JP2005298915A - 表面処理方法、装飾品および時計 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた外観を有し、汚れ等が付着した場合であっても審美性の低下が少なく、かつ、耐久性に優れた装飾品を提供することができる表面処理方法を提供すること、前記表面処理方法を用いて製造される装飾品を提供すること、また、前記装飾品を備えた時計を提供すること。
【解決手段】 本発明の表面処理方法は、部材1の表面付近(1a)に存在する不要部9を除去し基材2を得る不要部除去工程(1b)と、基材2の表面に被覆部形成用液体8を付与する被覆部形成用液体付与工程(1c)と、基材2の表面に付与された被覆部形成用液体8に含まれる液状媒体を除去することにより、透明性を有する材料で構成された複数個の被覆部3を多点状に形成し、装飾品10を得る工程(1d)とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面処理方法、装飾品および時計に関する。
腕時計の外装ケース等の装飾品を構成する金属材料としては、従来から、ステンレス鋼、黄銅、洋白、その他の各種金属が用いられてきた。
近年、装飾品を構成する金属材料として、Tiが注目されている。このTiは、軽量、高耐食性、高強度であり、また、耐金属アレルギー素材であるという利点がある。
しかしながら、TiやTi合金を装飾品に用いた場合には、以下のような問題点がある。
すなわち、上記のような利点を有する一方で、皮脂等の汚れ等が付着し易く、このような汚れ等が付着した場合、他の材料に比べて装飾品の外観に与える影響が大きく(いわゆる、ギラツキ等を生じ易く)、その審美性を著しく損なうことがある。また、TiやTi合金で構成された装飾品においては、一旦、汚れが付着してしまった場合に、装飾品の外観に与える影響が実質的になくなる程度に、付着した汚れを除去するのが、他の材料で構成されたものに比べて困難である。
上記のような問題を解決する目的で、Tiの表面に、保護被膜を形成した時計ケースが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような装飾品では、汚れ等の付着による装飾品の外観の変化を抑制することはできるものの、透明保護層がTiの全面に設けられているため、装飾品そのものの外観(汚れが付着していない状態での外観)を損なってしまい、特に、装飾品に求められる高級感を損なってしまうという問題点であった。より詳しく説明すると、透明保護層がTiの全面に形成されることにより、装飾品全体が、重厚感のある金属光沢とは異なる、安っぽい照りがでてしまったり、濡れ現象で装飾品が黒っぽく見えてしまう等の問題があった。また、このような装飾品では、衝撃が加わった際等に、透明保護膜にクラックが発生したり、透明保護膜が剥離、脱落する場合があった。また、上記のようなクラック等が発生すると、装飾品の外観を著しく損なうばかりでなく、それに伴い発生した空隙に、汚れ、水分等が浸入、残存し易くなり、Tiの腐食等が進行し易くなってしまう。
実開昭63−11563号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、優れた外観を有し、汚れ等が付着した場合であっても審美性の低下が少なく、かつ、耐久性に優れた装飾品を提供することができる表面処理方法を提供すること、前記表面処理方法を用いて製造される装飾品を提供すること、また、前記装飾品を備えた時計を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の表面処理方法は、少なくとも表面付近が、主としてTiまたはTi合金で構成された基材の表面に、透明性を有する材料で構成された複数個の被覆部を、多点状に形成することを特徴とする。
これにより、優れた外観を有し、汚れ等が付着した場合であっても審美性の低下が少なく、かつ、耐久性に優れた装飾品を提供することができる表面処理方法を提供することができる。
本発明の表面処理方法では、前記被覆部は、平面視したときの1個当たりの面積が75〜2000μmであることが好ましい。
これにより、装飾品に衝撃が加わった際等に、被覆部にクラックを生じたり、被覆部が剥離、脱落するのをより効果的に防止することができる。また、装飾品の審美性をさらに向上させることができるとともに、装飾品の表面に皮脂等の汚れが付着することによる装飾品の美的外観の低下をより効果的に防止することができる。また、装飾品の触感を特に優れたものとすることができる。
本発明の表面処理方法では、前記被覆部は、平面視したときの形状が略円形であることが好ましい。
これにより、装飾品に衝撃が加わった際等に、被覆部にクラックを生じたり、被覆部が剥離、脱落するのをより効果的に防止することができる。また、装飾品の審美性をさらに向上させることができるとともに、装飾品の表面に皮脂等の汚れが付着することによる装飾品の美的外観の低下をより効果的に防止することができる。また、装飾品の触感を特に優れたものとすることができる。
本発明の表面処理方法では、前記被覆部の直径の平均値は、10〜50μmであることが好ましい。
これにより、装飾品に衝撃が加わった際等に、被覆部にクラックを生じたり、被覆部が剥離、脱落するのをより効果的に防止することができる。また、装飾品の審美性をさらに向上させることができるとともに、装飾品の表面に皮脂等の汚れが付着することによる装飾品の美的外観の低下をより効果的に防止することができる。また、装飾品の触感を特に優れたものとすることができる。
本発明の表面処理方法では、前記被覆部の直径の平均値をD[μm]、隣接する前記被覆部同士の中心間距離の平均値をP[μm]としたとき、0.2≦D/P≦1.0の関係を満足することが好ましい。
これにより、装飾品に衝撃が加わった際等に、被覆部にクラックを生じたり、被覆部が剥離、脱落するのをより効果的に防止することができる。また、装飾品の審美性をさらに向上させることができるとともに、装飾品の表面に皮脂等の汚れが付着することによる装飾品の美的外観の低下をより効果的に防止することができる。また、装飾品の触感を特に優れたものとすることができる。
本発明の表面処理方法では、隣接する前記被覆部同士の中心間距離の平均値は、20〜100μmであることが好ましい。
これにより、装飾品に衝撃が加わった際等に、被覆部にクラックを生じたり、被覆部が剥離、脱落するのをより効果的に防止することができる。また、装飾品の審美性をさらに向上させることができるとともに、装飾品の表面に皮脂等の汚れが付着することによる装飾品の美的外観の低下をより効果的に防止することができる。また、装飾品の触感を特に優れたものとすることができる。
本発明の表面処理方法では、前記基材の前記被覆部が設けられている側の面の面積をS[μm]、前記被覆部により被覆されている部位の総面積をS[μm]としたとき、0.2≦S/S≦0.6の関係を満足することが好ましい。
これにより、装飾品に衝撃が加わった際等に、被覆部にクラックを生じたり、被覆部が剥離、脱落するのをより効果的に防止することができる。また、装飾品の審美性をさらに向上させることができるとともに、装飾品の表面に皮脂等の汚れが付着することによる装飾品の美的外観の低下をより効果的に防止することができる。また、装飾品の触感を特に優れたものとすることができる。
本発明の表面処理方法では、前記被覆部は、主としてガラスで構成されたものであることが好ましい。
これにより、装飾品の外観、触感、耐擦傷性、耐久性等を特に優れたものとすることができ、また、汚れの付着による審美性の低下をより生じ難いものとすることができる。また、好適な形状の被覆部を比較的容易に形成することができる。
本発明の表面処理方法では、前記被覆部の構成材料またはその前駆体を含む液体を、前記基材の表面に塗布し、その後、前記液体を固化させることにより、前記被覆部を形成することが好ましい。
これにより、好適な形状の被覆部を容易かつ確実に形成することができる。
本発明の表面処理方法では、前記液体は、前記被覆部の構成材料またはその前駆体を、固形成分として含むものであることが好ましい。
これにより、好適な形状の被覆部を容易かつ確実に形成することができる。
本発明の表面処理方法では、前記固形成分の平均粒径は、0.1〜3μmであることが好ましい。
これにより、好適な形状の被覆部を容易かつ確実に形成することができる。
本発明の表面処理方法では、前記液体中における前記固形成分の含有率は、0.1〜40wt%であることが好ましい。
これにより、好適な形状の被覆部を容易かつ確実に形成することができる。
本発明の表面処理方法では、前記液体の25℃における粘度は、100〜600cpsであることが好ましい。
