JP4331634B2 - アンテナ切換モジュールおよびその製造方法 - Google Patents

アンテナ切換モジュールおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セラミック層を積層した積層体を用いてアンテナ切換回路を形成したアンテナ切換モジュールおよびその製造方法に関するものである。
携帯電話等の移動体通信機器には、通信周波数帯域の異なる複数の通信システムにおいて通信が可能な、いわゆるマルチバンド対応の通信機器が知られている。マルチバンド対応の通信機器は、通信周波数帯域の異なる複数の通信システムのそれぞれに対応した送信回路および受信回路と、通信電波の送受信を行うアンテナ部と、これら複数の送信回路および受信回路とアンテナ部との間における信号経路の切換を行うアンテナ切換回路を形成するアンテナ切換モジュールとを備える。
従来、アンテナ切換モジュールには、小型化・高集積化を図るため、ガラスセラミックス層を積層した積層体を用いてアンテナ切換回路を形成したアンテナ切換モジュールが知られている。積層体の内部には、アンテナ切換回路の一部を構成する導体部が形成されている。
積層体の内部の導体部で構成することのできないSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ,ダイオード,コイル,抵抗器等の種々の回路素子は、表面実装部品として積層体上に実装されている。積層体の最外層表面には、表面実装部品と導体部との間を電気的に接続するランドパターンが形成されている。下記特許文献には、種々の表面実装部品が積層体に実装されたアンテナ切換モジュールが開示されている。
特開2001−211097号公報
従来のアンテナ切換モジュールは、耐衝撃性の向上が課題とされていた。すなわち、アンテナ切換モジュールに衝撃が加わる際に、表面実装部品の衝撃モーメントがランドパターンを積層体表面から引き離す方向に作用することによって、ランドパターンの損傷を招いてしまう場合があった。
本発明は、上記した課題を解決することを目的としてなされ、耐衝撃性を向上させることができるアンテナ切換モジュールを提供することを目的とする。
上記した課題を解決するため、本発明のアンテナ切換モジュールは、通信システムの送信回路および受信回路と、通信電波の送受信を行うアンテナ部との間における信号経路の切換を行うアンテナ切換回路を、セラミック層を積層した積層体に形成したアンテナ切換モジュールであって、記積層体に実装された表面実装部品と、前記積層体の内部に形成された導体部と、前記積層体における第1の最外層表面に前記表面実装部品が実装される部分として形成され、前記表面実装部品と前記導体部との間を電気的に接続する複数のランドパターンと、前記第1の最外層表面に形成され、前記複数のランドパターン間を電気的に接続するブリッジパターンと、前記積層体において前記第1の最外層表面とは反対側に位置する第2の最外層表面に形成され、グランドに接続されるグランド端子とを備え、前記導体部は、前記積層体を貫通して前記ランドパターンを前記グランド端子に電気的に接続する第1のスルーホールと、前記積層体を貫通して前記ブリッジパターンを前記グランド端子に電気的に接続する第2のスルーホールとを含むことを特徴とする。
このアンテナ切換モジュールによれば、ランドパターンは、セラミック層との密着力に加えて、ブリッジパターンのセラミック層との密着力、さらには、ブリッジパターンによる結合力とによって積層体表面に強固に形成される。その結果、ランドパターンは、単独で積層体表面に形成されただけの場合に比べて、より大きな衝撃モーメントに耐えることができる。従って、アンテナ切換モジュールの耐衝撃性を向上させることができる。
上記の構成を有する本発明のアンテナ切換モジュールは、以下の態様を採ることもできる。前記複数のランドパターンの各外縁部および前記ブリッジパターンを、前記最外層表面のセラミック層と共に、該セラミック層と同じセラミック材料を含むオーバコート材で被覆しても良い。これによって、ランドパターンがより一層強固に形成される。また、前記複数のランドパターンは、それぞれ前記導体部を介してグランドに接続されることによって、前記接続する表面実装部品にグランド電位を提供するものであっても良い。このアンテナ切換モジュールによれば、ランドパターンとグランド端子との間の各導体部をブリッジパターンによって並列に接続し、各導体部に寄生するインダクタンス要素の影響を小さくすることができる。その結果、耐衝撃性向上の効果に加え、ランドパターンのグランド機能を向上させることができる。
