近年、情報処理機器の多様化に伴って、従来から一般に使用されている陰極線管(CRT)よりも消費電力が少なく、薄型化が可能である平面表示装置に対する需要が高まってきている。そのような平面表示装置として、例えば、液晶表示装置、プラズマ表示装置、及び、エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、「EL表示装置」と略すことがある。)等の容量性表示装置が挙げられる。それらの容量性表示装置のうち、無機EL表示装置は、全固体型、高速応答性、自発光性という特徴を有するため、特に研究開発が盛んに行われている。
無機EL表示装置において、その画面に数段階にわたって輝度の異なる階調表示を行わせる駆動方法の1つとして、フレーム間引き法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、及び、特許文献3。)。
このフレーム間引き法とは、交流電圧の1つの極値電圧を含む半周期に対応した期間を1サブフレームとして、連続した複数のサブフレームにより1パターンの画像を表示する1フレームを構成し、各フレームにおいて、所定のON電圧(発光電圧)を印加するサブフレームを選択制御することで中間レベルの輝度を得る方法である。
以下、図4、5、及び、表1を用いて、従来のフレーム間引き法により、無機EL表示装置200において8階調表示する方法を説明する。
図4は、従来のフレーム間引き法により、8階調レベルの階調表示をする無機EL表示装置200の主要構成を示すブロック図である。
この無機EL表示装置200は、連続した5サブフレームにより1パターンの画像を表示する1フレームを構成し、各フレームにおいて、所定のON電圧を印加するサブフレームを選択制御することで階調表示が可能なように構成されている。
また、この無機EL表示装置200は、画像を表示するための無機EL表示パネル201と、無機EL表示パネル201に画像の表示パターンを入力するフレーム間引き制御回路202と、を備えている。
また、フレーム間引き制御回路202は、入力ブロック203〜205と、セレクタ206と、パターン生成回路207〜214とを有する。
入力ブロック203〜205は、それぞれ「0」又は「1」のデータ0〜2をセレクタ206に入力する。セレクタ206は、データ0〜2を入力とし、入力されたデータ0〜2の組み合わせに従って、それぞれパターン生成回路1〜8のいずれか1つに「1」を出力する。具体的には、データ0〜2のすべてが「0」である場合は、セレクタ206はパターン生成回路207に「1」を出力する。また、データ0のみが「1」でデータ1、及び、データ2が「0」の場合は、セレクタ206はパターン生成回路208に「1」を出力する。データ1のみが「1」で、データ0、及び、データ2が「0」の場合は、セレクタ206はパターン生成回路209に「1」を出力する。データ0、及び、データ1が「1」で、データ2が「0」の場合は、セレクタ206は、パターン生成回路210に「1」を出力する。データ0、及び、データ2が「1」で、データ1が「0」の場合は、セレクタ206は、パターン生成回路211に「1」を出力する。データ2のみが「1」でデータ0、及び、データ1が「0」の場合は、セレクタ206はパターン生成回路212に「1」を出力する。データ1、及び、データ2が「1」でデータ0が「0」の場合は、セレクタ206はパターン生成回路213に「1」を出力する。データ0〜2のすべてが「1」である場合は、セレクタ206はパターン生成回路214に「1」を出力する。
パターン生成回路207に「1」が入力された場合は、パターン生成回路207は1周期を構成する5サブフレームのすべてにおいて所定のOFF電圧(非発光電圧)を印加する信号(パターン1)を無機EL表示パネル201に出力する。また、パターン生成回路208に「1」が入力された場合は、1周期を構成する5サブフレームのうち第1サブフレームにおいてのみ所定のON電圧を印加する信号(パターン2)を無機EL表示パネル201に出力する。パターン生成回路209に「1」が入力された場合は、パターン生成回路209は1周期を構成する3サブフレームのうち第1サブフレームにおいてのみ所定のON電圧を印加する信号(パターン3)を無機EL表示パネル201に出力する。パターン生成回路210に「1」が入力された場合は、パターン生成回路210は1周期を構成する5サブフレームのうち第3サブフレーム、及び、第5サブフレームにおいて所定のON電圧を印加する信号(パターン4)を無機EL表示パネル201に出力する。