人工的なインビトロ環境においての細胞の成長である、細胞培養は、生命科学研究および開発ならびに多くのバイオテクノロジーおよび健康応用において極めて重要な技術である。理想的な細胞培養環境は、健康な細胞の早く、健全な成長を推進するものであり、人工培養環境の特性によって影響されるよりも、むしろ細胞形態および細胞機能は、細胞間相互作用、細胞に特有のシグナル伝達、および/または実験的な制御変数によって支配される。多くの場合、遺伝子発現、分化した細胞の機能特性、および細胞外基質の形成を含んで、生体内で成長する細胞に酷似する細胞の成長が望ましい。また、生成の費用および拡張性も、そのような科学技術の適用可能性に対する重大な検討事項である。
ナノテクノロジー、材料、細胞生物学への関心が増大するにつれて、細胞および組織を操作、成長、使用する我々の能力の重大な限界が、細胞生物学および医療に有用である細胞および組織のパターンを制御するための能力の欠如であることは明らかになってきた。
生体の発達の間、パターンの形態の構造および秩序が、依然として十分に理解されない機構を通じて自然に現れる。人工の環境で生体組織を研究または複製したい場合、自然に存在するパターンを再現できることが重要である。特に三次元および表面上で生体細胞のパターンを操作し、手動で制御する能力が、今まで実現されていない多くの生体工学および医学的適用を可能にする。
伝統的なペトリ皿内での細胞培養は、三次元の生体の条件から著しく異なる可能性がある、遺伝子発現、シグナル伝達、および形態の二次元(2D)成長を生成し、したがって医療用細胞または組織の臨床的関連性を危うくする。
バイオリアクタまたはタンパク質ベースのゲル環境を回転させることが、三次元(3D)細胞培養を可能にする目的で開発されてきたが、そのような方法の広範の適用は、高コストまたは複雑性によって大幅に妨げられてきた。したがって、三次元細胞培養を可能にするプラットフォーム技術が未だに満たされない要求である。
さらに、培養された細胞の使用が発展し続けると、これらの実在物を安全に操作および取り扱うためのシステムを開発することがますます難しくなる。例えば、規制機関および医薬品安全性試験実施基準は、多くの場合、汚染を最小化するために、外部の物体の露出の量を最小化しようと試みる。したがって、外的環境に露出せずに細胞および組織を操作することができるデバイスが望ましい。
三次元細胞培養技術の最近の開発は、三次元細胞培養物を生成するために、細胞または細胞で覆われた磁気マイクロキャリア上の磁力を使用することである(例えば、Akiraの米国公開特許第2006063252号、国際公開特許第2004083412号、国際公開特許第2004083416号、Beckerの米国公開特許第2009137018号、国際公開特許第2005003332号、Felderの米国特許公開第2005054101号、国際公開特許第2005010162号、Souzaの国際公開特許第2010036957号、Ito,et al.,Medical Application of Functionalized Magnetic Nanoparticles,JOURNAL OF BIOSCIENCE AND BIOENGINEERING 100(1):1ー11(2005)、ならびにSouza,G.R.et al.Three−dimensional Tissue Culture Based on Magnetic Cell Levitation.Nature Nanotechnol.5,291−296,doi:10.1038/nnano.2010.23(2010))。
磁気培養デバイスにおける技術の現状は、Souzaによって、国際公開特許第2010036957号、およびSouza,et al.Three−dimensional Tissue Culture Based on Magnetic Cell Levitation.Nature Nanotechnol.5,291−296,doi:10.1038/nnano.2010.23(2010)で使用された、ペトリ皿の上の単純な磁石である。単純で、原理上は少なくとも効果的だが、そのようなデバイスは、規模拡大を受け入れる余地が無く、容易に取り外され、培養条件または磁気細胞の複雑な操作が可能ではない。
Ito,et al.,Medical Application of Functionalized Magnetic Nanoparticles, Journal of Bioscience and Bioengineering 100(1):1ー11(2005)ならびに米国公開特許第2006063252号、国際公開特許第2004083412、国際公開特許第2004083416号は、単にウェルの底の外側に配置されたネオジム磁石を使用するだけである。蓋の上の磁石のように、これらは規模拡大を受け入れる余地がなく、容易に取り外され、培養条件の複雑な操作が可能ではない。
米国公開特許第2005054101号および国際公開特許2005010162号は、磁気マイクロキャリアおよび付着された細胞を移動し、位置決めし、撹拌するため、磁石を保持し、移動させるための機械を記載する。しかし、このデバイスは、顕微鏡手段と適合せず、それは、スタンドアロンの複合デバイスを必要とする。さらに浮揚された培養物に容易なアクセスも提供しないことによって、培養物を操作するのを困難にする。さらに、細胞は、単一細胞より数倍大きいマイクロキャリアの表面に最初に付着される必要があり。これは、急速に促進する自然の細胞間相互作用よりも、むしろ細胞が相互に作用する人工基質を導入する。この配設によって生成される磁場および磁場勾配はまた、比較的弱く、それらを操作するために、大量の磁性材料を収容する大きなマイクロキャリアに付着されるための細胞も必要とする。
