JP2005313356A - 熱転写受像シート及びそれを用いた画像形成方法 - Google Patents

熱転写受像シート及びそれを用いた画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 長期間にわたり保管された熱転写受像シートを用いて印画したプリントでも、十分な画像濃度が得られ、かつ厳しい条件下で保存した際にも、十分な耐光性が得られる熱転写受像シート及びそれを用いた画像形成方法を提供する。
【解決手段】 基材シート上に、熱拡散性色素の受容が可能で、かつ金属イオン含有化合物を含有する色素受容層を有する熱転写受像シートにおいて、該色素受容層がソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシレンエチレン基を有するソルビタン脂肪酸エステル、下記一般式〔1〕で表される化合物、及び下記一般式〔2〕で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする熱転写受像シート。
一般式〔1〕 HO−(CH2CH2O)n−(CH2CH(CH3)O)m−H
一般式〔2〕 HO−(W−O)p−H
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規の熱転写受像シート及びそれを用いた画像形成方法に関する。
従来、カラー又はモノクロの画像の形成技術として、加熱により拡散移行する性質を有する熱拡散性色素を含有するインクシートを、受像シートの受像層と対向させて、サーマルヘッドやレーザー等の加熱印字手段を用いて、該受像層に該熱拡散性色素を画像様に転写して画像を形成(いわゆる色素熱転写方式)する技術が知られている。このような感熱転写方式は、デジタルデータを用いての画像形成を可能とし、現像液等の処理液を使わず、しかも銀塩写真に匹敵する高画質を形成できる方法として定評がある。
しかしながら、得られる画像の保存性や耐久性に関しては、銀塩写真に比較して弱いという欠点を有している。具体的には、以下の事項を挙げることができる。
1)長期間の保存において、光や熱、空気中の酸素、水分等により、画像の退色や滲みが生じる(耐光性、耐熱性)
2)アルバムやクリアファイル、プラスチック消しゴム等の色素染着性の高いものや、可塑剤を含んだ材料と接触させた場合、長期間の保存の間に色素がそれらへ逆転写したり、画像が滲んだりする(耐可塑剤性)
3)水、ジュース、酒、コーヒー等を形成した画像上にこぼした場合、それを拭き取る際、同時に色素も拭き取られ変色する(耐水性、耐溶剤性)
4)指で触ったところが皮脂により変色する(耐皮脂性)
5)消しゴムで擦ると画像がとれる(耐擦過性)
6)市販されているラミネート材による加工、特に低温で加工が可能なコールドラミネート材により加工を施した場合、長期間の保存の間にラミネート材に色素が拡散し画像が滲む(ラミネート適性)
等の問題があった。
これは、銀塩写真で用いている色素では、高沸点溶媒や紫外線吸収剤などによりプロテクトされているのに対し、感熱転写記録材料で用いられる色素は、主にバインダー中に分散されている状態であり、直接外部からの影響を受けやすい為と考えられる。
上記の欠点を改善する手段として、熱転写によりインク層中の化合物と受像層中の化合物とを反応させることにより画像を形成する、いわゆる反応型色素を用いた画像形成方法がいくつか提案されている。ここで、インク層側に含有させる化合物を、色素前駆体、受像層中に含有させる化合物を色素定着体と定義した場合、例えば、特開平9−327976、米国特許第4,880,769号、米国特許第5,534,479号等には、色素前駆体として脱プロトン化されたカチオン色素を、色素定着体として該カチオン色素をプロトン化し得る有機ポリマー酸又はオリゴマー酸等を用い、熱転写によりカチオン色素を再プロトン化させることにより画像を形成する方法が提案されている。また、特開平5−221151等には、色素前駆体として反応基を有する特定構造の色素を、色素定着体として活性水素化合物を用い、熱転写によりそれらを反応させることにより画像を形成する方法が提案されている。
更に、金属とキレート形成可能な熱拡散性色素と反応して、キレートを形成しうる金属イオン化合物(メタルソースともいう)を含有した熱転写受像シートが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。あるいは、金属とキレート形成しうるポストキレート型の熱拡散性色素色素を用いたポストキレート昇華画像形成方法(例えば、特許文献3〜5参照。)が開示されており、従来の昇華画像に比べ飛躍的に画像保存性を向上させたものである。
この様なポストキレート昇華画像の画像保存性は、熱転写インクシートから供給されたポストキレート色素が、色素受容層中の金属イオン化合物と結合し、このキレート率が高い程、画像保存性は良くなることが知られている。しかしながら、前記ポストキレート型の熱拡散性色素色素を用いて画像形成を行っても、従来用いられている昇華熱転写材料よりは優れた画像保存性を有するものの、厳しい条件下で保存した際に、空気中の酸素や水分が色素受容層中に浸透することに起因する影響で、キレート化された色素が酸素や水分によって分解してしまい、画像保存性が劣化してしまうということが判明し、特に、長期間に亘り保存された熱転写受像シートを使用すると、画像保存性の劣化が顕著であることが判明した。また、長期間に亘り保存された熱転写受像シートでは、十分な印画濃度が得られず、安定したプリントが実現することが難しいといった課題も抱えていることが判明した。
特開平10−129126号公報 特開平5−4460号公報 特開平5−301470号公報 特開平5−177958号公報 特開平6−312582号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、ポストキレート昇華画像技術で画像形成を行うに際し、長期間にわたり保管された熱転写受像シートを用いて印画したプリントでも、十分な画像濃度が得られ、かつ厳しい条件下で保存した際にも十分な耐光性が得られる熱転写受像シート及びそれを用いた画像形成方法を提供する。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
基材シート上に、熱拡散性色素の受容が可能で、かつ金属イオン含有化合物を含有する色素受容層を有する熱転写受像シートにおいて、該色素受容層がソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシレンエチレン基を有するソルビタン脂肪酸エステル、下記一般式〔1〕で表される化合物、及び下記一般式〔2〕で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする熱転写受像シート。
一般式〔1〕
HO−(CH2CH2O)n−(CH2CH(CH3)O)m−H
〔式中、nは100〜200の整数を表し、mは10〜50の整数を表す。〕
一般式〔2〕
HO−(W−O)p−H
〔式中、Wは−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−、又は−CH2CH2CH2CH2−を表し、pは8〜50の整数を表す。〕
(請求項2)
前記色素受容層がバインダー樹脂を含有し、前記ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシレンエチレン基を有するソルビタン脂肪酸エステル、前記一般式〔1〕で表される化合物、または前記一般式〔2〕で表される化合物と、該バインダー樹脂との質量比が、0.50:1.00〜0.04:1.00であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シート。
(請求項3)
請求項1または2に記載の熱転写受像シートと、金属とキレート形成可能な熱拡散性色素を含有する熱転写インクシートとを重ね合わせて、記録信号に応じて加熱することにより、該熱転写インクシートが含有する熱拡散性色素を、該熱転写受像シートに転写することにより画像形成することを特徴とする画像形成方法。
本発明によれば、ポストキレート昇華画像技術で画像形成を行うに際し、長期間にわたり保管された熱転写受像シートを用いて印画したプリントでも、十分な画像濃度が得られ、かつ厳しい条件下で保存した際にも、十分な耐光性が得られる熱転写受像シート及びそれを用いた画像形成方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、基材シート上に、熱拡散性色素の受容が可能で、かつ金属イオン含有化合物を含有する色素受容層を有する熱転写受像シートにおいて、該色素受容層がソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシレンエチレン基を有するソルビタン脂肪酸エステル、前記一般式〔1〕で表される化合物、及び前記一般式〔2〕で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する熱転写受像シートにより、長期間にわたり保管された後に印画したプリントでも、十分な画像濃度が得られ、かつ厳しい条件下で保存した際にも、十分な耐光性が得られる熱転写受像シートを実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明の熱転写受像シートにおいては、基材シート上に、熱拡散性色素の受容が可能で、かつ金属イオン含有化合物を含有する色素受容層が、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシレンエチレン基を有するソルビタン脂肪酸エステル、前記一般式〔1〕で表される化合物、及び前記一般式〔2〕で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする。
本発明で用いることができるソルビタン脂肪酸エステルとして、特に制限はないが、脂肪酸としてはラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等を用いることができ、具体的化合物としては、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンジステアレート等を挙げることができる。また、本発明に係るソルビタン脂肪酸エステルは、市販品としても容易に入手することができ、例えば、レオドールSP−L10、同SP−P10、同SP−S10、同SP−S30、同SP−O10、同SP−O30、同AS−10、同AO−10、同AO−15、レオドールスーパーSP−L10、同SP−S10、エマゾールL−10(F)、同P−10(F)、同S−10(F)、同O−10(F)、同O−30(F)、同O−15R、同S−20、エマゾールスーパーL−10(F)、同S−10(F)(以上、花王社製)を挙げることができる。
