JP2005305201A - アコヤ貝殻からの吸着能付与成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 大量発生するアコヤ貝殻に関し、アコヤ貝殻の大量需要が見込まれ且つ付加価値の高いリサイクル技術となるアコヤ貝殻からの吸着能付与成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】 アコヤ貝殻を粉砕し粉末化した粉粒体を仮焼して得られた脱炭酸粉粒体或いはアコヤ貝殻を仮焼した後に微粉砕して得られる脱炭酸粉粒体に、ケイ素分とアルカリ水溶液を添加した後、100℃〜250℃の範囲内の温度で且つ飽和蒸気圧の下で水熱合成して粉状のケイ酸カルシウム水和物系の多孔質体とし、その後、該多孔質体に他原料を添加混合させてこれを圧縮成形するか、或いは該多孔質体をそのまま圧縮成形することにより揮発性有機化合物に対し吸着能を有するようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】 アコヤ貝殻を粉砕し粉末化した粉粒体を仮焼して得られた脱炭酸粉粒体或いはアコヤ貝殻を仮焼した後に微粉砕して得られる脱炭酸粉粒体に、ケイ素分とアルカリ水溶液を添加した後、100℃〜250℃の範囲内の温度で且つ飽和蒸気圧の下で水熱合成して粉状のケイ酸カルシウム水和物系の多孔質体とし、その後、該多孔質体に他原料を添加混合させてこれを圧縮成形するか、或いは該多孔質体をそのまま圧縮成形することにより揮発性有機化合物に対し吸着能を有するようにした。
【選択図】 図1
Description
本発明は揮発性有機化合物に対し吸着能を有するアコヤ貝殻からの吸着能付与成形体の製造方法に関する。
アコヤ貝は真珠生産の目的で大量に養殖が行われている。これに伴いアコヤ貝殻が大量排出し、三重県では年間約800トンもの量が発生している。アコヤ貝殻の廃棄処分量を少なくすべく、粗粉砕して土壌改良材等に用いられているが、土壌改良材向け用途は単位面積当たりの土壌における許容量に限界がある。こうしたことから、これまで大量に発生するアコヤ貝殻の有効利用法として次のような発明技術が提案されてきた(特許文献1〜3参照。)。
しかるに、特許文献1はアコヤ貝殻破砕物を合成樹脂で固定し装飾タイルとして利用する方法であり、特許文献2はアコヤ貝殻を200℃〜800℃の温度で焼成し水浄化、脱臭、殺菌及び防虫用多孔質材として用いる方法であり、また特許文献3はアコヤ貝殻を300℃以上で加熱した後粉末に粉砕し泥水の沈降剤として用いる技術内容にとどまっていた。その他にも螺鈿細工等の原料にも用いられているが、その量が少なかったり或いは付加価値が低かったりして、現実は依然としてその有効な利用法の手立てが見い出せない状況にあった。そして、焼却しても大量の灰分を発生し減容することが困難なために、アコヤ貝殻はその多くが農地や山林に処分する形が採られてきた。
本発明は上記問題点を解決するもので、大量発生するアコヤ貝殻に関し、アコヤ貝殻の大量需要が見込まれ且つ付加価値の高いリサイクル技術となるアコヤ貝殻からの吸着能付与成形体の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、アコヤ貝殻を粉砕し粉末化した粉粒体を形成し、その後、該粉粒体に他原料を添加混合させてこれを圧縮成形するか、或いは該粉粒体をそのまま圧縮成形することにより多孔質の成形体にし、揮発性有機化合物に対し吸着能を有するようにしたことを特徴とするアコヤ貝殻からの吸着能付与成形体の製造方法にある。
請求項2に記載の発明の要旨は、アコヤ貝殻を粉砕し粉末化した粉粒体を仮焼して得られた脱炭酸粉粒体或いはアコヤ貝殻を仮焼した後に微粉砕して得られる脱炭酸粉粒体に、ケイ素分とアルカリ水溶液を添加した後、100℃〜250℃の範囲内の温度で且つ飽和蒸気圧の下で水熱合成して粉状のケイ酸カルシウム水和物系の多孔質体とし、その後、該多孔質体に他原料を添加混合させてこれを圧縮成形するか、或いは該多孔質体をそのまま圧縮成形することにより揮発性有機化合物に対し吸着能を有するようにしたことを特徴とするアコヤ貝殻からの吸着能付与成形体の製造方法にある。
請求項2に記載の発明の要旨は、アコヤ貝殻を粉砕し粉末化した粉粒体を仮焼して得られた脱炭酸粉粒体或いはアコヤ貝殻を仮焼した後に微粉砕して得られる脱炭酸粉粒体に、ケイ素分とアルカリ水溶液を添加した後、100℃〜250℃の範囲内の温度で且つ飽和蒸気圧の下で水熱合成して粉状のケイ酸カルシウム水和物系の多孔質体とし、その後、該多孔質体に他原料を添加混合させてこれを圧縮成形するか、或いは該多孔質体をそのまま圧縮成形することにより揮発性有機化合物に対し吸着能を有するようにしたことを特徴とするアコヤ貝殻からの吸着能付与成形体の製造方法にある。
