JP2005306945A - 溶融コーティング用光重合性組成物及びその製造方法 - Google Patents

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JP2005306945A JP2004123474A JP2004123474A JP2005306945A JP 2005306945 A JP2005306945 A JP 2005306945A JP 2004123474 A JP2004123474 A JP 2004123474A JP 2004123474 A JP2004123474 A JP 2004123474A JP 2005306945 A JP2005306945 A JP 2005306945A
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Abstract

【課題】 溶融コーティングに適した光重合性組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 溶融コーティングするための室温で固体の光重合性組成物を、室温で固体の光硬化性樹脂と、多官能重合性化合物[アルカンポリオール又はそのオリゴマーのポリ(メタ)アクリレートなど]とで構成する。特に、光重合性組成物の溶融温度は45〜75℃であり、溶融コーティング温度における溶融粘度は50〜500Pa・sであることが好ましい。光重合性組成物は、例えば、光硬化性樹脂と多官能重合性化合物とを溶融混練し、冷却固化した後、粉砕することにより製造される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、溶融コーティングするのに適した光重合性組成物及びその製造方法に関する。
従来、光重合性組成物(光硬化塗料)としては、液状紫外線硬化型樹脂組成物が知られている。その使用方法は、基材に対して液状紫外線硬化型樹脂組成物を塗布し、紫外線を照射する塗膜形成方法である。しかし、木質材などの多孔質基材に対しては、液状紫外線硬化型樹脂組成物が浸透するため、均一な塗膜の形成、特に厚膜コーティングが困難である。一方、塗膜を形成する方法として、基材に対して紫外線硬化型粉体塗料を塗布する方法も知られている。
例えば、特開平8−301957号公報(特許文献1)には、末端メタアクリル基含有結晶形ポリエステルを含有する放射線硬化性粉末組成物が開示されている。この文献には、摩擦電気式ガン又は静電気式ガンによる噴霧(静電塗装)によって、又は流動床(流動浸漬法)において物品に沈着させた放射線硬化性粉末組成物を、80〜150℃で加熱して溶融させた後、紫外線又は加速電子ビームを照射する被覆方法が記載されている。物品に沈着している紫外線硬化性粉末組成物を、強制循環式オーブン中で、又は赤外線灯を用いて、80〜150℃で加熱して溶融させ、展延させ、滑らかで、均一な連続コーティングを得ることも記載されている。また、木材にも適用できることが記載されている。さらに、硬化塗膜の硬度を高めるため、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどの重合性希釈剤(エチレン状不飽和オリゴマー)を、前記粉末組成物100重量部あたり、0〜20重量部添加してもよいことが記載されている。しかし、重合性希釈剤を添加すると、粉末組成物がブロッキングし易くなり、貯蔵性、取扱い性を大きく損なう。
特開2002−212506号公報(特許文献2)には、多孔性基材(多孔性金属など)に塗布するための粉体塗料であって、ワックスを含有する紫外線硬化型粉体塗料が開示されている。この文献には、静電塗装により多孔性基材に付着させた粉体塗料を加熱して溶融させた後、紫外線を照射して硬化させることが記載されており、ワックスによって、発泡跡の発生が抑制されることが記載されている。
前記静電塗装によれば、1回の塗装において、膜厚30〜150μm程度の塗膜を形成できる。しかし、静電塗装の場合、基材への塗着効率が50〜70%程度であり、塗着しなかった塗料は回収又は廃棄される。回収された粉体塗料は、正常な塗料と比べて、粒度分布が異なるため、再度、静電塗装に用いられると、塗膜外観などを損なうおそれがある。また、木質材などの電気絶縁性の基材に対しては、均一かつ厚膜の塗膜を形成できない。さらに、塗布量のコントロールが難しく、外観の良好な塗膜を形成しにくい。一方、前記流動浸漬の場合、粉体塗料の流動性がよいことが必要である。また、形成される塗膜の厚みが、基材の熱容量に左右されるので、膜厚をコントロールしにくい。さらに、基材が木質材などである場合には、高温に加熱することが難しい。また、いずれの場合も、粉体塗料が基材の裏面にまで回り込むため、基材の所定の面だけに塗布することが難しい。さらに、前記粉体塗料を用いて光照射しても、硬質の塗膜を得ることが難しい。
特開平8−301957号公報(特許請求の範囲、段落番号[0037]、段落番号[0045]、段落番号[0046]) 特開2002−212506号公報(請求項1、実施例)
従って、本発明の目的は、溶融コーティングによって、簡便かつ効率よく、硬質の塗膜を形成できる光重合性組成物及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、室温で固体であっても、溶融温度及び溶融粘度が低く、厚膜の塗膜を、効率よく形成できる光重合性組成物及びその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、均一な塗膜の形成が困難な多孔質基材や、電気絶縁性が高く静電塗装の困難な基材や、高温加熱が困難で流動浸漬の困難な基材(例えば、木質材など)であっても、効率よく、均一な塗膜を形成できる光重合性組成物及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、光硬化性樹脂と、多官能重合性化合物とで構成され、室温で固体の光重合性組成物を溶融コーティングすると、ほぼ100%に近い塗着効率で、均一な塗膜を形成できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、室温で固体の光重合性組成物であって、室温で固体の光硬化性樹脂と、多官能重合性化合物とで構成されている溶融コーティング用光重合性組成物に関する。溶融コーティング用光重合性組成物は、溶融コーティング温度における溶融粘度が50〜500Pa・sであってもよい。
多官能重合性化合物は、複数の(メタ)アクリロイル基を有する多官能重合性化合物であってもよく、例えば、多官能重合性化合物が、ポリオールのモノマー、ダイマー又はトリマーから選択されたポリオール成分のポリ(メタ)アクリレートであって、前記ポリオールがアルカンジオール、アルカントリオール、及びアルカンテトラオールから選択された少なくとも一種であってもよく、好ましくは、C3-10アルカントリオール、及びC4-10アルカンテトラオールから選択された少なくとも一種のダイマーのポリ(メタ)アクリレートであってもよい。多官能重合性化合物の割合は、光硬化性樹脂100重量部に対して、5〜30重量部であってもよい。
本発明の溶融コーティング用光重合性組成物は、さらに光重合開始剤を、多官能重合性化合物100重量部に対して、0.5〜50重量部含んでいてもよい。例えば、室温で固体の光重合性組成物であって、室温で固体の光硬化性樹脂と、アルカントリオール又はアルカンテトラオールのダイマー又はトリマーのトリ乃至ヘキサ(メタ)アクリレートからなる群から選択された少なくとも1種のポリオールポリ(メタ)アクリレートと、光重合開始剤とで構成され、前記ポリ(メタ)アクリレートの割合が光硬化性樹脂100重量部に対して8〜25重量部であり、光重合開始剤の割合が前記ポリ(メタ)アクリレート100重量部に対して1〜30重量部である溶融コーティング用光重合性組成物であってもよい。
本発明は、室温で固体の光硬化性樹脂と多官能重合性化合物とを溶融混練し、冷却固化した後、粉砕する前記の溶融コーティング用光重合性組成物を製造する方法も含む。
本発明の光重合性組成物によれば、溶融コーティングによって、硬質で、均一かつ厚膜の塗膜を、簡便かつ効率よく形成できる。また、本発明の光重合性組成物によれば、溶融温度及び溶融粘度が比較的低いので、溶融コーティングによって、比較的低い加熱温度で、厚膜の塗膜でも、効率よく形成することができる。しかも、基材の種類によることなく[例えば、多孔質基材に対しても、非多孔質基材に対しても、また、電気絶縁性が高く静電塗装が困難な基材や、高温加熱が困難で流動浸漬が困難な基材(例えば、木質材など)に対しても]、ほぼ100%に近い塗着効率で、効率よく、均一な塗膜を形成できる。
