合物のような硬化剤を併用すると良好な接着性が得られる。中間層に白色付与能をもたせるためには、蛍光増白剤を用いることができる。使用する蛍光増白剤は、従来公知のいずれの化合物でも使用でき、スチルベン系、ジスチルベン系、ベンゾオキサゾール系、スチリル−オキサゾール系、ピレン−オキサゾール系、クマリン系、アミノクマリン系、イミダゾール系、ベンゾイミダゾール系、ピラゾリン系、ジスチリル−ビフェニル系の蛍光増白剤等が挙げられる。白色度は、これら蛍光増白剤の種類と添加量で調整することができる。蛍光増白剤の添加方法としては、あらゆる方法を用いることができる。すなわち、水に溶解させて添加する方法、ボールミル、コロイドミルによって粉砕分散して添加する方法、高沸点溶媒に溶解して親水性コロイド溶液と混合し、水中油滴型分散物として添加する方法、高分子ラテックス中に含浸させて添加する方法等がある。
更に、基材シートのギラつき感や、ムラを隠蔽するために、中間層に酸化チタンを添加してもよい。更に、酸化チタンを用いることで基材シートの選択の自由度が広がる点で好ましい。酸化チタンには、ルチル型酸化チタンと、アナターゼ型酸化チタンの2種類があるが、白色度及び蛍光増白剤の効果を考慮すると、ルチル型よりも紫外部の吸収がより短波長側であるアナターゼ型酸化チタンが好ましい。中間層のバインダー樹脂が水系で、酸化チタンが分散しにくい場合には、表面に親水性処理を施した酸化チタンを用いるか、もしくは、界面活性剤、エチレングリコール等の既知の分散剤により分散することができる。酸化チタンの添加量は、樹脂固形分100質量部に対して酸化チタン固形分として10〜400質量部が好ましい。
中間層に帯電防止機能をもたせるためには、導電性無機フィラーや、ポリアニリンスルホン酸のような有機導電材等、従来公知の導電材料を中間層バインダー樹脂に合わせて適宜選択して使用することができる。このような中間層の厚みは、0.1〜10μm程度の範囲で設定することが好ましい。
(バック層)
バック層は複数の層を積層した多層構成でもかまわないが、その最表面となる層のバインダーの主成分がエチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂であることが好ましい。塩橋法により規定される導電性とこれを組み合わせることにより、さばき性などの帯電防止性能が更に改善される。その詳細は不明であるが、セルロース系樹脂の帯電列が比較的中間的な位置にあり、電荷の発生が比較的少なくなるためではないかと推察している。また、バック層には、従来公知の導電剤、マット剤等の添加剤を含有させてもかまわない。
《熱転写インクシート》
以下、本発明に係る熱転写インクシート(以下、熱転写シートともいう)について説明する。
(基材シート)
本発明に係る熱転写インクシートに使用される基材シートとしては、従来より熱転写インクシートの基材シートとして公知の材料を用いることができる。好ましい基材シートの具体例は、グラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙などの薄紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルホン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレンの誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマー等のプラスチックの延伸あるいは未延伸フィルムや、これらの材料を積層したものが挙げられる。この基材シートの厚さは、強度及び耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常は1〜100μm程度のものが好ましく用いられる。
また、基材シートの表面に形成するインク層との密着が乏しい場合には、その表面にプライマー処理や、コロナ処理を施すことが好ましい。
(インク層、色素)
本発明に係る熱転写インクシートを構成するインク層は、少なくとも色素とバインダー樹脂を含有する熱昇華性色材層である。本発明に係るインク層に使用される色素は、1種のみでも2種以上を併用しても良い。
以下に、本発明で用いることのできる色素について説明する。
本発明に係る熱転写インクシートで用いる色素含有領域は、色相において異なる2以上の色素含有領域とすることができ、例えば、色素含有領域がイエロー色素を含有する領域、マゼンタ色素を含有する領域、及びシアン色素を含有する領域からなり、これらの色素含有領域の次に色素不含有領域が形成された態様、色素含有領域が黒色色素を含有するインク層からなり、該領域の次に色素不含有領域が形成された態様、及び色素含有領域がイエロー色素を含有する領域、マゼンタ色素を含有する領域、シアン色素を含有する領域及び黒色色素を含有する領域からなり、これらの色素含有領域の次に色素不含有領域が形成された態様等が挙げられる。
熱昇華性色剤層に用いられる色素は、従来公知の感熱昇華転写方式の熱転写インクシートに使用される、アゾ系、アゾメチン系、メチン系、アントラキノン系、キノフタロン系、ナフトキノン系等のあらゆる色素を挙げることができ、特に制限はされない。具体的には、黄色色素として、ホロンブリリアントイエロー6GL、PTY−52、マクロレックスイエロー6G等が挙げられ、赤色色素としてMSレッドG、マクロレックスレッドバイオレットR、セレスレッド7B、サマロンレッドHBSL、SKルビンSEGL等が挙げられ、さらに、青色色素として、カヤセットブルー714、ワクソリンブルーAP−FW、ホロンブリリアントブルーS−R、MSブルー100、ダイトーブルーNo.1等が挙げられる。
また、キレート形成可能な熱拡散性色素としては、熱転写が可能であれば特に制限はなく、公知の各種の化合物を適宜に選定して使用することができ、例えば、特開昭59−78893号公報、同59−109349号公報、特開平4−94974号公報、同4−97894号公報、特許第2856225号明細書に記載されているシアン色素、マゼンタ色素、イエロー色素などを使用することができる。
例えば、キレートシアン色素としては、下記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2005313358
上記一般式(1)において、R11及びR12は各々置換または無置換の脂肪族基を表し、R11及びR12は同じでも異なっていてもよい。