これにより、好適な形状の被覆部を容易かつ確実に形成することができる。
本発明の表面処理方法では、前記被覆部の高さは、0.5〜2.0μmであることが好ましい。
これにより、装飾品の外観、触感、耐擦傷性、耐久性等を特に優れたものとすることができ、また、汚れの付着による審美性の低下をより生じ難いものとすることができる。
本発明の装飾品は、本発明の方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、優れた外観を有し、汚れ等が付着した場合であっても審美性の低下が少なく、かつ、耐久性に優れた装飾品を提供することができる。
本発明の装飾品は、時計用外装部品であることが好ましい。
時計用外装部品は、装飾品として外観の美しさが要求されるとともに、実用品として、耐久性、耐食性、耐摩耗性や、優れた触感等が要求されるが、本発明によればこれらの要件を全て満足することができる。したがって、本発明は、時計用外装部品に好適に適用することができる。
本発明の時計は、本発明の装飾品を備えたことを特徴とする。
これにより、優れた外観を有し、汚れ等が付着した場合であっても審美性の低下が少なく、かつ、耐久性に優れた時計を提供することができる。
本発明によれば、優れた外観を有し、汚れ等が付着した場合であっても審美性の低下が少なく、かつ、耐久性に優れた装飾品を提供することができる表面処理方法を提供すること、前記表面処理方法を用いて製造される装飾品を提供すること、また、前記装飾品を備えた時計を提供することができる。
以下、本発明の表面処理方法、装飾品および時計の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の表面処理方法の好適な実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の表面処理方法は、部材1の表面付近(1a)に存在する不要部9を除去し基材2を得る不要部除去工程(1b)と、基材2の表面に被覆部形成用液体8を付与する被覆部形成用液体付与工程(1c)と、基材2の表面に付与された被覆部形成用液体8に含まれる液状媒体を除去することにより、固体状の被覆部3を形成し、装飾品10を得る工程(1d)とを有する。
[部材]
部材1は、少なくともその表面付近に、主としてTiまたはTi合金で構成された領域を有するものである(1a)。Ti合金は、少なくともTiを含む合金であればよいが、Tiが主成分の合金(好ましくは、構成元素の中でTiの含有率(原子%としての含有率)が最も大きい合金、より好ましくは、Tiの含有率が50原子%以上の合金)であるのが好ましい。これにより、Tiの優れた特性(特に、装飾品として求められる、美的外観、硬度等の特性)をより効果的に発揮することができる。Tiと合金(または金属間化合物)化する金属としては、例えば、Al、V、Mo、W、Fe、Co、Cr、Cu、Ag、Pt、Pd、Zn等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、Tiと合金化する元素は、1種であっても2種以上であってもよい。
本実施形態では、後述するような不要部除去工程において、不要部9が除去されることにより得られる基材2の表面付近が、主としてTiまたはTi合金で構成されたものとなるように、部材1は、不要部9の内面側に、主としてTiまたはTi合金で構成された領域を有している。
部材1は、不要部9を除く部分(基材2に対応する部分)について、各部位で実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、部位によって組成の異なるものであってもよい。例えば、部材1の不要部9を除く部分(基材2に対応する部分)は、主としてTi、Ti合金以外の材料で構成された基部と、該基部上に設けられた表面層を有するものであってもよい。このような場合、表面層(後述する被覆部3が形成されるべき部位)が主としてTiまたはTi合金で構成されたものであればよい。部材1がこのような構成のものであると、基部の構成材料の選択により、例えば、部材1の成形の自由度を増すことができ、より複雑な形状の装飾品10であっても、比較的容易に製造することができる。部材1が基部と表面層とを有するものである場合、表面層の厚さ(平均値)は、特に限定されないが、0.5〜30μmであるのが好ましく、1.0〜10μmであるのがより好ましい。表面層の厚さが前記範囲内の値であると、最終的な装飾品10において、Ti、Ti合金が有する優れた美的外観(高級感、重厚感等)をより効果的に発揮させることができるとともに、表面層の基部からの不本意な剥離等をより確実に防止することができ、装飾品10の耐久性、信頼性を特に優れたものとすることができる。
部材1が基部と表面層とを有するものである場合、基部の構成材料としては、例えば、金属材料、非金属材料等を用いることができる。
基部が金属材料で構成される場合、特に優れた強度特性を有する装飾品10を提供することができる。
また、基部が金属材料で構成される場合、基部の表面粗さが比較的大きい場合であっても、表面層を形成する際のレベリング効果により、部材1(基材2)の表面粗さを比較的小さいものとすることができる。例えば、基部の表面に対する切削加工、研磨加工などによる機械加工を省略しても、鏡面仕上げを行うことが可能となったり、基部がMIM法により成形されたもので、その表面が梨地面である場合でも、容易に鏡面にすることができる。これにより、光沢に優れた装飾品を得ることができる。
基部が非金属材料で構成される場合、比較的軽量で携帯し易く、かつ、重厚な外観を有する装飾品10を提供することができる。
また、基部が非金属材料で構成される場合、比較的容易に、所望の形状に成形することができる。
また、基部が非金属材料で構成される場合、電磁ノイズを遮蔽する効果も得られる。
基部を構成する金属材料としては、例えば、Fe、Cu、Zn、Ni、Ti、Mg、Cr、Mn、Mo、Nb、Al、V、Zr、Sn、Au、Pd、Pt、Ag等の各種金属や、これらのうち少なくとも1種を含む合金等が挙げられる。この中でも特に、Cu、Zn、Ni、Ti、Alまたはこれらのうち少なくとも1種を含む合金が好ましい。基部が前述したような材料で構成されることにより、基部と、表面層との密着性を特に優れたものとすることができるとともに、基部の加工性が向上し、部材1(基材2)全体としての成形の自由度がさらに増す。
また、基部を構成する非金属材料としては、例えば、セラミックス、プラスチック(特に耐熱性プラスチック)、石材、木材等が挙げられる。
セラミックスとしては、例えば、Al、SiO、TiO、Ti、ZrO、Y、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の酸化物系セラミックス、AlN、Si、SiN、TiN、BN、ZrN、HfN、VN、TaN、NbN、CrN、CrN等の窒化物系セラミックス、グラファイト、SiC、ZrC、Al、CaC、WC、TiC、HfC、VC、TaC、NbC等の炭化物系のセラミックス、ZrB、MoB等のホウ化物系のセラミックス、あるいは、これらのうちの2以上を任意に組み合わせた複合セラミックスが挙げられる。
基部が前記のようなセラミックスで構成される場合、特に優れた強度、硬度を有する装飾品10を得ることができる。
また、基部を構成するプラスチック材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂が挙げられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリパラキシリレン(poly-para-xylylene)、ポリモノクロロパラキシリレン(poly-monochloro-para-xylylene)、ポリジクロロパラキシリレン(poly-dichloro-para-xylylene)、ポリモノフルオロパラキシリレン(poly-monofluoro-para-xylylene)、ポリモノエチルパラキシリレン(poly-monoethyl-para-xylylene)等のポリパラキシリレン樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。
また、部材1は、いかなる方法で製造(成形)されたものであってもよい。部材1の製造方法としては、例えば、プレス加工、切削加工、鍛造加工、鋳造加工、粉末冶金焼結、金属粉末射出成形(MIM)、ロストワックス法等が挙げられる。この中でも特に、鋳造加工または金属粉末射出成形(MIM)が好ましい。鋳造加工、金属粉末射出成形(MIM)は、特に、加工性に優れている。このため、これらの方法を用いた場合、複雑な形状の部材1を比較的容易に得ることができる。