パターン生成回路211に「1」が入力された場合は、パターン生成回路211は1周期を構成する5サブフレームのうち第1サブフレーム、第2サブフレーム、及び、第4サブフレームにおいて所定のON電圧を印加する信号(パターン5)を無機EL表示パネル201に出力する。パターン生成回路212に「1」が入力された場合は、パターン生成回路212は1周期を構成する3サブフレームのうち第1サブフレーム、及び、第2サブフレームにおいて所定のON電圧を印加する信号(パターン6)を無機EL表示パネル201に出力する。パターン生成回路213に「1」が入力された場合は、パターン生成回路213は1周期を構成する5サブフレームのうち第1サブフレーム、第2フレーム、第3フレーム、及び、第4サブフレームにおいて所定のON電圧を印加する信号(パターン7)を無機EL表示パネル201に出力する。パターン生成回路214に「1」が入力された場合は、パターン生成回路214は1周期を構成する5サブフレームのすべてにおいて所定のON電圧を印加する信号(パターン8)を無機EL表示パネル201に出力する。
そして、無機EL表示パネル201は、パターン生成回路207〜214により入力されたパターン1〜8に従って、8階調レベルの階調表示をするように構成されている。
表1は、パターン1〜8の各パターンが選択された場合の1フレーム中の発光するサブフレーム(以下、「発光サブフレーム」と略すことがある。)数と、階調レベルとを示す表である。
また、図5は、各階調レベルにおける無機EL表示パネル201に印加される印加電圧、及び、無機EL表示パネル201の発光パターンのタイムチャートを示す図である。
表1に示すように、パターン1が選択された場合は、5サブフレームで構成される1フレーム中の発光サブフレーム数は0となり、無機EL表示パネル201は発光せず、階調レベルはL0となる。パターン2が選択された場合は、5サブフレームで構成される1フレーム中の発光サブフレーム数は1となり、階調レベルはL1となる。パターン3が選択された場合は、1周期を構成する3サブフレーム中の発光サブフレーム数は1となる。ここで、無機EL表示装置200では、1フレームは5サブフレームにより構成されているため、パターン3が選択された場合の1フレーム中の発光サブフレーム数は1に5/3を乗じた数、すなわち5/3となり、階調レベルはL2となる。パターン4が選択された場合は、5サブフレームで構成される1フレーム中の発光サブフレーム数は2となり、階調レベルはL3となる。パターン5が選択された場合は、5サブフレームで構成される1フレーム中の発光サブフレーム数は3となり、階調レベルはL4となる。パターン6が選択された場合は、1周期を構成する3サブフレーム中の発光サブフレーム数は2となる。ここで、無機EL表示装置200では、1フレームは5サブフレームにより構成されているため、パターン3が選択された場合の1フレーム中の発光サブフレーム数は2に5/3を乗じた数、すなわち10/3となり、階調レベルはL5となる。パターン7が選択された場合は、5サブフレームで構成される1フレーム中の発光サブフレーム数は4となり、階調レベルはL6となる。パターン8が選択された場合は、5サブフレームで構成される1フレーム中の発光サブフレーム数は5となり、無機EL表示パネル201はすべてのサブフレームにおいて発光し、階調レベルはL7となる。
このように、無機EL表示装置200では、階調レベルが増加すると共に、1フレームにおける発光サブフレーム数が増加するように構成されている。よって、それぞれのサブフレームにおける発光の発光強度が同一である場合は、階調レベルが大きくなると共に、1フレームあたりの発光強度も大きくなる。従って、無機EL表示装置200では8段階の階調表示をすることができる。
ところで、無機EL表示装置等の容量性表示装置では、所定のON電圧以上のパルス電圧が印加された場合、分極効果により電子、イオンなどに基づく、印加電圧とは逆極性の正負の電荷が残留するという現象が発生する。よって、発光サブフレームに印加されるパルスが連続して同極性である場合、最初のパルスでは強い発光が観察されるが、印加するパルスと逆極性の電荷が残留するため、2番目、3番目のパルスを印加すると発光は次第に弱くなる。一方、交互に逆極性のパルスを印加した場合は、次に印加するパルスと同極性の電荷が残留するため、最初のパルスの印加により観察される発光より、2番目以降のパルスの印加により観察される発光の方が強くなるという現象が生ずる。
以下、残留電荷の蓄積と、観察される発光の輝度低下との関係について詳細に説明する。