また、前記複数のランドパターンが電気的に接続する表面実装部品は、それぞれ異なる部品であっても良い。これによって、ブリッジパターンによる耐衝撃性向上を、より多くのランドパターンに対して適用することができる。
また、前記複数のランドパターンが電気的に接続する表面実装部品は、SAWフィルタであっても良い。SAWフィルタは、積層体に実装される種々の表面実装部品の中でも比較的に質量が大きく、その衝撃モーメントも大きくなる。SAWフィルタのランドパターンに本発明を適用することによって、効果的に耐衝撃性の向上を図ることができる。
また、前記ブリッジパターンの形成幅は、前記複数のランドパターンよりも狭い形成幅であっても良い。これによって、オーバコート材とセラミック層との間の接着面積が拡大し、これらの間の密着力を向上させることができる。
上記した課題を解決するため、本発明のアンテナ切換モジュールの製造方法は、通信システムの送信回路および受信回路と、通信電波の送受信を行うアンテナ部との間における信号経路の切換を行うアンテナ切換回路を、セラミック層を積層した積層体に形成したアンテナ切換モジュールであって、前記積層体に実装された表面実装部品と、前記積層体の内部に形成された導体部とを備えるアンテナ切換モジュールの製造方法であって、前記積層体における第1の最外層表面に、前記表面実装部品と前記導体部との間を電気的に接続する複数のランドパターンを、前記表面実装部品が実装される部分として形成し、前記第1の最外層表面に、前記複数のランドパターン間を電気的に接続するブリッジパターンを形成し、前記積層体において前記第1の最外層表面とは反対側に位置する第2の最外層表面に、グランドに接続されるグランド端子を形成し、前記導体部の一部として、前記積層体を貫通して前記ランドパターンを前記グランド端子に電気的に接続する第1のスルーホールを形成し、前記導体部の一部として、前記積層体を貫通して前記ブリッジパターンを前記グランド端子に電気的に接続する第2のスルーホールを形成し、前記複数のランドパターンの各外縁部および前記ブリッジパターンを、前記最外層表面のセラミック層と共に、該セラミック層と同じセラミック材料を含むオーバコート材で被覆することを特徴とする。この製造方法によれば、耐衝撃性を向上させたアンテナ切換モジュールを製造することができる。

上記の構成を有する本発明のアンテナ切換モジュールは、以下の態様を採ることもできる。前記複数のランドパターンは、それぞれ前記導体部を介してグランドに接続されることによって、前記接続する表面実装部品にグランド電位を提供するものであっても良い。また、前記複数のランドパターンが電気的に接続する表面実装部品は、それぞれ異なる部品であっても良いし、前記複数のランドパターンが電気的に接続する表面実装部品は、SAWフィルタであっても良い。また、前記ブリッジパターンの形成幅は、前記複数のランドパターンよりも狭い形成幅であっても良い。
以上説明した本発明の構成および作用を一層明らかにするために、以下本発明を適用したアンテナ切換モジュールについて、次の順序で説明する。
目次
A.実施例
A−(1).アンテナ切換モジュール10の構造
A−(2).積層体100の最上層の詳細構造
A−(3).積層体100の最下層の詳細構造
A−(4).アンテナ切換モジュール10の回路構成
A−(5).アンテナ切換モジュール10の製造方法
B.その他の実施形態
A.実施例:
本発明の実施例の一つであるアンテナ切換モジュール10について説明する。アンテナ切換モジュール10は、EGSM(Extended Global System for Mobile Communications),DCS(Digital Communication System),PCS(Personal Communication Service)の3つの通信システムに準拠した、いわゆるトリプルバンドの携帯電話用のモジュールである。アンテナ切換モジュール10は、携帯電話における複数の通信システムのそれぞれに対応した送信回路および受信回路と、通信電波の送受信を行うアンテナ部との間の基板上に実装される。