脂肪族基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基などを挙げることができ、これらのアルキル基を置換しうる基としては、直鎖あるいは分岐のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、及び1−ヘキシルノニル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、及びアダマンチル基等)、及びアルケニル基(例えば、2−プロピレン基、オレイル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、オルト−トリル基、オルト−アニシル基、1−ナフチル基、9−アントラニル基等)、複素環基(例えば、2−テトラヒドロフリル基、2−チオフェニル基、4−イミダゾリル基、2−ピリジル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボニル基(例えば、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ピバロイル基等のアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、ペンタフルオロベンゾイル基、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル基等のアリールカルボニル基等)、オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、n−ドデシルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基、及び2−ピリジルオキシカルボニル基、1−フェニルピラゾリル−5−オキシカルボニル基などの複素環オキシカルボニル基等)、カルバモイル基(例えば、ジメチルカルバモイル基、4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミノカルボニル基等のアルキルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、1−ナフチルカルバモイル基等のアリールカルバモイル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、2−エトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ基、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ基等)、複素環オキシ基(例えば、4−ピリジルオキシ基、2−ヘキサヒドロピラニルオキシ基等)、カルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等のアリールオキシ基等)、ウレタン基(例えば、N,N−ジメチルウレタン基等のアルキルウレタン基、N−フェニルウレタン基、N−(p−シアノフェニル)ウレタン基等のアリールウレタン基等)、スルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、n−ドデカンスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基等)、アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基等のアルキルアミノ基、アニリノ基、p−t−オクチルアニリノ基等のアリールアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、ヘプタフルオロプロパンスルホニルアミノ基、n−ヘキサデシルスルホニルアミノ基等のアルキルスルホニルアミノ基、p−トルエンスルホニルアミノ基、ペンタフルオロベンゼンスルホニルアミノ等のアリールスルホニルアミノ基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジメチルスルファモイルアミノ基等のアルキルスルファモイルアミノ基、N−フェニルスルファモイルアミノ基等のアリールスルファモイルアミノ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ミリストイルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等アリールカルボニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、N,N−ジメチルアミノウレイド基等のアルキルウレイド基、N−フェニルウレイド基、N−(p−シアノフェニル)ウレイド基等のアリールウレイド基等)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基等)、スルファモイル基(例えば、ジメチルスルファモイル基、4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミノスルホニル基等のアルキルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基等のアリールスルファモイル基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、t−オクチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−チオ基、5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−チオ基等)等が挙げられる。
シクロアルキル基、アルケニル基の例としては、上記置換基と同様である。また、アルキニル基の例としては、1−プロピン、2−ブチン、1−ヘキシン等が挙げられる。
11、R12として、非芳香族性の環状構造(例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等)を形成する基も好ましい。
13は上記置換基の中でもアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基が好ましい。nは0〜4の整数を表し、nが2以上の場合、複数のR13は同じでも異なっていてもよい。
14はアルキル基であり、その例としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、及び1−ヘキシルノニル基等が挙げられる。R14は好ましくは2級または3級アルキル基であり、好ましい2級または3級のアルキル基の例としてはイソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R14として最も好ましい置換基はイソプロピル基、tert−ブチル基である。R14のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており。その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
15はアルキル基であり、その例としては、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、1−ヘキシルノニル基等が挙げられる。R15は好ましくは2級または3級アルキル基であり、好ましい2級または3級のアルキル基の例としてはイソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R15として最も好ましい置換基はイソプロピル基、tert−ブチル基である。R15のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており。その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
16はアルキル基を表し、その例としてはn−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R16として特に好ましい置換基は、炭素数3以上の直鎖のアルキル基であり、その例としてはn−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基であり、最も好ましくはn−プロピル基、n−ブチル基である。なお、R16のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており、その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