図7は、無機EL表示装置にパルス電圧を印加した場合の電圧波形、発光層電圧、及び、発光強度を示す説明図である。
まず、正の極性を有する電圧V5(ON電圧)のパルス1を発光層に印加する。すると、パルス1の印加前には残留電荷が存在しないため、発光層に印加される電圧はV5’となる。しかし、パルス1を発光層に印加することにより、発光層内にパルス1とは逆極性の残留電荷(電圧V1’)が発生する。よって、パルス1に続いてパルス1と同極性のパルス2を発光層に印加した場合、パルス2を印加した場合の発光層電圧は、印加電圧V5’から残留電荷(電圧V1’)を差し引いた電圧となる。また、パルス2印加後は残留電荷がさらに増加し、電圧V2’となる。次いで、パルス2と同極性のパルス3を印加した場合、残留電荷(電圧V2’)はパルス3による印加電圧と逆極性であるので、発光層電圧は、印加電圧V5’から残留電荷(電圧V2’)を差し引いた電圧となる。
このように、同極性のパルスを連続して印加した場合は、印加するパルス電圧と逆極性の残留電荷が存在するため、発光層電圧は低下する。
図6は、無機EL表示装置の発光層電圧と輝度との相関を示す図である。
図6に示すように、無機EL表示装置は、発光層電圧が所定の電圧より小さい場合は、発光層からの発光は観察されず、また、一定電圧以上では、発光層電圧が増加するに従って、観察される発光層からの発光の輝度も上昇する関係にある。そのため、同極性のパルスを連続して印加した場合は、発光層電圧が低下し、発光層から観察される発光の輝度も低下する。そして、発光層電圧が一定電圧(発光しきい電圧)以下になると発光層からの発光は観察されなくなる。
一方、パルス3に次いで、パルス3とは逆極性のパルス4を発光層に印加した場合は、パルス3印加後に蓄積されている残留電荷(電圧V3’)は次に印加するパルス4と同極性であるため、発光層電圧は、印加されたパルス電圧V5’に残留電荷(電圧V3’)を加算した電圧となる。また、パルス4の印加によりパルス4とは逆極性の残留電荷(電圧V3’)が生じる。そのためパルス4に次いで、パルス4とは逆極性のパルス5を印加した場合は、発光層電圧は、印加された電圧V5’に残留電荷(電圧V3’)を加算した電圧となる。従って、先に印加したパルスと逆極性のパルスを印加した場合は、発光層電圧は印加した電圧よりも大きくなり、よって、観察される発光の輝度も大きくなる。
また、パルス6を印加した場合のように、発光層電圧が低く、発光しなかった場合は、蓄積電荷は解消されず、そのまま残留する。従って、パルス7は、直前に印加したパルス6とは逆極性であるにもかかわらず、パルス5により蓄積された残留電荷がパルス7の印加前においても尚残留しているため、パルス7が印加されたときの発光層電圧は印加電圧V5’から残留電荷(電圧V3’)を差し引いた電圧となり、パルス1が印加された場合と比較して観察される発光は弱くなる。すなわち、発光層を発光させた直前のパルスと同極性のパルスを印加した場合は、先のパルスによる蓄積電荷によって発光層電圧が小さくなり、観察される発光もその分弱くなる。一方、発光層を発光させた直前のパルスと逆極性のパルスを印加した場合は、先のパルスによる蓄積電荷によって、発光層電圧が大きくなり、観察される発光もその分強くなる。
特開平3−20780号公報
特開平6−301013号公報
特開平7−244273号公報
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る無機EL表示装置100の主要構成を示すブロック図である。
この無機EL表示装置100は、連続する7サブフレームにより1パターンの画像を表示する1フレームを構成し、各フレームにおいて、所定のON電圧を印加するサブフレームを選択制御することで階調表示が可能なように構成されている。
また、この無機EL表示装置100は、画像を表示するための無機EL表示パネル101と、無機EL表示パネル101に画像表示パターンを入力するフレーム間引き制御回路102とを備えている。
無機EL表示パネル101は、2重絶縁型薄膜EL素子からなる。2重絶縁型薄膜EL素子は、ガラスからなる絶縁性基板と、その基板上に設けられた発光層と発光層を狭持するように設けられた1対の走査側電極とデータ側電極と、発光層と電極との間に設けられた絶縁層と、により構成されている。
フレーム間引き制御回路102は、入力ブロック103〜105と、EOR論理回路106、107、及び、111と、パターン生成回路108、及び、109と、OR論理回路110と、を有する。