[光重合性組成物]
本発明の光重合性組成物は、少なくとも光硬化性樹脂と多官能重合性化合物とで構成され、室温(温度15〜25℃)で固体である。本発明の光重合性組成物は、多官能重合性化合物を含有しているので、硬質の塗膜を形成できるとともに、溶融温度及び溶融粘度が比較的低く、塗布性及び塗膜のレベリング性が高い。しかも、溶融コーティングに供されるため、ブロッキングの有無に関係なく、均一かつ厚膜の塗膜を形成できる。
光重合性組成物の溶融温度は、光硬化性樹脂の種類や多官能重合性化合物の割合にもよるが、通常、40〜100℃程度であり、例えば、45〜80℃、好ましくは45〜75℃、さらに好ましくは45〜70℃(特に50〜60℃)程度であってもよい。光重合性組成物の溶融粘度は、光硬化性樹脂の種類や多官能重合性化合物の割合にもよるが、溶融コーティング温度において、通常、50〜500Pa・s程度であり、例えば、100〜400Pa・s、好ましくは150〜350Pa・s、さらに好ましくは180〜320Pa・s(特に200〜310Pa・s)程度であってもよい。溶融コーティング温度は、光重合性組成物が溶融する温度であり、例えば、40〜200℃、好ましくは45〜150℃、さらに好ましくは50〜100℃程度であってもよい。具体的には、例えば、粘度測定装置(ビスコメーター)を用いて、溶融温度(例えば、温度95℃)、回転数0.1rpmの条件下で測定したとき、100秒間経過後の粘度(溶融粘度)が、例えば、150〜350Pa・s、好ましくは180〜320Pa・s、さらに好ましくは200〜310Pa・s程度であってもよい。
[光硬化性樹脂]
光硬化性樹脂としては、室温(温度15〜25℃)で固体であり、かつ光重合性基(例えば、(メタ)アクリロイル基などのα,β−エチレン性不飽和結合基など)を有する樹脂であれば特に限定されず、光硬化性ポリエステル系樹脂、光硬化性アクリル系樹脂、光硬化性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、光硬化性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂などが例示される。これらの光硬化性樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
光硬化性ポリエステル系樹脂は、官能基(ヒドロキシル基、カルボキシル基など)を有する飽和又は不飽和ポリエステル樹脂と、前記官能基に対する反応性基を有する重合性不飽和化合物との反応により生成する(メタ)アクリロイル基含有ポリエステル系樹脂、光硬化性不飽和ポリエステル系樹脂(例えば、ジカルボン酸成分として、(無水)マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸成分を用いて得られたポリエステル系樹脂など)などが例示できる。光硬化性ポリエステル系樹脂としては、通常、(メタ)アクリロイル基を有するポリエステル系樹脂が使用される。
官能基を有するポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸成分を主成分(例えば、70〜100モル%、好ましくは80〜100モル%、さらに好ましくは90〜100モル%程度)とするポリカルボン酸成分と、ジオール成分を主成分(例えば、70〜100モル%、好ましくは80〜100モル%、さらに好ましくは90〜100モル%程度)とするポリオール成分とのエステル化反応による生成物であってもよい。
ジカルボン酸成分としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などのC2-20脂肪族ジカルボン酸)、芳香族ジカルボン酸(例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、(無水)フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などC8-16芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物)、脂環族ジカルボン酸(例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などのC8-12脂環族ジカルボン酸又はその無水物)などが例示できる。ジカルボン酸成分は、低級アルキルエステル(メチルエステルなどのC1-3アルキルエステル)などの反応性誘導体であってもよい。これらのジカルボン酸成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのジカルボン酸成分のうち、直鎖状C6-16脂肪族ジカルボン酸(特に直鎖状C6-12脂肪族ジカルボン酸)、C8-12芳香族ジカルボン酸(特にベンゼンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸)、C8-12脂環族ジカルボン酸(特にC8-10脂環族ジカルボン酸)から選択された少なくとも一種のジカルボン酸が好ましい。
ジカルボン酸成分は、分岐構造などを導入するため、必要によりポリカルボン酸(例えば、トリメリット酸やピロメリット酸などのトリカルボン酸やテトラカルボン酸又はそれらの酸無水物)と併用してもよい。
ジオール成分としては、例えば、アルキレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオールなどのC2-12アルキレングリコール)、(ポリ)オキシアルキレングリコール(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの(ポリ)オキシC2-4アルキレングリコール)、脂環族ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのC6-10シクロアルカンジオール)、芳香族ジオール(例えば、ビスフェノールAなどのビスフェノール類、ビスフェノールA−C2-4アルキレンオキシド付加体などのビスフェノール類のC2-4アルキレンオキシド付加体)などが例示できる。これらのジオール成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのジオール成分のうち、C2-8アルキレングリコール(エチレングリコールなど)及びC6-8シクロアルカンジオール(1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなど)から選択された少なくとも一種を用いる場合が多い。
ジオール成分は、分岐構造などを導入するため、必要によりポリオール成分(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンなどのトリオール、ペンタエリスリトールなどのテトラオールなど)と組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル系樹脂の官能基(カルボキシル基、ヒドロキシル基)の濃度は、重合性不飽和化合物との反応により光重合性を付与可能な範囲であればよく、例えば、酸価又はヒドロキシル価(OH価)5〜200mgKOH/g、好ましくは10〜150mgKOH/g、さらに好ましくは20〜100mgKOH/g程度であってもよい。
前記ポリエステル系樹脂の官能基に対する反応性基と(メタ)アクリロイル基とを有する重合性化合物としては、例えば、カルボキシル基に対する反応性基を有する化合物[例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシC2-6アルキル(メタ)アクリレート(ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど)など]、ヒドロキシル基に対する反応性基を有する化合物[例えば、ビニルフェニルイソシアネート、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート(例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのポリイソシアネート成分と、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応生成物など)、不飽和カルボン酸((メタ)アクリル酸、クロトン酸など)又はその反応性誘導体(無水(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロライドなど)など]などが例示できる。これらの重合性化合物は、ポリエステル系樹脂の官能基の種類に応じて、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