請求項3に記載の発明の要旨は、アコヤ貝殻を粉砕し粉末化した粉粒体を仮焼して得られた脱炭酸粉粒体或いはアコヤ貝殻を仮焼した後に微粉砕して得られる脱炭酸粉粒体に、ケイ素分とアルカリ水溶液を添加してスラリー状態とし、又は他原料をさらに添加混合させてスラリー状態にし、次いで、該スラリーを金型に注入成形した後、その成形体を100℃〜250℃の範囲内の温度で且つ飽和蒸気圧の下で水熱合成することにより多孔質成形体とし、揮発性有機化合物に対し吸着能を有するようにしたことを特徴とするアコヤ貝殻からの吸着能付与成形体の製造方法にある。
請求項4に記載の発明たるアコヤ貝殻からの吸着能付与成形体の製造方法は、請求項1〜3で、前記請求項1に係る多孔質の成形体或いは前記請求項2に係る多孔質体若しくは該多孔質体を圧縮成形して得られる圧縮成形体、或いは前記請求項3に係る多孔質成形体に光触媒を固定化し、そこに吸着された物質を該光触媒で分解できるようにしたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明たるアコヤ貝殻からの吸着能付与成形体の製造方法は、請求項1〜3で、前記請求項1に係る多孔質の成形体或いは前記請求項2に係る多孔質体若しくは該多孔質体を圧縮成形して得られる圧縮成形体、或いは前記請求項3に係る多孔質成形体に光触媒を固定化し、そこに吸着された物質を該光触媒で分解できるようにしたことを特徴とする。
本発明のアコヤ貝殻からの吸着能付与成形体の製造方法は、比較的簡単な製法ながら、大量発生するアコヤ貝殻を原料にしてホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物に対し吸着能を有する高い付加価値製品たる成形体が得られ、ホルムアルデヒド対策等でその需要も見込まれることから優れた効果を発揮する。加えて光触媒を固定化すればその吸着した揮発性有機化合物を分解できるなどさらに優れた効果を発揮する。
以下、本発明に係るアコヤ貝殻からの吸着能付与成形体の製造方法(以下、単に「吸着能付与成形体の製造方法」という。)の一実施形態について詳述する。
(1)実施形態1
本実施形態の吸着能付与成形体の製造方法は、先ずアコヤ貝殻を粉砕し粉末化した粉粒体を仮焼して脱炭酸粉粒体を得る(第1工程)。次に、この脱炭酸粉粒体にケイ素分とアルカリ水溶液を添加した後、100℃〜250℃(より好ましくは150℃〜250℃)の範囲内の温度で且つ飽和蒸気圧の下で水熱合成して粉状のケイ酸カルシウム系多孔質体とする(第2工程)。その後、該多孔質体をそのまま圧縮成形することにより揮発性有機化合物に対し吸着能を有する吸着能付与成形体とする(第3工程)。
(1)実施形態1
本実施形態の吸着能付与成形体の製造方法は、先ずアコヤ貝殻を粉砕し粉末化した粉粒体を仮焼して脱炭酸粉粒体を得る(第1工程)。次に、この脱炭酸粉粒体にケイ素分とアルカリ水溶液を添加した後、100℃〜250℃(より好ましくは150℃〜250℃)の範囲内の温度で且つ飽和蒸気圧の下で水熱合成して粉状のケイ酸カルシウム系多孔質体とする(第2工程)。その後、該多孔質体をそのまま圧縮成形することにより揮発性有機化合物に対し吸着能を有する吸着能付与成形体とする(第3工程)。
本発明に用いるアコヤ貝殻はアラゴナイト及びカルサイトの結晶構造の双方を含有する炭酸カルシウムが主成分で、アラゴナイト結晶構造とカルサイト結晶構造が混在したものになっている。ちなみに真珠は該アラゴナイトと分泌物のタンパク質たるコンキオリンが核に沈着して輝いている。真珠のもつ7色の輝きは、アコヤ貝のなかで砂粒などの異物刺激に対する防御反応により分泌されるアラゴナイトによって専ら形成される。
アコヤ貝殻は前記アラゴナイト及びカルサイトの炭酸カルシウム結晶の他、アルミニウム,ケイ素,ナトリウム,塩素,タンパク質等を微量に含む。本発明のアコヤ貝殻には真珠生産に伴い発生するアコヤ貝殻が通常用いられるが、貝肉の外されたものであればどのようなものであっても良い。
アコヤ貝殻は前記アラゴナイト及びカルサイトの炭酸カルシウム結晶の他、アルミニウム,ケイ素,ナトリウム,塩素,タンパク質等を微量に含む。本発明のアコヤ貝殻には真珠生産に伴い発生するアコヤ貝殻が通常用いられるが、貝肉の外されたものであればどのようなものであっても良い。
以下、前記第1工程〜第3工程を詳述する。
第1工程:
アコヤ貝殻の粉粒体は、例えばアコヤ貝殻をクラッシャー等により粗粉砕した後、ボールミル等により微粉砕することによって容易に造られる。微粉砕は100メッシュアンダーが好ましく、より好ましくは200メッシュアンダーにする。粉末化した粉粒体が最終製品たる吸着能付与成形体(圧縮成形体)の成形性を良好にするからである。
次に、この微粉砕化された粉粒体を仮焼して脱炭酸粉粒体(アコヤ貝殻仮焼粉体)にする。本実施形態の脱炭酸粉粒体は前記粉粒体を800℃〜1100℃(より好ましくは850℃〜1050℃)の温度範囲内で仮焼したものであるが、アコヤ貝殻そのものを同様の条件で仮焼した後、微粉砕化して脱炭酸粉粒体に調整することもできる。仮焼温度を800℃〜1100℃(より好ましくは850℃〜1050℃)の温度範囲内とするのは、当該温度範囲より温度が低いと脱炭酸反応が不完全となり、高すぎると成分間の反応、成分の揮発,溶融等が生じたり、熱利用効率が低下したりするためである。仮焼時間は対象物の大きさにもよるが、数十分以上が必要で1時間程度あれば充足する。
