JP2005295350A - アンテナ切換モジュールおよびアンテナ切換回路形成用の積層体 - Google Patents

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和弘 山田
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Abstract

【課題】 スイッチ回路での信号経路の切り換えに伴って発生したノイズを速やかに低減させることを目的とする。
【解決手段】 アンテナ切換モジュール10では、積層体100の最上面に、スイッチ回路SW1を構成する実装部品としてのダイオードD2を装着するための一対の端子パッド111,112aが設けられると共に、この一対の端子パッド111,112aの間の位置に、グランドに接続されるグランドパターン198が設けられている。これにより、ダイオードD2は、グランドパターン198を跨ぐようにして実装される。
【選択図】 図8

Description

本発明は、誘電体セラミック層を積層した積層体にアンテナ切換回路の少なくとも一部を形成する技術に関するものである。
携帯電話等の移動体通信機器には、通信周波数帯域の異なる複数の通信システムにおいて通信が可能な、いわゆるマルチバンド対応の通信機器が知られている。マルチバンド対応の通信機器は、通信周波数帯域の異なる複数の通信システムのそれぞれに対応した送信回路および受信回路と、通信電波の送受信を行うアンテナと、これら複数の送信回路および受信回路とアンテナとの接続を切り換えるアンテナ切換回路を形成するアンテナ切換モジュールとを備える。
アンテナ切換モジュールとしては、小型化・高集積化を図るため、誘電体セラミックス層を積層した積層体にアンテナ切換回路を形成したものが知られている。こうしたアンテナ切換回路には、アンテナに接続される回路を送信回路または受信回路のいずれかに切り換えるスイッチ回路が含まれており、スイッチ回路による切り換えは、従来、送信回路,受信回路との間の信号経路に配置されたダイオードにバイアス電流を流すことによって行なわれていた。
特開2003−23370号公報
しかしながら、上記の従来の手法では、ダイオードにバイアス電流を流すことによってノイズが発生した場合に、このノイズが、受信信号や送信信号に乗って、受信回路やアンテナに至る回路に回り込むおそれがあった。
本発明は、上記の課題を解決し、スイッチ回路での信号経路の切り換えに伴って発生したノイズを速やかに低減させることを目的として、以下の構成を採った。
本発明のアンテナ切換モジュールは、誘電体セラミック層を積層した積層体に、所定の通信周波数帯域の通信システムに対応する送信回路および受信回路と通信電波の送受信を行なうアンテナとの接続を切り換えるアンテナ切換回路の少なくとも一部を備えたアンテナ切換モジュールであって、
前記アンテナ切換回路は、所定の信号を受けて駆動するスイッチング素子の駆動状態を変更することにより、前記アンテナと前記送信回路または前記受信回路のいずれかに接続を切り換えるスイッチ回路を備え、
前記積層体の表面には、前記スイッチング素子が有する端子と導通するための少なくとも一対のスイッチング素子用端子パッドが設けられると共に、該一対のスイッチング素子用端子パッドの間の位置に、グランドに接続されるグランドパターンが設けられており、
前記スイッチング素子は、前記端子を前記スイッチング素子用端子パッドに接続することにより、前記グランドパターンを跨ぐようにして実装されたことを要旨とする。
本発明のアンテナ切換モジュールによれば、積層体が備えたアンテナ切換回路には、所定の信号を受けて駆動するスイッチング素子の駆動状態を変更することにより、アンテナと送信回路または受信回路のいずれかに接続を切り換えるスイッチ回路が含まれている。スイッチング素子が受ける所定の信号としては、電気信号や磁気信号等、ノイズの発生源となり得る種々の信号を考えることができる。こうしたスイッチ回路を含むアンテナ切換モジュールでは、積層体の表面には、スイッチング素子が有する端子と導通するための少なくとも一対のスイッチング素子用端子パッドが設けられると共に、該一対のスイッチング素子用端子パッドの間の位置に、グランドに接続されるグランドパターンが設けられており、スイッチング素子が、前記端子を前記スイッチング素子用端子パッドに接続することにより、グランドパターンを跨ぐようにして実装されている。このため、スイッチング素子が所定の信号を受けたことによってノイズが発生した場合に、このノイズは、スイッチング素子が跨いでいるグランドパターンに速やかに導かれる。従って、スイッチ回路での切り換えに伴って発生したノイズを速やかに低減させることができる。
上記のアンテナ切換モジュールにおいて、アンテナ切換回路が、特定の周波数帯域の信号を通過させるフィルタ回路を備え、該フィルタ回路は、スイッチ回路と受信回路との間に接続されている場合に、フィルタ回路が形成されたフィルタ素子が実装される積層体の表面に、該フィルタ素子が有する端子と導通するための少なくとも一つのフィルタ回路用端子パッドが形成され、該フィルタ回路用端子パッドのうち、グランドに接続される端子パッドと前記グランドパターンとが接続されていてもよい。こうすれば、フィルタ回路のグランド端子にグランドパターンが接続されることによってグランドに接続される経路が増えるので、フィルタ回路のグランド電極のグランド電位が安定し、フィルタ特性が向上する。この場合に、フィルタ回路用端子パッドのうちの入力端子パッドとスイッチング素子用端子パッドのうちの前記所定の信号が入ってくるパッドとの間に、グランドパターンが配置されていてもよい。こうすれば、スイッチング素子が所定の信号を受けたことによって発生したノイズが、フィルタ素子の入力側に回り込んでしまうことを防止することができる。
アンテナ切換回路が、通信周波数帯域の異なる複数の通信システムのそれぞれに対応する前記送信回路および前記受信回路と前記アンテナとの接続を切り換える回路であり、この複数の通信システムのそれぞれに対応する送信回路および受信回路ごとに別々のスイッチ回路を備える場合には、上記のスイッチング素子用端子パッドを、別々のスイッチ回路のそれぞれが備えるスイッチング素子の端子との導通に対応して、積層体の表面の複数の箇所に設け、それぞれのスイッチング素子を、対応するスイッチング素子用端子パッドに接続して、前記グランドパターンを跨ぐように実装することが好ましい。こうすれば、複数の各スイッチ回路での切り換えに伴って発生したノイズを速やかに低減させることができる。こうした別々のスイッチ回路を備える場合において、アンテナ切換回路が、特定の周波数帯域の信号を通過させるフィルタ回路を複数備えており、該複数のフィルタ回路のそれぞれは、別々の各スイッチ回路とそれぞれのスイッチ回路に対応した受信回路との間に接続されている場合には、この複数の各フィルタ回路が形成された複数の各フィルタ素子が実装される積層体の表面に、各フィルタ素子が有する端子と導通するための少なくとも一つのフィルタ回路用端子パッドが形成され、該フィルタ回路用端子パッドのうち、グランドに接続される端子パッドと前記グランドパターンとが接続されていることも望ましい。こうすれば、各フィルタ回路のグランド端子にグランドパターンが接続されることによってグランドに接続される経路が増えるので、各フィルタ回路のグランド電極のグランド電位が安定し、フィルタ特性が向上する。