光硬化性ポリエステル系樹脂は、結晶性(半結晶性を含む)又は非結晶性であってもよい。結晶性ポリエステル系樹脂を得るためには、カルボキシル基が分子の対称位置に置換したジカルボン酸及び/又はヒドロキシル基が分子の対称位置に置換したジオールを用いるのが有利である。対称型(又は対称構造)ジカルボン酸としては、例えば、直鎖状C4-16脂肪族ジカルボン酸(特に直鎖状C6-12脂肪族ジカルボン酸)及び対称型環状ジカルボン酸(テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸)から選択された少なくとも一種のジカルボン酸が例示できる。対称型(又は対称構造)ジオールとしては、直鎖状C2-8アルキレングリコール(エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど)及び対称型C6-8シクロアルカンジオール(1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなど)から選択された少なくとも一種のジオールが例示できる。
対称構造のジカルボン酸成分及び対称構造のジオール成分の割合が多くなると、光硬化性ポリエステル系樹脂の結晶性(又は結晶化度)が大きくなる。一方、非対称構造のポリカルボン酸成分(ジカルボン酸成分を含む)や非対称構造のポリオール成分(ジオール成分を含む)の割合が多くなると、光硬化性ポリエステル系樹脂の結晶性(又は結晶化度)が低下する。そのため、ポリカルボン酸成分(ジカルボン酸成分を含む)のうち、対称構造のジカルボン酸成分の割合は、例えば、50〜100モル%、好ましくは70〜100モル%、さらに好ましくは85〜100モル%程度であってもよく、ポリオール成分(ジオール成分を含む)のうち、対称構造のジオール成分の割合は、例えば、50〜100モル%、好ましくは70〜100モル%、さらに好ましくは85〜100モル%程度であってもよい。
ポリエステル系樹脂と前記重合性化合物との反応は、慣用の方法、例えば、不活性ガス雰囲気中、熱重合禁止剤(例えば、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノンなどのハイドロキノンアルキルエーテルなど)の存在下、エステル化触媒(金属触媒、アミン類など)を用い、通常、60〜160℃(例えば、80〜130℃)程度の温度で行ってもよい。必要であれば、有機溶媒の存在下で反応させてもよい。ポリエステル系樹脂の官能基1モルに対する前記重合性化合物の反応性基の割合は、例えば、0.5〜1.5モル、好ましくは0.7〜1.3モル、さらに好ましくは0.8〜1.2モル程度であってもよい。反応終了後、必要に応じて、残存モノマーや溶媒を除去することにより、室温で固体の光重合性ポリエステル系樹脂を得ることができる。
光硬化性ポリエステル系樹脂の酸価は、通常、0.1〜10mgKOH/g(例えば、0.3〜5mgKOH/g)程度である。
光硬化性アクリル系樹脂としては、反応性基(ヒドロキシル基、カルボキシル基、グリシジル基など)を有するアクリル系樹脂と、前記反応性基に対する反応性基を有する重合性不飽和化合物(例えば、ヒドロキシル基に対して反応可能なビニルフェニルイソシアネート、(無水)マレイン酸、(メタ)アクリル酸又はその反応性誘導体(無水(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロライドなど)など、カルボキシル基に対して反応可能なグリシジル(メタ)アクリレートなど、グリシジル基に対して反応可能な(メタ)アクリル酸など)との反応により生成する重合性基((メタ)アクリロイル基などのα,β−エチレン性不飽和結合)を有するアクリル系樹脂が例示できる。
光硬化性エポキシ(メタ)アクリレート樹脂には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸との反応により生成するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が含まれる。光硬化性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂には、例えば、イソシアネート基を有するウレタンオリゴマーと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応により生成する樹脂、ヒドロキシル基を有する樹脂(前記ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂)と、遊離のイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート(例えば、ポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応による生成物など)との反応により生成する樹脂などが含まれる。さらに、光硬化性樹脂は、シリコーン系樹脂などであってもよい。
光硬化性樹脂の重合性基((メタ)アクリロイル基など)の濃度は、重合性不飽和結合当量(重合性基当りの分子量)として、通常、200〜10000g/eq(特に200〜7000g/eq)程度であり、例えば、300〜7500g/eq、好ましくは300〜5000g/eq、さらに好ましくは500〜5000g/eq(特に500〜3000g/eq)程度であってもよい。光硬化性樹脂の数平均分子量は、例えば、500〜30000、好ましくは800〜20000、さらに好ましくは1000〜15000(特に1000〜10000)程度であってもよい。
光硬化性樹脂のうち、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂及びウレタン系樹脂から選択され、かつ重合性不飽和結合を有する少なくとも一種の光硬化性樹脂が好ましい。
光硬化性樹脂(非結晶性及び結晶性樹脂)は、通常、ガラス転移温度又は熱溶融温度(又は融点)を有している。光硬化性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、40〜70℃、好ましくは40〜65℃、さらに好ましくは40〜60℃(特に40〜50℃)程度であってもよい。
光硬化性樹脂は、通常、前記ガラス転移温度を示す非結晶性樹脂(例えば、結晶化度10%未満)又は結晶性樹脂(半結晶性樹脂を含む)で構成してもよく、コーティング性などの塗膜性能、塗膜の表面平滑性などの外観特性を向上させるため、非結晶性樹脂と結晶性樹脂とを組み合わせて構成してもよい。光硬化性樹脂を構成する結晶性樹脂の結晶化度は、例えば、10〜70%、好ましくは15〜60%、さらに好ましくは20〜50%程度であってもよく、熱溶融温度又は融点は、例えば、50〜150℃、好ましくは60〜120℃、さらに好ましくは70〜100℃(特に70〜90℃)程度であってもよい。
光硬化性樹脂を構成する非結晶性樹脂と結晶性樹脂との割合(重量比)は、例えば、前者/後者=50/50〜99/1、好ましくは70/30〜98/2、さらに好ましくは75/25〜97/3(特に80/20〜95/5)程度であってもよい。
[多官能重合性化合物]
本発明の光重合性組成物は、複数の重合性基(α,β−エチレン性不飽和結合)を有する多官能重合性化合物を含む。多官能重合性化合物によって、光重合性組成物の重合性又は架橋密度、溶融温度、溶融粘度などを調整することができる。多官能重合性化合物は、高反応性であるとともに多官能性であるため、硬化塗膜の品質低下(例えば、未反応の多官能重合性化合物の硬化塗膜内への残存など)を生じることなく、硬化塗膜の硬度を高度に向上できる。特に3官能以上(例えば、3〜8官能、好ましくは4〜6官能、さらに好ましくは5〜6官能)の多官能重合性化合物によって、塗膜の硬度(鉛筆硬度)を、2ランク以上(好ましくは3ランク以上、例えば、鉛筆硬度Fから2H又は3Hに)向上できる。例えば、光重合性組成物を、基材に溶融コーティングし、加熱してレベリングした後、活性光線を照射して硬化させて形成した塗膜の硬度(鉛筆硬度)は、例えば、H以上(通常、H〜5H、特にH〜4H)、好ましくは2H以上(通常、2H〜4H)程度であってもよい。なお、鉛筆硬度の測定は、例えば、JIS K−5400(1990)に準じて行うことができる。
