JP2005295969A - 細胞分離装置 - Google Patents

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力 鈴木
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昭浩 宮内
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Abstract

【課題】 複数回行なわれる分離操作におけるコンタミネーションの発生を抑制できる細胞分離装置を提供する。
【解決手段】 異なる複数種の細胞を含む細胞含有液を収容し、この細胞含有液に含まれる細胞から目的の細胞を分離する2以上の細胞分離室1、3と、2以上の細胞分離室1、3間で細胞を移動させるための移動流路5と、細胞分離室1、3毎に設けられ、細胞分離室1、3へ液体を注入する注入流路7、17及び細胞分離室1、3内の液体を導出する導出流路9、19、21とを備え、細胞分離室1、3は、各々、収容した細胞含有液に含まれる細胞のうち、付着性を有するか、または、付着性が他の細胞よりも強い細胞を付着させる付着部35、37を有し、移動流路5は、移動流路5を開閉する移動流路開閉手段5aを有している構成とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、異なる複数種の細胞を含む細胞含有液から目的とする細胞を分離して回収する細胞分離装置に関する。
異なる複数種の細胞を含む細胞含有液から目的とする細胞を分離する方法として、細胞の付着性を利用し、細胞含有液を入れた容器に付着した細胞以外の細胞を培養液または洗浄液などで洗い流して取り除く分離操作を行う方法や、細胞の大きさや表面抗原などを尺度に、セルソーターなどの機器によって目的の細胞を分離する方法が用いられている。このような細胞の分離方法の中で、細胞の付着性を利用した方法は、セルソーターなどの機器を用いる必要がないため、セルソーターなどの機器を用いる方法に比べて操作が簡便であり、また、コストを低減できる点などで有利である。
付着性を利用した細胞の分離では、例えば、主に哺乳類などの動物の骨髄液から付着性細胞である間葉系幹細胞つまりMSCなどの細胞を分離して細胞株として得る場合、取り出した骨髄細胞を細胞培養液に希釈して培養することにより、付着性を有するMSCなどの細胞を培養容器の内壁などに付着させる。そして、培地や洗浄液などで付着していない浮遊状態の細胞を洗い流すことで、付着したMSCなどの細胞と浮遊状態の細胞とを分離する。このような細胞の付着性を利用した細胞の分離操作は、作業者がピペットなどを用いて手作業で行なっている。
ところで、ここに例示したような骨髄液からのMSCなどの細胞の分離などでは、異なる3種類以上の細胞を分離する場合がある。この場合、上記のような細胞を付着させた後、浮遊状態の細胞を洗い流すという操作を、複数回繰り返すことになる。このため、上記のような分離操作を作業者がピペットなどを用いて複数回行うことになり、コンタミネーションの発生の確率が高くなるため、得られる細胞の品質や生産性などに関する懸念が生じる。特に、再生医療などに用いる細胞の生産などのための分離操作である場合、得られる細胞の品質や生産性などに関する問題は大きい。したがって、分離操作を複数回行なってもコンタミネーションの発生を抑制できる細胞分離装置が必要とされている。
これに対して、継代培養の操作におけるコンタミネーションの発生を抑制するため、作業者がピペットなどを用いて手作業で操作を行なわなくても、培地や培養細胞の供給、回収、排出などができる細胞培養装置として、継代培養を一体化された2つの培養床で行う装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平2001−275659号公報(第4−9頁、第1図)
ところが、特許文献1のような細胞培養装置は、継代培養を行なうための装置であり、培養の前などに異なる複数種の細胞からの目的の細胞の分離操作が必要な場合は、作業者がピペットなどを用いて手作業で行なう必要がある。また、特許文献1のような細胞培養装置では、異なる複数種の細胞からの目的の細胞の分離操作を装置内で行なうことは難しい。したがって、特許文献1のような細胞培養装置は、分離操作におけるコンタミネーションの発生を抑制するのに用いることはできない。
本発明の課題は、複数回行なわれる分離操作におけるコンタミネーションの発生を抑制することにある。
本発明の細胞分離装置は、異なる複数種の細胞を含む細胞含有液を収容し、この細胞含有液に含まれる細胞から目的の細胞を分離する2以上の細胞分離収容室と、これら2以上の細胞分離収容室間で細胞を移動させるための移動流路と、少なくとも1つの細胞分離収容室に連結され、細胞分離収容室へ液体を注入する注入流路及び細胞分離収容室内の液体を導出する導出流路とを備え、細胞分離収容室の少なくとも1つは、各々、収容した細胞含有液に含まれる細胞のうち、付着性を有するか、または、付着性が他の細胞よりも強い細胞を付着させる付着部を有し、前記移動流路は、該移動流路を開閉する移動流路開閉手段を有している構成とすることにより上記課題を解決する。
このような構成とすることにより、細胞の付着性の有無や程度に応じて付着部に付着した細胞と付着部に付着していない細胞とに分離することができる。さらに、付着部に付着していない細胞を別の細胞分離収容室内の付着部か、付着した細胞を剥離した後の付着部に付着させることで、再び、細胞の付着性の有無や程度に応じて細胞分離室内の付着部に付着した細胞と付着部に付着していない細胞とに分離することができる。加えて、各細胞分離収容室に設けられた注入流路及び導出流路、細胞分離室間を連通させる移動流路により、細胞分離室内への異なる複数種の細胞を含む細胞含有液や緩衝液、培養液などの注入、細胞分離室からの細胞の回収などを行なうことができる。このため、複数回の分離操作を、作業者がピペットなどを用いて手作業で行なうことなく、外部から隔離された一貫した空間の中で行なうことができる。したがって、複数回行なわれる分離操作におけるコンタミネーションの発生を抑制できる。
また、本発明の細胞分離装置は、異なる複数種の細胞を含む細胞含有液を収容し、この細胞含有液に含まれる細胞から目的の細胞を分離する2以上の細胞分離室と、この2以上の細胞分離室間で細胞を移動させるための移動流路と、細胞分離室に連結され、細胞分離室へ液体を注入する注入流路及び細胞分離室内の液体を導出する導出流路とを備え、細胞分離室は、各々、収容した細胞含有液に含まれる細胞のうち、付着性を有するか、または、付着性が他の細胞よりも強い細胞を付着させる付着部を有し、移動流路は、この移動流路を開閉する移動流路開閉手段を有している構成とすることにより上記課題を解決する。
