JP2005310633A - 燃料電池用セパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】 構成部品点数を低減して生産性を向上するとともに、ガス流路を良好に確保可能な燃料電池用セパレータを提供すること。
【解決手段】 セパレータ10は、第1および第2セパレータ本体11,12とガス流路形成部材20とから構成される。本体11,12は、その外周縁部分が凸形状とされるとともに中央部分に窪み部11b、12bが形成されている。部材20は、エキスパンドメタルEMに筋状凹部21と筋状凸部22が成形されて形成されている。そして、セパレータ10は、本体11,12の窪み部11b、12b内に部材20が収容されて構成されている。これにより、ガス流路を、別部材を設けることなく、良好に形成することができる。また、セパレータ10同士が本体11,12の凸形状部分で当接して積層されるため、スタック構成時の寸法変化を極めて小さくできて、良好なガス流路を維持できる。
【選択図】 図2
【解決手段】 セパレータ10は、第1および第2セパレータ本体11,12とガス流路形成部材20とから構成される。本体11,12は、その外周縁部分が凸形状とされるとともに中央部分に窪み部11b、12bが形成されている。部材20は、エキスパンドメタルEMに筋状凹部21と筋状凸部22が成形されて形成されている。そして、セパレータ10は、本体11,12の窪み部11b、12b内に部材20が収容されて構成されている。これにより、ガス流路を、別部材を設けることなく、良好に形成することができる。また、セパレータ10同士が本体11,12の凸形状部分で当接して積層されるため、スタック構成時の寸法変化を極めて小さくできて、良好なガス流路を維持できる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、燃料電池、特に燃料電池に採用されるセパレータに関する。
従来から、例えば、下記特許文献1に示すような燃料電池は知られている。この燃料電池は、金属製の薄板で構成されていて、略中央部分にプレス加工による複数の平行な波形状の溝が表裏に形成されたセパレータを備えている。また、セパレータには、前記略中央部分の表裏に形成された溝を囲んで、ガスをシールするシール部材が表裏に配置されている。このように、セパレータを表裏からシール部材によって狭持する構成とすることにより、燃料電池をコンパクト化するようになっている。
また、従来から、例えば、下記特許文献2に示すような燃料電池のセパレータは知られている。この燃料電池のセパレータは、平板状の第1部材(カーボン)と、この第1部材に積層され、燃料電池の電極層に弾性的に接触させられるとともにガス流路を形成する複数の突片を有する第2部材(金属板)とから構成されている。そして、第2部材の複数の突片によって形成されたガス流路は、突片の周囲や内側に存在する空間とされていて、流入したガスがあらゆる方向に立体的に連通するようになっている。このため、ガス流路を流れるガスの反応効率が高まるとともに電極層に対するガス拡散性がより均一化することによって、燃料電池の発電効率を向上するようになっている。
特開平11−354142号公報
特開2002−184422号公報
上記特許文献1および特許文献2に示した従来のセパレータにおいては、その表裏にシール部材(フレーム)を配置し、この部材によって囲まれた部分にセパレータの略中央部分に形成された波形状の溝や金属板に形成された突片を配置してガス流路を形成する必要があり、部品点数が増大して燃料電池の製造コストが増大する可能性がある。また、良好にガスを導通させるとともに電極層によって発電された電気を効率よく集電するためには、シール部材(フレーム)の寸法精度、特に、厚さの寸法精度を良好に確保する必要がある。すなわち、シール部材(フレーム)の厚さ寸法が大きすぎると(厚すぎると)、特に特許文献1に示した燃料電池においては形成した波形状の溝と電極層との接触が十分に確保できず、導入されたガスが波形状の溝内を適正に導通できない場合がある。また、電極層との接触が不十分である場合には、電極層と波形状の溝または複数の突変との間の集電抵抗が増加し、効率よく発電された電気を集電できない場合がある。一方、シール部材(フレーム)の厚さ寸法が小さすぎる(薄すぎると)、電極層と形成された波形状の溝や複数の突片とがスタック組立て時に過剰な力で接触し、電極層、波形状の溝や複数の突片が劣化(へたり)が生じてガス流路が適正に確保できない場合がある。
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、構成部品点数を低減するとともに、ガス流路と集電性能を良好に確保可能な燃料電池用セパレータを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、平板の外周縁部分にて、同平板の一面側に突出する凸形状が形成されて、前記燃料ガスと酸化剤ガスとを分離して混流を防止するセパレータ本体と、前記セパレータ本体と前記電極層との間にて前記ガス流路を形成するとともに前記電極構造体によって発電された電気を集電するガス流路形成部材とを備え、前記ガス流路形成部材が、前記セパレータ本体の外周縁部分に形成された凸形状によって前記セパレータ本体の略中央部分に形成された窪み形状内に配置されて構成されることにある。
これによれば、セパレータ本体に凸形状が形成されることによって形成される窪み形状内にガス流路形成部材を配置することができるため、ガス流路を形成するためのシール部材(フレーム)を別途設ける必要がない。このため、部品点数を低減することができて、燃料電池の製造コストを低減することができる。また、セパレータ本体に形成された凸形状と、積層される他のセパレータ本体に形成された凸形状とを互いに当接させることにより、例えば、樹脂などによって形成されるシール部材やフレームに比して、スタックの組立てに必要な締め付け力や経年変化による寸法変化を極めて小さくすることができる。これにより、ガス流路形成部材によって形成されるガス流路が常に良好に確保されるため、電極層に対して、良好に燃料ガスまたは酸化剤ガスを供給することができる。したがって、供給ガス量の低下に伴う電極層の電極反応効率を低下させることがなくて、燃料電池の発電効率を長期にわたり維持することができる。また、セパレータをセパレータ本体とガス流路形成部材とから形成することにより、例えば、それぞれの部材の成形形状に応じて、成形性の良好な材料をそれぞれ選択することができる。これにより、各部材の製造設備の簡略化が可能となり、製造コストを低減することができる。
また、ガス流路形成部材は、多数の貫通孔を有している。これにより、外部から導入されたガスは、ガス流路形成部材の貫通孔を通過することにより、電極層に接触するガスのガス濃度勾配を均一とすることができる。したがって、電極層の電極反応領域を大幅に向上させることができ、燃料電池の発電効率を大幅に向上させることができる。
また、本発明の他の特徴は、前記平板の他面側であって前記セパレータ本体の窪み形状に対応する位置にて、さらに、ガス流路形成部材を配置する構成とし、前記セパレータ本体の窪み形状に対応する位置にて配置されるガス流路形成部材は、その幅方向の寸法が前記セパレータ本体の幅方向の寸法と略同一の寸法に形成されるとともに前記ガス流路を前記セパレータ本体の前記幅方向に形成しており、電極層に対して、前記燃料ガスまたは酸化剤ガスの一方を前記セパレータ本体の前記幅方向から供給することにもある。
これによれば、セパレータ本体に形成された窪み形状の裏面側に配置されたガス流路形成部材が、セパレータ本体の幅方向の寸法と略同一の幅方向の寸法とされるため、燃料電池の外部と連通した状態で燃料電池を構成することができる。これにより、外部と連通したガス流路形成部材が酸化剤ガスとして例えば空気を電極層に供給する場合には、同ガス流路形成部材は、燃料電池の側面から直接空気を導入することができ、また未反応の空気を直接外部に排出することができる。このため、燃料電池内に別途空気をガス流路形成部材まで供給するためのインナーマニホールドやガス流路形成部材から未反応の空気を排出すためのインナーマニホールドを設ける必要がなく、燃料電池を小型化することが可能となる。また、外部から直接酸化剤ガス(空気)を給排することができるため、その導通距離を短縮することができて、酸化剤ガス(空気)を導通する際の圧力損失を低減することもできる。