こうして、アコヤ貝殻を原料とする酸化カルシウム主成分の脱炭酸粉粒体が得られる。
第1工程:
アコヤ貝殻の粉粒体は、例えばアコヤ貝殻をクラッシャー等により粗粉砕した後、ボールミル等により微粉砕することによって容易に造られる。微粉砕は100メッシュアンダーが好ましく、より好ましくは200メッシュアンダーにする。粉末化した粉粒体が最終製品たる吸着能付与成形体(圧縮成形体)の成形性を良好にするからである。
次に、この微粉砕化された粉粒体を仮焼して脱炭酸粉粒体(アコヤ貝殻仮焼粉体)にする。本実施形態の脱炭酸粉粒体は前記粉粒体を800℃〜1100℃(より好ましくは850℃〜1050℃)の温度範囲内で仮焼したものであるが、アコヤ貝殻そのものを同様の条件で仮焼した後、微粉砕化して脱炭酸粉粒体に調整することもできる。仮焼温度を800℃〜1100℃(より好ましくは850℃〜1050℃)の温度範囲内とするのは、当該温度範囲より温度が低いと脱炭酸反応が不完全となり、高すぎると成分間の反応、成分の揮発,溶融等が生じたり、熱利用効率が低下したりするためである。仮焼時間は対象物の大きさにもよるが、数十分以上が必要で1時間程度あれば充足する。
こうして、アコヤ貝殻を原料とする酸化カルシウム主成分の脱炭酸粉粒体が得られる。
第2工程:
前記脱炭酸粉粒体にケイ砂,コロイダルシリカ等のケイ素分を添加し、また水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ水溶液を添加してスラリー状態にした後、該スラリーを100℃〜250℃(より好ましくは150℃〜250℃)の温度範囲内で且つ飽和蒸気圧下で処理してケイ酸カルシウム系多孔質体を水熱合成する。水熱合成の温度範囲を100℃〜250℃(より好ましくは150℃〜250℃)とするのは、ケイ酸カルシウム系鉱物の結晶化による多孔質化に適した温度だからである。ここでいうケイ素分とはケイ素の他、ケイ素を含む化合物、例えば二酸化ケイ素(シリカ)等をいう。
前記脱炭酸粉粒体にケイ砂,コロイダルシリカ等のケイ素分を添加し、また水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ水溶液を添加してスラリー状態にした後、該スラリーを100℃〜250℃(より好ましくは150℃〜250℃)の温度範囲内で且つ飽和蒸気圧下で処理してケイ酸カルシウム系多孔質体を水熱合成する。水熱合成の温度範囲を100℃〜250℃(より好ましくは150℃〜250℃)とするのは、ケイ酸カルシウム系鉱物の結晶化による多孔質化に適した温度だからである。ここでいうケイ素分とはケイ素の他、ケイ素を含む化合物、例えば二酸化ケイ素(シリカ)等をいう。
第3工程:
前記多孔質体をその多孔質性を維持しながらそのまま圧縮成形し、揮発性有機化合物に対し吸着能を有する所望形状の圧縮成形体とする。圧縮成形圧は5MPa〜60MPaの範囲内が好適となる。5MPaより圧力が小さくなると圧縮成形体の形状保持力が弱くなる一方、60MPaを越えると吸着能付与成形体となる圧縮成形体の多孔質部分が壊されて吸着能が低下し、またこれを越えて加圧成形する必要性がなく経済効率も低下するからである。
本第3工程では、これに代え、前記多孔質体に石膏等のボード原料或いは適宜バインダー等の他の原料を添加混合させて、この混合材を圧縮成形して例えば建材ボード等の圧縮成形体とすることができる。
前記多孔質体をその多孔質性を維持しながらそのまま圧縮成形し、揮発性有機化合物に対し吸着能を有する所望形状の圧縮成形体とする。圧縮成形圧は5MPa〜60MPaの範囲内が好適となる。5MPaより圧力が小さくなると圧縮成形体の形状保持力が弱くなる一方、60MPaを越えると吸着能付与成形体となる圧縮成形体の多孔質部分が壊されて吸着能が低下し、またこれを越えて加圧成形する必要性がなく経済効率も低下するからである。
本第3工程では、これに代え、前記多孔質体に石膏等のボード原料或いは適宜バインダー等の他の原料を添加混合させて、この混合材を圧縮成形して例えば建材ボード等の圧縮成形体とすることができる。
[実施例1]
アコヤ貝殻をポットミルで250メッシュアンダーの大きさに粉砕した後、その粉粒体を1050℃で1時間仮焼して脱炭酸粉粒体(酸化カルシウムの粉粒体)とした。次いで、該脱炭酸粉粒体にコロイダルシリカ及び1Nの水酸化カリウム水溶液(固液比1:20)を添加し、続いて、この混合物をオートクレーブに投入し、180℃で約1MPaの飽和蒸気圧下で約10時間反応させケイ酸カルシウム水和物系の多孔質体を水熱合成した。その後、該多孔質体を金型に注入して55.56MPaの圧力で圧縮成形し、15mm×60mm×6.5〜8.0mmの直方体形状の圧縮成形体(吸着能付与成形体)とした。
