JP2005312386A - 細胞培養方法および培養細胞体 - Google Patents
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Abstract
【課題】酵素処理を施すことなく培養面から培養後の細胞を分離できる細胞培養方法の提供。
【解決手段】細胞を培養する細胞培養方法において、培養器の培養面に磁性粒子を有する状態で接着依存性の細胞を培養する培養工程を具備するようにする。
【効果】細胞を磁力によって操作可能な程度に細胞を磁性化させつつ増殖させることができる。しかも、この培養工程により培養した細胞に対して磁力を作用させることによりまたは磁力の作用を除去することにより細胞を容易に操作できるようになる。特に、細胞非接着性の培養面とした場合には、通常の接着性培養容器での培養ほど高い増殖能は得られないものの、作用させていた磁力を除去することによって酵素処理を行うことなく容易に細胞を培養面から解放し分離することができる。
【選択図】図1
【解決手段】細胞を培養する細胞培養方法において、培養器の培養面に磁性粒子を有する状態で接着依存性の細胞を培養する培養工程を具備するようにする。
【効果】細胞を磁力によって操作可能な程度に細胞を磁性化させつつ増殖させることができる。しかも、この培養工程により培養した細胞に対して磁力を作用させることによりまたは磁力の作用を除去することにより細胞を容易に操作できるようになる。特に、細胞非接着性の培養面とした場合には、通常の接着性培養容器での培養ほど高い増殖能は得られないものの、作用させていた磁力を除去することによって酵素処理を行うことなく容易に細胞を培養面から解放し分離することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、接着依存性の細胞を培養する細胞培養方法及びそれによって得られる培養細胞体、さらに本培養方法に利用できる磁性粒子および培養容器に関する。
近年、イン・ビトロ(in vitro)で細胞を培養し、移植用又は試験用の組織として利用される培養組織を作製する技術が注目を浴びている。このような技術は、1980年初頭にハワード・グリーンらによって、不活化したマウス3T3細胞を支持細胞とすることでヒト表皮細胞が培養されたことに始まっている。この種の技術を利用して表皮細胞シートを作製する場合には、表皮細胞を培養してシート化したあとのシートは培養容器の底面に付着しているため、ディスパーゼ等の酵素処理によって表皮細胞シートを培養容器の底面から剥がす工程を行っている。ところが、酵素処理は、細胞表面の接着タンパクを分解させることから、細胞へのダメージが懸念される。また、表皮細胞シートは非常に脆弱で取扱いが非常に困難である。
この懸念を解消するために、種々の提案がなされている。例えば、酵素処理を施さずに環境温度を変化させることで、増殖させた細胞を支持体表面から剥離・回収する技術が開示されている(特許文献1)。具体的には、ポリスチレン製のペトリ皿の表面をN−イソプロピルアクリルアミドポリマーまたはN,N−ジエチルアクリルアミドで被覆して電子線照射で重合させたあと、牛胎児血清(FCS)を20%含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を培地として牛の大動脈の血管内細胞を5%CO2中、37℃で培養して十分増殖させ、その後4℃に冷却し放置して酵素処理等を行うことなく付着培養細胞を剥離させたことが記載されている。この結果は、温度を37℃から4℃に下げることでペトリ皿の表面が疎水性から親水性へと変化したことによると記載されている。
特公平6−104061号公報
このような温度感応性ポリマーの使用は、培養細胞や組織の剥離方法に関する1つの手法として認知されつつあるが、酵素処理を施すことなく培養細胞あるいは組織を剥離させる方法として新たな選択肢を提供することは技術の発展のために必要なことである。また、培養組織は一般的に脆弱であるとともにその形状を維持することが容易でないことから、培養細胞等の回収等の種々の操作においてこれらのハンドリング性を向上させる必要がある。
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり酵素処理を施すことなく培養面から培養後の細胞を分離できる細胞培養方法を提供することを一つの目的とする。また、本発明は、培養した細胞のハンドリング性に優れた細胞培養方法を提供することを他の一つの目的とする。さらにまた、本発明は、このような細胞培養方法に用いるリポソーム及び培養容器を提供することを他の一つの目的とする。また、本発明は、ハンドリング性に優れた培養細胞体及び細胞シートを提供することを他の一つの目的とする。
本発明によれば、細胞を培養する細胞培養方法であって、培養容器の培養面に磁性粒子を有する状態で接着依存性の細胞を培養する培養工程を具備する、細胞培養方法が提供される。この細胞培養方法においては、前記磁性粒子が敷設された前記培養面に前記細胞を播種する播種工程を備えることが好ましい態様である。また、前記培養工程において、前記磁性粒子は前記培養面に対して磁力によって一時的に保持されていることが好ましい態様である。さらに、培養した前記細胞に磁力を作用させることによりまたは磁力の作用を除去することにより、該細胞を操作する操作工程を備えることが好ましい態様である。この態様において、前記操作工程は、培養された前記細胞を前記培養面に保持していた磁力の作用を除去することにより、該細胞を前記培養面から解放する工程であることが好ましく、また、培養された前記細胞に対して磁力を作用させることにより、該細胞を移動させる工程であることが好ましく、さらに、培養された前記細胞に対して該細胞を一方側に保持していた磁力の作用を除去するとともに該細胞に他方側から磁力の作用を付与することにより、該細胞を該他方側に保持する工程であることが好ましい。
また、上記いずれかの細胞培養方法において、前記磁性粒子は、磁性粒子がリポソームに封入された磁性粒子封入リポソームであることが好ましい態様である。さらに、前記磁性粒子は細胞接着性表面を有することが好ましい態様であり、この態様において、前記細胞接着性表面は細胞接着性ペプチドを備えていることが好ましく、より好ましくは、前記細胞接着性ペプチドはフィブロネクチン由来の細胞接着性ペプチドである。
さらに、上記いずれかの細胞培養方法において、前記培養面は細胞非接着性であることが好ましい態様であり、前記培養面は細胞接着性であるかまたは細胞非接着性の培養面上に細胞接着性材料により細胞接着性が一時的に付与されていることも好ましい態様である。
さらにまた、上記いずれかの細胞培養方法において、前記培養工程は、前記磁性粒子を磁力によって前記培養面に保持しながら細胞シートが形成されるまで前記細胞を培養する工程であることが好ましい態様であり、前記培養工程では、前記磁性粒子は、前記培養面において得ようとする培養細胞体の二次元断面に対応する平面形状の輪郭内に配置されていることも好ましい態様である。
本発明によれば、上記いずれかの細胞培養方法によって製造される培養細胞体が提供され、この形態においては前記培養細胞体はシート状であることが好ましい。
本発明によれば、また、磁性粒子がリポソームに封入された磁性粒子封入リポソームであって、前記リポソーム表面に細胞接着性ペプチドを有する、磁性粒子封入リポソームが提供される。このリポソームにおいては、前記細胞接着性ペプチドはフィブロネクチン由来の細胞接着性ペプチドであることが好ましい態様である。
また、本発明によれば、細胞を培養する培養容器であって、培養面に磁性粒子が敷設された培養容器が提供される。この培養容器においては、前記磁性粒子は前記細胞接着性表面を有する細胞接着性磁性粒子であることが好ましく、より好ましくは、前記細胞接着性磁性粒子は、表面にフィブロネクチン由来の細胞接着性ペプチドを備えるリポソームに磁性粒子が封入された磁性粒子封入リポソームを含んでいる。