A−(1).アンテナ切換モジュール10の構造:
アンテナ切換モジュール10の構造について説明する。図1は、アンテナ切換モジュール10の外観構造を示す斜視図である。アンテナ切換モジュール10は、ガラスセラミック層を積層した四角柱状の積層体100を用いて、携帯電話の送信回路および受信回路とアンテナ部との間における信号経路の切換を行うアンテナ切換回路AC1を形成する。なお、積層体100の積層面の一辺は、5ミリメートル(以下、mmと表記する)程度である。
積層体100のガラスセラミック層は、アルミナおよびガラスを含むガラスセラミック材料から成る。積層体100の内部には、アンテナ切換回路AC1の一部を構成する導体部が、各ガラスセラミック層に形成された導体パターンや、ガラスセラミック層を貫通するスルーホールもしくはビアホールとして、銀を主成分とした導体材料で形成されている。
図2は、表面実装部品が実装された積層体100の最上層表面を示す上面図である。積層体100の最上層表面には、積層体100内部の導体部と共にアンテナ切換回路AC1を構成する種々の表面実装部品(チップ部品)が実装されている。これらの表面実装部品として、SAWフィルタSF1,SF2、5個のダイオードD1〜5、8個のコイルL1〜8、コンデンサC1,C2、抵抗器R1,R2が実装されている。これら表面実装部品の上部は、積層体100の最層表面に半田付けされた導体金属製のシールドキャップSCによって覆われている。シールドキャップSCは、アンテナ切換モジュール10が携帯電話のプリント基板(図示しない)に実装された際に、積層体100内部の導体部を介してグランドへ電気的に接続される。
A−(2).積層体100の最上層の詳細構造:
積層体100の最上層の詳細構造について説明する。図3は、積層体100の最上層表面を示す上面図である。図4は、積層体100の最上層の導体パターン152を示す上面図である。図5は、積層体100の最上層のオーバコート材160を示す上面図である。なお、図3ないし図5には、積層体100に実装されるSAWフィルタSF1,SF2を投影した外形が示されている。
積層体100の最上層であるガラスセラミック層150の表面には、図4に示すように、導体パターン152が形成されている。導体パターン152が形成されたガラスセラミック層150は、図5に示す複数の開口部OPTを有するようにオーバコート材160でコーティング(被覆)されている。オーバコート材160は、ガラスセラミック層150と同様のアルミナおよびガラスを含むガラスセラミック材料にコバルトを添加した材料から成る。なお、図面の認識の容易化を図るため、図3および図4における導体パターン152には、右下がりのハッチングが施され、図3および図5における開口部OPTには、右下がりのハッチングが施されている。
図3に示すように、オーバコート材160の各開口部OPTは、導体パターン152の内側に位置する。導体パターン152は、開口部OPTと重なり合う部分(図3中の各ハッチングが重なり合う部分)で積層体100の表面に露出する。図2に示した種々の表面実装部品は、開口部OPTから露出した導体パターン152の各部分に、それぞれ半田付けによって実装される。
図6は、SAWフィルタSF1,SF2が実装される積層体100の最上層表面を示す部分拡大図である。ガラスセラミック層150の内部には、積層体100内の導体部の一部であるスルーホールとして、スルーホールTH1〜8等が形成されている。スルーホールTH1〜8は、アンテナ切換モジュール10が携帯電話のプリント基板(図示しない)に実装された際に、グランドへ電気的に接続される。
導体パターン152は、表面実装部品が実装される部分として、SAWフィルタSF1とスルーホールTH1との間を電気的に接続するランドパターン部LS1aと、SAWフィルタSF1とスルーホールTH2との間を電気的に接続するランドパターン部LS1bと、SAWフィルタSF2とスルーホールTH3との間を電気的に接続するランドパターン部LS2aと、SAWフィルタSF2とスルーホールTH4との間を電気的に接続するランドパターン部LS2bと、シールドキャップSCとスルーホールTH6〜8との間を電気的に接続するランドパターン部LGとを有する。各ランドパターン部は、ガラスセラミック層150と接する面で、各スルーホールと電気的に接続されている。