得られた圧縮成形体1個(重量:7.43g、大きさ:15.20mm×60.18mm×6.63mm)を供試体としてガラスセル内に設置した後、ホルムアルデヒド標準ガス(初濃度:約39pp(v)m)をガラスポンプを用いて循環させ一定時間ごとにサンプルガスを採取し、ホルムアルデヒド濃度を測定して吸着能の評価を行った。その結果をアコヤ貝殻水熱合成粉体成形体として白丸印が乗る実線ラインで図1に示す。白丸印が測定値を表す。アコヤ貝殻水熱合成粉体成形体は該圧縮成形体のことである。該圧縮成形体がホルムアルデヒド吸着能を有し、しかも吸着速度が速いことが判明した。前記水熱合成の過程でケイ酸カルシウム水和物系の多孔質体ができるが、これによってホルムアルデヒド吸着に都合の良い細孔が出来たと考えられる。
トルエン濃度についても同様に測定し吸着能を評価した。圧縮成形体(アコヤ貝殻水熱合成粉体成形体)は重量が7.41gで、大きさが15.16mm×60.26mm×6.86mmのものを用いた。その結果をアコヤ貝殻水熱合成粉体成形体として白丸印が乗る実線ラインで図2に示す。図示を省略するが、アセトアルデヒド等の揮発性有機化合物に対しても同じような吸着能があることが確かめられた。
アコヤ貝殻をポットミルで250メッシュアンダーの大きさに粉砕した後、その粉粒体を1050℃で1時間仮焼して脱炭酸粉粒体(酸化カルシウムの粉粒体)とした。次いで、該脱炭酸粉粒体にコロイダルシリカ及び1Nの水酸化カリウム水溶液(固液比1:20)を添加し、続いて、この混合物をオートクレーブに投入し、180℃で約1MPaの飽和蒸気圧下で約10時間反応させケイ酸カルシウム水和物系の多孔質体を水熱合成した。その後、該多孔質体を金型に注入して55.56MPaの圧力で圧縮成形し、15mm×60mm×6.5〜8.0mmの直方体形状の圧縮成形体(吸着能付与成形体)とした。
得られた圧縮成形体1個(重量:7.43g、大きさ:15.20mm×60.18mm×6.63mm)を供試体としてガラスセル内に設置した後、ホルムアルデヒド標準ガス(初濃度:約39pp(v)m)をガラスポンプを用いて循環させ一定時間ごとにサンプルガスを採取し、ホルムアルデヒド濃度を測定して吸着能の評価を行った。その結果をアコヤ貝殻水熱合成粉体成形体として白丸印が乗る実線ラインで図1に示す。白丸印が測定値を表す。アコヤ貝殻水熱合成粉体成形体は該圧縮成形体のことである。該圧縮成形体がホルムアルデヒド吸着能を有し、しかも吸着速度が速いことが判明した。前記水熱合成の過程でケイ酸カルシウム水和物系の多孔質体ができるが、これによってホルムアルデヒド吸着に都合の良い細孔が出来たと考えられる。
トルエン濃度についても同様に測定し吸着能を評価した。圧縮成形体(アコヤ貝殻水熱合成粉体成形体)は重量が7.41gで、大きさが15.16mm×60.26mm×6.86mmのものを用いた。その結果をアコヤ貝殻水熱合成粉体成形体として白丸印が乗る実線ラインで図2に示す。図示を省略するが、アセトアルデヒド等の揮発性有機化合物に対しても同じような吸着能があることが確かめられた。
(2)実施形態2
本実施形態の吸着能付与成形体の製造方法は、先ずアコヤ貝殻を粉砕し粉末化した粉粒体を形成する(第1工程)。次に、該粉粒体に他原料を添加混合させてこれを圧縮成形するか、或いは該粉粒体をそのまま圧縮成形することにより多孔質の成形体にし、揮発性有機化合物に対し吸着能を有する吸着能付与成形体とする(第2工程)。
本実施形態の吸着能付与成形体の製造方法は、先ずアコヤ貝殻を粉砕し粉末化した粉粒体を形成する(第1工程)。次に、該粉粒体に他原料を添加混合させてこれを圧縮成形するか、或いは該粉粒体をそのまま圧縮成形することにより多孔質の成形体にし、揮発性有機化合物に対し吸着能を有する吸着能付与成形体とする(第2工程)。
第1工程のアコヤ貝殻を粉砕し粉末化した粉粒体を形成する方法は、実施形態1の記述内容と同じである。アコヤ貝殻をクラッシャー等により粗粉砕した後、ボールミル等により微粉砕することによって粉粒体を形成する。該粉粒体は微粉砕によって得られるが、100メッシュアンダーが好ましく、より好ましくは200メッシュアンダーのものである。
第2工程では該粉粒体をそのまま圧縮成形し、揮発性有機化合物に対し吸着能を有するようにした多孔質の圧縮成形体とする。この圧縮成形によって粉粒体が岩おこしの菓子のごとく空隙(細孔)を残して一体化し、吸着能付与成形体たる圧縮成形体が出来る。特にバインダーがなくてもアンカー効果等によって個々の粉粒体の粒子同士が隙間を残して結合一体化すると考えられる。実際、該圧縮成形体は顕微鏡で見ると多孔質の成形体になっているのが判る。圧縮成形圧は5MPa〜100MPaの範囲内で、より好ましくは5MPa〜60MPaの範囲内である。この範囲を越えると吸着能付与成形体となる圧縮成形体が緻密になりすぎて期待する吸着能が得られなくなる一方、この範囲を下回ると保形力が弱まり脆くなるからである。第2工程において、粉粒体をそのまま圧縮成形する方法に代え、該粉粒体に他原料 (例えばボード建材用セッコウ)を添加混合させてこれを圧縮成形することにより多孔質の成形体にし、揮発性有機化合物に対し吸着能を有する吸着能付与成形体たる圧縮成形体とすることができる。