多官能重合性化合物は、光重合性組成物を固体(例えば、粉粒状など)の形態で維持できる限り、常温又は室温(例えば、10〜25℃程度)において、液状、半固体状又は固体状であってもよく、通常、液状である。多官能重合性化合物は、光硬化性樹脂に比べて、融点(又はガラス転移点)が低い場合が多く、光重合性組成物のガラス転移温度を低下させる場合が多い。通常、固体状の多官能重合性化合物に比べて、液状の多官能重合性化合物は、光重合性組成物のガラス転移温度を低下させる効果が大きく、光重合性組成物のガラス転移温度及び溶融温度(及び溶融粘度)を効率よく低下させることができる場合が多い。
多官能重合性化合物は、2官能以上であり、例えば、2〜10官能、好ましくは3〜8官能、さらに好ましくは4〜6官能程度であってもよい。すなわち、多官能重合性化合物は、2以上の重合性基(光重合性基)を有している。重合性基は、例えば、ラジカル重合性基などであってもよい。重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基(ビニル基、アリル基などのC2-4アルケニル基など)などが例示される。多官能重合性化合物は、光重合性の観点から、通常、少なくとも(メタ)アクリロイル基(特に、アクリロイル基)を有する。
多官能重合性化合物は、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、グリシジル基含有オリゴマー又はコポリマーと(メタ)アクリル酸との反応生成物、ポリオールポリ(メタ)アクリレートなどであってもよい。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、有機ポリイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなど)と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応生成物、末端イソシアネートオリゴマーとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応生成物などが例示でき、末端イソシアネートオリゴマーは、ポリイソシアネートとポリオール(ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオールなど)との反応により生成できる。
エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エポキシ化合物(ビスフェノールAのグリシジルエーテルなど)と(メタ)アクリル酸との反応生成物などが例示される。グリシジル基含有オリゴマー又はコポリマーと(メタ)アクリル酸との反応生成物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートと共重合ビニルモノマー(アクリル系モノマー、例えば、n−ブチルメタアクリレート、メチルメタアクリレートなどの(メタ)アクリレートなど)との共重合により得られるグリシジル基含有コポリマーと(メタ)アクリル酸との反応生成物などが例示される。
ポリオールポリ(メタ)アクリレートは、2以上の(メタ)アクリロイル基を有しており、ポリオールのヒドロキシル基の全部又は一部が(メタ)アクリロイル基に置換されていてもよく、複数、例えば、3〜10、好ましくは4〜8、さらに好ましくは4〜6程度のヒドロキシル基を有していてもよい。ポリオールポリ(メタ)アクリレートを構成するポリオールは、非脂肪族ポリオール(芳香族ポリオール、ヘテロ環式ポリオールなど)又は脂肪族ポリオール[脂環族ポリオール、非環状の脂肪族ポリオール(例えば、アルカンポリオール、アルカンポリオールのオリゴマーなど)]であってもよい。
代表的なポリオールポリ(メタ)アクリレートとしては、例えば、芳香族ポリオールポリ(メタ)アクリレート[例えば、ビスフェノール類のC2-4アルキレンオキシド付加体(ビスフェノールA−C2-4アルキレンオキシド付加体など)のジ(メタ)アクリレート]、ヘテロ環式ポリオールポリ(メタ)アクリレート[例えば、イソシアヌレート環を有するポリオール[トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなど]のジ又はトリ(メタ)アクリレートなど]、脂環族ポリオールポリ(メタ)アクリレート[例えば、C6-10シクロアルカンジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノールなど)のジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAアルキレンオキシド付加体のジ(メタ)アクリレートなど]、アルカンポリオール又はそのオリゴマーのポリ(メタ)アクリレートなどが例示できる。アルカンポリオール又はそのオリゴマーのポリ(メタ)アクリレートには、アルカンポリオール又はそのオリゴマーと、付加によりヒドロキシル基を生成可能な化合物[(C2-4アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド)、ラクトン(例えば、ε−カプロラクトン)など]との付加体のポリ(メタ)アクリレートも含まれる。
アルカンポリオール又はそのオリゴマーのポリ(メタ)アクリレートを構成するアルカンポリオールとしては、例えば、C2-12アルカンジオール、好ましくはC2-10アルカンジオール、さらに好ましくはC2-8アルカンジオール(特にC2-6アルカンジオール)(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオールなど);C3-12アルカントリオール、好ましくはC3-10アルカントリオール、さらに好ましくはC3-8アルカントリオール(特に分岐鎖状C4-6アルカントリオール)(例えば、トリメチロールプロパン、グリセリンなど);C4-12アルカンテトラオール(好ましくはC4-12アルカンテトラオール、さらに好ましくはC4-10アルカンテトラオール(特に分岐鎖状C5-8アルカンテトラオール)(例えば、ペンタエリスリトールなど);C5-15アルカンペンタオール、好ましくはC5-12アルカンペンタオール、さらに好ましくはC5-10アルカンペンタオール(特に分岐鎖状C5-8アルカンペンタオール)(例えば、キシリトールなど);C6-18アルカンヘキサオール(例えば、ソルビットなど)などが例示される。アルカンポリオールのオリゴマーは、例えば、アルカンポリオールの2〜10量体、好ましくは2〜5量体、さらに好ましくは2〜3量体などであってもよく、単一又は二種以上のポリオールで構成されていてもよい。
代表的なアルカンポリオール又はそのオリゴマーのポリ(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルカンジオール又はそのオリゴマー(特にダイマー又はトリマー)のジ(メタ)アクリレート[例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジ又はトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ又はトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなど];アルカントリオール又はそのオリゴマー(特にダイマー又はトリマー)のジ又はトリ(メタ)アクリレート[例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ乃至テトラ(メタ)アクリレート、トリグリセリントリ乃至ペンタ(メタ)アクリレートなど];アルカンテトラオール又はそのオリゴマー(特にダイマー又はトリマー)のジ乃至ヘキサ(メタ)アクリレート[例えば、ペンタエリスリトールトリ乃至テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ乃至ヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノアルキルエーテルのペンタ(メタ)アクリレート(日本化薬(株)製、「KAYARAD D−310」など)、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加体のヘキサ(メタ)アクリレート(日本化薬(株)製、「KAYARAD DCPA−20」、「KAYARAD DCPA−30」、「KAYARAD DCPA−60」、「KAYARAD DCPA−120」など]、アルカンペンタオール又はそのオリゴマー(特にダイマー又はトリマー)のジ乃至ヘキサ(メタ)アクリレートなどが例示される。