入力ブロック103は、「0」または「1」のデータ0をEOR論理回路106に入力する。また、入力ブロック104は、「0」または「1」のデータ1をEOR論理回路107に入力する。また、入力ブロック105は、「0」または「1」のデータ2をEOR論理回路107、及び、111のそれぞれに入力する。
EOR論理回路106は、入力ブロック103と入力ブロック105とを入力とし、データ0とデータ2とのうちいずれか一方が「1」であり、他方が「0」である場合に、「1」をパターン生成回路108に出力する。また、データ0とデータ2とが共に「0」または「1」である場合は「0」をパターン生成回路108に出力する。
EOR論理回路107は、入力ブロック104と入力ブロック105とを入力とし、データ1とデータ2とのうちいずれか一方が「1」であり、他方が「0」である場合に、「1」をパターン生成回路109に出力する。また、データ1とデータ2とが共に「0」または「1」である場合は「0」をパターン生成回路109に出力する。
パターン生成回路108は、EOR論理回路106より「1」の信号が入力された場合は、1フレームを構成する7サブフレームのうち第1サブフレームのみを発光させる発光パターンAを表示させる信号をOR論理回路110に出力する。一方、EOR論理回路106より「0」の信号が入力された場合は、パターン生成回路108は、発光パターンAを表示させない信号をOR論理回路110に出力する。
パターン生成回路109は、EOR論理回路107より「1」の信号が入力された場合は、1フレームを構成する7サブフレームのうち第3フレームと第5フレームとを発光させる発光パターンBを表示させる信号をOR論理回路110に出力する。一方、EOR論理回路106より「0」の信号が入力された場合は、パターン生成回路108は、発光パターンBを表示させない信号をOR論理回路110に出力する。
OR論理回路110は、パターン生成回路108とパターン生成回路109とを入力とし、その論理和を返してEOR論理回路111に出力する。すなわち、パターン生成回路108から発光パターンAを表示させる信号と、パターン生成回路109から発光パターンBを表示させる信号とが入力された場合は、その論理和である「1フレームを構成する7サブフレームのうち、第1サブフレームと第3サブフレームと第5サブフレームとを発光させる」という信号をEOR論理回路111に出力する。また、パターン生成回路108から発光パターンAを表示させる信号と、パターン生成回路109から発光パターンBを表示させない信号とが入力された場合は、その論理和である「1フレームを構成する7サブフレームのうち、第1サブフレームのみを発光させる」という信号をEOR論理回路111に出力する。また、パターン生成回路108から発光パターンAを表示させない信号と、パターン生成回路109から発光パターンBを表示させる信号とが入力された場合は、その論理和である「1フレームを構成する7サブフレームのうち、第3サブフレームと第5サブフレームとを発光させる」という信号をEOR論理回路111に出力する。そして、パターン生成回路108から発光パターンAを表示させない信号と、パターン生成回路109から発光パターンBを表示させない信号とが入力された場合は、その論理和である「すべてのサブフレームを発光させない」という信号をEOR論理回路111に出力する。
EOR論理回路111は、入力ブロック105とOR論理回路110とを入力とし、排他的論理和を返して無機EL表示パネル101に出力する。すなわち、入力ブロック105からEOR論理回路111に入力されたデータ2が「1」の場合は、OR論理回路110から入力された信号を反転した信号が無機EL表示パネル101に出力される。一方、入力ブロック105からEOR論理回路111に入力されたデータ2が「0」の場合は、OR論理回路110から入力された信号がそのまま無機EL表示パネル101に出力される。
そして、OR論理回路110から入力された信号に従って、無機EL表示パネル101は8階調レベルの階調表示を行うように構成されている。
表3は、各階調レベルにおいて、入力ブロック103〜105から入力するデータ0〜2と、各階調レベルにおける1フレーム中の発光サブフレーム数と、を示す表である。
表3に示すように、階調レベルL0を表示するときは、データ0〜2のすべてが「0」である。よって、フレーム間引き制御回路102により、1フレームを構成する7サブフレームのすべてにおいて発光させない信号が無機EL表示パネル101に入力される。従って、階調レベルL1の場合は、0サブフレームにおいて無機EL表示パネル101は発光しない。