また、キレートイエロー色素としては、下記一般式(2)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2005313358
上記一般式(2)において、R1及びR2で表される各々の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(炭素数1〜12のアルキル基で、酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはカルボニル基で連結する置換基が置換するか、またはアリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、シアノ基もしくはハロゲン原子が置換していてもよい。例えば、メチル、イソプロピル、t−ブチル、トリフルオロメチル、メトキシメチル、2−メタンスルホニルエチル、2−メタンスルホンアミドエチル、シクロヘキシル等の各基)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、3−ニトロフェニル、3−アシルアミノフェニル、2−メトキシフェニル等の各基)、シアノ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、複素環チオ基、ホスホニル基、アシル基等が挙げられる。
3で表されるアルキル基及びアリール基としては、R1及びR2で表されるアルキル基、アリール基と同じものを挙げることができる。
1で表される2個の炭素原子と共に構成される5〜6員の芳香族環としては、具体的には、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾールなどの環を挙げることができ、これらの環は更に他の芳香族環と縮合環を形成してもよい。これらの環上には置換基を有していてもよく、該置換基としてはR1及びR2で表される置換基と同じものを挙げることができる。
また、キレートマゼンタ色素としては、下記一般式(3)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2005313358
上記一般式(3)において、Xは少なくとも2座のキレート形成可能な基または原子の集まりを表し、Yは5員もしくは6員の芳香族炭化水素環または複素環を形成する原子の集まりを表し、R1、R2は各々水素原子、ハロゲン原子または1価の置換基を表す。nは0、1、2を表す。
Xとして特に好ましくは、下記一般式(4)で表される基である。
Figure 2005313358
上記一般式(4)において、Z2は少くとも一つのキレート化可能な窒素原子を含む基で置換された芳香族性含窒素複素環を形成するに必要な原子群を表す。該環の具体例としてはピリジン、ピリミジン、チアゾール、イミダゾール等の各環が挙げられる。これらの環は、更に他の炭素環(ベンゼン環等)や複素環(ピリジン環等)と縮合環を形成しても良い。
上記一般式(3)において、Yは5員もしくは6員の芳香族炭化水素環または複素環を形成する原子の集まりを表し、該環上には更に置換基を有していても良く、縮合環を有していても良い。該環の具体例としては、3H−ピロール環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、3H−ピロリジン環、オキサゾリジン環、イミダゾリジン環、チアゾリジン環、3H−インドール環、ベンズオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、ピリジン環等が挙げられる。これらの環は更に他の炭素環(例えば、ベンゼン環)や複素環(例えば、ピリジン環)と縮合環を形成してもよい。環上の置換基としてはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等であり、それらの基は更に置換されていても良い。
1、R2は各々水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)または1価の置換基を表すが、1価の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アシル基、アシルアミノ基等が挙げられる。
Xは少なくとも2座のキレート形成可能な基または原子の集まりを表し、一般式(3)として色素を形成できるものなら何でもよく、例えば、5−ピラゾロン、イミダゾール、ピラゾロピロール、ピラゾロピラゾール、ピラゾロイミダゾール、ピラゾロトリアゾール、ピラゾロテトラゾール、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ローダニン、ヒダントイン、チオヒダントイン、オキサゾロン、イソオキサゾロン、インダンジオン、ピラゾリジンジオン、オキサゾリジンジオン、ヒドロキシピリドン、またはピラゾロピリドンが好ましい。
(バインダー樹脂)
本発明に係るインク層は、上記色素と共にバインダー樹脂を含有する。
インク層に使用するバインダー樹脂としては、従来公知の感熱昇華転写方式の熱転写インクシートに使用されるバインダー樹脂を使用することができ、例えば、セルロース系、ポリアクリル酸系、ポリビニルアルコール系、ポリビニルピロリドン系等の水溶性ポリマー、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチルセルロース、ニトロセルロース等の有機溶媒に可溶のポリマーがを挙げることができる。これらの樹脂の中でも、保存性の優れたポリビニルブチラール、ポリビニルアセタールあるいはセルロース系樹脂が好ましい。
インク層のバインダー樹脂として、更に、特公平5−78437号に記載のイソシアナート類と、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリエステルポリオール及びアクリルポリオールから選択される活性水素を有する化合物との反応生成物、イソシアナート類が、ジイソシアナート又はトリイソシアナートである上記反応生成物、及び活性水素を有する化合物100質量部に対して、10〜200質量部である上記反応生成物;天然及び/又は半合成水溶性高分子の分子内水酸基をエステル化及び/又はウレタン化した有機溶媒可溶性高分子、天然及び/又は半合成水溶性高分子;特開平3−264393号に記載のアセチル化度が2.4以上かつ総置換度が2.7以上の酢酸セルロース;ポリビニルアルコール(Tg=85℃)、ポリ酢酸ビニル(Tg=32℃)、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体(Tg=77℃)等のビニル樹脂、ポリビニルブチラール(Tg=84℃)、ポリビニルアセトアセタール(Tg=110℃)等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアクリルアミド(Tg=165℃)等のビニル系樹脂、脂肪族ポリエステル(Tg=130℃)等のポリエステル樹脂等;特開平7−52564号に記載のイソシアナート類と、含有するビニルアルコール部分の質量が15〜40%であるポリビニルブチラールとの反応生成物、上記イソシアナート類がジイソシアナート又はトリイソシアナートである上記反応生成物;特開平7−32742号に記載の一般式(I)のフェニルイソシア変性ポリビニルアセタール樹脂;特開平6−155935号に記載のイソシアナート反応性セルロース又はイソシアナート反応性アセタール樹脂の1種と、イソシアナート反応性アセタール樹脂、イソシアナート反応性ビニル樹脂、イソシアナート反応性アクリル樹脂、イソシアナート反応性フェノキシ樹脂及びイソシアナート反応性スチロール樹脂から選ばれる1種の樹脂及びポリイソシアナート化合物を含有する組成物の硬化物;ポリビニルブチラール樹脂(好ましくは分子量が6万以上、ガラス転移温度が60℃以上、より好ましくは70℃以上110℃以下、ビニルアルコール部分の質量%がポリビニルブチラール樹脂中10〜40%、好ましくは15〜30%のもの);アクリル変性セルロース系樹脂、セルロース系樹脂としては、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酢酸セルロース等のセルロース系樹脂(好ましくはエチルセルロース)等を用いることができる。