米国公開特許第2009137018号および国際公開特許第2005003332号は、マイクロキャリアの浮揚に対する磁石の静的配置を記載する。しかし、このデバイスは、煩雑であり、規模拡大に適切ではない。また、このデバイスは、細胞が袋内に配置されることを必要とし、大きな磁石は、大きなビニール袋の上、または周りである。したがって、このデバイスは顕微鏡手段と適合しない。さらに浮揚された培養物に容易なアクセスを提供せず、培養物を操作するのを困難にする。さらに、ここでも、細胞は、マイクロキャリアの表面に最初に付着され、上述されたように人工基質を培養の中に導入する。この配設によって生成される磁場および磁場勾配は、比較的弱く、それらを操作するために、細胞が大量の磁性材料を収容する大きなマイクロキャリアに付着されることを必要とする。
磁力を用いた三次元細胞培養を使用者にとってより便利に、より柔軟に、より安全なものにするために、細胞および細胞が収容される容器に対して、適切な配向で磁石を保持するための方法および機器を改善するための強い要求がある。また、培養の間および培養の後、磁石および細胞を操作するための方法および機器に対する強い要求もある。多くの場合、フラスコ、ペトリ皿、マルチウェルプレート、ハイスループット培養システムのような一般的に使用される細胞培養容器と適合するようなシステムを有することが有利になる。
したがって、本技術において必要とされているのは、既存のロボット工学およびマイクロタイターまたはペトリプレートとともに使用することができ、単純かつ強固で容易に規模拡大され、また安価である、磁気培養デバイスおよび磁気ピペットである。さらに、このデバイスは、目的とする適用に対して調整可能である必要がある。したがって、理想的に、磁場の形状または強度は、単純で、便利で、再現可能であり、かつ無菌細胞培養技術と一致する様式で、容易に変化させることができる。
本発明は、容器の構成要素または容器と連動する別個の構成要素のいずれかとして、磁化された細胞の三次元細胞培養の容器について、適切な配向で磁石を保持するためのデバイスに関する。本発明は、また、これらの磁気細胞を操作するための磁気ピペットにも関する。
本明細書に使用される場合、「容器」または「ウェル」は、ペトリ皿、フラスコ、またはマルチウェル培養プレート等の細胞を培養するための任意の容器を指す。
「磁石」は、磁場を生成する任意の材料を参照し、永久磁石または電磁石とすることができる。
デバイスは、細胞からおよび隣接する磁石(隣接する磁石が存在するとき)から適切な距離で磁石を位置決めするように設計され、使用の間、細胞を浮揚させ、かつ/または操作し、磁石を適所に保持するために必要な磁場プロファイルを生成する。デバイスはまた、磁石を整列させ、磁石を衝突することを避けることによっても磁石の使用の安全性および容易さを向上させる。
磁石を移動させるための性能が、本発明のいくつかの実現において設計に組み込まれ、磁性材料に収容し、磁性材料に付着される細胞から培養される組織の有向の操作を可能にする。したがって、いくつかの実施形態において、細胞培養容器上の磁石の高さおよび磁石の水平位置は、容易に調節される。いくつかの場合、本発明のデバイスは、フラスコおよびペトリ皿、マルチウェルプレート、ならびにハイスループット培養システムのような一般的に使用される細胞培養容器と適合されるように設計される。
本発明の磁気ピペッターは、ペンまたはピペットのような機構で構成され、細胞は、ペンの中の磁石によって生成される磁場によって、無菌室内または無菌表面上に持ち上げられる。単純なスイッチは、磁石を細胞から十分に遠ざけ、別の位置に置かれることを可能にする。スイッチは、格納可能なボールペンと類似の機構とすることができ、あるいはより単純に、磁石は、ペンのようなデバイス(および/または磁場方向を反転して)から単に持ち上げて出すことができる。したがって、細胞(または組織)は、無菌方法で必要に応じて容易に静かに持ち上げられ、位置付けすることができる。また、マルチピペッターも提供される。さらに、別の実施形態において、磁石は、電磁石および単純な電池であり、あるいは他の電源および回路は、磁場強度およびその指向性の両方を制御する。
しかし、好ましくは、磁石は、永久磁石であり、約0.001〜2テスラの磁場強度を有する。しかし、強度は、磁気源からの距離の3乗に反比例し、したがって必要とされる磁場強度は、磁石から細胞培養までの距離に応じて変化する可能性がある。複数の磁石がアレイ状に使用される実施形態において、隣接する磁場とのいくつかの相互作用があり、したがって配置のいくつかの最適化は、適用および細胞型に対して必要とされる。
磁石は、必要とされる培養パターンに影響を与えるのに必要とされる任意の形状とすることができる。例えば、中央に穴がある磁場を確立するワッシャ状(環状)の磁石を備える、静脈および動脈を培養することにおける例に有用な、管を培養することが可能であってもよい。
好ましくは、希土類磁石が使用される。本発明の使用に適切な希土類磁石としては、ネオジム希土類磁石、サマリウムコバルト希土類磁石、Nd2Fe14B、SmCo5、Sm(Co,Fe,Cu,Zr)7、YCO5、またはそれの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
ネオジム希土類磁石は、最も強く、最も手頃な種類の永久磁石であり、一般に好ましいが、サマリウムコバルト磁石は、より高いキューリー温度(材料が磁性を消失する温度)を有し、高い滅菌温度が関与する使用のために好ましい場合がある。
