JP2005298430A - 1,3−ジアダマンチルエステル類の製造方法 - Google Patents

1,3−ジアダマンチルエステル類の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 1,3−ジアダマンタンジオール類以外の原料から1,3−ジアダマンタンエステル類を効率よく製造する方法を提供し、延いては常圧下の反応で効率よく1,3−アダマンタンジオール類を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 1,3−ジハロゲン化アダマンタン類と、酢酸等のカルボン酸化合物と、臭化ナトリウム等のハロゲン化アルカリ金属塩と、酢酸亜鉛等の該カルボン酸化合物の金属塩又は酸化亜鉛等の遷移金属酸化物とを混合して反応させて1,3−ジアダマンチルエステル類を製造し、このような製法で得られた1,3−ジアダマンチルエステル類のエステル結合を酸又は塩基の存在下に水等と反応させることにより切断すると共に水酸基を導入して1,3−アダマンタンジオール類を得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、機能性材料や電子材料用の原料として使用される1,3−アダマンタンジオール類の原料として有用な1,3−ジアダマンチルエステル類を製造する方法及び該方法で得られた1,3−ジアダマンチルエステル類を原料として1,3−アダマンタンジオール類を製造する方法に関する。
アダマンタン誘導体は、耐熱性に優れ透明性も高いという特徴を有することから耐熱性高分子等の高機能性材料や半導体用レジスト等の電子材料に応用することが期待されている。中でも1,3−アダマンタンジオール類は、機能性高分子を始めとする種々のアダマンタン誘導体を合成する原料として重要であると共に、各種コーティング材料としても有用である。
1,3−アダマンタンジオール類の製法としては、アダマンタンを酸化する方法及び1,3−ジハロゲン化アダマンタンを水と反応させる方法が知られている。アダマンタンを酸化する方法としては、(i)イミド化合物及びバナジウム化合物の存在下、アダマンタンを酸素酸化させる方法(特許文献1参照)及び(ii)ルテニウム化合物の存在下アダマンタンを次亜塩素酸類により酸化させる方法(特許文献2参照)などが知られている。また、1,3−ジハロゲン化アダマンタンを水と反応させる方法としては、(iii)ピリジンの存在下に水と反応させる方法(特許文献3及び4参照)等が知られている。
しかしながら、前記(i)及び(ii)の方法を用いた場合には、アダマンタノン、アダマンタノール、トリアダマンタノール等の他の酸化物が副生するため目的物の収率は60%以下と低いばかりでなく、これら副生物を含む反応液から目的物を分離するのが困難であるという問題がある。また、方法(i)では、反応は空気を吹き込みながら加圧下で行なう必要があり、該方法を実施するためには加圧設備が必要である。一方、方法(iii)によれば、例えば85%以上の高収率で1,3−アダマンタンジオールを得ることができる。しかしながら方法(iii)では反応を150℃程度の高温で行なうため、0.5MPa程度の加圧下で反応を行なう必要があり、方法(i)と同様に製造設備上の制約がある。
また、一般に、アルコール類はエステル基を有する化合物を加水分解することにより容易に得られるため、1,3−アダマンタンジオール類の製造方法としては1,3−ジアダマンタンエステル類の加水分解も考えられる。しかしながら、このような方法で1,3−アダマンタンジオール類を製造した例は知られておらず、また1,3−ジアダマンチルエステル類自体に関しても、(1,3−アダマンタンジオール類以外の原料から)これを効率よく製造する方法は知られていない。即ち、これまで知られている1,3−ジアダマンチルエステル類の製法は、1,3−アダマンタンジオール類をカルボン酸誘導体と反応させる方法(特許文献5及び6参照)及びアダマンタンと酢酸コバルト(III)と、トリフルオロ酢酸と、酢酸とを混合して反応させる方法(非特許文献1参照)であり、後者の方法における1,3−ジアダマンチルアセテートの収率は9モル%と非常に低いものである。
特開2000−38360号公報 特開2000−219646号公報 特開2000−327604号公報 特開2003−192619号公報 特開2000−119220号公報 特開平11−80078号公報 ジャーナル オブ ザ ケミカル ソサイェティ パーキン トランザクション 2(Jornal of the Chemical Society Perkin Transaction 2)、1976年、1285ページ
このように前記(i)〜(iii)の方法は、反応収率や目的物の精製、或いは反応設備の点で工業的に必ずしも有利な方法とは言えず、常圧下の反応で効率よく1,3−アダマンタンジオール類を得ることができる製造方法が望まれていた。このような要求を満足する可能性のある方法として1,3−ジアダマンタンエステル類を加水分解する方法が考えられるが、1,3−アダマンタンジオール類以外の原料から1,3−ジアダマンチルエステル類を効率よく製造する方法はこれまで知られていなかった。
本発明者らは、1,3−アダマンタンジオール類以外の原料から1,3−ジアダマンチルエステル類を効率よく製造する方法を提供し、延いては常圧下の反応で効率よく1,3−アダマンタンジオール類を製造する方法を提供すべく検討を行なったところ、1,3−ジハロゲン化アダマンタン類をカルボン酸化合物の金属塩又は遷移金属酸化物の存在下にカルボン酸化合物と反応させた場合には1,3−ジアダマンチルエステル類が効率よく製造できること、及び1,3−ジアダマンチルエステル類を酸又は塩基の存在下に水やアルコールと反応させることにより常圧下で効率よく1,3−アダマンタンジオール類が得られることを見出すに至った。