なお、本実施形態は圧縮成形によって粉粒体が吸着用の空隙(細孔)を確保して一体化し、揮発性有機化合物に対し吸着能を有する圧縮成形体にしなければならず、前記粉粒体はその粒径がサブミクロン以上のものが重量換算で80%以上であることが好ましい。
第2工程では該粉粒体をそのまま圧縮成形し、揮発性有機化合物に対し吸着能を有するようにした多孔質の圧縮成形体とする。この圧縮成形によって粉粒体が岩おこしの菓子のごとく空隙(細孔)を残して一体化し、吸着能付与成形体たる圧縮成形体が出来る。特にバインダーがなくてもアンカー効果等によって個々の粉粒体の粒子同士が隙間を残して結合一体化すると考えられる。実際、該圧縮成形体は顕微鏡で見ると多孔質の成形体になっているのが判る。圧縮成形圧は5MPa〜100MPaの範囲内で、より好ましくは5MPa〜60MPaの範囲内である。この範囲を越えると吸着能付与成形体となる圧縮成形体が緻密になりすぎて期待する吸着能が得られなくなる一方、この範囲を下回ると保形力が弱まり脆くなるからである。第2工程において、粉粒体をそのまま圧縮成形する方法に代え、該粉粒体に他原料 (例えばボード建材用セッコウ)を添加混合させてこれを圧縮成形することにより多孔質の成形体にし、揮発性有機化合物に対し吸着能を有する吸着能付与成形体たる圧縮成形体とすることができる。
なお、本実施形態は圧縮成形によって粉粒体が吸着用の空隙(細孔)を確保して一体化し、揮発性有機化合物に対し吸着能を有する圧縮成形体にしなければならず、前記粉粒体はその粒径がサブミクロン以上のものが重量換算で80%以上であることが好ましい。
[実施例2]
アコヤ貝殻をポットミルで250メッシュアンダーの大きさに粉砕して粉粒体を形成する。次いで、該粉粒体をそのまま55.56MPaの圧力で圧縮成形し、重量が12.71gで、大きさが15.20mm×60.37mm×7.98mmの直方体形状の圧縮成形体(吸着能付与成形体)とした。
得られた圧縮成形体1個を供試体としてガラスセル内に設置した後、ホルムアルデヒド標準ガス(初濃度:約39pp(v)m)をガラスポンプを用いて循環させた。そして、一定時間ごとにサンプルガスを採取し、ホルムアルデヒド濃度を測定して吸着能の評価を行った。その結果をアコヤ貝殻粉体成形体として黒丸印が乗る実線ラインで図1に示す。黒丸印が測定値を表す。アコヤ貝殻粉体成形体は該圧縮成形体のことである。該圧縮成形体がホルムアルデヒド吸着能を有することが判明した。図1中、アコヤ貝殻粉体成形体(重量補正後)とある点線ラインは、実施形態1のアコヤ貝殻水熱合成粉体成形体と単位重量当たりで比較できるよう、アコヤ貝殻水熱合成粉体成形体の重量7.43gと同等の重量に換算補正して得られた曲線である。
トルエン濃度についても同様に測定し吸着能を評価した。圧縮成形体(アコヤ貝殻粉体成形体)は重量が12.16gで、大きさが15.16mm×60.23mm×7.63mmのものを用いた。その結果をアコヤ貝殻粉体成形体として黒丸印が乗る実線ラインで図2に示す。図示を省略するが、アセトアルデヒド等の揮発性有機化合物に対しても同じような吸着能があることが確かめられた。
アコヤ貝殻をポットミルで250メッシュアンダーの大きさに粉砕して粉粒体を形成する。次いで、該粉粒体をそのまま55.56MPaの圧力で圧縮成形し、重量が12.71gで、大きさが15.20mm×60.37mm×7.98mmの直方体形状の圧縮成形体(吸着能付与成形体)とした。
得られた圧縮成形体1個を供試体としてガラスセル内に設置した後、ホルムアルデヒド標準ガス(初濃度:約39pp(v)m)をガラスポンプを用いて循環させた。そして、一定時間ごとにサンプルガスを採取し、ホルムアルデヒド濃度を測定して吸着能の評価を行った。その結果をアコヤ貝殻粉体成形体として黒丸印が乗る実線ラインで図1に示す。黒丸印が測定値を表す。アコヤ貝殻粉体成形体は該圧縮成形体のことである。該圧縮成形体がホルムアルデヒド吸着能を有することが判明した。図1中、アコヤ貝殻粉体成形体(重量補正後)とある点線ラインは、実施形態1のアコヤ貝殻水熱合成粉体成形体と単位重量当たりで比較できるよう、アコヤ貝殻水熱合成粉体成形体の重量7.43gと同等の重量に換算補正して得られた曲線である。
トルエン濃度についても同様に測定し吸着能を評価した。圧縮成形体(アコヤ貝殻粉体成形体)は重量が12.16gで、大きさが15.16mm×60.23mm×7.63mmのものを用いた。その結果をアコヤ貝殻粉体成形体として黒丸印が乗る実線ラインで図2に示す。図示を省略するが、アセトアルデヒド等の揮発性有機化合物に対しても同じような吸着能があることが確かめられた。
実施例1,2の圧縮成形体は共にホルムアルデヒド,トルエンに対し吸着能を有する。