上記のアンテナ切換モジュールが、積層体の表面に実装された複数の素子を収納する収納部と積層体の周縁に装着される端部とを備えたシールドキャップを備えており、このシールドキャップが、端部の近傍における収納部の高さが該端部に近づくにつれて漸減された形状を有している場合、積層体の表面には、その近傍における収納部の高さが漸減されている前記端部が装着される前記周縁寄りの位置に、相対的に高さの低い前記素子が実装されることが好ましい。シールドキャップの端部が装着される「積層体の周縁」は、積層体の周りや縁の領域のことをいい、具体的には、積層体の表面の縁や積層体の側面のような、素子が実装されていない領域を考えることができる。こうすれば、シールドキャップの端部を積層体の表面の周縁に装着して積層体の表面に実装された素子をシールドキャップの収納部に収納しようとする場合に、周縁付近に実装された素子が、シールドキャップにおける収納部の高さが漸減された部位に干渉しにくくなり、素子とシールドキャップとの干渉によって生じ得る種々の不具合(例えば、素子と配線パターンとの接続不良や素子自体の破損)を回避することができる。例えば、積層体の表面に実装される素子のうち、相対的に高さの低い素子がスイッチング素子であり、最も高さの高い素子が、特定の周波数帯域の信号を通過させるフィルタ回路が形成されたフィルタ素子である構成を考えることができる。
上記のアンテナ切換モジュールにおいて、スイッチング素子が、バイアス電流を受けて駆動するダイオードである構成を採用してもよい。こうした構成を採用した場合には、積層体の表面に、バイアス電流を受けて駆動するダイオードを含む全てのダイオードが、極性の向きが同じ向きになるように実装されることも、製造段階でのダイオードの誤った実装を回避し易くなる点で望ましい。また、ダイオードが樹脂モールドされていることも、ダイオードの強度を確保できる点で好ましい。
本発明の第1の積層体は、誘電体セラミック層を積層することによって構成され、所定の通信周波数帯域の通信システムに対応する送信回路および受信回路と通信電波の送受信を行なうアンテナとの接続を切り換えるアンテナ切換回路の少なくとも一部が形成される積層体であって、
前記アンテナ切換回路は、所定の信号の入力によってスイッチング素子を駆動させることにより、前記アンテナに接続される回路を前記送信回路または前記受信回路のいずれかに切り換えるスイッチ回路を備え、
前記積層体の表面には、前記スイッチング素子が有する端子に導通するための端子パッドが設けられており、
前記端子パッドのうち前記所定の信号が通過する端子パッドと、それ以外のパッドとの間に、グランドに接続されるグランドパターンが設けられていることを要旨とする。
本発明の第1の積層体は、所定の通信周波数帯域の通信システムに対応する送信回路および受信回路とアンテナとの接続を切り換えるアンテナ切換回路の少なくとも一部が形成されるものであり、形成されるアンテナ切換回路には、所定の信号の入力によってスイッチング素子を駆動させることにより、アンテナに接続される回路を送信回路または受信回路のいずれかに切り換えるスイッチ回路が含まれるものである。こうした積層体の表面には、スイッチング素子が有する端子に導通するための端子パッドが設けられており、該端子パッドのうち前記所定の信号が通過する端子パッドとそれ以外のパッドとの間に、グランドに接続されるグランドパターンが設けられている。このような積層体の端子パッドにスイッチング素子が有する端子が装着されると、スイッチング素子は、グランドパターンを跨ぐようにして積層体の表面に実装される。このため、端子パッドが受けた所定の信号が端子パッドから漏れた場合やスイッチング素子が所定の信号を受けたことによってノイズが発生した場合に、この漏れ信号やノイズは、スイッチング素子が跨いでいるグランドパターンに速やかに導かれる。従って、スイッチ回路での切り換えに際して入力した所定の信号がパッド間で漏れてしまうことを防止でき、かつ、スイッチ回路での切り換えに伴って発生したノイズを速やかに低減させることが可能な積層体を提供することができる。
本発明の第2の積層体は、誘電体セラミック層を積層することによって構成され、所定の通信周波数帯域の通信システムに対応する送信回路および受信回路と通信電波の送受信を行なうアンテナとの接続を切り換えるアンテナ切換回路の少なくとも一部が形成される積層体であって、
前記アンテナ切換回路は、所定の信号の入力によってスイッチング素子を駆動させることにより、前記アンテナに接続される回路を前記送信回路または前記受信回路のいずれかに切り換えるスイッチ回路を備え、
前記積層体の表面には、前記スイッチング素子が有する端子に接続される複数個の端子パッドが設けられており、
該複数個の端子パッドの間に、グランドに接続されるグランドパターンを設けたことを要旨とする。
本発明の第2の積層体は、所定の通信周波数帯域の通信システムに対応する送信回路および受信回路とアンテナとの接続を切り換えるアンテナ切換回路の少なくとも一部が形成されるものであり、形成されるアンテナ切換回路には、所定の信号の入力によってスイッチング素子を駆動させることにより、アンテナに接続される回路を送信回路または受信回路のいずれかに切り換えるスイッチ回路が含まれるものである。こうした積層体の表面には、スイッチング素子が有する端子に接続される複数個の端子パッドが設けられており、該複数個の端子パッドの間に、グランドに接続されるグランドパターンが設けられている。このような積層体の端子パッドにスイッチング素子が有する端子が装着されると、スイッチング素子は、グランドパターンを跨ぐようにして積層体の表面に実装される。このため、スイッチング素子が所定の信号を受けたことによってノイズが発生した場合に、このノイズは、スイッチング素子が跨いでいるグランドパターンに速やかに導かれる。従って、スイッチ回路での切り換えに伴って発生したノイズを速やかに低減させることが可能な積層体を提供することができる。
以上説明した本発明の構成および作用を一層明らかにするために、以下本発明を適用したアンテナ切換モジュールについて、次の順序で説明する。
A.実施例(デュアルバンド)
