JP2005307799A - 冷媒圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷媒圧縮機の再始動時に冷凍サイクルの蒸発器に貯溜された冷媒液を含む冷媒ガスがシリンダまで導入されることがあるため、液圧縮現象を起こし、吸入弁がバルブプレートに衝突して傷つき、この傷を起点に吸入弁が破損するという課題がある。
【解決手段】シリンダ122の開口端で周囲に弁座133cを有する吸入孔133aを配したバルブプレート133と、吸入孔133aを覆う吸入弁132を備え、弁座133cの弁座面133fを吸入孔133aに向かってへこむ方向に傾斜させているので、液冷媒の吸入による液圧縮、フォーミングオイルの吸入によるオイル圧縮などによる吸入弁132への過大な応力を低減させ、圧縮機の信頼性を向上させる。
【選択図】図5
【解決手段】シリンダ122の開口端で周囲に弁座133cを有する吸入孔133aを配したバルブプレート133と、吸入孔133aを覆う吸入弁132を備え、弁座133cの弁座面133fを吸入孔133aに向かってへこむ方向に傾斜させているので、液冷媒の吸入による液圧縮、フォーミングオイルの吸入によるオイル圧縮などによる吸入弁132への過大な応力を低減させ、圧縮機の信頼性を向上させる。
【選択図】図5
Description
本発明は、主に家庭用の電気冷蔵庫や自動販売機等に使用される冷媒圧縮機の吸入バルブの改良に関するものである。
近年、地球環境に対する要求はますます強まってきており、冷蔵庫やその他の冷凍サイクル装置等においても、消費電力量の低減が強く要望されている。また、温室効果の高い冷媒ガスの規制等の動きが加速されている。
従来、この種の冷媒圧縮機としては、温暖化係数の小さい炭化水素を主体とする冷媒ガスを用い、商用電源周波数未満の回転数を含む複数の運転周波数で駆動されるインバータ駆動式のレシプロ型密閉型電動圧縮機であって、電動要素は永久磁石を埋め込んだ回転子と、コアにティース部を有し、前記ティース部に巻線を集中巻きした固定子とから構成したことで密閉容器内空間容積を小さくしたもの(例えば、特許文献1参照)がある。
以下、図面を参照しながら上記従来の冷媒圧縮機を説明する。
図7は、特許文献1に記載された従来の冷媒圧縮機の縦断面図を示したものである。
図7において、密閉容器1の底部には冷凍機油2を貯留している。電動要素5は固定子3および永久磁石(図示せず)を内臓する回転子4から構成され、圧縮要素6を駆動する。また、電動要素5は、インバータ駆動回路(図示せず)によって回転し、固定子3に突極集中巻の巻線を採用することで大幅にコイルエンドを減少させ、小型で高効率を実現している。
次に、圧縮要素6の詳細を以下に説明する。
クランクシャフト10は、電動要素5の回転子4を圧入固定した主軸部11および主軸部11に対し偏心して形成された偏心部12を有する。シリンダブロック20は、略円筒形のシリンダ22を有するとともに主軸部11を軸支する軸受部23を有している。
ピストン30はシリンダ22に嵌入され、偏心部12との間を連結手段31によって連結されている。バルブプレート33はシリンダ22側に吸入弁32を介してシリンダヘッド34とともにボルト35により固定される。吸入管38は、密閉容器1に固定されるとともに冷凍サイクルの低圧側(図示せず)に接続され、冷媒ガス(図示せず)を密閉容器1内に導く。サクションマフラー40は、消音空間42を形成する。
図8は、従来の冷媒圧縮機の吸入バルブの動作摸式図である。
図8において、バルブプレート33はサクションマフラー40の出口部40bに対向する吸入孔33aを有し、シリンダ22側の吸入孔33aの周囲に設けた弁座33cには弁座面33fを形成する。板ばね材を舌状に切り抜いた吸入弁32は弁座33fに当接することで吸入バルブ50を形成する。運動性と耐久性を兼ね備える吸入弁32に適する材料としては、板厚が0.15mmから0.3mmの薄い炭素鋼(例えばSANDVIK社製7C27Mo2)を用いている。弁座33cの弁座面33fはバルブプレート33の端面と略平行に、同一面に研磨加工されている。