また、本発明で用いることができるポリオキシレンエチレン基を有するソルビタン脂肪酸エステルとして、特に制限はないが、脂肪酸としてはラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等を用いることができ、具体的化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等を挙げることができる。また、本発明に係るポリオキシレンエチレン基を有するソルビタン脂肪酸エステルは、市販品としても容易に入手することができ、例えば、レオドールTW−L120、同TW−L106、同TW−P120、同TW−S120、同TW−S106、同TW−S320、同TW−O120、同TW−O106、同TW−O320、レオドールスーパーTW−L120、同TW−S120、同TW−O120、アマゾールO−105R(以上、花王社製)を挙げることができる。
次いで、下記一般式〔1〕で表される化合物について説明する。
一般式〔1〕
HO−(CH2CH2O)n−(CH2CH(CH3)O)m−H
上記一般式〔1〕において、nは100〜200の整数を表し、mは10〜50の整数を表す。
し、以下に具体的化合物を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
1−1:HO−(CH2CH2O)150−(CH2CH(CH3)O)30−H
1−2:HO−(CH2CH2O)160−(CH2CH(CH3)O)30−H
1−3:HO−(CH2CH2O)120−(CH2CH(CH3)O)30−H
1−4:HO−(CH2CH2O)100−(CH2CH(CH3)O)10−H
1−5:HO−(CH2CH2O)100−(CH2CH(CH3)O)15−H
1−6:HO−(CH2CH2O)100−(CH2CH(CH3)O)20−H
1−7:HO−(CH2CH2O)150−(CH2CH(CH3)O)20−H
1−8:HO−(CH2CH2O)150−(CH2CH(CH3)O)40−H
1−9:HO−(CH2CH2O)200−(CH2CH(CH3)O)30−H
1−10:HO−(CH2CH2O)200−(CH2CH(CH3)O)40−H
1−11:HO−(CH2CH2O)200−(CH2CH(CH3)O)50−H
次いで、下記一般式〔2〕で表される化合物について説明する。
一般式〔2〕
HO−(W−O)p−H
上記一般式〔2〕において、Wは−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−、又は−CH2CH2CH2CH2−を表し、pは8〜50の整数を表す。
上記一般式〔2〕で表される化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等を挙げることができ、それぞれ重合度の異なる化合物があり、その一例を以下に示す。
2−1:ポリエチレングリコール#400(平均分子量400)
2−2:ポリエチレングリコール#600(平均分子量600)
2−3:ポリエチレングリコール#1000(平均分子量1000)
2−4:ポリエチレングリコール#1000(平均分子量2000)
2−5:ポリプロピレングリコール(平均分子量400)
2−6:ポリプロピレングリコール(平均分子量700)
2−7:ポリプロピレングリコール(平均分子量1000)
2−8:ポリプロピレングリコール(平均分子量2000)
2−8:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(平均分子量700)
2−9:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(平均分子量1000)
本発明の熱転写受像シートにおいて、本発明に係るソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシレンエチレン基を有するソルビタン脂肪酸エステル、前記一般式〔1〕で表される化合物、または前記一般式〔2〕で表される化合物を添加することにより、空気中の酸素や水分によるキレート化された色素の分解を抑制することができ、特に、長期間にわたり保管された熱転写受像シートを用いて形成した画像として、十分な画像濃度が得られと共に、厳しい条件下で保存した際にも画像滲みがなく、十分な耐光性を実現することができる。
上記説明した本発明に係るソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシレンエチレン基を有するソルビタン脂肪酸エステル、前記一般式〔1〕で表される化合物、または前記一般式〔2〕で表される化合物の添加量は、特に制限はないが、概ね熱転写受像シート1m2当たり0.01〜5.0gであり、好ましくは0.05〜2.0gであり、更に好ましくは0.05〜1.0gである。
また、本発明の熱転写受像シートにおいては、色素受容層がバインダー樹脂を含有し、前記ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシレンエチレン基を有するソルビタン脂肪酸エステル、前記一般式〔1〕で表される化合物、または前記一般式〔2〕で表される化合物と、該バインダー樹脂との質量比が、0.50:1.00〜0.04:1.00であることが好ましく、上記で規定した範囲とすることにより、例えば、長期間にわたり保存された後、印画しても優れた印画濃度が維持されると共に、加えてオゾンや水分による影響を受けにくくなり、優れた画像保存性(耐光性)が得られ、かつ画像滲み耐性にも優れた結果を得ることができる。
本発明の熱転写受像シートにおいては、キレート形成可能な色素と反応してキレート化合物を形成し得る金属イオン含有化合物(以下、メタルソースともいう)を含有することを特徴とする。
メタルソースとしては、金属イオンの無機または有機の塩及び金属錯体が挙げられ、中でも有機金属錯体が好ましい。金属としては、周期律表の第I〜第VIII族に属する1価及び多価の金属が挙げられるが、中でもAl、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Ni、Sn、Ti及びZnが好ましく、特にNi、Cu、Cr、Co及びZnが好ましい。
メタルソースの具体例としては、Ni2+、Cu2+、Cr2+、Co2+及びZn2+と酢酸やステアリン酸等の脂肪族の塩、または安息香酸、サルチル酸等の芳香族カルボン酸の塩等が挙げられる。下記一般式(A)で表される錯体が、色素受容層中に安定かつ添加でき、かつ実質的に無色であるので、特に好ましく用いられる。
一般式(A)
〔M(Q1X(Q2Y(Q3ZP+(L-P
上記一般式(A)において、Mは金属イオン、好ましくはNi2+、Cu2+、Cr2+、Co2+、Zn2+を表す。Q1、Q2、Q3は各々Mで表される金属イオンと配位結合可能な配位化合物を表し、互いに同じであっても異なっていてもよい。これらの配位化合物としては、例えば、キレート科学(5)(南江堂)に記載されている配位化合物から選択することができる。L-は有機アニオン基を表し、具体的にはテトラフェニル硼素アニオンやアルキルベンゼンスルホン酸アニオン等が挙げられる。Xは1、2または3の整数を表し、Yは1、2または0を表し、Zは1または0を表すが、これらは前記一般式で表される錯体が4座配位か、6座配位かによって決定されるか、あるいはQ1、Q2、Q3の配位子の数によって決定される。Pは1または2を表す。この種のメタルソースの具体例は、米国特許4,987,049号明細書に例示されたもの、または特開平10−67181号公報に例示された化合物1〜51などを挙げることができる。
メタルソースの添加量は、通常、色素受容層バインダーに対して5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。また、本発明に用いられるメタルソース化合物の添加量は、通常、0.5〜20g/m2が好ましく、1〜15g/m2がより好ましい。
本発明の画像形成方法においては、基材シートの少なくとも一方の面にインク層を有する熱転写インクシートと、本発明に係る基材シートの少なくとも一方の面に熱拡散性色素の受容が可能で、かつ金属イオン含有化合物及びソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシレンエチレン基を有するソルビタン脂肪酸エステル、前記一般式〔1〕で表される化合物、及び前記一般式〔2〕で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する色素受容層を有する熱転写記受像シートとから構成される熱転写記録材料を用いる。
図1は、本発明に係る熱転写記録材料を構成する熱転写インクシートと熱転写受像シートの構成の一例を示す断面図である。
図1のa)は、本発明に係る熱転写インクシートの代表的な構成を示す断面図であり、熱転写インクシート1は、基材シート2の一方の面にインク層3を有し、基材シート2の他方の面には、耐熱滑性層4を備えている。また、図1のb)は、本発明の熱転写受像シートの代表的な構成を示す断面図であり、熱転写受像シート5は、基材シート6の一方の面に色素受容層7を有している。
《熱転写受像シート》
次いで、本発明に係る熱転写受像シートのその他の構成要素について説明する。
(基材シート)
熱転写受像シートで用いる基材シートは、色素受容層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、過熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有することが好ましい。
このような基材の材料としては特に限定されず、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、またはサイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂またはエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネイト、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等のフィルムが挙げられ、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルムあるいは発泡させた発泡シートも使用でき、特に限定されない。