本発明の細胞培養方法は、培養容器の培養面に磁性粒子を有する状態で接着依存性の細胞を培養する培養工程を具備することを特徴としている。この細胞培養方法では、培養面に磁性粒子を有しており、接着性依存性の細胞を磁性粒子とともに培養することにより、該細胞を増殖させたり、細胞間の結合を強めたりしつつ、細胞内への磁性粒子の導入、及び/又は細胞表面あるいは細胞間に磁性粒子を捕捉させることができる。こうした状態で細胞を培養することで細胞を磁力によって操作可能な程度に細胞を磁性化させつつ増殖させることができる。すなわち、細胞の磁性化と増殖とを一挙に実現できる。しかも、この培養工程により培養した細胞に対して磁力を作用させることによりまたは磁力の作用を除去することにより細胞を容易に操作できるようになる。特に、細胞非接着性の培養面とした場合には、通常の接着性培養容器での培養ほど高い増殖能は得られないものの、作用させていた磁力を除去することによって酵素処理を行うことなく容易に細胞を培養面から解放し分離することができる。また、細胞接着性の培養面とした場合には、通常の接着性培養容器での培養と同様の高い増殖能が得られるとともに、細胞が磁性粒子を保持することによって、細胞を磁力で操作することができる。殊に、細胞接着性をコントロールできる温度感応性ポリマーを培養面に施した場合には、高い増殖能とともに、剥離に酵素が不要であり、かつ細胞に磁性を付与することができる。さらに、細胞表面に磁性粒子が保持される場合であって、細胞が磁性粒子を介して培養面と接触している場合においては、培養面の特性に関係なく、磁力を解放することによって培養面から細胞を解放することができる。
また、本発明の細胞培養方法は、前記培養工程において、前記培養面に細胞接着性磁性粒子を有していることを特徴としている。この細胞培養方法では、培養容器の培養面が細胞接着性か細胞非接着性かにかかわらず、細胞接着性磁性粒子を足場として、接着依存性細胞に接着性培養面上での培養と同様の細胞増殖環境を提供することができる。また、上記したように、培養とともに細胞を磁性化できる。
以下、本発明の細胞培養方法について説明するとともに、本細胞培養方法に用いる磁性粒子、細胞接着性磁性粒子、培養容器等について説明する。
(細胞培養方法)
図1には、本発明の細胞培養方法の工程の一例を示し、図2には、本発明の細胞培養方法の他の一例を示す。
図1には、本発明の細胞培養方法の工程の一例を示し、図2には、本発明の細胞培養方法の他の一例を示す。
(培養対象細胞)
本細胞培養方法において培養しようとする細胞は、いずれも接着依存性の細胞である。接着依存性の細胞は、培養面に直接又は間接的に接着したあとその接着面積を広げていき、その後細胞分裂する細胞であり、足場依存性細胞ともいう。接着依存性の細胞としては、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、サル等の温血動物から採取された種々の動物細胞が挙げられる。温血動物の細胞としては、例えば、角化細胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞(角膜上皮細胞、口腔粘膜上皮細胞、羊膜上皮細胞などを含む)、内皮細胞(血管内皮細胞、角膜内皮細胞などを含む)、線維芽細胞、実質細胞(肝実質細胞、角膜実質細胞などを含む)、筋細胞、平滑筋細胞、脂肪細胞、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞、骨膜由来細胞若しくは間質細胞、又はこれらの細胞の前駆細胞のほか、胚性幹細胞(ESC)や間葉系幹細胞(MSC)などの幹細胞や接着依存性のガン細胞が挙げられる。
本細胞培養方法において培養しようとする細胞は、いずれも接着依存性の細胞である。接着依存性の細胞は、培養面に直接又は間接的に接着したあとその接着面積を広げていき、その後細胞分裂する細胞であり、足場依存性細胞ともいう。接着依存性の細胞としては、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、サル等の温血動物から採取された種々の動物細胞が挙げられる。温血動物の細胞としては、例えば、角化細胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞(角膜上皮細胞、口腔粘膜上皮細胞、羊膜上皮細胞などを含む)、内皮細胞(血管内皮細胞、角膜内皮細胞などを含む)、線維芽細胞、実質細胞(肝実質細胞、角膜実質細胞などを含む)、筋細胞、平滑筋細胞、脂肪細胞、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞、骨膜由来細胞若しくは間質細胞、又はこれらの細胞の前駆細胞のほか、胚性幹細胞(ESC)や間葉系幹細胞(MSC)などの幹細胞や接着依存性のガン細胞が挙げられる。
(磁性粒子)
本細胞培養方法においては、培養工程において磁性粒子を用いる。磁性粒子は、細胞に保持されるとともに保持されることで細胞に磁性を付加するものであればどのようなものでもよいが、例えば、フェライトやマグネタイトなどの酸化鉄、酸化クロム、コバルトなどの磁性材料の粒子を用いることができる。磁性粒子は、疎水性表面などの細胞表面と親和性のある表面を有していることが好ましく、例えば、リポソームなどの脂質膜を表面に備える磁性粒子を用いることができる。また、表面に正電荷を備えることも好ましい。このような磁性粒子としては、磁性粒子をリポソームに封入した磁性粒子封入リポソーム(MPL,Magnetic particle liposome)や磁性粒子を正電荷リポソームに封入した磁性粒子封入正電荷リポソーム(MPCL,Magnetic particle cationic liposome)を用いることができる。磁性粒子が細胞と親和性のある表面を有することで、細胞表面との相互作用により細胞への磁性粒子の取り込みを可能としている。なお、細胞に磁性粒子を取り込ませることによって磁性化することにより、細胞に確実に磁性粒子を保持させることができるとともに多くの磁性粒子を細胞に保持させることができるため磁力の作用による細胞のコントロールが容易になる。
本細胞培養方法においては、培養工程において磁性粒子を用いる。磁性粒子は、細胞に保持されるとともに保持されることで細胞に磁性を付加するものであればどのようなものでもよいが、例えば、フェライトやマグネタイトなどの酸化鉄、酸化クロム、コバルトなどの磁性材料の粒子を用いることができる。磁性粒子は、疎水性表面などの細胞表面と親和性のある表面を有していることが好ましく、例えば、リポソームなどの脂質膜を表面に備える磁性粒子を用いることができる。また、表面に正電荷を備えることも好ましい。このような磁性粒子としては、磁性粒子をリポソームに封入した磁性粒子封入リポソーム(MPL,Magnetic particle liposome)や磁性粒子を正電荷リポソームに封入した磁性粒子封入正電荷リポソーム(MPCL,Magnetic particle cationic liposome)を用いることができる。磁性粒子が細胞と親和性のある表面を有することで、細胞表面との相互作用により細胞への磁性粒子の取り込みを可能としている。なお、細胞に磁性粒子を取り込ませることによって磁性化することにより、細胞に確実に磁性粒子を保持させることができるとともに多くの磁性粒子を細胞に保持させることができるため磁力の作用による細胞のコントロールが容易になる。
磁性粒子は、1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。磁性粒子の粒径は特に限定しないが、上記したいずれかのリポソーム封入磁性粒子は、粒径が5nm〜100μmのものを用いることができる。また、培養面への供給量は、細胞に磁性粒子を取り込ませて磁性化可能な量である。したがって、磁性粒子として、培養面積(1cm2)あたり1μg以上20μg以下であることが好ましい。1μg未満であると細胞を磁性化しにくくなるからである。また、20μgを超えると細胞の増殖を抑制する傾向にあるからである。より好ましくは、5μg以上である。また、15μg以下である。なお、磁性粒子としては、細胞接着性表面を有する磁性粒子も用いることができるが、当該細胞接着性磁性粒子については後述する。