階調レベルL1を表示するときは、データ0のみが「1」となる。従ってフレーム間引き制御回路102によりパターンAが選択され、1フレームを構成する7サブフレームのうち第1サブフレームのみを発光させる信号が無機EL表示パネル101に入力される。従って、階調レベルL1の場合は、1フレームを構成する7サブフレームのうち、1サブフレームにおいて無機EL表示パネル101が発光する。
階調レベルL2を表示するときは、データ1のみが「1」となる。従って、フレーム間引き制御回路102によりパターンBが選択され、1フレームを構成する7サブフレームのうち、第3サブフレーム、及び、第5サブフレームを発光させる信号が無機EL表示パネル101に入力される。従って、階調レベルL2の場合は、1フレームを構成する7サブフレームのうち、2サブフレームにおいて無機EL表示パネル101が発光する。
階調レベルL3を表示するときは、データ0、及び、データ1が「1」となる。従って、フレーム間引き制御回路102によりパターンAとパターンBとが選択され、1フレームを構成する7サブフレームのうち、第1サブフレーム、第3サブフレーム、及び、第5サブフレームを発光させる信号が無機EL表示パネル101に入力される。従って、階調レベルL3の場合は、1フレームを構成する7サブフレームのうち、3サブフレームにおいて無機EL表示パネル101が発光する。
階調レベルL4を表示するときは、データ2のみ「1」となる。従って、フレーム間引き制御回路102によりパターンAとパターンBとが選択され出力が反転するため、1フレームを構成する7サブフレームのうち、第2サブフレーム、第4サブフレーム、第6サブフレーム、及び、第7サブフレームを発光させる信号が無機EL表示パネル101に入力される。従って、階調レベルL4の場合は、1フレームを構成する7サブフレームのうち、4サブフレームにおいて無機EL表示パネル101が発光する。
階調レベルL5を表示するときは、データ0とデータ2とが「1」となる。従って、フレーム間引き制御回路102によりパターンBが選択され出力が反転するため、1フレームを構成する7サブフレームのうち、第1サブフレーム、第2サブフレーム、第4サブフレーム、第6サブフレーム、及び、第7サブフレームを発光させる信号が無機EL表示パネル101に入力される。従って、階調レベルL5の場合は、1フレームを構成する7サブフレームのうち、5サブフレームにおいて無機EL表示パネル101が発光する。
階調レベルL6を表示するときは、データ1とデータ2とが「1」となる。従って、フレーム間引き制御回路102によりパターンAが選択され出力が反転するため、1フレームを構成する7サブフレームのうち、第1サブフレームを除く、第2サブフレーム〜7サブフレームを発光させる信号が無機EL表示パネル101に入力される。従って、階調レベルL6の場合は、1フレームを構成する7サブフレームのうち、6サブフレームにおいて無機EL表示パネル101が発光する。
階調レベルL7を表示するときは、データ1〜3のすべてが「1」となる。従って、フレーム間引き制御回路102によりパターンAとパターンBとの両方が選択されず、出力が反転するため、1フレームを構成する7サブフレームのうち、すべてのサブフレームを発光させる信号が無機EL表示パネル101に入力される。従って、階調レベルL7の場合は、1フレームを構成する7サブフレームのうち、7サブフレームにおいて無機EL表示パネル101が発光する。
このように無機EL表示装置100では、階調レベルの増加と共に所定のON電圧が印加される発光サブフレーム数が増加するように構成されている。
図2に、無機EL表示装置100における階調レベルL0〜L7のタイムチャートを示す。
また、表4に、各階調レベルにおける1フレームあたりの総発光強度を示す。
図2に示すように、階調レベルL0では、すべてのサブフレームにおいて所定のOFF電圧(非発光電圧)が印加され、無機EL表示装置100からは発光は観察されない。
階調レベルL1では、1フレームを構成する7サブフレームのうち、第1サブフレームにおいてのみ所定のON電圧が印加される。ここで、発光する第1サブフレームでは、交互に逆極性のパルスが印加されるので、第1サブフレームにおいて発光する前には第1サブフレームにおいて印加されるパルスと同極性の電荷が残留している。従って、階調レベルL1の第1サブフレームにおける発光は、その残留電荷によって強められる。
