JP2005298763A - アゾ置換インドール化合物及びアゾ金属キレート化合物、並びに光記録媒体 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、シアニン色素は、高屈折率を有しており、信号特性についても満足できる特性が得られるが、耐光性が極めて悪く、単独では実用に耐えられない。このため、光安定化剤を併用することが検討されているが、光安定化能及び信号特性を両立するものは未だ得られていない。
また、アゾ金属キレート色素は、高い信頼性(例えば、耐光性及び保存安定性)は得られるが、屈折率が若干低く、高速書き込みに対しも満足できる信号特性は得られていない。
これらの技術では、アゾ金属キレートをアニオン化させる構造が必要となるが、従来技術ではアゾ構造のいずれか一方が芳香族環であるため、充分に高い吸収係数が得られず、このため、充分な光学特性(高屈折率)が得られず、高速書き込みに対応できないという問題がある。
<1> 下記構造式(1)で表されることを特徴とするアゾ置換インドール化合物である。
<2> R3が、下記構造式(2)で表される前記<1>に記載のアゾ置換インドール化合物である。
<3> 下記構造式(3)で表されることを特徴とするアゾ金属キレート化合物である。
<4> 前記<1>から<2>のいずれかに記載のアゾ置換インドール化合物と金属塩とを反応させて得られることを特徴とするアゾ金属キレート化合物である。
<5> 金属原子の価数が2価である前記<4>に記載のアゾ金属キレート化合物である。
<6> 金属原子が、ニッケル及び銅のいずれかである前記<4>から<5>のいずれかに記載のアゾ金属キレート化合物である。
<7> 基板と、該基板上に少なくとも記録層を設けてなり、該記録層が前記<3>から<6>のいずれかに記載のアゾ金属キレート化合物を含有してなることを特徴とする光記録媒体である。
<8> 記録層材料の熱重量分析における主減量過程での温度に対する減量の傾きが2%/℃以上である前記<7>に記載の光記録媒体である。
<9> 記録層材料の熱重量分析における主減量過程での総減量が30%以上であり、かつ減量開始温度が350℃以下である前記<7>から<8>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<10> 基板と、該基板上に少なくとも記録層を設けてなり、該記録層が、下記構造式(1−1)で表されるアゾ置換インドール化合物と金属、金属酸化物及びこれらの塩から選択されるいずれかとからなるアゾ金属キレートアニオン化合物と、下記構造式(4)で表されるシアニン色素カチオン化合物とからなる塩形成色素を含有することを特徴とする光記録媒体である。
<11> 構造式(1−1)におけるR3が、下記構造式(2)で表される前記<10>に記載の光記録媒体である。
<12> アゾ金属キレートアニオン化合物における金属及び金属酸化物のいずれかの価数が3価である前記<10>から<11>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<13> アゾ金属キレートアニオン化合物における金属原子が、Co及びVOのいずれかである前記<10>から<12>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<14> 環A及び環Bが、インドレニン環、チアゾリン環、及びオキサゾリン環のいずれかである前記<10>から<13>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<15> シアニン色素カチオン化合物が、インドレニン系トリメチンシアニン色素である前記<14>に記載の光記録媒体である。
<16> 記録再生波長±10nmの波長領域の光に対する記録層単層の屈折率nが1.5≦n≦3.0であり、かつ消衰係数kが0.02≦k≦0.2である前記<7>から<15>のいずれかに記載の光記録媒体である。
<17> 記録再生波長が630〜690nmである前記<16>に記載の光記録媒体である。
<18> 基板におけるトラックピッチが0.7〜0.8μmであり、かつ案内溝幅が半値幅で0.18〜0.40μmである前記<7>から<17>のいずれかに記載の光記録媒体である。
また、第二形態では、上記構造式(1−1)で表されるアゾ置換インドール化合物と金属、金属酸化物及びこれらの塩から選択されるいずれかとからなるアゾ金属キレートアニオン化合物と、上記構造式(4)で表されるシアニン色素カチオン化合物とからなる塩形成色素を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。その結果、高反射率、高変調度、及び低ジッタの記録再生信号特性が実現できる。