MPCLの一例を図3に示す。図3に例示したMPCLは、マグネタイト等の磁性粒子をリポソームで封入しリポソーム間に正電荷脂質を備えた構造を持つ。多くの細胞は負電荷を有しているため正電荷を持つMPCLと結合しやすい傾向があり、またMPCLはリポソームを有しているため細胞内に取り込まれやすい。このため、本細胞培養方法において磁性粒子としてMPCLを採用すれば、種々の細胞の培養に適用することができる。MPCLは、例えばJpn.J. Cancer Res.第87巻第1179〜1183頁(1996年)に記載されたマグネタイト封入正電荷リポソーム(Magnetite cationic liposome)の製造方法を参照して調製することができる。
(細胞接着性磁性粒子)
磁性粒子は細胞接着性表面を有していることが好ましい。こうすることで、細胞接着性磁性粒子は、細胞接着性を有するとともに磁力の作用によって位置コントロールが可能な粒子である。このため、細胞接着性磁性粒子は、その細胞接着性により細胞増殖のための好適な足場を提供できるとともに磁性粒子を細胞に効果的に付着等により担持させて細胞を磁性化(担磁)させることができ、さらに、磁力を作用させることで該粒子のみならず該粒子が接着された細胞の配置や移動などの位置コントロールも可能な粒子となっている。
磁性粒子は細胞接着性表面を有していることが好ましい。こうすることで、細胞接着性磁性粒子は、細胞接着性を有するとともに磁力の作用によって位置コントロールが可能な粒子である。このため、細胞接着性磁性粒子は、その細胞接着性により細胞増殖のための好適な足場を提供できるとともに磁性粒子を細胞に効果的に付着等により担持させて細胞を磁性化(担磁)させることができ、さらに、磁力を作用させることで該粒子のみならず該粒子が接着された細胞の配置や移動などの位置コントロールも可能な粒子となっている。
かかる細胞接着性磁性粒子を構成する磁性粒子としては、上記した多糖類や脂質の被覆体を有する磁性粒子等の各種の磁性粒子を用いることができるが、上記したMPLやMPCLを用いることが好ましい。これらのリポソーム封入磁性粒子は、脂質層あるいは脂質層とともに正電荷を有しており、一層細胞表面との親和性が高く足場として有効であるとともに、磁性粒子の細胞内取り込みによる細胞の磁性化も可能だからである。
細胞接着性表面は、細胞接着性化合物を備えていることが好ましい。細胞接着性化合物は、培養しようとする接着依存性の細胞に接着しやすい化合物であればよく、例えば、細胞膜の構成成分に結合性または親和性を有する化合物を用いることができる。このような細胞接着性化合物としては、培養しようとする細胞表面に接着あるいは結合するペプチドやタンパク質(抗体を含む)を挙げることができる。ペプチドやタンパク質としては、培養しようとする細胞の種類にもよるが、細胞接着性タンパク質であるフィブロネクチンあるいはその一部であって例えばアミノ酸配列RGD(Arg−Gly−Asp、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸)、KQAGDV(Lys−Gln−Ala−Gly−Asp−Val、リシン−グルタミン−アラニン−グリシン−アスパラギン酸−バリン)、REDV(Arg−Glu−Asp−Val、アルギニン−グルタミン酸−アスパラギン酸−バリン)を含むペプチド、同じく細胞接着性タンパク質であるラミニンあるいはその一部であって、例えばアミノ酸配列YIGSR(Tyr−Ile−Gly−Ser−Arg、チロシン−イソロイシン−グリシン−セリン−アルギニン)、IKVAV(Ile−Lys−Val−Ala−Val、イソロイシン−リシン−バリン−アラニン−バリン)を含むペプチドなどを挙げることができる。接着依存性の細胞の培養に用いるには、人工的に合成な程度の長さおよび構造の細胞接着性ペプチドを用いることが好ましい。ペプチドの長さを特に限定するものではないが、好ましくはアミノ酸数個〜十数個程度、好ましくは十個以下程度である。例えば、アミノ酸配列RGDを有するペプチドあるいはアミノ酸配列YIGSRを有するペプチドであってアミノ酸残基数が10個以下のペプチドを好ましく用いることができる。このようなペプチドは、好ましくは、ペプチドの末端側にこれらの特定アミノ酸配列を有しており、より好ましくはそのN末端側にこれらのアミノ酸配列を有する状態でそのC末端で粒子等の表面に結合されており、さらに好ましくは、そのN末端にこれらのアミノ酸配列のN末端残基が位置されている。
細胞接着性ペプチドとしては、上記した細胞結合性を有する特定のアミノ酸配列からなるペプチドを用いることができるが、細胞接着性を損なわない限り、特定のアミノ酸配列においてアミノ酸を付加したり、欠失させたり、置換したりしたアミノ酸配列からなるペプチドを用いることができる。例えば、後述するように、細胞接着性ペプチドを粒子表面等に結合させるためのリンカーアミノ酸配列などを備えることもできる。
また、細胞接着性表面は、細胞表面との疎水性相互作用や電気的相互作用による相互作用が可能であることが好ましい。したがって、細胞接着性表面は脂質および/または正電荷を有していることが好ましい。より好ましくは、細胞接着性表面は、正電荷を有する脂質層で構成されている。
細胞接着性磁性粒子を得るには、リポソームなど磁性粒子の被覆体へ細胞接着性ペプチドや抗体などのタンパク質を結合させる。被覆体の組成およびペプチドや抗体の種類に応じて各種の結合形成反応を用いることができる。また、必要に応じて適切なリンカーを用いることができる。例えば、リポソームへのRGDペプチドの結合にあたっては、ジスルフィド結合形成によるのが便宜である。このため、RGD配列のC末端側にシステインが付加されたRGDC配列からなるペプチドを用いることが好ましい。こうすることでSH基を有するリポソーム側とジスルフィド結合により容易にRGD配列を有するペプチドを結合させることができる。なお、細胞接着性ペプチドをリポソームに結合させるためのリンカーは、システインに限らず他のアミノ酸やペプチドも用いることもできる。
細胞接着性磁性粒子は、1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。磁性粒子の粒径は特に限定しないが、粒径が5nm以上100μm以下のものを用いることができる。培養面への供給量は、細胞に磁性粒子を保持させることで磁性化可能な量である。また、培養工程終了後においても細胞表面と培養面との間に磁性粒子が介在されて細胞が培養面に直接接触することを抑制可能な量であることが好ましい。したがって、磁性粒子としては、培養面積(1cm2)あたり1μg以上20μg以下とすることが好ましい。1μg未満であると細胞を磁性化しにくくなるとともに細胞表面が培養面に直接接触しやすくなり、培養面の接着特性によっては培養面から細胞を分離及び解放するのが困難になるからである。また、20μgを超えると細胞の増殖を抑制する傾向が強くなるからである。より好ましくは、5μg以上15μg以下とする。さらに、細胞接着性化合物としては、培養面積(1cm2)あたり200ng以上4μg以下とすることが好ましい。200ng未満であると細胞接着が弱くなり、4μgを超えると細胞増殖を阻害するからである。より好ましくは、1μg以上3μg以下とする。
図4には、細胞接着性磁性粒子の一例である、MPCLのリポソーム表面にアミノ酸配列RGDCからなるペプチドを結合して得られる磁性粒子封入リポソームの模式図を示す。本明細書においては、RGD配列を有するペプチドがMCLおよびMPCLに結合されたものをRGD−MPLおよびRGD−MPCLとそれぞれと総称するものとする。特に、RGD−MPCLは、リポソームに正電荷脂質を備えるとともにその表面にRGDペプチドが結合されているため、細胞接着性が向上されている。図4に示す形態では、磁性粒子としてマグネタイトを用い、アミノ酸配列RGDCからなるペプチドが固定されたRGD−MCL(RGD peptide immobilized Magnetite cationic liposome)である。
また、図5には、細胞接着性磁性粒子の他の一例である、MPCLのリポソーム表面に抗体を結合して得られる抗体固定化磁性微粒子封入リポソーム(AML,Antibody-immobilized magnetite liposome)の模式図を示す。AMLは、図3に一例を示すように、マグネタイト等の磁性微粒子をリポソームで封入しリポソーム間に抗体を備えた構造を持つ。抗体としては培養しようとする特定の細胞に特異的に結合するものを選択する。抗体と特異的に結合する部位を持つ細胞はAMLの抗体と結合しやすい。AMLは、例えばJ. Chem. Eng. Jpn.第34巻第66〜72頁(2001年)に記載された方法を参照して調製すればよい。