表面実装部品が実装されるランドパターン部の他、導体パターン152は、ランドパターン部LG,LS1a間を電気的に接続するブリッジパターン部BP1と、ランドパターン部LS1a,LS1b間を電気的に接続するブリッジパターン部BP2と、ランドパターン部LS1b,LS2a間を電気的に接続するブリッジパターン部BP3と、ランドパターン部LS2a,LS2b間を電気的に接続するブリッジパターン部BP4とを有する。これらのブリッジパターン部BP1〜4の形成幅(線幅)は、それぞれ接続するランドパターン部よりも狭い形成幅(線幅)である。ブリッジパターン部BP4は、ガラスセラミック層150と接する面で、スルーホールTH5と電気的に接続されている。
図7は、図6におけるA−A線に沿ってランドパターン部LS1aを切断した形状を示す矢視断面図である。ランドパターン部LS1aのガラスセラミック層150に接していない面の外縁部は、ガラスセラミック層150と共にオーバコート材160でコーティング(被覆)されている。ランドパターン部LS1aと同様に、ランドパターン部LS1b,LS2a,LS2b,LGの外縁部についても、オーバコート材160でコーティングされている。
ガラスセラミック層150の下層には、ガラスセラミック層140が形成されている。スルーホールTH1は、ガラスセラミック層140に形成された導体パターン142に電気的に接続されている。
図8は、図6におけるB−B線に沿ってブリッジパターン部BP2を切断した形状を示す矢視断面図である。ブリッジパターン部BP2の全体は、ガラスセラミック層150と共にオーバコート材160でコーティングされている。ブリッジパターン部BP2と同様に、ブリッジパターン部BP1,BP3,BP4の全体についても、ガラスセラミック層150と共にオーバコート材160でコーティングされている。
A−(3).積層体100の最下層の詳細構造:
積層体100の最下層の詳細構造について説明する。図9は、積層体100の最下層表面を示す底面図である。図10は、積層体100の最下層の導体パターン112を示す底面図である。図11は、積層体100の最下層のオーバコート材105を示す底面図である。
積層体100の最下層であるガラスセラミック層110の表面には、図10に示すように、導体パターン112が形成されている。導体パターン112が形成されたガラスセラミック層110の上には、図11に示す複数の開口部OPBを有するようにオーバコート材105でコーティングされている。オーバコート材105は、ガラスセラミック層110と同様のアルミナおよびガラスを含むガラスセラミック材料にコバルトを添加した材料から成る。なお、図面の認識の容易化を図るため、図9および図10における導体パターン112には、右下がりのハッチングが施され、図9および図11における開口部OPBには、右下がりのハッチングが施されている。
図9に示すように、オーバコート材105の各開口部OPBは、導体パターン112の内側に位置する。導体パターン112は、開口部OPBと重なり合う部分(図9中の各ハッチングが重なり合う部分)で積層体100の表面に露出する。開口部OPBから露出した導体パターン112の各部分は、アンテナ切換モジュール10を携帯電話のプリント基板(図示しない)に実装するための種々の接続端子を構成する。
種々の接続端子として、アンテナ切換モジュール10が実装された際にグランドに接続される5つのグランド端子GND1〜5や、アンテナ部に接続されるアンテナ端子ANTが構成されている。長方形状のグランド端子GND1,GND2,GND4に対して、グランド端子GND3は、長方形の1つの角を切り取った5角形状に構成されている。なお、既述したスルーホールTH1〜8の各々は、グランド端子GND1〜5のいずれかへ電気的に接続されている。
これらの接続端子の他、EGSM系に関する接続端子としては、EGSM系の送信回路に接続される送信端子TX2と、EGSM系の受信回路に接続される受信端子RX2a,RX2bと、EGSM系の送受信経路の切換を制御する制御回路に接続される制御端子VC2とが構成されている。DCS/PCS系に関する接続端子としては、DCS/PCS系の送信回路に接続される送信端子TX34と、DCS系の受信回路に接続される受信端子RX3a,RX3bと、PCS系の受信回路に接続される受信端子RX4と、DCS/PCS系の送受信経路の入り切りの切換を制御する制御端子VC34と、PCS系の受信経路の入り切りの切換を制御する制御端子VC4とが構成されている。