本発明のアゾ置換インドール化合物は、下記構造式(1)で表される。
前記アリールオキシ基としては、酸素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基としては前述の具体例等が挙げられ、該アリールオキシ基は更に置換基で置換されていてもよい。
前記アルキルアミノ基としては、窒素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基としては前述の具体例等が挙げられ、該アルキルアミノ基は更に置換基で置換されていてもよい。
前記アリールアミノ基としては、窒素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基としては前述の具体例等が挙げられ、該アリールアミノ基は更に置換基で置換されていてもよい。
前記アルキルカルボニルアミノ基としては、カルボニルアミノ基の炭素原子に直接置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基としては前述の具体例等が挙げられ、該アルキルカルボニルアミノ基は更に置換基で置換されていてもよい。
前記アリールカルボニルアミノ基としては、カルボニルアミノ基の炭素原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基としては前述の具体例等が挙げられ、該アリールカルボニルアミノ基は更に置換基で置換されていてもよい。
前記アルキルカルバモイル基としては、カルバモイル基の窒素原子に直接それぞれ独立して水素原子、置換又は未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基としては前述の具体例等が挙げられ、該アルキルカルバモイル基は更に置換基で置換されていてもよい。
前記アリールカルバモイル基としては、カルバモイル基の窒素原子に直接それぞれ独立して水素原子、置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基としては前述の具体例等が挙げられ、該アリールカルバモイル基は更に置換基で置換されていてもよい。
前記アルキルスルホニルアミノ基としては、硫黄原子に直接置換もしくは未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基としては前述の具体例等が挙げられ、該アルキルスルホニルアミノ基は更に置換基で置換されていてもよい。
前記アリールスルホニルアミノ基としては、硫黄原子に直接置換又は未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基としては前述の具体例等が挙げられ、該アリールスルホニルアミノ基は更に置換基で置換されていてもよい。
前記アルキルカルボニル基としては、カルボニル基の炭素原子に直接置換もしくは未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基としては前述の具体例等が挙げられ、該アルキルカルボニル基は更に置換基で置換されていてもよい。
前記アリールカルボニル基としては、カルボニル基の炭素原子に直接置換もしくは未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基としては前述の具体例等が挙げられ、該アリールカルボニル基は更に置換基で置換されていてもよい。
前記アルキルスルホニル基としては、スルホニル基の硫黄原子に直接置換もしくは未置換のアルキル基が結合されているものであればよく、アルキル基としては前述の具体例等が挙げられ、該アルキルスルホニル基は更に置換基で置換されていてもよい。
前記アリールスルホニル基としては、スルホニル基の硫黄原子に直接置換もしくは未置換のアリール基が結合されているものであればよく、アリール基としては前述の具体例等が挙げられ、該アリールスルホニル基は更に置換基で置換されていてもよい。
本発明のアゾ金属キレート化合物は、下記構造式(3)で表される。
前記金属原子としては、2価の金属原子が好適であり、該金属原子としては、例えば、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、等が挙げられ、これらの中でも、耐光性、屈折率等の光学特性が優れている点からニッケル、銅が特に好ましい。
本発明の光記録媒体は、基板と、該基板上に少なくとも記録層を設けてなり、反射層、保護層、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