また、抗体等を固定化した磁性粒子としては、例えば、第一化学製品株式会社のMACS(Magnetic Cell Soting and Separation of Biomolecules)内の磁性マイクロビーズやベリタス社の磁性ナノパーティクル(商品名EasySep)などを用いることもできる。
(培養容器)
本細胞培養方法において用いる培養容器は、特に限定しないで従来公知の各種の培養容器を用いることができる。通常、培地を保持あるいは貯留するため底面を培養面とする容器である培養容器を用いることができる。なお、三次元形状の表面形態を有する培養面を培養面と液体培地を保持あるいは貯留する部分は培養面を構成する部材を別個の部材で形成されていてもよい。
本細胞培養方法において用いる培養容器は、特に限定しないで従来公知の各種の培養容器を用いることができる。通常、培地を保持あるいは貯留するため底面を培養面とする容器である培養容器を用いることができる。なお、三次元形状の表面形態を有する培養面を培養面と液体培地を保持あるいは貯留する部分は培養面を構成する部材を別個の部材で形成されていてもよい。
培養面は、細胞非接着性とも細胞接着性ともすることができるが、培養細胞の培養面からの分離および解放を考慮すれば、培養面は細胞が接着しにくい性質であるか細胞非接着性(本明細書において、これらを総称して細胞非接着性という。)であることが好ましい。接着しにくい性質の培養面とは、磁力を除去したときに磁性化された細胞が軽く培養容器を振れば培養面から離れる程度の接着性を持つ培養面をいう。
培養面が細胞非接着性の場合、培養面に備えられた磁性粒子が接着依存性細胞あるいは該細胞間に保持されることで、磁力により細胞が培養面に引き付けられ、培養によって細胞同士が結合し、お互いの細胞を増殖の足場とすることで接着依存性細胞の培養増殖が可能となる。また、細胞接着性磁性粒子を細胞非接着性の培養面に有するときには、この細胞接着性磁性粒子表面に細胞が接着によって通常の接着性培養容器での培養と同様の高い増殖能で培養することができ、結果として接着依存性細胞に細胞接着性培養面を提供したことになり、接着性磁性粒子を足場として該細胞の培養増殖が可能となる。さらに、これらの場合には、磁性粒子や細胞接着性磁性粒子を磁力などによって一時的に培養面に保持しているので、例えば磁力を解放する等によって培養面から解離させることで容易に培養細胞を培養面から解放および分離させることができる。このため、酵素や温度感応性ポリマー等を使用することなく培養細胞等を回収することができる。
一方、培養面が細胞接着性である場合であっても、磁性粒子を培養面に有するとき、細胞は磁性微粒子を保持することによって磁性化され、培養面の有する細胞接着性によって、細胞が培養増殖される。この場合、通常の培養組織と同様に酵素処理や温度感応性ポリマーなどによって培養面から剥離させることができ、かつ磁性化された培養細胞を回収することができる。細胞接着性磁性粒子を細胞接着性培養面に有するときには、主として細胞接着性磁性粒子の細胞接着性に依存させて細胞を培養増殖させればよい。こうすることで、細胞は主として細胞接着性磁性粒子表面で培養増殖されることになり、細胞接着性磁性粒子を培養面から解放すれば、培養細胞も同様に培養面から解放されることになる。
このように、本発明では、磁性粒子および/または細胞接着性磁性粒子を培養面に有した状態で接着依存性細胞を培養できるため、接着依存性細胞の培養増殖に必要な細胞接着性表面が磁性粒子および/または細胞接着性磁性粒子によって提供されることになっている。このため、培養面の細胞接着特性にかかわらず接着依存性細胞を培養することができる。
なお、磁性粒子を有する細胞非接着性培養面に一時的に細胞接着性を発現させることによって、細胞接着性磁性粒子を細胞非接着性培養面に磁力によって保持させたときとほぼ同様の効果を得ることができる。細胞接着性は、少なくとも細胞に磁性粒子が保持されるまで発現されていることが好ましいが、培養細胞の回収時には不要であるからである。培養面に一時的に細胞接着性を発現させるには、例えば、各種の細胞接着性材料を培養面に付与する方法を採ることができる。
(1)温度によって親水性と疎水性が切り替えられる温度感応性ポリマー(ポリマーの一部に細胞接着性ペプチドを備えていてもよい。)を培養面に結合等するか該ポリマーシートや粒子を培養面に配置などする。
(2)細胞回収時には培養面から分離可能に細胞接着性材料を結合しておく。
(3)細胞回収時にはその接着性によって細胞側に保持可能な細胞接着性材料を培養面に配置しておく。
上記(2)の例としては、培養工程中の経過によりあるいは培養工程後の簡易な処理等によって解離あるいは切断される程度の弱い結合性で細胞接着性ペプチドなどの細胞接着性材料を培養面に結合させておくことが挙げられる。また、上記(3)の例としては、細胞接着性化合物などの細胞接着性材料を表面に有する粒子を培養面に配置しておくことが挙げられる。該粒子形態は特に問わないが、細胞側に付着あるいは保持されやすい形態であることが好ましい。また、該粒子は、多糖類や樹脂などの高分子材料粒子およびリポソームなどの脂質粒子をコアとして用いることができる。
(1)温度によって親水性と疎水性が切り替えられる温度感応性ポリマー(ポリマーの一部に細胞接着性ペプチドを備えていてもよい。)を培養面に結合等するか該ポリマーシートや粒子を培養面に配置などする。
(2)細胞回収時には培養面から分離可能に細胞接着性材料を結合しておく。
(3)細胞回収時にはその接着性によって細胞側に保持可能な細胞接着性材料を培養面に配置しておく。
上記(2)の例としては、培養工程中の経過によりあるいは培養工程後の簡易な処理等によって解離あるいは切断される程度の弱い結合性で細胞接着性ペプチドなどの細胞接着性材料を培養面に結合させておくことが挙げられる。また、上記(3)の例としては、細胞接着性化合物などの細胞接着性材料を表面に有する粒子を培養面に配置しておくことが挙げられる。該粒子形態は特に問わないが、細胞側に付着あるいは保持されやすい形態であることが好ましい。また、該粒子は、多糖類や樹脂などの高分子材料粒子およびリポソームなどの脂質粒子をコアとして用いることができる。
また、本細胞培養方法においては、培養容器の培養面の表面に上記した磁性粒子及び細胞接着性磁性粒子のいずれかを予め敷設した培養容器を用いることもできる。これらの培養容器においては、磁性粒子や細胞接着性磁性粒子は少なくとも細胞を培養面に供給するまでは培養面に保持され、培養開始後速やかにあるいは培養中において(遅くとも培養工程終了前には)磁性粒子が培養面から拘束されないで細胞に導入されたり細胞に接着したりする等の細胞との相互作用が可能な程度に一時的に保持されていればよい。
このような培養容器によれば、培養面に磁性粒子等を供給する操作を省略することができる。特に、表面に細胞接着性ペプチドを結合させたリポソームに封入された磁性粒子などの細胞接着性磁性粒子を予め培養面に敷設した培養容器が好ましい。このような磁性粒子等は、細胞培養に悪影響を及ぼさない程度の水溶性樹脂や水溶性ゲルを介して培養面に固定することにより培養面に敷設しておくことができる。また、磁性粒子や細胞接着性磁性粒子は、磁力の作用によって培養面に一時的に保持されて敷設されていてもよい。なお、これらの磁性粒子等は、細胞非接着性の培養面に敷設されていることが好ましい。
磁性粒子および/または細胞接着磁性粒子は、得ようとする培養組織の二次元断面に相当する平面形態で培養面に配置されていることが好ましい。また、培養面の一部であっても全体に敷設されていてもよい。磁性粒子や細胞接着性磁性粒子については磁力を作用させることで培養面の特定部位に集合させて特定の平面形態に容易に配置させることができる。また、これらの各種磁性粒子は、培養面をシート状、ドット状、メッシュ状等の各種の二次元形態で敷設されることができる。また、培養面は平面状に限らず、曲面状、半球状、管状であってもよく、移植用補綴物の表面であってもよい。
(培養工程)