上記前段の方法(即ち、1,3−ジハロゲン化アダマンタン類から1,3−ジアダマンチルエステル類を得る方法、以下、基本ジエステル製法ともいう。)は優れた方法ではあるが、反応条件によっては、反応時間を長くしても完全に反応は完結せず、反応液中には中間体である3−ハロゲン化−1−アダマンチルエステル類が15モル%(原料1,3−ジクロロアダマンタン基準)程度含まれる場合があることが明らかとなった。
そこで、本発明は、上記基本ジエステル製法において、1,3−ジハロゲン化アダマンタン類から1,3−アダマンタンジオール類を更に高収率で得ることを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、上記基本ジエステル製法において、ハロゲン化アルカリ金属塩を共存させて反応を行なったところ、1,3−ジアダマンチルエステル類の収率が向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、第一の本発明は、1,3−ジハロゲン化アダマンタン類と、ハロゲン化アルカリ金属塩と、カルボン酸と、該カルボン酸の金属塩又は遷移金属酸化物とを混合して反応させることを特徴とする、1,3−ジアダマンチルエステル類の製造方法である。
また、第二の本発明は、酸又は塩基の存在下で、上記方法で得た1,3−ジアダマンチルエステル類のエステル結合を切断して水酸基を導入する工程を含むことを特徴とする1,3−アダマンタンジオール類の製造方法である。
本発明によれば、1,3−ジハロゲン化アダマンタン類から1,3−ジアダマンチルエステル類を安価かつ高収率で製造することができる。さらに、得られた1,3−ジアダマンチルエステル類を原料とすることにより、1,3−アダマンタンジオール類を常圧下の反応で安価且つ高収率で得ることができる。一般に塩素化物は臭素化物或いはヨウ素化物に比べ安価である反面、反応性が低いのに対し、本発明では1,3−ジクロロアダマンタンを原料とした場合にも高収率で目的物を得ることが可能である。したがって、本発明の方法は、機能性高分子を始めとする種々のアダマンタン誘導体を合成する原料として重要であると共に各種コーティング材料としても有用な1,3−アダマンタンジオール類及び該1,3−アダマンタンジオール類の原料となる1,3−ジアダマンチルエステル類の工業的製造方法として極めて有用である。
第一の本発明の製造方法(以下、本発明のエステル製法ともいう)では、1,3−ジハロゲン化アダマンタン類と、ハロゲン化アルカリ金属塩と、カルボン酸と、該カルボン酸の金属塩又は遷移金属酸化物とを混合して反応させることにより、1,3−ジアダマンチルエステル類を製造する。ここで目的物である1,3−ジアダマンチルエステル類は、アダマンタン骨格の1位及び3位の炭素原子にエステル基が夫々1つ結合した化合物であれば特に限定されないが、製造が容易であることとエステル結合の切断が容易であるという理由から下記式(1)
Figure 2005298430
(式中、Rは、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜5の重合性不飽和炭化水素基であり、R及びRは、各々独立に、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。)
で示される化合物であるのが好適である。
上記式(1)において、Rは、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜5の重合性不飽和炭化水素基である。炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が挙げられ、このうち特にメチル基が好ましい。また、炭素数1〜5の重合性不飽和炭化水素基としては、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、1−プロペニル基、3−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、4−ペンテニル基、1,3−ブタジエニル基等の炭素数1〜5のものが挙げられ、これらの中でも、ビニル基、イソプロペニル基が好ましい。また、式(1)においてR又はRが炭素数1〜5のアルキル基である場合における当該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、これらの中でもメチル基、エチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
本発明の目的物である1,3−ジアダマンチルエステル類のうち、好適なものを具体的に例示すれば、1,3−ジアダマンチルアセテート、5−メチル−1,3−ジアダマンチルアセテート、5−エチル−1,3−ジアダマンチルアセテート、5,7−ジメチル−1,3−ジアダマンチルアセテート、5,7−ジエチル−1,3−ジアダマンチルアセテート、1,3−ジアダマンチルアクリレート、1,3−ジアダマンチルメタクリレート、5−メチル−1,3−ジアダマンチルアクリレート、5−メチル−1,3−ジアダマンチルメタクリレート、5−エチル−1,3−ジアダマンチルアクリレート、5−エチル−1,3−ジアダマンチルメタクリレート、5,7−ジメチル−ジアダマンチルアクリレート、5,7−ジエチル−ジアダマンチルアクリレート、5,7−ジメチル−ジアダマンチルメタクリレート、5,7−ジエチル−ジアダマンチルメタクリレート等を挙げることができる。
以下、本発明のエステル製法で使用する反応物(reactant:反応原料、触媒等)、反応条件や反応手順、生成物等について詳しく説明する。
本発明のエステル製法において原料として使用する1,3−ジハロゲン化アダマンタン類は、アダマンタンの1位及び3位の水素原子が、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンにより置換され化合物であれば公知のものが制限無く使用できるが、入手の容易性から下記式(2)