以上のように構成された冷媒圧縮機について、以下にその動作を説明する。
電動要素5に通電されると、固定子3に発生する磁界により、回転子4はクランクシャフト10を回転させる。主軸部11の回転により、偏心部12の偏心運動が連結手段31を介してピストン30に伝えられる。ピストン30はシリンダ22内で往復動し、密閉容器1に固定された吸入管38よりサクションマフラー40の消音空間42を経た冷媒ガスを出口部40bに対向する吸入孔33aからシリンダ22内へ導入し、連続して圧縮する。そして、圧縮された冷媒ガスは、吐出管(図示せず)を経由して密閉容器1外の既知の冷凍サイクル(図示せず)へ送出される。
吸入バルブの動作について説明する。圧縮機の運転中、シリンダ22の内圧が吸入孔33aより低い時(吸入時)、図中7破線で示すように吸入弁32は差圧により弁座33fより離れて、吸入孔33aよりシリンダ22内へ冷媒ガスが流入する。また、吸入弁32はシリンダ22内圧が吸入孔33aより高い時(圧縮時)、図8中実線で示すように、変位量“H1”撓んで弁座33fの内縁部33eで接し,冷媒ガスがシリンダ22へ逆流することを防ぐ。
特開2003−148340号公報
しかしながら、上記従来の構成では、冷媒圧縮機の再始動時に冷凍サイクルの蒸発器に貯溜された冷媒液を含む冷媒ガスがシリンダ22まで導入された場合、液圧縮現象を起こし、吸入弁32が破損するという課題がある。また、外気温度が低く冷媒圧縮機が長時間停止した時、冷凍機油2中に多量の冷媒ガスが溶け込み、再始動時に冷凍機油2が発泡することにより、冷凍機油2を含んだ冷媒ガスがサクションマフラー40内を通ってシリンダ22まで導入され、オイル圧縮によって吸入弁32が破損するという課題がある。
これらの課題は、特に地球温暖化やオゾン層の破壊を起こさない環境対応に適した炭化水素冷媒を用いた冷媒圧縮機を実現するための障壁となっていた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、環境対応に適する冷媒用圧縮機の信頼性向上を目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の冷媒圧縮機は、シリンダの開口端で周囲に弁座を形成した吸入孔を設けたバルブプレートと、前記吸入孔を覆う吸入弁を備え、前記弁座の弁座面は前記吸入孔に向かってへこむ方向に傾斜を設けたもので、液冷媒の吸入による液圧縮、フォーミングオイルの吸入によるオイル圧縮などによる吸入弁への応力を緩和でき、吸入弁の耐久力が向上するという作用を有する。
本発明の冷媒圧縮機は、液圧縮時等において、吸入弁が弁座内縁部に接して押圧を受けるので吸入弁への応力が低減でき、吸入バルブの耐久力が増して、圧縮機の信頼性を向上することができる。
請求項1に記載の発明は、シリンダを形成するシリンダブロックと、前記シリンダ内で往復運動するピストンと、前記シリンダの開口端を封止するとともに、周囲に弁座を形成した吸入孔を設けたバルブプレートと、前記弁座を覆う板ばね状の吸入弁とを備え、前記弁座の弁座面は前記吸入孔に向かってへこむ方向に傾斜したことにより、冷媒の吸入、圧縮に伴う冷媒ガスの流れにおいて、開弁時に弁座外縁部で差圧を受けるので吸入弁を推す力が大きく動作性が良く、弁部のガス流れ抵抗が減少し、圧縮機の体積効率が向上する。また、液圧縮時等には弁座内縁部で押圧を受け、吸入弁への応力が低減でき、吸入バルブの耐久力が増して圧縮機の信頼性が向上する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の弁座面を、傾斜角度が1から5度の範囲としたことにより、圧縮機の使用負荷に応じて、通常負荷では吸入バルブの動作性を向上させ、異常な過大負荷では吸入弁への応力が緩和できるので、請求項1に記載の発明の効果に加えて、圧縮機の体積効率と信頼性の向上が図れる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明の冷媒圧縮機に使用する冷媒を、R600aとしたことにより、同一冷凍能力を得るため気筒容積