前記各種のバインダー樹脂は、その1種を単独で使用することもできるし、又その2種以上を併用することもできる。
また、本発明に係るインク層には、上記説明した色素とバインダー樹脂の他に、必要に応じて公知の種々の添加剤を含有することができる。染料層は、例えば、適当な溶剤中に上記の染料、バインダー樹脂、その他の添加剤を溶解または分散させて調製したインク層塗布液を、グラビアコート法等の公知の手段により基材シート上に塗布した後、乾燥させることにより形成することができる。本発明に係るインク層の厚みは、0.1〜3.0μm程度、好ましくは0.3〜1.5μm程度とすることができる。
(保護層)
本発明に係る熱転写インクシートにおいては、熱転写性の保護層を備えていることが好ましい。該熱転写性の保護層は、受像シート上に熱転写して形成された画像の表面を覆う保護層となる透明な樹脂層からなる。
保護層を形成する樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、これらの各樹脂のエポキシ変性樹脂、これらの樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例示することができる。好ましい樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ変性樹脂、電離放射線硬化性樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、ジオール成分および酸成分が一種類以上の脂環族化合物を有する脂環族ポリエステル樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましく、特開平11−151867号に記載された芳香族ポリカーボネート樹脂が特に好ましい。
本発明に使用されるエポキシ変性樹脂としては、エポキシ変性ウレタン、エポキシ変性ポリエチレン、エポキシ変性ポリエチレンテレフタレート、エポキシ変性ポリフェニルサルファイト、エポキシ変性セルロース、エポキシ変性ポリプロピレン、エポキシ変性ポリ塩化ビニル、エポキシ変性ポリカーボネート、エポキシ変性アクリル、エポキシ変性ポリスチレン、エポキシ変性ポリメチルメタクリレート、エポキシ変性シリコーン、エポキシ変性ポリスチレンとエポキシ変性ポリメチルメタクリレートの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性ポリスチレンの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性シリコーンの共重合体が挙げられ、好ましくはエポキシ変性アクリル、エポキシ変性ポリスチレン、エポキシ変性ポリメチルメタクリレート、エポキシ変性シリコーンであり、更に好ましくはエポキシ変性ポリスチレンとエポキシ変性ポリメチルメタクリレートの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性ポリスチレンの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性シリコーンの共重合体である。
〈電離放射線硬化性樹脂〉
熱転写性保護層として電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。熱転写性保護層に含有することにより、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れている。電離放射線硬化性樹脂としては公知のものを使用することができ、例えば、ラジカル重合性のポリマーまたはオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させ、必要に応じて光重合開始剤を添加し、電子線や紫外線によって重合架橋させたものを使用することができる。
〈紫外線遮断性樹脂〉
紫外線遮断性樹脂を含有する保護層は、印画物に耐光性を付与することを主目的とする。紫外線遮断性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂または上記の電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。より具体的には、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系のような従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基等)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものを例示することができる。
上記のごとき単層構造の熱転写性保護層または多層構造の熱転写性保護層中に設けられた主保護層は、保護層形成用樹脂の種類にもよるが、通常は0.5〜10μm程度の厚さに形成する。
本発明の熱転写性の保護層は、基材シート上に非転写性の離型層を介して設けることが好ましい。
非転写性離型層は、基材シートと非転写性離型層との間の接着力を、非転写性離型層と熱転写性保護層との間に接着力よりも常に充分高くし、且つ、熱を印加する前の非転写性離型層と熱転写性保護層との間の接着力が、熱印加後のそれに対し高くなるようにする目的で、(1)樹脂バインダーと共に、平均粒子径が40nm以下の無機微粒子を30〜80質量%含有しているか、(2)アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物を合計20質量%以上の割合で含有しているか、或いは(3)アイオノマーを20質量%以上の割合で含有している、ことが好ましい。非転写性離型層には、必要に応じて他の添加物が含有されていてもよい。
無機微粒子としては、例えば、無水シリカ、コロイダルシリカ等のシリカ微粒子や、酸化錫、酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛等の金属酸化物を使用することが出来る。無機微粒子の粒子径は、40nm以下とすることが好ましい。40nmを越えると、離型層表面の凹凸に起因して熱転写性保護層の表面の凹凸も大きくなり、その結果保護層の透明性が低下してしまい好ましくない。