次に、培養工程について説明する。本細胞培養方法の培養工程は、培養容器の培養面に磁性粒子を有する状態で接着依存性の細胞を培養する。あるいは、細胞接着性磁性粒子を培養面に有する状態で接着依存性の細胞を培養する。培養面にこれらの培養面材料を有する状態で細胞を培養するには、以下の手法を採ることができる。
(1)これらの培養面材料が培養面に予め敷設された培養容器を用い、細胞を播種する播種工程を実施する。
(2)培養面に細胞を播種するとともにあるいはこれに先立ってこれらの培養面材料を培養面に供給する。
次に、培養工程について説明する。本細胞培養方法の培養工程は、培養容器の培養面に磁性粒子を有する状態で接着依存性の細胞を培養する。あるいは、細胞接着性磁性粒子を培養面に有する状態で接着依存性の細胞を培養する。培養面にこれらの培養面材料を有する状態で細胞を培養するには、以下の手法を採ることができる。
(1)これらの培養面材料が培養面に予め敷設された培養容器を用い、細胞を播種する播種工程を実施する。
(2)培養面に細胞を播種するとともにあるいはこれに先立ってこれらの培養面材料を培養面に供給する。
上記(1)の場合には、既に述べたようないずれかの培養面材料を培養面に敷設された培養容器を用いることができる。この場合、磁性粒子などの培養面材料は、培養工程において細胞を磁力の作用により操作可能な程度に磁性粒子や細胞接着性磁性粒子を細胞に保持させることを妨げないように、培養面に一時的に保持されている。このような培養容器に細胞を播種する播種工程を実施することで、直ちに培養工程を実施することができるようになる。
上記(2)の場合において培養面材料は培養面に保持されていることが好ましい。磁性粒子や細胞接着性磁性粒子の場合には、培養面を介して磁力を作用させて培養面に磁性粒子等を引き付けて保持することでこれらを培養面に保持させることができる。磁力によってこれら磁性粒子等を培養面に引き付けて保持することで、これら磁性粒子等を培養面に敷設した状態を形成することができ、また、必要な間のみ一時的に培養面に保持した状態を形成することができる。これら(2)の場合においては、培養面に予め培養面材料を供給し保持させた後に細胞を播種することが好ましい。
なお、培養面には、少なくとも磁性粒子あるいは細胞接着性磁性粒子を有することが好ましい。また、磁性粒子、細胞接着性磁性粒子および細胞接着性材料の各材料について、1種あるいは2種以上の粒子や材料を組み合わせて用いることができる。
また、本発明において細胞を播種するにあたっては、細胞種や目的とする培養組織の大きさなどによって適宜播種密度などを設定すればよいが、1×103〜1×106個/cm2の範囲で播種密度を設定するのが一般的である。
培養工程においては、接着依存性の細胞は、磁性粒子が備える細胞に対して親和性の高い表面上で増殖、あるいは細胞接着性磁性粒子が備える細胞接着性表面を足場として増殖することができる。したがって、細胞は、細胞親和性表面および細胞接着性表面を有する培養面材料が配置され保持された形態に応じた平面形態で効果的に増殖し、当該形態の細胞シートを得ることができる。特に、細胞接着性磁性粒子を培養面に有する場合には、接着依存性の細胞は分化状態を維持しやすく、分化状態を維持したまま増殖させることができる。例えば、線維芽細胞は、扁平な細胞形態を維持して増殖させることができる。また、例えば、磁性粒子や細胞接着性磁性粒子は、磁力の作用により培養面の一定範囲に配置し保持することができるため、本培養工程において当該一定範囲においてのみ細胞を増殖させることで所定の平面形態を有する細胞シートを得ることもできる。
培養工程においては、培養面を介して磁力を作用させて磁性粒子および/または細胞接着性磁性粒子を培養面に吸着保持させた状態で細胞を培養することが好ましい。こうすることで、培養面に対する磁性粒子等の分散状態を維持することができるため、細胞の足場としての機能を維持することができ、培養した細胞の伸展を促進し容易にシート化可能となる。したがって、上記(1)の場合であっても(2)の場合であっても、培養工程中は培養面を介して磁力を作用させることで磁性粒子等を培養面に保持させることが好ましい。
培養工程において培養面を介して磁力を作用させて磁性粒子および/または細胞接着性磁性粒子、ひいてはこれらが保持された細胞を培養面に保持させるには、培養面の裏面に適当な磁力源、すなわち、磁石を備えるようにすることが好ましい。磁石としては、永久磁石の他、通電および遮電により励磁および消磁を制御可能な電磁石を用いることが好ましい。また、これらの作用面の形態は特に限定しないが、培養面を介して均一な磁力を作用可能であることが好ましい。
培養工程においては、磁性粒子および/または細胞接着性磁性粒子が細胞に取り込まれ、細胞表面に付着し、あるいは細胞間に捕捉されることによって、細胞にこれらの磁性粒子等が保持されて細胞が磁性化される。これにより、細胞に対して磁力を作用させることによりまたは磁力の作用を除去することにより、細胞を操作できるようになる。
培養工程においては、培養しようとする細胞に応じた培養条件を採用することができる。培養対象となる細胞の種類によって液体培地の種類を適宜選定することができる。例えば、周知のDMEMやα−MEM、M199培地などを選定してもよい。また、EGFやFGFに代表される成長因子等の添加因子を適宜添加してもよい。また、培養工程は、コンフルエント状態となるまであるいは細胞シートが得られるまで継続することもできるし、これに至らない状態において終了することもできるが、少なくとも細胞が磁力の作用によって操作可能な程度まで磁性化するまで培養を継続する。また、細胞シートは、単層化細胞シートであってもよいし、重層化細胞シートであってもよい。あるいは継代培養に利用する場合には、継代培養における操作性を考慮して分散状態の範囲で培養を終了することもできる。
(操作工程)
操作工程は、培養された細胞に磁力を作用させることによりまたは磁力の作用を除去することにより、前記細胞を操作する工程である。ここで、「操作」とは、少なくとも、培養面からの細胞の解放、培養面に対する細胞の変位・移動、培養容器を伴ったあるいは伴わない細胞の移動(搬送)、新たな部位への細胞の保持等を含めることができる。なお、磁力の作用により細胞を操作することは、細胞が磁性化された後であれば培養工程中においても実施することができるが、培養工程終了後において実施することが有効である。培養工程中に実施するときには、細胞の培養面内における移動や集約・分散等に用いることができる。
操作工程は、培養された細胞に磁力を作用させることによりまたは磁力の作用を除去することにより、前記細胞を操作する工程である。ここで、「操作」とは、少なくとも、培養面からの細胞の解放、培養面に対する細胞の変位・移動、培養容器を伴ったあるいは伴わない細胞の移動(搬送)、新たな部位への細胞の保持等を含めることができる。なお、磁力の作用により細胞を操作することは、細胞が磁性化された後であれば培養工程中においても実施することができるが、培養工程終了後において実施することが有効である。培養工程中に実施するときには、細胞の培養面内における移動や集約・分散等に用いることができる。
なお、操作工程において磁力の作用を除去するとは、磁力作用面(培養工程においては培養面)に細胞に保持された磁性粒子が保持されない程度まで磁力の作用を低減することを含んでいる。例えば、細胞を培養容器の培養面の裏面側に設置した磁石により培養基材の培養面に引き付けていた場合、磁性微粒子の種類、磁性微粒子が細胞に取り込まれた量、培養容器の培養面の材質、その培養面の厚みなどに基づいてその磁石を培養基材の培養面に対して作用させる磁力の強さを決定すればよい。磁力の強さの調整は、通常の磁石を用いる場合には、培養面からの離間距離により、また、電磁石の場合には電流量により行うことができる。
図6には、操作工程の一例である細胞シートについての細胞解放工程を示す。細胞解放工程は、培養された細胞を培養面に保持するように作用させていた磁力を除去することで細胞を培養面から解放する工程とすることができる。かかる解放工程を実施することで、細胞非接触性の培養面の場合には、酵素処理や温度感応性ポリマーで修飾した培養面を用いることなく培養し増殖させた細胞を培養面から解放することができ、培養面からの解放時における細胞へのダメージを有効に回避することができる。細胞解放後は、次に説明する細胞移動工程によって解放された細胞を磁力を作用させて引き付けてガイドして回収することができる。殊に、非接着性プレート面上に細胞接着性磁性粒子を引き付けて培養面を調製した場合においては、播種細胞が非接着性プレート面に接着することがなく、磁性粒子のみに接着することから、高い細胞増殖能を維持しつつ、容易に開放することができる。