ここで、発光した(ON電圧が印加された)サブフレームと連続したサブフレームにおける発光、及び、直前に発光した(ON電圧が印加された)サブフレームから偶数個のサブフレームを離間したサブフレームにおける発光、すなわち、残留電荷によって強められる発光の発光強度を1とすると、階調レベルL1の1フレームに得られる発光の総発光強度は1となる。
階調レベルL2では、1フレームを構成する7サブフレームのうち、第3サブフレーム、及び、第5サブフレームにおいて所定のON電圧が印加される。ここで、図2に示すように発光する第3サブフレームと第5サブフレームとは常に同極性のパルスが印加されるため、第5サブフレームにおいて発光する前には、第5サブフレームにおいて印加されるパルスと逆極性の電荷が残留している。従って、階調レベルL2の第5サブフレームにおける発光は、その残留電荷によって弱められる。一方、第3サブフレームにおいては、直前に発光したサブフレームである第5サブフレームにおいて印加されたパルスと逆極性のパルスが印加される。よって、第3サブフレームにおいて発光する前には、第3サブフレームにおいて印加されるパルスと同極性の電荷が残留している。従って、階調レベルL2の第3サブフレームにおける発光は、階調レベルL1の第1サブフレームにおける発光と同様に、その残留電荷によって強められる。
ここで、発光するサブフレームから奇数個のサブフレームを離間したサブフレームにおける発光、すなわち、残留電荷によって弱められる発光の発光強度をX(0<X<1)とすると、上述の通り、第3サブフレームにおける発光は発光強度が1となり、また、第5フレームにおける発光は発光強度がXとなるため、階調レベルL2の1フレームに得られる発光の総発光強度は、(1+X)となる。
階調レベルL3では、1フレームを構成する7サブフレームのうち、第1サブフレーム、第3サブフレーム、及び、第5サブフレームにおいて所定のON電圧(発光電圧)が印加される。ここで、図2に示すように、発光する第1サブフレームと第3サブフレームと第5サブフレームとは常に同極性のパルスが印加されるため、第3サブフレーム、及び、第5サブフレームにおいて発光する前には、第3サブフレーム又は第5サブフレームにおいて印加されるパルスと逆極性の電荷が残留している。従って、階調レベルL2の第3サブフレーム、及び、第5サブフレームにおける発光は、その残留電荷によって弱められる。一方、第1サブフレームにおいては、直前に発光したサブフレームである第5サブフレームにおいて印加されたパルスと逆極性のパルスが印加される。よって、第1サブフレームにおいて発光する前には、第1サブフレームにおいて印加されるパルスと同極性の電荷が残留している。従って、階調レベルL3の第1サブフレームにおける発光は、階調レベルL1の第1サブフレームにおける発光と同様に、その残留電荷によって強められる。
このように、第1サブフレームにおける発光は発光強度が1となり、また、第3サブフレーム、及び、第5サブフレームにおける発光は発光強度がXとなるため、階調レベルL3の1フレームに得られる発光の総発光強度は、(1+2X)となる。
階調レベルL4では、1フレームを構成する7サブフレームのうち、第2サブフレーム、第4サブフレーム、第6サブフレーム、及び、第7サブフレームにおいて所定のON電圧(発光電圧)が印加される。ここで、図2に示すように、発光する第2サブフレームと第4サブフレームと第6サブフレームとは常に同極性のパルスが印加されるため、第4サブフレーム、及び、第6サブフレームにおいて発光する前には、第4サブフレーム又は第6サブフレームにおいて印加されるパルスと逆極性の電荷が残留している。従って、階調レベルL2の第3サブフレーム、及び、第5サブフレームにおける発光は、その残留電荷によって弱められる。また、第2サブフレームにおいては、直前に発光したサブフレームである第7サブフレームにおいて印加されたパルスと逆極性のパルスが印加される。よって、第2サブフレームにおいて発光する前には、第2サブフレームにおいて印加されるパルスと逆極性の電荷が残留している。従って、第2サブフレームにおける発光は、その残留電荷によって弱められる。一方、第7サブフレームは、直前に発光したサブフレームである第6サブフレームと逆極性のパルスが印加される。よって、第7サブフレームにおいて発光する前には、第7サブフレームにおいて印加されるパルスと同極性の電荷が残留している。従って、第7サブフレームにおける発光は、階調レベルL1の第1サブフレームにおける発光と同様に、その残留電荷によって強められる。