A−(4).アンテナ切換モジュール10の回路構成:
アンテナ切換モジュール10が形成するアンテナ切換回路AC1について説明する。図12は、アンテナ切換回路AC1の概略を示すブロック図である。アンテナ切換回路AC1は、EGSM系の信号経路の切換を行うスイッチ回路SW2と、DCS/PCS系の信号経路の切換を行うスイッチ回路SW34と、スイッチ回路SW2,SW34に対して各受信信および各送信信号の分配を行うダイプレクサ回路DPとを主要な回路として構成されている。
アンテナ端子ANTとダイプレクサ回路DPとを接続する信号経路には、ローパスフィルタ回路LPF1が配設されている。ダイプレクサ回路DPには、スイッチ回路SW2に接続する信号経路にローパスフィルタ回路LPF2が配設され、スイッチ回路SW34に接続する信号経路にハイパスフィルタ回路HPFが配設されている。スイッチ回路SW2と送信端子TX2とを接続する信号経路には、ローパスフィルタ回路LPF3が配設されている。
スイッチ回路SW2と受信端子RX2a,RX2bとを接続する信号経路には、EGSMシステムの受信周波数帯域に対応したSAWフィルタ回路SAW2が配設されている。スイッチ回路SW34と受信端子RX3a,RX3bとを接続する信号経路には、DCSシステムの受信周波数帯域に対応したSAWフィルタ回路SAW3が配設されている。SAWフィルタ回路SAW2は、SAWフィルタSF1に形成され、SAWフィルタ回路SAW3は、SAWフィルタSF2に形成されている。
A−(5).アンテナ切換モジュール10の製造方法
アンテナ切換モジュール10の製造方法について説明する。図13は、アンテナ切換モジュール10の製造工程の概略を示す説明図である。アンテナ切換モジュール10を製造する際には、始めに、誘電体材料の一つである低温焼成可能なガラスセラミック材料から成るグリーンシートを複数用意する(工程S110)。グリーンシートの大きさは、複数個分の積層体100の大きさである。
その後、各グリーンシートに、積層体100の隣接する各層を導通させるスルーホールと、アンテナ切換回路AC1を形成する導体パターンとを、積層体100の各層に対応させて形成する(工程S120)。スルーホールについては、スルーホールを形成する箇所に穴を開けた後、その穴に導体ペーストを充填させることによって形成する。導体パターンについては、導体ペーストを印刷することによって形成する。なお、本実施例の導体ペーストの材料は、銀を主体とする材料を用いる。
この工程において、ガラスセラミック層150に対応するグリーンシートには、図4に示した導体パターン152が形成され、図5に示したオーバコート材160がコーティングされる。ガラスセラミック層110に対応するグリーンシートには、図10に示した導体パターン112が形成され、図11に示したオーバコート材105がコーティングされる。
導体パターンを形成した後(工程S120)、積層体100の各層の導体パターンが形成されたグリーンシートを、積層体100における各層の並びの順で積層する(工程S130)。
グリーンシートを積層した後(工程S130)、積層したグリーンシートを焼成する(工程S140)。その後、焼成したグリーンシートにおける各積層体100の表面に現れている導体パターンにニッケル−金メッキを施し(工程S150)、各積層体100の最上層表面に、SAWフィルタSF1,SF2等の表面実装部品やシールドキャップSCを半田付けする(工程S160)。その後、各積層体100を形成する個片毎に分割することで(工程S170)、アンテナ切換モジュール10が完成する。
以上説明した本発明のアンテナ切換モジュール10によれば、ランドパターン部LS1a,LS1b,LS2a,LS2bは、ガラスセラミック層150との密着力に加えて、外縁部におけるオーバコート材160による押圧力と、ブリッジパターン部BP1〜BP4による結合力とによって積層体100の表面に固定される。その結果、各ランドパターン部は、単独で積層体100の表面に形成されただけの場合に比べて、より大きな衝撃モーメントに耐えることができる。従って、アンテナ切換モジュール10の耐衝撃性を向上させることができる。