また、上記基材の任意の組み合わせによる積層体も使用できる。代表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合成紙或いはセルロース合成紙とプラスチックフィルムとの合成紙が挙げられる。これらの基材シートの厚みは任意でよく、通常10〜300μm程度である。
より高い印字感度を有すると共に、濃度ムラや白抜けのない高画質を得るためには、微細空隙を有する層を存在させることが好ましい。微細空隙を有する層としては、内部に微細空隙を有するプラスチックフィルムや合成紙を用いることが出来る。また、各種基材シートの上に、各種の塗工方式で微細空隙を有する層を形成できる。微細空隙を有するプラスチックフィルムまたは合成紙としては、ポリオレフィン、特にポリプロピレンを主体として、それに無機顔料及び/またはポリプロピレンと非相溶なポリマーをブレンドし、これらをボイド(空隙)形成開始剤として用い、これらの混合物を延伸、成膜したプラスチックフィルムまたは合成紙が好ましい。これらがポリエステル等を主体としたものの場合には、その粘弾性的あるいは熱的性質から、クッション性、及び断熱性が、ポリプロピレンを主体としたものに比較して劣るため、印字感度に劣り、濃度ムラなども生じやすい。
これらの点を考慮すると、プラスチックフィルム及び合成紙の20℃における弾性率は5×108Pa〜1×1010Paが好ましい。また、これらのプラスチックフィルムや合成紙は、通常2軸延伸により成膜されたものであるが故に、これらは加熱により収縮する。これらを110℃下で60秒放置した場合の収縮率は0.5〜2.5%である。上述のプラスチックフィルムや合成紙は、それ自体が、微細空隙を含む層の単層で合っても良いし、複数の層構成であっても良い。複数の層構成の場合には、その構成する全ての層に微細空隙を含有しても良いし、微細空隙が存在しない層が含有しても良い。このプラスチックフィルムや合成紙には、必要に応じて隠蔽剤として、白色顔料を混入させてもよい。また、白色性を増すために、蛍光増白剤等の添加剤を含有させても良い。微細空隙を有する層は、30〜80μmの厚みが好ましい。
微細空隙を有する層としては、基材の上にコーティング法によって微細空隙を有する層を形成することも可能である。使用するプラスチック樹脂としては、ポリエステル、ウレタン樹脂、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の公知の樹脂を単独或いは複数をブレンドして使用することができる。
また、必要に応じて、基材の受像層を設ける側とは反対側の面に、カール防止の目的として、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネイト等の樹脂や合成紙の層を設けることが出来る。貼り合わせ方法としては、例えば、ドライラミネーション、ノンソルベント(ホットメルト)ラミネーション、ECラミネーション法等の公知の積層方法が使用できるが、好ましい方法はドライラミネーション及びノンソルベントラミネーション法である。ノンソルベントラミネーション法に好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業(株)製のタケネート720L等が挙げられ、ドライラミネーションに好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業(株)製のタケラックA969/タケネートA−5(3/1)、昭和高分子(株)製の、ポリゾール PSA SE−1400、ビニロール PSA AV−6200シリーズ等が挙げられる。これらの接着剤の使用量としては、固形分で約1〜8g/m2、好ましくは2〜6g/m2の範囲である。
上述したような、プラスチックフィルムと合成紙、或いはそれら同士、或いは各種紙とプラスチックフィルムや合成紙、等を積層する場合、接着層により貼り合わせることができる。
上記基材シートと色素受容層との接着強度を大きくする等の目的で、基材シートの表面に各種プライマー処理やコロナ放電処理を施すのが好ましい。
(バインダー樹脂)
本発明に係る熱転写受像シートにおいては、色素受容層にバインダー樹脂を用いることが好ましく、バインダー樹脂としては公知のものを用いることができ、その中でも色素が染着しやすいものを用いることが好ましい。具体的には、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステルなどのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノキシ樹脂、エチレンやプロピレンなどのオレフィンと他のビニル系モノマーとの共重合体、ポリウレタン、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、アイオノマー、セルロース誘導体等の単体、または混合物を用いることができ、これらの中でもポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂及びセルロース誘導体が好ましい。
(離型剤)
本発明に係る色素受容層には、インク層との熱融着を防止する目的で、離型剤を添加することが好ましい。離型剤としては、燐酸エステル系可塑剤、フッ素系化合物、シリコーンオイル(反応硬化型シリコーンを含む)等を使用することができるが、この中でもシリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンをはじめ各種の変性シリコーンを用いることができる。具体的には、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン等を用い、これらをブレンドしたり、各種の反応を用いて重合させて用いることもできる。離型剤は1種でも、あるいは2種以上のものを併せて用いても良い。また、離型剤の添加量は、色素受容層形成用のバインダー樹脂100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましい。この添加量の範囲を満たさない場合は、熱転写インクシートと熱転写受像シートの色素受容層との融着もしくは印画感度低下などの問題が生じる場合がある。なお、これらの離型剤は、色素受容層に添加せず、色素受容層上に別途離型層として設けても良い。
(中間層)
また、熱転写受像シートは、基材シートと色素受容層との間に中間層を設けても良い。本発明でいう中間層は、基材シートと色素受容層との間に存在する全ての層を指し、多層構成であってもよい。中間層の機能としては、耐溶剤性能、バリア性能、接着性能、白色付与能、隠蔽性能、帯電防止機能等が挙げられるが、これらに限定されることなく、従来公知の中間層全てが適用できる。
中間層に耐溶剤性能、バリア性能を付与させるためには、水溶性樹脂を用いることが好ましい。水溶性樹脂としては、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂、でんぷん等の多糖類系樹脂、カゼイン等の蛋白質、ゼラチン、寒天、また、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル共重合体(例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製ベオパ)、酢酸ビニル(メタ)アクリル共重合体、(メタ)アクリル樹脂、スチレン(メタ)アクリル共重合体、スチレン樹脂等のビニル系樹脂、また、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のポリアミド系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン等が挙げられる。ここで言う水溶性樹脂とは、水を主体とする溶媒に、完全溶解(粒径0.01μm以下)、またはコロイダルディスパージョン(0.01〜0.1μm)、またはエマルジョン(0.1〜1μm)、またはスラリー(1μm以上)の状態になる樹脂のことである。これらの水溶性樹脂のなかで、特に好ましいのは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン等の汎用溶剤により、溶解はもとより、膨潤さえしない樹脂である。この意味で、水を主体とする溶媒に完全に溶解する樹脂が最も好ましい。特に、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂が挙げられる。
中間層に接着性能をもたせるためには、基材シートの種類やその表面処理により異なるが、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が一般的である。また、活性水素を有する熱可塑性樹脂とイソシアネート化合物のような硬化剤を併用すると良好な接着性が得られる。中間層に白色付与能をもたせるためには、蛍光増白剤を用いることができる。使用する蛍光増白剤は、従来公知のいずれの化合物でも使用でき、スチルベン系、ジスチルベン系、ベンゾオキサゾール系、スチリル−オキサゾール系、ピレン−オキサゾール系、クマリン系、アミノクマリン系、イミダゾール系、ベンゾイミダゾール系、ピラゾリン系、ジスチリル−ビフェニル系の蛍光増白剤等が挙げられる。白色度は、これら蛍光増白剤の種類と添加量で調整することができる。蛍光増白剤の添加方法としては、あらゆる方法を用いることができる。すなわち、水に溶解させて添加する方法、ボールミル、コロイドミルによって粉砕分散して添加する方法、高沸点溶媒に溶解して親水性コロイド溶液と混合し、水中油滴型分散物として添加する方法、高分子ラテックス中に含浸させて添加する方法等がある。
更に、基材シートのギラつき感や、ムラを隠蔽するために、中間層に酸化チタンを添加してもよい。更に、酸化チタンを用いることで基材シートの選択の自由度が広がる点で好ましい。酸化チタンには、ルチル型酸化チタンと、アナターゼ型酸化チタンの2種類があるが、白色度及び蛍光増白剤の効果を考慮すると、ルチル型よりも紫外部の吸収がより短波長側であるアナターゼ型酸化チタンが好ましい。中間層のバインダー樹脂が水系で、酸化チタンが分散しにくい場合には、表面に親水性処理を施した酸化チタンを用いるか、もしくは、界面活性剤、エチレングリコール等の既知の分散剤により分散することができる。酸化チタンの添加量は、樹脂固形分100質量部に対して酸化チタン固形分として10〜400質量部が好ましい。
中間層に帯電防止機能をもたせるためには、導電性無機フィラーや、ポリアニリンスルホン酸のような有機導電材等、従来公知の導電材料を中間層バインダー樹脂に合わせて適宜選択して使用することができる。このような中間層の厚みは、0.1〜10μm程度の範囲で設定することが好ましい。