希土類磁石の特定の種類は、希土類磁石がさらされてもよい条件に従って、望まれるように選択されてもよい。例えば、次の要因、すなわち、残留磁気(Br)(磁場の強度を測定する)、保磁力(Hci)(消磁されるための材料の抵抗)、エネルギー積(BHmax)(磁気エネルギーの密度)、およびキューリー温度(Tc)のうちのいずれかは、希土類磁石の種類を選択することに考慮される場合がある。一般に、希土類磁石は、他の種類の磁石より、より高い残留磁気、はるかに高い保磁力およびエネルギー積を有する。高い磁気異方性が望まれる場合、YCO5は、使用に適切かもしれない。
希土類磁石の代わりに、あるいはこれに加えて、電力による磁石が、本発明のデバイスに組み込まれてもよく、電池が、所望に応じて電力による磁石に電力を供給するために使用されてもよい。代替的に、無線周波数識別タグとともに使用されるものなどの、無線周波または他の電磁放射が活性化させる電源を、磁石に電力を供給するために使用することができる。しかし、単純性、耐久性、費用の理由により、永久磁石が好ましい。
我々は、モデリング研究および現実の実験の両方において多数の磁石を試験し、磁気のサイズ、強度、形状の選択に対する多数の原理について詳述することができる。初めに、過剰な磁石は資源の無駄であるため、磁石のサイズは、使用されるプレートのサイズよって限定される。さらに、介在するプレートカバーを使用せずに、磁石がプレートの内側に適合するように設計される場合、好ましくはウェルに触れずに、磁石が、プレートのそれぞれのウェルの内側にも適合する必要がある。二番目に、磁石の高さは、増大する磁場強度によって変化することができ、より強い磁石は、弱い磁石よりさらに遠くに保持され、一般的に磁石は、媒体またはカバー(使用される場合)を触れないようにするために、位置決めされる。これらの検討事項は、望まれる上がる高さとともに、磁石の磁石の持ち上げ高さ(どれほど磁石を離すことができ、それでもまだ細胞を持ち上げられるか)とバランスを保つ必要がある。また、磁場干渉も、多磁石ホルダを設計するうえで重要である。加えて、媒体表面形状からのメニスカス効果は、ウェル数が増大するプレートにおいてますます重要になる。
我々は、K&J MAGNETICS(登録商標)の様々なディスク状磁石を含む35mmプレートに対する候補の磁石を試験した。MM−A−32およびMM−A−20は、35mmペトリプレートに使用されたとき、望ましい浮揚結果を生じた。MM−A−32は、0.22〜0.39インチの小さなテーパー付きの皿頭用の中央穴を備える、1.26インチ(32mm)×0.32インチ(8mm)の環状磁石である。それは、Ni−Cu−Niのコーティング、軸方向極、55.1ポンドの牽引力、12,600ガウスの最大残留磁気、38MGOeのエネルギー積を備えるグレード38NdFeB磁石である。MM−A−20は、0.79インチ×0.28インチ、0.18〜0.33インチの穴を備え、非常に似ているが、より小さなサイズのため、13.20ポンドのみの牽引力、12,600ガウスの最大残留磁気、38MGOeの最大磁力密度を有する。同じ磁石は、標準の6ウェルプレート(127.76mm×85.47mm、ウェルは35.43mm×17.4mmである)に使用することができる。D42−N52、D46−N52、D48−N52は、24ウェルプレートに対して望ましい浮揚を生じた。
我々は、K&J MAGNETICS(登録商標)のD22−N52、D23、D24−N50を含む一般的な96ウェルプレートの候補の磁石も試験した。結果は、それぞれの永久磁石によって生成された勾配および磁場強度は、重要な検討事項であり、急な勾配および高い磁場強度は、磁石間の干渉を最小化するのに役立ち、良好な持ち上げおよび高さ大きくすることをさらに提供することを示す。我々の実験において、D22−N52が最も急な勾配を有し、MM−A−20およびMM−A−32に匹敵する力を生成し、96ウェル磁石ホルダにとって良好な選択であることを発見した。D22−N52は、1/8×1/8インチのディスク型磁石(穴なし)であり、0.84〜1.05ポンドの牽引力を有する。表面磁場は、6619ガウスであり、最大残留磁気は、14,800ガウスであり、エネルギー積の最大は、52MGOeである。
最後に、磁石の形状は、成長する三次元培養物の形状に影響を与えるように変化する可能性がある。例えば、環状の磁石は、環状の培養物(管を形成するように積み重ねることができる)につながる可能性があり、長い磁石は、幅より長い三次元培養物につながる可能性がある。
一般的に言えば、本発明は、ウェルの上に(または下に)適合するマッチングキャップを有する少なくとも1つのウェルであって、前記ウェルまたはキャップに装着される磁石を有する前記ウェルまたは前記キャップのうちの少なくとも1つを備える、磁気細胞培養プレートに関する。代替的に、本発明は、培養容器に適合するようにサイズ決めされる、本明細書では磁気キャップ、ホルダ、または駆動装置と呼ばれる、付着された磁石とともにキャップのみを備えることができる。一般的に、磁石は、接着剤、もしくは締結具により前記キャップに装着され、またはスナップ嵌めレセプタクル等の磁石を受け入れるように設計されるレセプタクルとスナップ嵌めされる。
磁気キャップは、容器の上または下のいずれかで使用することができ、上で使用される場合、通常の容器カバーの上に位置するか、または滅菌され、開口部がない場合、カバーの代わりに位置するかの、いずれかとすることができる。
好ましい実施形態において、キャップは、容器からの前記磁石の高さを調節するために調節可能である。他の実施形態において、キャップの上の磁石の位置も、調節可能である。1つの実施形態において、キャップは、キャップの外側または内側に適合する調節可能なカラーを有し、カラーをねじってゆるめることが、キャップの高さを大きくする効果を有するように、キャップの上の隆起または溝に適合させる溝または隆起と適合される。カラーを使用する代わりに、キャップは、伸ばすことができるネジまたは他の突出と適合することができる。これにより四角いキャップでさえ容易に調節可能になる。