図1中、体積換算で比較した場合、実施例1,2の圧縮成形体がホルムアルデヒドに対し共に良好な吸着能を示している。一方、これを重量換算比較してみると、水熱合成により多孔質体を経た実施例1の圧縮成形体が断然優れた吸着能を有することが判る。ちなみに、比表面積測定装置(マイクロメディティックス社製アサップ2010)を用いた実施形態1に係る吸着能付与成形体(多孔質体を圧縮成形した圧縮成形体)の比表面積は44.9m2/gであったのに対し、実施形態2に係る吸着能付与成形体(多孔質の成形体)の比表面積は8.9m2/gであった。
図1中、体積換算で比較した場合、実施例1,2の圧縮成形体がホルムアルデヒドに対し共に良好な吸着能を示している。一方、これを重量換算比較してみると、水熱合成により多孔質体を経た実施例1の圧縮成形体が断然優れた吸着能を有することが判る。ちなみに、比表面積測定装置(マイクロメディティックス社製アサップ2010)を用いた実施形態1に係る吸着能付与成形体(多孔質体を圧縮成形した圧縮成形体)の比表面積は44.9m2/gであったのに対し、実施形態2に係る吸着能付与成形体(多孔質の成形体)の比表面積は8.9m2/gであった。
(3)実施形態3
本実施形態の吸着能付与成形体の製造方法は、実施形態1の変形製法である。先ずアコヤ貝殻を粉砕し粉末化した粉粒体を仮焼して脱炭酸粉粒体を得る(第1工程)。アコヤ貝殻をそのまま仮焼した後に微粉砕して脱炭酸粉粒体を得てもよい。次に、該脱炭酸粉粒体にケイ素分とアルカリ水溶液を添加混合させてスラリー状態とする(第2工程)。又は、該脱炭酸粉粒体とケイ素分とアルカリ水溶液の配合物に他原料をさらに添加混合させてスラリー状態にしてもよい。続いて、該スラリーを金型に注入し成形体を成形する(第3工程)。上述の他原料には例えば金属アルミニウム等がある。これを添加することでスラリー状態下で気体が発生して発泡成形が可能になる。その後、該成形体を100℃〜250℃(より好ましくは150℃〜250℃)の範囲内の温度で且つ飽和蒸気圧の下で水熱合成することにより多孔質成形体にし、揮発性有機化合物に対し吸着能を有する吸着能付与成形体を造る(第4工程)。水熱合成を100℃〜250℃(より好ましくは150℃〜250℃)の範囲内で行うのは実施形態1と同じ理由である。
実施形態1では水熱合成によりケイ酸カルシウム水和物系の多孔質体とした後、圧縮成形により吸着能付与成形体とするが、本実施形態は予め脱炭酸粉粒体を所定形状の成形体に成形し、その後、水熱合成により吸着能を有する多孔質成形体とする。該多孔質成形体も実施形態1と同様、揮発性有機化合物に対し吸着能を有する吸着能付与成形体になる。実験でも実施形態1と同等の吸着能を有することを確認している。
本実施形態の吸着能付与成形体の製造方法は、実施形態1の変形製法である。先ずアコヤ貝殻を粉砕し粉末化した粉粒体を仮焼して脱炭酸粉粒体を得る(第1工程)。アコヤ貝殻をそのまま仮焼した後に微粉砕して脱炭酸粉粒体を得てもよい。次に、該脱炭酸粉粒体にケイ素分とアルカリ水溶液を添加混合させてスラリー状態とする(第2工程)。又は、該脱炭酸粉粒体とケイ素分とアルカリ水溶液の配合物に他原料をさらに添加混合させてスラリー状態にしてもよい。続いて、該スラリーを金型に注入し成形体を成形する(第3工程)。上述の他原料には例えば金属アルミニウム等がある。これを添加することでスラリー状態下で気体が発生して発泡成形が可能になる。その後、該成形体を100℃〜250℃(より好ましくは150℃〜250℃)の範囲内の温度で且つ飽和蒸気圧の下で水熱合成することにより多孔質成形体にし、揮発性有機化合物に対し吸着能を有する吸着能付与成形体を造る(第4工程)。水熱合成を100℃〜250℃(より好ましくは150℃〜250℃)の範囲内で行うのは実施形態1と同じ理由である。
実施形態1では水熱合成によりケイ酸カルシウム水和物系の多孔質体とした後、圧縮成形により吸着能付与成形体とするが、本実施形態は予め脱炭酸粉粒体を所定形状の成形体に成形し、その後、水熱合成により吸着能を有する多孔質成形体とする。該多孔質成形体も実施形態1と同様、揮発性有機化合物に対し吸着能を有する吸着能付与成形体になる。実験でも実施形態1と同等の吸着能を有することを確認している。
(4)実施形態4
本実施形態の吸着能付与成形体の製造方法は、先ずアコヤ貝殻を粉砕し粉末化した粉粒体を形成する(第1工程)。次に、該粉粒体を仮焼して脱炭酸粉粒体とする(第2工程)。その後、該脱炭酸粉粒体に他原料を添加混合させてこれを圧縮成形するか、或いは該脱炭酸粉粒体をそのまま圧縮成形することにより多孔質の成形体にし、揮発性有機化合物に対し吸着能を有する吸着能付与成形体とする(第3工程)。
本実施形態の吸着能付与成形体の製造方法は、先ずアコヤ貝殻を粉砕し粉末化した粉粒体を形成する(第1工程)。次に、該粉粒体を仮焼して脱炭酸粉粒体とする(第2工程)。その後、該脱炭酸粉粒体に他原料を添加混合させてこれを圧縮成形するか、或いは該脱炭酸粉粒体をそのまま圧縮成形することにより多孔質の成形体にし、揮発性有機化合物に対し吸着能を有する吸着能付与成形体とする(第3工程)。
