JP2005295684A - マグネチックコア並びにその製造方法及びモータのコア巻線組並びにその製造方法 - Google Patents

マグネチックコア並びにその製造方法及びモータのコア巻線組並びにその製造方法 Download PDF

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耕一郎 森本
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Abstract

【課題】 形状を比較的自由に形成することができると共に、絶縁層を比較的薄くすることができるマグネチックコアを提供する。
【解決手段】 コア本体2を金属粉10の圧粉体をバインダと共に焼成した軟磁性体により形成する。絶縁層を形成するエポキシ系樹脂層8を設けるコア本体2の表面に微小な凹部2Aを多数形成して粗面とする。形状を比較的自由に形成することができると共に、エポキシ系樹脂層8の表面への付着力も増加し、この結果エポキシ系樹脂層8の厚みAを十分な絶縁性能を有する程度の厚さで安定に形成することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、マグネチックコア並びにその製造方法及びモータのコア巻線組並びにその製造方法に関する
空気より磁束の通りがよい磁芯等と称するマグネチックコアはコイルや変圧器等に使用されている。またモータのコア巻線組は、複数の突極を有するマグネチックコアとしてのコアに巻線が巻回されており、そしてこのようなものではコアと巻線との間を絶縁する必要がある。そして絶縁手段として、電磁鋼板等をプレス加工により打ち抜いたコア素体を複数枚積層し巻線を巻回するコアの表面にエポキシ樹脂を母材とした液状の第1層目の絶縁剤をコーティングしてコアのエッジ部における絶縁剤の曲率半径がエッジ部の曲率半径よりも大きくし、第1層目の絶縁剤の表面にセラミック塗料からなる液状の第2層目の絶縁剤をコーティングして、第1層目の絶縁剤と第2層目の絶縁剤とを合わせたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、コアの材質として積層鋼板で形成する代わりに、例えば絶縁被膜処理を行った純鉄の粉末を樹脂バインダにより結合してプレスにより所定の形状に成形するように、軟磁性粉末の成形体でコアを形成することも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特許第2937621号公報(段落0006,0007,0008,0014) 特開2001−86719号公報(段落0025)
前記鋼板等をプレス加工により打ち抜いたコア素体を複数枚積層する前記前者の従来技術においては、プレス加工を利用するためコアの形状を比較的自由に形成できないという問題がある。また、巻線を行うにあたってはコアと銅線間の絶縁の為に樹脂性のボビンを用いたり多層の樹脂コーティングをする必要がある。さらにはこれら絶縁材によりコアと銅線間の熱伝導性が低下し銅線に発生した熱を逃しにくい等の問題もあった。
一方、絶縁被膜処理を行った純鉄の粉末を樹脂バインダにより結合して軟磁性粉末の成形体によりコアを形成する前記後者の従来技術においては、成形によるため形状を比較的自由にすることはできるものの、例えばコアの表面に絶縁被膜処理を行なうような場合には、純鉄の粉末の圧粉体の表面は比較的平滑であり、絶縁被膜の付着力が弱く薄く付着しにくいという問題がある。
また、十分な絶縁効果を得るために被膜厚さを厚くするとより一層はがれ易くなる。
そこで、本発明は、形状を比較的自由に形成することができるために巻線部エッジ曲率を大きくすることができ、必要最小限の絶縁厚さで巻線との短絡を防ぐことができると共に、絶縁層を十分な絶縁性能を有する程度の厚さで安定に形成することができ、しかも比較的安価に製造することができるマグネチックコア及びモータのコア巻線組を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、金属粉の圧粉体を樹脂バインダと共に焼成した軟磁性体によりコア本体を形成し、該コア本体の表面を粗面に形成すると共に、該表面に絶縁層を設けることを特徴とするマグネチックコアである。