Figure 2005298430
{式中、R及びRは、各々前記式(1)におけるのと同義であり、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。}
で示される化合物を使用するのが好適である。
前記式(2)で示される1,3−ジハロゲン化アダマンタン類の内、好適な化合物を具体的に例示すれば、1,3−ジクロロアダマンタン、1,3−ジブロモアダマンタン、1,3−ジヨードアダマンタン、5−メチル−1,3−ジクロロアダマンタン、5−エチル−1,3−ジクロロアダマンタン、5−メチル−1,3−ジブロモアダマンタン、5−エチル−1,3−ジブロモアダマンタン、5−メチル−1,3−ジヨードアダマンタン、5−エチル−1,3−ジヨードアダマンタン、5,7−ジメチル−1,3−ジクロロアダマンタン、5,7−ジエチル−1,3−ジクロロアダマンタン、5,7−ジメチル−1,3−ジブロモアダマンタン、5,7−ジエチル−1,3−ジブロモアダマンタン、5,7−ジメチル−1,3−ジヨードアダマンタン、5,7−ジエチル−1,3−ジヨードアダマンタン等を挙げることができる。
本発明のエステル製法で使用するカルボン酸化合物は分子内にカルボキシル基を有する化合物であれば特に限定されないが、反応性が高いということと、入手が容易であるという理由から下記式(3)
Figure 2005298430
{式中、Rは、前記式(1)におけるのと同義である。}
で示されるカルボン酸化合物を使用するのが好適である。
なお、本発明のエステル製法においてカルボン酸と該カルボン酸の金属塩とを併用して反応する場合には、入手が容易であるという理由から前記式(3)におけるRは、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基であるのが好ましい。また、カルボン酸と遷移金属酸化物とを併用して反応する場合には、Rは、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜5の重合性不飽和炭化水素基の何れであってもよい。
本発明のエステル製法で好適に使用できるカルボン酸化合物を具体的に例示すると、Rが炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基であるものとしては、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、吉草酸、ヘキサン酸が挙げられ、入手の容易さ、反応性の高さより、特に酢酸が好ましい。また、Rが炭素数1〜5の重合性不飽和炭化水素基であるものとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、4−ペンテン酸、4−メチル−4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、2,4−ペンタジエン酸等が挙げられ、入手の容易さ、反応性の高さより、特に酢酸、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
本発明のエステル製法においてカルボン酸化合物の使用量は、化学量論数(stoichiometric number)に対応する量以上、即ち1,3−ジハロゲン化アダマンタン類1モルに対して2モル以上であれば特に限定されない。反応溶媒を兼ね反応速度も速くなるという効果及び反応終了後の後処理の容易さのバランスからカルボン酸化合物の使用量は1,3−ジハロゲン化アダマンタン類1モルに対して2〜100モル、特に2〜50モルであるのが好適である。なお、利点は特にないが1,3−ジハロゲン化アダマンタン類1モルに対して2モル未満使用して反応を行なうことも勿論可能である。また、エステル化反応をカルボン酸金属塩の共存下行なう場合、該金属塩のアシルオキシ基がハロゲン原子と置換してエステル結合が導入させる反応系路もあるため、この場合には金属塩の量も含めて化学量論数に対応する量以上とすればよい。但し、カルボン酸化合物を使用せずに1,3−ジハロゲン化アダマンタン類とカルボン酸金属塩とを混合しても反応は殆ど進行しないので、反応を効率的に行なうためには少なくとも1,3−ジハロゲン化アダマンタン類1モルに対して、1モル、特に2モルのカルボン酸化合物を使用する必要がある。
本発明のエステル製法で使用するカルボン酸金属塩は、反応で使用するカルボン酸化合物の金属塩であれば特に限定されず、例えばカルボン酸化合物として前記式(3)で示される化合物を使用する場合には、下記式(4)で示される化合物が好適に使用できる。
Figure 2005298430
(式中、Rは、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素であり、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属又は遷移金属であり、nは1又は2である。)
なお、Rはカルボン酸化合物として使用する前記式(3)で示される化合物(該化合物においてRは炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基である)のRと同じ基が採用される。
また、上記式(4)のMの具体例としては、ナトリウム、銀(I)、銅(I)、亜鉛(II)等が挙げられ、反応性の高さより、特に亜鉛(II)が好ましい。即ち、式(4)で示されるカルボン酸金属塩としては、入手の容易さ、反応性の高さより、酢酸亜鉛(II)が最も好ましい。なお、括弧内の数は金属の価数(1価又は2価)を表し、式(4)中のnはこの価数と一致する。カルボン酸金塩は、金属種の異なるものを混合して使用してもよい。また、無水和物、水和物の何れであっても使用出来るが、反応速度の観点から無水和物を使用するのが好適である。但し、水和物を使用した場合においても、後述するようにカルボン酸無水物を添加する等して反応系内を実質的に非水系(ここで実質的に非水系であるとは、反応系内に含まれる水の量が10000ppm以下、好ましくは1000ppm以下であることを意味する。)にできれば、反応速度を高く保つことができる。