また、ランドパターン部LS1a,LS1b,LS2a,LS2bとグランド端子GND1〜4との間の各導体部をブリッジパターン部BP2〜4によって並列に接続し、各導体部に寄生するインダクタンス要素の影響を小さくすることができる。
図14は、本実施例の積層体100における寄生インダクタンスの様子を示す説明図である。図15は、積層体900における寄生インダクタンスの様子を示す説明図である。積層体900は、本実施例の積層体100に対する比較例であり、その構造は、積層体100に形成された各ブリッジパターンが形成されていない点以外は、積層体100の構造と同様である。積層体900の場合には、図15に示すように、寄生インダクタンスLp1〜4が、各ランドパターン部に対して、それぞれ単独で接続される。本実施例における積層体100の場合には、図14に示すように、ブリッジパターン部BP2〜4によって、寄生インダクタンスLp1〜4が、各ランドパターン部に対して並列に接続される。寄生インダクタンスLp1〜4の大きさが全て同じであると仮定すると、本実施例における積層体100の場合には、各ランドパターン部に接続されるインダクタンスの大きさは、積層体900の場合に比べて4分の1の大きさとなる。その結果、耐衝撃性向上の効果に加え、ランドパターン部LS1a,LS1b,LS2a,LS2bのグランド機能を向上させることができる。
また、ブリッジパターン部BP1,BP3は、それぞれ異なる表面実装部品が実装される電気的に同電位のランドパターン部間に形成されるため、ブリッジパターン部による耐衝撃性向上を、より多くのランドパターン部に対して適用することができる。
また、積層体に実装される種々の表面実装部品の中でも比較的に質量が大きなSAWフィルタSF1,SF2が実装されるランドパターン部に対してブリッジパターン部BP1〜4を形成したため、効果的に耐衝撃性の向上を図ることができる。
また、ブリッジパターン部BP1〜4の形成幅が、各ランドパターンよりも狭い形成幅であるため、オーバコート材160とガラスセラミック層150との間の接着面積が拡大し、これらの間の密着力を向上させることができる。
B.その他の実施形態:
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。例えば、ブリッジパターン部を形成するランドパターン部は、SAWフィルタSF1,SF2が実装されるものに限るものではなく、他の表面実装部品が実装されるもの(例えば、GaAsスイッチICに代表されるIC等)に適用しても良い。また、実装部品が実装されるランドパターン部間にブリッジパターン部を形成するのではなく、実装部品が実装されるランドパターン部と、ノイズ防止等のために形成されたランドパターン部との間にブリッジパターン部を形成することとしても良い。
アンテナ切換モジュール10の外観構造を示す斜視図である。 表面実装部品が実装された積層体100の最上層表面を示す上面図である。 積層体100の最上層表面を示す上面図である。 積層体100の最上層の導体パターン152を示す上面図である。 積層体100の最上層のオーバコート材160を示す上面図である。 SAWフィルタSF1,SF2が実装される積層体100の最上層表面を示す部分拡大図である。 図6におけるA−A線に沿ってランドパターン部LS1aを切断した形状を示す矢視断面図である。 図6におけるB−B線に沿ってブリッジパターン部BP2を切断した形状を示す矢視断面図である。 積層体100の最下層表面を示す底面図である。 積層体100の最下層の導体パターン112を示す底面図である。 積層体100の最下層のオーバコート材105を示す底面図である。 アンテナ切換回路AC1の概略を示すブロック図である。 アンテナ切換モジュール10の製造工程の概略を示す説明図である。 本実施例の積層体100における寄生インダクタンスの様子を示す説明図である。 積層体900における寄生インダクタンスの様子を示す説明図である。
符号の説明
10...アンテナ切換モジュール
100...積層体
105,160...オーバコート材
110,140,150...ガラスセラミック層
112,142,152...導体パターン
LS1a,LS1b,LS2a,LS2b,LG...ランドパターン部