請求項2の発明は、前記絶縁層を樹脂コーティングにより形成すると共に、該絶縁層を下地処理層を介して前記表面に設けたことを特徴とする請求項1記載のマグネチックコアである。
請求項3の発明は、前記絶縁層をPTFE(ポリ・テトラ・フルオロ・エチレン)により形成することを特徴とするする請求項1記載のマグネチックコである。
請求項4の発明は、金属粉の圧粉体を樹脂バインダと共に焼成して軟磁性体からなるコア本体を形成した後に、該コア本体の表面に粗面を形成し、該表面に絶縁層を設けることを特徴とするマグネチックコアの製造方法である。
請求項5の発明は、複数の突極を有するコア本体に巻線が巻回されてなるモータのコア巻線組において、前記コアは金属粉の圧粉体を樹脂バインダと共に焼成した軟磁性体によりコア本体が形成され、該コア本体の表面に粗面を形成すると共に、該表面に絶縁層を設けることを特徴とするモータのコア巻線組である。
請求項6の発明は、前記絶縁層を樹脂コーティングにより形成すると共に、該絶縁層を下地処理層を介して前記表面に設けたことを特徴とする請求項5記載のモータのコア巻線組である。
請求項7の発明は、前記絶縁層をPTFE(ポリ・テトラ・フルオロ・エチレン)により形成することを特徴とするする請求項5記載のモータのコア巻線組である。
請求項8の発明は、複数の突極を有するコアに巻線が巻回されてなるモータのコア巻線組の製造方法において、金属粉の圧粉体を樹脂バインダと共に焼成して軟磁性体からなるコア本体を形成した後に、該コア本体の表面に粗面を形成して、該表面に絶縁層を設けることを特徴とするモータのコア巻線組の製造方法である。
請求項1の発明によれば、コア本体の表面に粗面を介して絶縁層を設けることで、絶縁層の付着力を高めて該絶縁層を薄く形成することができる。
請求項2の発明によれば、下地処理層によりいっそう絶縁層の付着力を高めることができる。
請求項3の発明によれば、絶縁層をPTFEにより形成することで、絶縁性能を高めることができる。
請求項4の発明によれば、コア本体を形成した後にその表面に粗面を形成し、そして表面に絶縁層を設けることで、絶縁層の付着力を高めて該絶縁層を薄く形成することができる。
請求項5の発明によれば、モータのコア巻線組のコア本体の表面に粗面を介して絶縁層を設けることで、絶縁層の付着力を高めて該絶縁層を薄く形成することができる。
請求項6の発明によれば、モータのコア巻線組において、下地処理層によりいっそう絶縁層の付着力を高めることができる。
請求項7の発明によれば、モータのコア巻線組の絶縁層をPTFEにより形成することで、絶縁性能を高めることができる。
請求項8の発明によれば、モータのコア巻線組のコア本体を形成した後にその表面に粗面を形成し、そして表面に絶縁層を設けることで、絶縁層の付着力を高めて該絶縁層を薄く形成することができる。
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
図1〜2は実施例1を示しており、マグネチックコアのコア本体1は軸線Z方向に直交して該軸線Zを中心に三方向に突極2を等間隔に有しており、各突極2の軸線Z方向と直交する先端部は部分円弧状に広がった幅大部3が形成され、各突極2には巻線4が巻回されている。このようなコア巻線組はモータの電機子を構成しており、固定子として用いられる場合と回転子として用いられる場合がある。尚、図1は図2における突極2の軸線Z方向の端面側の断面を示している。
前記コア本体1は軟磁性材料の金属粉10の圧粉体をバインダ5と共に焼成して磁化や減磁が比較的容易にできる軟磁性体により形成されたものであり、実施形態では突極2の軸線Z方向の端面は円弧状に突設しており、この円弧部6と突極2の平面状の側面6Aとの接続部との間には肩状の段部7が形成されている。突極2の表面における少なくとも巻線4が接触する部位には巻線4との絶縁層を形成する絶縁用の樹脂コーティングたるエポキシ系樹脂層8が形成される共に、このエポキシ系樹脂層8と突極2との間には下地処理層9が形成されている。そして、突極2の表面には微小な凹部2Aが多数形成され粗面が形成されており、この凹部2Aが多数形成された粗面に下地処理層9を介してエポキシ系樹脂層8が形成されている。前記下地処理層9は、例えばリン酸被膜によって形成されており、そしてエポキシ系樹脂層8の表面に巻線4が巻回されている。