多官能重合性化合物は、光重合性組成物の溶融温度及び溶融粘度、硬化塗膜の表面硬度及び外観などの点より、例えば、アルカンジオール、アルカントリオール(モノマー、ダイマー又はトリマー)又はアルカンテトラオール(モノマー、ダイマー又はトリマー)などのポリオールのポリ(メタ)アクリレートなどであってもよい。これらのなかでも、アルカンポリオールのオリゴマーのポリ(メタ)アクリレートは、エーテル結合を有しているためか、硬化塗膜に効率よく高い可撓性を付与できる場合が多い。エーテル結合を有するポリオールとしては、例えば、アルカントリオールのダイマー又はトリマーのジ乃至ペンタ(メタ)アクリレート、アルカンテトラオールのダイマー又はトリマーのジ乃至ヘキサ(メタ)アクリレート[好ましくは、C3-10アルカントリオール又はC4-10アルカンテトラオールのダイマーのトリ乃至ヘキサ(メタ)アクリレート(さらに好ましくはC4-10アルカンテトラオールのダイマーのトリ乃至ヘキサ(メタ)アクリレートなど)など]などが例示できる。
多官能重合性化合物は、単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
多官能重合性化合物の重合性基の濃度は、通常、光硬化性樹脂の重合性基の濃度より大きくてもよく、重合性不飽和結合当量として、例えば、30〜300g/eq、好ましくは50〜200g/eq、さらに好ましくは70〜150g/eq程度であってもよい。
多官能重合性化合物の割合は、光硬化性樹脂の種類、多官能重合性化合物の種類や形状(液状、半固体状、固体状)にもよるが、通常、光重合性組成物が室温(例えば、10〜25℃)で固体(例えば、粉粒状)の形態を維持できる範囲で選択でき、光硬化性樹脂100重量部に対して、通常、0.5〜30重量部程度であり、例えば、1〜30重量部、好ましくは3〜30重量部、さらに好ましくは5〜30重量部(特に8〜25重量部)程度であってもよい。
[熱重合禁止剤]
本発明の光重合性組成物は、貯蔵安定性、溶融コーティング過程での重合抑制のため、通常、熱重合禁止剤を含んでいる。熱重合禁止剤としては、例えば、キノン類[ハイドロキノン(p−ベンゾキノンなど)、ハイドロキノンメチルエーテルなど]、カテコール類(t−ブチルカテコールなど)、アミン類(ジフェニルアミン、ジフェニルピクリルヒドラジルなど)、ニトロ化合物(ニトロベンゼンなど)などが例示できる。熱重合禁止剤の使用量は、光重合性組成物中、例えば、10〜10000ppm、好ましくは30〜10000ppm、さらに好ましくは50〜5000ppm程度であってもよい。
[光重合開始剤]
光重合性組成物は、光硬化性樹脂及び多官能重合性化合物に加えて、通常、光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤は、活性光線の種類に応じて選択でき、紫外線硬化性組成物(又は粉体塗料)を形成してもよい。
光重合開始剤としては、例えば、ケトン系化合物、ホスフィン系化合物、スルフィド系化合物などが例示できる。これらの光重合開始剤のうち、ケトン系化合物やホスフィン系化合物が好ましい。
ケトン系化合物としては、例えば、アセトフェノン系化合物(アセトフェノンジエチルケタール、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1―オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンなど);ベンゾフェノン系化合物(ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−N,N−ジメチルアミノ−4′−メトキシベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトンなど);ベンゾイン系化合物(ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテルなどのベンゾイン誘導体など);ベンジル系化合物(ベンジル、ベンジルメチルケタールなど);アントラキノン系化合物(アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノンなど);チオキサントン系化合物(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントンなど);モルフォリン系化合物(2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン、3,6−ビス(2−モルホリノイソブチル)−9−ブチルカルバゾールなど)などが例示される。
ホスフィン系化合物としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,6―ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド(BAPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)メチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)エチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)n−ブチルホスフィンオキシドなどが例示される。
スルフィド系化合物としては、例えば、ジブチルスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジベンジルスルフィド、デシルフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどが例示できる
光重合開始剤は、粉粒体又は塗料の色相に応じて、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。例えば、ケトン系化合物とホスフィン系化合物とを組み合わせて光重合開始剤系を構成してもよい。
光重合開始剤の割合は、光硬化性樹脂100重量部に対して、例えば、0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜8重量部、さらに好ましくは0.2〜5重量部(特に0.3〜5重量部)程度であってもよい。光重合開始剤の割合は、前記多官能重合性化合物100重量部に対して、通常、0.5〜50重量部程度であり、例えば、1〜40重量部、好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは2〜30重量部(特に3〜20重量部)程度であってもよい。
光重合開始剤とともに、増感剤、例えば、第三級アミン類(ジアルキルアミノ安息香酸又はそのエステル、アクリジンなど)、クマリン類[3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−(ジエチルアミノ)クマリンなど]、キノリン類[2−(2−(4−ジメチルアミノフェニル)エテニル)キノリンなど]、キノン類(ベンゾキノン、アントラキノンなど)、ピレン類(1−ニトロピレンなど)、芳香族炭化水素類(アセナフテンなど)などを含んでいてもよい。
[着色剤]
光重合性組成物は、クリアラッカーなどのように着色剤を必ずしも必要としないが、着色剤(染顔料)を含んでいてもよい。着色剤は、無機顔料及び/又は有機染顔料であってもよい。無機顔料としては、例えば、白色顔料(二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、マイカ、ケイ酸マグネシウム、カオリンクレー、タルク、ベントナイトなど)、黒色顔料(カーボンブラックなど)、赤色顔料(べんがら、鉛丹、モリブデンレッド、カドミウムレッドなど)、黄色顔料(黄色酸化鉄、黄鉛、リサージ、カドミウムイエロー、クロムイエローなど)、橙色顔料(モリブデートオレンジなど)、青色顔料(紺青、群青など)、緑色顔料(クロムグリーンなど)、紫色顔料(マンガンバイオレットなど)、金属粉顔料(アルミニウム粉顔料など)などが例示される。顔料には、体質顔料(炭酸カルシウム、硫酸バリウムなど)も含まれる。有機染顔料としては、例えば、アゾ系染顔料(ピグメントイエロー、ピグメントオレンジ、ピグメントレッド、ハンザイエローなど)、フタロシアニン系染顔料(フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなど)、キナクリンドン系染顔料(キナクリンドン赤色など)、ペリレン系染顔料(ペリレンマルーンなど)などが例示される。着色剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