本発明の光記録媒体は、第一形態では、前記記録層が、本発明の前記構造式(3)で表されるアゾ金属キレート化合物を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
本発明では、いくつかの重量減量過程のうちで、減量率が最大のものを主減量過程と称する。前記重量減量の傾きは下記のようにして求めることができる。
図1中、直線a−bと直線c−dとの交点における温度をT1(℃)、初期重量m0に対する残存重量減量率をm1(%)、直線c−dと直線e−fとの交点における温度をT2(℃)、初期質量m0に対する残存重量減量率をm2(%)とする。急激な減量開始温度はT1、急激な減量終了温度はT2となり、急激な重量減少を発現するときの重量減量の傾きは、次式、(m1−m2)(%)/(T2−T1)(℃)で示される値であり、初期重量に対する重量減量率は(m1−m2)(%)で表される。
ここで、図1中、「TG%」とは、被測定記録層材料の重量減量率を表す。昇温前の記録層材料の質量m0を100%と表し、計測器に物質がない状態を0%とする。
上記定義に基づくと光記録媒体に用いる記録材料としては、主減量過程における重量減量の傾きが2%/℃以上が好ましい。前記重量減量の傾きが2%/℃未満であると、記録部の広がりが大きくなり、短い記録部を形成することが困難となることがある。
また、主減量過程における重量減少率は、30%以上が好ましい。前記重量減少率が30%未満であると、良好な記録変調度、記録感度が得られないことがある。更に、熱的特性に必要な条件は、減量開始温度T1が一定の温度範囲にあることが好ましい。具体的には、前記減量開始温度は350℃以下が好ましく、200〜350℃がより好ましい。前記減量開始温度が350℃を超えると、記録レーザ光のパワーが高くなり実用的でなくなることがあり、200℃未満であると、再生劣化を起こすなど記録安定性が悪化することがある。
この場合、前記塩形成色素における前記アゾ金属キレートアニオン化合物と、前記シアニン色素カチオン化合物との混合比(モル比)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記アゾ金属キレートアニオン化合物:前記シアニン色素カチオン化合物=1:0.5〜5が好ましい。
これらの中でも、インドレニン環で構成されるインドレニン系トリメチンシアニン色素が耐光性が優れている点から最も好ましい。
具体的には、記録再生波長近傍の長波長近傍の波長域光に対する記録層単層の屈折率nが1.5〜3.0であり、消衰係数kが0.02〜0.2の範囲が好ましい。前記屈折率nが1.5未満であると、十分な光学的変化が得られにくいため、記録変調度が低くなることがあり、3.0を超えると波長依存性が高くなり過ぎるため、記録再生波長領域であってもエラーとなってしまうことがある。また、前記消衰係数kが0.02未満であると記録感度が悪くなることがあり、0.2を超えると50%以上の反射率を得ることが困難となることがある。
図2は、本発明の光記録媒体に適用し得る層構成例を示す概略断面図であり、これは追記型光ディスクの例である。図2(A)は、基板1/記録層2からなる追記型光ディスクを示す。図2(B)は、基板1/下引き層3/記録層2からなる追記型光ディスクを示す。図2(C)は、基板1/下引き層3/記録層2/保護層4からなる追記型光ディスクを示す。図2(D)は、ハードコート層5/基板1/下引き層3/記録層2/保護層4からなる追記型光ディスクを示す。
なお、図2若しくは図3を2枚貼合わせたいわゆるエアーサンドイッチ、又は密着貼合わせ構造としてもよい。
前記基板としては、基板側より記録及び再生の少なくともいずれかを行う場合には使用レーザ光に対して透明でなければならず、記録層側から記録及び再生の少なくともいずれかを行う場合には、基板は透明である必要はない。従って、本発明において、基板2枚をサンドイッチ状で用いる場合は、例えば、一方の基板(第2の基板)のみが透明であれば、他方の基板(第1の基板)の透明、不透明は問わない。
なお、基板を1層しか用いない場合はその基板表面に、また基板2枚をサンドイッチ状で用いる場合は第1基板の表面に、トラッキング用の案内溝や案内ピット、更にアドレス信号等のプレフォーマットが形成されていることが好ましい。
また、トラックピッチは、通常、0.7〜1.0μmが好ましく、高容量化の用途では0.7〜0.8μmが好ましい。
前記記録層はレーザ光の照射により何らかの光学的変化を生じさせ、その変化により情報を記録できるものであって、この記録層中には本発明の前記色素が含有されていることが必要で、該記録層の形成にあたっては、本発明の第一形態に係る有機色素(前記構造式(3)で表されるアゾ金属キレート化合物)及び第二形態に係る有機色素(前記構造式(1−1)で表されるアゾ金属キレートアニオン化合物と前記構造式(4)で表されるシアニン色素カチオン化合物)から選択される少なくとも1種を用いることができる。前記記録層には、光学特性、記録感度、及び信号特性等の向上を目的として他の有機色素、金属、又は金属化合物と、混合或いは積層化してもよい。