無機微粒子と混合する樹脂バインダーは特に制限されず、混合可能なあらゆる樹脂を用いることが出来る。例えば、各種ケン化度のポリビニルアルコール樹脂(PVA);ポリビニルアセタール樹脂;ポリビニルブチラール樹脂;アクリル系樹脂;ポリアミド系樹脂;酢酸セルロース、アルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。
無機微粒子と樹脂バインダーを主体とする他の配合成分との配合比(無機微粒子/他の配合成分)は、質量比で30/70以上、80/20以下の範囲とすることが好ましい。配合比が30/70未満になると、無機微粒子の効果が不十分となり、一方80/20を越えると離型層が完全な膜とならず、基材シートと保護層が直接触れる部分が生じてしまう。
アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体またはその誘導体としては、例えば、アルキルビニルエーテル部分のアルキル基がメチル基或いはエチル基であるもの、無水マレイン酸部分が部分的にまたは完全にアルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等)とのハーフエステルとなったものを用いることができる。
離型層は、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物だけで形成しても良いが、離型層と保護層の間の剥離力を調整する目的で、他の樹脂または微粒子をさらに加えても良い。その場合、離型層には、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物が20質量%以上含有されているのが望ましい。含有量が20質量%未満になると、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体またはその誘導体の効果が十分に得られなくなる。
アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体またはその誘導体に配合される樹脂または微粒子としては、混合可能で、被膜形成時に高い膜透明性が得られるもので有れば特に限定されず、あらゆる材料を用いることが出来る。例えば、前述の無機微粒子及び無機微粒子と混合可能な樹脂バインダーは好ましく用いられる。
アイオノマーとしては、例えば、サーリンA(デュポン社製)や、ケミパールSシリーズ(三井石油化学社製)等を使用することができる。また、アイオノマーには、例えば、前述の無機微粒子、無機微粒子と混合可能な樹脂バインダー、或いはその他の樹脂や微粒子をさらに加えることが出来る。
非転写性離型層を形成するには、上記(1)〜(3)のいずれかの成分を所定の配合割合で含有する塗布液を調製し、かかる塗布液を、グラビアコート法、グラビアリバースコート法のような公知の技術で基材シート上に塗布し、塗布層を乾燥させる。非転写性離型層の厚みは、通常、乾燥後の厚みで0.1〜2μm程度とする。
非転写性離型層を介して、あるいは介さずに基材シート上に積層される熱転写性保護層は、多層構造をとっていてもよいし、単層構造をとっていてもよい。多層構造をとる場合には、画像に各種の耐久性を付与するための主体となる主保護層の他、熱転写性保護層と印画物の受像面との接着性を高めるために、熱転写性保護層の最表面に配置される接着層や、補助的な保護層や、保護層本来の機能以外の機能を付加するための層(例えば偽造防止層、ホログラム層等)が設けられてもよい。主保護層とその他の層の順序は任意であるが、通常は、転写後に主保護層が受像面の最表面となるように、接着層と主保護層との間に他の層を配置する。
(接着層)
熱転写性保護層の最表面には接着層が形成されていても良い。接着層は、例えばアクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のような加熱時接着性の良好な樹脂で形成することができる。また、上記樹脂に加え、上述した電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂などを必要に応じて混合してもよい。接着層の厚さは、通常0.1〜5μmとする。
非転写性離型層上あるいは基材シート上に熱転写性保護層を形成するには、例えば、保護層形成用樹脂を含有する保護層用塗布液、熱接着性樹脂を含有する接着層用塗布液、その他必要に応じて付加される層を形成するための塗布液をあらかじめ調製し、それらを所定の順序で非転写性離型層上あるいは基材シート上に塗布し、乾燥させる。各塗布液は従来公知の方法で塗布すればよい。また、各層の間には適切なプライマー層を設けても良い。
(その他)
〈紫外線吸収剤〉
熱転写性保護層の少なくとも1層に、紫外線吸収剤が含有されていることが好ましいが、透明樹脂層に含有させた場合、保護層転写後は透明樹脂層が印画物の最表面に存在するため、長期間の間に環境などの影響を受け経時的にその効果が低下することから、特に好ましくは、感熱接着剤層に含有させる。
紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤があげられ、例えば具体的にはTinuvin P、Tinuvin 234、Tinuvin 320、Tinuvin 326、Tinuvin 327、Tinuvin 328、Tinuvin 312、Tinuvin 315(以上、チバガイギー社製)、Sumisorb−110、Sumisorb−130、Sumisorb−140、Sumisorb−200、Sumisorb−250、Sumisorb−300、Sumisorb−320、Sumisorb−340、Sumisorb−350、Sumisorb−400(以上、住友化学工業(株)製)、Mark LA−32、Mark LA−36、Mark 1413(以上、アデカアーガス化学(株)製)等の商品名で市場から入手でき、いずれも本発明で使用することが出来る。
また、反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとがランダム共重合したTg60℃以上、好ましくは80℃以上のランダム共重合体を用いることも出来る。
上記の反応性紫外線吸収剤は、従来公知のサリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系等の非反応性紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基等の付加重合性二重結合、或いは、アルコール系水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入したものを使用することができる。具体的には、UVA635L、UVA633L(以上、BASFジャパン(株)製)、PUVA−30M(大塚化学(株)製)等の商品名で市場から入手でき、何れも本発明で使用することが出来る。
以上のような反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとのランダム共重合体における反応性紫外線吸収剤の量は10〜90質量%、好ましくは30〜70質量%の範囲である。また、このようなランダム共重合体の分子量は5000〜250000程度、好ましくは9000〜30000程度とすることが出来る。上述した紫外線吸収剤、及び、反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとのランダム共重合体は、各々単独で含有させても良いし、両方を含有させても良い。反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとのランダム共重合体の添加量は、含有させる層に対し5〜50質量%の範囲で含有させることが好ましい。