A−(1).アンテナ切換モジュール10の構造
A−(2).アンテナ切換モジュール10の回路構成
A−(3).アンテナ切換モジュール10の細部構造
A−(4).アンテナ切換モジュール10の製造方法
B.その他の実施形態
A.実施例(デュアルバンド):
本発明の実施例であるアンテナ切換モジュール10は、GSM(Global System for Mobile Communications),DCS(Digital Communication System)の2つの通信システムに準拠した、いわゆるデュアルバンドの携帯電話に搭載されるモジュールである。
A−(1).アンテナ切換モジュール10の構造:
アンテナ切換モジュール10の構造について説明する。図1は、アンテナ切換モジュール10の外観構造を示す斜視図である。アンテナ切換モジュール10は、携帯電話における通信周波数の異なる複数の通信システムと、通信電波の送受信を行なうアンテナとの間に実装されるモジュールである。このアンテナ切換モジュール10は、誘電体セラミックス(ガラスセラミック)層を積層した四角柱状の積層体100を備える。積層体100のガラスセラミック層は、アルミナを基調としたガラスセラミック材料から成る。本実施例では、9層のガラスセラミック層を積層することによって1つの積層体100を構成している。なお、積層体100の積層面の一辺は、5ミリメートル(以下、mmと表記する)程度である。
積層体100の各層には、その表面に導体パターンが設けられると共に、各層間の導通を図るためのビア電極が設けられている。この導体パターンやビア電極は、銀を主成分とした導体材料から成る。更に、積層体100の最上層表面の導体パターン上には実装部品が実装される。この導体パターン,ビア電極および実装部品によって、積層体100には、携帯電話における複数の通信システムのそれぞれに対応した送信回路および受信回路とアンテナとの接続を切り換えるアンテナ切換回路AC1が形成されている。なお、積層体100の各層の詳細構造については後述する。
積層体100の最上層表面には、実装部品として、アンテナ切換回路AC1を形成するフィルタ素子であるSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ121、スイッチング素子であるダイオード131,コイル141,抵抗器151,コンデンサなどの種々のチップ部品が実装されている。これら実装部品の上部は、積層体100の最上面に半田付けによって装着された導体金属製のシールドキャップ160によって覆われている。シールドキャップ160は、積層体100の最上面に装着された際に、積層体100の最上面に設けられたグランドパターン195,196から積層体100の各層を介してグランドに接続される(図4を参照)。
A−(2).アンテナ切換モジュール10の回路構成:
アンテナ切換モジュール10に形成されたアンテナ切換回路AC1について説明する。図2は、アンテナ切換回路AC1を示す回路図である。なお、以下の説明において、アンテナ切換回路AC1の一部を構成する複数の回路素子のうち他の回路素子間を電気的に接続するコンデンサを「非接地コンデンサ」という。図1では、非接地コンデンサの符号に下線が付されている。
アンテナ切換回路AC1は、入出力端子として、アンテナに接続されるアンテナ端子ANTと、GSM系の送信回路に接続される送信端子TX1と、GSM系の受信回路に接続される受信端子RX1a,RX1bと、GSM系の送受信経路の切換を制御する制御回路に接続される制御端子VC1と、DCS系の送信回路に接続される送信端子TX2と、DCS系の受信回路に接続される受信端子RX2a,RX2bと、DCS系の送受信経路の切換を制御する制御回路に接続される制御端子VC2とを有する。アンテナ切換回路AC1は、GSM系の信号経路の切換を行うスイッチ回路SW1と、DCS系の信号経路の切換を行うスイッチ回路SW2と、スイッチ回路SW1,SW2に対して各受信信号および各送信信号の分配を行うダイプレクサ回路DPとを主要な回路として構成されている。
アンテナ端子ANTとダイプレクサ回路DPとを接続する信号経路には、ローパスフィルタ回路LPF3が配設されている。ローパスフィルタ回路LPF3には、アンテナ端子ANT側から順に、片側がグランドに接続されるコンデンサC2,C3が接続されている。コンデンサC2,C3間には、コンデンサC1とコイルL1とが並行して接続され、ローパスフィルタ(LCエリピティックフィルタ)として構成されている。このローパスフィルタ回路LPF3は、DCSシステムの通信周波数帯域に対する二次高調波(3.42〜3.57ギガヘルツ(以下、GHzと表記))以上の信号を減衰させる。なお、コンデンサC1は、非接地コンデンサである。
ダイプレクサ回路DPにおけるスイッチ回路SW1側に接続する信号経路には、ローパスフィルタ回路LPF3側にコイルL2が接続され、その後段は、コンデンサC7を介してグランドに接続されるコイルL3が接続され、LCローパスフィルタとして構成されている。このLCローパスフィルタは、GSMシステムの通信周波数帯域(0.880〜0.960GHz)の信号を通過させ、それよりも高い周波数の信号を減衰させる。
ダイプレクサ回路DPにおけるスイッチ回路SW2側に接続する信号経路には、ローパスフィルタ回路LPF3側から順に、コンデンサC4,C5が直列に接続されている。コンデンサC4,C5間は、コンデンサC6を介してグランドに接続されるコイルL4が接続され、LCハイパスフィルタとして構成されている。このLCハイパスフィルタは、DCSシステムの通信周波数帯域(1.710〜1.880GHz)の信号を通過させ、それよりも低い周波数の信号を減衰させる。なお、コンデンサC4,C5は、非接地コンデンサである。
スイッチ回路SW1における受信端子RX1a,RX1b側の信号経路には、ダイプレクサ回路DP側から順に、片側がグランドに接続されるコンデンサC8と、コイルL5と、片側がグランドに接続されるコンデンサC9とが接続され、その後段には、アノード側がコンデンサC10を介してグランドに接続されるダイオードD2が接続されている。ダイオードD2とコンデンサC10との間には、制御端子VC1が接続されている。
スイッチ回路SW1における送信端子TX1側の信号経路には、ダイプレクサ回路DP側から順に、アノード側がダイプレクサ回路DP側に接続されたダイオードD1と、片側が抵抗器R1を介してグランドに接続されるコイルL10とが接続されている。スイッチ回路SW1は、制御端子VC1に印加される制御電圧によるダイオードD1,D2のON/OFFによって、受信端子RX1a,RX1b側および送信端子TX1側の信号経路の切換を行う。