このような構成とすることにより、細胞の付着性の有無や程度に応じて細胞分離室内の付着部に付着した細胞と付着部に付着していない細胞とに分離することができる。さらに、付着部に付着していない細胞を別の細胞分離室に移動流路を介して移動し、移動した細胞分離室内の付着部に付着させることで、再び、細胞の付着性の有無や程度に応じて細胞分離室内の付着部に付着した細胞と付着部に付着していない細胞とに分離することができる。加えて、各細胞分離室に設けられた注入流路及び導出流路、細胞分離室間を連通させる移動流路により、細胞分離室内への異なる複数種の細胞を含む細胞含有液や緩衝液、培養液などの注入、細胞分離室からの細胞の回収などを行なうことができる。このため、複数回の分離操作を、作業者がピペットなどを用いて手作業で行なうことなく、外部から隔離された一貫した空間の中で行なうことができる。したがって、複数回行なわれる分離操作におけるコンタミネーションの発生を抑制できる。
さらに、本発明の細胞分離装置は、異なる複数種の細胞を含む細胞含有液を収容し、この細胞含有液に含まれる細胞から目的の細胞を分離する細胞分離室と、この細胞分離室で分離した細胞を含む細胞含有液を一時的に収容する細胞収容室と、細胞分離室及び細胞収容室間で細胞を移動させるための移動流路と、細胞分離室に連結されてこの細胞分離室内へ液体を注入する注入流路及びこの細胞分離室内の液体を導出する導出流路とを備え、細胞分離室は、収容した細胞含有液に含まれる細胞のうち、付着性を有するか、または、付着性が他の細胞よりも強い細胞を付着させる付着部を有し、移動流路は、この移動流路を開閉する移動流路開閉手段を有している構成とすることにより上記課題を解決する。
このような構成とすることにより、細胞の付着性の有無や程度に応じて細胞分離室内の付着部に付着した細胞と付着部に付着していない細胞とに分離することができる。さらに、付着部に付着していない細胞を細胞収容室に移動流路を介して移動した後、細胞分離室内の付着部に付着した細胞を回収し、細胞収容室内の細胞を再び移動流路を介して細胞分離室に移動し、細胞を付着部に付着させる。これにより、再び、細胞の付着性の有無や程度に応じて細胞分離室内の付着部に付着した細胞と付着部に付着していない細胞とに分離することができる。加えて、各細胞分離室に設けられた注入流路及び導出流路、細胞分離室間を連通させる移動流路により、細胞分離室内への異なる複数種の細胞を含む細胞含有液や緩衝液、培養液などの注入、細胞分離室からの細胞の回収などを行なうことができる。このため、複数回の分離操作を、作業者がピペットなどを用いて手作業で行なうことなく、外部から隔離された一貫した空間の中で行なうことができる。したがって、複数回行なわれる分離操作におけるコンタミネーションの発生を抑制できる。
また、注入流路には、この注入流路を開閉する注入流路開閉手段が、前記導出流路には、該導出流路を開閉する導出流路開閉手段が各々設けられている構成とする。このような構成とすれば、各細胞分離室に液体を出し入れする流路が全て各流路開閉手段で閉塞でき、また、必要な流路のみを開いて液体の出し入れができるため、細胞分離室や細胞増殖室などの空間の滅菌状態を維持し易くなり、コンタミネーションの発生をより確実に抑制できる。
ところで、付着性の細胞を培養した場合、培養後に細胞を培養容器の内壁面などから剥離するため、トリプシンなどの蛋白質分解酵素を加えている。ところが、トリプシンなどの動物細胞由来の蛋白質分解酵素は、細胞の増殖能や分化能など細胞が有している能力を低下させてしまう場合がある。このため、細胞分離室の付着部に付着した細胞が目的の細胞であるとき、目的の細胞を付着部から剥離する必要があるが、この目的の細胞の剥離にトリプシンなどの動物細胞由来の蛋白質分解酵素を用いると、細胞が有している能力が低下することにより、その後の細胞の培養で得られる細胞の品質が損なわれる場合がある。
これに対して、各細胞分離室内の付着部は、間隔が0.1−500μmで形成された複数の柱状の突起を有している構成とする。このような構成とすれば、柱状の突起に細胞が付着することにより、細胞分離室内に液体を通流させることや、振動を与えると言ったような比較的弱い物理的な力で付着している細胞を付着部から剥離することができる。このため、目的の細胞の剥離にトリプシンなどの動物細胞由来の蛋白質分解酵素を用いる必要がなく、細胞の品質の低下を抑制しながら、複数回行なわれる分離操作におけるコンタミネーションの発生を抑制できる。
また、各細胞分離室内の付着部は、温度変化に応じて細胞への接着性が変化し、細胞周囲の環境温度の変化によって細胞の付着及び剥離が制御できる温度感受性の細胞接着性材料で形成されている構成とする。これにより、温度変化により細胞を付着部から剥離することができるため、目的の細胞の剥離にトリプシンなどの動物細胞由来の蛋白質分解酵素を用いる必要がなく、細胞の品質の低下を抑制しながら、複数回行なわれる分離操作におけるコンタミネーションの発生を抑制できる。
さらに、細胞分離室内の付着部は、植物細胞特有の成分で、酵素分解可能な成分を含む細胞接着性材料で形成されている構成とする。これにより、動物細胞に影響を与え難い蛋白質分解酵素により細胞を付着部から剥離することができるため、目的の細胞の剥離にトリプシンなどの動物細胞由来の蛋白質分解酵素を用いる必要がなく、細胞の品質の低下を抑制しながら、複数回行なわれる分離操作におけるコンタミネーションの発生を抑制できる。
本発明によれば、複数回行なわれる分離操作におけるコンタミネーションの発生を抑制できる。
(第1の実施形態)
以下、本発明を適用してなる細胞分離装置の一実施形態について図1乃至図5を参照して説明する。図1は、本発明を適用してなる細胞分離装置の細胞分離を行なう細胞分離室を含むユニット部分の概略構成を模式的に示す平面図である。図2は、本発明を適用してなる細胞分離装置の概略構成を模式的に示す斜視図である。図3は、本発明を適用してなる細胞分離装置の細胞分離室に設けられた付着部の構造を模式的に示す断面図である。図4は、本発明を適用してなる細胞分離装置を用いた細胞の分離操作を示すフロー図である。図5は、本発明を適用してなる細胞分離装置を用いた細胞の別の分離操作を示すフロー図である。
本実施形態の細胞分離装置は、図1に示すように、3種類以上の異なる種類の細胞を含む細胞含有液から各細胞を分離するため、2つの細胞分離室、つまり第1細胞分離室1及び第2細胞分離室3を備えている。また、第1細胞分離室1と第2細胞分離室3との間は、第1細胞分離室1で分離した細胞を第1細胞分離室1から第2細胞分離室3へ移動させるための移動管路5によって連結されている。さらに、移動管路5には、移動管路5内の流路を開閉する移動流路開閉手段となり、電動で開閉が可能なコック5aが設けられている。したがって、第1細胞分離室1と第2細胞分離室3とは、移動管路5によって連通可能な状態となっている。
第1細胞分離室1には、プランジャーポンプ6によって第1細胞分離室1内へ洗浄液を注入するための第1注入管路7、そして、第1細胞分離室1内の液体を導出する第1導出管路9が連結されている。第1注入管路7には、第1注入管路7内の流路を開閉する移動流路開閉手段となり、電動で開閉が可能なコック7aが、第1導出管路9には、第1導出管路9を開閉する導出流路開閉手段となり、電動で開閉が可能なコック9aが設けられている。したがって、第1細胞分離室1とプランジャーポンプ6の洗浄液が収容されるシリンダ室6aとは、第1注入管路7を介して連通可能になっている。第1導出管路9は、第1回収室11に連結されており、これにより、第1細胞分離室1と第1回収室11とは、第1導出管路9を介して連通可能になっている。