図7には、操作工程の他の一例として細胞シートについての細胞回収工程を示す。細胞回収工程は、培養された細胞に磁力を作用させることで前記細胞を回収する工程とすることができる。細胞回収工程は、既に培養面から解放された細胞には、この細胞に磁力を作用させることで新たな保持部位に保持して細胞を回収する工程とすることができる。このような細胞回収工程によれば、磁力の作用で細胞を保持して回収するため、細胞の回収時に細胞へ過度の外力がかかることを容易に回避できる。
図8には、細胞回収工程の他の一例として細胞シートについての細胞回収工程を示す。細胞回収工程は、磁力を作用させて培養面に保持していた細胞に対してその磁力の作用を除去するとともに培養面以外の新たな保持部位に磁力の作用により保持させて回収する工程(以下、この細胞回収工程を、保持部位転移工程ともいう。)とすることができる。保持部位転移工程では、磁力の作用により細胞に保持された磁性粒子や細胞接着性磁性粒子の分散状態を維持することが可能であるため、たとえば、細胞シートを収縮させることなく培養された細胞状態をほぼ維持して回収することができる。すなわち、移動に用いる磁力作用源、すなわち、磁石や電磁石の磁力作用面の形態に応じた形態での保持・回収が可能となる。したがって、培養した細胞のダメージを効果的に回避しながら細胞を回収できるとともに所望の形態での回収が可能となる。
図8に示す保持部位転移工程は、培養された細胞を一方の面に保持するように作用させていた磁力を除去するとともに該細胞に他方の面から磁力を作用させることで細胞を該他方の面に保持する工程となっている。一方の面は培養工程における培養面であり、他方の面は培養面で培養した細胞の表面に対向する面とすることができる。細胞の保持部位の転移は、培養面を介して磁力を作用させて培養した細胞を培養面に保持した状態で、細胞表面側に電磁石等の作用面を近接させ、培養面からの磁力の作用を除去する前あるいは同時に細胞表面側からの磁力を作用させ、あるいは培養面からの磁力の作用を徐々に弱めるとともに徐々に細胞表面側からの磁力の作用を強めることで培養した細胞の細胞表面側をそのままの形態を維持して他方側の磁力作用面に保持させることができる。こうすることで培養細胞の収縮変形を回避して細胞にダメージを与えることなく回収できる。また、培養細胞が細胞シートを形成しているとき、磁力の作用の除去による細胞シートの収縮を回避して細胞シートを転移保持し移動することができる。なお、磁力の作用で細胞を保持可能な磁力作用面を細胞保持部位として有する装置は、容易に構築することができる。なお、保持部位転移工程は、培養工程で培養した細胞のみならず、一旦回収された後磁力によって保持された細胞にも適用することができる。なお、こういった保持部位転移工程は、磁力の制御が容易な電磁石を用いることが好ましい。
こうして磁力作用面に保持した細胞は、そのまま他の培養細胞、培養組織、その他の構造体、包装容器あるいは疾患部位等上に配置することができる。転移保持した細胞を磁力で配置しようとする部位に載置し、その後、この磁力作用面への磁力の作用を除去することで、細胞は磁力作用面から解放され、当該部位に配置される。なお、転移保持した細胞が細胞シートを形成しているとき、磁力の作用の除去により保持されていた細胞が収縮しないよう予め当該部位に細胞シート周縁を固定しておくか、あるいは配置部位表面に細胞シートを吸着保持できるような磁力を作用可能としておくことができる。
なお、上記したような細胞回収工程においては、細胞のダメージを回避するために懸架用支持膜を介して磁力を作用させて細胞の保持部位を転移させることが好ましい。懸架用支持膜としては、培養面にて培養した細胞をほぼそのまま懸架できるものであればよく、編物、織布、不織布、紙、樹脂シートなどを用いることができる。例えば、滅菌ガーゼ、滅菌和紙、滅菌ろ紙、滅菌不織布の他、PVDF膜(ポリフッ化ビニリデン膜)、PTFE膜(ポリテトラフルオロエチレン膜)等の親水性膜(表面を親水性処理したものを含む)や、シリコーンゴムなどの柔軟性ある高分子材料やポリグリコール酸、ポリ乳酸などの生分解性ポリマーや寒天培地やコラーゲンゲル、ゼラチンゲル、などのハイドロゲルなどをシート状としたものでもよい。
図9には、操作工程の他の一例である培養容器移動工程を示す。培養容器移動工程は、培養された細胞に対して磁力を作用させることで前記細胞を培養容器ごと移動する工程とすることができる。こうすることで工程内あるいは工程間の培養容器を伴った細胞の移動や搬送を細胞に対するダメージを回避しながら行うことできる。また、培養工程後の輸送において応用することができる。
本細胞培養方法、特に、磁性粒子と細胞接着性材料あるいは細胞接着性磁性粒子を培養面に有する状態で細胞を培養する培養工程により得られた細胞シートなどの培養細胞体は、通常の接着性の培養面で培養した場合と同様の形態を呈しており、細胞が密に増殖されているとともに接着依存性の細胞に特有の形態を維持したものとなっている。したがって、本細胞培養方法によって得られる培養細胞体は、接着依存性細胞本来の形質を維持しており、治療のための移植や、スクリーニングのための試験などに適したものとなっている。なお、本発明の培養細胞体には、シート状体などの組織状態に至ったものばかりでなく、個々の細胞状態のものも含まれる。具体的には、継代培養工程中に剥離され、調製された細胞懸濁液などが上げられる。また、本発明の培養細胞体は、使用する培養容器の形態に応じた形態を採ることができる。したがって、本発明の培養細胞体は、シート状体の他、管状体、球状面の一部あるいは全体を構成する形態を採ることもできる。球状面の一部を構成する培養細胞体としては、例えば、角膜組織のような皿状体、円形皿状体を例示でき、球状面の全体を構成する培養組織としては、マイクロキャリア培養法等に適用される球状の培養容器の表面に形成された培養細胞体を例示できる。また、本発明の培養細胞体は、少なくとも磁性粒子等を含む培地から分離した時点においては磁性化されている。磁性粒子等を含む培地から分離した培養細胞体は、磁性粒子等を含まない状態下で培養することにより適宜脱磁性化される。したがって、本発明の培養細胞体には、磁性化された後脱磁性化した培養細胞体も包含される。
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。以下の実施例では、線維芽細胞を培養して線維芽細胞シートを作製した。これらの実施例は本発明をこれらの実施例に限定することを意図するものではない。
(使用細胞、培地等)
マウス線維芽細胞(NIH./3T3)を使用した。細胞培養用培地としては、以下の構成ものもを用いた。
マウス線維芽細胞(NIH./3T3)を使用した。細胞培養用培地としては、以下の構成ものもを用いた。
(培地組成)
Minimum Essential Medium (MEM) 9.53g/l
HEPES 5.96g/l
NaHCO3 2.20g/l
Penicilin-Streptomycin 1%
MEM Non-Essential Amino Acids Solution 1%
FBS 10%
(培養容器)
超低接着性24 well plate (コーニング社製、#3474ウエル直径15.6mm)
(磁石)
ネオジ磁石(アズワン、外径30 mm, 高さ15 mm, 残留磁束密度1.1T):超低接着性プレートの下にあて、磁性微粒子を引き寄せるのに用いた。
アルニコ磁石(アズワン、外径10 mm,高さ50 mm,残留磁束密度1.27T):作製した細胞シートの回収に用いた。
Minimum Essential Medium (MEM) 9.53g/l
HEPES 5.96g/l
NaHCO3 2.20g/l
Penicilin-Streptomycin 1%
MEM Non-Essential Amino Acids Solution 1%
FBS 10%