スイッチ回路SW1と受信端子RX1a,RX1bとの間の信号経路には、平衡型のSAWフィルタ回路SAW1が接続されている。このSAWフィルタ回路SAW1は、GSMシステムの受信周波数帯域(0.925〜0.960GHz)の信号を通過させ、それ以外の周波数の信号を減衰させる。なお、SAWフィルタ回路SAW1は、SAWフィルタ121に形成されている。
スイッチ回路SW1と送信端子TX1とを接続する信号経路には、ローパスフィルタ回路LPF1が配設されている。ローパスフィルタ回路LPF1には、スイッチ回路SW1側から順に、片側がグランドに接続されるコンデンサC12,C13が接続されている。コンデンサC12,C13間には、コンデンサC11とコイルL6とが並行して接続され、ローパスフィルタ(LCエリピティックフィルタ)として構成されている。このローパスフィルタ回路LPF1は、GSMシステムの送信周波数帯域(0.880〜0.915GHz)以上の信号を減衰させる。なお、コンデンサC11は、非接地コンデンサである。
スイッチ回路SW2における受信端子RX2a,RX2b側の信号経路には、ダイプレクサ回路DP側から順に、片側がグランドに接続されるコンデンサC14と、コイルL7と、片側がグランドに接続されるコンデンサC15とが接続され、その後段には、アノード側がコンデンサC16を介してグランドに接続されるダイオードD4が接続されている。ダイオードD4とコンデンサC16との間には、抵抗器R2を介して制御端子VC2が接続されている。
スイッチ回路SW2における送信端子TX2側の信号経路には、ダイプレクサ回路DP側から順に、アノード側がダイプレクサ回路DP側に接続されたダイオードD3と、コンデンサC20およびコイルL9とが並列に接続され、その後段には、片側がグランドに接続されるコイルL11が接続されている。スイッチ回路SW2は、制御端子VC2に印加される制御電圧によるダイオードD4のON/OFFによって、受信端子RX2a,RX2b側および送信端子TX2側の信号経路の切換を行う。なお、コンデンサC20は、非接地コンデンサである。
スイッチ回路SW2と受信端子RX2a,RX2bとの間の信号経路には、平衡型のSAWフィルタ回路SAW2が接続されている。このSAWフィルタ回路SAW2は、DCSシステムの受信周波数帯域(1.805〜1.880GHz)の信号を通過させ、それ以外の周波数の信号を減衰させる。なお、SAWフィルタ回路SAW2は、SAWフィルタ回路SAW1と共に、SAWフィルタ121に形成されている。
スイッチ回路SW2と送信端子TX2とを接続する信号経路には、ローパスフィルタ回路LPF2が配設されている。ローパスフィルタ回路LPF2には、スイッチ回路SW2側から順に、片側がグランドに接続されるコンデンサC18,C19が接続されている。コンデンサC18,C19間には、コンデンサC17とコイルL8とが並行して接続され、ローパスフィルタ(LCエリピティックフィルタ)として構成されている。このローパスフィルタ回路LPF1は、DCSシステムの送信周波数帯域(1.710〜1.785GHz)以上の信号を減衰させる。なお、コンデンサC17は、非接地コンデンサである。
これらの回路構成によって、アンテナ切換回路AC1は、制御端子VC1,VC2の各制御電圧に基づいて、スイッチング素子であるダイオードをON/OFFする、即ち、スイッチング素子の駆動状態を変更することにより、GSMシステムおよびDCSシステムの各送受信系と、1つのアンテナとの間における信号経路の切換を行うことができる。
A−(3).アンテナ切換モジュール10の細部構造:
図3はシールドキャップ160の構造を示す説明図である。図3(A),図3(B)は、それぞれ、シールドキャップ160の上面、底面を表わしている。図3(C),図3(D)は、図3(A)に示すシールドキャップ160を、それぞれ、3C−3C線,3D−3D線に沿って切断したときの概略断面を表わしている。
図示するように、シールドキャップ160は、1個の天壁161と、この天壁161の周りを囲む4個の側壁162〜165とから構成されている。この4個の側壁162〜165のうち、互いに向かい合う横方向の側壁162,164は、天壁161と略直角に天壁161と一体化されており、互いに向かい合う縦方向の側壁163,165は、天壁161の外側方向に傾斜しつつ、天壁161と一体化されている。これにより、天壁161の裏面161bと側壁162〜165の裏面162b〜165bとで囲まれた範囲には、各実装部品を収納可能な容積の空間である収納部170が形成されている。
4個の側壁162〜165は、天壁161とは反対側に、各側壁162,163,164,165の厚みによって形成された端部167p,167q,167r,167sを備える。以下、この4つの端部167p〜sをまとめて、端部167とも呼ぶ。端部167q,167sの近傍における収納部170の高さは、側壁163,165に付与された傾斜により、端部167q,167sに近づくにつれて漸減されている。
シールドキャップ160の端部167q,167sが積層体100の最上面に装着されると、図1に示したように、積層体100の最上層表面に実装された実装部品が収納部170内に収納され、天壁161の表面161aおよび側壁162〜165の表面162a〜165aが外部に露出した状態となる。これにより、積層体100の最上層表面に実装された実装部品がシールドキャップ160によって覆われる。よって、こうしたシールドキャップ160によれば、積層体100の最上層表面に形成された回路を外部からの衝撃から保護すると共に、外部からの電磁波が回路に侵入することを抑制することができる。
なお、本実施例では、天壁161の形状を略矩形としているため、横方向の側壁162,164の幅が縦方向の側壁163,165よりも長くなっている。この天壁161の形状としては、略矩形のほか、略正方形、矩形や正方形以外の四角形、四角形以外の多角形、略円形、略楕円形等を採用することができ、この場合には、採用した形状の天壁の周りを囲むように側壁を設ければよい。
図4は上記のシールドキャップ160が装着される積層体100の最上面の様子を示す説明図である。図4(A),図4(B)は、それぞれ、シールドキャップ160の装着前,装着後の積層体100の最上面を表わしている。この図4(B)では、シールドキャップ160で覆われた部位を破線で表わしている。図4(C)は、シールドキャップ160装着後の積層体100を、図4(B)に示す4C−4C線に沿って切断したときの概略断面を表わしている。
図示するように、積層体100の最上面は、互いに対向する2つの辺部として、第1長辺部101と第2長辺部102、第1短辺部103と第2短辺部104とを備える。この積層体100の最上面における上記の2つの辺部103,104付近の領域(以下、周縁という)に、シールドキャップ160の端部167q,167sが装着される。積層体100の最上面の周縁の一部(短辺側)には、グランドに接続されるグランドパターン195,196が設けられている。このグランドパターン195,196には、それぞれ、シールドキャップ160の端部167s,167qが半田を介して接続される。