また、これらの場合、前記ガス流路形成部材は、連続的に成形された筋状の凹部と筋状の凸部とを有して構成されるとよい。また、前記連続的に成形された筋状の凹部と筋状の凸部の成形方向断面における前記筋状の凹部と筋状の凸部の成形幅のうちの一方が幅広に形成されていて、この幅広に成形された筋状の凹部または筋状の凸部を前記電極層に接触させるとよい。また、前記ガス流路形成部材は、多数の小径の貫通孔が網目状に形成された後に平板状に成形されたエキスパンドメタルから形成されるとよい。さらに、前記幅広に形成された凹部または凸部は、前記電極層の表面に設けられた導電性を有する繊維を介して、前記電極層に接触するとよい。
これらによれば、ガス流路形成部材に対して、連続的に筋状の凹部および筋状の凸部を成形して、ガス流路を形成することにより、ガスの導通に伴う抵抗すなわち圧力損失を大幅に低減することができる。このため、ガスをスムーズに導通させることができて、ガスと電極層との反応を促進することができる。したがって、これによっても、燃料電池の発電効率を大幅に向上することができる。一方で、圧力損失を大幅に低減することにより、ガスが導通する部分の開口面積を小さくすることもできる。これにより、燃料電池をコンパクトにすることができる。また、ガスの圧力損失が低減されることにより、電極層の電極反応によって生成される水が、電極反応で利用されなかった未反応ガスによって効率よく外部に排出される。このため、生成された水によって、ガス流路が塞がれることを防止できる。
また、ガス流路形成部材の筋状の凹部および筋状の凸部の成形幅のうち、幅広に成形された筋状の凹部または筋状の凸部と電極層とを接触させることにより、ガス流路形成部材と電極層との接触面積が大きくすることができる。また、ガス流路形成部材が多数の小径の貫通孔を有することにより、単位体積当たりの表面積すなわち電極層との接触面積を大きくすることもできる。このため、ガス流路形成部材と電極層との間に生じる集電抵抗を極めて小さくすることができ、電極層の電極反応によって発電された電気の集電効率を大幅に向上させることができる。
また、ガス流路形成部材を、多数の小径の貫通孔が網目状に形成されたエキスパンドメタルから形成することができる。このエキスパンドメタルは、平板状の薄肉金属板に対して、順次千鳥配置の切れ目を加工するとともに加工した切れ目を押し延ばすことによって、網目状の小径の貫通孔が形成されるものである。このため、例えば、打ち抜き加工によって形成される他の材料(例えば、パンチングメタルなど)に比して、歩留まり性が極めて良好であり、製造コストを低減することができる。したがって、このエキスパンドメタルからガス流路形成部材を形成することにより、燃料電池の製造コストを低減することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記セパレータ本体は、少なくとも前記窪み形状内に前記燃料ガスまたは酸化剤ガスを導入するための貫通孔が形成されており、前記平板の他面側であって前記形成された貫通孔に対応する位置に配置されるとともに前記貫通孔と連通する貫通孔が形成されて、前記セパレータ本体に積層される他のセパレータ本体との間で導通する前記燃料ガスまたは酸化剤ガスを気密的にシールするフレームを設けたことにもある。これによれば、燃料電池内に燃料ガスや酸化剤ガスを供給・排出するためのインナーマニホールドを気密性よく形成することができ、電極層に対して、効率よく燃料ガスまたは酸化剤ガスを供給することができる。
さらに、本発明の他の特徴は、前記平板の一面側に突出する凸形状によって前記平板の他面側に形成される空間内部に充填される充填部材を設けたことにもある。これによれば、燃料電池スタックの組立てに必要な締め付け力に応じて、適宜充填部材を採用することができ、同締め付け力によるセパレータ本体の寸法変化を効果的に防止することができる。したがって、ガス流路形成部材によって形成されるガス流路が常に良好に確保されるため、電極層に対して、良好に燃料ガスまたは酸化剤ガスを供給することができる。
以下に、本発明の第1実施形態に係る燃料電池用セパレータ10(以下、単にセパレータ10という)を図面を用いて説明する。セパレータ10は、図1に示すように、隣接するセパレータ10間に、ガス流路形成部材20、電解質膜EF、アノード電極AEおよびカソード電極CEが積層されて構成される膜−電極アッセンブリ(Membrane-Electrode Assembly以下、MEAという)が配置された状態で積層される。なお、MEAのアノード電極AEおよびカソード電極CEの表面は、導電性を有する繊維状のカーボンクロスCCによって覆われている。そして、隣接するセパレータ10同士は、図示しない接着層を介して、互いに接合されることによって単セルを形成し、同単セルが多数積層されることにより固体高分子型燃料電池のスタックを構成する。
また、隣接するセパレータ10同士は、MEAの電解質膜EFを狭持して積層されており、一方のセパレータ10がアノード電極AEに燃料ガス(例えば、水素ガス)を供給し、他方のセパレータ10がカソード電極CEに酸化剤ガス(例えば、空気)を供給する。ここで、酸化剤ガスには、MEAによる電極反応によって発生する反応熱を冷却するとともにMEAに適度な水分を有するように水のミストが含まれる場合がある。このように、隣接するセパレータ10同士が電解質膜EFを狭持することにより、燃料ガスと酸化剤ガスが混合されないようになっている。なお、燃料電池の詳細な構造については、本発明に直接関係しないため、その詳細な説明を省略する。
セパレータ10は、図2に示すように、第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12を備えており、第1セパレータ本体11と第2セパレータ本体12間に第1フレーム13および第2フレーム14を狭持して一体的に構成される。そして、これらの各部材は、かしめリング15によってかしめられて、図3に示すように、セパレータ10が形成される。
第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12は、ともに同一の構造とされていて、その一側にて燃料電池スタックの外部から供給される燃料ガスまたは酸化剤ガス(以下、これらをまとめて単にガスともいう)をMEAのアノード電極AEまたはカソード電極CEに供給する。そして、第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12は、その他側にて、互いに当接されて、セパレータ10の外形を形成する。
これら第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12は、薄肉の金属板11a,12a(例えば、板厚が0.1mm程度のステンレス板など)から形成されており、この金属板11a,12aの略中央部分には、所定深さ(例えば、0.5mm程度)の窪み部11b、12bが形成されている。なお、金属板11a,12aとしては、他に、例えば、金めっきなどの防錆処理を施した鋼板などを採用することができる。また、本実施形態においては、第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12を金属板11a,12aから形成するように実施するが、これに代えて、第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12をカーボンなどから形成することも可能である。