前記他の有機色素としては、例えば、ポリメチン色素、ナフタロシアニン系染料、フタロシアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、ピリリウム系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン(インダンスレン)系染料、キサンテン系染料、トリフェニルメタン系染料、アズレン系染料、テトレヒドロコリン系染料、フェナンスレン系染料、トリフェノチアジン系染料、金属キレート化合物、等が挙げられ、これらの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせても構わない。
また、前記染料中に金属、又は金属化合物を添加することもできる。該金属又は金属化合物としては、例えば、In、Te、Bi、Se、Sb、Ge、Sn、Al、Be、TeO2、SnO、As、Cd等を分散混合、或いは積層の形態で用いることもできる。
前記下引き層は、(1)接着性の向上、(2)水又はガス等のバリア、(3)記録層の保存安定性の向上、(4)反射率の向上、(5)溶剤からの基板や記録層の保護、及び(6)案内溝・案内ピット・プレフォーマット等の形成等を目的として使用される。
前記(1)の目的としては、高分子材料、例えば、アイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル系樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴム等の種々の高分子物質、及びシランカップリング剤等を用いることができる。前記(2)及び(3)の目的としては、前記高分子材料以外に無機化合物、例えば、SiO2、MgF2、SiO、TiO2、ZnO、TiN、SiN等、更に金属、又は半金属、例えば、Zn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、Ag、Al等を用いることができる。また、前記(4)の目的に対しては、金属、例えば、Al、Ag等や、金属光沢を有する有機薄膜、例えば、メチン染料、キサンテン系染料等を用いることができる。前記(5)及び(6)の目的としては、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。
前記反射層の材料としては、単体で高反射率の得られる腐食されにくい金属、半金属等が挙げられ、例えば、Au、Ag、Cr、Ni、Al、Fe、Sn等が挙げられるが、反射率、生産性の点からAu、Ag、Alが最も好ましく、これらの金属、半金属は単独で使用しても良く、2種の合金としてもよい。
前記反射層の膜厚は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、50〜5000Å(5〜500nm)が好ましく、100〜3000Å(10〜300nm)がより好ましい。
前記保護層、又は基板表面ハードコート層は、(1)記録層(反射吸収層)の傷、ホコリ、汚れ等からの保護、(2)記録層(反射吸収層)の保存安定性の向上、(3)反射率の向上等を目的として使用される。これらの目的に対しては、前記中間層に示した材料を用いることができる。また、無機材料としては、例えば、SiO、SiO2等も用いることができる。有機材料としては、例えば、ポリメチルアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、セルロース、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジン等の熱軟化性樹脂、熱溶融性樹脂、紫外線硬化樹脂も用いることができる。前記材料のうち保護層、又は基板表面ハードコート層に最も好ましい例としては生産性に優れた紫外線硬化樹脂である。
前記保護層又は基板表面ハードコート層の膜厚は0.01〜30μmが好ましく、0.05〜10μmがより好ましい。
前記保護基板は、この保護基板側からレーザ光を照射する場合には、使用レーザ光に対し透明でなくてはならず、単なる保護板として用いる場合には、透明性は問わない。前記保護基板として使用可能な基板材料は前記の基板材料と全く同様であり、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等のプラスチックス、ガラス、セラミックス、金属等を用いることができる。