一方、積層体100の最上面の周縁よりも内側の領域には、既述したように、2つのフィルタ回路(SAWフィルタ回路SAW3,SAW4)が内蔵された1個のSAWフィルタ121,ダイオード131,コイル141,抵抗器151,コンデンサなどの実装部品が実装されている。図4では、積層体100の最上面の各所に配置された実装部品としてのダイオード131,コイル141,抵抗器151,コンデンサの符号を、図2に示した回路番号を用いて表している。SAWフィルタ121は、ダイオードD1,D2,D3,D4、コイルL9,L10,L11、抵抗器R1,R2,コンデンサC10とは高さおよび実装面積が異なっており、積層体100の最上面に実装される実装部品の中で、最も高さが高く、最も広い実装面積を有する。このため、ダイオードD1,D2,D3,D4、コイルL9,L10,L11、抵抗器R1,R2,コンデンサC10は、積層体100の最上面に実装される実装部品の中で、相対的に高さが低く、相対的に実装面積が狭い素子となっている。なお、SAWフィルタ121の積層体100に装着される側の面とは反対側の面(以下、頂上面という)には、図示しない接地ラインが設けられている。
積層体100の最上面において、端部167sが装着される周縁寄りの位置には、抵抗器R2,ダイオードD4、コイルL9(以下、この3つの部品を第1の部品群という)が配置されており、端部167qが装着される周縁寄りの位置には、ダイオードD1,D2,コンデンサC10(以下、この3つの部品を第2の部品群という)が配置されている。こうした第1の部品群と第2の部品群との間の領域に、SAWフィルタ121が配置されている。また、4つのダイオードD1,D2,D3,D4は、樹脂モールドされており、積層体100の最上面に、極性の向きが同じ向きになるように実装されている。このように実装部品が実装された積層体100にシールドキャップ160が装着されると、図4(C)に示すように、SAWフィルタ121が天壁161の直下の収納部170に収納される。これにより、シールドキャップ160の天壁161の裏面161bは、SAWフィルタ122の頂上面の接地ラインに接する。また、天壁161の直下よりも高さの低い空間である、側壁163,165の直下の収納部170には、相対的に高さの低い第1の部品群および第2の部品群が収納される。
次に、積層体100に形成された導体パターンにつき、スイッチ回路SW1,SW2を中心として説明する。図5は積層体100の最上層である第9層の上面を示す説明図であり、図6は、最下層である第1層の下面、即ち、アンテナ切換モジュール10が備える積層体100の底面を表わしている。図7は積層体100の第9層の上面を覆うオーバコート層110の上面を示す説明図である。なお、図5,図6と後述する図8では、導体パターン,ビア電極を、それぞれ、右上がりの斜線ハッチング,右下がりの斜線ハッチングで表わすと共に、導体パターンの下に位置するビア電極の図示を省略している。
図5に示すように、第9層の表面には、図4(A)に示した各種の実装部品の端子と導通される導体パターンが形成されている。この導体パターンには、ダイオードD2の入力端子に接続される端子パッド111と、ダイオードD2,SAWフィルタ121のそれぞれの端子に接続される端子パッド112と、SAWフィルタ121のSAWフィルタ回路SAW1側の出力端子に接続される端子パッド113,114と、抵抗器R2の出力端子およびダイオードD4の入力端子に接続される端子パッド115と、抵抗器R2の入力端子に接続される端子パッド119と、ダイオードD4,SAWフィルタ121のそれぞれの端子に接続される端子パッド116と、SAWフィルタ121のSAWフィルタ回路SAW2側の出力端子に接続される端子パッド117,118と、SAWフィルタ121のグランド端子に接続されるグランドパターン197とが含まれている。端子パッド112は、ダイオードD2の出力端子に接続される端子パッド112aと、SAWフィルタ121のSAWフィルタ回路SAW1側の入力端子に接続される端子パッド112bとを備えており、端子パッド116は、ダイオードD4の出力端子に接続される端子パッド116aと、SAWフィルタ121のSAWフィルタ回路SAW2側の入力端子に接続される端子パッド116bとを備えている。
図6に示すように、積層体100の底面である第1層の下面には、図1のアンテナ切換回路AC1に示したアンテナ端子ANTと、送信端子TX1,TX2と、受信端子RX1a,RX1b,RX2a,RX2bと、制御端子VC1,VC2との他、グランドに接続されるグランド端子GND4,GND5,GND6とが設けられている。これらの端子は、積層体100の底面の互いに対向する2つの長辺に沿って、端子間の間隔をとりながら配置されている。一方の長辺側に配置された端子群と他方の長辺側に配置された端子群の間には、アンテナ切換モジュール10が実装された際にグランドに接続されるグランドパターン191,192,193,194が設けられている。
ダイオードD2の入力端子に接続される端子パッド111は、積層体100内部の各層を介して、積層体100の底面の制御端子VC1に接続されている。制御端子VC1に対して制御電圧が印加されると、この電圧の印加によって生じたバイアス電流が端子パッド111に供給される。こうしたバイアス電流が端子パッド111を通じてダイオードD2の入力端子に入力されることにより、ダイオードD2が駆動(ON状態)する。これにより、アンテナに接続される信号経路が、送信端子TX1側から受信端子RX1a,RX1b側に切り換えられる。
抵抗器R2の出力端子およびダイオードD4の入力端子に接続される端子パッド115は、抵抗器R2,端子パッド119および積層体100内部の各層を介して、積層体100の底面の制御端子VC2に接続されている。制御端子VC2に対して制御電圧が印加されると、この電圧の印加によって生じたバイアス電流が端子パッド115に供給される。こうしたバイアス電流が端子パッド115を通じてダイオードD4の入力端子に入力されることによりダイオードD4が駆動(ON状態)する。これにより、アンテナに接続される信号経路が、送信端子TX2側から受信端子RX2a,RX2b側に切り換えられる。