本発明のエステル製法におけるカルボン酸金属塩の使用量は、カルボン酸化合物の使用量にもよるが、反応性の高さと反応後の操作性の良さから、1,3−ジハロゲン化アダマンタン類1モルに対して、0.5モル〜5モル、特に1モル〜3モルであるのが好適である。カルボン酸化合物とカルボン酸金属塩を使用する場合には、1,3−ジハロゲン化アダマンタン類1モルに対してカルボン酸化合物を1モル〜100モル、カルボン酸塩を0.5モル〜5モル、特にカルボン酸化合物を2モル〜50モル、カルボン酸金属塩を1〜3モル使用するのが好適である。
本発明のエステル製法で使用する遷移金属酸化物は、遷移金属の酸化物であれば特に限定されないが、入手の容易さ、反応性の高さより、酸化銀(I)、酸化銅(I)、酸化亜鉛(II)等を使用するのが好ましく、特に、酸化亜鉛(II)が好ましい。これら、遷移金属の酸化物は、2種類以上組み合わせて使用してもよい。本発明の方法において金属酸化物の使用量は、反応速度の速さ、反応終了時の後処理の容易さから、1,3−ハロゲン化アダマンタン類1モルに対し、0.5〜5モル、特に1〜3モル使用するのが好ましい。
本発明のエステル製法においては、反応をハロゲン化アルカリ金属塩(アルカリ金属のハロゲン化物)の共存下で行なう必要がある。ハロゲン化アルカリ金属塩を共存させない場合(即ち、基本ジエステル製法)でも目的物である1,3−ジアダマンチルエステル類を高収率で得ることができるが、ハロゲン化アルカリ金属塩を共存させることにより収率が一層向上する。ここで、ハロゲン化アルカリ金属塩類としては、公知の化合物が制限なく使用できるが、効果の観点からアルカリ金属の臭化物又はヨウ化物を使用するのが好適である。好適に使用できるハロゲン化アルカリ金属塩を例示すれば、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等を挙げることができる。これらのの中でも入手の容易さ及び反応速度の速さより、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム及びヨウ化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を使用するのが特に好適である。
本発明のエステル製法において、ハロゲン化アルカリ金属塩の使用量は特に制限はされないが、反応速度の速さ、反応終了後の後処理の容易さから、1,3−ジハロゲン化アダマンタン類1モルに対し、0.01〜10モルで使用するのが好ましく、特に0.1〜5モル使用するのが好ましい。
本発明のエステル製法では、反応過程においてカルボン酸化合物又はカルボン酸化合物及びカルボン酸金属塩のアシルオキシ基が1,3−ジハロゲン化アダマンタン類のハロゲン原子と置換してエステル結合が導入され、目的物の1,3−ジアダマンタンエステル類が生成する。このときの反応は、夫々所定量の各種反応物(reactant)を混合することにより行なわれる。即ち、反応器に(a)夫々所定量の1,3−ジハロゲン化アダマンタン類、ハロゲン化アルカリ金属、カルボン酸化合物及び該カルボン酸金属塩又は(b) 夫々所定量の1,3−ジハロゲン化アダマンタン類、ハロゲン化アルカリ金属、カルボン酸化合物及び遷移金属酸化物を適宜導入し攪拌する等して混合し、反応させればよい。なお、ハロゲン化アルカリ金属以外の反応物を混合し、反応が開始してからハロゲン化アルカリ金属を添加しても同様の効果を得ることができるが、操作の簡便性の観点から反応開始時からハロゲン化アルカリ金属を共存させて反応を行なうのが好適である。反応開始時には反応中間体となる3−ハロゲン化−1−アダマンチルエステル類は反応系内に存在しないので、別言すれば、本発明のエステル製法では、3−ハロゲン化−1−アダマンチルエステル類の非存在下に夫々所定量の各種反応物(reactant)を混合することにより反応を開始するのが好適である。
反応は、カルボン酸化合物以外の溶媒の存在下に行なうこともできるが、反応速度及び収率の観点から無溶媒(溶媒の非存在下)で行なうのが好適である。また、反応速度の観点から反応系は、水分濃度が10000ppm以下、特に1000ppm以下の非水系で行なうのが好適である。本発明のエステル製法においては反応系を非水系にするために、カルボン酸無水物を添加する方法が好適に採用される。このとき使用するカルボン酸無水物としては、反応物として使用されるカルボン酸化合物の無水物が好適に使用される。カルボン酸無水物の使用量は、系内の水が十分にとれる量であれば特に限定されず、使用する原料に含まれる水分量に応じて適宜決定すればよい。
また、カルボン酸化合物として炭素数1〜5の重合性不飽和炭化水素基を含むもの(重合性カルボン酸化合物)を使用した場合には、反応中に分子量が300〜5000程度の不純物成分(以下、該不純物成分を「オリゴマー不純物」ともいう)が副生するのを防止するために重合禁止剤を添加するのが好適である。本発明において好適に使用できる重合禁止剤を例示すれば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェノール等のフェノール系化合物;ベンゾキノン、ナフトキノン等のキノン系化合物;フェノチアジン、アニリン等のアミン系化合物;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のニトロキシラジカル系化合物;ジチオカルバミン酸銅等の銅化合物;イオウ化合物;リン化合物;酸素等が挙げられる。これら重合禁止剤は2種以上組み合わせて使用してもよい。重合禁止剤の使用量は、重合を抑制効果および過剰使用防止の観点から、重合性不飽和カルボン酸の質量を基準として0.01〜10質量%、特に0.01〜2質量%であるのが好ましい。