また、部材1が基部と表面層(TiまたはTi合金で構成された表面層)とを有するものである場合、表面層は、例えば、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式めっき法、溶射、金属箔の接合等の方法により形成することができる。
また、基部の製造方法(成形方法)は、特に限定されないが、その構成材料等により、以下のような方法を好適に用いることができる。
すなわち、基部が金属材料で構成される場合、その製造方法としては、例えば、プレス加工、切削加工、鍛造加工、鋳造加工、粉末冶金焼結、金属粉末射出成形(MIM)、ロストワックス法等が挙げられる。この中でも特に、鋳造加工または金属粉末射出成形(MIM)が好ましい。鋳造加工、金属粉末射出成形(MIM)は、特に、加工性に優れている。このため、これらの方法を用いた場合、複雑な形状の部材1を比較的容易に得ることができる。
また、基部が前記のようなセラミックスで構成される場合、その製造方法は、特に限定されないが、金属粉末射出成形(MIM)であるのが好ましい。金属粉末射出成形(MIM)は、特に、加工性に優れているため、複雑な形状の部材1を比較的容易に得ることができる。
また、基部が前記のようなプラスチックで構成される場合、その製造方法としては、例えば、圧縮成形、押出成形、射出成形、光造形等が挙げられる。
また、部材1(基材2)の形状、大きさは、特に限定されず、通常、装飾品10の形状、大きさに基づいて決定される。
[不要部除去工程]
本実施形態において、部材1は、少なくとも表面付近が主としてTiまたはTi合金で構成され、所定形状を有する母材に、ホーニング加工、スジ目加工、鏡面加工等の機械的加工を施すことにより得られたものである(1a)。一般に、上記のような加工が施された部材1は、その表面に、不要部9が形成されることが多い。不要部9は、通常、前記母材の構成材料の酸化物や、成形型に付着していた汚れ、上記加工に用いる工具に付着していた汚れ等で構成されている。また、例えば、部材1が金属粉末射出成形(MIM)法で製造されたものである場合には、不要部9は、MIM法において用いられる射出物の構成成分としての有機バインダーやその分解物等を含む場合もある。本実施形態においては、後述する被覆部形成用液体付与工程に先立ち、不要部9を除去し、少なくともその表面付近が主としてTiまたはTi合金で構成された基材2を得る(1b)。このように本発明においては、被覆部形成用液体付与工程に先立ち不要部を除去するのが好ましい。すなわち、本発明においては、上記のような部材をそのまま基材として用いてもよいが、不要部が除去された基材を用いるのが好ましい。これにより、基材と被覆部(後述するような形状、組成を有する被覆部)との密着性を特に優れたものとすることができる。また、不要部を除去することにより、基材と被覆部形成用液体との濡れ性(接触角)を好適なものとすることができ、最適な大きさ、形状の被覆部を容易かつ確実に形成することができる。
不要部除去工程は、いかなる方法で行うものであってもよいが、具体的な方法としては、例えば、<1>エッチング処理液を用いた化学研磨、<2>電解研磨、<3>洗浄(例えば、水洗(水洗浄)、アルカリ洗浄、酸洗浄、有機溶剤洗浄等)が挙げられる。以下、これらの方法について順次説明する。なお、図示の構成では、不要部9は、部材1の全面に形成されているが、本工程は、表面の一部に不要部9を有する部材1に対して行うものであってもよい。
<1>エッチング処理液を用いた化学研磨
部材1とエッチング処理液とを接触させることにより、部材1の表面に化学研磨を施す。部材1とエッチング処理液とを接触させる方法としては、例えば、エッチング液中への部材1の浸漬、部材1の表面へのエッチング液の噴霧等が挙げられる。
化学研磨の条件(例えば、エッチング処理液の組成、温度、エッチング液と部材との接触時間(浸漬時間)等)は、特に限定されないが、その好適例を以下に説明する。
エッチング処理液としては、例えば、HF、HNOおよびHSOを含む混合液を好適に用いることができる。例えば、HFとHNOとの混合液を用いることもできるが、さらにHSOを含むことにより、基材2の表面の荒れ等をより効果的に防止しつつ、得られる基材2の更なる白色化を図ることができる。
特に、エッチング処理液は、HF:1〜10vol%、HNO:15〜40vol%、HSO:30〜60vol%を含む水溶液であるのが好ましい。このような組成範囲(以下「最適範囲」と言う)とすることにより、比較的短い処理時間で、すなわち高い生産性で、基材2の表面の荒れ等をより効果的に防止しつつ、得られる基材2の更なる白色化を図ることができ、より優れた光沢を引き出すことができる。
エッチング処理液中に、HF、HNOの少なくとも一方が存在しないかまたは極めて少ないと、エッチングが実質的に進行しないかまたはその進行が遅い。HFが1vol%未満またはHNOが15vol%未満であると、エッチング処理効果が少なく、処理時間が長くなる傾向を示す。
逆に、HFが10vol%を超えるかまたはHNOが40vol%を超えると、処理温度等によっては、表面荒れが生じ易くなる。HSOが30vol%未満の場合も、処理温度等によっては、表面荒れが生じ易くなり、HSOが60vol%を超えると、エッチング処理効果が低下する傾向を示す。
特に、鏡面加工が施された部材1の場合には、表面荒れの影響が大きいので、この場合には、エッチング処理液の組成は、HF:1〜5vol%、HNO:15〜35vol%、HSO:40〜60vol%とすることがより好ましい。
エッチング処理液の具体例としては、市販の45〜50vol%のHF(フッ化水素酸)を5vol%、市販の60〜70vol%のHNO(硝酸)を45vol%、市販の98vol%のHSO(濃硫酸)を50vol%混合した液が挙げられる。このエッチング処理液の組成は、HF:2.25〜2.5vol%、HNO:27〜31.5vol%、HSO:49vol%、残部が水となり、組成の最適範囲を満足する。このようなエッチング処理液に、部材1を、例えば、5〜60秒間程度浸漬することにより、好適に化学研磨処理することができる。
なお、本発明において行われる化学研磨の条件(例えば、エッチング処理液の組成等)は、上記のようなものに限定されるものではない。
<2>電解研磨
部材1に電解研磨を施す。この電解研磨は、電解液中で部材1を陽極として電解処理し、部材1の表面付近を溶解(陽極溶解)せしめることによりなされる。
この方法によれば、不要部9をより確実に除去することができるとともに、得られる基材2の表面(不要部9が存在した側の面)をより効果的に均質化することができ、基材2と被覆部3との密着力を特に優れたものとすることができる。その結果、最終的に得られる装飾品10は、特に優れた美的外観、耐久性を有するものとなる。
電解研磨の条件(例えば、電解液(電解処理液)の組成、温度、電流密度、処理時間等)は、特に限定されないが、その好適例を以下に説明する。
電解液としては、例えば、HPO(リン酸)を含むものを好適に用いることができる。HPOを含む電解液は、特に、主としてTiまたはTi合金で構成された部材1に対する電解処理に適し、処理後の表面性状を特に良好なものとすることができる。
このような場合、電解液中のHPOの濃度は、8〜12vol%であるのが好ましい。電解液中のHPOの濃度が低すぎると、研磨力が低下し、不要部9の除去を効率良く行うのが困難となる。一方、電解液中のHPOの濃度が高すぎると、電解液の研磨力が高くなり過ぎ、得られる基材2は変色し易いものなる。
また、電解液のpHは、特に限定されないが、通常、1.0〜1.2程度が好ましく、1.05〜1.1程度がより好ましい。
電解液の液温は、特に限定されず、例えば、25〜30℃程度とすることができる。
電解処理時間は、特に限定されず、電解液の組成や電流密度等の条件に応じて適宜決定されるが、通常、3秒〜2分程度が好ましく、5秒〜1分程度がより好ましい。電解処理時間が短過ぎると、電解液の組成や電流密度等の条件によっては、十分な電解研磨がなされず、不要部9を十分に除去することが困難になる場合がある。一方、電解処理時間が長過ぎると、基材2、装飾品10の生産性を低下させる。また、電解処理時間を前記上限値より長くしても、上記のような効果の更なる向上はほとんど望めない。
また、電解研磨において、陽極の電流密度は、特に限定されないが、0.5〜10A/cm程度とするのが好ましく、1〜5A/cm程度とするのがより好ましい。この電流密度が低すぎると、短時間では十分な電解研磨を行うことが困難となり、基材2、装飾品10の生産性が低下する。一方、電流密度が高すぎると、電解研磨処理時間等によっては、陽極酸化の作用により基材2の表面(不要部9が存在した側の面)が変色(特に、黄変)し、最終的に得られる装飾品10において十分な白色度が得られない場合がある。