また、第1細胞分離室1には、第1細胞分離室1内へ細胞を含有する細胞含有液を注入するための注入ポート12が設けられている。注入ポート12は、細胞含有液注入時以外は閉塞可能になっている。第1回収室11には、第1回収室11内の細胞を細胞が浮遊している液と一緒に回収するための回収ポート13が設けられている。回収ポート13は、細胞回収時以外は密閉状態で閉塞可能になっている。
同様に、第2細胞分離室3には、プランジャーポンプ14によって第2細胞分離室3内へ洗浄液を注入するための第2注入管路17、そして、第2細胞分離室3内の液体を導出する2本の導出管路、つまり、第2導出管路19と第3導出管路21とが連結されている。第2注入管路17には、第2注入管路17内の流路を開閉する注入流路開閉手段となり、電動で開閉が可能な電動で開閉が可能なコック17aが、第2導出管路19と第3導出管路21とには、各々、第2導出管路19、第3導出管路21を開閉する導出流路開閉手段となり、電動で開閉が可能なコック19a、21aが設けられている。したがって、第2細胞分離室3とプランジャーポンプ14の洗浄液が収容されるシリンダ室14aとは、第2注入管路17を介して連通可能になっている。
第2導出管路19は、第2回収室23に連結されており、第2細胞分離室3と第2回収室23とは、第2導出管路19を介して連通可能になっている。一方、第3導出管路21は、第3回収室25に連結されており、第2細胞分離室3と第3回収室25とは、第3導出管路21を介して連通可能になっている。
また、第2細胞分離室3には、第2細胞分離室3内へ液体を注入するための注入ポート27が設けられている。注入ポート27は、液体注入時以外は閉塞可能になっている。第2回収室23及び第3回収室25には、各々、各回収室23、25内の細胞を細胞が浮遊している液と一緒に回収するための回収ポート31、33が設けられている。各回収ポート31、33は、細胞回収時以外は密閉状態で閉塞可能になっている。
本実施形態では、第1細胞分離室1及び第2細胞分離室3には、第1細胞分離室1及び第2細胞分離室3内に収容される細胞含有液に含まれる細胞を付着させるための付着部35、37が各々設けられている。付着部35、37は、例えば第1細胞分離室1及び第2細胞分離室3を形成する壁の底面となる部分に設けられている。付着部35、37は、図3に示すように、第1細胞分離室1及び第2細胞分離室3の底面1a、3aに複数の柱状の突起41を形成した構造となっている。
突起41は、細胞への接着性を有するポリスチレン製の柱状の立体的な構造を有する突起であり、幅つまり径が0.1−500μm、高さが10−10000nm、隣り合う突起41間の間隔が0.1−500μmで、例えばナノピラー技術などを用いて形成したものである。なお、突起41の幅や間隔は、分離しようとする細胞の大きさに応じて適宜幅選択することが望ましい。また、突起は、柱状であれば、円錐状や角錐状、円柱状や角柱状など様々な形状で形成することができる。
なお、本実施形態では、細胞に対する接着性が第1細胞分離室1の方が第2細胞分離室3よりも高い材質を用いている。しかし、目的に応じ第1細胞分離室1の付着部35と第2細胞分離室3の付着部37の細胞に対する接着性は同一でも構わない。
本実施形態では、第1細胞分離室1及び第2細胞分離室3、第1細胞分離室1に連結された第1注入管路7及び第1導出管路9、第2細胞分離室3に連結された第2注入管路17、第2導出管路19、そして、第3導出管路21、移動管路5、第1回収室11、第2回収室23、第3回収室25、各管路に設けられたコック5a、7a、9a、17a、19a、21a、プランジャーポンプ6、14などは、1つのカセット型のユニット43として形成されている。
この場合、例えば、第1細胞分離室1、第2細胞分離室3、第1回収室11、第2回収室23、第3回収室25となる各容器、さらに、プランジャーポンプ6、14を、ユニット43の外郭を形成する容器内に取り付け、移動管路5、第1注入管路7及び第1導出管路9、第2細胞分離室3に連結された第2注入管路17、第2導出管路19、第3導出管路21などとなるチューブを配管し、これにコック5a、7a、9a、17a、19a、21aなど取り付けることで形成する。
また、1つの透明な樹脂製のユニット43として、金型などを用いて、第1細胞分離室1及び第2細胞分離室3、第1細胞分離室1に連結された第1注入管路7及び第1導出管路9、第2細胞分離室3に連結された第2注入管路17、第2導出管路19、そして、第3導出管路21、移動管路5、第1回収室11、第2回収室23、第3回収室25を形成し、これにコック5a、7a、9a、17a、19a、21a、プランジャーポンプ6、14など取り付けることで形成した構成などにすることもできる。
このようなユニット43の側壁の外面には、この側壁を貫通したプランジャーポンプ6、14の駆動軸6b、14bが突出しており、また、電気的な接続を行うためのコネクタ45が取り付けられている。コネクタ45には、コック5a、7a、9a、17a、19a、21aからの配線47が接続されている。
本実施形態では、図2に示すように、このようなユニット43を、温度調整などが可能で、ユニット43を収容可能な形態のインキュベータ49内に設置する。インキュベータ49には、プランジャーポンプ6、14の駆動軸6b、14bに連結される駆動機構やコネクタ45に接続されるコネクタなどを含み、これらの駆動機構やコック5a、7a、9a、17a、19a、21a、インキュベータなどの動作を制御する制御部51が連結されている。そして、ユニット43がインキュベータ49の所定の位置に設置されると、制御部51の駆動機構とプランジャーポンプ6、14の駆動軸6b、14bが連結され、コック5a、7a、9a、17a、19a、21aが制御部51とコネクタ45を介して電気的に接続される。なお、制御部51は、制御部51に分離操作の種々の条件などを入力し、また、制御部51の動作を制御するためのコンピュータ53に配線55を介して電気的に接続されている。
また、本実施形態は、プランジャーポンプ6のシリンダ室6aや、プランジャーポンプ14のシリンダ室14aに、予め必要な種類の溶液を必要量入れておく構成となっている。しかし、剥離剤、緩衝液、培養液などといったような複数の溶液を注入する場合や、プランジャーポンプ6のシリンダ室6a及びプランジャーポンプ14のシリンダ室14aに収容できる溶液の容量で足りない場合などには、プランジャーポンプ6のシリンダ室6aや、プランジャーポンプ14のシリンダ室14aに、各々、配管を介してこれらの液体を含む複数の容器を連結した構成にすることもできる。
このような構成の細胞分離装置による分離操作について説明する。ここでは、このような構成の細胞分離装置を用いて、骨髄細胞から付着性細胞である間葉系幹細胞つまりMSCを分離、抽出するプロセスの中で、細胞の付着性の有無及びその程度の大小により3種類の細胞に分離する場合を例示する。また、分離操作を開始する時、コック5a、7a、9a、17a、19a、21aは閉じられており、注入ポート12、23、回収ポート13、31、33は閉塞された状態になっている。