SAWフィルタ121との接続用のグランドパターン197は、第9層の表面のほぼ中央部に設けられ、積層体100内部の各層を介してグランドに接続されている。このグランドパターン197は、第9層の表面において、その周縁の一部に設けられたシールドキャップ160用のグランドパターン196に、グランドパターン198を介して連結されている。この連結用のグランドパターン198は、連結対象となるグランドパターン196,197よりも狭い幅で、ダイオードD2との接続用の端子パッド111とダイオードD2およびSAWフィルタ121との接続用の端子パッド112の間を通って設けられている。また、SAWフィルタ121との接続用のグランドパターン197は、グランドパターン199を介して、第9層の表面のグランドパターン196に対向する周縁領域に設けられた、もう1つのシールドキャップ160用のグランドパターン195にも連結されている。この連結用のグランドパターン199は、グランドパターン198と同様に、連結対象となるグランドパターン195,197よりも狭い幅で、ダイオードD4との接続用の端子パッド115とダイオードD4およびSAWフィルタ121との接続用の端子パッド116の間を通って設けられている。
図7に示すように、オーバコート層110は、第9層の上面とほぼ同じ外形形状を有する。オーバコート層110には、複数の開口部OPTが設けられている。この複数の開口部OPTは、第9層の導体パターンに対応する位置に形成されている。
オーバコート層110が第9層の上面にコーティングされたときの様子を図8に示した。なお、図8では、オーバコート層110に覆われた端子パッドを破線で表わすと共に、SAWフィルタ121、ダイオードD2,D4が実装される位置を二点鎖線で表わしている。図8に示すように、オーバコート層110が第9層の表面にコーティングされると、第9層の表面に形成されている導体パターンの一部がオーバコート層110の開口部OPTから露出した状態となる。この導体パターンのうちの端子パッドが露出した部分に、図4(A)に示した各種の実装部品の端子が半田付けによって実装される。こうした開口部OPTから露出した端子パッドには、図8に示すように、ダイオードD2の入力端子が装着される端子パッド111と、ダイオードD2の出力端子が装着される端子パッド112aと、SAWフィルタ121のSAWフィルタ回路SAW1側の入力端子が装着される端子パッド112bと、ダイオードD4の入力端子が装着される端子パッド115と、ダイオードD4の出力端子が装着される端子パッド116aと、SAWフィルタ121のSAWフィルタ回路SAW2側の入力端子が装着される端子パッド116bと、SAWフィルタ121のグランド端子が装着される端子パッドPG1a〜dとが含まれている。端子パッド111,端子パッド112aに、それぞれ、ダイオードD2の入力端子,出力端子が装着されると、ダイオードD2は連結用のグランドパターン198を跨ぐようにして実装される。また、端子パッド115,端子パッド116aに、それぞれ、ダイオードD4の入力端子,出力端子が装着されると、ダイオードD4は連結用のグランドパターン199を跨ぐようにして実装される。
A−(4).アンテナ切換モジュール10の製造方法:
アンテナ切換モジュール10の製造方法について説明する。図9は、アンテナ切換モジュール10の製造工程の概略を示す説明図である。アンテナ切換モジュール10を製造する際には、始めに、誘電体材料の一つである低温焼成可能なガラスセラミックス材料から成るグリーンシートを複数用意する(工程S110)。グリーンシートの大きさは、複数個分の積層体100の大きさである。
その後、各グリーンシートに、積層体100の隣接する各層を導通させるスルーホールと、アンテナ切換回路AC1を形成する導体パターンとを、積層体100の各層に対応させて形成する(工程S120)。スルーホールについては、スルーホールを形成する箇所に穴を開けた後、その穴に導体ペーストを充填させることによってビア電極を形成する。導体パターンについては、グリーンシートの表面に導体ペーストを印刷することによって形成する。なお、本実施例の導体ペーストの材料は、銀を主体とする材料を用いる。この工程において、積層体100の最下層表面や最上層表面に対応するグリーンシートには、既述した種々の接続端子や端子パッド111〜119、グランドパターン191〜199となる導体パターンが形成される。
導体パターンおよびビア電極を形成した後(工程S120)、積層体100の各層の導体パターンおよびビア電極が形成されたグリーンシートを、積層体100における各層の並びの順で積層する(工程S130)。この工程において、第9層に対応するグリーンシートには、図7に示したオーバコート層110がコーティングされる。オーバコート層110は、第9層と同様のアルミナを基調としたガラスセラミック材料から成る。
こうしてグリーンシートを積層した後(工程S130)、積層したグリーンシートを焼成する(工程S140)。その後、焼成したグリーンシートにおける各積層体100の表面に現れている導体パターンにニッケル−金メッキを施し(工程S150)、積層体100の最上層表面に、SAWフィルタ121やダイオードD2,D4等の実装部品やシールドキャップ160を半田付けする(工程S160)。この工程において、ダイオードD1,D2,D3,D4が極性の向きが同じ向きになるように実装され、ダイオードD2,D4が、それぞれ、連結用のグランドパターン198,199を跨ぐようにして実装される。その後、各積層体100を形成する個片毎に分割することで(工程S170)、アンテナ切換モジュール10が完成する。
以上説明した本実施例のアンテナ切換モジュール10によれば、積層体100の最上面に、スイッチ回路SW1を構成する実装部品としてのダイオードD2を装着するための一対の端子パッド111,112aが設けられると共に、この一対の端子パッド111,112aの間の位置に、グランドに接続されるグランドパターン198が設けられている。これにより、ダイオードD2は、グランドパターン198を跨ぐようにして実装される。スイッチ回路SW2を構成する実装部品としてのダイオードD4も、ダイオードD2と同様に、グランドパターン199を跨ぐようにして実装される。このため、ダイオードD2,D4がバイアス電流を受けたことによってノイズが発生した場合に、このノイズは、ダイオードD2,D4が跨いでいるグランドパターン198,199に速やかに導かれる。従って、各スイッチ回路SW1,SW2での信号経路の切り換えに伴って発生したノイズを速やかに低減させることができる。
また、ダイオードD2,D4が跨いでいるグランドパターン198,199は、各グランドパターン198,199よりも大きな面積を有するSAWフィルタ121接続用のグランドパターン197に連結されることにより、それぞれ、SAWフィルタ121のグランド端子が装着される端子パッドPG1d,PG1aに接続されている。こうすれば、各グランドパターン198,199がグランドに接続される経路として、SAWフィルタ121接続用のグランドパターン197を介してグランドに接続される経路が増えるので、SAWフィルタ回路SAW1,SAW2のグランド電極のグランド電位が安定し、フィルタ特性が向上する。しかも、グランドパターン198,199が連結されるSAWフィルタ121接続用のグランドパターン197は、各グランドパターン198,199よりも大きな面積を有するので、SAWフィルタ回路SAW1,SAW2におけるグランド電位の安定度合いを更に高めることができる。