前記接着剤としては、2枚の光記録媒体を接着できる材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、生産性を考えると、紫外線硬化型接着剤又はホットメルト型接着剤が好ましい。
具体的には、光記録媒体を所定の線速度、又は、所定の定角速度にて回転させながら、基板側から対物レンズを介して半導体レーザ(例えば、630〜690nmの発振波長)などの記録用の光を照射する。この照射光により、記録層がその光を吸収して局所的に温度上昇し、例えば、ピットが生成してその光学特性を変えることにより情報が記録される。上記のように記録された情報の再生は、光記録媒体を所定の定線速度で回転させながらレーザ光を基板側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
−アゾ置換インドール化合物(A−3)の合成−
2−アミノ−3,4−ジシアノピラゾール1.33gを塩酸酸性水溶液(3倍モル比)中で、0℃において1.1倍モル比の亜硝酸水溶液を滴下し、ジアゾ化を行った。過剰の亜硝酸をアミド硫酸にて分解しジアゾ液を調製した。次に、4−ジエチルアミノインドール1.88gをエタノール中に溶解し、前記ジアゾ液を加えて反応させた。反応終了後、析出した粗結晶を濾取し、エタノールから再結晶して下記構造式で表されるアゾ置換インドール化合物(A−3)を合成した。
得られたアゾ置換インドール化合物(A−3)のIRスペクトルの結果を図5に示す。また、クロロホルム溶液の吸収スペクトルを図6に示す。元素分析の結果を表1に示す。
実施例1において、4−ジエチルアミノインドール1.88gの変わりに4−ジブチルアミノインドール2.44gを用いた以外は、実施例1と同様にして、下記構造式で表されるアゾ置換インドール化合物(A−7)を合成した。得られたアゾ置換インドール化合物(A−7)の元素分析の結果を表2に示す。
実施例1において、4−ジエチルアミノインドール1.88gの変わりに下記構造式Aで表されるアミノインドール化合物2.00gを用いた以外は、実施例1と同様にして、下記構造式で表されるアゾ置換インドール化合物(A−15)を合成した。得られたアゾ置換インドール化合物(A−15)の元素分析の結果を表3に示す。
実施例1において、4−ジエチルアミノインドール1.88gの変わりに下記構造式Bで表されるアミノインドール化合物2.15gを用いた以外は、実施例1と同様にして、下記構造式で表されるアゾ置換インドール化合物(A−18)を合成した。得られたアゾ置換インドール化合物(A−18)の元素分析の結果を表4に示す。
−アゾ金属キレート化合物の合成−
前記アゾ置換インドール化合物(A−3)1.33g、及び酢酸ニッケル(II)四水和物0.40gをジメチルフォルムアミド(DMF)に懸濁した。この懸濁液を100℃に昇温し、1時間攪拌した。反応溶液を水に排出し、析出した粗製物をメチルエチルケトン(MEK)から再結晶し、アゾ金属キレート化合物(A−3−Ni)を1.37g得た。
得られたアゾ金属キレート化合物(A−3−Ni)のIRスペクトルの結果を図7に示す。また、クロロホルム溶液の吸収スペクトルを図8に示す。元素分析の結果を表5に示す。
−アゾ金属キレート化合物の合成−
前記アゾ置換インドール化合物(A−3)1.33g、及び酢酸銅(II)一水和物0.41gをジメチルフォルムアミド(DMF)に懸濁した。この懸濁液を100℃に昇温し、1時間攪拌した。反応溶液を水に排出し、析出した粗製物をメチルエチルケトン(MEK)から再結晶し、アゾ金属キレート化合物(A−3−Cu)を1.22g得た。得られたアゾ金属キレート化合物(A−3−Cu)の元素分析の結果を表6に示す。
−アゾ金属キレート化合物の合成−
実施例5において、アゾ置換インドール化合物(A−3)の代わりにアゾ置換インドール化合物(A−7)を用いた以外は、実施例5と同様にして、アゾ金属キレート化合物(A−7−Ni)を合成した。得られたアゾ金属キレート化合物(A−7−Ni)の元素分析の結果を表7に示す。
−アゾ金属キレート化合物の合成−
実施例5において、アゾ置換インドール化合物(A−3)の代わりにアゾ置換インドール化合物(A−15)を用いた以外は、実施例5と同様にして、アゾ金属キレート化合物(A−15−Ni)を合成した。得られたアゾ金属キレート化合物(A−15−Ni)の元素分析の結果を表8に示す。
−アゾ金属キレート化合物の合成−
実施例5において、アゾ置換インドール化合物(A−3)の代わりにアゾ置換インドール化合物(A−18)を用いた以外は、実施例5と同様にして、アゾ金属キレート化合物(A−18−Ni)を合成した。得られたアゾ金属キレート化合物(A−18−Ni)の元素分析の結果を表9に示す。
−塩形成色素の合成−