オートクレーブ滅菌やγ線滅菌などによって滅菌した状態のユニット43の第1細胞分離室1に、図1及び図4に示すように、骨髄細胞を含む細胞含有液を第1細胞分離室1の注入ポート12から注入することで細胞を播種する(ステップ101)。そして、37℃前後の温度、湿度及び適切な気相条件にて保持するため、ユニット43をインキュベータ49内に設置する。ユニット43をインキュベータ49内に設置し、細胞が成育できる条件化で一定時間経過すると、播種した3種類の細胞のうち、例えば、付着性が最も弱いか、または、付着性がない細胞以外の2種の付着性を有する細胞が第1細胞分離室1の付着部35に付着する(ステップ102)。
ステップ102で2種の細胞が第1細胞分離室1の付着部35に付着したら、第1注入管路7のコック7a及び第1導出管路9のコック9aを開き、プランジャーポンプ6の駆動により、プランジャーポンプ6のシリンダ室6a内の洗浄液を、付着部35に付着した細胞が剥離しない程度の流量で第1細胞分離室1内に緩やかに流し込む(ステップ103)。このとき、本実施形態では洗浄液としてヒト間葉系幹細胞専用培地を用いるが、洗浄液は、他の培地やPBS(−)などの緩衝液などであっても構わない。
ステップ103では、プランジャーポンプ6から緩やかに洗浄液を第1細胞分離室1に注入することから、付着部35に付着した2種の細胞は剥離されず、第1細胞分離室1内で浮遊する1種の細胞、この場合主に血球系の浮遊細胞のみが、洗浄液によって第1回収室11に移送される(ステップ104)。ステップ103からステップ104で細胞移送終了後、第1注入管路7のコック7a及び第1導出管路9のコック9aを閉じる。その後、必要に応じて第1回収室11の回収ポート13から、第1回収室11内に移送された細胞を回収する(ステップ105)。
一方、ステップ104の後、第1注入管路7のコック7a及び移動管路5のコック5aを開け、プランジャーポンプ6により、洗浄液を第1細胞分離室1に、第1細胞分離室1の付着部35に付着している細胞が剥離するような強めの流量で注入する(ステップ106)。第1細胞分離室1の付着部35は、複数の微細な柱状の突起41を有していることから、洗浄液を第1細胞分離室1へ強めに注入することで、付着していた細胞は洗浄液の流れから受ける力で剥離される。そして、剥離された細胞は、洗浄液と共に移動管路5を介して、第2細胞分離室3に移送される(ステップ107)。
ステップ107で細胞移送後、第1注入管路7のコック7a及び移動管路5のコック5aを閉じる。そして、細胞が成育できる条件化で一定時間経過すると、播種した2種類の細胞のうち、付着性がより強い細胞が第2細胞分離室3の付着部37に付着する(ステップ108)。ステップ108で付着性がより強い細胞が第2細胞分離室3の付着部37に付着したら、第2注入管路17のコック17a及び第2導出管路19のコック19aを開き、プランジャーポンプ14の駆動により、プランジャーポンプ14のシリンダ室14a内の洗浄液を、付着部37に付着した細胞が剥離しない程度の流量で第2細胞分離室3内に緩やかに流し込む(ステップ109)。このとき、本実施形態では洗浄液としてヒト間葉系幹細胞専用培地を用いるが、洗浄液は、他の培地やPBS(−)などの緩衝液などであっても構わない。
ステップ109では、プランジャーポンプ14から緩やかに洗浄液を第2細胞分離室3に注入することから、付着部37に付着した細胞は剥離されず、第2細胞分離室3内で浮遊する付着性のより弱い細胞のみが、洗浄液によって第2回収室23に移送される(ステップ110)。ステップ109からステップ110で細胞移送終了後、第2注入管路17のコック17a及び第2導出管路19のコック19aを閉じる。その後、必要に応じて第2回収室23の回収ポート31から、第2回収室23内に移送された細胞を回収する(ステップ111)。
一方、ステップ110の後、第2注入管路17のコック17a及び第3導出管路21のコック21aを開け、プランジャーポンプ14により、第2細胞分離室3の付着部37に付着している細胞が剥離するような流量で、洗浄液を第2細胞分離室3へ強めに注入する(ステップ112)。テップ112で、第2細胞分離室3の付着部37は、第1細胞分離室1と同様に、複数の微細な柱状の突起41を有していることから、洗浄液を第2細胞分離室3へ強めに注入することで、付着していた細胞は洗浄液の流れから受ける力で剥離される。そして、剥離された細胞は、洗浄液と共に第3導出管路21を介して、第3回収室25に移送される。
細胞移送後、第2注入管路17のコック17a及び第3導出管路21のコック21aを閉じ、その後、必要に応じて第3回収室25の回収ポート33から、第3回収室25内に移送された細胞を回収する(ステップ113)。また、第3回収室25の内部に何らかの細胞培養のための処理を行なっておくことで、第3回収室25内に移送された細胞を回収せずに、第3回収室25内でそのまま培養を行なうこともできる。
このように、本実施形態の細胞分離装置では、細胞の付着性の有無または付着性の程度に応じて第1細胞分離室1内の付着部35に付着した細胞と付着部35に付着していない細胞とに分離することができる。さらに、付着部35に付着していない細胞を第2細胞分離室3に移動管路5を介して移動することで、再度、細胞の付着性の有無または付着性の程度に応じて第2細胞分離室3内の付着部37に付着した細胞と付着部37に付着していない細胞とに分離することができる。加えて、各細胞分離室1、3への洗浄液の注入や細胞含有液の移動などは、移動管路5、各注入管路7、17及び各導出管路9、19、21などによって隔離された空間内で行なうことができる。このため、複数回の分離操作を、作業者がピペットなどを用いて手作業で行なうことなく、外部から隔離された一貫した空間の中で行なうことができる。したがって、複数回行なわれる分離操作におけるコンタミネーションの発生を抑制できる。
さらに、目的の細胞の分離にセルソーターなどの高価な機器を用いる必要がないため、目的の細胞を分離するためのコストを低減できる。
さらに、本実施形態の細胞分離装置では、移動管路5には、移動流路開閉手段となるコック5aが、第1注入管路7には、第1注入流路開閉手段となるコック7aが、第1導出管路9には、第1導出流路開閉手段となるコック9aが、第2注入管路17には、第2注入流路開閉手段となるコック17aが、第2導出管路19には、第2導出流路開閉手段となるコック19aが、第3導出管路21には、第3導出流路開閉手段となるコック21aが設けられている。このため、第1細胞分離室1や第2細胞分離室3に液体を出し入れする流路が全て各コック5a、7a、9a、17a、19a、21aで閉塞でき、また、必要な管路のみを開いて液体の出し入れができるため、第1細胞分離室1や第2細胞分離室3などの滅菌状態を維持し易くなり、コンタミネーションの発生をより確実に抑制できる。加えて、第1細胞分離室1や第2細胞分離室3などへの液体や細胞の出し入れや、第1細胞分離室1や第2細胞分離室3への細胞の移動などの制御が容易になる。
さらに、移動管路5、第1注入管路7、第1導出管路9、第2注入管路17、第2導出管路19、第3導出管路21にコック5a、7a、9a、17a、19a、21aが設け、これらのコック5a、7a、9a、17a、19a、21aなどの各流路開閉手段を機械的または電気的に動作を制御しているため、目的の細胞の分離操作や分離した細胞の培地への植付け操作、増殖した細胞の回収操作などの目的の細胞を分離して増殖させるための一連の培養操作を容易に自動化できる。