キャップは、マルチウェルプレートに適合するようにサイズ決めされ、形成することができる。したがって、本発明は、アレイ状に複数のウェルと、前記複数のウェルを覆うキャップと、前記キャップに装着されるアレイ状に複数の磁石とを備える、磁気細胞培養プレートを備えることができ、これにより、前記キャップが前記複数のウェルの上の適所にあるとき、それぞれのウェルまたはウェルの一部のそれぞれのウェルが前記ウェルの上に磁石を有する。上記のように、本発明は、キャップおよび磁石のみを備えることができ、商業的に入手可能なプレート器具とともに使用することができ、キャップの高さは、調節可能とすることができる。
いくつかの実施形態において、キャップは、それぞれのウェルの上の、穴開けされた、またはその中に射出成形された、穴のあるプレートカバーにすぎず、磁気ピンを有する別個のプレートは、キャップに適合するように提供され、磁石は、程度を変えるように穴を通して突出する。この実施形態において、異なる長さまたは強度の磁気をともなう多数の別個のプレートを提供することができ、ここでも、使用者に容易にカスタマイズ可能な磁気三次元培養機器を提供する。上記のように、このプレートキャップは、細胞培養容器の上または下に使用することができる。
さらに、別の実施形態において、キャップまたは駆動装置は、プレートまたはプレートカバーから容易に取り外されることを防ぐためのリップ部を有し、1つ以上の磁石を受け取るためのくぼみをその上に有する。好ましくは、磁石は、これらのくぼみにスナップ嵌めされ、磁石を異なる磁石の強度または形状に切り換えることを可能にする。異なる磁石の形状が使用される場合、本発明は、それぞれの形状に対するアダプタを提供することができ、したがって磁石がアダプタにスナップ嵌めされること、および次に駆動装置にスナップ嵌めされることを可能にする。他の実施形態において、磁石は、例えば、接着剤によって事実上永久に装着される。
さらに、本発明の別の実施形態は、ハウジングの内側に磁石を備え、その上にオーバーキャップが適合し、このようにして細胞から磁石を分離する、磁気ピペッターである。オーバーキャップは、不活性で、滅菌可能な材料とすることができ、または特定の使用に必要に応じて薬剤(例えば、コラーゲンまたはBSA)によってコーティングすることができる。また、ハウジングは、磁気細胞を必要に応じて持ち上げ、または降ろすことができるように、磁気の高さまたは.極性のいずれかを調節するための手段を収容する。好ましい実施形態において、そのような手段は、バネもしくは他の付勢機構であり、オーバーキャップの先端部から近くか、または遠くかのいずれかに磁石を捕らえ、かつ保持するために戻り止めする。この点において、ボールペンおよびピペッターは、そのような使用に容易に適合されることができ、同上のものを記載する特許文献は、そのようなデバイスを製造するための多くの可能な機構を提供する。
電磁石を使用する実施形態において、極性は、従来の回路によって容易に逆転されるが、簡易なボールペンのようなアジャスタが低コストのため好適であるかもしれない。ペンは単一とすることができ、またはマルチピペッターの場合などのように複数の先端部および磁石を備えることができ、光源、空気堆積置換手段など、任意選択による要素を備えることができる。
好ましい実施形態において、キャップ(突出する表面)は、ピペットの先端部のような1回限りの使用の使い捨てのキャップであるが、大きな三次元培養物の移動のために適切であるように形成され、キャップはピペッター先端部の外面上スナップ嵌め、または圧入される。キャップは、より大きな培養物の移動を可能にするために、平底、フレアー状、カップ状の形状とすることができ、様々なキャップを、異なるサイズの培養物との使用のために作製することができる。
最終的に、培養物は、フレアー状のキャップでさえ、表面張力効果によって大きすぎるため移動できなくなり、突出する表面が細胞にすべり込む、例えば、磁気スプーンのような移動のための細胞にすべり込むデバイスを有することが望ましい場合があり、磁石は柔軟性のあるケーブル上に配置され、水平な突出する表面内にすべり込み、培養物をしっかりと引き付け、位置決めすることができる。
実施例1:単一ウェルキャップ磁石ホルダ
ここで、より詳細に本発明を参照すると、図1および図2において、単一ウェルの培養皿の上部または底部に適合する磁気ホルダが示される。詳細に、図1Aは、磁石2を装着した磁気ホルダ1を示す。プロトタイプ磁気ホルダまたは駆動装置1は、アクリルで作製されるが、任意のポリマー、レジン、セラミック、ガラス、または金属を使用することができる。アクリレートまたはポリカーボネート等の安価なポリマーは、耐久性があり、安価で、滅菌可能で、内容物の視覚化を可能にする透明であるので好ましい。
この例では、磁気ホルダ1は、環状の磁石2が使用される場合、プレートの内容物をそこを通して視覚化することができる穴9を有する。磁気ホルダ1は、用途および/または磁石の配向に応じて、蓋またはカバー4を備えるペトリプレート3の上に位置することができ、あるいはそれの下に位置することができる。
円形または円盤形状の磁気駆動装置1が図1に示されるが、長方形、三角形、六角形、または任意の他の形状することができる。好ましい形状は、既存の細胞培養プレートおよびフラスコと適合する。キャップ上の中心にある磁石を示すが、それはそうでなくてもよい。
磁気ホルダ1は、単一で使用することができ、または本書で示されるように既存の容器キャップ4の上に置くことができる。任意選択の開口部9は、必要な場合、培養物を撮像することを容易にするためにホルダ1に含まれる。