本発明のエステル製法の反応における反応条件は、使用する反応物の種類に応じて適宜決定すればよいが、反応性の高さから、反応温度は10〜200℃、特に40〜180℃で行なうのが好ましく、特に使用するカルボン酸化合物の沸点付近で反応させるのが好ましい。通常、2時間〜24時間反応させることによりで十分な転化率を得ることができる。
このような方法で得られた反応液中の1,3−ジアダマンチルエステル類は、例えば反応液に抽出溶媒となる有機溶媒を加えて目的物を抽出した後に有機層を分離し、分離された有機層から有機溶媒を除去する等の方法により回収することができる。具体的には、反応液に有機溶媒を添加した後に、水洗浄及びそれに引き続く塩基性水溶液洗浄を行って反応液中のカルボン酸、カルボン酸と金属との錯体、金属酸化物、金属ハロゲン化物等の不純物を水層として除去すると共に有機層を分離し、分離された有機層から抽出溶媒を留去して1,3−ジアダマンチルエステル類粗体(通常、1,3−ジアダマンチルエステル類が90モル%以上含まれている。)を得ることができる。このとき抽出溶媒としては、濃縮の容易さ、抽出操作の容易さから、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪則炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ジブロモベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類等が好適に使用できる。
このようにして分離された1,3−ジアダマンチルエステル類の粗体は、必要に応じて活性炭処理、シリカ処理、アルミナ処理等の吸着処理や、再結晶、減圧蒸留、水蒸気蒸留、昇華精製等の公知の方法で精製を行なうことにより高純度化される。なお、第二の本発明の方法の原料として使用する場合には、特に精製を行なうことなく粗体をそのまま原料として使用することもできる。
本発明のエステル製法で得られる1,3−ジアダマンチルエステル類は、1,3−アダマンタンジオール類や3−ヒドロキシ−1−アダマンチルエステル類の合成原料として有用である。なお、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルエステル類は、1,3−ジアダマンチルエステル類の2つのエステル基のうちの片方のみを加水分解して得られるものであり、特に重合性不飽和カルボン酸ジアダマンチルエステル類から誘導されるものは、高機能性材料や電子材料の原料モノマーとして有用である。
第二の本発明の製造方法(以下、本発明のアダマンタンジオール製法ともいう。)では、本発明のエステル製法で得られた1,3−ジアダマンチルエステル類のエステル結合を酸又は塩基の存在下に切断して水酸基を導入することにより1,3−アダマンタンジオール類を製造する。エステル結合を切断する方法としては、公知の酸又は塩基の存在下での、エステル結合切断方法が制限なく使用できるが、水及び/又はアルコールと反応させるのが好適である。水との反応では加水分解により水酸基が導入され、1,3−アダマンタンジオールが生成すると共にカルボン酸化合物が副生する。また、アルコールと反応させた場合には、アルコーリシス(alcoholysis)によりエステル交換反応が起こり、1,3−アダマンタンジオールが生成すると共にカルボン酸化合物とアルコールに由来するエステルが副生する。なお、加水分解及びアルコーリシスは同時に起こってもよい。以下、本発明のアダマンタンジオール製法について詳しく説明する。
先ず、酸の存在下での反応について説明する。本発明のアダマンタンジオール製法で使用される酸としては、硫酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等のハロゲン化水素酸類、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリブロモ酢酸等の酢酸類等の公知の酸が使用できるが、これらの中でも副反応による副生成物の低減と価格が安価であるという理由から塩化水素、臭化水素、硫酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びp−トルエンスルホン酸なる群より選ばれる少なくとも1種の酸を使用するのが好適である。酸の使用量は、特に制限されるものではないが、少なすぎると反応速度が極端に遅くなり、多すぎると副反応により収率が低下するため、使用する1,3−ジハロゲン化アダマンタン類1モルに対し、0.01〜10モル、特に0.1〜5モル使用するのが好適である。
酸存在下での反応は、酸の存在下に1,3−ジアダマンチルエステル類と水及び/又はアルコールとを接触させることにより好適に行われる。アルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の1級アルコールが好適に使用できる。反応が加水分解である場合には上記の該接触は通常水を含む溶媒中で行なわれる。このとき使用できる溶媒としてはアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪則炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ジブロモベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジターシャリーブチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類等を挙げることができる。また、反応がアルコーリシスである場合には、上記接触は、通常、無溶媒(即ちアルコール中)で行なわれる。酸存在下での反応は、反応性が高いという理由から、水とアルコール類の混合溶媒中、またはアルコール中で行なうのが好適である。