BP1〜4...ブリッジパターン部
OPT,OPB...開口部
TH1〜8...スルーホール
GND1〜5...グランド端子
ANT...アンテナ端子
TX2,TX34...送信端子
RX2a,RX2b,RX3a,RX3b,RX4...受信端子
VC2,VC34,VC4...制御端子
SF1,2...SAWフィルタ
D1〜5...ダイオード
L1〜8...コイル
C1...コンデンサ
R1...抵抗器
SC...シールドキャップ
AC1...アンテナ切換回路
DP...ダイプレクサ回路
SW2,SW34...スイッチ回路
SAW2,3...SAWフィルタ回路
HPF...ハイパスフィルタ回路
LPF1〜3...ローパスフィルタ回路
Lp1〜4...寄生インダクタンス

Claims (6)

  1. 通信システムの送信回路および受信回路と、通信電波の送受信を行うアンテナ部との間における信号経路の切換を行うアンテナ切換回路を、セラミック層を積層した積層体に形成したアンテナ切換モジュールであって、
    記積層体に実装された表面実装部品と、
    前記積層体の内部に形成された導体部と、
    前記積層体における第1の最外層表面に前記表面実装部品が実装される部分として形成され、前記表面実装部品と前記導体部との間を電気的に接続する複数のランドパターンと、
    前記第1の最外層表面に形成され、前記複数のランドパターン間を電気的に接続するブリッジパターンと、
    前記積層体において前記第1の最外層表面とは反対側に位置する第2の最外層表面に形成され、グランドに接続されるグランド端子と
    を備え、
    前記導体部は、
    前記積層体を貫通して前記ランドパターンを前記グランド端子に電気的に接続する第1のスルーホールと、
    前記積層体を貫通して前記ブリッジパターンを前記グランド端子に電気的に接続する第2のスルーホールと
    を含む、アンテナ切換モジュール。
  2. 前記複数のランドパターンの各外縁部および前記ブリッジパターンを、前記最外層表面のセラミック層と共に、該セラミック層と同じセラミック材料を含むオーバコート材で被覆した請求項1記載のアンテナ切換モジュール。
  3. 前記複数のランドパターンが電気的に接続する表面実装部品は、SAWフィルタである請求項1または請求項2に記載のアンテナ切換モジュール。
  4. 前記ブリッジパターンの形成幅は、前記複数のランドパターンよりも狭い形成幅である請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のアンテナ切換モジュール。
  5. 通信システムの送信回路および受信回路と、通信電波の送受信を行うアンテナ部との間における信号経路の切換を行うアンテナ切換回路を、セラミック層を積層した積層体に形成したアンテナ切換モジュールであって、前記積層体に実装された表面実装部品と、前記積層体の内部に形成された導体部とを備えるアンテナ切換モジュールの製造方法であって、
    前記積層体における第1の最外層表面に、前記表面実装部品と前記導体部との間を電気的に接続する複数のランドパターンを、前記表面実装部品が実装される部分として形成し、
    前記第1の最外層表面に、前記複数のランドパターン間を電気的に接続するブリッジパターンを形成し、
    前記積層体において前記第1の最外層表面とは反対側に位置する第2の最外層表面に、グランドに接続されるグランド端子を形成し、
    前記導体部の一部として、前記積層体を貫通して前記ランドパターンを前記グランド端子に電気的に接続する第1のスルーホールを形成し、
    前記導体部の一部として、前記積層体を貫通して前記ブリッジパターンを前記グランド端子に電気的に接続する第2のスルーホールを形成し、
    前記複数のランドパターンの各外縁部および前記ブリッジパターンを、前記最外層表面のセラミック層と共に、該セラミック層と同じセラミック材料を含むオーバコート材で被覆するアンテナ切換モジュールの製造方法。
  6. 前記ブリッジパターンの形成幅は、前記複数のランドパターンよりも狭い形成幅である請求項5に記載のアンテナ切換モジュールの製造方法。
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