加えて、本実施形態では、各細胞分離室1、3内の付着部35、37は、複数の柱状の突起41を有している。このため、付着部35、37に付着した細胞が目的の細胞である場合、細胞を本実施形態のように水流、また、水流に代えて振動を与えるといったような比較的弱い物理的な力によって付着している細胞を剥離できる。すなわち、トリプシンなどの動物細胞由来の蛋白質分解酵素を用いて細胞を剥離する必要がなく、細胞の増殖能や分化能など細胞が有している能力の低下を抑制できる。したがって、分離後の培養によって、要求される品質の細胞を得易くなる。
また、本実施形態では、ユニット43にプランジャーポンプ6、14を内蔵した構成としているが、プランジャーポンプは、ユニット43とは別に設けた構成にすることもできる。また、プランジャーポンプは、細胞を剥離しない程度の流量と、複数の微細な突起41を有する付着部35、37から細胞を剥離できる流量とに流量が調整できれば他のポンプや、水流を発生させる他の手段を用いることができる。例えば、プランジャーポンプに代えてペリスタリックポンプや、ダイヤフラムポンプなどを用いることができる。また、洗浄液などが入った容器を各細胞分離室よりも高い位置に設置し、洗浄液などが入った容器の高さを調整することで水流の強さを調整する構成などにすることもできる。
また、本実施形態では、細胞の剥離、移送などは、水流で行なっているが、ユニット43などに振動を与えることで細胞の剥離、移送などを行なったり、ユニット43を傾斜させることで細胞の移送を行ったりすることもできる。また、水流による細胞の剥離、移送を、ユニット43に振動を与えることや傾斜させることで補助することもできる。
また、本実施形態では、2つの細胞分離室1、3を備えた構成を示したが、細胞分離室は、必要に応じ3以上設けることもできる。例えば、図1の第1細胞分離室1と第1回収室11との間に第1細胞培養室1と移動管路を介して連結された第3細胞分離室を設けた場合、つまり3つの細胞分離室を設けた場合の細胞の分離操作の一例を図5に示す。第3細胞分離室にもプランジャーポンプが連結されている。ここでは、3つの細胞分離室をしなえた細胞分離装置により4種類の付着性が異なる細胞を得ている。なお、図5において図4と同じ操作を行なうステップは、図4と同じ符号を付して説明を省略している。
図5の分離操作では、ステップ106からステップ113に示すように、第1細胞分離室の付着部に付着した細胞の取扱は、図4の場合と同じである。しかし、第1細胞分離室の付着部に付着せず浮遊している細胞は、第1細胞分離室に緩やかに注入された洗浄液により、第3細胞分離室に移送される(ステップ114)。ステップ114で細胞移送後、細胞が成育できる条件化で一定時間経過すると、第3細胞分離室内に播種した2種類の細胞のうち、付着性を有する方の細胞が第3細胞分離室の付着部に付着する(ステップ115)。ステップ115で付着性を有する細胞が第3細胞分離室の付着部に付着したら、プランジャーポンプの駆動により、洗浄液を、付着部に付着した細胞が剥離しない程度の流量で第3細胞分離室3内に緩やかに流し込む(ステップ116)。
ステップ116では、プランジャーポンプから緩やかに洗浄液を第3細胞分離室に注入することから、付着部に付着した細胞は剥離されず、第23細胞分離室内で浮遊する付着性のない細胞のみが、洗浄液によって第1回収室に移送される(ステップ117)。その後、必要に応じて第1回収室の回収ポートから細胞を回収する(ステップ118)。
一方、ステップ117の後、プランジャーポンプにより、第3細胞分離室の付着部に付着している細胞が剥離するような流量で、洗浄液を第3細胞分離室へ強めに注入する(ステップ119)。ステップ119で、洗浄液を第3細胞分離室へ強めに注入することで、付着していた細胞は洗浄液の流れから受ける力で剥離される。そして、剥離された細胞は、洗浄液と共に別の導出管路を介して、別に設けられた回収室に移送される。その後、必要に応じてこの回収室から細胞を回収する(ステップ120)。
(第2の実施形態)
以下、本発明を適用してなる細胞分離装置の第2の実施形態について図4、図6及び図7を参照して説明する。図6は、本発明を適用してなる細胞分離装置の細胞分離を行なう細胞分離室を含むユニット部分の概略構成を模式的に示す斜視図である。図7は、本発明を適用してなる細胞分離装置の概略構成を模式的に示す斜視図である。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同一の構成などには同じ符号を付して説明を省略し、第1の実施形態と相違する構成や特徴部などについて説明する。
本実施形態の細胞分離装置が第1の実施形態と相違する点は、付着部が微細な複数の柱状の突起を有する構成に代えて、付着部が温度に応じて細胞との接着性が変化する温度感受性の細胞接着性材料で形成され、付着部を冷却するための冷却手段を細胞分離室の付着部に対応する部分に設けていることにある。また、本実施形態では、各細胞分離室にプランジャーポンプを連結せず、各細胞分離室に異なる種類の液体を注入可能にしている。すなわち、本実施形態の細胞分離装置では、第1細胞分離室1、第2細胞分離室3、第1回収室11、第2回収室23、第3回収室25、移動管路5、第1細胞分離室1に連結された第1注入管路7及び第1導出管路9、第2細胞分離室3に連結された第2注入管路17、第2導出管路19、第3導出管路21、各コック5a、7a、9a、17a、19a、21aなどを備えたユニット57の構成は第1の実施形態と同じである。
しかし、本実施形態の細胞分離装置では、第1細胞分離室1の付着部59は、温度感受性の細胞接着性材料を有し、第1細胞分離室1の付着部59を設けた面側には、付着部59を冷却するための冷却手段となるペルチェ素子60が設けられている。同様に、第2細胞分離室3の付着部61も、温度感受性の細胞接着性材料を有し、第2細胞分離室3の付着部61を設けた面側には、付着部61を冷却するための冷却手段となるペルチェ素子62が各々設けられている。ペルチェ素子60、62各々からの配線47は、コネクタ45に接続されている。また、本実施形態では、第1注入管路7及び第2注入管路17は、ユニット57の外郭となる容器の側壁に貫通してユニット57から突出した状態となっており、突出した端部は、各々、対応する管路を連結するための連結部7b、17bとなっている。
本実施形態の細胞分離装置では、図7に示すように、第1の実施形態と同様、ユニット57をインキュベータ49内に設置する。本実施形態のインキュベータ49には、第1注入管路7及び第2注入管路17の連結部7b、17bに連結される図示していない管路やコネクタ45に接続されるコネクタなどを含む制御部63が連結されている。制御部63には、異なる溶液を収容した複数の試薬容器65、67、69を設置でき、各試薬容器65、67、69に連結される管路71、73、75を有している。また、制御部63は、管路71、73、75が連結されて取り出す溶液と、取り出した溶液を第1注入管路7及び第2注入管路17のいずれに供給するかを切り換える図示していない切換バルブ、管路71、73、75に吸引した溶液を第1注入管路7及び第2注入管路17に送る図示していないポンプなどを有している。