使用するアルコール類の量は、化学量論数(stoichiometric number)に対応する量以上であれば特に制限されるものではないが、少なすぎると反応速度が極端に遅くなり、多すぎると釜収量が減少するため、使用する1,3−ジハロゲン化アダマンタン類1質量部に対し、0.5〜50質量部、特に、1〜30質量部使用するのが好適である。また水を使用する場合の水の量は、化学量論数(stoichiometric number)に対応する量以上であれば特に制限されるものではないが、少なすぎると反応速度が極端に遅くなり、多すぎると釜収量が減少するため、使用する1,3−ジハロゲン化アダマンタン類1質量部に対し、0.5〜50質量部、特に、1〜30質量部使用するのが好適である。アルコール以外の有機溶媒を使用する場合の有機溶媒の量は、特に制限されるものではないが、同様の理由により1,3−ジハロゲン化アダマンタン類1質量部に対し、0.5〜50質量部、特に、1〜30質量部使用するのが好適である。
酸存在下での反応における反応条件は適宜決定すればよいが、反応温度は、20℃〜150℃、特に60℃〜120℃で行なうのが好ましい。反応時間は、その他の反応条件に応じて反応進行程度を確認しながら適宜決定すればよいが、通常1時間〜24時間で十分な転化率を得ることができる。
酸存在下の反応に於いては、加水分解速度は比較的遅いため、アルコーリシスにより1,3−アダマンタンジオール類を得るのが特に好ましい。このとき、反応速度がより速くなるという理由からエステル交換において生成するエステルを除去しながら反応を行なうのが好適である。
次に塩基存在下での反応について説明する。このとき使用できる塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物類、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸塩類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムターシャリーブトキシド等のアルコキシ金属塩類、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等のアミン類等の公知の塩基が制限無く使用できるが、これらの中でも、反応性の高さと価格の安価さから、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムを使用するのが好適である。塩基の使用量は、特に制限されるものではないが、少なすぎると反応速度が極端に遅くなり、多すぎると副反応により収率が低下するため、使用する1,3−ジハロゲン化アダマンタン類に1モル対し、0.01〜10モル、特に0.1〜5モル使用するのが好適である。
塩基存在下の反応はアルコーリシスより加水分解の方が、簡便で後処理も容易であるため好ましい。このため、塩基存在下での反応は、塩基の存在下に1,3−ジアダマンチルエステル類と水とを接触させることにより好適に行われる。該接触は通常水を含む溶媒中で行なわれる。このとき使用できる溶媒、使用する溶媒の量及び使用する水の量は酸存在化での反応と同様である。また、好適な反応条件も酸存在下における反応とほぼ同じである。
塩基存在下での反応においては、反応終了後、酸により中和することで、1,3−アダマンタンジオール類を得る。酸としては、硫酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等のハロゲン化水素酸類、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリブロモ酢酸等の酢酸類等の酸として機能することが知られている公知の酸が使用できるが、これらの中でも副生成物低減と価格が安価であるという理由から塩化水素、臭化水素、硫酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びp−トルエンスルホン酸なる群より選ばれる少なくとも1種の酸を使用するのが好適である。
本発明のアダマンタンジオール製法において、1,3−ジアダマンチルエステル類として前記式(1)で示される化合物を使用した場合には、下記式(5)
Figure 2005298430
{式中、R及びRは、各々前記式(1)におけるものと同義である。}
で示される1,3−アダマンタンジオール類が得られる。
前記式(5)で示される1,3−アダマンタンジオール類の内、好適な化合物を具体的に例示すれば、1,3−アダマンタンジオール、5−メチル−1,3−アダマンタンジオール、5−エチル−1,3−アダマンタンジオール、5,7−ジメチル−1,3−アダマンタンジオール、5,7−ジエチル−1,3−アダマンタンジオール等を挙げることができる。
このような方法で得られた反応液から1,3−アダマンタンジオール類を分離する方法は特に制限はされないが、例えば次のような方法により好適に行なうことができる。