そして、窪み部11b、12b内には、導通部を構成するガス導入口11c,12cと、同導入口11c,12cと対向する位置にガス排出口11d,12dが形成されている。ガス導入口11c,12cは、略長楕円とされた貫通孔であり、燃料電池スタックの外部から導入されたガスを窪み部11b、12b内に取り込むとともに、積層された他のセパレータ10にガスを流通する。ガス排出口11d,12dも、略長楕円とされた貫通孔であり、MEAのアノード電極AEまたはカソード電極CEにて未反応のガスを窪み部11b、12b外に排出するとともに、積層された他のセパレータ10からの未反応のガスを流通する。
また、第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12の金属板11a,12aには、導通部を構成するガス導通口11e,12eと、同道通口11e,12eと対向する位置にガス導出口11f,12fが形成されている。ガス導通口11e,12eは、略長楕円とされた貫通孔であり、燃料電池スタックの外部から導入されたガスを他側に隣接する第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12のガス導入口11c,12cに流通するとともに、積層された他のセパレータ10に対して燃料ガスまたは酸化剤ガスを流通する。ガス導出口11f,12fも、略長楕円とされた貫通孔であり、他側に接する第1セパレータ本体11または第2セパレータ本体12のガス排出口11d,12dからの未反応のガスを流通するとともに、積層された他のセパレータ10からの未反応の燃料ガスまたは酸化剤ガスを流通する。
また、第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12の金属板11a,12aの外周縁部分には、窪み部11b、12bの形成方向に所定長さ(例えば、0.5mm程度)だけ略直角に折り曲げられた折曲部11g,12gが形成されている。そして、折曲部11g,12gの先端部分は、第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12の外方に折り曲げられていて、フランジ部11h,12hが形成されている。そして、窪み部11b、12b(詳しくは、窪み部11b、12bの立設面)、折曲部11g,12gおよびフランジ部11h,12hによって、金属板11a,12aの外周縁部分に凸形状が形成される。
第1フレーム13および第2フレーム14は、ともに同一の構造とされていて、第1セパレータ本体11または第2セパレータ本体12にその一側にて固着されて、セパレータ10のガス導入口11c,12cおよびガス排出口11d,12dを導通するガスをシールするものである。このため、第1フレーム13および第2フレーム14は、第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12の外形寸法と略同一の外形寸法とされるとともに、窪み部11bまたは窪み部12bの所定深さと略同一の板厚とされた薄肉の樹脂板本体13a,14aから成形されている。なお、樹脂板としては、例えば、ポリカーボネートやガラスエポキシ樹脂などを採用することができる。
そして、樹脂板本体13a,14aの略中央部分には、窪み部11b、12bの外形と相似形であり、窪み部11b、12bの外形寸法に比して僅かに大きい収容孔13b,14bが形成されている。また、樹脂板本体13a,14aには、第1セパレータ本体11または第2セパレータ本体12の窪み部11b、12bを収容した状態で、ガス導通口11e,12eおよびガス導出口11f,12fの各貫通孔に対応する位置に、同各貫通孔の形状と略同一の形状とされた貫通孔13c,13d,14c,14dが形成されている。
ここで、収容孔13b,14bおよび貫通孔13c,13d,14c,14dは、板厚管理された樹脂板本体13a,14aに対して、例えば、打ち抜き成形を施すことにより形成される。なお、第1フレーム13および第2フレーム14は、収容孔13b,14bおよび貫通孔13c,13d,14c,14dを有するように、例えば、射出成形によって成形可能であることはいうまでもない。
かしめリング15は、第1セパレータ本体11、第1フレーム13、第2フレーム14および第2セパレータ本体12が順に積層された状態で、これらを一体的にかしめるものである。かしめリング15は、ガス導入口11c,12c、ガス排出口11d,12d、ガス導通口11e,12eおよびガス導出口11f,12fの開口寸法に比して僅かに小さい外形寸法を有しており、各開口の形状と相似の形状とされている。そして、かしめリング15は、図3のA−A断面およびC−C断面を示した図4(a)および(c)に示すように、その端部が外方(第1セパレータ本体11と第2セパレータ本体12の表面に接触する方向)に折り曲げられる。これにより、かしめリング15は、第1セパレータ本体11、第1フレーム13、第2フレーム14および第2セパレータ本体12を一体的にかしめる。
このように構成されたセパレータ10は、その窪み部11b、12b内にて、外部から供給された燃料ガスまたは酸化剤ガスをMEAに効率よく接触させるとともに電極反応によって発電された電気を集電するガス流路形成部材20を収容する。ガス流路形成部材20は、図5に示すように、多数の小径の貫通孔が網目状に形成された薄肉金属板(以下、この薄肉金属板をエキスパンドメタルEMという)から形成される。このエキスパンドメタルEMは、例えば、板厚が0.1mm〜0.2mm程度のステンレス板(例えば、フェライト系ステンレス)であって、多数形成される孔径が0.1mm〜1mm程度とされている。ここで、エキスパンドメタルEMについては、周知の成形方法によって製造されるものであるが、以下に簡単に説明しておく。
図6(a)〜図6(c)は、エキスパンドメタルEMの製造工程を概略的に示している。エキスパンドメタルEMは、図6(a)に示すように、素材S(薄肉金属板)を送りローラORによって上刃UDおよび下刃LDからなる刃型Dに送る。刃型Dの上刃UDおよび下刃LDの刃部は、図6(b)に拡大して示すように、素材Sに対して千鳥配置に切れ目を順次加工するように形成されている。そして、上刃UDは、上下動することにより、素材Sに対して順次千鳥配置の切れ目を加工するとともに、下降位置にて加工した切れ目を押し延ばし、素材Sに段状の網目を形成する(この段状の網目が形成された素材SをランスカットメタルRMという)。
次に、段状の網目が形成されたランスカットメタルRMは、図6(c)に示すように、圧延ローラARによって平面状に圧延される。このように、ランスカットメタルRMが圧延されることにより、ランスカットメタルRMの段を形成しているストランドやボンド部が略平板状とされる。これにより、図5に示すような、所定の孔径を有したエキスパンドメタルEMが製造される。なお、エキスパンドメタルEMの製造については、上記製造方法に限定されることなく、他の製造方法を利用して製造可能であることはいうまでもない。
また、本実施形態においては、エキスパンドメタルEMを採用してガス流路形成部材20を形成するように実施するが、他の多孔板(例えば、所謂パンチングメタルなど)を採用して実施することも可能である。しかしながら、例えば、パンチングメタルを製造する際には、打ち抜き成形により薄肉金属板に貫通孔を形成するため、材料の歩留まりが悪化する。このため、切れ目を押し延ばすことにより材料の歩留まりが良好なエキスパンドメタルEMを採用することが望ましい。
そして、ガス流路形成部材20は、上記したエキスパンドメタルEMに対して、成形幅が幅広の筋状凹部21と、同筋状凹部21の成形幅に比して小幅の筋状凸部22とが成形されて構成される。以下、この筋状凹部21および筋状凸部22の成形について説明する。図7(a)〜(c)は、エキスパンドメタルEMに筋状の凹凸部を成形する筋状凹凸部成形工程を概略的に示している。この筋状凹凸部成形工程は、エキスパンドメタルEMの幅方向(図7において紙面垂直方向)全体に対して、筋状凹部21を成形するための凹部および筋状凸部22を成形するための凸部が形成された下型SGと、上下動可能とされて下型SGに形成された凹部に進入してエキスパンドメタルEMに筋状凹部21および筋状凸部22を成形するパンチPと、同パンチPの成形中においてエキスパンドメタルEMを固定する先行パッドSPとを備える筋状凹凸部成形機を利用する。