〈耐光化剤〉
もちろん紫外線吸収剤以外にも他の耐光化剤を含有させても良い。ここで耐光化剤とは、光エネルギー、熱エネルギー、酸化作用など、色素を変質あるいは分解する作用を吸収または遮断して色素の変質や分解を防止する薬剤であり、具体的には上述した紫外線防止剤の他、従来合成樹脂の添加剤などとして知られている光安定剤等が挙げられる。その場合も、熱転写性保護層の少なくとも1層、即ち前記剥離層、透明樹脂層、感熱接着層のうち少なくとも1層に含有させてよいが、特に好ましくは、感熱接着剤層に含有させる。
〈酸化防止剤〉
酸化防止剤としてはフェノール系、モノフェノール系、ビスフェノール系、アミン系等の一次酸化防止剤、或いは硫黄系、リン系等の二次酸化防止剤があげられる。また、光安定剤としてはヒンダードアミン系等が挙げられる。
上記の紫外線吸収剤を含む、耐光化剤の使用量は特に限定されないが、好ましくは含有させる層を形成する樹脂100質量部当たり0.05〜10質量部、好ましくは3〜10質量部の割合で使用する。使用量が少なすぎると耐光化剤としての効果が得難く、一方多すぎては不経済である。
また、上記の耐光化剤の他にも、例えば、蛍光増白剤、充填剤等の各種の添加剤も同時に接着剤層に適当な量で添加することができる。
保護層転写シートの透明樹脂層は、基材シート上に単独で設けても良いし、熱転写インクシートのインク層と面順次に設けても良い。
(耐熱滑性層)
本発明に係る熱転写インクシートにおいて、インク層とは基材シートを挟んで反対側の面に耐熱滑性層を設けることが好ましい。
耐熱滑性層は、サーマルヘッド等の加熱デバイスと基材シートとの熱融着を防止し、走行を滑らかに行うとともに、サーマルヘッドの付着物を除去する目的で設けられる。
この耐熱滑性層に用いる樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、アクリロニトリルースチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン変性またはフッ素変性ウレタン等の天然または合成樹脂の単体または混合物が用いられる。耐熱滑性層の耐熱性をより高めるために、上記の樹脂のうち、水酸基系の反応性基を有している樹脂を使用し、架橋剤としてポリイソシアネート等を併用して、架橋樹脂層とすることが好ましい。
更に、サーマルヘッドとの摺動性を付与するために、耐熱滑性層に固形あるいは液状の離型剤または滑剤を加えて耐熱滑性をもたせてもよい。離型剤または滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の各種ワックス類、高級脂肪族アルコール、オルガノポリシロキサン、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、金属石鹸、有機カルボン酸及びその誘導体、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、タルク、シリカ等の無機化合物の微粒子等を用いることができる。耐熱滑性層に含有される滑剤の量は5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%程度である。このような耐熱滑性層の厚みは0.1〜10μm程度、好ましくは0.3〜5μm程度とすることができる。
次いで、熱転写画像記録材料を用いた本発明の画像形成方法について説明する。
本発明に係る熱転写インクシートの構成について説明する。
熱転写性の保護層、或いは後加熱処理領域が熱転写インクシートのインク層と面順次に供給される場合の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図2は、本発明に係る熱転写インクシートの一例を示す斜視図である。
図2のa)は、本発明に係る熱転写インクシートの1面順次に供給される形態の一例を示す斜視図である。図2のa)において、熱転写インクシート11には、支持体12の同一平面上に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)各色素に対応したインク層13Y、13M、13Cが形成されており、このインク層とは別の領域には、剥離可能な転写性保護層14が面順次に設けられている。また、支持体12の他の面にはバック層(耐熱滑性層)15を備えている。
一方、図2のb)は、転写性保護層14が、熱転写インクシート11のインク層13Y、13M、13Cが設けられた支持体12とは異なる支持体12′上に設けられている形態の一例を示す斜視図であり、本発明において好ましい形態の1つである。
図2のa)、b)においては、各々のインク層、あるいは転写性保護層14の間に僅かな隙間を持っているが、熱転写記録装置の制御方法に併せて適宜隙間を調整しても良い。また、各インク層の頭出しの精度を高めるため、検知マークを熱転写シートに設けることが好ましく、設け方については、特に限定されることはない。基材シートの同一平面上にインク層と転写性画像保護層ユニット、あるいは後加熱処理を行う領域を設けたものを示したが、もちろん、別個の支持体上にそれぞれの層を設けても良いことは言うまでもない。なお、各インク層に反応型の色素を用いた場合、インク層に含有されている色素自身は反応前の化合物であり厳密にいえばY、M、C色素とは言えないが、Y、M、C画像を最終的に形成する為の層という意味で、便宜上同様に表現する
本発明の画像形成方法で用いられる熱転写記録装置として、例えば、図3に示すような熱転写記録装置を用いることができる。図3において、21は熱転写シートの供給ロール、11は熱転写インクシート、22は使用された熱転写インクシート11を巻き取る巻取ロール、23はサーマルヘッド、24はプラテンローラ、25はサーマルヘッド23とプラテンローラ24との間に挿入された熱転写受像シートである。
図3に示す熱転写記録装置を用い、例えば、図2のa)に示す熱転写インクシートを用いて画像を形成する場合のプロセスについて説明する。まず、熱転写インクシートの図2のa)のイエロー色素を含有するインク層13Yと熱転写受像シート25の色素受容層とを重ね合わせ、サーマルヘッド23の熱印加によりインク層13Y中のイエロー色素を画像データに従って受像シートに移行させてイエロー画像を形成し、次いで、このイエロー画像の上に、マゼンタ色素を含有するインク層13Mから、同様にしてマゼンタ色素を画像様に移行させ、次いでこの転写画像の上にシアン色素を含有するインク層13Cから同様にしてシアン色素を画像様に移行させ、最後に、この画像の全面に転写性の保護層を含む転写性保護層ユニット14を熱転写シートより熱転写して画像の形成を完了する。
本発明に用いられる熱転写記録装置において、光沢調とマット調の制御を同一装置内で選択可能にすると、1機種で所望の表面性の印画物が得られるため好ましい。選択の方法は特に限定されない。例えば、熱転写記録装置内に本発明の光沢調とマット調に対応する制御データを保持しておき、オペレータの簡単な操作で選択された制御データを読み出して、そのデータに従い制御部をコントロールしてもよいし、記録装置にパソコンが接続されている場合は、パソコン側に制御データを保持しておき、オペレータの簡単な操作で選択された制御データを記録装置に送りだしても良い。また、熱ローラーにて加熱をする場合には、表面を変質させる材料、たとえば光沢を出すような離型シート、マット調にするための凹凸のあるシートを画像記録後の受像層表面にあてがって、シート裏面より熱ローラーにて加熱を行うことで、表面の異なった記録体を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《熱転写受像シートの作製》