着色剤の使用量は、光硬化性樹脂100重量部に対して、例えば、0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜50重量部、さらに好ましくは1〜30重量部(特に5〜30重量部)程度であってもよい。
[艶消し剤]
光重合性組成物は、艶消し剤を含有する艶消し粉体塗料であってもよい。艶消し粉体塗料を使用することによって、艶消しされた塗膜を形成できる。艶消し剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウムなどの各種の粉粒体を使用してもよい。艶消し剤の平均粒子径は、例えば、0.01〜30μm、好ましくは0.01〜20μm、さらに好ましくは0.01〜10μm程度であってもよい。艶消し剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
艶消し剤の使用量は、光硬化性樹脂100重量部に対して、例えば、10〜200重量部、好ましくは20〜150重量部、さらに好ましくは30〜100重量部程度であってもよい。
[添加剤]
光重合性組成物は、種々の添加剤、例えば、ワックス類、表面調整剤又はレベリング剤(アクリル系レベリング剤、ビニル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤など)、分散剤(ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤などの界面活性剤、ノニオン性やアニオン性であってもよいポリマー型分散剤など)、安定剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤など)、可塑剤、粘度調整剤、難燃剤、帯電剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤のうち、塗膜の表面平滑性を向上させるためには、表面調整剤又はレベリング剤が有用である。これらの添加剤の使用量は、光硬化性樹脂100重量部に対して、例えば、0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部程度であってもよい。
[形態]
光重合性組成物の形態は、室温で固体であれば、特に制限されず、例えば、粉粒体、ペレット状、ブロック状、フレーク状などであってもよい。粉粒体は、例えば、非繊維状(球状、楕円体状、多角体状、無定形状など)、繊維状(針状又は繊維状など)であってもよい。光重合性組成物の形態は、通常、非繊維状の粉粒体又はブロック状である。光重合性組成物の最大粒子径は、例えば、3cm以下、好ましくは2cm以下、さらに好ましくは1cm程度以下であってもよい。溶融コーティングに供するため、光重合性組成物の体積平均粒子径は、特に限定されず、例えば、5〜1000μm、好ましくは5〜500μm、さらに好ましくは5〜300μm(特に5〜100μm)程度であってもよい。
[ブロッキング防止剤]
本発明の光重合性組成物は、溶融コーティングに使用されるので、例えば、光重合性組成物の粉粒体が融着(ブロッキング)しても、重大な問題とはならない。そのため、必ずしも必要ではないが、必要に応じて、ブロッキングを防止するため、粉粒状ブロッキング防止剤を使用できる。ブロッキング防止剤は、通常、有機又は無機微粒子(特に無機微粒子)で構成されている。
ブロッキング防止剤としては、例えば、金属酸化物[シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、マグネシア(MgO)、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛など]、金属炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなど)、金属硫酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウムなど)などが例示される。これらの無機微粒子のうち、ケイ素含有無機微粒子、例えば、ケイ酸(無水ケイ酸、含水ケイ酸)、二酸化ケイ素(又は無水シリカ)、ケイ酸金属塩(ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム)などを用いる場合が多い。ブロッキング防止剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。ブロッキング防止剤としては、通常、シリカ微粒子を用いる場合が多い。
ブロッキング防止剤は、親水性又は疎水性であってもよい。好ましいブロッキング防止剤は、表面が疎水化処理されている。ブロッキング防止剤を構成する微粒子表面は、例えば、シリコーンオイル(ジメチルシリコーンオイルなど)、アルキルシラン(オクチルシランなど)、シランカップリング剤(トリメチルシリル基などのアルキルシリル基を有するシランカップリング剤など)などを用いて疎水化することができる。
ブロッキング防止剤を構成する微粒子(一次粒子)の平均粒子径は、通常、1〜100nm程度であり、例えば、5〜100nm、好ましくは5〜70nm、さらに好ましくは10〜70nm(特に5〜50nm)程度であってもよい。ブロッキング防止剤を構成する微粒子は嵩密度が小さく、例えば、嵩密度30〜200g/L、好ましくは30〜150g/L、さらに好ましくは30〜130g/L(特に30〜100g/L)程度であってもよい。
このようなブロッキング防止剤のうち、無水シリカ微粒子は、日本アエロジル(株)から、商品名「アエロジルR972」、「アエロジルR805」、「アエロジルR812S」などとして入手できる。
粉粒状ブロッキング防止剤の割合は、光重合性組成物100重量部に対して、例えば、0.01〜1重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部(特に0.1〜0.3重量部)程度であってもよい。このブロッキング防止剤は、光重合性組成物のペレット(光重合性組成物の粉粒体)に対して添加されてもよい。ブロッキング防止剤の添加により、光重合性組成物(特に光重合性組成物の粉粒体)のブロッキングを有効に防止して、貯蔵安定性を向上できる。
ブロッキング防止剤は、光重合性組成物から遊離して、光重合性組成物の粉粒体の間に介在していてもよく、全部又は一部が光重合性組成物の表面に埋込や付着などにより結合(又は固着)していてもよい。
[光重合性組成物の製造方法]
光重合性組成物(特に光重合性組成物の粉粒体)は、例えば、光硬化性樹脂と多官能重合性化合物と(必要に応じて他の添加剤、例えば、光重合開始剤、艶消し剤、着色剤など)を含む組成物を溶融混練し、冷却固化した後、粉砕し、必要により、分級することにより得ることができる。ブロッキング防止剤を使用する場合は、所定サイズに分級された光重合性組成物と混合してもよい。しかし、光硬化性樹脂及び多官能重合性化合物を含む組成物を溶融混練し、冷却固化した後、この固化物(ペレット状などの粒状固化物)にブロッキング防止剤を添加し、粉砕し、必要により分級する場合が多い。光重合性組成物をブロッキング防止剤の存在下で粉砕すると、光重合性組成物の表面にブロッキング防止剤が固着するためか、光重合性組成物の貯蔵安定性又は耐ブロッキング性を改善できる。
光硬化性樹脂と多官能重合性化合物と(必要に応じて他の添加剤)を含む組成物の溶融混練は、光硬化性樹脂及び多官能重合性化合物の重合又は硬化を抑制しつつ行われ、通常、溶融混練物は、粒状(例えば、ペレット状)の形態に冷却固化される。溶融混練は、慣用の方法、例えば、各成分を混合機(ヘンシェルミキサーやリボンミキサーなど)で乾式混合し、溶融混練機(一軸又は二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなど)で溶融混練することにより行うことができる。溶融混練温度は、光硬化性樹脂及び多官能重合性化合物の重合を抑制可能な温度であってもよく、通常は、60〜160℃程度であり、例えば、60〜150℃、好ましくは60〜130℃、さらに好ましくは70〜120℃(特に80〜100℃)程度であってもよい。