このように、第7サブフレームにおける発光は発光強度が1であり、また、第2サブフレーム、第4サブフレーム、及び、第6サブフレームにおける発光は発光強度がXであるため、階調レベルL4の1フレームに得られる発光の総発光強度は、(1+3X)となる。
階調レベルL5では、1フレームを構成する7サブフレームのうち、第1サブフレーム、第2サブフレーム、第4サブフレーム、第6サブフレーム、及び、第7サブフレームにおいて所定のON電圧(発光電圧)が印加される。ここで、図2に示すように、発光する第2サブフレームと第4サブフレームと第6サブフレームとは常に同極性のパルスが印加されるため、第4サブフレームと第6サブフレームとにおいて発光する前には、それぞれ第4サブフレームと第6サブフレームとにおいて印加されるパルスと逆極性の電荷が残留している。従って、第4サブフレーム、及び、第6サブフレームにおける発光は、その残留電荷によって弱められる。一方、第1サブフレーム、第2サブフレーム、及び、第7サブフレームは、それぞれ先の発光サブフレームである第7サブフレーム、第1サブフレーム、及び、第6サブフレームと逆極性のパルスが印加される。よって、第1サブフレーム、第2サブフレーム、及び、第7サブフレームにおいて発光する前には、それぞれ第1サブフレーム、第2サブフレーム、及び、第7サブフレームにおいて印加されるパルスと同極性の電荷が残留している。従って、第1サブフレーム、第2サブフレーム、及び、第7サブフレームにおける発光は、階調レベルL1の第1サブフレームにおける発光と同様に、その残留電荷によって強められる。
このように、第1サブフレーム、第2サブフレーム、及び、第7サブフレームにおける発光は発光強度が1となり、また、第4サブフレーム、及び、第6サブフレームにおける発光は発光強度がXとなるため、階調レベルL5の1フレームに得られる発光の総発光強度は、(3+2X)となる。
階調レベルL6では、1フレームを構成する7サブフレームのうち、第1サブフレームを除く第2サブフレーム〜第7サブフレームにおいて所定のON電圧(発光電圧)が印加される。ここで、図2に示すように、発光する第2サブフレームと第3サブフレームと第4サブフレームと第5サブフレームと第6サブフレームと第7サブフレームとは交互に逆極性のパルスが印加されるため、第3サブフレームと第4サブフレームと第5サブフレームと第6サブフレームと第7サブフレームとにおいて発光する前には、それぞれ第3サブフレームと第4サブフレームと第5サブフレームと第6サブフレームと第7サブフレームとにおいて印加されるパルスと逆極性の電荷が残留している。従って、第3サブフレーム〜第7サブフレームにおける発光は、その残留電荷によって強められる。一方、第2サブフレームは、直前に発光したサブフレームである第7サブフレームと逆極性のパルスが印加される。よって第2サブフレームにおいて発光する前には、第2サブフレームにおいて印加されるパルスと同極性の電荷が残留している。従って、第2サブフレームにおける発光は、その残留電荷によって弱められる。
このように、第3サブフレーム〜第7サブフレームにおける発光は発光強度が1となり、また、第2サブフレームにおける発光は発光強度がXとなるため、階調レベルL6の1フレームに得られる発光の総発光強度は、(5+X)となる。
階調レベルL7では、1フレームを構成する7サブフレームのすべてにおいて所定のON電圧が印加される。ここで、図2に示すように、階調レベルL7においては、各サブフレームにおいて交互に逆極性のパルスが印加されるため、各サブフレームにおいて発光する前には、それぞれ印加されるパルスと逆極性の電荷が残留している。従って、各サブフレームにおける発光は、その残留電荷によって強められる。
このように、第1サブフレーム〜第7サブフレームにおける発光は発光強度が1となるため、階調レベルL7の1フレームに得られる発光の総発光強度は、7となる。
このように、無機EL表示装置100では、階調レベルの増加と共に、ON電圧を印加したサブフレームと連続してON電圧が印加されるサブフレームの数量と、直前にON電圧を印加したサブフレームから偶数個のサブフレームを離間してON電圧が印加されるサブフレームの数量と、の総和が単調増加している(本発明において、「単調増加」とは、「階調レベルの増加に伴って、上記総和が減少しない」ことをいう。すなわち、「ある階調レベルにおける上記総和が、その階調レベルよりも下位の階調レベルにおける上記総和と同じ、又は、下位の階調レベルにおける上記総和よりも大きいこと」を意味するものとする。)。よって、階調レベル0〜7の1フレームに得られる発光の総発光強度は、順に0、1、(1+X)、(1+2X)、(1+3X)、(3+2X)、(5+X)、7となる。従って、この無機EL表示装置100では、Xが0〜1の間のどのような値をとった場合であっても、階調レベルの増加に伴って、総発光強度が単調増加し、表示階調が単調増加するように構成されている。従って、無機EL表示装置100では、階調レベルの増加に対して表示階調が反転することなく、良好な階調表示を実現することができる。