筋状凹凸部成形工程は、まず、図7(a)に示すように、前回の成形サイクルにより成形された筋状凹部21および筋状凸部22を一段送り、下型SG上に載置する。続いて、図7(b)に示すように、先行パッドSPを、前回の成形サイクルにより成形した筋状凹部21方向に下降させて、エキスパンドメタルEMを下型SGとともに狭持して固定する。このように、エキスパンドメタルEMを固定した状態で、図7(c)に示すように、パンチPを、下型SGに形成された凹部方向に、エキスパンドメタルEMとともに下降させることによって、エキスパンドメタルEMに筋状凹部21および筋状凸部22が成形される。
このように、図7(a)〜(c)によって概略的に表される成形サイクルを繰り返すことにより、エキスパンドメタルEMに筋状凹部21および筋状凸部22を連続的に成形することができる。なお、図7(c)に示す工程において、矢印で示す方向にエキスパンドメタルEMを送ることによって、筋状凹部21および筋状凸部22の成形に際して、例えば、エキスパンドメタルEMの割れや破れを効果的に防止することができる。また、略平板状としたエキスパンドメタルEMに筋状凹部21および筋状凸部22を成形することにより、筋状凹部21および筋状凸部22を正確に成形することができる。
この筋状凹凸部成形工程によって筋状凹部21および筋状凸部22が連続的に成形されたエキスパンドメタルEMは、所定長さおよび所定幅となるように、詳しくは、後述するMEAのアノード電極AEまたはカソード電極CEの大きさと略同一の大きさの正方形となるように切断されて、ガス流路形成部材20が形成される。そして、ガス流路形成部材20は、セパレータ10の窪み部11b、12bに収容される際には、セパレータ10間に配置されるMEAのアノード電極AEおよびカソード電極CEに対して、筋状凹部21が接触するように収容される。
また、セパレータ10は、ガス流路形成部材20を窪み部11b、12bに収容した状態で、図8に概略的に示すように、隣接するセパレータ10間にMEAを配置して積層される。このセパレータ10の積層において、セパレータ10のかしめリング15の折り曲げ部分は、第1セパレータ本体11または第2セパレータ本体12の窪み部11b、12b内に収容される。このため、隣接するセパレータ10同士は、かしめリング15の折り曲げ部分を逃がした状態で積層されるため、燃料電池スタックをコンパクトにすることができる。
このように、セパレータ10、ガス流路形成部材20およびMEAが積層された燃料電池スタックにおいては、外部から燃料ガスが導入されると、燃料ガスは、第1セパレータ本体11のガス導入口11cから窪み部11b内に取り込まれる。このとき、燃料ガスの一部は、ガス導入口11cを通過して第2セパレータ本体12のガス導通口12eに流れて、隣接するセパレータ10の第1セパレータ本体11のガス導入口11cに燃料ガスが供給される。
ガス導入口11cによって窪み部11b内に取り込まれた燃料ガスは、ガス流路形成部材20を通過する。これにより、燃料ガスは、ガス流路形成部材20の上面側に配置されたアノード電極AEに供給される。そして、アノード電極AEにて未反応の燃料ガスは、ガス排出口11dに流れて、燃料電池スタックの外部に排出される。
また、燃料電池スタックの外部から酸化剤ガスが導入されると、酸化剤ガスは、第1セパレータ本体11のガス導通口11eを通って第2セパレータ本体12のガス導入口12cに流れる。そして、酸化剤ガスは、ガス導入口12cによって窪み部12b内に取り込まれる。このとき、酸化剤ガスの一部は、ガス導入口12cを通過して隣接するセパレータ10の第1セパレータ本体11のガス導通口11eに酸化剤ガスが供給される。
ガス導入口12cによって窪み部12b内に取り込まれた酸化剤ガスは、ガス流路形成部材20を通過する。これにより、酸化剤ガスは、ガス流路形成部材20の上面側に配置されたカソード電極CEに供給される。そして、カソード電極CEにて未反応の酸化剤ガスは、ガス排出口12dに流れて、燃料電池スタックの外部に排出される。
また、燃料ガスまたは酸化剤ガスが窪み部11b、12b内に導入されると、導入された燃料ガスまたは酸化剤ガスは、ガス流路形成部材20によって、そのガス濃度勾配が均等化されて窪み部11b、12b内を導通する。これを、図9を用いて、以下に詳細に説明する。
図9(a)は、薄肉金属板に筋状のガス流路が形成されて従来から一般的なセパレータを用いた単セルを比較のために概略的に示している。この単セルにおいては、導入された燃料ガスまたは酸化剤ガスが、ガス流路を介して、MEAのアノード電極またはカソード電極に供給される。このとき、アノード電極およびカソード電極の電極反応領域は、ガスがガス流路の壁面を通過(透過)することができないため、ガス流路近傍の領域に限定される。この結果、全電極反応領域に対し有効な電極反応領域が小さい、言い換えると、全電極反応領域に対してガス濃度勾配が不均一であるため、電極反応効率の向上が望めない。
これに対して、本実施形態に係るガス流路形成部材20は、上述したように、多数の小径の貫通孔が網目状に形成されたエキスパンドメタルEMを用いていて、同エキスパンドメタルEMに筋状凹部21および筋状凸部22を連続的に成形して形成されている。このため、ガス流路形成部材20が窪み部11b、12b内に収容された状態では、例えば、筋状凹部21に導入された燃料ガスまたは酸化剤ガスが、図9(b)に概略的に示すように、多数の貫通孔を通過して、窪み部11b、12bの全体に広がることができる。これにより、窪み部11b、12b内のガス濃度勾配が均一化され、アノード電極AEおよびカソード電極CEの電極反応領域は、形成したアノード電極AEおよびカソード電極CEの全面となる。この結果、有効な電極反応領域を充分に確保することができ、アノード電極AEまたはカソード電極CEが供給された燃料ガスまたは酸化剤ガスと効率よく電極反応することにより、電極反応効率を向上させることができる。
また、ガス流路形成部材20は、薄肉のエキスパンドメタルEMに筋状凹部21および筋状凸部22が形成されているため、窪み部11b、12b内を導通する際のガスの抵抗すなわち圧力損失を低減することができる。さらに、窪み部11b、12b内に導入されたガスが多数の小径の貫通孔を通過する際に抵抗も小さくすることができる。このように、窪み部11b、12b内を導通するガスは、スムーズに導通することができるため、ガスとアノード電極AEおよびカソード電極CEとの反応を促進することができ、燃料電池の発電効率を向上させることができる。
一方で、電極反応の反応効率が向上すると、MEAによって、効率よく電気が発電される。この発電された電気は、ガス流路形成部材20、第1セパレータ本体11または第2セパレータ本体12を介して、燃料電池外部に取り出される。このとき、ガス流路形成部材20は、MEA(詳しくはカーボンクロスCC)に対して接触面積が大きくなるように、筋状凹部21にて接触するように窪み部11b、12b内に収容される。また、ガス流路形成部材20の全体に対して、均等に多数の小径の貫通孔が形成されていることによっても、単位体積当たりの表面積すなわちMEAとの接触面積が大きくなる。このように、ガス流路形成部材20に対して微細で多数の接触部分を全体に均等に存在させて、MEAとの接触面積を大きくすることにより、MEAで発電された電気を集電する際の抵抗(集電抵抗)を極めて小さくすることができ、発電された電気を効率よくすなわち集電効率を向上させて集電することができる。
以上の説明からも理解できるように、この第1実施形態によれば、第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12に凸形状が形成されることによって形成される窪み部11b、12b内にガス流路形成部材20を配置することができるため、ガス流路を形成するためのシール部材(フレーム)を別途設ける必要がない。このため、部品点数を低減することができて、燃料電池の製造コストを低減することができる。