即ち、酸存在下での反応を行なった場合には、溶媒であるアルコール類等を留去後、水を加え、場合によっては塩基で中和し、ろ過後、1,3−アダマンタンジオール類の粗体を得る。また、塩基存在化で反応を行なった場合には、酸で中和後、固体をろ過し、1,3−アダマンタンジオール類の粗体を得る。次いで、不純物は溶解するが1,3−アダマンタンジオール類は溶解しないか溶解し難い有機溶媒を加えてリスラリー化した後に該スラリーをろ過し、乾燥することにより、純度の高い1,3−アダマンタンジオール類(通常、1,3−アダマンタンジオール類が95モル%以上含まれている。)を得ることができる(以下、このような処理をリスラリー処理とも言う)。前記リスラリー処理で使用する有機溶媒としては、不純物除去の効果が高いことから、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪則炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ジブロモベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジターシャリーブチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類等を使用するのが好適である。リスラリー処理においては、有機溶媒を添加後、一度加温した後、室温以下に冷却し、ろ過する方法が、取得量の多さ等から好適である。
前記リスラリー処理と合わせて、活性炭処理、シリカ処理、アルミナ処理等の吸着処理を行なうことで、オリゴマー不純物等の各種不純物を除去し一層の純度の向上を図り、脱色(不純物に由来する着色の除去)の効果を得ることもできる。また、このような処理の他に再結晶、昇華精製等の公知の方法で、精製を行なうことにより高純度な目的物を得ることもできる。なお、目的物の純度はガスクロマトグラフィー(GC)による測定により確認することができ、オリゴマー不純物の量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により確認できる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
実施例1
(ジエステル化反応)
300ml四つ口フラスコに、1,3−ジクロロアダマンタン10.2g(0.05mol)、酢酸亜鉛(II)・無水和物を1,3−ジクロロアダマンタンと等モル量の9.2g(0.05mol)、臭化ナトリウムを1,3−ジクロロアダマンタンと等モル量の5.1g(0.05mol)、氷酢酸を1,3−ジクロロアダマンタンの3重量倍の30.6g(0.51mol)、無水酢酸を1,3−ジクロロアダマンタンの0.3重量倍の3.0g(0.03mol)加え、115℃で3時間加熱攪拌した。反応当初は、酢酸亜鉛(II)が完全には溶解しておら懸濁状態を呈していたが、反応が進行すると共に、溶解し、反応開始より5時間後には均一溶液となっていた。反応後、溶液を室温まで冷却し、反応液を一部サンプリングし、GCで分析したところ1,3−ジクロロアダマンタンの93モル%が1,3−ジアダマンチルアセテートに転化していることが確認された(原料1,3−ジクロロアダマンタン基準の反応収率93%)。なお、不純物として、3−クロロ−1−アダマンチルアセテートが7モル%(原料1,3−ジクロロアダマンタン基準の反応収率)生成していた。
次に上記反応で得られた反応液に抽出溶媒として酢酸エチル30g、水30gを加え、水洗を行なった後に水層を抜き出した。次いで有機層に10%炭酸ナトリウム水溶液30gを加えて洗浄した後に水層を抜き出すという操作を2回行なった後、有機層から酢酸エチルを減圧留去し、濃縮を行なった。
(ジオール化反応)
濃縮物に20%水酸化ナトリウム水溶液30g(0.15mol)、メタノール10gを加え、90℃で1時間加熱攪拌した。濃硫酸で中和後、固体をろ過し、純水で洗浄し、1,3−アダマンタンジオールの粗体10gを得た。その後、酢酸エチルを1,3−ジクロロアダマンタン仕込み量の2重量倍の20g加え、55℃で1時間攪拌した。この時、1,3−アダマンタンジオールは完全には溶解しておらず、懸濁状態を呈していた。その後、5℃に冷却し、2時間攪拌、熟成後、固体ろ過し、7.7g(収率92%)の白色固体を得た。この固体をGC及びGPCにより分析した結果、1,3−アダマンタンジオールの含有量はGC純度98%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は0.2質量%であった。
実施例2〜4
実施例1において、ジエステル化反応において臭化ナトリウムを表1に示すものに変更した以外は同様に行なった。その結果を表1に示す。
Figure 2005298430
実施例5
実施例1と同様にしてジエステル化反応を行った。酢酸エチルを留去濃縮後の濃縮物にエタノールを20g、p−トルエンスルホン酸を10g加え、生成する酢酸エチルとエタノールを除去しながら、80℃で12時間加熱攪拌した。反応後、溶媒を減圧留去し、水20gを加えた。水酸化ナトリウムで中和後、固体をろ過し、純水で洗浄し、1,3−アダマンタンジオールの粗体10gを得た。その後、酢酸エチルを1,3−ジクロロアダマンタン仕込み量の2重量倍の20g加え、55℃で1時間攪拌した。この時、1,3−アダマンタンジオールは完全には溶解しておらず、懸濁状態を呈していた。その後、5℃に冷却し、2時間攪拌、熟成後、固体ろ過し、7.3g(収率87%)の白色固体を得た。この固体をGC及びGPCにより分析した結果、1,3−アダマンタンジオールの含有量はGC純度97%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は0.2質量%であった。
実施例6〜8
実施例5において、ジエステル化反応において臭化ナトリウムを表2に示すものに変更した以外は同様に行なった。その結果を表2に示す。
Figure 2005298430
実施例9
実施例1において、酢酸亜鉛(II)・無水和物の代わりに酸化亜鉛(II)を1,3−ジクロロアダマンタンと等モル量の4.2g(0.05mol)使用する他は同様にしてジエステル化反応及び反応液の分析を行なった。反応液の分析結果から求めた1,3−ジアダマンチルアセテートの反応収率は94モル%であった。
ジエステル化反応終了後、実施例1と同様にしてジオール化反応を行なった。酢酸エチルでリスラリー処理後、固体をろ過したところ、7.6g(収率90%)の白色固体が得られた。この固体をGC及びGPCにより分析した結果、1,3−アダマンタンジオールの含有量はGC純度98%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は0.2質量%であった。