なお、本発明において行われる電解研磨の条件(例えば、電解液の組成、pH、温度、電流密度等)は、上記のようなものに限定されるものではない。
<3>洗浄
洗浄としては、酸洗浄(酸洗)、アルカリ洗浄(アルカリ脱脂、酸中和処理等を含む)、水洗(水洗浄)、温水洗、高圧水蒸気洗浄や、アルコール等の有機溶媒(有機溶剤)による洗浄、オイル洗浄が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を適宜組み合わせて行うことができる。
このような場合、前記酸洗における酸洗液としては、例えば、硫酸3〜5vol%程度のものが好適に使用され、前記アルカリ洗におけるアルカリ洗液としては、例えば、ディプソール41C(ディプソール社製)3.5〜5vol%程度のものが好適に使用される。
また、洗浄の方法は、特に限定されず、例えば、シャワー洗浄、ジェット洗浄、超音波洗浄、精密洗浄、あるいは、単なる洗浄液への浸漬や、撹拌を伴う洗浄液への浸漬等、いかなるものでもよい。
洗浄液の温度も、特に限定されず、常温(15℃)程度から100℃程度の高温洗浄まで、いかなるものでもよい。
<4>前記<1>〜<3>の組み合わせ
前記<1>〜<3>の処理を任意の順序で任意の回数組み合わせて行うことができる。
例えば、<1>または<2>を実施した後、<3>を行うことができ、これにより、得られる基材2の表面の性状をより良好にすること、またはより清浄にすることができる。
このような異なる種類の処理を併用することで、得られる基材2の表面の性状を微妙に調整することが可能となり、それにより、例えば後述する被覆部3との密着性の更なる向上を図ることができる。
[被覆部形成用液体付与工程]
上記のような基材2に対して、被覆部形成用液体8を付与する(1c)。
被覆部形成用液体8は、後述する被覆部3の構成材料またはその前駆体(前駆物質)を含む材料で構成されている。被覆部3は、透明性を有する材料で構成されるものであればいかなるものであってもよいが、被覆部3の構成材料としては、例えば、ソーダガラス、カリウムガラス等のアルカリガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス等の各種ガラス、酸化アルミニウム、酸化シリコン等の各種無機材料、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等の各種樹脂材料(各種有機材料)や、これらの複合材料等が挙げられる。したがって、被覆部3が主としてガラスで構成されるものである場合には、被覆部形成用液体8は、ガラスまたはガラスの前駆体(例えば、アルカリ珪酸塩等)を含む材料で構成されるものであり、樹脂材料で構成されるものである場合、被覆部形成用液体8は、前記樹脂材料または前記樹脂材料の前駆体(例えば、前記樹脂のモノマー、ダイマー、トリマー、オリゴマー、プレポリマー等)を含む材料で構成されるものである。
なお、本明細書中において、「透明性」とは、可視光領域(380〜770nm)の任意の波長の光が所定の割合で透過可能な状態のことを指すが、具体的には、可視光領域(380〜770nm)の波長の光についての透過率が30%以上であるのが好ましく、50%以上であるのがより好ましい。また、本発明においては、最終的に形成される被覆部が透明性を有するものであればよく、その形成に用いる被覆部形成用液体は、透明性を有していなくてもよい。
また、被覆部3は、透明性を有するものであれば特に限定されないが、後述するように、主としてガラスで構成されるものであるのが好ましい。したがって、以下の説明では、特に断りがない限り、形成すべき被覆部3が主としてガラスで構成されるものであり、被覆部形成用液体8としてガラスまたはガラスの前駆体を含む材料で構成されるものを用いるものとして説明する。
被覆部形成用液体8を基材2上に付与する方法としては、例えば、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装、ディッピング(浸漬法)等の塗布法、スクリーン印刷、たこ印刷、オフセット印刷等が挙げられるが、この中でも、噴霧塗装、静電塗装が好ましい。これにより、基材2への被覆部形成用液体8の付与量の調節を容易かつ確実に行うことができる。
被覆部形成用液体8は、後述する被覆部3の形状に対応する形状(多点状)に、基材2の表面に付与してもよいし(図1参照)、基材2のほぼ全面(被覆部3を形成すべき面側のほぼ全面)に付与してもよい。また、例えば、基材2の特性(特に、撥液性等の表面特性)、被覆部形成用液体8の特性(特に、粘度、凝集力等の特性)を積極的に利用することにより、基材2上において被覆部形成用液体8が多点状に存在するようにしてもよい。より具体的には、例えば、ディッピング等の方法により、基材2のほぼ全面に被覆部形成用液体8を接触させ、その後当該被覆部形成用液体8を凝集させることにより、基材2上において、被覆部形成用液体8が多点状に存在するようにしてもよい。このような方法を採用することにより、所望の形状(大きさ、被覆率等も含む)の被覆部3を、より容易に形成することができる。特に、部材1(基材2)としてホーニング加工、スジ目加工が施されたものを用いた場合、基材2の被覆部3を形成すべき面側のほぼ全体に被覆部形成用液体8を接触させても、基材2の表面の凹部内およびその周辺に、優先的に被覆部形成用液体8を付与することができる。その結果、後に詳述する被覆部形成用液体固化工程において、比較的容易に、基材2の表面形状に対応したパターンで配された多数の被覆部3を形成することができる。
被覆部形成用液体8としては、例えば、被覆部3の構成材料としてのガラスまたはガラスの前駆体が分散した液体(分散液)や、ガラスの前駆体が溶解または分散した液体等を用いることができるが、被覆部3の構成材料としてのガラスまたはガラスの前駆体が分散した液体(分散液)を用いるのが好ましい。これにより、後述する被覆部形成用液体固化工程において、ガラスまたはガラスの前駆体を核として凝縮させることができ、より好適な形状の被覆部(より多点状で、均一な大きさの被覆部)をより確実に形成することができる。また、被覆部形成用液体固化工程後におけるガラス質の結晶状態をより均一性の高いものとすることができる。
被覆部形成用液体8がガラスの粒子を含むものである場合(被覆部形成用液体8としてガラスが分散している分散液を用いる場合)、ガラス粒子の平均粒径は、0.1〜3μmであるのが好ましく、0.5〜2μmであるのがより好ましい。これにより、後述する被覆部形成用液体固化工程において、多点状で、均一な大きさの被覆部をより確実に形成することができる。特に、各部位での大きさ、形状のばらつきの小さい被覆部を容易かつ確実に形成することができる。
被覆部形成用液体8は、ガラスまたはガラスの前駆体(被覆部3の構成材料またはその前駆体)以外の成分を含むものであってもよい。例えば、被覆部形成用液体8は、ガラスまたはガラスの前駆体を溶解、分散させる液状媒体(溶媒、分散媒)を含むものであってもよい。このような液状媒体としては、例えば、水等の向き溶媒、アルコール類、ベンゼン、トルエン等の有機溶媒等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、被覆部形成用液体8中には、例えば、シリカ、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等の各種樹脂材料(各種有機材料)等の微粒子が含まれていてもよい。これにより、被覆部と基材との密着性をさらに優れたものとすることができる。このような場合、前記微粒子の平均粒径は、40μm以下であるのが好ましい。これにより、多点状で、均一な大きさの被覆部をより確実に形成することができる。特に、各部位での大きさ、形状のばらつきの小さい被覆部を容易かつ確実に形成することができる。
被覆部形成用液体8中に占めるガラスまたはガラスの前駆体の含有率は、特に限定されないが、0.1〜40wt%であるのが好ましく、5〜20wt%であるのがより好ましい。これにより、所望の量の被覆部形成用液体8を、基材2上に容易かつ確実に付与することができるとともに、形成すべき被覆部3の形状、大きさ等をより確実に制御することができる。言い換えると、後述する被覆部形成用液体固化工程において、好適な形状の被覆部3を容易かつ確実に形成することができる。
