JP2005303183A - 熱電モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、熱電モジュール内への水分の侵入を防止し、熱電モジュールの信頼性を向上させたものである。
【解決手段】熱電モジュール1のシール部材9を放熱側基板3の熱膨張及び吸熱側基板2の熱収縮による変形に対応できる柔軟性をもったエポキシ樹脂としたことにより、熱電モジュール1内への水分の侵入を防止すると共に、シール部材9の吸熱側基板2や放熱側基板3からの剥がれやシール部材9自身の破壊がなく、熱電モジュールの信頼性を向上することができる。
【選択図】図1
【解決手段】熱電モジュール1のシール部材9を放熱側基板3の熱膨張及び吸熱側基板2の熱収縮による変形に対応できる柔軟性をもったエポキシ樹脂としたことにより、熱電モジュール1内への水分の侵入を防止すると共に、シール部材9の吸熱側基板2や放熱側基板3からの剥がれやシール部材9自身の破壊がなく、熱電モジュールの信頼性を向上することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、ペルチェ効果を有する熱電モジュールに関するものである。
近年、フロンガスの大気放出によるオゾン層破壊や温暖化が地球的な問題となり、フロンガスを使用しない冷温機の開発が急がれている。そしてフロンガスを使用しない方式の一つとして、熱電素子を用いた熱電モジュールが注目されている。
ここで熱電モジュールとは、ペルチェ(Peltier)モジュール、サーモモジュール又は熱電素子として知られているものであり、二つの伝熱面を有し、電流を流すことにより一方の伝熱面が加熱され、他方の伝熱面が冷却される機能を持つ部材である。すなわち熱電モジュールでは、一方の面が放熱面として機能し、他方が吸熱面として機能する(例えば、特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら上記従来例の熱電モジュールを説明する。
図3は従来の熱電モジュールの断面図である。熱電モジュール21は吸熱側基板22と放熱側基板23と前記吸熱側基板22と前記放熱側基板23の間に熱電素子24を複数個配置しており、この熱電モジュール21の吸熱側基板22と放熱側基板23間をシール材25でシールした構造となっている。前記シール材25でシールすることにより、雰囲気中から熱電モジュール21内への水分の侵入を防止している。
次に、上記熱電モジュール21に通電した場合の状態について説明する。
図4は熱電モジュール21に通電した場合の側面図である。前記熱電モジュール21に通電すると、熱電素子24の加熱端が加熱され、放熱側基板23の温度が上昇する。一方、吸熱端は冷却され、吸熱側基板22の温度が低下する。このため、前記放熱側基板23は熱膨張し、前記吸熱側基板22は熱収縮することとなり、双方の相反する熱変形によって図4に示す如く熱電モジュール21全体が湾曲する。
ここで、シール材25も吸熱側基板22や放熱側基板23の熱変形に合わせて伸縮しなければ、シール材25が前記吸熱側基板22や前記放熱側基板23から剥離する、あるいはシール材25が破壊される問題がある。このため、一般的には、柔軟性があるシリコーンゴム等がシール材25として用いられている。
特開2000−286460号公報
しかしながら、上記従来の構成は、シール材25にシリコーンゴムを用いているため、熱電モジュール21内への防水効果はあるが、水蒸気の透過率が比較的大きいため、熱電モジュール21内部に侵入した水蒸気が熱電素子24の冷却端で結露し、熱電素子24の劣化やハンダの腐食が起こり、信頼性が低いという課題があった。
上記従来の課題を解決するために、本発明の熱電モジュールは、吸熱側基板と、放熱側基板と、前記吸熱側基板と前記放熱側基板の間に配接された複数個の熱電素子と、前記吸熱側基板と前記放熱側基板の間をシールするシール部材とからなり、前記シール部材を、柔軟性をもった水分透過率の小さい熱硬化性合成樹脂としたものである。
これによって、放熱側基板の膨張や吸熱側基板の収縮に合わせてシール部材が伸縮するため、シール部材が、放熱側基板や吸熱側基板から剥離、あるいは破壊されることはなく、熱電モジュールの信頼性が確保できる。
また、隣り合う熱電素子は、それぞれの放熱面が前記放熱側基板に、それぞれの吸熱面が前記吸熱側基板に伝熱的に固定されており、前記シール部材は、前記放熱側基板および吸熱側基板の周縁に設けられ、両基板間空間を閉塞空間とし、また、前記シール部材を、前記放熱側基板の熱膨張及び前記吸熱側基板の熱収縮による基板の熱変形に追従する柔軟性をもったエポキシ樹脂としたものである。
これにより、エポキシ樹脂は水蒸気の透過率も小さいため、熱電モジュール内部への水分の侵入を抑え、熱電モジュールの信頼性を一層向上することができる。
本発明の熱電モジュールは、熱電素子の放熱、吸熱作用に伴う熱変形に追従してシール部材も弾性変形し、その結果、シール機能が維持でき、熱電モジュールの信頼性を向上することができる。
また、シール部材をエポキシ樹脂とすることにより、水分の透過が抑制でき、過酷な環境条件にも対応可能な熱電モジュールを提供することができる。