(培養容器)
超低接着性24 well plate (コーニング社製、#3474ウエル直径15.6mm)
(磁石)
ネオジ磁石(アズワン、外径30 mm, 高さ15 mm, 残留磁束密度1.1T):超低接着性プレートの下にあて、磁性微粒子を引き寄せるのに用いた。
アルニコ磁石(アズワン、外径10 mm,高さ50 mm,残留磁束密度1.27T):作製した細胞シートの回収に用いた。
(磁性粒子の調製)
(1)磁性粒子:マグネタイト封入正電荷リポソーム(Magnetite Cationic Liposome(MCL))の調製
磁性粒子としては、粒子径10nmの磁性微粒子マグネタイト(Fe3O4;戸田工業)を用いた。脱イオン水での洗浄により余分なイオン成分を十分に除いた後、超音波処理により分散マグネタイト液にした。リン脂質はN−(α−トリメチルアンモニウオアセチル)ジドデシル−D−グルタメードクロリド(TMAG、相互薬工社製)、ジラウロイルホルファチジルクロリド(DLPC、シグマケミカル(Sigma Chemical)社製)、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE、シグマケミカル(Sigma Chemical)社製)をクロロホルムに溶解、モル比1:2:2(TMAG:DLPC:DOPE)の組成で用いた。これらのリン脂質を、ナス型フラスコに入れてロータリーエバポレーターで回転させながら吸気し、内壁に脂質膜を作製した。これに先に示した分散マグネタイト液(10mg/ml)を2ml加えボルテックス攪拌しながら膜を膨潤させた。15分間超音波処理し、10倍濃度のPBSを加えた。さらに超音波処理を15分間行うことでMCLを得た。
(1)磁性粒子:マグネタイト封入正電荷リポソーム(Magnetite Cationic Liposome(MCL))の調製
磁性粒子としては、粒子径10nmの磁性微粒子マグネタイト(Fe3O4;戸田工業)を用いた。脱イオン水での洗浄により余分なイオン成分を十分に除いた後、超音波処理により分散マグネタイト液にした。リン脂質はN−(α−トリメチルアンモニウオアセチル)ジドデシル−D−グルタメードクロリド(TMAG、相互薬工社製)、ジラウロイルホルファチジルクロリド(DLPC、シグマケミカル(Sigma Chemical)社製)、ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE、シグマケミカル(Sigma Chemical)社製)をクロロホルムに溶解、モル比1:2:2(TMAG:DLPC:DOPE)の組成で用いた。これらのリン脂質を、ナス型フラスコに入れてロータリーエバポレーターで回転させながら吸気し、内壁に脂質膜を作製した。これに先に示した分散マグネタイト液(10mg/ml)を2ml加えボルテックス攪拌しながら膜を膨潤させた。15分間超音波処理し、10倍濃度のPBSを加えた。さらに超音波処理を15分間行うことでMCLを得た。
(2)細胞接着性磁性粒子:RGDペプチド固定化マグネタイト封入正電荷リポソーム(RGD−Magnetite Cationic Liposome(RGD−MCL)
細胞接着性ペプチドとしてRGDCペプチド(Peninsula Laboratories,Inc)を用いた。粒子径10nmの磁性微粒子マグネタイト(Fe3O4;戸田工業)を用いた。脱イオン水での洗浄により余分なイオン成分を十分に除いた後、超音波処理により分散マグネタイト液にした。リン脂質はTMAG(相互薬工社製)、DLPC(シグマケミカル(Sigma Chemical)社製)、N−[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(PDP)−ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(PDP−DOPE、アヴァンティ(AVANTI)社製)の三種類をクロロホルムに溶解し、モル比1:2:2(TMAG:DLPC:PDP−DOPE)の組成で用いた。これらのリン脂質をナス型フラスコに入れてロータリーエバポレーターで回転させながら吸気し、内壁にリポソーム膜を作製した。これに先に示した分散マグネタイト液(10mg/ml)を2ml加えてボルテックス攪拌しながらリポソーム膜を膨潤させた。30分間超音波処理した。これにRGDCペプチド(5mg/ml)を495μl加え、室温で3時間攪拌を行うことで、リポソーム膜のPDPとRGDCをジスルフィド結合させた。攪拌後、超音波処理を1時間行うことでRGD−MCLを得た。RGD−MCLの粒子径は動的光散乱による濃厚系粒径アナライザー(大塚電子)を用いて測定したところ、粒子径は234.1nmであった。また、固定化したペプチド量はニンヒドリン法で定量したところ、ペプチドの結合量は0.226mg−peptide/mg−magnetiteであり、添加したペプチドの91.5%がリポソームに結合していた。
細胞接着性ペプチドとしてRGDCペプチド(Peninsula Laboratories,Inc)を用いた。粒子径10nmの磁性微粒子マグネタイト(Fe3O4;戸田工業)を用いた。脱イオン水での洗浄により余分なイオン成分を十分に除いた後、超音波処理により分散マグネタイト液にした。リン脂質はTMAG(相互薬工社製)、DLPC(シグマケミカル(Sigma Chemical)社製)、N−[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(PDP)−ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(PDP−DOPE、アヴァンティ(AVANTI)社製)の三種類をクロロホルムに溶解し、モル比1:2:2(TMAG:DLPC:PDP−DOPE)の組成で用いた。これらのリン脂質をナス型フラスコに入れてロータリーエバポレーターで回転させながら吸気し、内壁にリポソーム膜を作製した。これに先に示した分散マグネタイト液(10mg/ml)を2ml加えてボルテックス攪拌しながらリポソーム膜を膨潤させた。30分間超音波処理した。これにRGDCペプチド(5mg/ml)を495μl加え、室温で3時間攪拌を行うことで、リポソーム膜のPDPとRGDCをジスルフィド結合させた。攪拌後、超音波処理を1時間行うことでRGD−MCLを得た。RGD−MCLの粒子径は動的光散乱による濃厚系粒径アナライザー(大塚電子)を用いて測定したところ、粒子径は234.1nmであった。また、固定化したペプチド量はニンヒドリン法で定量したところ、ペプチドの結合量は0.226mg−peptide/mg−magnetiteであり、添加したペプチドの91.5%がリポソームに結合していた。
(細胞培養)
磁性微粒子(MCL、RGD−MCL)を各種の各マグネタイト濃度を調製し、これらの各液を超低接着性24wellplateのウェル(直径15.6mm)にそれぞれ400μl加え、マグネタイト濃度を10μg/well(約5μgマグネタイト/cm2、約1.2μgペプチド/cm2、20μg/well(約11μgマグネタイト/cm2、約2.4μgペプチド/cm2、30μg/well(約16μgマグネタイト/cm2、約3.5μgペプチド/cm2とした。このウェルプレートの下にネオジ磁石を置き、磁性粒子で培養面に引き付けて保持することにより培養面に各磁性粒子を敷設した。マウス線維芽細胞を20000cell/wellになるように培地100μlとともに播種して37℃、5%CO2、95%airのCO2インキュベーターで培養した。なお、同時に、マグネタイトを添加せず磁力を作用させない以外は同じ条件でマウス線維芽細胞を培養した。
磁性微粒子(MCL、RGD−MCL)を各種の各マグネタイト濃度を調製し、これらの各液を超低接着性24wellplateのウェル(直径15.6mm)にそれぞれ400μl加え、マグネタイト濃度を10μg/well(約5μgマグネタイト/cm2、約1.2μgペプチド/cm2、20μg/well(約11μgマグネタイト/cm2、約2.4μgペプチド/cm2、30μg/well(約16μgマグネタイト/cm2、約3.5μgペプチド/cm2とした。このウェルプレートの下にネオジ磁石を置き、磁性粒子で培養面に引き付けて保持することにより培養面に各磁性粒子を敷設した。マウス線維芽細胞を20000cell/wellになるように培地100μlとともに播種して37℃、5%CO2、95%airのCO2インキュベーターで培養した。なお、同時に、マグネタイトを添加せず磁力を作用させない以外は同じ条件でマウス線維芽細胞を培養した。