このキャップのサイズは、組織培養容器のサイズおよび形状ならびに保持される磁石から生じる磁場のサイズおよび強度によって異なる。例として、キャップのサイズは、外径で5mm〜100mmまで様々とすることができる。このデバイスが大量の細胞(1つの容器につき50Mを越える細胞から始める培養物等)を培養するのに使用されるものである場合、より大きな磁石を必要とする場合があり、したがってホルダは、サイズおよび形状が変わる可能性がある。
大規模の培養を必要とする用途の例は、組み換えタンパク質の生成、細胞外基質タンパク質の生成、抗原を示すタンパク質によるT細胞の活性化である。このキャップの高さは、磁石強度の機能である。より強い磁石はより高さがあるホルダを必要とする場合がある。
磁石2は、円筒形もしくは円盤形状、リングもしくはワッシャ形状、四角、三角、および同様のものとすることができるが、これらの形状に限定されない。ここでは以下に、培養の視覚化を可能にするために磁石の中に小さい穴を備えるワッシャ形状の磁石2を示す。
磁石のサイズは、用途に従って異なる。サイズの例は、外径で32mmおよび高さで6mmである。このサイズは、2mm〜100mmまで様々である可能性があるが、サイズは制限されない。磁気的に保持された磁石の組み合わせもまた、使用することができる。
図1Bは、中央に磁石2を備えて組み立てられた磁石ホルダ1を示し、この例では、ペトリ皿3の下に取り付けられ、ペトリ皿カバー4で覆われている。図1Cは、そのような3つのペトリプレート3を並べて示すが、ペトリ皿カバー4の上に磁気ホルダ1が備えられている。磁石ホルダの中心間の最小距離−l−は、ホルダサイズおよび磁石の磁気強度によって定義され、磁場が極度に干渉しないようにする必要がある。
磁石2は、接着剤でホルダ1上の適所に保持することができ、あるいはより好ましくは、ホルダ1は、磁石2がその中にスナップ嵌めすることができる取り付け具を有する。それもまた、ネジおよび同様のもの等の任意の従来の締結具で適所に保持することができる。磁石2が交換可能であることが期待される場合、ネジまたはスナップ嵌めが好ましい場合があり、したがって、形状、サイズ、および強度の容易な変化を可能にする。
磁気ホルダ1もまた、培養プレートの上に適合する、リップ部すなわち縁6により、磁石を組織培養皿に対してランダムな変位から防ぐ。要するに、磁石ホルダは、組織培養フラスコまたはペトリプレートに対して所定位置(上部または底部のいずれか)に磁石を保持する。
磁石の間の距離−l−は、組織培養フラスコのサイズおよび形状ならびに/または磁石の強度に対して定義される必要がある。より強い磁石は、それぞれの浮揚される培養物を阻害するもの、および/または組織培養皿の上部もしくは底部から浮揚される培養物を移動することができる方法でそれぞれが相互作用するものから隣接する磁石を保持するためのより大きい距離を必要とする。これもまた、指を非常に強い磁石の間で捕えられることを防ぐために、ならびに磁石が移動させられ、培養媒体が流出され、および/またはサンプルが消失される場合、サンプルの間の二次汚染を避けるために、安全上の理由で重要である。
磁気駆動装置1の使用は、培養プレートの上に限定されないが、ウェルの底部に配置される可能性がある。底部に配置されるとき、磁石ホルダは、増加した安定性を提供する。
図1Dは、6ウェルプレート7およびカバー6の上(または下)に適合するように設計される6つの磁石2を備える6ウェル磁気ホルダ1を示す。カバーの下に配置される磁石2を示したが、磁石が磁気ホルダの表面のくぼみの中に適合し、それぞれのくぼみが視覚穴を有する、プロトタイプデバイスも作製した。磁気ホルダ1は、ここに示されるようにプレートの上の適所にデバイスを保持するためのリップ部すなわち縁を有することができ、あるいは、最初のプロトタイプにおけるように底面上のいかなる突出するリップ部もない平面とすることができる。しかし、これはより安定性がより低く、リップ部が好ましい。
図1Eは、24ウェルプレートモデルを示し、磁気駆動装置および特別な蓋の両方は、存在するプレートの上、または作製されるプレートと蓋の組み合わせのいずれにも適合するように作製される。磁気駆動装置121はすでに記載されたものと類似し、磁石122を受け取るためのくぼみ129のアレイを有する、駆動装置またはホルダ121の上にアレイ状に配置される磁石122を備える。次に、エポキシ固定剤が、駆動装置上のキャビティ129上に24個のリング磁石122を接着するように使用され、このようにして、浮揚装置アセンブリを完成させ、24ウェル磁気駆動装置を形成する。これは、培養プレート123、および磁石を受け取り、プレート127の24個のウェルの内側に適合するために適合される24個のウェル126を有する特別に設計される蓋124とともに使用される。このようにして、磁石を、培養により近づけることができ、したがって細胞を浮揚し、より小さな磁石が利用されることができ、したがって隣接するウェルからの磁場干渉を最小化する。
特別な蓋は、あらかじめ滅菌されることができ、ひいてはシステムの滅菌を保つ。これは、磁石駆動装置を再使用可能し、一方、蓋は、使い捨てまたは単一使用に設計される。図1Eの磁気駆動装置および特別な蓋の概念は、6、12、24、48、96、384および/または1536個のウェルを備える標準または特別に設計されるマルチウェルプレートに適合することができる。