《熱転写インクシート》
以下、本発明に係る熱転写インクシート(以下、熱転写シートともいう)について説明する。
(基材シート)
本発明に係る熱転写インクシートに使用される基材シートとしては、従来より熱転写インクシートの基材シートとして公知の材料を用いることができる。好ましい基材シートの具体例は、グラシン紙、コンデンサー紙、パラフィン紙などの薄紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルホン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレンの誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、アイオノマー等のプラスチックの延伸あるいは未延伸フィルムや、これらの材料を積層したものが挙げられる。この基材シートの厚さは、強度及び耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常は1〜100μm程度のものが好ましく用いられる。
また、基材シートの表面に形成する色素層との密着が乏しい場合には、その表面にプライマー処理や、コロナ処理を施すことが好ましい。
(色素層、色素)
本発明に係る熱転写インクシートを構成する色素層は、少なくとも色素とバインダー樹脂を含有する熱昇華性色材層である。本発明に係る色素層に使用される色素は、1種のみでも2種以上を併用しても良い。
以下に、本発明で用いることのできる色素について説明する。
本発明に係る熱転写インクシートで用いる色素含有領域は、色相において異なる2以上の色素含有領域とすることができ、例えば、色素含有領域がイエロー色素を含有する領域、マゼンタ色素を含有する領域、及びシアン色素を含有する領域からなり、これらの色素含有領域の次に色素不含有領域が形成された態様、色素含有領域が黒色色素を含有する色素層からなり、該領域の次に色素不含有領域が形成された態様、及び色素含有領域がイエロー色素を含有する領域、マゼンタ色素を含有する領域、シアン色素を含有する領域及び黒色色素を含有する領域からなり、これらの色素含有領域の次に色素不含有領域が形成された態様等が挙げられる。
熱昇華性色剤層に用いられる色素は、従来公知の感熱昇華転写方式の熱転写インクシートに使用される、アゾ系、アゾメチン系、メチン系、アントラキノン系、キノフタロン系、ナフトキノン系等のあらゆる色素を挙げることができ、特に制限はされない。具体的には、黄色色素として、ホロンブリリアントイエロー6GL、PTY−52、マクロレックスイエロー6G等が挙げられ、赤色色素としてMSレッドG、マクロレックスレッドバイオレットR、セレスレッド7B、サマロンレッドHBSL、SKルビンSEGL等が挙げられ、さらに、青色色素として、カヤセットブルー714、ワクソリンブルーAP−FW、ホロンブリリアントブルーS−R、MSブルー100、ダイトーブルーNo.1等が挙げられる。
また、キレート形成可能な熱拡散性色素としては、熱転写が可能であれば特に制限はなく、公知の各種の化合物を適宜に選定して使用することができ、例えば、特開昭59−78893号公報、同59−109349号公報、特開平4−94974号公報、同4−97894号公報、特許第2856225号明細書に記載されているシアン色素、マゼンタ色素、イエロー色素などを使用することができる。
例えば、キレートシアン色素としては、下記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2005313356
上記一般式(1)において、R11及びR12は各々置換または無置換の脂肪族基を表し、R11及びR12は同じでも異なっていてもよい。脂肪族基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基などを挙げることができ、これらのアルキル基を置換しうる基としては、直鎖あるいは分岐のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、及び1−ヘキシルノニル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、及びアダマンチル基等)、及びアルケニル基(例えば、2−プロピレン基、オレイル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、オルト−トリル基、オルト−アニシル基、1−ナフチル基、9−アントラニル基等)、複素環基(例えば、2−テトラヒドロフリル基、2−チオフェニル基、4−イミダゾリル基、2−ピリジル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボニル基(例えば、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ピバロイル基等のアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、ペンタフルオロベンゾイル基、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイル基等のアリールカルボニル基等)、オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、n−ドデシルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基、及び2−ピリジルオキシカルボニル基、1−フェニルピラゾリル−5−オキシカルボニル基などの複素環オキシカルボニル基等)、カルバモイル基(例えば、ジメチルカルバモイル基、4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミノカルボニル基等のアルキルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、1−ナフチルカルバモイル基等のアリールカルバモイル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、2−エトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ基、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ基等)、複素環オキシ基(例えば、4−ピリジルオキシ基、2−ヘキサヒドロピラニルオキシ基等)、カルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等のアリールオキシ基等)、ウレタン基(例えば、N,N−ジメチルウレタン基等のアルキルウレタン基、N−フェニルウレタン基、N−(p−シアノフェニル)ウレタン基等のアリールウレタン基等)、スルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、n−ドデカンスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基等)、アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基等のアルキルアミノ基、アニリノ基、p−t−オクチルアニリノ基等のアリールアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、ヘプタフルオロプロパンスルホニルアミノ基、n−ヘキサデシルスルホニルアミノ基等のアルキルスルホニルアミノ基、p−トルエンスルホニルアミノ基、ペンタフルオロベンゼンスルホニルアミノ等のアリールスルホニルアミノ基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジメチルスルファモイルアミノ基等のアルキルスルファモイルアミノ基、N−フェニルスルファモイルアミノ基等のアリールスルファモイルアミノ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ミリストイルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等アリールカルボニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、N,N−ジメチルアミノウレイド基等のアルキルウレイド基、N−フェニルウレイド基、N−(p−シアノフェニル)ウレイド基等のアリールウレイド基等)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等のアルキルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等のアリールスルホニル基等)、スルファモイル基(例えば、ジメチルスルファモイル基、4−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチルアミノスルホニル基等のアルキルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基等のアリールスルファモイル基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、t−オクチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−チオ基、5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−チオ基等)等が挙げられる。
シクロアルキル基、アルケニル基の例としては、上記置換基と同様である。また、アルキニル基の例としては、1−プロピン、2−ブチン、1−ヘキシン等が挙げられる。
11、R12として、非芳香族性の環状構造(例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環等)を形成する基も好ましい。
13は上記置換基の中でもアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基が好ましい。nは0〜4の整数を表し、nが2以上の場合、複数のR13は同じでも異なっていてもよい。
14はアルキル基であり、その例としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、及び1−ヘキシルノニル基等が挙げられる。R14は好ましくは2級または3級アルキル基であり、好ましい2級または3級のアルキル基の例としてはイソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R14として最も好ましい置換基はイソプロピル基、tert−ブチル基である。R14のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており。その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