が約倍加した場合において、請求項1または2に記載の発明の効果に加えて、ガス流れ抵抗を小さく抑えることができるので、より高い体積効率を得ることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明の冷媒圧縮機において、商用電源周波数未満の回転数を含む複数の運転周波数でインバータ駆動される電動要素としたことにより、請求項1から3に記載の発明の効果に加えて、高速運転下においても吸入弁への衝撃応力を抑えることができ、圧縮機の高信頼性を得られる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明の冷媒圧縮機において、圧縮要素を電動要素の上部に配設したことにより、吸入マフラの入口を冷凍機油の油面に対して高位置に配置することができ、圧縮機の始動時にオイルを吸込み難い構造の圧縮要素とすることができ、請求項1から4に記載の発明の効果に加えて、吸入弁への衝撃応力を抑えることができ、高い信頼性を得られる。
以下、本発明による冷媒圧縮機の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷媒圧縮機の縦断面図である。図2は、図1の要部断面図である。図3は、同実施の形態における冷媒圧縮機の要部分解図である。図4は、同実施の形態におけるバルブプレートの部分断面図である。図5は、同実施の形態における吸入バルブの動作摸式図である。図6は、同実施の形態における冷媒圧縮機の吸入バルブの動作特性図である。
図1は、本発明の実施の形態1における冷媒圧縮機の縦断面図である。図2は、図1の要部断面図である。図3は、同実施の形態における冷媒圧縮機の要部分解図である。図4は、同実施の形態におけるバルブプレートの部分断面図である。図5は、同実施の形態における吸入バルブの動作摸式図である。図6は、同実施の形態における冷媒圧縮機の吸入バルブの動作特性図である。
図1、図2および図3において、密閉容器101内には集中巻線を保有する固定子103および永久磁石(図示せず)を内臓する回転子104からなる電動要素105と、電動要素105の上部に配設され、これによって駆動される圧縮要素106とを収容し、底部に冷凍機油102を貯留する。
また、電動要素103は、インバータ駆動により、最低回転数が15r/secで、最高回転数を75r/secとすることで、最低回転数に対する最高回転数の比を5としたものであり、冷凍能力幅が広範囲な運転を行うよう設定されている。
また、この冷媒圧縮機はオゾン破壊係数がゼロでしかも温暖化係数の小さい炭化水素系冷媒、具体的にはR600a冷媒を圧縮するよう、設計されている。
次に圧縮要素6の詳細を以下に説明する。
クランクシャフト110は、回転子104を圧入固定した主軸部111および主軸部111に対し偏心して形成された偏心部112を有する。シリンダブロック120は、略円筒形のシリンダ122を有するとともに主軸部111を軸支する軸受部123を有している。
ピストン130は、シリンダ122に嵌入され、偏心部112との間を連結手段131によって連結されている。バルブプレート133はシリンダ122側に吸入弁132を介してシリンダヘッド134とともにボルト135によりシリンダブロック120に固定される。
吐出管139および吸入管138は密閉容器101に固定されるとともに冷凍サイクルの高圧および低圧側(図示せず)にそれぞれ接続され、冷媒ガス(図示せず)を吐出し、再び密閉容器101内に導く。サクションマフラー140は、消音空間142を形成するとともに、消音空間142と連通する出口部140bを備える。
板状のバルブプレート133はサクションマフラー140の出口部140bに対向する吸入孔133aと、シリンダヘッド134の吐出室134aへ連通する吐出孔133bを有する。
バルブプレート133のシリンダ122側には、吸入孔133aの周囲に設けた弁座133cに弁座面133fを形成する。そして、板ばね材を舌状に切り抜いた吸入弁132が弁座面133fに当接することで吸入バルブ150を形成する。吸入弁132に適する材料として、板厚が0.15mmから0.3mmの薄い炭素鋼(例えばSANDVIK社製7C27Mo2)を用いている。