第1工程のアコヤ貝殻を粉砕し粉末化した粉粒体を形成する方法、また第2工程の脱炭酸粉粒体を得る方法は、実施形態1の記述内容と同じでその説明を省略する。第3工程では、実施形態2の粉粒体に代えて脱炭酸粉粒体に他原料を添加混合させてこれを圧縮成形するか、或いは該脱炭酸粉粒体をそのまま圧縮成形することにより多孔質の成形体とする。脱炭酸反応過程でタンパク質等の可燃成分が消失し、脱炭酸粉粒体はその部分が空隙,細孔になる。従って、脱炭酸粉粒体は実施形態2の粉粒体と違って粒径の下限が問題になることはない。
本実施形態の吸着能付与成形体は脱炭酸反応により脱炭酸粉粒体自体が多孔質化しており、実施形態2のものより優れた吸着能力を発揮する。
本実施形態の吸着能付与成形体は脱炭酸反応により脱炭酸粉粒体自体が多孔質化しており、実施形態2のものより優れた吸着能力を発揮する。
(5)実施形態5
実施形態1では第1工程〜第3工程により多孔質体を圧縮成形して圧縮成形体を形成するが、本実施形態の吸着能付与成形体の製造方法は、前記圧縮成形体にさらに光触媒を固定化(複合化)し、そこに吸着された揮発性有機化合物を該光触媒で分解できるようにするものである。
実施形態1では第1工程〜第3工程により多孔質体を圧縮成形して圧縮成形体を形成するが、本実施形態の吸着能付与成形体の製造方法は、前記圧縮成形体にさらに光触媒を固定化(複合化)し、そこに吸着された揮発性有機化合物を該光触媒で分解できるようにするものである。
実施形態1で得られた圧縮成形体にゾル−ゲル法によって光触媒を固定化させる。ゾル−ゲル法ではチタン化合物から調製したゾル(又は溶液)を圧縮成形体に塗布した後、加熱して二酸化チタン膜を生成する。本実施形態は、ペルオキソチタン酸系の光触媒用ゾルで圧縮成形体の表面にスプレーした後、風乾させ、続いて100℃以上の温度で乾燥させてコーティング膜を形成する。その後、ペルオキソチタン酸系の改質アナターゼ光触媒用ゾルで圧縮成形体表面にスプレーし、次いで風乾させ、続いて100℃以上の温度で乾燥させて、圧縮成形体に光触媒が複合形成された吸着能付与成形体を製造する。本実施形態は圧縮成形体へのコーティング膜及び光触媒の形成にあたって、共に120℃の温度で約1時間乾燥させている。
ここではゾル−ゲル法によって多孔質の圧縮成形体に光触媒を固定化させる方法を採ったが、多孔質の圧縮成形体表面に光触媒を固定化(複合化)できればこれに限定されない。多孔質体を圧縮成形して得られる圧縮成形体に、ゾル−ゲル法に代え、塗装法,混合成形法、バインダーを用いる方法等によって光触媒を複合化することができる。
ここではゾル−ゲル法によって多孔質の圧縮成形体に光触媒を固定化させる方法を採ったが、多孔質の圧縮成形体表面に光触媒を固定化(複合化)できればこれに限定されない。多孔質体を圧縮成形して得られる圧縮成形体に、ゾル−ゲル法に代え、塗装法,混合成形法、バインダーを用いる方法等によって光触媒を複合化することができる。
[実施例3]
こうして圧縮成形体表面に光触媒(二酸化チタン膜)が生成された吸着能付与成形体について、実施例1と同様の吸着能評価の実験を行った。
得られた吸着能付与成形体1個を供試体として石英製窓を付けたガラスセル内に設置した後、ホルムアルデヒド標準ガス(初濃度:約39pp(v)m)をガラスポンプを用いて循環させ一定時間ごとにサンプルガスを採取し、ホルムアルデヒド濃度を測定して吸着能の評価を行った。そして、吸着能付与成形体の吸着がほぼ飽和状態に達したと見られる12分、26分が経過したところで、新たにホルムアルデヒドガスをガラスセル内に注入し、ガラスセル内が再び初濃度(約39pp(v)m)になるよう充満させた。ブラックライトが点燈する下で、その後のホルムアルデヒド濃度を測定した。その結果を図3に示す。該吸着能付与成形体がホルムアルデヒド吸着能を有するのみならず、そこに吸着された揮発性有機化合物が光触媒で速やかに分解されるのが判った。ホルムアルデヒド以外の揮発性有機化合物に対しても同じような分解能があることが確かめられた。
こうして圧縮成形体表面に光触媒(二酸化チタン膜)が生成された吸着能付与成形体について、実施例1と同様の吸着能評価の実験を行った。
得られた吸着能付与成形体1個を供試体として石英製窓を付けたガラスセル内に設置した後、ホルムアルデヒド標準ガス(初濃度:約39pp(v)m)をガラスポンプを用いて循環させ一定時間ごとにサンプルガスを採取し、ホルムアルデヒド濃度を測定して吸着能の評価を行った。そして、吸着能付与成形体の吸着がほぼ飽和状態に達したと見られる12分、26分が経過したところで、新たにホルムアルデヒドガスをガラスセル内に注入し、ガラスセル内が再び初濃度(約39pp(v)m)になるよう充満させた。ブラックライトが点燈する下で、その後のホルムアルデヒド濃度を測定した。その結果を図3に示す。該吸着能付与成形体がホルムアルデヒド吸着能を有するのみならず、そこに吸着された揮発性有機化合物が光触媒で速やかに分解されるのが判った。ホルムアルデヒド以外の揮発性有機化合物に対しても同じような分解能があることが確かめられた。