また、第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12に形成された凸形状と、積層される他のセパレータ10の第1セパレータ本体11または第2セパレータ本体12に形成された凸形状とを互いに当接させることにより、例えば、樹脂などによって形成されるシール部材やフレームに比して、スタックの組立てに必要な締め付け力や経年変化による寸法変化を極めて小さくすることができる。
これにより、ガス流路形成部材20によって形成されるガス流路が常に良好に確保されるため、MEAのアノード電極AEまたはカソード電極CEに対して、良好に燃料ガスまたは酸化剤ガスを供給することができる。したがって、供給ガス量の低下に伴うMEAの電極反応効率を低下させることがなくて、燃料電池の発電効率を長期にわたり維持することができる。また、第1セパレータ本体11,12とガス流路形成部材20とを別部材として形成することにより、例えば、それぞれの部材の成形形状に応じて、成形性の良好な材料をそれぞれ選択することができる。これにより、各部材の製造コストを低減することができる。
また、第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12間に第1フレーム13および第2フレーム14を積層することにより、燃料電池内に燃料ガスや酸化剤ガスを供給するためのインナーマニホールドを気密性よく形成することができ、MEAのアノード電極AEまたはカソード電極CEに対して、効率よく燃料ガスまたは酸化剤ガスを供給・排出することができる。また、第1フレーム13および第2フレーム14が第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12の凸形状内部に収容(充填)されることにより、燃料電池スタックの組立てに必要な締め付け力による第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12の寸法変化、特に、窪み部11b、12bの成形高さ方向の寸法変化を効果的に防止することができる。したがって、ガス流路形成部材20によって形成されるガス流路が常に良好に確保されるため、MEAのアノード電極AEまたはカソード電極CEに対して、良好に燃料ガスまたは酸化剤ガスを供給することができる。
上記第1実施形態においては、セパレータ10が第1セパレータ本体11と第2セパレータ本体12を備えて、同セパレータ本体11,12間に第1フレーム13および第2フレーム14を狭持する構成とした。そして、セパレータ10の窪み部11b、12b内にガス流路形成部材20を収容することによって、ガス流路を形成するためのシール部材(フレーム)を省略するように実施した。これに対して、ガス流路を形成するためのシール部材(フレーム)を省略するとともに、第1セパレータ本体11または第2セパレータ本体12のいずれか一方および第1フレーム13または第2フレーム14のいずれか一方を省略してセパレータ10を構成することも可能である。以下、この第1変形例について詳細に説明する。なお、本第1変形例においては、上記第1実施形態の第2セパレータ本体12および第1フレーム13を省略し、セパレータ本体11およびフレーム14とから構成されたセパレータ10について説明する。また、この第1変形例の説明においては、上記第1実施形態と同一部分に同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
上記第1実施形態においては、薄板の金属板11aの略中央部分に所定深さの窪み部11bを形成するとともに、その外周縁部分に折曲部11gおよびフランジ部11hを形成して金属板11aの外周縁部分に凸形状を構成し、第1セパレータ本体11を形成した。これに対し、第1変形例のセパレータ本体11は、図10に示すように、平板状の金属板11aに形成したガス導入口11c、ガス排出口11d、ガス導通口11eおよびガス導出口11fを包囲するように所定幅および所定高さ(例えば、0.5mm程度)を有して、金属板11aの表面側へ突出して形成された凸形状部11iを備えている。具体的に説明すると、凸形状部11iは、ガス導入口11cおよびガス排出口11dを包囲するとともに、ガス流路形成部材20を収容する収容部分を形成する凸形状部11i1と、同凸形状部11i1と一部が接触して、ガス導通口11eとガス導出口11fとをそれぞれ包囲する凸形状部11i2とから形成されている。
フレーム14は、セパレータ本体11の裏面側にて固着されて、セパレータ10のガス導入口11c、ガス排出口11d、ガス導通口11eおよびガス導出口11fを導通するガスをシールするものである。このため、フレーム14は、セパレータ本体11の外形寸法と略同一の外形寸法とされた薄肉の樹脂板本体14aから形成されている。なお、樹脂板としては、例えば、ポリカーボネートやガラスエポキシ樹脂などを採用することができる。
そして、樹脂板本体14aの略中央部分には、セパレータ本体11を積層した状態で、セパレータ本体11に形成されたガス導通口11eおよびガス導出口11fを包囲するように形成された略長楕円形状の貫通孔14bが形成されている。そして、この貫通孔14bは、その長手方向にてガス流路形成部材20の筋状凹部21および筋状凸部22の筋状形成方向が一致するように、ガス流路形成部材20を収容するための収容部分を形成するようになっている。また、樹脂板本体14aには、セパレータ本体11を積層した状態で、ガス導入口11cおよびガス排出口11dの各貫通孔に対応した位置に、同各貫通孔の形状と略同一の形状とされた貫通孔14c,14dが形成されている。ここで、貫通孔14b,14c,14dは、板厚管理された樹脂板本体14aに対して、例えば、打ち抜き成形を施すことにより形成される。なお、フレーム14は、貫通孔14b,14c,14dを有するように、例えば、射出形成によって成形可能であることはいうまでもない。
このように構成されたセパレータ10は、上記第1実施形態と同様に形成されたガス流路形成部材20を収容する。具体的に説明すると、ガス流路形成部材20は、セパレータ本体11の凸形状部11i1によって形成された収容部分に収容される。また、ガス流路形成部材20は、フレーム14の貫通孔14bによって形成された収容部分にも収容される。ここで、ガス流路形成部材20は、セパレータ10に収容される際には、セパレータ10間に配置されるMEAのアノード電極AEおよびカソード電極CEに対して、筋状凹部21が接触するように収容される。そして、収容されたガス流路形成部材20は、収容部分に収容された状態からの脱落を防止するためのバックアッププレート30により保持される。バックアッププレート30は、ガス流路形成部材20にその一側にて固着されるとともに、セパレータ本体11の金属板11aに固定される。また、バックアッププレート30は、薄肉の樹脂板から成形されており、セパレータ10がMEAとともに単セルを形成した際には、ガス流路形成部材20とMEAとの間に狭持されることにより、シール性を確保するようになっている。
そして、セパレータ10は、ガス流路形成部材20を収容した状態で、図11に概略的に示すように、隣接するセパレータ10間にMEAを配置して積層されて、燃料電池スタックを形成する。このように、セパレータ10、ガス流路形成部材20およびMEAが積層された燃料電池スタックにおいては、外部から燃料ガスが導入されると、燃料ガスは、セパレータ本体11のガス導入口11cから収容部分内に取り込まれる。このとき、燃料ガスの一部は、ガス導入口11cおよびフレーム14の貫通孔14cを通過して、隣接するセパレータ10のセパレータ本体11のガス導入口11cに燃料ガスが供給される。ガス導入口11cによって収容部分内に取り込まれた燃料ガスは、ガス流路形成部材20を通過する。これにより、燃料ガスは、ガス流路形成部材20の上面側に配置されたアノード電極AEに供給される。そして、アノード電極AEにて未反応の燃料ガスは、ガス排出口11dに流れて、燃料電池スタックの外部に排出される。