実施例10〜12
実施例9において、ジエステル化反応において臭化ナトリウムを表3に示すものに変更した以外は同様に行なった。その結果を表3に示す。
Figure 2005298430
実施例13
実施例9と同様にしてジエステル化反応を行った。酢酸エチルを留去濃縮後の濃縮物にエタノールを20g、p−トルエンスルホン酸を10g加え、生成する酢酸エチルとエタノールを除去しながら、80℃で12時間加熱攪拌した。反応後、溶媒を減圧留去し、水20gを加えた。水酸化ナトリウムで中和後、固体をろ過し、純水で洗浄し、1,3−アダマンタンジオールの粗体10gを得た。その後、酢酸エチルを1,3−ジクロロアダマンタン仕込み量の2重量倍の20g加え、55℃で1時間攪拌した。この時、1,3−アダマンタンジオールは完全には溶解しておらず、懸濁状態を呈していた。その後、5℃に冷却し、2時間攪拌、熟成後、固体ろ過し、7.4g(収率88%)の白色固体を得た。この固体をGC及びGPCにより分析した結果、1,3−アダマンタンジオールの含有量はGC純度98%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は0.2質量%であった。
実施例14〜16
実施例13において、ジエステル化工程において臭化ナトリウムを表4に示すものに変更した以外は同様に行なった。その結果を表4に示す。
Figure 2005298430
実施例17
実施例1において、酢酸亜鉛(II)・無水和物の代わりに、酢酸亜鉛(II)・2水和物を1,3−ジクロロアダマンタンと等モルの11.0g(0.05mol)、無水酢酸を1,3−ジクロロアダマンタンの2モル倍の10.2g(0.10mol)使用する他は同様にしてジエステル化反応及び反応液の分析を行なった。反応液の分析結果から求めた1,3−ジアダマンチルアセテートの反応収率は85モル%であった。
ジエステル化反応終了後、実施例17と同様にしてジオール化反応を行なった。酢酸エチルでリスラリー処理後、固体をろ過したところ、7.5g(収率89%)の白色固体が得られた。この固体をGC及びGPCにより分析した結果、1,3−アダマンタンジオールの含有量はGC純度98%であり、オリゴマー不純物のポリスチレン換算の含有量は0.2質量%であった。
実施例18〜20
実施例17において、ジエステル化工程において臭化ナトリウムを表5に示すものに変更した以外は同様に行なった。その結果を表5に示す。
Figure 2005298430
参考例1
(基本ジエステル製法)
300ml四つ口フラスコに、1,3−ジクロロアダマンタン10.2g(0.05mol)、酢酸亜鉛(II)・無水和物を1,3−ジクロロアダマンタンと等モル量の9.2g(0.05mol)、氷酢酸を1,3−ジクロロアダマンタンの3重量倍の30.6g(0.51mol)、無水酢酸を1,3−ジクロロアダマンタンの0.3重量倍の3.0g(0.03mol)加え、115℃で3時間加熱攪拌した。反応当初は、酢酸亜鉛(II)が完全には溶解しておら懸濁状態を呈していたが、反応が進行すると共に、溶解し、反応開始より5時間後には均一溶液となっていた。反応後、溶液を室温まで冷却し、反応液を一部サンプリングし、GCで分析したところ1,3−ジクロロアダマンタンの約85モル%が1,3−ジアダマンチルアセテートに転化していることが確認された。なお、反応液中には3−クロロ−1−アダマンチルアセテートが約15モル%(原料1,3−ジクロロアダマンタンモル数基準)残存していた。
比較例1
300ml四つ口フラスコに、1,3−ジクロロアダマンタン10.2g(0.05mol)、酢酸亜鉛(II)・無水和物を1,3−ジクロロアダマンタンと等モル量の9.2g(0.05mol)、ジメチルホルムアミドを1,3−ジクロロアダマンタンの3重量倍の30.6g(0.42mol)加え、150℃で8時間加熱攪拌した。反応開始より8時間後には、溶液は均一となっていたが、反応液中の1,3−ジアダマンチルアセテートは、GC純度17%であり、単離には至らなかった。
比較例2
300ml四つ口フラスコに、1,3−ジクロロアダマンタン10.2g(0.05mol)、酸化亜鉛(II)を1,3−ジクロロアダマンタンと等モル量の4.2g(0.05mol)、ジメチルホルムアミドを1,3−ジクロロアダマンタンの3重量倍の30.6g(0.42mol)加え、150℃で8時間加熱攪拌した。反応開始より8時間後には、溶液は均一となっていたが、反応液中に1,3−ジアダマンチルアセテートは、確認されず、単離には至らなかった。
比較例3
200ml四つ口フラスコに、1,3−ジクロロアダマンタン10.2g(0.05mol)、ピリジン10ml(0.12mol)、水4ml(0.22mol)加え、100℃で30時間加熱攪拌したが、反応液中に1,3−アダマンタンジオールは、確認されず、単離には至らなかった。

Claims (3)

  1. 1,3−ジハロゲン化アダマンタン類と、ハロゲン化アルカリ金属塩と、カルボン酸化合物と、該カルボン酸化合物の金属塩又は遷移金属酸化物とを混合して反応させる工程を含むことを特徴とする1,3−ジアダマンチルエステル類の製造方法。
  2. 前記工程における反応を実質的に非水系で行なうことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 酸又は塩基の存在下で請求項1又は2に記載の方法で得た1,3−ジアダマンチルエステル類のエステル結合を切断して水酸基を導入する工程を含むことを特徴とする1,3−アダマンタンジオール類の製造方法。
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