本実施形態は、実施形態1の多孔質体を圧縮成形して得られる圧縮成形体に光触媒を固定化したが、これに限らず、実施形態1の多孔質体が出来た段階でこれに光触媒を固定化させてもよい。また実施形態2の多孔質の成形体に光触媒を固定化するものでもよいし、実施形態3のスラリーを金型に注入し成形して出来た成形体に光触媒を固定化することができるし、該成形体を水熱合成して得られる多孔質成形体に光触媒を固定化するものであってもよい。さらに実施形態4の脱炭酸粉粒体に他原料を添加混合させてこれを圧縮成形したり、或いは該粉粒体をそのまま圧縮成形したりしてできた多孔質の成形体に光触媒を固定化するものでもよい。
このように構成したケイ酸カルシウム水和物系の多孔質体を圧縮成形して得られる圧縮成形体(実施形態1)、粉粒体を圧縮成形して得られる多孔質の成形体(実施形態2)、脱炭酸粉粒体にケイ素分とアルカリ水溶液を添加混合させてスラリー状態とし、そのスラリーを金型に注入し成形体を成形した後、水熱合成することにより得られる多孔質成形体(実施形態3)、脱炭酸粉粒体に他原料を添加混合させてこれを圧縮成形するか、脱炭酸粉粒体をそのまま圧縮成形することにより得られる多孔質の成形体(実施形態4)は、いずれもホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物に対し吸着能を有する吸着能付与成形体になる。しかも吸着速度が速く極めて有益である。特に仮焼を経てケイ酸カルシウム系物質を水熱合成して多孔質化させた実施形態2,3の多孔質の成形体,多孔質成形体は、吸着能が高く優れた効果を発揮する。またこれら多孔質の成形体,多孔質成形体は軽量で、実用的である。付加価値の高い環境浄化製品(材料)になり、シックハウス対策等でホルムアルデヒド除去技術が望まれている現況下、その需要も期待できる。
さらに、実施形態1の圧縮成形体や実施形態2の多孔質の成形体、或いは実施形態3の多孔質成形体や実施形態4の多孔質の成形体に光触媒を固定化することによって、そこに吸着された揮発性有機化合物を該光触媒で分解できるので、ホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物を吸着能付与成形体の表面に次から次へと吸着させ続けることができる。吸着能が存在するだけでは、吸着飽和に達した段階で、揮発性有機化合物を何らかの操作によりそこから追い出して吸着質単体として回収しなければならない脱着操作を必要とする。これに対し、本発明の光触媒が固定化された吸着能付与成形体は揮発性有機化合物を吸着する傍らでこれを分解していくので、脱着操作を要しない。連続してホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物を吸着除去でき極めて有益となる。
尚、本発明においては、前記実施形態,実施例に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。粉粒体,脱炭酸粉粒体,多孔質体,多孔質成形体,吸着能付与成形体等の形状,大きさ等は用途等に合わせて適宜選択できる。
Claims (4)
- アコヤ貝殻を粉砕し粉末化した粉粒体を形成し、その後、該粉粒体に他原料を添加混合させてこれを圧縮成形するか、或いは該粉粒体をそのまま圧縮成形することにより多孔質の成形体にし、揮発性有機化合物に対し吸着能を有するようにしたことを特徴とするアコヤ貝殻からの吸着能付与成形体の製造方法。
- アコヤ貝殻を粉砕し粉末化した粉粒体を仮焼して得られた脱炭酸粉粒体或いはアコヤ貝殻を仮焼した後に微粉砕して得られる脱炭酸粉粒体に、ケイ素分とアルカリ水溶液を添加した後、100℃〜250℃の範囲内の温度で且つ飽和蒸気圧の下で水熱合成して粉状のケイ酸カルシウム水和物系の多孔質体とし、その後、該多孔質体に他原料を添加混合させてこれを圧縮成形するか、或いは該多孔質体をそのまま圧縮成形することにより揮発性有機化合物に対し吸着能を有するようにしたことを特徴とするアコヤ貝殻からの吸着能付与成形体の製造方法。
- アコヤ貝殻を粉砕し粉末化した粉粒体を仮焼して得られた脱炭酸粉粒体或いはアコヤ貝殻を仮焼した後に微粉砕して得られる脱炭酸粉粒体に、ケイ素分とアルカリ水溶液を添加してスラリー状態とし、又は他原料をさらに添加混合させてスラリー状態にし、次いで、該スラリーを金型に注入成形した後、その成形体を100℃〜250℃の範囲内の温度で且つ飽和蒸気圧の下で水熱合成することにより多孔質成形体とし、揮発性有機化合物に対し吸着能を有するようにしたことを特徴とするアコヤ貝殻からの吸着能付与成形体の製造方法。
- 前記請求項1に係る多孔質の成形体或いは前記請求項2に係る多孔質体若しくは該多孔質体を圧縮成形して得られる圧縮成形体、或いは前記請求項3に係る多孔質成形体に光触媒を固定化し、そこに吸着された物質を該光触媒で分解できるようにした請求項1乃至3のいずれかに記載のアコヤ貝殻からの吸着能付与成形体の製造方法。
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