図2Aにおいて、浮揚する細胞を収集するための突出する表面29により変更される磁石ホルダ21が示される。この実施形態において、磁石は、使用するとき、この表面のみ媒体に接触するように、カップ状の突出する表面(しかし、表面は任意の形状とすることができる)の内側に配置される。組織培養容器24は、底面上の細胞25をともなって示される。図2Bにおいて、ホルダは、細胞25が磁石22への引力によって突出する表面29上に収集されるように、プレート24への十分近くに移動させられる。浸された表面に付着されると、細胞は、図2Cにあるように溶液から容易に除去することができる。次に、付着された細胞は、数えられ、浮揚する細胞と浮揚しない細胞との間で分離される。細胞が付着された表面は、分析、磁石を移動することによる異なるフラスコ内で培養、媒体で細胞を洗い落とすこと、または細胞をトリプシン処理することに使用することができる。さらに、デバイスは、分離し、分類し、移動させ、磁化された細胞の収率を評価するのに使用することができる。駆動装置上の突出する縁(図示せず)にこの突出する表面をスナップ嵌めまたは圧入することができ、このようにして単一使用の、あらかじめ滅菌された表面を用意し、ピペッターに押し付けられた場合のピペットの先端と同じ方法で、必要とされるときに、駆動装置上にスナップ式嵌めすることを可能にする。この実施形態において、キャップを取り出すための単純な手段もまた、提供することができる。
図3および図4は、磁気浮揚によって複数のサンプルを培養するためのマルチウェル磁石アセンブリを示す。図3の構成要素は、そこから突出する磁石32のアレイを備えるマルチウェル磁気駆動装置31である。より詳細には、このマルチウェル磁石ホルダは、アクリルまたはポリカーボネートで作成され、多数の穴が開けられ、磁石がその中に挿入されている。この例において、磁石は、接着剤または金属ホルダの内側の摩擦によって保持され、磁石を固定するために、熱溶接、スナップ嵌め、締結具、または任意の他の手段を使用することができる。
マルチウェル磁気ホルダ31は、6、12、24、48、96、384および/または1536個のウェル34を備える標準または特別に設計されたマルチウェルプレート33とともに使用することができる。マルチウェル容器内のウェルの中に下方に突出する磁石を示し、磁気ホルダ31は、いずれかの時点で、磁石を同様に浮揚するために細胞35に十分近くする必要があるため、プレートカバーなしで使用されるが、ウェル間の干渉効果を避ける。他の場合において、磁石32は、ウェルの中に突出しないように、サイズ決めすることができ、デバイスは、図3Bに示されるように、プレート磁石36と組み合わせることができる。そのような場合において、磁気ホルダ31は、プレートカバー(図示せず)とともに使用されてもよい。細胞が媒体のメニスカスに到達し、かつより小さな磁石32が浮揚を維持するための強度を有すると、この大きなプレート磁石36は、除去することができる。
図3Aには、マイクロウェルプレート33の高さである、−G−が示される。この高さは、使用される磁石の用途および/または磁気強度に応じて異なる。限定されないが、高さが約2.5mmのより短いプレートは、96、384、および1536プレートを使用するときのように、より高いスループット用途に最適であるが、これに限らない。マルチウェルプレートの長さは、−H−であり、媒体の深さは、−F−である。
磁石は、細胞を浮揚するための必要とされる磁場を提供するために、細胞に十分に近づけるためのそれぞれのウェルの内側に突出してもよい。より強い磁石によって、磁石は完全に、ウェルの上、および滅菌ウェルカバーまたは蓋の上にさえなってもよい。いくつかの実施形態において、これらのデバイスは、6、12、24、48,96、384、1536個の磁石またはこの間の任意の数から構成することができる。
図3に記載される磁気ホルダは、マルチウェルを有するプレートで使用される必要はなく、磁石42を備える磁気ホルダ41が、細胞45を浮揚するための蓋44を備える大きなペトリプレートまたは培養皿43に使用されている、図4に示されるようなより少ないウェルまたはさらには単一ウェルとともに使用することができる。必要な場合、デバイスは、磁場強度を増大させるためのプレート磁石46とともに使用することもできる。磁石42は、例えば6ウェルプレートに適合するように、必要に応じて、除去することもできる。したがって、デバイスは、磁石と同じ数のウェルを有するプレートへの使用を制限されない。
磁石間の間隔は、適所で保持され、磁場によって分離される、個別の浮揚する培養物を開始/生成する。したがって、このウェルのない構成は、マルチウェルプレートに見られるような内部の機械的な障壁がない、磁場によって定義される不可視の境界として想定することができる。個々の培養物が成長すると、それらは、互いに接触してもよく、個々の培養物間の間隔のため、向上された栄養素の流れを備える、より大きな培養物を生成するための望ましい特性である可能性がある。これは、同じ培養媒体内の複数の回転楕円体本体を生成するように使用される可能性がある。
プロトタイプの6ウェル磁気ホルダで培養される細胞の無標識監視に基づくかかる技術の原理の証明を取得し、磁石は、平らなプラスチック片の上のくぼみ内に保持され、それぞれのくぼみもまた、それを通って穴あけされた視覚穴を有する。このデバイスを使用することは、標準の二次元技術と同様に簡易であり、市場の任意の他の三次元細胞培養製品より早いことが証明された。細胞は、Nanoshuttle(商標)(細胞を磁場で浮揚することを可能にする磁気ナノ粒子を含有する、Nano3D Biosciences(商標)Inc.の占有の解決法)で処理され、特定の細胞種類のための推奨される媒体を使用する個々のウェルの中にプレート毎に分けられた。磁気駆動装置は、培養物の上に直ちに配置され、磁力は、細胞間相互作用を速やかに誘発するために、細胞を一緒に静かに浮揚し、誘導した。培養物は、標準の細胞培養の培養器内に配置され、時間をかけて三次元アセンブリが形成された。