(細胞増殖)
培養後、1日ごとに4日間、細胞数を測定した。細胞数測定にはCell Counting Kit−8(Dojindo)を用いた。この試薬をwellに30μl滴下し、吸光度により細胞数を求めた。MCLおよびRGD−MCLについて細胞播種後3日後の細胞数を測定した結果を図10に示し、20μg/wellで培養した場合の細胞数の経時変化を図11に示す。
培養後、1日ごとに4日間、細胞数を測定した。細胞数測定にはCell Counting Kit−8(Dojindo)を用いた。この試薬をwellに30μl滴下し、吸光度により細胞数を求めた。MCLおよびRGD−MCLについて細胞播種後3日後の細胞数を測定した結果を図10に示し、20μg/wellで培養した場合の細胞数の経時変化を図11に示す。
図10に示すように、いずれのMCLについても20μg/wellの濃度で最も細胞数が多かった。また、RGDを結合させていないMCLよりもRGD−MCLを用いた方が、細胞数が多かった。また、磁性微粒子の濃度を30μg/wellにすると細胞数が低くなった。また、図11に示すように、この至適濃度(20μg/well)で培養した場合、マグネタイトなしの場合では細胞は超低接着性の培養表面を用いていることから増殖はしなかった。MCLを用いた場合はやや増殖したが、RGD−MCLを用いた場合、細胞は対数増殖し、4日後にはコンフルエントに近い細胞数が得られた。
(細胞形態)
培養後、定期的に細胞を顕微鏡で観察した。1日後と4日後の細胞の顕微鏡写真を図12および図13に示す。マグネタイトなしの場合では、細胞は培養表面に接着することが出来ずに培養液中を浮遊し、培養4日後には細胞凝集塊を作っていた。MCLでは、培養表面に細胞が吸着していたものの、細胞の伸展はまったく見られなかった。一方、RGD−MCLを用いた場合、細胞は一日後には伸展しており、4日後には細胞が密に増殖して、さらに線維芽細胞に特徴的な形態(線維芽状)をとっていることが観察できた。
培養後、定期的に細胞を顕微鏡で観察した。1日後と4日後の細胞の顕微鏡写真を図12および図13に示す。マグネタイトなしの場合では、細胞は培養表面に接着することが出来ずに培養液中を浮遊し、培養4日後には細胞凝集塊を作っていた。MCLでは、培養表面に細胞が吸着していたものの、細胞の伸展はまったく見られなかった。一方、RGD−MCLを用いた場合、細胞は一日後には伸展しており、4日後には細胞が密に増殖して、さらに線維芽細胞に特徴的な形態(線維芽状)をとっていることが観察できた。
(細胞シートの回収)
培養後、コンフルエントになった細胞を磁性微粒子ごとシート状のまま、アルニコ磁石を用いて回収した。まず、培養後にネオジ磁石をはずして静置した。その後、培養面から剥がれた細胞シートを、親水化したPVDFメンブレンを表面に装着したアルニコ磁石に引きつけて培養面から引き上げるようにして回収した。RGD−MCLを用いた細胞培養において、4日後に細胞はコンフルエントまで増殖し、ネオジ磁石を外して静置することで、細胞はシート状のまま、接着表面から剥がれた。この際に細胞は収縮した。さらに、親水性のPDFメンブレンを装着したアルニコ磁石をこの細胞シートに近づけたところ、細胞シートが磁石に引き寄せられて回収、運搬することができた。
培養後、コンフルエントになった細胞を磁性微粒子ごとシート状のまま、アルニコ磁石を用いて回収した。まず、培養後にネオジ磁石をはずして静置した。その後、培養面から剥がれた細胞シートを、親水化したPVDFメンブレンを表面に装着したアルニコ磁石に引きつけて培養面から引き上げるようにして回収した。RGD−MCLを用いた細胞培養において、4日後に細胞はコンフルエントまで増殖し、ネオジ磁石を外して静置することで、細胞はシート状のまま、接着表面から剥がれた。この際に細胞は収縮した。さらに、親水性のPDFメンブレンを装着したアルニコ磁石をこの細胞シートに近づけたところ、細胞シートが磁石に引き寄せられて回収、運搬することができた。
以上のことから、磁性粒子を培養面に有する状態であれば、超低接着性ディッシュ上で細胞培養できることがわかった。また、MCLに細胞接着性ペプチドであるRGDペプチドを付加させたRGD−MCLを用いることで細胞の接着、増殖が飛躍的に促進されることもわかった。RGD−MCLを用いることで超低接着性ディッシュ上でも細胞のシート化が可能となり酵素処理なしで細胞をシート状のまま回収し、運搬することができた。
Claims (22)
- 細胞を培養する細胞培養方法であって、
培養容器の培養面に磁性粒子を有する状態で接着依存性の細胞を培養する培養工程を具備する、細胞培養方法。 - 前記磁性粒子が敷設された前記培養面に前記細胞を播種する播種工程を備える、請求項1に記載の細胞培養方法。
- 前記培養工程において、前記磁性粒子は前記培養面に対して磁力によって一時的に保持されている、請求項1または2に記載の細胞培養方法。
- 培養した前記細胞に磁力を作用させることによりまたは磁力の作用を除去することにより、該細胞を操作する操作工程を備える、請求項1〜3のいずれかに記載の細胞培養方法。
- 前記操作工程は、培養された前記細胞を前記培養面に保持していた磁力の作用を除去することにより、該細胞を前記培養面から解放する工程である、請求項4に記載の細胞培養方法。
- 前記操作工程は、培養された前記細胞に対して磁力を作用させることにより、該細胞を移動させる工程である、請求項4に記載の細胞培養方法。
- 前記操作工程は、培養された前記細胞に対して該細胞を一方側に保持していた磁力の作用を除去するとともに該細胞に他方側から磁力の作用を付与することにより、該細胞を該他方側に保持する工程である、請求項4に記載の細胞培養方法。
- 前記磁性粒子は、磁性粒子がリポソームに封入された磁性粒子封入リポソームである、請求項1〜7のいずれかに記載の細胞培養方法。
- 前記磁性粒子は細胞接着性表面を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の細胞培養方法。
- 前記細胞接着性表面は細胞接着性ペプチドを備えている、請求項9に記載の細胞培養方法。
- 前記細胞接着性ペプチドはフィブロネクチン由来の細胞接着性ペプチドである、請求項10に記載の細胞培養方法。
- 前記培養面は細胞非接着性である、請求項1〜11のいずれかに記載の細胞培養方法。
- 前記培養面は細胞接着性であるかまたは細胞非接着性の培養面上に細胞接着性材料により細胞接着性が一時的に付与されている、請求項1〜11のいずれかに記載の細胞培養方法。
- 前記培養工程は、前記磁性粒子を磁力によって前記培養面に保持しながら細胞シートが形成されるまで前記細胞を培養する工程である、請求項1〜13のいずれかに記載の細胞培養方法。
- 前記培養工程では、前記磁性粒子は、前記培養面において得ようとする培養細胞体の二次元断面に対応する平面形状の輪郭内に配置されている、請求項1〜14に記載の細胞培養方法。
- 請求項1〜15のいずれかに記載の細胞培養方法によって製造される、培養細胞体。
- 前記培養細胞体はシート状である、請求項16に記載の培養細胞体。
- 磁性粒子がリポソームに封入された磁性粒子封入リポソームであって、
前記リポソーム表面に細胞接着性ペプチドを有する、磁性粒子封入リポソーム。 - 前記細胞接着性ペプチドはフィブロネクチン由来の細胞接着性ペプチドである、請求項18に記載の磁性粒子封入リポソーム。
- 細胞を培養する培養容器であって、培養面に磁性粒子が敷設された培養容器。
- 前記磁性粒子は前記細胞接着性表面を有する細胞接着性磁性粒子である、請求項20に記載の培養容器。
- 前記細胞接着性磁性粒子は、表面にフィブロネクチン由来の細胞接着性ペプチドを備えるリポソームに磁性粒子が封入された磁性粒子封入リポソームを含む、請求項21に記載の培養容器。
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