そして、ユニット57がインキュベータ49の所定の位置に設置されると、第1注入管路7及び第2注入管路17の連結部7b、17bとこれに対応する制御部63の図示していない管路の連結部とが連結され、また、コック5a、7a、9a、17a、19a、21aが制御部63とコネクタ45を介して電気的に接続される。
本実施形態の第1細胞分離室1の付着部59及び第2細胞分離室3の付着部61は、温度感受性の細胞接着性材料として、例えばN−イソプロピルアクリルアミドつまりN−PAMと略称される温度応答性高分子ポリマーを用い、これを共有結合により付着部59、61となる面に固定化している。N−PAMは、32℃前後を境に細胞への接着性が変化することから、培養液の温度制御や、ペルチェ素子などの冷却手段による付着部59、61の冷却などで細胞への接着性を制御できる。
このような本実施形態の細胞分離装置では、例えば骨髄細胞からのMSCの分離の場合、図4に示したように、概略的な分離操作の流れは第1の実施形態と同じである。しかし、ステップ106及びステップ112の付着した細胞の剥離において、各々、ペルチェ素子60、62による冷却を行なう。インキュベータ49によって第1細胞分離室1や第2細胞分離室3の温度が37℃に設定されているとき、各々の付着部59、61のN−PAMは疎水性または弱い親水性となっており細胞が付着している。
ステップ106では、第1細胞分離室1に設けられたペルチェ素子60を駆動させることにより、付着部59を32℃以下、例えば30℃程度に下げる。これにより、付着部59のN−PAMは親水性となって接着性が低下し、付着部59に付着していた細胞が剥離される。同様に、ステップ112では、第2細胞分離室3に設けられたペルチェ素子62を駆動させることにより、付着部61を32℃以下、例えば30℃程度に下げる。これにより、付着部61のN−PAMは親水性となって接着性が低下し、付着部61に付着していた細胞が剥離される。
このように、本実施形態の細胞分離装置でも、第1の実施形態と同様の効果が得られ、複数回行なわれる分離操作におけるコンタミネーションの発生を抑制できる。
さらに、第1細胞分離室1の付着部59及び第2細胞分離室3の付着部61は、温度感受性の細胞接着性材料で形成されている。このため、トリプシンなどの動物細胞由来の蛋白質分解酵素を用いて細胞を剥離する必要がなく、細胞の増殖能や分化能など細胞が有している能力の低下を抑制できる。したがって、分離後の培養によって得られる細胞の品質の低下を抑制できる。
また、本実施形態では、温度感受性の細胞接着性材料のみで付着部を形成しているが、温度感受性の細胞接着性材料と抗体や蛋白質やペプチドなどとを組み合わせて付着部を形成することもできる。
また、本実施形態では、トリプシンなどの動物細胞由来の蛋白質分解酵素を用いて細胞を剥離する必要がない付着部として、温度感受性の細胞接着性材料で付着部を形成している。しかし、温度感受性の細胞接着性材料に代えて、細胞接着性物質とセルロースを含み、セルラーゼなどによって分解され細胞の剥離が可能なセルロースシート、コラーゲンを含むゲル状で、コラゲナーゼなどによって分解し、細胞の剥離が可能なコラーゲンゲル、キトサンとポリビニルアルコールを含み、キトサナーゼなどによって分解され細胞の剥離が可能なキトサンゲルなどで付着部を形成することでも、トリプシンなどの動物細胞由来の蛋白質分解酵素を用いて細胞を剥離する必要がない付着部を形成できる。ただし、温度感受性の細胞接着性材料で付着部を形成すれば、細胞の剥離に薬剤を用いる必要がない。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態では、微細な複数の突起または温度感受性の細胞接着性材料などによってトリプシンなどの動物細胞由来の蛋白質分解酵素を用いて細胞を剥離する必要がない付着部を形成している。しかし、目的とする細胞が付着する細胞でない場合、トリプシンを使用しても品質が低下し難い場合などは、細胞との接着性を有する材料であるポリスチレンなどで細胞分離室の壁面を形成したり、付着を促進する物質のコーティング処理やプラズマ処理などの表面処理を行なったポリスチレンなどの壁面で細胞分離室を画成したりする構成とすることもできる。
このように、細胞分離室に設ける付着部は、化学的接着性や免疫抗体反応、それらの組み合わせなどを適宜利用して形成することができる。したがって、付着を利用した細胞の分離は、骨髄液からのMSCに代表されるような付着性を有する細胞のみでなく、血球系などの浮遊細胞も含めた複数種の細胞の分離精製に用いることが可能である。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態では、制御部によって操作手順にしたがって自動的に各流路開閉手段となるコック5a、7a、9a、17a、19a、21aを開閉する構成を示している。しかし、流路開閉手段は、各流路内の液体の通流及び遮断を制御できるものであればよく、電磁弁などを用いることもできる。さらに、流路開閉手段として、操作手順にしたがって手作業で操作する流路開閉手段を用いた構成にすることもでき、この場合、流路開閉手段として、外側からチューブを挟み込むピンチコックやローラ式コック、活栓など手動で操作するコックなどの様々な流路開閉手段を用いることができる。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態では、第1細胞分離室1や第2細胞分離室3などを一体的にユニット43、57とした構成を示しているが、ユニット43、57のように第1細胞分離室1や第2細胞分離室3などの各要素を一体的にユニット化していない構成とすることもできる。
(第3の実施形態)
以下、本発明を適用してなる細胞分離装置の第3の実施形態について図8乃至図10を参照して説明する。図8は、本発明を適用してなる細胞分離装置の概略構成を模式的に示す平面図である。図9は、本発明を適用してなる細胞分離装置を用いた細胞の分離操作を示すフロー図である。図10は、本発明を適用してなる細胞分離装置を用いた細胞の別の分離操作を示すフロー図である。なお、本実施形態では、第1及び第2の実施形態と同一の構成などには同じ符号を付して説明を省略し、第1及び第2の実施形態と相違する構成や特徴部などについて説明する。
本実施形態の細胞分離装置が第1及び第2の実施形態と相違する点は、細部分離室に一時的に細胞を収容する細胞収容室を、移動流路を介して連結したことにある。すなわち、本実施形態の細胞分離装置は、3種類以上の異なる種類の細胞を含む細胞含有液から各細胞を分離するための細胞の細胞分離室77、そして、細胞分離室77で分離した細胞を一時的に収容する細胞収容室79を備えている。細胞分離室77と細胞収容室79との間は、細胞分離室77で分離した細胞を移動させるための移動管路81によって連結されている。さらに、移動管路81には、移動管路81内の流路を開閉する移動流路開閉手段となるコック81aが設けられている。したがって、細胞分離室77と細胞収容室79とは、移動管路81によって連通可能な状態となっている。