培養アセンブリの位置は、磁気的に制御することができる。しかし、この段階に達するために必要とされるアセンブリの形態および時間の長さは、細胞によって特異的である。上皮等の一部の細胞は、層状シートを形成し、鱗状の形態を示すが、一方ヒト臍帯静脈内皮細胞等の他のものは、分岐構造を示す。浮揚された構造は、複数のサンプルを生成するために分離することができ、生存細胞は、さらなる実験のための三次元培養から除去されてもよい。特別な追加の装置は必要とされず、磁気駆動装置は、共培養および標準の撮像および診断技術と適合する。細胞を、数ヶ月間維持されることができ、毒素を培養物に導入し、何らかの悪影響があるかを検査することができる。磁気駆動装置で成長する培養物は、天然組織のモデルを提供し、様々な薬剤にさらされ、生存能力を監視される可能性がある。
図5は、組織培養フラスコに対する磁石の高さ、XYZ軸移動(側方位置決め)調節等の調節可能な磁石位置決め(XYZ軸)を備えるホルダの図面を示す。詳細には、磁気駆動装置51は、磁石52を有し、磁石は、位置決めネジ57を介して周りに移動することができる。これは、マルチウェル構成にも一般化することでき、動作の範囲は、それぞれの磁石が1つのウェルの範囲を超えて移動しないように制限されてもよい。磁気駆動装置の高さもまた、例えば、Z軸動作/制御のためのネジ付きのガイドを備えるカラー58によって調節することができる。
XY軸(水平の)調節は、磁化された細胞を横向きに移動させるために望ましい場合がある。これは、細胞が視野経路の下で蓄積し、したがって浮揚された細胞の明確な画像を遮るとき、有利または有用であり得る。この同じXY軸移動動作は、培養を阻害するのにも使用することができる。
図5において、磁石を移動させるための単純な機械的機構(ネジから生じるネジ動作)を示すが、これは電気的に(ソレノイドおよび電流、電磁気など、しかしこれに限らない)、および/磁器的に達成することもできる。追加の機構は、単一機械的動作が磁石を上昇させる、バネ式の機械的動作(照明スイッチに類似)である。この例は、浮揚された構造が培養皿の底部に落ち得るように磁場を減少し、または除去し、次に、磁気的に戻るように上昇させるのに使用することができる。
磁場を除去/減少させるための用途のうちの1つは、共焦点顕微鏡法の場合等の撮像対象物または要素により近い皿の底部で細胞を有することが望ましいとき、より高い分解能撮像のためである。より詳細には、マルチウェル設計のためには、ネジの代わりにレバーまたは他の機械的動作で動かせる可能性がある。この機構はまた、浮揚する培養物を搬送するためにも重要である。培養物を搬送するとき、媒体および細胞が磁石に近づきすぎるように、突然の動作が媒体および細胞を揺らす/まき散らすことを生じる場合、磁力は、磁石のすぐ下の表面上に細胞を引き寄せる可能性がある。次に、細胞は、その表面に付着する場合がある。磁石を持ち上げることによって、媒体および細胞がくっつくように磁石に十分に近づき、それらが磁石の下の表面にくっつくことを防ぐ。
実施例2:磁気ピペッター
図6〜図13は、磁化された細胞の操作を容易にするように設計される磁気ピペッターの異なる実施形態を示す。この磁気ペンまたは磁気ピペッターは基本的に、細胞および/または細胞の培養物が磁石に直接付着することを防ぐための非磁性の表面(プラスチック、ガラス、金属、またはテフロン(登録商標)等)、ならびに細胞を持ち上げ、配置するために、この表面に向かう、またはこの表面から離れる磁石を移動させるための機構を含む。
磁気ピペッター60の概略図および図面を示す図6の構成要素は、磁石62を保持し、移動させるためのガイド構造61を含む。この構造は、位置を制御する管、棒、またはケーブル、ならびに磁石62が非粘着性および非磁性のキャップ69内に滑らせる方法とすることができる。全体は、磁石62を、ある距離−F−だけ上昇させ、降下させるための必要とされるアクチュエータを備える適切なハウジング64内に収容される。このガイド構造は、手動で、機械的に、磁気的に、および/または電磁的に導くことができる。好ましい実施形態において、磁石は、格納可能なボールペンがバネおよび戻り止めを使用して、インクカートリッジを上下に移動させるのと同様の方法で移動させられる。プロトタイプは、この使用のためにペンおよびピペッターの両方を取り換えることにより、磁石および非接着性キャップを追加することによって、すでに作製された。「非接着性」によって、意味されることは、キャップが非接着性プレートに使用される材料等の細胞が速く付着しない材料から作製されることである。図6Bは、細胞65を持ち上げるのに使用する磁気ピペッター60を示し、これは、その後望まれるいかなる場所にも配置することができる。
磁石62は、マルチウェルプレートの用途ならびにサイズおよび/または形状に応じて、異なるサイズおよび形状とすることができる。通常、これらの磁石は、円筒形のリング、円筒形の棒、円筒形の円盤、および/または四角い棒で構成されるが、それらは、いかなるの特定の形状にも限定されない。より小さな磁石は、使用のために積み重ねることもできる。
磁石を細胞から切り離して保持するためのオーバーキャップ69は、磁石を受け取り、覆うために成形され、好ましくは滅菌可能、非接着性である。キャップは、プロトタイプにおいてテフロン(登録商標)で作製されるが、任意の不活性の、滅菌可能な材料を使用することができる。このキャップは、他の固体ポリマー、不活性ポリマー、金属、コーティングもしくは処理されたポリマー、コーティングもしくは処理された金属、金属処理された表面、ガラス、またはセラミックで作製することもできる。
平底のオーバーキャップ69を示したが、底部もまた、毛管作用または表面張力によって追加の液体を持ち上げるために、くぼみ、ウェル、またはフレアー状の縁を有することができる。さらに、磁気ピペッターは、目的とする使用に応じて、通常のピペッターにあるような少量の空気置換と組み合わされることができるが、しかし、いくつかの表面張力効果が常時存在するが、示されるものは、磁力により細胞を持ち上げる磁気デバイスである。