冷却固化後の粉砕工程は、必要であれば、繰り返し行ってもよい。粉砕工程では、アトマイザーなどの慣用の粉砕機を使用できる。光硬化性樹脂又はその組成物として、ガラス転移温度や融点の低い樹脂を使用する場合は、固化物(ペレット状固化物など)は、冷却下(例えば、冷風、ドライアイス、液化窒素などにより冷却しつつ)、粉砕するのが好ましい。冷却温度は、例えば、40℃以下(例えば、0〜40℃)、好ましく30℃以下(例えば、0〜30℃)、さらに好ましくは20℃以下(例えば、0〜20℃)程度であってもよい。必要であれば、粉砕した後、所定サイズの粉粒体を得るため、篩(例えば、325メッシュや250メッシュなどの標準篩)や分級機を用いて分級してもよい。
[塗膜形成方法]
例えば、本発明の光重合性組成物を、基材(例えば、多孔質基材など)に対して溶融コーティングする工程と、形成された塗膜を加熱してレベリングする工程と、レベリングした塗膜に活性光線を照射して硬化させる工程とを経ることにより、基材の表面に塗膜を形成することができる。
基材は、例えば、非多孔質基材又は多孔質基材であってもよく、また、有機質基材又は無機質基材であってもよい。非多孔質基材としては、有機質基材(例えば、プラスチックなど)及び無機質基材[例えば、セラミック、ガラス、金属(鋼板、アルミニウム、ステンレススチールなど)など]が例示できる。多孔質基材としては、有機質基材[例えば、木質材、多孔質プラスチック、紙、布帛(織布、不織布)など]及び無機質基材(コンクリートパネル、石膏ボード、多孔質金属など)が例示できる。木質材としては、天然木材及び合成木材[例えば、MDF板(中質繊維板)、パーティクルボード(PB)、ベニヤ板など]が例示できる。多孔質金属としては、マグネシウム合金鋳造物、アルミニウムダイキャスト、アルミニウム溶射鉄板、鋳物、亜鉛溶射鉄板(メタリコン)などが例示できる。本発明の光重合性組成物は、溶融コーティングされるため、基材は、導電性又は電気絶縁性の基材であってもよい。基材は、単独の基材又は二種以上の複合基材であってもよい。
本発明の光重合性組成物は、室温で固体であり、基材に対して、溶融コーティングすることができる。本発明の光重合性組成物は、溶融コーティングにより、絶縁性の基材及び導電性の基材のいずれに対しても、均一な塗膜を形成できる。基材は、必ずしも予備加熱(プレヒート)する必要はないが、形成される塗膜の外観より、プレヒートした基材に対して、光重合性組成物を溶融コーティングしてもよい。基材の種類に応じて、例えば、光重合性組成物の溶融温度より低い温度にプレヒートしてもよく、光重合性組成物の溶融温度以上にプレヒートしてもよい。プレヒート温度は、例えば、30〜130℃、好ましくは40〜110℃、さらに好ましくは50〜90℃程度であってもよい。プレヒート温度が低いと、塗膜外観に悪影響を及ぼす場合がある。プレヒート温度が高すぎると、多孔質基材が変形する場合がある。プレヒートは、加熱ヒーターなどの種々の加熱手段(例えば、遠赤外線ヒーター、近赤外線ヒーター、温風加熱ヒーターなど)を用いて行うことができる。
光重合性組成物を、その溶融温度(例えば、50〜200℃、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは70〜100℃程度)に加熱することによって、溶融コーティングすることができる。溶融コーティングする方法としては、例えば、ロールコーター法、溶射法などが例示できる。量産性の点より、ロールコーター法が好ましい。
図1に、ロールコーター法による塗布状態を説明するための概略図を示す。ロールコーター法では、光重合性組成物4の供給量をコントロールするためのドクターロール2と、溶融した光重合性組成物4を基材3に塗布するためのコーターロール1とで構成された一対のロールを有するロールコーターを使用する。コーターロール1及びドクターロール2(特にそれぞれのロール表面)は、それぞれ、金属製又は非金属製(例えば、耐熱性シリコーンゴムなどのゴム製など)のいずれであってもよい。コーターロール1とドクターロール2とは、材質が同じであっても、異なっていてもよい。コーターロール1及びドクターロール2を利用して、コンベアなどの搬送手段5により所定速度で一定方向に搬送されている基材3上に、溶融した光重合性組成物の塗膜を形成することができる。
ロールコーター法の場合、コーターロール及びドクターロールの温度は、光重合性組成物の溶融状態を維持できる温度、例えば、50〜200℃、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは70〜100℃程度であってもよい。各ロールの加熱温度が低いと、光重合性組成物の溶融粘度が高くなり、塗膜のレベリング性が低下する傾向がある。各ロールの加熱温度が高すぎると、光重合性組成物の安定性が低下する傾向がある。コーターロール及びドクターロールは、例えば、各ロール内部に電気ヒーターを内蔵させて加熱する方法、各ロール内部に加熱したオイルを循環させて加熱する方法などによって加熱できる。
コーターロール及びドクターロールで構成された一対のロールにおいて、ドクターロールを回転させてもよいが、ドクターロールを回転させることなく、コーターロールを回転(例えば、基材の搬送方向に回転)させて、光重合性組成物を溶融コーティングすることによって、塗布量が適切で、外観が良好な塗膜を形成できる。
基材に対する光重合性組成物の塗布量は、特に限定されず、通常、10〜300g/m2程度の範囲から選択でき、例えば、20〜250g/m2、好ましくは40〜200g/m2、さらに好ましくは60〜180g/m2(特に80〜150g/m2)程度であってもよい。塗布量は、例えば、コーターロールとドクターロールとの間隔や回転速度などによってコントロールすることができる。コーターロールとドクターロールとの間隔は、通常2500μm程度以下であり、例えば、10〜2000μm、好ましくは50〜1000μm、さらに好ましくは100〜800μm(特に200〜600μm)程度であってもよい。例えば、コーターロール及びドクターロールの少なくとも一方のロール表面が弾性材料製(ゴム製など)である場合には、コーターロールとドクターロールとが接触していてもよく、コーターロールに対してドクターロールが押し付けられ、少なくとも一方の弾性材料製(ゴム製など)のロール表面がくぼんだ状態であってもよい。
塗布量は、また、コーターロール周速V1によってコントロールすることができる。すなわち、コーターロール周速V1を高くすることによって、塗布量を多くすることができる。コーターロール周速V1は、光重合性組成物の溶融粘度などの流動特性に応じて選択でき、例えば、2〜20m/分、好ましくは6〜17m/分、さらに好ましくは8〜14m/分程度であってもよい。
塗布量は、さらに、コーターロール周速V1と、基材を搬送するコンベア速度V2との差(V2−V1)によっても、コントロールすることができる。すなわち、コーターロール周速V1よりも、コンベア速度V2を大きくしてもよく、コンベア速度V2を基準として、コーターロール周速V1を高くするほど、塗布量を多くすることができる。コンベア速度V2は、特に限定されず、例えば、5〜60m/分、好ましくは10〜50m/分、さらに好ましくは20〜40m/分程度であってもよい。コーターロール周速V1とコンベア速度V2との差(V2−V1)は、例えば、10〜30m/分、好ましくは13〜24m/分、さらに好ましくは16〜21m/分程度であってもよい。
基材に対する光重合性組成物のコーティング速度は、特に限定されず、例えば、5〜60m/分、好ましくは10〜50m/分、さらに好ましくは20〜40m/分程度であってもよい。
本発明の光重合性組成物を溶融コーティングした塗膜を加熱してレベリングし、塗膜表面を平坦化する。加熱源としては、例えば、赤外(IR)照射ランプを備えた赤外線照射炉、熱風乾燥炉などを使用できる。これらの方法のうち、赤外線照射炉(例えば、波長700nm〜20μm程度の中波長域の赤外線照射炉)を用いる方法や、前記赤外線照射炉と熱風乾燥炉とを組み合わせて用いる方法が好ましい。
加熱温度は、光重合性組成物の種類にもよるが、例えば、50〜160℃、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは70〜130℃(特に50〜80℃)程度であってもよい。加熱温度が低いと、塗膜のレベリング性が低下する傾向がある。加熱時間は、例えば、1秒〜10分間、好ましくは5秒〜5分間、さらに好ましくは10秒〜3分間程度であってもよい。加熱時間が短いと、塗膜のレベリング性が低下する傾向があり、加熱時間が長いと、光重合性組成物の安定性が低下する傾向がある。