そして、弁座面133fは吸入孔133aに向かってへこむ方向に、バルブプレート133の端面に対して角度α傾斜させ、研磨加工している。吸入弁132は非動作時、弁座面133fの外縁部133dに円環状に当接して着座する。角度αは本実施の形態においては、1から5度の範囲に設定している。
以上のような構成における一連の動作について説明する。
商用電源から供給される電力はインバータ制御回路(図示せず)を介して電動要素105に供給され、電動要素105の回転子104を任意の回転数で回転させる。回転子104はクランクシャフト110を回転させ、偏心部112の偏心運動が連結手段131を介してピストン130を駆動することでピストン130はシリンダ122内を往復運動し、吸入管138を通して密閉容器101内に導かれた冷媒ガスはサクションマフラー140の入口部140aから吸入され、消音空間142を経て出口部140bに対向する吸入孔133aよりシリンダ122内へ導入され連続して圧縮される。ピストン113の往復動に伴って、密閉容器101外の既知の冷凍サイクル(図示せず)より戻った冷媒ガスはシリンダ122内に吸入され、圧縮された後、吐出管139経由して密閉容器101外の既知の冷凍サイクル(図示せず)へ送られる。
また、電動要素105の固定子103は集中巻きを採用しコイルエンドを低くしている。その結果、電動圧縮要素を収納する密閉容器101の全高も極めて低く抑えることができ、このことは取りも直さず冷蔵庫等に適用する上で利便性を向上させることができる。
一般に冷蔵庫などにおける圧縮機の消費電力は運転周波数が低いほど小さくなり、また一方で負荷に応じた冷凍能力も同時に求められることから、通常インバータ装置は商用電源の周波数に対しその半分程度以下から商用電源の周波数を超える程度までの間で任意に複数の出力周波数が設定される。
次に、図5により吸入バルブの動作について説明する。
圧縮機停止中における吸入バルブ150非動作時の吸入弁132の位置は図5(1)中実線で示すように弁座面133fの外縁部に接している。そして、圧縮機の運転中、シリンダ122の内圧が吸入孔133aより低い時(吸入時)、図3(1)中の破線で示すように吸入弁132は差圧により弁座面133fより離れて、吸入孔133aよりシリンダ122内へ冷媒ガスが流入する。
続いて、吸入弁132はシリンダ122内圧が吸入孔133aより高い時(通常圧縮時)、図3(2)で示すように弁座面133fの外縁部133dに接し、圧力差に応じて変位量“H2”の撓みを生ずる。弁座面133fの外縁部133dで接することで冷媒ガスの吸入孔133aへの逆流を防ぐ。
その結果、通常運転における圧縮機の吸入時には吸入弁132が弁座面133fの外縁部133dに接した状態から始まるので、吸入弁に作用する力が大きくなる。そして通路断面積も広くなるので、冷媒ガスの流れがスムーズになって、圧縮機の効率が向上する。
また、従来の圧縮機の弁座面33fはフラットであり、吸入弁32と弁座面33fに冷凍機油2が介在することで、貼り付きを起こし、動作が緩慢となって、圧縮機の効率が低下することがあったが、本実施例では吸入弁132が弁座面133fに円環状に線接触するで、吸入弁132が弁座面133fより離脱する際に、スムーズに動作するため圧縮機効率が向上する。
次に、異常時における吸入バルブ150の動作について説明する。
圧縮機を冷蔵庫等に適用して使用する際に、冷却器に付着する霜を取除いた直後の運転時において、冷媒液が圧縮機の吸入管138迄到達することがあり、一部は気化しないまま、シリンダ122まで導入される(蒸発潜熱の大きい冷媒、例えばR600aはこの傾向が顕著である)。このように非凝縮性の冷媒液がシリンダ122内に流入する異常な圧縮時においては、シリンダ122内が異常高圧になり、吸入弁132が図3(3)で示すように過大圧力差により変位量“H”の撓みを生じて、弁座面133fの内縁部133eに当接することで冷媒ガスの吸入孔133aへの逆流を防ぐ。