細胞分離室77には、細胞分離室77内へ洗浄液や細胞含有液などを注入するための注入管路83、そして、細胞分離室77内の液体を導出する3つの導出管路、つまり第1導出管路85、第2導出管路87、第3導出管路89が連結されている。注入管路83には、注入管路83内の流路を開閉する注入流路開閉手段となるコック83aが設けられている。そして、第1導出管路85には、第1導出管路85を開閉する導出流路開閉手段となるコック85aが、第2導出管路87には、第2導出管路87を開閉する導出流路開閉手段となるコック87aが、第3導出管路89には、第3導出管路89を開閉する導出流路開閉手段となるコック89aが各々設けられている。なお、第1導出管路85、第2導出管路87、第3導出管路89には、各々の端部に、分離した細胞を回収するための回収容器91、93、95が適宜連結される。
細胞分離室77には、細胞分離室77内に収容される細胞含有液に含まれる細胞を付着させるための付着部97が設けられている。付着部97は、例えば細胞分離室77を形成する壁の底面となる部分に設けられている。本実施形態の細胞分離室77は、少なくとも付着部97となる面を有する壁が、細胞の接着性が他の材料に比べて高いポリスチレンで形成されており、さらに、付着部97には、細胞の付着を促進する表面処理、例えば細胞の付着を促進する物質のコーティング処理やプラズマ処理などが行われている。一方、細胞収容室79は、細胞収容室79を画成する全ての面が、細胞が付着し難いように撥水処理を行ったプラスッチク製の壁で形成されている。
本実施形態では、細胞分離室77や細胞収容室79は、各々別個の容器で形成され、これらを移動管路81、注入管路83、第1導出管路85、第2導出管路87、第3導出管路89となるチューブに各々コック81a、83a、85a、87a、89aとなるコックを設けることで形成している。しかし、第1及び第2の実施形態のように、細胞分離室77や細胞収容室79、移動管路81、注入管路83、第1導出管路85、第2導出管路87、第3導出管路89、コック81a、83a、85a、87a、89aなどを一体的なユニット化した構成にすることもできる。また、コック81a、83a、85a、87a、89aは、電動で開閉が可能なコックを用い、自動的に開閉を制御する構成にすることもできる。
このような構成の細胞分離装置による分離操作について説明する。ここでは、このような構成の細胞分離装置を用いて、骨髄細胞から付着性細胞である間葉系幹細胞つまりMSCを分離、抽出するプロセスの中で、細胞の付着性の有無及びその程度の大小により3種類の細胞に分離する場合を例示する。また、分離操作を開始する時、コック81a、83a、85a、87a、89aは閉じられた状態になっている。
細胞分離室77や細胞収容室79、移動管路81、注入管路83、第1導出管路85、第2導出管路87、第3導出管路89、コック81a、83a、85a、87a、89aなどを組み立てて細胞分離装置とし、オートクレーブ滅菌やγ線滅菌などによって滅菌した後、細胞分離室77に、図8及び図9に示すように、注入管路83のコック83aを開き、骨髄細胞を含む細胞含有液を注入管路83から注入することで細胞を播種する(ステップ201)。そして、注入管路83のコック83aを閉じた細胞分離装置を図示していないインキュベータ内に設置し、細胞が成育できる条件化で一定時間経過すると、播種した3種類の細胞のうち、付着性が最も強い細胞が細胞分離室77の付着部97に付着する(ステップ202)。
ステップ202で1種の細胞が細胞分離室77の付着部97に付着したら、注入管路83のコック83a及び移動管路81のコック81aを開き、注入管路83から洗浄液を細胞分離室77内に注入する(ステップ203)。このとき本実施形態では洗浄液としてヒト間葉系幹細胞専用培地を用いるが、洗浄液は、他の培地やPBS(−)などの緩衝液などであっても構わない。これにより、細胞分離室77内で浮遊している2種の細胞が、移動管路81を介して、洗浄液によって細胞収容室79に移送される(ステップ204、205)。ステップ203からステップ205で細胞移送終了後、注入管路83のコック83a及び移動管路81のコック81aを閉じる。
その後、注入管路83のコック83aを再び開け、注入管路83から細胞剥離剤である0.05重量%トリプシン−0.53mMEDTA液を細胞分離室77に注入し、細胞剥離剤注入後、注入管路83のコック83aを閉じて反応させ、細胞分離室77の付着部97に付着している細胞の剥離を行う(ステップ206)。ステップ206の後、細胞の剥離を確認した時点で、注入管路83のコック83a及び適宜の導出管路のコック、例えば第1導出管路85のコック85aを開き、注入管路83から10%子ウシ胎仔血清含有の培養液を細胞分離室77に注入する。これにより、血清によりトリプシン活性が失活され、また、剥離した付着性の最も強い細胞が第1導出管路85を介して回収容器91に回収される(ステップ207)。ステップ207の後、注入管路83のコック83a及び第1導出管路85のコック85aを閉じる。
一方、細胞収容室79に収容された2種の細胞は、ステップ206からステップ207の操作の間、細胞収容室79内に収容された状態に保持されている(ステップ208)。ステップ208の後、つまり、ステップ207が終了して注入管路83のコック83a及び第1導出管路85のコック85aを閉じられた後、移動管路81のコック81aを開いて、移動管路81を介して、細胞収容室79内に一時的に収容されていた細胞を再び細胞分離室77に戻す(ステップ209)。このとき、細胞収容室79が細胞分離室77よりも上になるように傾けることで細胞を移送することもできるし、細胞収容室79に注入管路を設け、この注入管路から培養液や緩衝液などを注入することで細胞を移送することなどもできる。
ステップ209の後、移動管路81のコック81aを閉じ、細胞が成育できる条件化で一定時間経過すると、播種した3種類の細胞のうち、付着性を有する細胞が細胞分離室77の付着部97に付着する(ステップ210)。ステップ210で1方の細胞が細胞分離室77の付着部97に付着したら、注入管路83のコック83a及び適宜の導出管路のコック、例えば第2導出管路87のコック87aを開き、注入管路83から洗浄液を細胞分離室77内に注入する(ステップ211)。このとき本実施形態では洗浄液としてヒト間葉系幹細胞専用培地を用いるが、洗浄液は、他の培地やPBS(−)などの緩衝液などであっても構わない。これにより、細胞分離室77内で浮遊している細胞、本実施形態の場合主に血球系の浮遊細胞が、第2導出管路87を介して、洗浄液によって回収容器93に回収される(ステップ212、213)。ステップ213の後、注入管路83のコック83a及び第2導出管路87のコック87aを閉じる。
その後、注入管路83のコック83aを再び開け、注入管路83から細胞剥離剤である0.05重量%トリプシン−0.53mMEDTA液を細胞分離室77に注入し、細胞剥離剤注入後、注入管路83のコック83aを閉じて反応させ、細胞分離室77の付着部97に付着している細胞の剥離を行う(ステップ214)。ステップ214の後、細胞の剥離を確認した時点で、注入管路83のコック83a及び適宜の導出管路のコック、例えば第3導出管路89のコック89aを開き、注入管路83から10%子ウシ胎仔血清含有の培養液を細胞分離室77に注入する。これにより、血清によりトリプシン活性が失活され、また、剥離した細胞、つまり、ステップ207で回収容器91に回収した細胞よりも付着性が弱い細胞が第3導出管路89を介して回収容器95に回収される(ステップ215)。