本発明の光重合性組成物によれば、前記コーティング工程及びレベリング工程により、多孔質基材に対しても浸透を抑制しつつ、厚塗りした場合でも、ほぼ100%(固形分)に近い塗着効率で、均一な塗膜を形成できる。
本発明の光重合性組成物を溶融コーティングし、加熱してレベリングした塗膜は、活性光線を照射して硬化させることができる。活性光線は、例えば、ガンマー線、X線、紫外線、可視光線などであってもよいが、通常、紫外線が利用される。紫外線照射ランプとしては、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプなどを用いることができる。紫外線の波長域は、例えば、270〜460nm、好ましくは300〜460nm、さらに好ましくは350〜460nm(特に400〜460nm)程度であり、従来の光硬化性液状塗料に比べて、長波長域であってもよい。
なお、前記コーティング工程を繰り返し行ったり、コーティング工程、レベリング工程及び硬化工程で構成されるサイクルを繰り返し行ってもよいが、1回のサイクルでも、均一で、しかも厚みの大きな塗膜を形成できる。
本発明の光重合性組成物によれば、溶融コーティングにより、基材の種類によることなく、均一で、しかも平坦化した塗膜を簡便かつ効率よく形成することができる。そのため、種々の基材の塗装に適用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[粉体塗料の性能評価方法]
50℃にプレヒートしたMDF板(基材)3に対して、図1に示すコーターロール1及びドクターロール2で構成された一対のロールを有するロールコーターを使用し、実施例及び比較例で製造した各粉体塗料4を130℃に加熱し、溶融コーティングした。この工程において、MDF板3は、コンベア5を搬送手段とし、30m/分のコンベア速度で搬送し、ドクターロール2を回転させることなく、コーターロール1を10m/分の周速でMDF板3の搬送方向に回転させた。
粉体塗料により溶融コーティングされたMDF板を、中波長域赤外線照射炉(波長1〜10μm)を用いて、90〜130℃で加熱して、塗膜を溶融させて、レベリングした。次いで、高圧水銀ランプ(波長280〜450nm)を用いて、塗膜に、紫外線を10秒〜3分間照射し、塗膜を硬化させた。実施例及び比較例で製造した各粉体塗料又は形成された塗膜(硬化塗膜)について、下記の項目で評価を行った。
(塗膜の表面硬度)
得られた塗膜の表面硬度をJIS K−5400(1990)に基づいて測定した。
(塗膜の外観)
得られた塗膜の外観を以下の基準で評価した。
○:フラットで、均一な塗膜が得られる
△:色むらがあるが、全体としては均一な塗膜が得られる
×:色むら、ローピングの筋目などがあり、均一な塗膜が得られない。
(塗料の貯蔵安定性)
粉体塗料を20℃又は10℃で2週間貯蔵した後、ブロッキング状態を以下の基準で評価した。
○:貯蔵前の状態と殆ど変化がない
△:一部にブロッキングが認められるが、容易に手でほぐせる
×:全体が大きくブロッキングし、手でほぐすことが困難である。
(塗料の溶融温度)
170℃に設定したホットプレートに、所定の面積(25cm2)で、実施例および比較例で製造した粉体塗料5gをのせ、前記粉体塗料が溶け始めたときの温度を測定し、この温度を溶融温度とした。
(塗料の溶融粘度)
粘度測定装置(ビスコメーター、東機産業(株)製RE550H)を用いて、温度95℃、回転数0.1rpmの条件下で粉体塗料を溶融させ、100秒間経過後の溶融粘度を測定した。
(実施例1)
粉体塗料用紫外線硬化型樹脂(ダイセルユーシービー(株)製、「Uvecoat#3001」)100重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、「KARAYAD DPHA」)10重量部、光重合開始剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製、「Irugacure 819」と、チバスペシャルティケミカルズ(株)製、「Irugacure 2959」との混合物、前者/後者=1/1(重量比))2重量部、酸化チタン(デュポン(株)製、「R−706」)20重量部、及び表面調整剤(SOLUTIA(株)製、「MODAFLOW POWDER−2000」)1重量部をヘンシェルミキサーでドライブレンドした後、エクストルーダーで溶融混練し、冷却固化した。冷却固化した後、粉砕機により微粉砕し、濾過して平均粒子径約20μm以上の粉体塗料を得た。ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートは、予め前記紫外線硬化型樹脂とジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとを、前者/後者(重量比)=80/20の割合で混合した組成物をホットプレートで溶融混合し、冷却固化して得られたペレット状固化物として使用した。
(実施例2)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10重量部に代えて、20重量部用いたほかは、実施例1と同様にして粉体塗料を得た。
(実施例3)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートに代えて、アクリレート系の二官能性モノマー(日本化薬(株)製、「KARAYAD HX−220」)を使用したほかは、実施例1と同様にして粉体塗料を得た。
(比較例1)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを使用しなかったほかは、実施例1と同様にして粉体塗料を得た。
結果を表1に示す。
Figure 2005306945
表1より、実施例1〜3の塗料(光重合性組成物)は、比較例1の塗料に比べて、溶融温度及び溶融粘度が低く、比較的低温での溶融コーティングによって、良好な外観の塗膜を形成し、しかも同等の貯蔵安定性を示した。また、6官能の多官能重合性化合物を使用した実施例1及び2の塗料は、比較例1の塗料に比べて、硬度が高い硬化塗膜を形成し、硬化塗膜の鉛筆硬度が2ランク以上向上した。
図1は、本発明の実施例で使用したロールコーター法による塗布状態を説明するための概略図である。
符号の説明
1…コーターロール
2…ドクターロール
3…基材(MDF板)
4…光重合性組成物(粉体塗料)
5…コンベア

Claims (9)

  1. 室温で固体の光重合性組成物であって、室温で固体の光硬化性樹脂と、多官能重合性化合物とで構成されている溶融コーティング用光重合性組成物。
  2. 溶融コーティング温度における溶融粘度が50〜500Pa・sである請求項1記載の光重合性組成物。
  3. 多官能重合性化合物が、複数の(メタ)アクリロイル基を有する多官能重合性化合物である請求項1記載の光重合性組成物。
  4. 多官能重合性化合物が、ポリオールのモノマー、ダイマー又はトリマーのポリ(メタ)アクリレートであって、前記ポリオールが、アルカンジオール、アルカントリオール、及びアルカンテトラオールから選択された少なくとも一種である請求項1記載の光重合性組成物。
  5. 多官能重合性化合物が、ポリオールのダイマーのトリ乃至ヘキサ(メタ)アクリレートであって、前記ポリオールが、C3-10アルカントリオール及びC4-10アルカンテトラオールから選択された少なくとも一種である請求項1記載の光重合性組成物。
  6. 多官能重合性化合物の割合が、光硬化性樹脂100重量部に対して、5〜30重量部である請求項1記載の光重合性組成物。
  7. さらに光重合開始剤を含む光重合性組成物であって、前記光重合開始剤の割合が、多官能重合性化合物100重量部に対して、0.5〜50重量部である請求項1記載の光重合性組成物。
  8. 溶融コーティングするための室温で固体の光重合性組成物であって、室温で固体の光硬化性樹脂と、アルカントリオール又はアルカンテトラオールのダイマー又はトリマーのトリ乃至ヘキサ(メタ)アクリレートからなる群から選択された少なくとも一種のポリオールポリ(メタ)アクリレートと、光重合開始剤とで構成され、前記ポリ(メタ)アクリレートの割合が光硬化性樹脂100重量部に対して8〜25重量部であり、光重合開始剤の割合が前記ポリ(メタ)アクリレート100重量部に対して1〜30重量部である光重合性組成物。
  9. 室温で固体の光硬化性樹脂と多官能重合性化合物とを溶融混練し、冷却固化した後、粉砕して請求項1記載の光重合性組成物を製造する方法。
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