その結果、吸入弁132はシリンダ122内に発生する異常高圧を弁座面133fの内縁部133eで受けることになり、受圧面積が減り、吸入弁132への応力が緩和されることで、耐久性が増して圧縮機の信頼性が向上する。
また、圧縮機を冷蔵庫等に適用して使用する場合、圧縮機停止中に冷凍機油102内に冷媒ガスが溶け込み、この溶け込み量は停止時間が長いほど多くなる。そして、圧縮機の始動直後に冷凍機油102中に溶解した冷媒ガスはクランクシャフト110の回転によるオイル攪拌や密閉容器101内の減圧によって発泡しオイルフォーミングを起こすこととなる。オイルフォーミングが多量な場合には、冷凍機油102面が上昇して吸入マフラ140の入口管140aより冷媒ガスとともに冷凍機油102を吸込んでシリンダ122まで届くことがある。このような場合においても前述したようにシリンダ122内が異常高圧となって、吸入弁132へ過大な負荷がかかるが、弁座面133fを吸入孔133aに向かってへこむ方向に傾斜させることで、吸入弁132への応力を緩和させることができる。
次に、図6により、上述した圧縮機の吸入バルブ150の特性について説明する。
図6は、圧縮機における吸入バルブの動作を示したもので、シリンダ122と吸入孔133aの圧力差に応じた吸入弁132の変位を示している。一般に冷蔵庫等に適用される圧縮機は使用環境により負荷が変化し、これにともないシリンダ122の吐出圧力が変化する。この圧力変化に応じて、従来の圧縮機の吸入バルブ50の吸入弁32の撓みは、図6中実線で示すように一定の増加をする。
また、図6中破線で示す吸入弁の撓みは本発明における動作特性を示している。吸入弁132の撓みは圧縮機の通常使用範囲(通常圧縮時)において、吸入弁132に作用する圧力差とともに増す。例えば、図6中“○”印(撓み量H2)で示す。そして、冷媒液を含む液圧縮および冷凍機油を含むオイル圧縮などの異常使用範囲(異常圧縮時)においては、吸入弁132は大きく撓む。例えば、図6中“●”印(撓み量H1)で示す。
本実施の形態では、弁座面133fを吸入孔133aに向かってへこむ方向に傾斜させているので、通常使用範囲の図6中“イ”で示す圧力差までは吸入弁132は弁座面133fの外縁部133dに当接し着座する。さらに圧力差が増すと吸入弁132の着座位置は傾斜した弁座面133f面上を内側に転移する。続いて異常使用範囲の図6中“ロ”で示す圧力差まで増すと吸入弁132の着座位置は弁座面133f内縁部133eに移動し、その後、圧力差に応じて撓む。図中“◎”印で示す吸入弁132の変位量(H)は先に述べた従来の圧縮機における“●”印と同等の圧力差における撓みを示す。
図6からわかるように、圧縮機が通常使用範囲を超えて偶発的に起き得る異常使用範囲において、弁座面133fを吸入孔133aに向かってへこむ方向に傾斜させているので、吸入弁132への応力は緩和されることとなる。
本実施の形態では、弁座面133fの傾斜角度を、通常使用時の吸入弁132の撓み角0.8度(吐出ガスの凝縮温度が65度の場合)より大きい1度に設定してあるので、通常使用時には吸入弁132が弁座面133fの外縁部133dに当接して着座するようになる。
このように、通常使用時に吸入弁132が弁座面133fの外縁部133dに当接することで、圧縮機の吸入時(シリンダ122の内圧が吸入孔133aより低い時)、吸入弁に作用する力が従来の弁座面133fの内縁部133eに当接する場合より大きくなり、吸入弁132の動作性が向上して圧縮機の効率が向上することとなる。
また、圧縮機の異常使用時における吸入弁132の撓み角度は概ね8度(通常の吐出ガス圧力の10倍)であるので、弁座面133fの傾斜角度としては8度以下がよい。好適な弁座面133fの傾斜角度としては1度〜5度が望ましい。
このように、吸入弁132の着座する弁座面133fを吸入孔133aに向かってへこむ方向に1度〜5度傾斜させることで、運転中の圧縮機の吸入時に吸入弁132へ作用する力を増して、吸入弁132の動作性を高めることで、圧縮機の効率を向上させることができる。また、圧縮機が遭遇する異常な圧縮時には吸入弁132へ作用する過大な力を緩和して、吸入弁132の破損を防止させることができる。