次に製造方法について説明する。鉄、ニッケル、コバルトなどによる軟磁性材料の金属粉10を樹脂製のバインダ5と共に図示しない金型に収容した後、圧力を加えて所定形状の圧粉体を形成した後、この圧粉体を焼成した焼成体によりコア本体1を形成するものであって、このコア本体1を形成する焼結体には、焼成した金属粉10間に気孔11が形成されている。尚、金属粉10の表面に絶縁被膜10Aが形成されている。また焼成後に矯正プレスを必要に応じて行う。さらに前記段部7はコア本体1における円弧部6を形成するために設けられたものであり、圧粉体の成形において円弧部6を形成するための図示しないパンチの端が、図示しない金型のダイに挿入する際に、ダイに収容された金属粉10に面状に突き当たるために形成された箇所によるものである。
次に焼成体の表面にショットピーニング等ショットブラスト処理やサンドブラスト処理等を施し微小な凹部2Aを多数形成して、例えば面粗さ(平均粗さ)がR6.3〜25の粗面を形成する表面処理を行う。この際には焼成したときに形成されるスケール等除去して表面の清浄を行なう。さらにその表面にはリン酸被膜による下地処理層9を形成した後、エポキシ系樹脂の塗料を1回の塗布、吹き付けにより付着させ、そして焼き付け塗装を行ってエポキシ系樹脂層8を形成するものである。尚、樹脂コーティングはエポキシ系樹脂に限らず絶縁性を有するものであればよい。
前記エポキシ系樹脂層8の厚みAは、例えば100μm以下で30μm以上に形成されている(30μm≦A≦100μm)。尚、厚みAは好ましくは80μm以下で45μm以上が好ましい(45μm≦A≦80μm)。これは厚みAが45μm、特に30μmより小さいと、1000ボルト程度の耐電圧を確保できなくなり、一方厚みAが80μm、特に100μmより大きいと1回のコーティンでは形成しにくいためである。尚、段部7の近傍においてもエポキシ系樹脂8は下地層9を介してコア2の表面に他の箇所の厚みAより大きい厚みBに形成されている(A<B)。
したがって、巻線4に電流が供給されることによって、巻線4に発生した磁力線が通ってコア本体2が磁化され、一方電流の停止に伴って磁力線が消えて消磁される。
以上のように、前記実施例では磁力線を通して磁化や減磁を行うコア本体2を金属粉10の圧粉体をバインダと共に焼成した軟磁性体により形成することにより、形状を比較的自由に形成することができると共に、エポキシ系樹脂層8を設けるコア本体2の表面に微小な凹部2Aを多数形成した例えば面粗さ(平均粗さ)がR6.3〜25の粗面が形成されているので、エポキシ系樹脂層8の表面への付着力も増加し、この結果エポキシ系樹脂層8の厚みを十分な絶縁性能を有する程度の厚さで安定に形成することができる。
また、前記エポキシ系樹脂層8は、前記突極2の表面に形成した下地処理層9を介して設けられるので、密着性等をさらに向上することができ、エポキシ系樹脂層8の厚みAを部分的に厚くすることもでき、角部7においてはエポキシ系樹脂層8の厚みBを大きくするように確保して巻線4の応力集中を防止して絶縁不良等の虞を少なくすることができる。しかも、前記エポキシ系樹脂層8の厚みAを100μm以下とすることで、1回の塗布、吹き付けにより付着させることができるので製造を容易に行うことができ、さらに汎用品等のモータのコア巻線組にあっては十分な絶縁性能を確保することができる。
さらに、金属粉10の圧粉体を樹脂バインダ6と共に焼成して軟磁性体からなるコア本体1を形成した後に、該コア本体1の表面にエポキシ系樹脂層8を設ける際、予め表面にブラスト等の粗面処理を施してスケール等を除去して面を清浄化すると共に、微小な凹部2Aを多数形成して粗面を形成することにより、エポキシ系樹脂層8の付着力を比較的簡単に向上させ、ひいてはエポキシ系樹脂層8の厚みを十分な絶縁性能を有する程度の厚さで安定に設けることができる。