また、燃料電池スタックの外部から酸化剤ガスが導入されると、酸化剤ガスは、セパレータ本体11のガス導通口11eを通って裏面側に固着されたフレーム14の貫通孔14bによって形成された収容部分内に取り込まれる。このとき、酸化剤ガスの一部は、隣接するセパレータ10のセパレータ本体11のガス導通口11eを通過して、隣接するセパレータ10のフレーム14の貫通孔14b酸化剤ガスが供給される。フレーム14の収容部分内に取り込まれた酸化剤ガスは、ガス流路形成部材20を通過する。これにより、酸化剤ガスは、ガス流路形成部材20の上面側に配置されたカソード電極CEに供給される。そして、カソード電極CEにて未反応の酸化剤ガスは、ガス導出口11fに流れて、燃料電池スタックの外部に排出される。
以上の説明からも理解できるように、この第1変形例によれば、セパレータ本体11に凸形状部11iが形成されることによって形成される収容部分内にガス流路形成部材20を配置することができるため、ガス流路を形成するためのシール部材(フレーム)を別途設ける必要がない。このため、部品点数を低減することができて、燃料電池の製造コストを低減することができる。また、フレーム14に形成された貫通孔14bによって形成される収容部分内にガス流路形成部材20を収容するため、上記第1実施形態に比してフレーム14の厳密な板厚管理が必要となるものの、セパレータ10の構成において第2セパレータ本体12およびフレーム13を省略することができるため、さらに、燃料電池の成形コストを低減することができる。
一方で、セパレータ本体11に形成された凸形状部11iによって形成される収容部分内にガス流路形成部材20が収容されることにより、ガス流路形成部材20によって形成されるガス流路が常に良好に確保されるため、MEAのアノード電極AEまたはカソード電極CEに対して、良好に燃料ガスまたは酸化剤ガスを供給することができる。したがって、供給ガス量の低下に伴うMEAの電極反応効率を低下させることがなくて、燃料電池の発電効率を長期にわたり維持することができる。また、セパレータ本体11とガス流路形成部材20とを別部材として形成することにより、例えば、それぞれの部材の成形形状に応じて、成形性の良好な材料をそれぞれ選択することができる。これにより、各部材の製造コストを低減することができる。
また、上記第1実施形態においては、第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12に形成された窪み部11b、12bを収容して第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12の積層を容易にするとともに、これらセパレータ本体11,12間を導通するガスをシールする第1フレーム13および第2フレーム14を設けてセパレータ10を構成した。ところで、上記第1変形例のセパレータ本体11では、金属板11aの表面側に突出する凸形状部11iを形成したため、その裏面側は平板状とされている。このため、上記第1実施形態のように、セパレータ10を第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12すなわち2枚のセパレータ本体から形成する場合には、上記第1実施形態の第1フレーム13および第2フレーム14を省略して構成することもできる。以下、この第2変形例を説明する。なお、この第2変形例において、セパレータ10を構成する2枚のセパレータ本体は、上記第1変形例のセパレータ本体11と同様であるため、同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
この第2変形例におけるセパレータ10は、図12に示すように、2枚のセパレータ本体11が互いにその裏面側にて一体的に固着されて構成される。具体的に説明すると、これらセパレータ本体11は、一側のセパレータ本体11のガス導入口11cとガス排出口11dに対して、他側のセパレータ本体11のガス導通口11eとガス導出口11fとが一致するように固着される。なお、この2枚のセパレータ本体11の固着に際しては、接着剤を利用して固着したり、2枚のセパレータ本体11同士を互いにかしめたりして固着することができる。そして、このように構成されたセパレータ10は、各セパレータ本体11に形成された収容部分にガス流路形成部材20を収容する。ここで、ガス流路形成部材20は、セパレータ本体11に収容される際には、セパレータ10間に配置されるMEAのアノード電極AEおよびカソード電極CEに対して、筋状凹部21が接触するように収容される。また、この第2変形例においても、収容されたガス流路形成部材20は、バックアッププレート30により、収容された状態からの脱落が防止されるようになっている。
そして、セパレータ10は、ガス流路形成部材20を収容した状態で、図13に概略的に示すように、隣接するセパレータ10間にMEAを配置して積層されて、燃料電池スタックを形成する。なお、セパレータ10の積層に関しては、例えば、セパレータ本体11の凸形状部11iの所定幅を有した頂面に接着剤を塗布しておき、セパレータ10を積層するとよい。これにより、導通するガスは、塗布した接着剤によってシールされるため、ガスの漏出を防止することができる。このように、セパレータ10、ガス流路形成部材20およびMEAが積層された燃料電池スタックにおいては、外部から燃料ガスが導入されると、燃料ガスは、一側のセパレータ本体11のガス導入口11cから収容部分内に取り込まれる。このとき、燃料ガスの一部は、ガス導入口11cおよび他側のセパレータ本体11のガス導通口11eを通過して、隣接するセパレータ10の一側のセパレータ本体11のガス導入口11cに燃料ガスが供給される。
ガス導入口11cによって収容部分内に取り込まれた燃料ガスは、ガス流路形成部材20を通過する。これにより、燃料ガスは、ガス流路形成部材20の上面側に配置されたアノード電極AEに供給される。そして、アノード電極AEにて未反応の燃料ガスは、ガス排出口11dに流れて、燃料電池スタックの外部に排出される。
また、燃料電池スタックの外部から酸化剤ガスが導入されると、酸化剤ガスは、一側のセパレータ本体11のガス導通口11eを通って他側のセパレータ本体11のガス導入口11cに流れる。そして、酸化剤ガスは、他側のセパレータ本体11の収容部分内に取り込まれる。このとき、酸化剤ガスの一部は、隣接するセパレータ10の一側のセパレータ本体11のガス導通口11eを通過して、隣接するセパレータ10の他側のセパレータ本体11のガス導入口11cに供給される。他側のセパレータ本体11の収容部分内に取り込まれた酸化剤ガスは、ガス流路形成部材20を通過する。これにより、酸化剤ガスは、ガス流路形成部材20の上面側に配置されたカソード電極CEに供給される。そして、カソード電極CEにて未反応の酸化剤ガスは、ガス導出口11fに流れて、燃料電池スタックの外部に排出される。
以上の説明からも理解できるように、この第2変形例によっても、セパレータ本体11に凸形状部11iが形成されることによって形成される収容部分内にガス流路形成部材20を配置することができるため、ガス流路を形成するためのシール部材(フレーム)を別途設ける必要がない。このため、部品点数を低減することができて、燃料電池の製造コストを低減することができる。また、セパレータ本体11同士の確実な固着が必要となるものの、上記第1実施形態の構成に対して2枚のセパレータ本体11間に第1フレーム13および第2フレーム14の配置を省略して構成することができるため、さらに、燃料電池の成形コストを低減することができる。
また、セパレータ本体11に形成された凸形状部11iによって形成される収容部分内にガス流路形成部材20が収容されることにより、ガス流路形成部材20によって形成されるガス流路が常に良好に確保されるため、MEAのアノード電極AEまたはカソード電極CEに対して、良好に燃料ガスまたは酸化剤ガスを供給することができる。したがって、供給ガス量の低下に伴うMEAの電極反応効率を低下させることがなくて、燃料電池の発電効率を長期にわたり維持することができる。また、セパレータ本体11とガス流路形成部材20とを別部材として形成することにより、例えば、それぞれの部材の成形形状に応じて、成形性の良好な材料をそれぞれ選択することができる。これにより、各部材の製造コストを低減することができる。