15はアルキル基であり、その例としては、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−ドデシル基、1−ヘキシルノニル基等が挙げられる。R15は好ましくは2級または3級アルキル基であり、好ましい2級または3級のアルキル基の例としてはイソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R15として最も好ましい置換基はイソプロピル基、tert−ブチル基である。R15のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており。その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
16はアルキル基を表し、その例としてはn−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ヘプチル基などが挙げられる。R16として特に好ましい置換基は、炭素数3以上の直鎖のアルキル基であり、その例としてはn−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基であり、最も好ましくはn−プロピル基、n−ブチル基である。なお、R16のアルキル基は、置換されていても良いが、すべて炭素原子と水素原子からなる置換基で置換されており、その他の原子を含む置換基で置換されるものではない。
また、キレートイエロー色素としては、下記一般式(2)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2005313356
上記一般式(2)において、R1及びR2で表される各々の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(炭素数1〜12のアルキル基で、酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはカルボニル基で連結する置換基が置換するか、またはアリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、シアノ基もしくはハロゲン原子が置換していてもよい。例えば、メチル、イソプロピル、t−ブチル、トリフルオロメチル、メトキシメチル、2−メタンスルホニルエチル、2−メタンスルホンアミドエチル、シクロヘキシル等の各基)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、3−ニトロフェニル、3−アシルアミノフェニル、2−メトキシフェニル等の各基)、シアノ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アニリノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、複素環チオ基、ホスホニル基、アシル基等が挙げられる。
3で表されるアルキル基及びアリール基としては、R1及びR2で表されるアルキル基、アリール基と同じものを挙げることができる。
1で表される2個の炭素原子と共に構成される5〜6員の芳香族環としては、具体的には、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾールなどの環を挙げることができ、これらの環は更に他の芳香族環と縮合環を形成してもよい。これらの環上には置換基を有していてもよく、該置換基としてはR1及びR2で表される置換基と同じものを挙げることができる。
また、キレートマゼンタ色素としては、下記一般式(3)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2005313356
上記一般式(3)において、Xは少なくとも2座のキレート形成可能な基または原子の集まりを表し、Yは5員もしくは6員の芳香族炭化水素環または複素環を形成する原子の集まりを表し、R1、R2は各々水素原子、ハロゲン原子または1価の置換基を表す。nは0、1、2を表す。
Xとして特に好ましくは、下記一般式(4)で表される基である。
Figure 2005313356
上記一般式(4)において、Z2は少くとも一つのキレート化可能な窒素原子を含む基で置換された芳香族性含窒素複素環を形成するに必要な原子群を表す。該環の具体例としてはピリジン、ピリミジン、チアゾール、イミダゾール等の各環が挙げられる。これらの環は、更に他の炭素環(ベンゼン環等)や複素環(ピリジン環等)と縮合環を形成しても良い。
上記一般式(3)において、Yは5員もしくは6員の芳香族炭化水素環または複素環を形成する原子の集まりを表し、該環上には更に置換基を有していても良く、縮合環を有していても良い。該環の具体例としては、3H−ピロール環、オキサゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、3H−ピロリジン環、オキサゾリジン環、イミダゾリジン環、チアゾリジン環、3H−インドール環、ベンズオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、ピリジン環等が挙げられる。これらの環は更に他の炭素環(例えば、ベンゼン環)や複素環(例えば、ピリジン環)と縮合環を形成してもよい。環上の置換基としてはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等であり、それらの基は更に置換されていても良い。
1、R2は各々水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)または1価の置換基を表すが、1価の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、ヘテロ環基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アシル基、アシルアミノ基等が挙げられる。
Xは少なくとも2座のキレート形成可能な基または原子の集まりを表し、一般式(3)として色素を形成できるものなら何でもよく、例えば、5−ピラゾロン、イミダゾール、ピラゾロピロール、ピラゾロピラゾール、ピラゾロイミダゾール、ピラゾロトリアゾール、ピラゾロテトラゾール、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ローダニン、ヒダントイン、チオヒダントイン、オキサゾロン、イソオキサゾロン、インダンジオン、ピラゾリジンジオン、オキサゾリジンジオン、ヒドロキシピリドン、またはピラゾロピリドンが好ましい。
(バインダー樹脂)
本発明に係る色素層は、上記色素と共にバインダー樹脂を含有する。
色素層に使用するバインダー樹脂としては、従来公知の感熱昇華転写方式の熱転写インクシートに使用されるバインダー樹脂を使用することができ、例えば、セルロース系、ポリアクリル酸系、ポリビニルアルコール系、ポリビニルピロリドン系等の水溶性ポリマー、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、エチルセルロース、ニトロセルロース等の有機溶媒に可溶のポリマーがを挙げることができる。これらの樹脂の中でも、保存性の優れたポリビニルブチラール、ポリビニルアセタールあるいはセルロース系樹脂が好ましい。
色素層における色素及びバインダー樹脂の含有量は、特に限定されるものではなく、性能上の観点から適宜設定されることが好ましい。
本発明に係る色素層には、上記説明した色素とバインダー樹脂の他に、必要に応じて公知の種々の添加剤を含有することができる。色素層は、例えば、適当な溶剤中に上記の色素、バインダー樹脂、その他の添加剤を溶解または分散させて調製したインク塗布液を、グラビアコート法等の公知の手段により基材シート上に塗布した後、乾燥させることにより形成することができる。本発明に係る色素層の厚みは、0.1〜3.0μm程度、好ましくは0.3〜1.5μm程度とすることができる。
(保護層)
本発明に係る熱転写インクシートにおいては、熱転写性の保護層を備えていることが好ましい。該熱転写性の保護層は、受像シート上に熱転写して形成された画像の表面を覆う保護層となる透明な樹脂層からなる。
保護層を形成する樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、これらの各樹脂のエポキシ変性樹脂、これらの樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂等を例示することができる。好ましい樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ変性樹脂、電離放射線硬化性樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、ジオール成分および酸成分が一種類以上の脂環族化合物を有する脂環族ポリエステル樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましく、特開平11−151867号に記載された芳香族ポリカーボネート樹脂が特に好ましい。
本発明に使用されるエポキシ変性樹脂としては、エポキシ変性ウレタン、エポキシ変性ポリエチレン、エポキシ変性ポリエチレンテレフタレート、エポキシ変性ポリフェニルサルファイト、エポキシ変性セルロース、エポキシ変性ポリプロピレン、エポキシ変性ポリ塩化ビニル、エポキシ変性ポリカーボネート、エポキシ変性アクリル、エポキシ変性ポリスチレン、エポキシ変性ポリメチルメタクリレート、エポキシ変性シリコーン、エポキシ変性ポリスチレンとエポキシ変性ポリメチルメタクリレートの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性ポリスチレンの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性シリコーンの共重合体が挙げられ、好ましくはエポキシ変性アクリル、エポキシ変性ポリスチレン、エポキシ変性ポリメチルメタクリレート、エポキシ変性シリコーンであり、更に好ましくはエポキシ変性ポリスチレンとエポキシ変性ポリメチルメタクリレートの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性ポリスチレンの共重合体、エポキシ変性アクリルとエポキシ変性シリコーンの共重合体である。