また、被覆部形成用液体8の粘度は、特に限定されないが、25℃において、100〜600cpsであるのが好ましく、100〜500cpsであるのがより好ましく、150〜500cpsであるのがさらに好ましく、150〜400cpsであるのがもっとも好ましい。特に、基材2(または部材1)がホーニング加工を施されたものである場合、被覆部形成用液体8の粘度は、特に限定されないが、25℃において、150〜600cpsであるのが好ましく、200〜500cpsであるのがより好ましい。また、基材2(または部材1)がスジ目加工を施されたものである場合、被覆部形成用液体8の粘度は、特に限定されないが、25℃において、150〜600cpsであるのが好ましく、200〜500cpsであるのがより好ましい。また、基材2(または部材1)が鏡面加工を施されたものである場合、被覆部形成用液体8の粘度は、特に限定されないが、25℃において、150〜400cpsであるのが好ましく、150〜200cpsであるのがより好ましい。被覆部形成用液体8の粘度が上記範囲内の値であると、所望の量の被覆部形成用液体8を、基材2上に容易かつ確実に付与することができるとともに、形成すべき被覆部3の形状、大きさ等をより確実に制御することができる。言い換えると、後述する被覆部形成用液体固化工程において、好適な形状の被覆部3を容易かつ確実に形成することができる。これに対し、被覆部形成用液体8の粘度が前記下限値未満であると、被覆部形成用液体8の基材2に対する濡れ性(接触角)等によっては、十分な高さ(厚さ)の被覆部3を形成するのが困難になる場合がある。また、被覆部形成用液体8の粘度が前記上限値を超えると、被覆部と基材との密着性、耐磨耗性が低下する。なお、被覆部形成用液体8の粘度は、被覆部形成用液体8中における、液状媒体(溶媒、分散媒等)やガラス(またはガラスの前駆体)の含有率、液状媒体(溶媒、分散媒等)の組成、ガラスの大きさ等を調節することにより、容易かつ確実に制御することができる。
[被覆部形成用液体固化工程(被覆部形成工程)]
基材2の表面に付与した被覆部形成用液体8を固化させ、透明性を有する材料で構成された、複数個の被覆部3を多点状に形成する(1d)。これにより、装飾品10が得られる。このように、本発明では、被覆部を多点状に形成する点に特徴を有する。これにより、装飾品の表面に皮脂等の汚れが付着することによる装飾品の美的外観の低下を効果的に防止することができる。また、本発明では、被覆部を多点状に設けるため、衝撃等により、被覆部にクラックを生じたり、被覆部が剥離、脱落するのを効果的に防止することができる。言い換えると、被覆部を基材の全面に形成した場合には、比較的小さな外力が加わった場合であっても、被覆部におけるクラックや被覆部の剥離、脱落を生じ易いのに対し、本発明のように、被覆部を多点状に設けることにより、このような不都合の発生を効果的に防止することができる。したがって、本発明によれば、耐久性に優れた装飾品を提供することができる。また、被覆部を多点状に形成することにより、濡れ現象で装飾品の外観が黒っぽく見えるのを効果的に防止することができ、また、(特に装飾品の角部付近における)干渉色の発生を効果的に防止することができる。その結果、装飾品の装飾性(美的外観)を特に優れたものとすることができる。また、被覆部を多点状に形成することにより、装飾品の触感を優れたものとすることができる。言い換えると、被覆部を基材の全面に形成した場合には、装飾品に触れたとき(特に、長時間身に付けたとき)に、べたつき等による違和感、不快感を感じ易いが、本発明のように被覆部を多点状に設けることにより、上記のような問題の発生を効果的に防止することができる。したがって、本発明は、通常長時間身体に接触して用いられるような装飾品(例えば、時計用外装部品や、メガネ、指輪、ネックレス、ブレスレット、アンクレット、ブローチ、ペンダント、イヤリング、ピアス等の装身具等の装身具)に、より好適に適用することができる。
被覆部形成用液体8を固化させる方法は、特に限定されず、被覆部形成用液体8の構成材料等に応じて選択される。
例えば、被覆部形成用液体8が液状媒体を含むものである場合、被覆部形成用液体8が付与された基材2を加熱したり、減圧環境下に放置すること等により、液状媒体を除去し、固体状の被覆部3を形成することができる。また、被覆部形成用液体8が液状の熱硬化性樹脂を含むものである場合、被覆部形成用液体8が付与された基材2を加熱することにより、固体状の被覆部3を形成することができる。また、被覆部形成用液体8が液状の光硬化性樹脂を含むものである場合、基材2の被覆部形成用液体8が付与された側の面に光を照射することにより、固体状の被覆部3を形成することができる。
本工程を液状媒体(溶媒、分散媒等)を除去することにより行う場合、本工程は、例えば、常温〜250℃の温度で、1〜20分間程度行うのが好ましく、150〜230℃の温度で、5〜15分間程度行うのがより好ましい。
また、本工程は、同一または異なる条件での2回以上の処理により行うものであってもよい。特に、液状媒体(溶媒、分散媒等)の除去を、異なる条件で2回以上の処理(乾燥)で行う場合には、形成される被覆部3の特性(例えば、被覆部3の緻密性、均質性、高さ(厚さ)の均一性、基材2との密着性等)を特に優れたものとすることができる。
また、本工程では、被覆部形成用液体8の付与、固化を含む一連の処理を1サイクルとして、これを複数回繰り返し行ってもよい。これにより、例えば、形成される被覆部3の特性(例えば、被覆部3の緻密性、均質性、高さ(厚さ)の均一性、基材2との密着性等)を特に優れたものとすることができる。
本工程で形成される被覆部3の構成材料は、(被覆部形成用液体の組成等によって決まるものであり、)透明性を有するものであれば特に限定されないが、主としてガラスであるのが好ましい。これにより、装飾品10の外観、触感、耐擦傷性、耐久性等を特に優れたものとすることができる。また、これにより、装飾品10を、汚れの付着による審美性の低下が特に生じ難いものとすることができる。また、後述するような好適な形状の被覆部3を比較的容易に形成することができる。
上記のように、本工程に形成される被覆部3は、多点上に設けられたものであり、基材2との密着性に優れている。特に、部材1(基材2)として、ホーニング加工、スジ目加工が施されたものを用いた場合、基材2の表面に存在する微小な凹凸によるアンカー効果が発揮され、基材2と被覆部3との密着性は特に優れたものとなる。
被覆部3は、いかなる配置で形成されるものであってもよく、例えば、格子状、千鳥状等のように規則的に配されたものであってもよいし、不規則に配されたものであってもよい。
また、本工程で形成される被覆部3は、平面視したときの1個当たりの面積が75〜2000μmであるのが好ましく、300〜1500μmであるのがより好ましい。被覆部3の1個当たりの面積が前記範囲内の値であると、装飾品10に衝撃が加わった際等に、被覆部3にクラックを生じたり、被覆部3が剥離、脱落するのをより効果的に防止することができる。また、装飾品10の審美性をさらに向上させることができるとともに、装飾品10の表面に皮脂等の汚れが付着することによる装飾品10の美的外観の低下をより効果的に防止することができる。また、装飾品10の触感を特に優れたものとすることができる。これに対し、被覆部3の1個当たりの面積が前記下限値未満であると、被覆部3の密着性が低下し、剥離しやすくなると共に、表面に皮脂等の汚れが付着しやすくなる傾向を示す。また、被覆部3の1個当たりの面積が前記上限値を超えると、被覆部3の構成材料、厚さ等によっては、本発明の効果が十分に発揮されない可能性がある。
また、本工程で形成される被覆部3は、いかなる形状のものであってもよいが、平面視したときの形状が略円形であるのが好ましい。これにより、装飾品10に衝撃が加わった際等に、被覆部3にクラックを生じたり、被覆部3が剥離、脱落するのをより効果的に防止することができる。また、装飾品10の審美性をさらに向上させることができるとともに、装飾品10の表面に皮脂等の汚れが付着することによる装飾品10の美的外観の低下をより効果的に防止することができる。また、装飾品10の触感を特に優れたものとすることができる。
また、被覆部3の平面視したときの形状が略円形である場合、被覆部3の直径(平均値)は、10〜50μmであるのが好ましく、20〜30μmであるのがより好ましい。これにより、前述した効果はさらに顕著なものとなる。これに対し、被覆部3の直径が前記下限値未満であると、被覆部3の密着性が低下し、剥離しやすくなると共に、表面に皮脂等の汚れが付着しやすくなる傾向を示す。また、被覆部3の直径が前記上限値を超えると、被覆部3の構成材料、厚さ等によっては、本発明の効果が十分に発揮されない可能性がある。