上記第1実施形態においては、単セル内に燃料ガスおよび酸化剤ガスを導入する導入部(インナーマニホールド)を、第1セパレータ本体11および第2セパレータ本体12に形成したガス導入口11c,12c、ガス排出口11d,12d、ガス導通口11e,12eおよびガス導出口11f,12fによって構成して実施した。この場合、燃料電池スタックに供給される酸化剤ガスが空気であり、特に、外気を直接単セルのカソード電極CE側に導入可能に燃料電池を設置する場合には、酸化剤ガスを供給および排出するためのインナーマニホールドを省略することが可能である。以下、この第2実施形態について詳細に説明する。
この第2実施形態においては、燃料電池用セパレータ110(以下、単にセパレータ110という)が、図14に示すように構成される。そして、第2実施形態における単セルは、図11に示すように、2つのセパレータ110間にMEAを狭持することによって構成される。さらに、単セルを多数積層することによって、燃料電池スタックが形成される。
セパレータ110は、導入されたガスの混流を防ぐセパレータ本体111を備えている。セパレータ本体111は、薄肉の金属板111a(例えば、板厚が0.1mm程度のステンレス板など)から形成されており、この金属板111aの略中央部分には、所定深さ(例えば、0.5mm程度)の窪み部111bが形成されている。なお、金属板111aとしては、他に、例えば、金めっきなどの防錆処理を施した鋼板などを採用することができる。
そして、窪み部111b内には、ガス導入口111cと、同ガス導入口111cと対向する位置にガス排出口111dが形成されている。ガス導入口111cは、略長楕円とされた貫通孔であり、例えば、燃料電池スタックに燃料ガスを供給するための図示しない燃料ガス供給装置から供給された燃料ガス(水素ガスなど)を窪み部111b内に導入するとともに、積層された他のセパレータ110に対して燃料ガスを流通する。ガス排出口111dも略長楕円とされた貫通孔であり、窪み部111b内を導通した未反応の燃料ガスを窪み部111b外に排出するとともに、積層された他のセパレータ110からの未反応の燃料ガスを外部に流通する。
また、金属板111aの外周縁部分には、窪み部111bの形成方向に所定長さ(例えば、0.5mm程度)だけ略直角に折り曲げられた折曲部111gが形成されている。そして、折曲部111gの先端部分は、セパレータ本体111の外報に折り曲げられていて、フランジ部111hが形成されている。そして、窪み部111b(詳しくは、窪み部111bの立設面)、折曲部111gおよびフランジ部111hによって、セパレータ本体111の金属板111aの外周縁部分に凸形状が形成される。
また、セパレータ110は、セパレータ本体111の窪み部111bの裏面側にて固着されて、酸化剤ガスとしての空気を導通する空気導通空間を形成するとともに、ガス導入口111cおよびガス排出口111dを導通する燃料ガスをシールするスペーサ112を備えている。スペーサ112は、その長手方向寸法がセパレータ本体111の幅寸法と略同一で所定の幅寸法とされるとともに、後述するガス流路形成部材120の厚さ寸法に比して僅かに小さい板厚とされた薄肉の樹脂板から成形されている。そして、スペーサ112の略中央部分には、セパレータ本体111のガス導入口111cおよびガス排出口111dの貫通孔の形状と略同一の形状とされた貫通孔112aが形成されている。ここで、スペーサ112の貫通孔112aは、樹脂板に対して、例えば、打ち抜き成形を施すことにより形成される。なお、スペーサ112は、貫通孔112aを有するように、例えば、射出成形によって成形可能であることはいうまでもない。
このように構成されたセパレータ110は、窪み部111b内および同窪み部111bの裏面側にてスペーサ112により形成された空気導通空間内にガス流路形成部材120を収容している。ガス流路形成部材120は、上述した第1実施形態のガス流路形成部材20と同様に、多数の小径の貫通孔が網目状に形成されたエキスパンドメタルEMから形成される。そして、上述した筋状凹凸部成形工程により、このエキスパンドメタルEMに筋状凹部121および筋状凸部122を連続的に成形する。ここで、成形される筋状凹部121および筋状凸部122の成形高さすなわちガス流路形成部材120の厚さ寸法は、セパレータ本体111の窪み部111bの深さ寸法およびスペーサ112の板厚寸法に比して、僅かに大きな成形高さとされている。なお、筋状凹部121および筋状凸部122の成形に関しては、上述した第1実施形態の筋状凹部21および筋状凸部22と同様に成形されるため、その詳細な説明を省略する。このように、筋状凹部121および筋状凸部122が成形されたエキスパンドメタルEMは、所定の大きさに成形されて、ガス流路形成部材120が形成される。
具体的に説明すると、図14に示すように、セパレータ本体111の窪み部111b内に収容されるガス流路形成部材120は、ガス導入口111cから導入された燃料ガスがガス排出口111d方向へ導通可能となるように、すなわち、ガス導入口111cとガス排出口111dの配置方向に対して筋状凹部121および筋状凸部122が略平行となるように成形される。一方、窪み部111bの裏面側に形成されたガス導通空間内に収容されるガス流路形成部材120は、その幅がセパレータ本体111の幅と略同一とされるとともに、燃料電池スタックの側面方向(セパレータ本体111の幅方向)から空気を導通可能となるように、言い換えると、窪み部111b内に収容されるガス流路形成部材120の筋状凹部121および筋状凸部122と略直交するように成形される。そして、ガス流路形成部材120は、セパレータ10の窪み部111b内または空気導通空間内に収容される際には、セパレータ110間に配置されるMEAのアノード電極AEまたはカソード電極CEに対して、筋状凹部121が接触するように収容される。なお、この第2実施形態においても、エキスパンドメタルEMの採用に代えて、他の他孔板(例えば、パンチングメタルなど)を採用することも可能である。
そして、ガス流路形成部材120は、セパレータ本体111の窪み部111bおよび空気導通空間内に収容された状態からの脱落を防止するためのバックアッププレート130により保持される。バックアッププレート130は、ガス流路形成部材120にその一側にて固着されるとともに、セパレータ本体111の金属板111aおよびスペーサ112に固定される。また、バックアッププレート130は、薄肉の樹脂板から成形されており、セパレータ110がMEAとともに単セルを形成した際には、ガス流路形成部材120とMEAとの間に狭持されることにより、シール性を確保するようになっている。
以上のように構成されたセパレータ110は、図15に示すように、他のセパレータ110とともにMEAを狭持した状態で、例えば、接着剤などによって一体的に固着されることにより、単セルを構成する。ここで、MEAは、上記第1実施形態と同様に構成されるものであるが、その形状が略長方形とされたガス流路形成部材120に合わせて略長方形状とされている。このように、単セルを形成した状態においては、セパレータ本体111の窪み部111bの所定深さおよびスペーサ112の板厚がガス流路形成部材120の筋状凹部121および筋状凸部122の成形高さよりも僅かに小さいため、筋状凹部121がセパレータ本体111によってMEA側に若干押圧された状態で固着される。これにより、ガス流路形成部材120とMEAとの接触状態を良好に保つことができる。そして、形成された単セルは、多数積層されることにより、燃料電池スタックを構成する。
このように構成された燃料電池スタックにおいては、積層された単セル間で、スペーサ112の貫通孔112aを介して、ガス導入口111cが燃料ガスを導入するための導入インナーマニホールドを形成し、ガス排出口111dが未反応の燃料ガスを排出するための排出インナーマニホールドを形成している。このため、導入インナーマニホールドを介して、燃料ガスが外部から導入されると、導入された燃料ガスは、セパレータ本体111の窪み部111b内に導入される。また、空気は、燃料電池スタックの側面すなわちセパレータ110の幅方向側から直接空気導通空間内に導入される。導入された燃料ガスおよび空気は、上記第1実施形態と同様に、ガス流路形成部材120によってそのガス濃度勾配が均一とされることにより、MEAのアノード電極AEおよびカソード電極CEにおける電極反応の反応効率が高められる。