〔熱転写受像シート1の作製〕
下記の内容に従って、熱転写受像シート1を作製した。
(支持体1の作製)
熱転写受像シートの支持体として、コート紙(米坪量157g/m2 OKトップコートS 王子製紙社製)を用い、その一方の面にコロナ放電処理を施した後、その面に裏面樹脂層として、エチレン−αオレフィン共重合体(タフマーA−4085 三井石油化学工業社製)を15質量%ブレンドした高密度ポリエチレン(ジェイレックスLZ0139−2、密度0.952、日本ポリオレフィン(株)製 以下、これをHDPEと略す)と、ポリプロピレン(ジェイアロマーLR711−5、密度0.905、日本ポリオレフィン社製 以下、これをPPと略す)とを公知の多層Tダイによる共押し出しコート法でHDPE側がコート紙面に接するように2層共押し出しして積層した。また、外側になるPP面には、コロナ放電処理を施した後、下記の組成からなる裏面層塗布液1を、乾燥固形分量が1.5g/m2となるように塗布、乾燥して、支持体1を作製した。なお、裏面樹脂層の厚さは、エチレン−αオレフィン共重合体ブレンドのHDPE層が14μm、PP層が19μm、合計33μmとなるように加工した。
〈裏面層塗布液1の調製〉
アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製 BR−85) 19.8質量部
ナイロンフィラー(神東塗料(株)製MW−330) 0.6質量部
メチルエチルケトン 39.8質量部
トルエン 39.8質量部
(熱転写受像シートの作製)
一方、微細空隙を有する樹脂層として、厚さ35μmの発泡ポリプロピレンシート(35MW846 Mobil Plastics Europe社製)を用い、その一方の面に、下記の組成からなる中間層用塗布液と色素受容層用塗布液とを、グラビアリバースコート法により、各々乾燥時の塗布膜厚が1μmと3μmとになるように、順次塗布、乾燥して、中間層と色素受容層とが積層された発泡ポリプロピレンシートを作製した。
次に、上記発泡ポリプロピレンシートの中間層及び色素受容層を設けていない側の面(発泡ポリプロピレンシート面)と、前記支持体1の裏面樹脂層を設けていない側の面(コート紙面)とを下記組成の接着剤を用いてドライラミネート法で貼り合わせて、熱転写受像シート1を作製した。
〈中間層塗布液の調製〉
ウレタン系樹脂(ニッポラン5199、日本ポリウレタン社製) 5.7質量部
酸化チタン(TCA888、トーケム・プロダクツ社製) 11.4質量部
蛍光増白剤(ユビテックスOB、日本チバガイギー社製) 0.2質量部
イソシアネート(タケネートA−14、武田薬品工業社製) 2.0質量部
メチルエチルケトン 15.5質量部
トルエン 15.5質量部
イソプロピルアルコール 7.7質量部
〈色素受容層塗布液の調製〉
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(デンカビニル#1000A 電気化学工業社製)
7.2質量部
塩化ビニル−スチレン−アクリル共重合体(デンカラック#400 電気化学工業社製) 1.6質量部
ポリエステル(バイロン600 東洋紡績社製) 11.2質量部
金属イオン含有化合物(例示化合物13:乾燥処理方法1) 8.0質量部
ビニル変性シリコーン(X−62−1212 信越化学工業社製) 2.0質量部
触媒:CAT PLR−5(信越化学工業社製) 1.0質量部
触媒:CAT PL−50T(信越化学工業社製) 1.2質量部
溶剤:メチルエチルケトン 39.0質量部
溶剤:トルエン 39.0質量部
〔熱転写受像シート2〜15の作製〕
上記熱転写受像シート1の作製において、色素受容層塗布液の調製時に、金属イオン含有化合物の種類及び乾燥処理条件を表1に変更した以外は同様にして、熱転写受像シート2〜15を作製した。
なお、表1に記載の金属イオン含有化合物の各乾燥処理方法の詳細は、以下の通りである。
乾燥処理方法1:製造した金属イオン含有化合物(乾燥時間:室温で1時間)をそのまま使用し、乾燥処理は行わなかった
乾燥処理方法2:金属イオン含有化合物の製造時の乾燥時間を2倍にした
乾燥処理方法3:金属イオン含有化合物を製造した後、更に35℃、80%RHの環境下で24時間調湿した
乾燥処理方法4:金属イオン含有化合物を製造した後、更に70℃で10分間の加熱処理を施した
乾燥処理方法5:金属イオン含有化合物を製造した後、更に120℃で3分間の加熱処理を施した
(金属イオン含有化合物の水分量、メタノール量の測定)
上記方法で調製した各金属イオン含有化合物に含まれる水分量は、カールフィッシャー法により測定し、測定には、水分量測定装置AQS−724(平沼産業(株)製)を使用した。
また、分子量が80未満のアルコールであるメタノールは、属イオン含有化合物7gを10mlバイアルビンに入れて密栓し、170℃で20分間加温したのちヘッドスペースガスクロマトグラフィーにて定量を行った。
〈ヘッドスペースガスクロマトグラフィー装置〉
HP5890 ガスクロマトグラフィー (ヒューレットパッカード社製)
HP7694 ヘッドスペースサンプラー(ヒューレットパッカード社製)
DB−WAX カラム (J&Wサイエンティフィック社製)
長さ 30m 内径 0.53mm
《熱転写インクシート1の作製》
[バックコート層付の支持体2の作製]
厚さ4.5μmの易接層付きポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製ルミラー)の一方の面に、下記の組成かならるバックコート層塗布液1を、グラビア塗布方式で塗布、乾燥した後、加熱硬化処理を行い、乾燥膜厚1.0μmのバックコート層を有する支持体2を作製した。
〔バックコート層塗布液1の調製〕
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製 エスレックBX−1) 3.5部
リン酸エステル系界面活性剤(第一工業製薬社製 プライサーフA208S)
3.0部
リン酸エステル系界面活性剤(東邦化学社製 フォスファノールRD720)
0.3部
ポリイソシアネート(大日本インキ化学工業社製、バーノックD750−45)
19.0部
タルク(日本タルク社製 Y/X=0.03) 0.2部
メチルエチルケトン 35.0部
トルエン 35.0部
[インク層、保護転写層の形成]
上記作製したバックコート層付の支持体2のバックコート面とは反対側の面に、下記組成からなるイエロー色素塗布液1、マゼンタ色素塗布液1、シアン色素塗布液1を用いて形成した各色素層(乾燥膜厚が1μm)と、多層構成保護転写層(非転写性離型層/保護層/接着層の3層構成)とをグラビア法により、図2のa)に記載の様に面順次に設けて、熱転写インクシート1を作製した。
〔各色素層〕
〈イエロー色素塗布液1〉
ポストキレート色素(Y−1) 4.5質量部
ポリビニルアセトアセタール樹脂(積水化学社製、エスレックKS−5)
5.0質量部
ウレタン変性シリコーン樹脂(大日精化社製、ダイアロマーSP−2105)