〈電離放射線硬化性樹脂〉
熱転写性保護層として電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。熱転写性保護層に含有することにより、耐可塑剤性や耐擦過性が特に優れている。電離放射線硬化性樹脂としては公知のものを使用することができ、例えば、ラジカル重合性のポリマーまたはオリゴマーを電離放射線照射により架橋、硬化させ、必要に応じて光重合開始剤を添加し、電子線や紫外線によって重合架橋させたものを使用することができる。
〈紫外線遮断性樹脂〉
紫外線遮断性樹脂を含有する保護層は、印画物に耐光性を付与することを主目的とする。紫外線遮断性樹脂としては、例えば、反応性紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂または上記の電離放射線硬化性樹脂に反応、結合させて得た樹脂を使用することができる。より具体的には、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系のような従来公知の非反応性の有機系紫外線吸収剤に、付加重合性二重結合(例えばビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基等)、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基のような反応性基を導入したものを例示することができる。
上記のごとき単層構造の熱転写性保護層または多層構造の熱転写性保護層中に設けられた主保護層は、保護層形成用樹脂の種類にもよるが、通常は0.5〜10μm程度の厚さに形成する。
本発明の熱転写性の保護層は、基材シート上に非転写性の離型層を介して設けることが好ましい。
非転写性離型層は、基材シートと非転写性離型層との間の接着力を、非転写性離型層と熱転写性保護層との間に接着力よりも常に充分高くし、且つ、熱を印加する前の非転写性離型層と熱転写性保護層との間の接着力が、熱印加後のそれに対し高くなるようにする目的で、(1)樹脂バインダーと共に、平均粒子径が40nm以下の無機微粒子を30〜80質量%含有しているか、(2)アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物を合計20質量%以上の割合で含有しているか、或いは(3)アイオノマーを20質量%以上の割合で含有している、ことが好ましい。非転写性離型層には、必要に応じて他の添加物が含有されていてもよい。
無機微粒子としては、例えば、無水シリカ、コロイダルシリカ等のシリカ微粒子や、酸化錫、酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛等の金属酸化物を使用することが出来る。無機微粒子の粒子径は、40nm以下とすることが好ましい。40nmを越えると、離型層表面の凹凸に起因して熱転写性保護層の表面の凹凸も大きくなり、その結果保護層の透明性が低下してしまい好ましくない。
無機微粒子と混合する樹脂バインダーは特に制限されず、混合可能なあらゆる樹脂を用いることが出来る。例えば、各種ケン化度のポリビニルアルコール樹脂(PVA);ポリビニルアセタール樹脂;ポリビニルブチラール樹脂;アクリル系樹脂;ポリアミド系樹脂;酢酸セルロース、アルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。
無機微粒子と樹脂バインダーを主体とする他の配合成分との配合比(無機微粒子/他の配合成分)は、質量比で30/70以上、80/20以下の範囲とすることが好ましい。配合比が30/70未満になると、無機微粒子の効果が不十分となり、一方80/20を越えると離型層が完全な膜とならず、基材シートと保護層が直接触れる部分が生じてしまう。
アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体またはその誘導体としては、例えば、アルキルビニルエーテル部分のアルキル基がメチル基或いはエチル基であるもの、無水マレイン酸部分が部分的にまたは完全にアルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等)とのハーフエステルとなったものを用いることができる。
離型層は、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物だけで形成しても良いが、離型層と保護層の間の剥離力を調整する目的で、他の樹脂または微粒子をさらに加えても良い。その場合、離型層には、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、その誘導体、或いはそれらの混合物が20質量%以上含有されているのが望ましい。含有量が20質量%未満になると、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体またはその誘導体の効果が十分に得られなくなる。
アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体またはその誘導体に配合される樹脂または微粒子としては、混合可能で、被膜形成時に高い膜透明性が得られるもので有れば特に限定されず、あらゆる材料を用いることが出来る。例えば、前述の無機微粒子及び無機微粒子と混合可能な樹脂バインダーは好ましく用いられる。
アイオノマーとしては、例えば、サーリンA(デュポン社製)や、ケミパールSシリーズ(三井石油化学社製)等を使用することができる。また、アイオノマーには、例えば、前述の無機微粒子、無機微粒子と混合可能な樹脂バインダー、或いはその他の樹脂や微粒子をさらに加えることが出来る。
非転写性離型層を形成するには、上記(1)〜(3)のいずれかの成分を所定の配合割合で含有する塗布液を調製し、かかる塗布液を、グラビアコート法、グラビアリバースコート法のような公知の技術で基材シート上に塗布し、塗布層を乾燥させる。非転写性離型層の厚みは、通常、乾燥後の厚みで0.1〜2μm程度とする。
非転写性離型層を介して、あるいは介さずに基材シート上に積層される熱転写性保護層は、多層構造をとっていてもよいし、単層構造をとっていてもよい。多層構造をとる場合には、画像に各種の耐久性を付与するための主体となる主保護層の他、熱転写性保護層と印画物の受像面との接着性を高めるために、熱転写性保護層の最表面に配置される接着層や、補助的な保護層や、保護層本来の機能以外の機能を付加するための層(例えば偽造防止層、ホログラム層等)が設けられてもよい。主保護層とその他の層の順序は任意であるが、通常は、転写後に主保護層が受像面の最表面となるように、接着層と主保護層との間に他の層を配置する。
熱転写性保護層の最表面には接着層が形成されていても良い。接着層は、例えばアクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂のような加熱時接着性の良好な樹脂で形成することができる。また、上記樹脂に加え、上述した電離放射線硬化性樹脂、紫外線遮断性樹脂などを必要に応じて混合してもよい。接着層の厚さは、通常0.1〜5μmとする。
非転写性離型層上あるいは基材シート上に熱転写性保護層を形成するには、例えば、保護層形成用樹脂を含有する保護層用塗布液、熱接着性樹脂を含有する接着層用塗布液、その他必要に応じて付加される層を形成するための塗布液をあらかじめ調製し、それらを所定の順序で非転写性離型層上あるいは基材シート上に塗布し、乾燥させる。各塗布液は従来公知の方法で塗布すればよい。また、各層の間には適切なプライマー層を設けても良い。
〈紫外線吸収剤〉
熱転写性保護層の少なくとも1層に、紫外線吸収剤が含有されていることが好ましいが、透明樹脂層に含有させた場合、保護層転写後は透明樹脂層が印画物の最表面に存在するため、長期間の間に環境などの影響を受け経時的にその効果が低下することから、特に好ましくは、感熱接着剤層に含有させる。
紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤があげられ、例えば具体的にはTinuvin P、Tinuvin 234、Tinuvin 320、Tinuvin 326、Tinuvin 327、Tinuvin 328、Tinuvin 312、Tinuvin 315(以上、チバガイギー社製)、Sumisorb−110、Sumisorb−130、Sumisorb−140、Sumisorb−200、Sumisorb−250、Sumisorb−300、Sumisorb−320、Sumisorb−340、Sumisorb−350、Sumisorb−400(以上、住友化学工業(株)製)、Mark LA−32、Mark LA−36、Mark 1413(以上、アデカアーガス化学(株)製)等の商品名で市場から入手でき、いずれも本発明で使用することが出来る。
また、反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとがランダム共重合したTg60℃以上、好ましくは80℃以上のランダム共重合体を用いることも出来る。
上記の反応性紫外線吸収剤は、従来公知のサリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系等の非反応性紫外線吸収剤に、例えば、ビニル基やアクリロイル基、メタアクリロイル基等の付加重合性二重結合、或いは、アルコール系水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基等を導入したものを使用することができる。具体的には、UVA635L、UVA633L(以上、BASFジャパン(株)製)、PUVA−30M(大塚化学(株)製)等の商品名で市場から入手でき、何れも本発明で使用することが出来る。
以上のような反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとのランダム共重合体における反応性紫外線吸収剤の量は10〜90質量%、好ましくは30〜70質量%の範囲である。また、このようなランダム共重合体の分子量は5000〜250000程度、好ましくは9000〜30000程度とすることが出来る。上述した紫外線吸収剤、及び、反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとのランダム共重合体は、各々単独で含有させても良いし、両方を含有させても良い。反応性紫外線吸収剤とアクリル系モノマーとのランダム共重合体の添加量は、含有させる層に対し5〜50質量%の範囲で含有させることが好ましい。