また、隣接する被覆部3同士の中心間距離の平均値は、20〜100μmであるのが好ましく、60〜80μmであるのがより好ましい。隣接する被覆部3同士の中心間距離の平均値が前記範囲内の値であると、装飾品10の審美性をさらに向上させることができるとともに、装飾品10の表面に皮脂等の汚れが付着することによる装飾品10の美的外観の低下をより効果的に防止することができる。また、装飾品10の触感を特に優れたものとすることができる。これに対し、隣接する被覆部3同士の中心間距離の平均値が前記下限値未満であると、装飾品10に衝撃が加わった際等に、被覆部3にクラックを生じたり、被覆部3が剥離、脱落しやすくなる傾向を示す。また、隣接する被覆部3同士の中心間距離の平均値が前記上限値を超えると、表面に皮脂等の汚れが付着しやすくなる傾向を示す。
また、被覆部3の直径の平均値をD[μm]、隣接する被覆部3同士の中心間距離の平均値をP[μm]としたとき、0.2≦D/P≦1.0の関係を満足するのが好ましく、0.5≦D/P≦1.0の関係を満足するのがより好ましく、0.6≦D/P≦0.8の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、装飾品10の審美性をさらに向上させることができるとともに、装飾品10の表面に皮脂等の汚れが付着することによる装飾品10の美的外観の低下をより効果的に防止することができる。また、装飾品10の触感を特に優れたものとすることができる。これに対し、D/Pの値が前記下限値未満であると、Pの値等によっては、装飾品10の表面に皮脂等の汚れが付着することによる装飾品10の審美性低下を十分に防止抑制するのが困難になる場合がある。また、D/Pの値が前記上限値を超えると、装飾品10に衝撃が加わった際等に、被覆部3にクラックを生じたり、被覆部3が剥離、脱落しやすくなる傾向を示す。
また、基材2の被覆部3が設けられている側の面の面積をS[μm]、被覆部3により被覆されている部位の総面積をS[μm]としたとき、0.2≦S/S≦0.6の関係を満足するのが好ましく、0.4≦S/S≦0.6の関係を満足するのがより好ましい。すなわち、被覆部3が設けられている面側における被覆部3による被覆率は、20〜60%であるのが好ましく、40〜60%であるのがより好ましい。このような条件を満足することにより、装飾品10の審美性をさらに向上させることができるとともに、装飾品10の表面に皮脂等の汚れが付着することによる装飾品10の美的外観の低下をより効果的に防止することができる。また、装飾品10の触感を特に優れたものとすることができる。これに対し、S/Sの値(被覆率)が前記下限値未満であると、被覆部3の1個当たりの面積等によっては、装飾品10の表面に皮脂等の汚れが付着することによる装飾品10の審美性低下を十分に防止抑制するのが困難になる場合がある。また、S/Sの値(被覆率)が前記上限値を超えると、装飾品10に衝撃が加わった際等に、被覆部3にクラックを生じたり、被覆部3が剥離、脱落しやすくなる傾向を示す。
被覆部3の高さ(厚さ)の平均値は、0.5〜2.0μmであるのが好ましく、0.5〜1.0μmであるのがより好ましい。被覆部3の高さが前記範囲内の値であると、装飾品10の外観、触感、耐擦傷性、耐久性等を特に優れたものとすることができ、また、汚れの付着による審美性の低下をより生じ難いものとすることができる。これに対し、被覆部3の高さが前記下限値未満であると、被覆部3の構成材料等によっては、被覆部3を形成することによる効果が十分に発揮されない可能性がある。また、被覆部3の高さが前記上限値を超えると、装飾品10に衝撃が加わった際等に、被覆部3にクラックを生じたり、被覆部3が剥離、脱落しやすくなる傾向を示す。
[装飾品]
次に、上記のようにして得られる装飾品10について説明する。
装飾品10は、装飾性を備えた物品であればいかなるものでもよいが、例えば、置物等のインテリア、エクステリア用品、宝飾品、時計ケース(胴、裏蓋、胴と裏蓋とが一体化されたワンピースケース等)、時計バンド(バンド中留、バンド・バングル着脱機構等を含む)、文字盤、時計用針、ベゼル(例えば、回転ベゼル等)、りゅうず(例えば、ネジロック式りゅうず等)、ボタン、カバーガラス、ガラス縁、ダイヤルリング、見切板、パッキン等の時計用外装部品、ムーブメントの地板、歯車、輪列受け、回転錘等の時計用内装部品、メガネ(例えば、メガネフレーム)、ネクタイピン、カフスボタン、指輪、ネックレス、ブレスレット、アンクレット、ティアラ、ブローチ、ペンダント、イヤリング、ピアス等の装身具、ライターまたはそのケース、ペン、自動車のホイール、ゴルフクラブ等のスポーツ用品、銘板、パネル、賞杯、その他ハウジング等を含む各種機器部品、各種容器等に適用することができる。この中でも特に、少なくともその一部が皮膚に接触して用いられる装飾品(例えば、時計用外装部品や、メガネ、指輪、ネックレス、ブレスレット、アンクレット、ブローチ、ペンダント、イヤリング、ピアス等の装身具等の装身具)が好ましく、時計用外装部品がより好ましい。これらは、装飾品として外観の美しさが要求されるとともに、実用品として、耐久性、耐食性、耐摩耗性や、優れた触感等が要求されるが、本発明によればこれらの要件を全て満足することができる。
次に、上述したような本発明の装飾品を備えた本発明の時計について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の装飾品を有するものである。上述したように、本発明の装飾品は、優れた外観を有し、汚れ等が付着した場合であっても審美性の低下が少なく、かつ、耐久性に優れたものである。また、本発明の装飾品は、優れた触感を有している。このため、このような装飾品を備えた本発明の時計は、時計としての求められる要件を十分に満足することができる。すなわち、本発明の時計は、特に優れた審美性を長期間にわたって安定的に保持することができ、優れた装着感を有している。なお、本発明の時計を構成する前記装飾品以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
図2は、本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。
図2に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)100は、胴(ケース)22と、裏蓋23と、ベゼル(縁)24と、ガラス板25とを備えている。また、ケース22内には、図示しないムーブメント(例えば、文字盤、針付きのもの)が収納されている。
胴22には巻真パイプ26が嵌入・固定され、この巻真パイプ26内にはりゅうず27の軸部271が回転可能に挿入されている。
胴22とベゼル24とは、プラスチックパッキン28により固定され、ベゼル24とガラス板25とはプラスチックパッキン29により固定されている。
また、胴22に対し裏蓋23が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)50には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)60が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部50が液密に封止され、防水機能が得られる。
りゅうず27の軸部271の途中の外周には溝272が形成され、この溝272内にはリング状のゴムパッキン(りゅうずパッキン)30が嵌合されている。ゴムパッキン30は巻真パイプ26の内周面に密着し、該内周面と溝272の内面との間で圧縮される。この構成により、りゅうず27と巻真パイプ26との間が液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうず27を回転操作したとき、ゴムパッキン30は軸部271と共に回転し、巻真パイプ26の内周面に密着しながら周方向に摺動する。
本発明の腕時計100は、ベゼル24、胴22、りゅうず27、裏蓋23、時計バンド(図示せず)等の装飾品(特に、時計用外装部品)のうち少なくとも1つが前述したような本発明の装飾品で構成されたものである。
なお、上記の説明では、時計の一例として、腕時計(携帯時計)を挙げて説明したが、本発明は、腕時計以外の携帯時計、置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。
以上、本発明の装飾品の製造方法、装飾品および時計の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の装飾品の製造方法では、必要に応じて、任意の目的の工程を追加することもできる。