前記アゾ置換インドール化合物(A−3)1.00g(3.01mmol)をエタノール100mlに懸濁した。この懸濁液に5N−NaOH水溶液1.20ml(6.02mmol)を加えた後、Co(NH3)6・Cl3 0.61g(1.51mmol)を加え、80℃にて10時間反応させた。反応液を濃縮後、水100mlを加え、弱酸になるまで塩酸水溶液を加え、析出した沈殿物を濾過し、乾燥した。
−塩形成色素の合成−
実施例10において、Co(NH3)6・Cl3 0.61g(1.51mmol)を酸化バナジウム(IV)アセチルアセトナート0.40g(1.51mmol)に変えた以外は、実施例10と同様にして、アゾ金属キレートアニオン化合物(A−3−VO)とシアニン色素カチオン化合物(C−26)とからなる塩形成色素を合成した。得られた塩形成色素の元素分析の結果を表11に示す。
−塩形成色素の合成−
実施例10において、シアニン色素カチオン化合物(C−26)のヨウ化物を1.82g(3.01mmol)をシアニン色素カチオン化合物(C−1)のヨウ化物1.75g(3.01mmol)に変えた以外は、実施例10と同様にして、アゾ金属キレートアニオン化合物(A−3−Co)とシアニン色素カチオン化合物(C−1)とから塩形成色素を合成した。得られた塩形成色素の元素分析の結果を表12に示す。
−塩形成色素の合成−
実施例10において、アゾ置換インドール化合物(A−3)1.00g(3.01mmol)をアゾ置換インドール化合物(A−7)1.17g(3.01mmol)に変えた以外は、実施例10と同様にして、アゾ金属キレートアニオン化合物(A−7−Co)とシアニン色素カチオン化合物(C−26)とからなる塩形成色素を合成した。得られた塩形成色素の元素分析の結果を表13に示す。
前記アゾ金属キレート化合物(A−3−Ni)をトリフルオロアルコールに溶解し、石英基板上にスピンコート法により厚さ約670Åに成膜した。
得られたアゾ金属キレート化合物(A−3−Ni)の薄膜の吸収スペクトルを図9に示す。
前記アゾ金属キレート化合物(A−3−Cu)をトリフルオロアルコールに溶解し、石英基板上にスピンコート法により厚さ約670Åに成膜した。
前記アゾ金属キレート化合物(A−15−Ni)をトリフルオロアルコールに溶解し、石英基板上にスピンコート法により厚さ約670Åに成膜した。
アゾ金属キレートアニオン化合物(A−3−Co)とシアニン色素カチオン化合物(C−26)とからなる塩形成色素をトリフルオロアルコールに溶解し、石英基板上にスピンコート法により厚さ約670Åに成膜した。
アゾ金属キレートアニオン化合物(A−3−Co)とシアニン色素カチオン化合物(C−1)とからなる塩形成色素をトリフルオロアルコールに溶解し、石英基板上にスピンコート法により厚さ約670Åに成膜した。
アゾ金属キレートアニオン化合物(A−3−Co)のアンモニウム塩をトリフルオロアルコールに溶解し、石英基板上にスピンコート法により厚さ約670Åに成膜した。
シアニン色素カチオン化合物(C−26)のヨウ素化物をトリフルオロアルコールに溶解し、石英基板上にスピンコート法により厚さ約670Åに成膜した。
下記構造式で表される芳香族アゾ金属キレートアニオン(III)とシアニン色素カチオン化合物(C−26)とからなる塩形成色素をトリフルオロアルコールに溶解し、石英基板上にスピンコート法により厚さ約670Åに成膜した。
得られた各薄膜について、分光エリプソメトリ法により波長660nmでの光学定数(屈折率n、減衰係数k)を測定した。結果を表14に示す。
本発明のアゾ金属キレートアニオン化合物とシアニン色素カチオン化合物とからなる塩形成色素は、アゾ金属キレート化合物単独(比較例1)、及び従来技術である芳香族アゾキレート色素とシアニン色素との塩形成色素(比較例3)に比べて、高い屈折率が得られることが認められる。
各薄膜について、耐光性試験器(5万Luxのキセノン(Xe)光)を20時間連続照射し、その後の劣化定数を測定した。結果を表15に示す。
−光記録媒体の作製−
厚さ0.6mm、深さ1750Å(175nm)、半値幅0.32μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝を形成したポリカーボネート樹脂製基板を作製した。
基板上にアゾ金属キレート化合物(A−3−Ni)の2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液をスピナー塗布し、厚さ900Å(90nm)の記録層を形成した。記録層上にスパッタ法により銀を厚さが1200Å(120nm)となるように反射層を成膜した。反射層上にアクリル系フォトポリマーにて厚さが7μmの保護層を設けた後、厚さ0.6mmのポリカーボネート樹脂製平面基板をアクリル系フォトポリマーにて接着し、光記録媒体を作製した。