もちろん紫外線吸収剤以外にも他の耐光化剤を含有させても良い。ここで耐光化剤とは、光エネルギー、熱エネルギー、酸化作用など、色素を変質あるいは分解する作用を吸収または遮断して色素の変質や分解を防止する薬剤であり、具体的には上述した紫外線防止剤の他、従来合成樹脂の添加剤などとして知られている光安定剤等が挙げられる。その場合も、熱転写性保護層の少なくとも1層、即ち前記剥離層、透明樹脂層、感熱接着層のうち少なくとも1層に含有させてよいが、特に好ましくは、感熱接着剤層に含有させる。
上記の紫外線吸収剤を含む、耐光化剤の使用量は特に限定されないが、好ましくは含有させる層を形成する樹脂100質量部当たり0.05〜10質量部、好ましくは3〜10質量部の割合で使用する。使用量が少なすぎると耐光化剤としての効果が得難く、一方多すぎては不経済である。
また、上記の耐光化剤の他にも、例えば、蛍光増白剤、充填剤等の各種の添加剤も同時に接着剤層に適当な量で添加することができる。
保護層転写シートの透明樹脂層は、基材シート上に単独で設けても良いし、熱転写インクシートの色素層と面順次に設けても良い。
(耐熱滑性層)
本発明に係る熱転写インクシートにおいて、色素層とは基材シートを挟んで反対側の面に耐熱滑性層を設けることが好ましい。
耐熱滑性層は、サーマルヘッド等の加熱デバイスと基材シートとの熱融着を防止し、走行を滑らかに行うとともに、サーマルヘッドの付着物を除去する目的で設けられる。
この耐熱滑性層に用いる樹脂としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド、アクリロニトリルースチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン変性またはフッ素変性ウレタン等の天然または合成樹脂の単体または混合物が用いられる。耐熱滑性層の耐熱性をより高めるために、上記の樹脂のうち、水酸基系の反応性基を有している樹脂を使用し、架橋剤としてポリイソシアネート等を併用して、架橋樹脂層とすることが好ましい。
更に、サーマルヘッドとの摺動性を付与するために、耐熱滑性層に固形あるいは液状の離型剤または滑剤を加えて耐熱滑性をもたせてもよい。離型剤または滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等の各種ワックス類、高級脂肪族アルコール、オルガノポリシロキサン、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、金属石鹸、有機カルボン酸及びその誘導体、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、タルク、シリカ等の無機化合物の微粒子等を用いることができる。耐熱滑性層に含有される滑剤の量は5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%程度である。このような耐熱滑性層の厚みは0.1〜10μm程度、好ましくは0.3〜5μm程度とすることができる。
次いで、熱転写記録材料を用いた本発明の画像形成方法について説明する。
《画像形成方法》
本発明に係る熱転写インクシートの構成について説明する。
図2は、本発明に係る熱転写インクシートの一例を示す斜視図である。
図2のa)は、本発明に係る熱転写インクシートの1面順次に供給される形態の一例を示す斜視図である。図2のa)において、熱転写インクシート11には、支持体12の同一平面上に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)各色素に対応したインク層13Y、13M、13Cが形成されており、このインク層とは別の領域には、剥離可能な転写性保護層14が面順次に設けられている。また、支持体12の他の面にはバック層(耐熱滑性層)15を備えている。
一方、図2のb)は、転写性保護層14が、熱転写インクシート11のインク層13Y、13M、13Cが設けられた支持体12とは異なる支持体12′上に設けられている形態の一例を示す斜視図であり、本発明において好ましい形態の1つである。
図2のa)、b)においては、各々のインク層、あるいは転写性保護層14の間に僅かな隙間を持っているが、熱転写記録装置の制御方法に併せて適宜隙間を調整しても良い。また、各インク層の頭出しの精度を高めるため、検知マークを熱転写シートに設けることが好ましく、設け方については、特に限定されることはない。基材シートの同一平面上にインク層と転写性画像保護層ユニット、あるいは後加熱処理を行う領域を設けたものを示したが、もちろん、別個の支持体上にそれぞれの層を設けても良いことは言うまでもない。なお、各インク層に反応型の色素を用いた場合、インク層に含有されている色素自身は反応前の化合物であり厳密にいえばY、M、C色素とは言えないが、Y、M、C画像を最終的に形成する為の層という意味で、便宜上同様に表現する
本発明の画像形成方法で用いられる熱転写記録装置として、例えば、図3に示すような熱転写記録装置を用いることができる。図3において、21は熱転写シートの供給ロール、11は熱転写インクシート、22は使用された熱転写インクシート11を巻き取る巻取ロール、23はサーマルヘッド、24はプラテンローラ、1はサーマルヘッド23とプラテンローラ24との間に挿入された熱転写受像シートである。
図3に示す熱転写記録装置を用い、例えば、図2のa)に示す熱転写インクシートを用いて画像を形成する場合のプロセスについて説明する。まず、熱転写インクシートの図2のa)のイエロー色素を含有するインク層13Yと熱転写受像シート25の色素受容層とを重ね合わせ、サーマルヘッド23の熱印加によりインク層13Y中のイエロー色素を画像データに従って受像シートに移行させてイエロー画像を形成し、次いで、このイエロー画像の上に、マゼンタ色素を含有するインク層13Mから、同様にしてマゼンタ色素を画像様に移行させ、次いでこの転写画像の上にシアン色素を含有するインク層13Cから同様にしてシアン色素を画像様に移行させ、最後に、この画像の全面に転写性の保護層を含む転写性保護層ユニット14を熱転写シートより熱転写して画像の形成を完了する。
本発明に用いられる熱転写記録装置において、光沢調とマット調の制御を同一装置内で選択可能にすると、1機種で所望の表面性の印画物が得られるため好ましい。選択の方法は特に限定されない。例えば、熱転写記録装置内に本発明の光沢調とマット調に対応する制御データを保持しておき、オペレータの簡単な操作で選択された制御データを読み出して、そのデータに従い制御部をコントロールしてもよいし、記録装置にパソコンが接続されている場合は、パソコン側に制御データを保持しておき、オペレータの簡単な操作で選択された制御データを記録装置に送りだしても良い。また、熱ローラーにて加熱をする場合には、表面を変質させる材料、たとえば光沢を出すような離型シート、マット調にするための凹凸のあるシートを画像記録後の受像層表面にあてがって、シート裏面より熱ローラーにて加熱を行うことで、表面の異なった記録体を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例においては、特に断りがない限り、「部」とは「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表す。
実施例1
《熱転写インクシート1の作製》
〔基材シートの作製〕
厚さ6μmの片面に易接着処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステル(株)製、K−203E−6F)の易接着処理面とは反対側の面に、下記組成の耐熱滑性層塗布用組成物をグラビア塗布方式で塗布、乾燥した後、加熱硬化処理を行って、乾燥膜厚1.0μmの耐熱滑性層を有する熱転写インクシート用の基材シートを作製した。
(耐熱滑性層塗布用組成物)
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製 エスレックBX−1) 3.5質量部
リン酸エステル系界面活性剤(第一工業製薬社製 プライサーフA208S)
3.0質量部
リン酸エステル系界面活性剤(東邦化学社製 フォスファノールRD720)
0.3質量部
ポリイソシアネート(大日本インキ化学工業社製 バーノックD750−45)
19.0質量部
タルク(日本タルク社製 Y/X=0.03) 0.2質量部
メチルエチルケトン 35質量部
トルエン 35質量部
〔インク層塗布液の調製及び塗布〕
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルムの耐熱滑性層を形成した面とは反対側の面に、下記の組成からなるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)各インク層を形成するイエローインク塗布液、マゼンタインク塗布液及びシアンインク塗布液を、グラビア塗布方式により面順次に塗布(乾燥後膜厚:0.8μm)し、次いで100℃にて1分間乾燥して各インク層を形成し、熱転写インクシート1を作製した。
〈イエローインク塗布液〉
ポストキレート色素(Y−1) 4.5質量部
ポリビニルアセトアセタール樹脂(積水化学社製、エスレックKS−5)5.0質量部
ウレタン変性シリコーン樹脂(大日精化社製、ダイアロマーSP−2105)
0.5質量部
メチルエチルケトン 45.0質量部
トルエン 45.0質量部
〈マゼンタインク塗布液〉
ポストキレート色素(M−1) 4.0質量部
ポリビニルアセトアセタール樹脂(積水化学社製、エスレックKS−5)5.5質量部
ウレタン変性シリコーン樹脂(大日精化社製、ダイアロマーSP−2105)
0.5質量部
メチルエチルケトン 45.0質量部
トルエン 45.0質量部
〈シアンインク塗布液〉
ポストキレート色素(C−1) 4.0質量部
ポリビニルアセトアセタール樹脂(積水化学社製、エスレックKS−5)5.5質量部
ウレタン変性シリコーン樹脂(大日精化社製、ダイアロマーSP−2105)
0.5質量部
メチルエチルケトン 45.0質量部
トルエン 45.0質量部
Figure 2005313356
《保護層転写シートの作製》
保護層転写シートの作製は、上記熱転写インクシートの作製に用いたのと同様の耐熱滑性層塗布用組成物を用いて、グラビア塗布方式で塗布、乾燥した後、加熱硬化処理を行い、乾燥膜厚1.0μmの耐熱滑性層を有する保護層用転写シートの支持体を作製した。次に、支持体に下記の組成からなる離型層塗布液を乾燥膜厚が1.0μmとなる条件で塗布、乾燥を行って、離型層を設けた後、更にその上に、下記組成の保護層塗布液を乾燥時厚さが2.0μmとなるように塗布して、保護層を設けて、保護層転写シートを作製した。