0.5質量部
メチルエチルケトン 45.0質量部
トルエン 45.0質量部
〈マゼンタ色素塗布液1〉
ポストキレート色素(M−1) 4.0質量部
ポリビニルアセトアセタール樹脂(積水化学社製、エスレックKS−5)
5.5質量部
ウレタン変性シリコーン樹脂(大日精化社製、ダイアロマーSP−2105)
0.5質量部
メチルエチルケトン 45.0質量部
トルエン 45.0質量部
〈シアン色素塗布液〉
ポストキレート色素(C−1) 4.0質量部
ポリビニルアセトアセタール樹脂(積水化学社製、エスレックKS−5)
5.5質量部
ウレタン変性シリコーン樹脂(大日精化社製、ダイアロマーSP−2105)
0.5質量部
メチルエチルケトン 45.0質量部
トルエン 45.0質量部
Figure 2005313358
〔多層構成保護転写層〕
(非転写性離型層)
下記の組成からなる非転写性離型層塗布液1をグラビアコート法により、乾燥後固形分量が0.5g/m2となるように塗布、乾燥して、非転写性離型層を形成した。
〈非転写性離型層塗布液1〉
コロイダルシリカ(日産化学(株)製スノーテックス50) 1.5質量部
ポリビニルアルコール 4.0質量部
イオン交換水 3.0質量部
変性エタノール 10質量部
(保護転写層)
上記形成した非転写性離型層上に、下記の組成からなる保護転写層塗布液1をグラビアコート法により、乾燥後固形分量が2.0g/m2となるように塗布、乾燥して、保護転写層を形成した。
アクリル樹脂 35質量部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 15質量部
ポリエチレンワックス _ 0.3質量部
ポリエステル樹脂 0.1質量部
メチルエチルケトン 40質量部
トルエン 40質量部
アンチモン酸亜鉛(日産化学(株)製セルナックス) 20質量部
(接着層)
上記形成した保護転写層上に、下記の組成からなる接着層塗布液1を、グラビアコート法により、乾燥後固形分量が2.0g/m2となるように塗布、乾燥して、接着層層を形成した。
〈接着層塗布液1〉
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20質量部
メチルエチルケトン 100質量部
トルエン 100質量部
以上により、非転写性の離型層上に、保護転写層と接着層の積層体である保護転写層を剥離可能に備えた多層構成保護転写層を作製した。
《画像形成》
上記作製した熱転写インクシート1及び熱転写受像シート1〜15を使用し、昇華熱転写プリンター(コニカミノルタフォトイメージング社製 RC−602型)を用いて、15階調ごと順次増加される階調値にて、イエロー、マゼンタ、シアン、ニュートラル(イエロー、マゼンタ、シアンの3色重ね)の各ステップパターンを転写させて、引き続いて、画像上に透明保護層を転写させて画像1〜15を作製した。
《形成画像》
〔耐光性の評価〕
上記作成した各画像について、シアンの反射濃度が1.0近傍のステップの濃度(D1)をGretagMachbeth社製の反射濃度計を用いて測定した後、キセノンアーク耐光性試験機(アトラスCi35A−UVウェザーメーター、アトラス社製)で、キセノンアーク照射(積算照射量=500KJ/m2、放射照度=0.35W/m2、ブラックパネル温度=64℃、乾球湿度=43℃、相対湿度=25%)を行い、同ステップの反射濃度(D2)を、Gretag Machbeth社製の反射濃度計(同上)を用いて測定し、下式により色素残存率を求め、これを耐光性の尺度とした。
色素残存率(%)=〔曝露後の反射濃度(D2)/未曝露の反射濃度(D1)〕×100
以上により得られた耐光性の結果を、表1に示す。
Figure 2005313358
表1に記載の結果より明らかなように、水及び分子量が80未満のアルコールの総含有量が8.0質量%未満である金属イオン含有化合物を用いて製造した熱転写受像シートにより形成した本発明の画像は、比較例に対し耐光性に優れていることが分かる。
本発明に係る熱転写記録材料を構成する熱転写インクシートと熱転写受像シートの構成の一例を示す断面図である。 本発明に係る熱転写インクシートの一例を示す斜視図である。 本発明の画像形成方法で用いられる熱転写記録装置の一例を示す模式図である。
符号の説明
1、11 熱転写インクシート
2、6、 基材シート
3、13Y、13M、13C インク層
4 耐熱滑性層
5、25 熱転写受像シート
7 色素受容層
14 転写性保護層
15 バック層(耐熱滑性層)
21 熱転写インクシートの供給ロール
22 使用された熱転写インクシートを巻き取る巻取ロール
23 サーマルヘッド
24 プラテンローラ

Claims (6)

  1. 記録信号に応じて加熱することにより、金属イオン含有化合物と、該金属イオン含有化合物とキレート錯体を形成することができる熱拡散性色素との反応によりキレート色素を形成して画像形成する熱転写型画像記録材料の製造方法において、該金属イオン含有化合物が下記一般式〔I〕で表される化合物であって、該熱転写型画像記録材料の製造工程で用いる該金属イオン含有化合物の水及び分子量が80未満のアルコールの総含有量が8.0質量%未満であることを特徴とする熱転写型画像記録材料の製造方法。
    一般式〔I〕
    2+(X-2
    〔式中、M2+は2価の遷移金属イオンを表す。Xは2価の遷移金属イオンと錯体を形成することができる下記一般式〔II〕で表される配位化合物を表す。〕
    Figure 2005313358
    〔式中、Zはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ハロゲン原子または水素原子を表す。RおよびR′は各々アルキル基またはアリール基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよく、RとZまたはR′とZが結合して環を形成してもよいが、Zが水素原子のとき、RおよびR′が共にメチル基であることはない。〕
  2. 前記金属イオン含有化合物の水及び分子量が80未満のアルコールの総含有量が、5.0質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写型画像記録材料の製造方法。
  3. 前記金属イオン含有化合物の水及び分子量が80未満のアルコールの総含有量が、3.0質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写型画像記録材料の製造方法。
  4. 前記金属イオン含有化合物の水及び分子量が80未満のアルコールの総含有量を、該金属イオン含有化合物を60℃以上、200℃未満の温度で加熱して制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱転写型画像記録材料の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱転写型画像記録材料の製造方法により製造されたことを特徴とする熱転写型画像記録材料。
  6. 請求項5に記載の熱転写型画像記録材料を用いて、記録信号に応じて加熱することにより、金属イオン含有化合物とキレート可能な色素との反応によりキレート色素を形成して画像形成することを特徴とする画像形成方法。
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