更に、ダイオードD2,D4が跨いでいるグランドパターン198,199は、SAWフィルタ121の入力端子が装着される端子パッド112b,116bとダイオードD2,D4の入力端子が装着される端子パッド111,115の間に配置されている。従って、ダイオードD2,D4が端子パッド111,115を介してバイアス電流を受けたことによって発生したノイズが、SAWフィルタ121の入力側に回り込んでしまうことを防止することができる。
加えて、端子パッド111,115が受けたバイアス電流が、端子パッド111,115から他の端子(例えば、図8に示す端子パッド112a,116aや端子パッド112b,116b)に漏れた場合に、この漏れ信号は、ダイオードD2,D4が跨いでいるグランドパターン198,199に速やかに導かれる。従って、スイッチ回路での切り換えに際して受けたバイアス電流がパッド間で漏れてしまうことを防止することができる。
本実施例のアンテナ切換モジュール10は、積層体100の最上面に装着されるシールドキャップ160は、互いに向かい合う縦方向の側壁163,165に付与された傾斜により、側壁163,165が有する端部167q,167sの近傍における収納部170の高さが端部167q,167sに近づくにつれて漸減されている。こうした形状のシールドキャップ160が装着される積層体100の最上面には、端部167s,端部167qが装着される周縁寄りの位置に、相対的に高さの低い実装部品(第1の部品群、第2の部品群)が配置されている。シールドキャップ160を装着したときに、周縁付近に実装された実装部品が、収納部170の高さを漸減させている側壁163,165に干渉しにくくなり、実装部品とシールドキャップ160との干渉によって生じ得る種々の不具合(例えば、実装部品と導体パターンとの接続不良や実装部品自体の破損)を回避することができる。
本実施例のアンテナ切換モジュール10では、積層体100の最上面に、4つのダイオードD1,D2,D3,D4が、極性の向きが同じ向きになるように実装されるので、製造段階でのダイオードの誤った実装を回避し易くなる。また、4つのダイオードD1,D2,D3,D4は樹脂モールドされているので、ダイオードの強度を確保することができる。
B.その他の実施形態:
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。例えば、アンテナ切換モジュールが対応する通信システムは、デュアルに限るものではなく、トリプルバンドやクワッドバンド、更に5つ以上の通信方式に対応するものに適用できることは勿論である。また、上記実施例では、積層体100に、GSMおよびDCSの2つの通信システムのそれぞれに対応したアンテナ切換回路AC1を形成したが、1つの通信システムに対応したアンテナ切換回路AC1を積層体100に形成することとしても差し支えない。
上記実施例において、各接続端子の並設の順序は、実施例の順序に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。また、並設された送信端子と受信端子との間のグランドパターンや各接続端子の形状・大きさは、実施例のものに限定するものではなく、円形や多角形など種々の態様を採ることができる。
上記実施例において説明した製造工程において、各接続端子やグランドパターンを、積層工程前のグリーンシートに形成するのではなく、焼成後に形成することとしても良い。また、積層工程(図9の工程S130)において、オーバコート層110によるコーティングをしないこととしても差し支えない。
上記実施例では、スイッチ回路に用いるスイッチング素子をダイオードとしたが、ダイオード以外のスイッチング素子(例えば、GaAs(ガリウム・ヒ素)スイッチ)を用いてスイッチ回路を構成することも可能である。こうしたスイッチング素子を駆動させるトリガーとしては、上記実施例のようなバイアス電流のほか、各種の電気信号や磁気信号等、ノイズの発生源となり得る種々の信号を考えることができる。
上記実施例では、シールドキャップ160を、実装部品の配置が予定されていない部位である「積層体100の最上面の周縁」に装着したが、実装部品の配置が予定されていない他の部位にシールドキャップ160を装着してもよい。こうした他の部位としては、例えば、積層体100の側面などを考えることができる。
更に、上記実施例では、ローパスフィルタ回路LPF3、ダイプレクサ回路DP、スイッチ回路SW1、SAWフィルタ回路SAW1、ローパスフィルタ回路LPF1、スイッチ回路SW2、SAWフィルタ回路SAW2、ローパスフィルタ回路LPF2から構成されるアンテナ切換回路AC1を1つの積層体100に形成したが、上記のアンテナ切換回路AC1を構成する一部の回路のみを1つの積層体に形成することとしても差し支えない。この場合には、上記の各回路を複数の積層体に分けて形成しておき、積層体同士を導通可能に接続すれば、上記実施例のアンテナ切換モジュール10と同様の機能を実現することができる。
本発明の実施例であるアンテナ切換モジュール10の外観構造を示す斜視図である。 アンテナ切換回路AC1を示す回路図である。 シールドキャップ160の構造を示す説明図である。 シールドキャップ160が装着される積層体100の最上面の様子を示す説明図である。 積層体100の最上層である第9層の上面を示す説明図である。 積層体100の底面を示す説明図である。 オーバコート層110の上面を示す説明図である。 オーバコート層110が第9層の上面にコーティングされたときの様子を示す説明図である。 アンテナ切換モジュール10の製造工程の概略を示す説明図である。
符号の説明
10,10A,10B,10C...アンテナ切換モジュール
100...積層体
101...第1長辺部
102...第2長辺部
103...第1短辺部
104...第2短辺部
110...オーバコート層
111〜119...端子パッド
121...SAWフィルタ
131,D1,D2,D3,D4...ダイオード
141,L9,L10,L11...コイル
151,R1,R2...抵抗器
160...シールドキャップ
161...天壁
161a...表面
161b...裏面
162〜165...側壁
162a〜165a...表面
162b〜165b...裏面
167、167p〜s...端部
170...収納部
191〜199...グランドパターン