(離型層塗布液)
ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学工業社製、ハイドランAP−40)5.0質量部
ポリビニルアルコール樹脂(日本合成化学社製、ゴーセノールC500)8.0質量部
水 80.0質量部
エタノール 80.0質量部
(保護層塗布液)
反応性紫外線吸収剤を反応結合した共重合樹脂(BASFジャパン社製、UVA635L) 4.0質量部
アクリル樹脂(三菱レイヨン社製、ダイヤナールBR83) 15.0質量部
メチルエチルケトン 100.0質量部
《熱転写受像シートの作製》
〔熱転写受像シート1−1の作製〕
基材シートとして、厚みが150μmの合成紙(王子油化合成紙(株)製のユポFPG−150)の一方の面に、下記の中間層塗布液をワイヤーバーコーティング方式にて塗布し、120℃で1分間乾燥させ、乾燥固形分量が2.0g/m2の下引層を形成した。
次いで、上記下引層上に、下記の組成からなる色素受容層塗布液をワイヤーバーコーティング方式にて、乾燥固形分量が4.0g/m2になるように塗布した後、130℃にて1分間乾燥して、熱転写受像シート1−1を得た。
(中間層塗布液)
ウレタン系樹脂(日本ポリウレタン社製、ニッポラン5199) 5.5質量部
イソシアネート(武田薬品社製、タケネートA−14) 2.0質量部
メチルエチルケトン 20.0質量部
トルエン 20.0質量部
(色素受容層塗布液の調製)
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学社製 エスレックBX−1) 7.0質量部
金属イオン含有化合物(*A:MS−1) 2.8質量部
メチルスチリル変成シリコーンオイル(信越化学(株)製 KF410)0.5質量部
メチルエチルケトン 80.0質量部
酢酸ブチル 10.0質量部
*A)MS−1:Ni2+[C715COC(COOCH3)=C(CH3)O-2
〔熱転写受像シート1−2〜1−17の作製〕
上記熱転写受像シート1−1の作製において、色素受容層塗布液に表1に記載の各添加剤を1.6部添加した以外は同様にして、熱転写受像シート1−2〜1−17を作製した。
〔熱転写受像シート1−18〜1−22の作製〕
上記熱転写受像シート1−1、1−2、1−5、1−13、1−17の作製において、色素受容層塗布液の調製に用いた金属イオン含有化合物(MS−1)に代えて、MS−2を用いた以外は同様にして、熱転写受像シート1−18〜1−22を作製した。
なお、MS−2の添加量は、MS−1のNi量と等モルのNi量となる量を添加した。
Figure 2005313356
〔熱転写受像シートの強制劣化処理〕
上記作製した各熱転写受像シートを、50℃、80%RHの環境下で3週間保存して、長期間保存を想定した強制劣化処理を施した熱転写受像シートを作製した。
《画像形成》
図3に記載の様に、抵抗体形状がスクエア(主走査方向長80μm×副走査方向長120μm)、300dpi(dpiとは、2.54cm当りのドット数を表す)ラインヘッドのサーマルヘッドを搭載した熱転写記録装置に、上記作製した強制劣化処理を施した各熱転写受像シートの受像層部と熱転写インクシート1のインク層を重ね合わせてセットし、サーマルヘッドとプラテンロールで圧接しながら、5〜80mJ/mm2の印加エネルギー範囲で順次増加させるイエロー、マゼンタ、シアン、ニュートラル(イエロー、マゼンタ、シアンの3色重ね)の各ステップパターンパッチを、送り速度10msec/line、1ライン当たりの送り長さを85μmで、インク層の背面側から加熱して、熱転写受像シートの受像層上に各色素を転写させて、画像を形成した。
次いで、画像形成に使用した同じ熱転写装置に、画像を形成した該受像シートと上記作製した保護層転写シートを重ね合わせてサーマルヘッドとプラテンロールで圧接しながら、60mJ/mm2の印加エネルギー、送り速度10msec/lineで保護層転写シートの背面側から加熱して受像シートの画像上全面に保護層を転写した。なお、保護層の転写では、離型層が転写後に支持体側に残り、その他の層は画像表面に転写した。
《形成画像の評価》
上記の様にして印画した画像について、下記の方法に従って各評価を行った。
(最高濃度の測定)
上記の様にして作成したニュートラルのステップパターンパッチ画像のシアン最高濃度(255階調値のシアン濃度:DmaxC)を反射濃度計(Machbeth社製 X−rite310)を用いて測定した。
(耐光性の評価)
上記作製したシアン及びブラックのステップパターンパッチについて、反射濃度が1.0近傍のステップの濃度(D1)を測定し、次いでキセノンフェードメーター(7万lux)にて1週間曝露した後の同ステップの反射濃度(D2)を、Machbeth社製の反射濃度計を用いて測定し、下式により色素残存率を求め、これを耐光性の尺度とした。
色素残存率(%)=〔曝露後の反射濃度(D2)/未曝露の反射濃度(D1)〕×100
なお、表1にはシアン画像とブラック画像の色素残存率の平均値を表示した。
以上により得られた各測定結果及び評価結果を、表1に示す。
Figure 2005313356
表1に記載の結果から明らかなように、金属イオン含有化合物と、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシレンエチレン基を有するソルビタン脂肪酸エステル、一般式〔1〕で表される化合物、または一般式〔2〕で表される化合物を含有する本発明の熱転写受像シートを用いて形成した画像は、強制劣化処理を施した後でも、比較例に対し、得られる最高濃度が高く、かつ耐光性に優れていることが分かる。
実施例2
実施例1に記載の熱転写受像シート1−2の作製において、色素受容層塗布液の調製に用いたポリビニルブチラール樹脂に代えて、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(電気化学工業社製、#1000ALK)を用いた以外は同様にして、熱転写受像シート2−1を作製し、実施例1と同様の強制劣化処理を施した後、実施例1に記載の方法と同様にして画像形成を行い、同様の各評価を行った結果、表1に記載の熱転写受像シート1−2の結果と同等の評価結果を得ることができた。
実施例3
実施例1に記載の熱転写受像シート1−2の作製において、色素受容層塗布液の調製に用いたポリビニルブチラール樹脂と、添加剤であるソルビタンモノステアレートとの質量比を、表2に記載の様に変更した以外は同様にして、熱転写受像シート3−1〜3−10を作製し、実施例1と同様の強制劣化処理を施した後、実施例1に記載の方法と同様にして画像形成及び各評価を行った。また、下記の方法に従って画像滲み耐性の評価を行い、得られた結果を表2に示す。
(画像滲み耐性の評価)
上記作成したニュートラルのステップパターンパッチを、77℃の環境下で4週間保存した後、ニュートラルのステップパターンパッチと未画像部との境界部での色素滲みの程度を目視観察し、下記の基準に従って画像滲み耐性の評価を行った。
○:ステップパターンパッチで、画像滲みが全く認められない
△:軽微な画像滲みが認められるが、実用上許容範囲にある
×:明らかな画像滲みが認められる
Figure 2005313356
表2に記載の結果より明らかなように、本発明に係るソルビタンモノステアレートとポリビニルブチラール樹脂との質量比を、0.50:1.00〜0.04:1.00の範囲とすることにより、得られる最高濃度が高く、かつ画像滲み耐性及び耐光性に優れていることが分かる。ソルビタンモノステアレートの添加量が、ポリビニルブチラール樹脂に対して、0.50を超えて添加した条件では、画像保存後の画像滲み耐性及び耐光性の劣化が比較的顕著となる。また、ソルビタンモノステアレートの添加量が、ポリビニルブチラール樹脂に対して、0.50未満である条件では、印画濃度の低下及び耐光性劣化が比較的顕著となる。
本発明に係る熱転写記録材料を構成する熱転写インクシートと熱転写受像シートの構成の一例を示す断面図である。 本発明に係る熱転写インクシートの一例を示す斜視図である。 本発明の画像形成方法で用いられる熱転写記録装置の一例を示す模式図である。
符号の説明
1、11 熱転写インクシート
2、6、 基材シート
3、13Y、13M、13C インク層
4 耐熱滑性層
5、25 熱転写受像シート
7 色素受容層
14 転写性保護層
15 バック層(耐熱滑性層)
21 熱転写インクシートの供給ロール
22 使用された熱転写インクシートを巻き取る巻取ロール
23 サーマルヘッド
24 プラテンローラ

Claims (3)

  1. 基材シート上に、熱拡散性色素の受容が可能で、かつ金属イオン含有化合物を含有する色素受容層を有する熱転写受像シートにおいて、該色素受容層がソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシレンエチレン基を有するソルビタン脂肪酸エステル、下記一般式〔1〕で表される化合物、及び下記一般式〔2〕で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする熱転写受像シート。
    一般式〔1〕
    HO−(CH2CH2O)n−(CH2CH(CH3)O)m−H
    〔式中、nは100〜200の整数を表し、mは10〜50の整数を表す。〕
    一般式〔2〕
    HO−(W−O)p−H
    〔式中、Wは−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)−、又は−CH2CH2CH2CH2−を表し、pは8〜50の整数を表す。〕
  2. 前記色素受容層がバインダー樹脂を含有し、前記ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシレンエチレン基を有するソルビタン脂肪酸エステル、前記一般式〔1〕で表される化合物、または前記一般式〔2〕で表される化合物と、該バインダー樹脂との質量比が、0.50:1.00〜0.04:1.00であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シート。
  3. 請求項1または2に記載の熱転写受像シートと、金属とキレート形成可能な熱拡散性色素を含有する熱転写インクシートとを重ね合わせて、記録信号に応じて加熱することにより、該熱転写インクシートが含有する熱拡散性色素を、該熱転写受像シートに転写することにより画像形成することを特徴とする画像形成方法。
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