ここで、円筒形のオーバーキャップ69を示すが、このオーバーキャップは、長方形、三角形、および六角形を含む任意の形状、ならびに/または任意の規則的もしくは不規則な形状とすることができる。好ましくは、キャップは、断面で組織培養容器の形状を映し、ウェルより多少小さい。オーバーキャップは、交換可能であり、したがって異なる培養プレートまたは異なるサイズの培養物のための異なるサイズキャップの使用を可能にする。キャップもまた、使い捨てで、単一使用で、取り出し可能なキャップで、ピペットの先端部に酷似とすることができるが、ピペットの先端部は、閉鎖底部または先端部を有するために変更されてきた。
図7は、磁石72、オーバーキャップ79、磁石72に付着されたガイド棒77、捕獲または放出動作のための押しボタン76、およびバネ78を備えるバネ式の磁気細胞ホルダ70を示す。図7Bは、3つの磁気先端部を有するマルチピペッターを示し、図7Cは、培養プレート74から細胞75を持ち上げて、使用中のデバイスを示す。
図8は、マルチ磁気ピペッター80の変形の実施形態を示し、これは、第2のアクチュエータ83を作動させるための棒87を駆動し、バネ88を圧迫する単一のボタン86によって作動され、これにより83を押し下げ(矢印参照)、くぼんだ、キャップ84の内側に示される磁石82を各々有する一連の平行なピペッターそれぞれを作動させ、このようにして細胞85を持ち上げることができる。デバイス全体は、ハウジング89に収容され、任意の好適な形状とすることができる。
磁気ピペッターは、ロボットアームに連結されることができ、6、12、24、48、96、384および/または1536等の標準または特別に設計されたマルチウェルプレートを使用して、ハイスループット細胞培養に使用される。
図9は、磁気細胞ホルダ90を連結される光ファイバーの断面を示し、磁石を移動させるためのアクチュエータは、簡潔さのため省略される。それは、細胞移動表面としての使用のために光ファイバー91、非接着性、および非磁性キャップ94を含む。磁石92は、このキャップ93内に出入り(−E−)するように、適合し、かつ滑ることができ、ハウジング99内に収容される。光ファイバー91は、リング磁石92を通って中央に適合する。その底部における光学窓93は、細胞が磁気的に保持され、かつ光が搬送され、収集される。この窓はまた、特定の光の波長を収集するための光フィルタも備える可能性がある。図9Bは、磁気細胞ホルダに連結される光ファイバーの底面図である。
より詳細には、この光ファイバーが連結された磁気細胞ホルダは、蛍光発光、化学発光、光散乱(弾性、ラマン、表面増強ラマン)から生じる光を収集するために使用することができる。光信号は、細胞、ナノ粒子、分泌タンパク質、および/または磁化された三次元細胞培養物の近くにある化学基質から生じる可能性がある。これは、細胞の数、細胞の生存、細胞増殖等を評価するのに使用することができる。
図10は、再現可能な方法で複数の培養物を接触させるための端部でさらに複雑なキャップを備える磁気細胞ホルダ100の断面を示し、ホルダの上部は、ここでも簡潔さのため省略される。図10において、磁石は、102であり、キャップ107は、フレアー状の端部を有する。磁石は、キャップまたはキャップ109のガイド部の内側で上下に滑るが、キャップ基部106によって細胞105に接触しないようにさせられ、細胞に接触し、細胞を移動させる非接着性表面である。
キャップは、凹状およびカップ状(これらに制限されない)等の囲む形状を生成して、ここでフレアー状の縁を有し、細胞を確保し、三次元細胞培養物を表面張力によりカップ形状の内側に移動することができるが、空間は、一般的な狭い先端部のピペットでおそらく生じるように、発生期の三次元細胞培養の構造を阻害しないために十分に大きい。
図11の構成要素は、細胞から磁石132を分離するための非接着性および非磁性キャップ139を含む、針、中空シリンダ、またはカテーテルに覆われた磁気ホルダの概略を示す。磁石132は、このキャップ139の中に可逆的に適合することができ、棒137の端部で発見され、キャップ139の中に磁石132を上昇および降下させるアクチュエータ(図示せず)に接続する。そのような手段は一般的に、ボタンまたはレバー、バネまたは他の付勢力、および戻り止めまたは突出部を含む。
針またはカテーテル136の中にこれらの構成要素を適合することは、デバイスを様々な材料に穴を開けるのに使用されることを可能し、このようにしてインビボ位置(例えば、心筋の内側)に細胞の移動のためのような非常に小さい場所に細胞を配置する。中空シリンダまたは針136はまた、デバイスを三次元の異なる領域からの細胞の抽出、磁化された細胞を搬送するインビボ位置からの磁化された細胞の抽出、および/または磁化された細胞を搬送する三次元培養物上の傷または穴を生成するための細胞の抽出等の三次元培養物から磁化された細胞を摘出するのに使用されることも可能にする。
ここで、ピペットの先端部にあるように縁の外側を超える代わりに針136の内側に適合するキャップ139を示すが、いずれの方法も可能である。しかし、内側に適合することは、これが穴開け工程の間、キャップ139を針136(格納された位置は図示せず)の内側に上方に滑らせる(格納する)ことを可能にするため、好ましい。格納の手段は、示されないが、例えば格納可能なペンおよびピペットにおいて、当技術で周知であり、一般的にくぼんだ位置に棒を保持するために押し下げ可能なボタン、バネまたは他の付勢力、および戻り止めまたは突出部を含む。棒/磁石アクチュエータおよびキャップアクチュエータ手段は、組み合わせることができ(二色の格納可能なペンのように)、二重の戻り止め、バネ等、および二重のボタン等は、2つの構成要素の独立した作動を可能にする。
これらの例は、例示的であるに過ぎず、添付の特許請求の範囲により定義される本発明を不当に制限することを意図しない。