AC1...アンテナ切換回路
ANT...アンテナ端子
C10...コンデンサ
DP...ダイプレクサ回路
GND4〜6...グランド端子
LPF1,LPF2,LPF3...ローパスフィルタ回路
SW1,SW2...スイッチ回路
OPT...開口部
PG1a〜d...端子パッド
RX1a,RX1b,RX2a,RX2b...受信端子
SAW1,SAW2...SAWフィルタ回路
TX1,TX2...送信端子
VC1,VC2...制御端子

Claims (10)

  1. 誘電体セラミック層を積層した積層体に、所定の通信周波数帯域の通信システムに対応する送信回路および受信回路と通信電波の送受信を行なうアンテナとの接続を切り換えるアンテナ切換回路の少なくとも一部を備えたアンテナ切換モジュールであって、
    前記アンテナ切換回路は、所定の信号を受けて駆動するスイッチング素子の駆動状態を変更することにより、前記アンテナと前記送信回路または前記受信回路のいずれかに接続を切り換えるスイッチ回路を備え、
    前記積層体の表面には、前記スイッチング素子が有する端子と導通するための少なくとも一対のスイッチング素子用端子パッドが設けられると共に、該一対のスイッチング素子用端子パッドの間の位置に、グランドに接続されるグランドパターンが設けられており、
    前記スイッチング素子は、前記端子を前記スイッチング素子用端子パッドに接続することにより、前記グランドパターンを跨ぐようにして実装された
    アンテナ切換モジュール。
  2. 請求項1に記載のアンテナ切換モジュールであって、
    前記アンテナ切換回路は、特定の周波数帯域の信号を通過させるフィルタ回路を備え、
    該フィルタ回路は、前記スイッチ回路と前記受信回路との間に接続され、
    前記積層体の表面には、前記フィルタ回路が形成されたフィルタ素子が実装され、
    前記積層体の表面には、該フィルタ素子が有する端子と導通するための少なくとも一つのフィルタ回路用端子パッドが形成され、
    該フィルタ回路用端子パッドのうち、グランドに接続される端子パッドと前記グランドパターンとが接続されている
    アンテナ切換モジュール。
  3. 請求項1または2に記載のアンテナ切換モジュールであって、
    前記アンテナ切換回路は、通信周波数帯域の異なる複数の通信システムのそれぞれに対応する前記送信回路および前記受信回路と前記アンテナとの接続を切り換える回路であり、
    前記アンテナ切換回路は、前記複数の通信システムのそれぞれに対応する送信回路および受信回路ごとに、別々の前記スイッチ回路を備えており、
    前記スイッチング素子用端子パッドは、前記別々のスイッチ回路のそれぞれが備える前記スイッチング素子の端子との導通に対応して、前記積層体の表面の複数の箇所に設けられており、
    前記それぞれのスイッチング素子が、対応する前記スイッチング素子用端子パッドへの接続によって、前記グランドパターンを跨ぐように実装された
    アンテナ切換モジュール。
  4. 請求項3に記載のアンテナ切換モジュールであって、
    前記アンテナ切換回路は、特定の周波数帯域の信号を通過させるフィルタ回路を複数備えており、該複数のフィルタ回路のそれぞれは、前記別々の各スイッチ回路とそれぞれのスイッチ回路に対応した受信回路との間に接続され、
    前記積層体の表面には、前記複数の各フィルタ回路が形成された複数の各フィルタ素子が実装され、
    前記積層体の表面には、各フィルタ素子が有する端子と導通するための少なくとも一つのフィルタ回路用端子パッドが形成され、
    該フィルタ回路用端子パッドのうち、グランドに接続される端子パッドと前記グランドパターンとが接続されている
    アンテナ切換モジュール。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載のアンテナ切換モジュールであって、
    前記積層体の表面に実装された複数の素子を収納する収納部と前記積層体の周縁に装着される端部とを備えたシールドキャップを備え、
    該シールドキャップは、前記端部の近傍における前記収納部の高さが該端部に近づくにつれて漸減された形状を有しており、
    前記積層体の表面には、その近傍における収納部の高さが漸減されている前記端部が装着される前記周縁寄りの位置に、相対的に高さの低い前記素子が実装されている
    アンテナ切換モジュール。
  6. 前記積層体の表面に実装される素子のうち、前記相対的に高さの低い素子が前記スイッチング素子であり、最も高さの高い素子が、特定の周波数帯域の信号を通過させるフィルタ回路が形成されたフィルタ素子である請求項5に記載のアンテナ切換モジュール。
  7. 前記スイッチング素子が、バイアス電流を受けて駆動するダイオードである請求項1ないし6のいずれかに記載のアンテナ切換モジュール。
  8. 前記積層体の表面には、前記バイアス電流を受けて駆動するダイオードを含む全てのダイオードの極性の向きが同じ向きになるように実装された請求項7に記載のアンテナ切換モジュール。
  9. 誘電体セラミック層を積層することによって構成され、所定の通信周波数帯域の通信システムに対応する送信回路および受信回路と通信電波の送受信を行なうアンテナとの接続を切り換えるアンテナ切換回路の少なくとも一部が形成される積層体であって、
    前記アンテナ切換回路は、所定の信号の入力によってスイッチング素子を駆動させることにより、前記アンテナに接続される回路を前記送信回路または前記受信回路のいずれかに切り換えるスイッチ回路を備え、
    前記積層体の表面には、前記スイッチング素子が有する端子に導通するための端子パッドが設けられており、
    前記端子パッドのうち前記所定の信号が通過する端子パッドと、それ以外のパッドとの間に、グランドに接続されるグランドパターンが設けられている
    積層体。
  10. 誘電体セラミック層を積層することによって構成され、所定の通信周波数帯域の通信システムに対応する送信回路および受信回路と通信電波の送受信を行なうアンテナとの接続を切り換えるアンテナ切換回路の少なくとも一部が形成される積層体であって、
    前記アンテナ切換回路は、所定の信号の入力によってスイッチング素子を駆動させることにより、前記アンテナに接続される回路を前記送信回路または前記受信回路のいずれかに切り換えるスイッチ回路を備え、
    前記積層体の表面には、前記スイッチング素子が有する端子に接続される複数個の端子パッドが設けられており、
    該複数個の端子パッドの間に、グランドに接続されるグランドパターンを設けた
    積層体。
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