実施例2を、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略して説明する。実施例2は、コア本体1の突極2の表面に微小な凹部2Aを多数形成して粗面を形成する表面処理を行い、そして表面に設ける絶縁層21をPTFE(ポリ・テトラ・フルオロ・エチレン)によって形成したものであり、このPTFEからなる絶縁層21に巻線4が巻回されているものである。
次に製造方法について説明する。軟磁性材料の金属粉10とバインダ5により圧粉体を形成した後に焼成してコア本体1を形成し、次にショットピーニング等ショットブラスト処理やサンドブラスト処理等を施してスケールを除去すると共に、微小な凹部2Aを多数形成して粗面を形成する表面処理を行い、焼成体の表面にPTFEを塗布、吹き付けにより付着させて絶縁層21を形成するものである。
したがって、巻線4に電流が供給されることによって、巻線4に発生した磁力線が通ってコア2が磁化され、一方電流の停止に伴って磁力線が消えて消磁される。
以上のように、前記実施例ではコア本体1の形状を比較的自由に形成できる等の他、絶縁層21を化学的安定性に優れ、摩擦係数も小さく、しかも絶縁性に優れているPTFEによって形成したことにより、絶縁層21の厚みをいっそう小さくしたり、或いは摺動性の向上により巻線4の切断等をいっそう防止することができる。しかも、コア本体1の表面に絶縁層21を設ける際、予め表面にブラスト処理等を施して微小な凹部2Aを多数形成して粗面を形成することにより、絶縁層21の付着力を比較的簡単に向上させ、厚みを十分な絶縁性能を有する程度の厚さで安定に設けることができる。
以上のように本発明にかかるマグネチックコアはモータのコア巻線組以外の用途にも適用できる。
本発明の実施例1示す要部の断面図である。 本発明の実施例1を示す平断面図である。
符号の説明
1 コア本体
2 突極
2A 凹部
4 巻線
5 バインダ
8 エポキシ系樹脂層(絶縁層)
9 下地処理層
10 金属粉
21 絶縁層

Claims (8)

  1. 金属粉の圧粉体を樹脂バインダと共に焼成した軟磁性体によりコア本体を形成し、該コア本体の表面を粗面に形成すると共に、該表面に絶縁層を設けることを特徴とするマグネチックコア。
  2. 前記絶縁層を樹脂コーティングにより形成すると共に、該絶縁層を下地処理層を介して前記表面に設けたことを特徴とする請求項1記載のマグネチックコア。
  3. 前記絶縁層をPTFE(ポリ・テトラ・フルオロ・エチレン)により形成することを特徴とするする請求項1記載のマグネチックコア。
  4. 金属粉の圧粉体を樹脂バインダと共に焼成して軟磁性体からなるコア本体を形成した後に、該コア本体の表面に粗面を形成し、該表面に絶縁層を設けることを特徴とするマグネチックコアの製造方法。
  5. 複数の突極を有するコア本体に巻線が巻回されてなるモータのコア巻線組において、前記コアは金属粉の圧粉体を樹脂バインダと共に焼成した軟磁性体によりコア本体が形成され、該コア本体の表面に粗面を形成すると共に、該表面に絶縁層を設けることを特徴とするモータのコア巻線組。
  6. 前記絶縁層を樹脂コーティングにより形成すると共に、該絶縁層を下地処理層を介して前記表面に設けたことを特徴とする請求項5記載のモータのコア巻線組。
  7. 前記絶縁層をPTFE(ポリ・テトラ・フルオロ・エチレン)により形成することを特徴とするする請求項5記載のモータのコア巻線組。
  8. 複数の突極を有するコアに巻線が巻回されてなるモータのコア巻線組の製造方法において、金属粉の圧粉体を樹脂バインダと共に焼成して軟磁性体からなるコア本体を形成した後に、該コア本体の表面に粗面を形成して、該表面に絶縁層を設けることを特徴とするモータのコア巻線組の製造方法。
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