また、前述した実施形態では、被覆部形成用液体を用いて被覆部を形成するものとして説明したが、被覆部の形成方法は、このようなものに限定されず、例えば、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式めっき法等の方法を用いてもよい。
また、装飾品の表面の少なくとも一部には、耐食性、耐候性、耐水性、耐油性、耐摩耗性、耐変色性等を付与し、防錆、防汚、防曇、防傷等の効果を向上する保護層等が形成されていてもよい。このような保護層は、装飾品の使用時等において除去されるものであってもよい。
また、本発明の装飾品は、上記のような時計に限らず、各種電子機器類にも好適に適用することができる。このような電子機器としては、例えば、携帯電話機(PHSを含む)、ポケットベル、電卓、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、プリンタ、複写機、カメラ、ビデオ装置、テレビ、オーディオ機器、電子玩具、各種測定機器等が挙げられる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.装飾品の製造
(実施例1)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
まず、腕時計ケース(裏蓋)の形状を有する部材を以下に述べるような金属粉末射出成形(MIM)により作製した。
まず、ガスアトマイズ法により製造された平均粒径52μmのTi粉末を用意した。
このTi粉末:75vol%と、ポリエチレン:8vol%と、ポリプロピレン:7vol%と、パラフィンワックス:10vol%とからなる材料を混練した。前記材料の混練には、ニーダーを用いた。また、混練時における材料温度は60℃であった。
次に、得られた混練物を粉砕、分級して平均粒径3mmのペレットとした。このペレットを用いて、射出形成機にて金属粉末射出成形(MIM)し、腕時計ケースの形状を有する成形体を製造した。このとき成形体は、脱バインダー処理、焼結時での収縮を考慮して成形した。射出成形時における成形条件は、金型温度40℃、射出圧力80kgf/cm、射出時間20秒、冷却時間40秒であった。
次に、前記成形体に対して、脱脂炉を用いた脱バインダー処理を施し、脱脂体を得た。この脱バインダー処理は、1.0×10−1Paのアルゴンガス雰囲気中、80℃で1時間、次いで、10℃/時間の速度で400℃まで昇温した。熱処理時におけるサンプルの重さを測定し、重量低下がなくなった時点を脱バインダー終了時点とした。
次に、このようにして得られた脱脂体に対し、焼結炉を用いて焼結を行い、装飾品製造用の部材(装飾品製造用部材)を得た。この焼結は、1.3×10−3〜1.3×10−4Paのアルゴンガス雰囲気中で、900〜1100℃×6時間の熱処理を施すことにより行った。
以上のようにして得られた部材について、その表面付近に存在する不要部を切削、研磨により除去し、さらに、洗浄を行うことにより、装飾品製造用の基材を得た。洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
上記のようにして得られた基材の全面に、ディッピングにより、被覆部形成用液体を付与した。ディッピングを行う際の被覆部形成用液体の温度は、25℃であった。また、基材の被覆部形成用液体への浸漬時間は、60秒であった。被覆部形成用液体としては、分散媒としての水を含み、平均粒径:0.8μmの石英ガラス粒子が均一に分散した分散液を用いた。被覆部形成用液体中における石英ガラス粒子の含有率は、5wt%であった。また、被覆部形成用液体の25℃における粘度は、150cpsであった。
上記のようにして被覆部形成用液体を付与した後、温度:200℃の環境下に30分間放置することにより、複数個の石英ガラス粒子が凝集、結合してなる被覆部が多点状に形成された装飾品(腕時計ケース(裏蓋))が得られた。
形成された被覆部は、平面視したときの形状が略円形であった。被覆部の直径の平均値は、10μmであった。また、被覆部の平面視したときの1個当たりの平均面積は、80μmであった。また、隣接する被覆部同士の中心間距離の平均値は、25μmであった。また、被覆部の平均高さは、0.5μmであった。また、得られた装飾品は、被覆部による被覆率(S/S×100)が55%であった。
(実施例2〜10)
被覆部形成用液体に含まれるガラス粒子の平均粒径、含有率を変更し、被覆部形成用液体の粘度を表1に示すようなものとした以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(実施例11〜20)
基材として、ステンレス鋼(SUS444)製の基部の表面に、Ti製の表面層が設けられたものを用いた以外は、前記実施例1〜10と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
基材の製造は、以下のようにして行った。
まず、ステンレス鋼(SUS444)を用いて、鋳造により、腕時計ケース(裏蓋)の形状を有する、基部となるべき部材を作製し、その後、必要箇所を切削、研磨した。
次に、この部材(基部となるべき部材)を洗浄した。基材の洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
次に、イオンプレーティング装置を用いて、洗浄を行った部材(基部となるべき部材)の表面に、以下のようにして、Tiで構成される表面層を形成した。
まず、洗浄を行った基材を、イオンプレーティング装置の処理室内に設置した。
次に、イオンプレーティング装置の処理室内を予熱しながら、処理室内を3×10−3Paまで排気(減圧)した。
次に、クリーニング用アルゴンガスを処理室内に導入して、5分間のクリーニング処理を行った。クリーニング処理は、350Vの直流電圧を印加することにより行った。
その後、処理室内にアルゴンガスを導入し、400Vの直流電圧を印加して30〜60分保持した。このような状態で、ターゲットとしてTiを用い、イオン化電圧:30V、イオン化電流:20A、処理時間:60分間に設定することにより、Tiで構成される表面層を形成し、装飾品製造用部材を得た。形成された表面層の平均厚さは、0.8μmであった。
次に、上記のようにして得られた装飾品製造用部材について、ホーニング加工を施した。
その後、表面付近に存在する主として酸化物で構成された不要部を化学研磨により除去した。この化学研磨は、エッチング処理液として、HF、HNOおよびHSOを含む水溶液を用いることにより行った。エッチング処理液中における、HF濃度は、2.5vol%、HNO3濃度は、27vol%、HSO濃度は、49vol%であった。また、エッチング時間(浸漬時間)は、15秒間であった。その後、さらに、洗浄を行うことにより、装飾品製造用の基材を得た。洗浄としては、まず、水洗を30秒間行い、次いで、アルカリ電解脱脂、アルカリ浸漬脱脂を、それぞれ30秒間ずつ行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
(比較例1)
基材の表面に被覆部を形成しなかった以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(比較例2)
基材の表面全体に、以下のようにして被覆部(被覆層)を形成した以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
まず、前記実施例1と同様の基材を用意した。
この基材を、珪酸ナトリウム水溶液中に60秒間浸漬し、その後、珪酸ナトリウム水溶液が付与された基材を、温度:150℃の環境下に30分間放置することにより、基材の全面に層状の被覆部が形成された装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を得た。形成された被覆部の平均厚さは、5.0μmであった。なお、珪酸ナトリウム水溶液としては、珪酸ナトリウムの含有率が10wt%のものを用いた。
(比較例3〜5)
珪酸ナトリウム水溶液中における珪酸ナトリウムの含有率を変更することにより、被覆部の平均厚さを表2に示すように調節した以外は、前記比較例2と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(比較例6)
ディッピングによる被覆部形成用液体を付与、熱処理(温度:200℃の環境下に30分間放置)および放冷(室温での放置)の一連の処理を複数回繰り返し行うことにより、基材の全面に被覆部を形成した以外は、前記実施例20と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