また、本実施の形態において、圧縮機の運転速度を低速の回転数15r/secから高速の回転数75r/secと回転数比で5以上と極めて広範囲としているが、高速運転時に圧縮ガスの吐出量が増して、吸入弁が弁座に衝突する場合においても、弁座を傾斜させたことにより吸入弁132への過大応力を減じることができ、圧縮機の信頼性を向上させることができる。
一方、近年の家庭用冷凍冷蔵庫は断熱性能が格段に向上しており、安定運転時と高い冷凍能力を必要とする負荷投入時との必要冷凍能力の比が大きくなってきているが、冷媒圧縮機の冷凍能力は概ね電動要素の回転数に比例するため、本実施の形態によればこうした必要冷凍能力の比の拡大に対応することができ、先に述べたように、極めて高い省エネ効果が得られるものである。そして、冷却負荷の増大時にも必要な冷凍能力を得ることができ、不冷や冷却速度が遅いといった冷却性能の問題も防止することができる。
また、本実施の形態では、冷媒ガスとして環境負荷の低いR600aを用いているが、R600aはR134a等のHFC冷媒に対して単位流量あたりの冷凍能力が低いため、シリンダ122容積を相対的に大きくするといった諸元の変更が必要となる。そのため、圧縮機の再始動時に密閉容器101内の減圧速度が大きくなり、再始動時に102の発泡現象が増すこととなる。
このように、シリンダ122の容積が大きくなり、フォーミングオイルが吸入マフラを通してシリンダ122に至るオイル圧縮となった場合においても、弁座面133fを傾斜させたことにより吸入弁132への過大応力を減じることができ、吸入弁の破損を回避することができる。そのため、特にR600aに対して好適であり、環境負荷の低い冷媒を用いた運転を実現する。
さらに、本実施の形態では、固定子104に突極集中巻の巻線を採用し、回転子105の鉄心内には希土類からなる磁気力の大きな磁石材を用いた電動要素によって駆動される圧縮要素を上部に配置しているので、磁気特性が大幅に改善され、圧縮機の小型化や効率の向上を図ることができる。
このように、圧縮要素を101内の上部に配置することでサクションマフラー140の入口管140aを冷凍機油102の油面に対して高い位置に設けることができ、圧縮機の再始動時にフォーミングオイルがサクションマフラー140を通してシリンダ122に至るオイル圧縮となった場合においても、弁座面133fを傾斜させたことにより吸入弁132への過大応力を減じることができ、圧縮機の信頼性を向上させることができる。
以上のように、本発明にかかる冷媒圧縮機は、圧縮機の運転効率を高め、信頼性の向上が可能となるので、往復動式のものに限らず、リニアコンプレッサ等にも適用でき、環境適応型冷媒を用いたその他の冷凍サイクル装置等に広く使用される。
105 電動要素
106 圧縮要素
120 シリンダブロック
122 シリンダ
130 ピストン
132 吸入弁
133 バルブプレート
133a 吸入孔
133c 弁座
133f 弁座面
106 圧縮要素
120 シリンダブロック
122 シリンダ
130 ピストン
132 吸入弁
133 バルブプレート
133a 吸入孔
133c 弁座
133f 弁座面
Claims (5)
- シリンダを形成するシリンダブロックと、前記シリンダ内で往復運動するピストンと、前記シリンダの開口端を封止するとともに、周囲に弁座を形成した吸入孔を設けたバルブプレートと、前記弁座を覆う板ばね状の吸入弁とを備え、前記弁座の弁座面は前記吸入孔に向かってへこむ方向に傾斜した冷媒圧縮機。
- 弁座面の傾斜角度を1から5度の範囲とした請求項1に記載の冷媒圧縮機。
- 使用する冷媒をR600aとした請求項1または2に記載の冷媒圧縮機。
- 商用電源周波数未満の回転数を含む複数の運転周波数でインバータ駆動される電動要素とした請求項1から3のいずれか一項に記載の冷媒圧縮機。
- 圧縮要素を電動要素の上部に配設した請求項1から4のいずれか一項に記載の冷媒圧縮機。
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