請求項1に記載の発明は、吸熱側基板と、放熱側基板と、前記吸熱側基板と前記放熱側基板の間に配接された複数個の熱電素子と、前記吸熱側基板と前記放熱側基板の間をシールするシール部材とからなり、前記シール部材を、柔軟性をもった水分透過率の小さい熱硬化性合成樹脂としたもので、放熱側基板と吸熱側基板の相反する熱変形に追従してシール部材も伸縮変形し、シール部材の放熱側基板、吸熱側基板からの剥離、シール部材の破壊による熱電モジュールの機密性損失の予防がはかれる。
請求項2に記載の発明は、隣り合う熱電素子のそれぞれの放熱面を前記放熱側基板に、それぞれの吸熱面を前記吸熱側基板に伝熱的に固定しており、また前記シール部材を、前記放熱側基板および吸熱側基板の周縁に設けることにより、両基板間空間を閉塞空間とし、また、前記シール部材を、前記放熱側基板の熱膨張及び前記吸熱側基板の熱収縮による基板の熱変形に追従する柔軟性をもったエポキシ樹脂としたもので、熱電モジュールの防湿性能(湿度に対する防御性能)を高め、熱電モジュールの信頼性が向上する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1において、1は熱電モジュールで、主要構成要素として吸熱側基板2と、放熱側基板3、および前記吸熱側基板2と前記放熱側基板3の間に配置された複数個の熱電素子4を具備している。前記吸熱側基板2および放熱側基板3は、電気絶縁材であるセラミックからなり、適度な形および大きさ(面積)に形成されている。前記吸熱側基板2および放熱側基板3は、セラミックに限らず同様の性質を備えている材料であればよく、窒化アルミニュウム板等であってもよい。
図1において、1は熱電モジュールで、主要構成要素として吸熱側基板2と、放熱側基板3、および前記吸熱側基板2と前記放熱側基板3の間に配置された複数個の熱電素子4を具備している。前記吸熱側基板2および放熱側基板3は、電気絶縁材であるセラミックからなり、適度な形および大きさ(面積)に形成されている。前記吸熱側基板2および放熱側基板3は、セラミックに限らず同様の性質を備えている材料であればよく、窒化アルミニュウム板等であってもよい。
また、前記各熱電素子4は、周知の如く加熱端(極)4aと吸熱端(極)4bを具備しており、前段から後段にわたって相互の各加熱端(極)4aが電極板(銅板)5にて電気的に接続され、同様に前段から後段にわたって相互の各吸熱端(極)4bも電極板(銅板)6にて電気的に接続されている。そして、最先端の吸熱端(極)4bおよび最終端の加熱端(極)4aには、それぞれリード線7・8が接続されている。9は前記熱電モジュール1の外周縁に設けられたシール材で、前記吸熱側基板2と放熱側基板3の間をシールしている。その結果、前記吸熱側基板2と前記放熱側基板3の間の空間は、前記熱電モジュール1を含んだ密封空間となっている。
ここで、前記シール材9は、周知の如くかなりの伸縮性を有する性質のエポキシ樹脂が用いられている。このエポキシ樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業株式会社製EPICLON EXA−4850−150やEPICLON EXA−4850−1000が挙げられる。これらは、柔軟性を持つと共に、BPA型エポキシ樹脂の2倍以上の接着強度があり、また水分透過率も低いことから、シール材としてより望ましいものである。
次に、以上のように構成された熱電モジュール1に通電した場合について説明する。
図2は前記熱電モジュール1に通電した場合の側面図である。
同図において、リード線7・8間に電圧を印加し、熱電モジュール1に通電すると、熱電素子4の加熱端4aが加熱され、放熱側基板3の温度が上昇する。一方、吸熱端4bは冷却され、吸熱側基板2の温度が低下する。このため、放熱側基板3は熱膨張し、吸熱側基板2は熱収縮する。
したがって、熱電モジュール1は、図2の如く放熱側基板3が張り出すように湾曲する。ここで、シール材9も吸熱側基板2や放熱側基板3の伸縮に追従して伸縮するため、放熱側基板3や吸熱側基板2から剥離したり、シール材9が破壊されることはない。また、特にエポキシ樹脂は、水蒸気の透過率も小さいため、熱電モジュール1内部への水分の浸透を抑えるため、過酷な湿度環境にも耐えることができ、信頼性が向上する。
本発明にかかる熱電モジュールは、シール機能が維持でき、熱電モジュール単品の信頼性を向上することができ、熱電モジュールの適用製品の信頼性向上にも有効に寄与することができる。
1 熱電モジュール
2 吸熱側基板
3 放熱側基板
4 熱電素子
9 シール材
2 吸熱側基板
3 放熱側基板
4 熱電素子
9 シール材
Claims (2)
- 吸熱側基板と、放熱側基板と、前記吸熱側基板と前記放熱側基板の間に配接された複数個の熱電素子と、前記吸熱側基板と前記放熱側基板の間をシールするシール部材とからなり、前記シール部材を、柔軟性をもった水分透過率の小さい熱硬化性合成樹脂とした熱電モジュール。
- 隣り合う熱電素子は、それぞれの放熱面が前記放熱側基板に、それぞれの吸熱面が前記吸熱側基板に伝熱的に固定されており、前記シール部材は、前記放熱側基板および吸熱側基板の周縁に設けられ、両基板間空間を閉塞空間とし、また、前記シール部材を、前記放熱側基板の熱膨張及び前記吸熱側基板の熱収縮による基板の熱変形に追従する柔軟性をもったエポキシ樹脂とした請求項1記載の熱電モジュール。
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