また、従来の無機EL表示装置では、フレーム間引き制御回路102中に階調レベルと同数程度のパターン生成回路が必要であったが、この無機EL表示装置100では、フレーム間引き制御回路102を入力ブロック103〜105の数量から1を差し引いた数、すなわち2つのパターン生成回路により構成することができる。従って、この無機EL表示装置100では、フレーム間引き制御回路102を簡素化することができる。
尚、本実施例では、すべての階調レベルにおいて、1周期を構成するサブフレーム数を7としたが、何らこれに限定されるものではない。各階調レベルごとに1周期を構成するサブフレーム数を異ならせても勿論構わない。この構成によれば、フリッカーの防止を抑制することができ、表示画面のちらつきのない無機EL表示装置を実現することができる。
例えば、連続した7サブフレームにより1パターンの画像を表示する1フレームを構成し、各階調レベルにおける無機EL表示素子への印加電圧を以下のように設定することができる。
階調レベルL0では、連続した7サブフレームを1周期とし、それらのサブフレームのすべてにおいてOFF電圧(非発光電圧)を印加するように設定する。階調レベルL1では、連続した7サブフレームを1周期とし、それらのサブフレームのうち、第1サブフレームにおいてのみ、所定のON電圧を印加するように設定する。階調レベルL2では、連続した5サブフレームを1周期とし、それらのサブフレームのうち、第1サブフレームにおいてのみ、所定のON電圧を印加するように設定する。階調レベルL3では、連続した3サブフレームを1周期とし、それらのサブフレームのうち、第1サブフレームにおいてのみ、所定のON電圧を印加するように設定する。階調レベルL4では、連続した7サブフレームを1周期とし、それらのサブフレームのうち、第1サブフレーム、第4サブフレーム、及び、第7サブフレームの計3サブフレームにおいて所定のON電圧を印加するように設定する。階調レベルL5では、連続した5サブフレームを1周期とし、それらのサブフレームのうち、第2サブフレーム、第3サブフレーム、第4サブフレーム、及び、第5サブフレームの計4サブフレームにおいて所定のON電圧を印加するように設定する。階調レベルL6では、連続した7サブフレームを1周期とし、それらのサブフレームのうち、第1サブフレームを除く第2サブフレーム〜第7サブフレームの計6サブフレームにおいて所定のON電圧を印加するように設定する。そして、階調レベルL7では、連続した7サブフレームを1周期とし、それらのサブフレームのすべてのサブフレームにおいて所定のON電圧を印加するように設定する。
図3は、上記のように、各階調レベルごとに1周期を構成するサブフレーム数を異なるように設定した無機EL表示装置300の階調レベルL0〜L7のタイムチャートを示す図である。
この無機EL表示装置300では、直前に発光したサブフレームから偶数個のサブフレームを離間したサブフレームにおける発光の発光強度を1とし、直前に発光したサブフレームから奇数個のサブフレームを離間したサブフレームにおける発光の発光強度をX(Xは0より大きく1より小さい)とすると、階調レベルL0〜L7における1フレームにおける総発光強度は、それぞれ、0、1、7/5、7/3、3、21/5+(7/5)X、5+X、7となる。ここでXは0より大きく1より小さいため、この設定においては、階調レベルに対して表示階調の反転が発生することはない。従って、各階調レベルごとに1周期を構成するサブフレーム数が異なるように設定した無機EL表示装置においても、階調レベルの増加に対して表示階調が反転することなく、良好な階調表示を実現することができる。
また、本実施例に係る無機EL表示装置100は、8階調レベルの階調表示を行うものであるが、本発明は何らこれに限定されるものではなく、例えば、6階調表示や12階調表示等、種々の階調表示に適用することができる。
また、本実施例では無機EL表示装置を例として説明したが、本発明は、何ら無機EL表示装置に限定されるものではなく、種々の容量性表示装置に適用することができる。