各実施例および各比較例の装飾品の構成、および、これらの装飾品の製造に用いた被覆部形成用液体の条件を表1、表2にまとめて示す。なお、表1、表2中においては、ステンレス鋼をSUSで示した。なお、各実施例および各比較例の装飾品においては、いずれも、被覆部は実質的に透明なもの(380〜770nmの波長領域の光についての透過率が90%以上)であった。
Figure 2005298915
Figure 2005298915
2.装飾品の外観評価
前記各実施例および各比較例で製造した装飾品について、目視および顕微鏡による観察を行い、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:外観優良。
○:外観良。
△:外観やや不良。
×:外観不良。
3.汚れ付着後における装飾品の外観評価
前記各実施例および各比較例で製造した装飾品の表面に、人工皮脂(ミリスチン酸:8.3重量部、オレイン酸:8.3重量部、トリステアリン:8.3重量部、トリオレイン:8.3重量部、コレステリン:重量部4.4、コレステリンステアレート:1.1重量部、パラフィンロウ:5.5重量部、スクワレン:5.5重量部、粘土:49.75重量部、カーボンブラック:0.5重量部の混合物)を、綿布に十分に付着させた後、荷重100gf/cmにて10往復させるという条件で付着させた。30分放置した後、清浄な綿布を用いて、荷重100gf/cmにて10往復させるという条件で各装飾品の表面に付着した汚れを拭き取った。
その後、上記の「装飾品の外観評価」で用いた4段階の基準に従い、各装飾品の外観を評価した。
4.被覆部の密着性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品について、以下に示すような試験を行い、被覆部の密着性を評価した。
各装飾品を高さ1.5mから自由落下させ、厚さ20cmのコンクリートブロックに衝突させた。この操作を10回繰り返し行った後、装飾品の外観を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:被覆部の剥離、脱落や、被覆部におけるクラックの発生が全く認められない。
○:被覆部の剥離、脱落または、被覆部におけるクラックの発生がわずかに認められ
る。
△:被覆部におけるクラックの発生が顕著に認められる。
×:被覆部の剥離、脱落が顕著に認められる。
5.装飾品の耐食性評価
前記各実施例および各比較例の各装飾品について、以下に示すような試験を行い、耐食性を評価した。
デシケーター内に人工汗を入れ、40℃で24時間放置した。その後、デシケーター内に、前記密着性評価を行った各装飾品を入れ、さらに40℃で放置した。このとき、各装飾品は、人工汗中に浸漬しないように配置した。24時間後、各装飾品をデシケーター内から取り出し、目視および顕微鏡による観察を行い、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
◎:腐食や変色等が全く認められない。
○:変色がわずかに認められる。
△:変色がはっきりと認められる。
×:比較的大きな腐食部がはっきりと認められる。
これらの結果を、表3にまとめて示す。
Figure 2005298915
表3から明らかなように、本発明の装飾品は、いずれも優れた美的外観を有しており、汚れが付着した場合であっても、容易にその汚れを除去することができ、また、そのときの美的外観も優れている。また、本発明の装飾品は、被覆部の密着性に優れ、衝撃等が加わった場合であっても、被覆部の剥離、脱落や、被覆部におけるクラックの発生が極めて生じ難い。また、本発明の装飾品は、耐食性にも優れている。また、本発明の装飾品は、いずれも、べたつき感、ザラツキ感のない、優れた触感を有していた。特に、好適な条件で形成された被覆部を有する装飾品、被覆部が好適な形状、パターンで形成された装飾品においては、特に優れた結果が得られた。
これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。特に、比較例1の装飾品は、汚れが付着した場合、その汚れの除去を試みても完全に除去するのが困難であり、その美的外観は著しく低下した。また、比較例2〜6の装飾品は、上記のような汚れの除去は比較的容易に行えるものの、基材と被覆部との密着性に劣り、衝撃が加わった際に、被覆部の剥離、脱落や、被覆部におけるクラックの発生が生じ易かった。また、このような被覆部の剥離、脱落や、被覆部におけるクラックの発生等により、装飾品の美的外観は著しく低下した。また、比較例2〜6の装飾品は、耐食性評価にも劣っていた。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。すなわち、比較例2〜6の装飾品では、上記のように被覆部の剥離、脱落や、被覆部におけるクラックの発生が生じ易い。そして、このような被覆部の結果を生じた装飾品に汚れが付着すると、拭き取り等による汚れの除去を試みても、クラックなどの欠陥部に汚れが残存し易い。このため、このような装飾品は、汚れと長時間にわたって接触することになり、腐食等が進行し易くなるものと考えられる。
また、前記各実施例および比較例で製造した装飾品を用いて、図2に示すような腕時計を組み立てた。これらの腕時計について、上記と同様な評価を行ったところ、上記と同様な結果が得られた。
本発明の表面処理方法の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。
符号の説明
10…装飾品 1…部材 2…基材 3…被覆部 8…被覆部形成用液体 9…不要部 100…腕時計(携帯時計) 22…胴(ケース) 23…裏蓋 24…ベゼル(縁) 25…ガラス板 26…巻真パイプ 27…りゅうず 271…軸部 272…溝 28…プラスチックパッキン 29…プラスチックパッキン 30…ゴムパッキン(りゅうずパッキン) 50…接合部(シール部) 60…ゴムパッキン(裏蓋パッキン)

Claims (17)

  1. 少なくとも表面付近が、主としてTiまたはTi合金で構成された基材の表面に、透明性を有する材料で構成された複数個の被覆部を、多点状に形成することを特徴とする表面処理方法。
  2. 前記被覆部は、平面視したときの1個当たりの面積が75〜2000μmである請求項1に記載の表面処理方法。
  3. 前記被覆部は、平面視したときの形状が略円形である請求項1または2に記載の表面処理方法。
  4. 前記被覆部の直径の平均値は、10〜50μmである請求項3に記載の表面処理方法。
  5. 前記被覆部の直径の平均値をD[μm]、隣接する前記被覆部同士の中心間距離の平均値をP[μm]としたとき、0.2≦D/P≦1.0の関係を満足する請求項3または4に記載の表面処理方法。
  6. 隣接する前記被覆部同士の中心間距離の平均値は、20〜100μmである請求項1ないし5のいずれかに記載の表面処理方法。
  7. 前記基材の前記被覆部が設けられている側の面の面積をS[μm]、前記被覆部により被覆されている部位の総面積をS[μm]としたとき、0.2≦S/S≦0.6の関係を満足する請求項1ないし6のいずれかに記載の表面処理方法。
  8. 前記被覆部は、主としてガラスで構成されたものである請求項1ないし7のいずれかに記載の表面処理方法。
  9. 前記被覆部の構成材料またはその前駆体を含む液体を、前記基材の表面に塗布し、その後、前記液体を固化させることにより、前記被覆部を形成する請求項1ないし8のいずれかに記載の表面処理方法。
  10. 前記液体は、前記被覆部の構成材料またはその前駆体を、固形成分として含むものである請求項9に記載の表面処理方法。
  11. 前記固形成分の平均粒径は、0.1〜3μmである請求項10に記載の表面処理方法。
  12. 前記液体中における前記固形成分の含有率は、0.1〜40wt%である請求項10または11に記載の表面処理方法。
  13. 前記液体の25℃における粘度は、100〜600cpsである請求項9ないし12のいずれかに記載の表面処理方法。
  14. 前記被覆部の高さは、0.5〜2.0μmである請求項1ないし13のいずれかに記載の表面処理方法。
  15. 請求項1ないし14のいずれかに記載の方法を用いて製造されたことを特徴とする装飾品。
  16. 装飾品は、時計用外装部品である請求項15に記載の装飾品。
  17. 請求項15または16に記載の装飾品を備えたことを特徴とする時計。
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