このように、本実施形態の細胞分離装置では、細胞の付着性の有無または付着性の程度に応じて細胞分離室77内の付着部97に付着した細胞と付着部97に付着していない細胞とに分離することができる。さらに、付着部97に付着していない細胞を細胞収容室79に移動管路81を介して移動し、付着部97に付着した細胞を剥離して回収した後、移動管路81を介して細胞収容室79内の細胞を細胞分離室77に戻すことで、再度、細胞の付着性の有無または付着性の程度に応じて付着部97に付着した細胞と付着部97に付着していない細胞とに分離することができる。加えて、細胞分離室77への洗浄液の注入や細胞収容室79への細胞含有液の移動などは、移動管路81、注入管路83及び各導出管路85、87、89などによって隔離された空間内で行なうことができる。このため、複数回の分離操作を、作業者がピペットなどを用いて手作業で行なうことなく、外部から隔離された一貫した空間の中で行なうことができる。したがって、本実施形態のような構成の細胞分離装置でも、第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られ、複数回行なわれる分離操作におけるコンタミネーションの発生を抑制できる。
また、本実施形態では、1組の細胞分離室77と細胞収容室79を備えた構成を示したが、細胞分離室77と細胞収容室79との組を、必要に応じ2組以上連結した構成にすることもできる。
また、本実施形態では、3種類の付着性が異なる細胞を分離する操作を例示したが、本実施形態の構成で4種類の付着性が異なる細胞を分離することもできる。この場合、図10に例示したような操作を行ない、また、細胞分離室に第4導出管路を追加しておくことがクロスコンタミネーションを防ぐ上で望ましい。なお、図10において図9と同じ操作を行なうステップは、図9と同じ符号を付している。
図10に示す分離操作では、ステップ201からステップ206までに示すように、細胞分離室77の付着部97に最初に付着させた細胞の取扱は、図9の場合と同じである。しかし、ステップ206で付着部97に付着した細胞を剥離し、トリプシン活性が失活させた後、再度、細胞が成育できる条件化で一定時間経過させ、剥離した細胞のうち、付着性のより強い細胞を細胞分離室77の付着部97に付着させる(ステップ216、217)。ステップ217で付着性を有する細胞が細胞分離室77の付着部97に付着したら、ステップ203と同様に、細胞分離室77に洗浄液を注入し(ステップ218)、細胞分離室77内で浮遊している付着性がより弱い方の細胞を適宜の導出管路、例えば第1導出管路85から回収する(ステップ219、221)。そして、ステップ219の後、細胞分離室77の付着部97に付着している細胞をステップ206と同様の操作で剥離し(ステップ220)、そして、第2導出管路87から最も付着性が強い細胞を適宜の導出管路、例えば第2導出管路87から回収する(ステップ222)。
一方、細胞収容室79に収容した細胞のその後の分離操作は、ステップ205からステップ215に示すように、図9の場合と同様であるが、ステップ208では、ステップ206、そして、ステップ216からステップ222を行なっている間、細胞を細胞収容室79に保持しておく。ステップ205からステップ215の操作により、例えば付着生のない細胞と、付着性が最も弱い細胞とが分離され回収される。
また、本実施形態の細胞分離室77の付着部97は、ポリスチレンを用いることや、表面処理などを施すことで形成されているが、第1及び第2の実施形態のように、微細な複数の突起、温度感受性の細胞接着性材料、酵素などで分解可能なその他の細胞接着性材料などを用いて形成することもできる。さらに、本実施形態の細胞分離装置も、第1及び第2の実施形態のように、自動化した構成にすることもできる。
また、本発明は、第1乃至第3実施形態の構成や操作に限らず、複数の細胞分離室を備えているか、または、細胞分離室と細胞収容室の組を備えていれば、差様々な構成にすることができ、また、様々な操作で細胞を分離することができる。さらに、本発明は、第1乃至第3実施形態で例示したような種類の細胞に限らず、付着性が異なる様々な細胞の分離に適用できる。
本発明を適用してなる細胞分離装置の第1の実施形態の細胞分離を行なう細胞分離室を含むユニット部分の概略構成を模式的に示す平面図である。 本発明を適用してなる細胞分離装置の第1の実施形態の概略構成を模式的に示す斜視図である。 本発明を適用してなる細胞分離装置の第1の実施形態の細胞分離室に設けられた付着部の構造を模式的に示す断面図である。 本発明を適用してなる第1及び第2の実施形態の細胞分離装置を用いた細胞の分離操作を示すフロー図である。 本発明を適用してなる第1及び第2の実施形態の細胞分離装置を用いた細胞の別の分離操作を示すフロー図である。 本発明を適用してなる細胞分離装置の第2の実施形態の細胞分離を行なう細胞分離室を含むユニット部分の概略構成を模式的に示す平面図である。 本発明を適用してなる細胞分離装置の第2の実施形態の概略構成を模式的に示す斜視図である。 本発明を適用してなる細胞分離装置の第3の実施形態の細胞分離を行なう細胞分離室を含むユニット部分の概略構成を模式的に示す平面図である。 本発明を適用してなる第3の実施形態の細胞分離装置を用いた細胞の分離操作を示すフロー図である。 本発明を適用してなる第3の実施形態の細胞分離装置を用いた細胞の別の分離操作を示すフロー図である。
符号の説明
1 第1細胞分離室
3 第2細胞分離室
5 移動管路
7 第1注入管路
9 第1導出管路
17 第2注入管路
19 第2導出管路
21 第3導出管路
5a、7a、9a、17a、19a、21a コック

Claims (4)

  1. 異なる複数種の細胞を含む細胞含有液を収容し、該細胞含有液に含まれる細胞から目的の細胞を分離する2以上の細胞分離収容室と、該2以上の細胞分離収容室間で細胞を移動させるための移動流路と、少なくとも1つの前記細胞分離収容室に連結され、前記細胞分離収容室へ液体を注入する注入流路及び前記細胞分離収容室内の液体を導出する導出流路とを備え、前記細胞分離収容室の少なくとも1つは、各々、収容した細胞含有液に含まれる細胞のうち、付着性を有するか、または、付着性が他の細胞よりも強い細胞を付着させる付着部を有し、前記移動流路は、該移動流路を開閉する移動流路開閉手段を有している細胞分離装置。
  2. 前記注入流路には、該注入流路を開閉する注入流路開閉手段が、前記導出流路には、該導出流路を開閉する導出流路開閉手段が各々設けられていることを特徴とする請求項1に記載の細胞分離装置。
  3. 前記各細胞分離室内の付着部は、間隔が0.1−500μmで形成された複数の柱状の突起を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の細胞分離装置。
  4. 前記各細胞分離室内の付着部は、温度変化に応じて細胞への接着性が変化し、細胞周囲の環境温度の変化によって細胞の付着及び剥離が制御できる温度感受性の細胞接着性材料で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の細胞分離装置。
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