また、ガス流路形成部材120は、薄肉のエキスパンドメタルEMに筋状凹部121および筋状凸部122が形成されているため、窪み部111bまたは空気導通空間内を導通する際のガスの抵抗すなわち圧力損失を低減することができる。さらに、窪み部111bまたは空気導通空間内に導入されたガスが多数の小径の貫通孔を通過する際に抵抗も小さくすることができる。このように、窪み部111bまたは空気導通空間内を導通するガスは、スムーズに導通することができるため、ガスとアノード電極AEおよびカソード電極CEとの反応を促進することができ、燃料電池の発電効率を向上させることができる。
また、電極反応の反応効率が向上すると、MEAによって、効率よく電気が発電される。この発電された電気は、ガス流路形成部材120およびセパレータ本体111を介して、燃料電池外部に取り出される。このとき、ガス流路形成部材120は、MEA(詳しくはカーボンクロスCC)に対して、接触面積が大きくなるように筋状凹部121にて接触するように単セルが構成されている。このように、MEAに接触面積を大きくして接触することにより、MEAで発電された電気の集電抵抗を極めて小さくすることができ、発電された電気を効率よくすなわち集電効率を向上させて集電することができる。
以上の説明からも理解できるように、この第2実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この第2実施形態のように構成された燃料電池スタックにおいては、ガス流路形成部材120の幅寸法がセパレータ110の幅寸法と略同一とされており、筋状凹部121および筋状凸部122が幅方向に形成されているため、ガス流路形成部材120が外部と連通した状態であり、燃料電池スタックの側面から酸化剤ガスとしての空気を供給して排出することができる。このため、燃料電池スタック内に空気を直接供給するためのガス供給インナーマニホールドや空気を排出すためのガス排出インナーマニホールドを設ける必要がなく、燃料電池スタックを小型化することが可能となる。
また、本発明は、上記各実施形態または上記各変形例に限定されることなく、種々の変形が可能である。例えば、上記第1実施形態における第1セパレータ本体11の外周縁部分に形成した凸形状内側に第1および第2フレーム13,14を収容(充填)して実施した。一方、第2実施形態におけるセパレータ本体111の外周縁部分に形成した凸形状内側には、スペーサ112を収容(充填)せずに実施した。しかしながら、燃料電池スタックを形成する際の締め付け力に応じて、適宜、第1実施形態においては第1フレーム13または第2フレーム14の一方を省略したり、第2実施形態においては凸形状内側に別途充填部材を収容させて、締め付け力によるセパレータ110の変形を防止することも可能である。
また、上記第1実施形態においては、第1フレーム13と第2フレーム14を別体として構成したが、これら2つのフレームを一体化して実施することも可能である。また、スペーサ112と前記充填部材と一体的に成形して実施することも可能である。
また、上記各実施形態においては、薄肉金属板であるエキスパンドメタルEMからガス流路形成部材20,120を形成するように実施したが、多数の貫通孔が形成可能であり、かつ、良好な導電性を有する材料(例えば、カーボンや導電性を有する樹脂材料など)からガス流路形成部材20,120を形成することも可能である。この場合、上記各実施形態のガス流路形成部材20,120に比して、機械的強度が劣る場合があるが、この点を除けば、上記各実施形態と同様の効果を得ることができ、燃料電池自体の軽量化を達成することができる。
さらに、上記各実施形態においては、ガス流路形成部材20,120を多数の貫通孔を有する材料から成形するように実施したが、燃料電池の用途に応じて、例えば、多数の貫通孔を有しない薄肉金属板に対して単に筋状凹部21,121および筋状凸部22,122を成形してガス流路形成部材とすることも可能である。この場合であっても、MEAにおける反応効率が低減することを除けば、上記各実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、より安価な燃料電池を提供することができる。
10,110…燃料電池用セパレータ、11,12,111…セパレータ本体、11a,12a,111a…金属板、11b,12b,111b…窪み部、13,14…フレーム、20,120…ガス流路形成部材、21,121…筋状凹部、22,122…筋状凸部、EM…エキスパンドメタル
Claims (8)
- 燃料電池の電極構造体を構成する電極層に対して、燃料ガスと酸化剤ガスとをそれぞれ供給するガス流路を形成する燃料電池用セパレータにおいて、
平板の外周縁部分にて、同平板の一面側に突出する凸形状が形成されて、前記燃料ガスと酸化剤ガスとを分離して混流を防止するセパレータ本体と、
前記セパレータ本体と前記電極層との間にて前記ガス流路を形成するとともに前記電極構造体によって発電された電気を集電するガス流路形成部材とを備え、
前記ガス流路形成部材が、前記セパレータ本体の外周縁部分に形成された凸形状によって前記セパレータ本体の略中央部分に形成された窪み形状内に配置されて構成されることを特徴とする燃料電池用セパレータ。 - 請求項1に記載した燃料電池用セパレータにおいて、
前記平板の他面側であって前記セパレータ本体の窪み形状に対応する位置にて、さらに、ガス流路形成部材を配置する構成とし、
前記セパレータ本体の窪み形状に対応する位置にて配置されるガス流路形成部材は、
その幅方向の寸法が前記セパレータ本体の幅方向の寸法と略同一の寸法に形成されるとともに前記ガス流路を前記セパレータ本体の前記幅方向に形成しており、
電極層に対して、前記燃料ガスまたは酸化剤ガスの一方を前記セパレータ本体の前記幅方向から供給することを特徴とする燃料電池用セパレータ。 - 請求項1または請求項2に記載した燃料電池用セパレータにおいて、
前記ガス流路形成部材は、連続的に成形された筋状の凹部と筋状の凸部とを有して構成されることを特徴とする燃料電池用セパレータ。 - 請求項3に記載した燃料電池用セパレータにおいて、
前記連続的に成形された筋状の凹部と筋状の凸部の成形方向断面における前記筋状の凹部と筋状の凸部の成形幅のうちの一方が幅広に形成されていて、この幅広に成形された筋状の凹部または筋状の凸部を前記電極層に接触させることを特徴とする燃料電池用セパレータ。 - 前記ガス流路形成部材は、多数の小径の貫通孔が網目状に形成された後に平板状に成形されたエキスパンドメタルから形成される請求項1ないし請求項4のうちのいずれか一つに記載した燃料電池用セパレータ。
- 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか一つに記載した燃料電池用セパレータにおいて、
前記幅広に形成された凹部または凸部は、前記電極層の表面に設けられた導電性を有する繊維を介して、前記電極層に接触することを特徴とする燃料電池用セパレータ。 - 請求項1ないし請求項6のうちのいずれか一つに記載した燃料電池用セパレータにおいて、
前記セパレータ本体は、少なくとも前記窪み形状内に前記燃料ガスまたは酸化剤ガスを導入するための貫通孔が形成されており、
前記平板の他面側であって前記形成された貫通孔に対応する位置に配置されるとともに前記貫通孔と連通する貫通孔が形成されて、前記セパレータ本体に積層される他のセパレータ本体との間で導通する前記燃料ガスまたは酸化剤ガスを気密的にシールするフレームを設けたことを特徴とする燃料電池用セパレータ。 - 前記平板の一面側に突出する凸形状によって前記平板の他面側に形成される空間内部に充填される充填部材を設けた請求項1ないし請求項7のうちのいずれか一つに記載した燃料電池用セパレータ
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