−光記録媒体の作製−
実施例19において、アゾ金属キレート化合物(A−3−Ni)をアゾ金属キレート化合物(A−15−Ni)に変えた以外は、実施例19と同様にして、光記録媒体を作製した。
−光記録媒体の作製−
実施例19において、アゾ金属キレート化合物(A−3−Ni)をアゾ金属キレートアニオン化合物(A−3−Co)とシアニン色素カチオン化合物(C−26)とからなる塩形成色素に変えた以外は、実施例19と同様にして、光記録媒体を作製した。
−光記録媒体の作製−
実施例19において、アゾ金属キレート化合物(A−3−Ni)をアゾ金属キレートアニオン化合物(A−3−Co)とシアニン色素カチオン化合物(C−1)とからなる塩形成色素に変えた以外は、実施例19と同様にして、光記録媒体を作製した。
−光記録媒体の作製−
実施例19において、アゾ金属キレート化合物(A−3−Ni)をシアニン色素カチオン化合物(C−26)のヨウ素化物に変えた以外は、実施例19と同様にして、光記録媒体を作製した。
−光記録媒体の作製−
実施例19において、アゾ金属キレート化合物(A−3−Ni)を下記構造式で表される芳香族アゾ金属キレートアニオン(III)とシアニン色素カチオン化合物(C−26)とからなる塩形成色素に変えた以外は、実施例19と同様にして、光記録媒体を作製した。
作製した各光記録媒体について、光ディスク評価装置(パルステック社製、DDU−1000)を用いて、発振波長658nm、ビーム径1.0μmの半導体レーザ光を用い、トラッキングしながらEFM信号(線速3.5m/sec.)を記録し、発振波長658nmの半導体レーザの連続光(再生パワー0.7mW)で再生し、再生波形を観察して、反射率、変調度、及びジッタを測定した。
各光記録媒体について、60℃−相対湿度90%の環境下で600時間保存し、その後の反射率、変調度、及びジッタを上記同様に測定した。
本発明の光記録媒体は、優れた記録特性を有し、高速書き換えが可能であり、DVD+R、DVD−Rなどに幅広く用いることができる。
2 記録層
3 下引き層
4 保護層
5 ハードコート層
6 反射層
7 保護基板
8 接着層
Claims (18)
- 下記構造式(1)で表されることを特徴とするアゾ置換インドール化合物。
- 請求項1から2のいずれかに記載のアゾ置換インドール化合物と金属塩とを反応させて得られることを特徴とするアゾ金属キレート化合物。
- 金属原子の価数が2価である請求項4に記載のアゾ金属キレート化合物。
- 金属原子が、ニッケル及び銅のいずれかである請求項4から5のいずれかに記載のアゾ金属キレート化合物。
- 基板と、該基板上に少なくとも記録層を設けてなり、該記録層が請求項3から6のいずれかに記載のアゾ金属キレート化合物を含有してなることを特徴とする光記録媒体。
- 記録層材料の熱重量分析における主減量過程での温度に対する減量の傾きが2%/℃以上である請求項7に記載の光記録媒体。
- 記録層材料の熱重量分析における主減量過程での総減量が30%以上であり、かつ減量開始温度が350℃以下である請求項7から8のいずれかに記載の光記録媒体。
- 基板と、該基板上に少なくとも記録層を設けてなり、該記録層が、下記構造式(1−1)で表されるアゾ置換インドール化合物と金属、金属酸化物及びこれらの塩から選択されるいずれかとからなるアゾ金属キレートアニオン化合物と、下記構造式(4)で表されるシアニン色素カチオン化合物とからなる塩形成色素を含有することを特徴とする光記録媒体。
- アゾ金属キレートアニオン化合物における金属及び金属酸化物のいずれかの価数が3価である請求項10から11のいずれかに記載の光記録媒体。
- アゾ金属キレートアニオン化合物における金属原子が、Co及びVOのいずれかである請求項10から12のいずれかに記載の光記録媒体。
- 環A及び環Bが、インドレニン環、チアゾリン環、及びオキサゾリン環のいずれかである請求項10から13のいずれかに記載の光記録媒体。
- シアニン色素カチオン化合物が、インドレニン系トリメチンシアニン色素である請求項14に記載の光記録媒体。
- 記録再生波長±10nmの波長領域の光に対する記録層単層の屈折率nが1.5≦n≦3.0であり、かつ消衰係数kが0.02≦k≦0.2である請求項7から15のいずれかに記載の光記録媒体。
- 記録再生波長が630〜690nmである請求項16に記載の光記録媒体。
- 基板におけるトラックピッチが0.7〜0.8μmであり、かつ案内溝幅が半値幅で0.18〜0.40μmである請求項7から17のいずれかに記載の光記録媒体。
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