JP2005292276A - 感放射線組成物、積層体及びその製造方法並びに電子部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プロトン性極性基を有する環状オレフィン系重合体、架橋剤、感放射線化合物及び溶媒を含有してなる感放射線組成物であって、架橋剤が3個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物であり、溶媒がポリアルキレングリコール化合物と窒素含有溶媒とからなる混合溶媒であることを特徴とする感放射線組成物。基板と、その上に上記感放射線組成物を用いて形成された樹脂膜とからなる積層体。
Description
最近では、このような電子部品においては、多層配線が行われるようになり、各層間での高度の絶縁性を保つことができ、しかも十分な凹凸部平坦化性を有する樹脂膜を形成するための材料が求められている。
特許文献2では、脂環式骨格を有し、酸の作用によりアルカリ可溶性となる樹脂、感放射線酸発生剤及び特定の溶媒からなる感放射線樹脂組成物が開示されている。この発明は、特定の樹脂と特定の溶剤との組合せにより、感度、解像度、現像性等の特性に優れ、特に放射線に対する透明性等に優れたレジスト膜を均一な厚さで形成しようとするものである。
また、本出願人は、脂環式オレフィン樹脂、酸発生剤、架橋剤及び溶媒からなる感放射線樹脂組成物であって、溶剤が少なくとも特定のグリコール系を含有するものであることを特徴とする感放射線樹脂組成物を提案した(特許文献3)。
更に、本出願人は、脂環式オレフィン樹脂、酸発生剤、架橋剤及び溶媒からなる感放射線樹脂組成物であって、溶媒が少なくとも2種類以上の異なる溶媒からなる混合溶媒であり、且つ、この混合溶媒の5〜40重量%が、窒素原子又はイオウ原子を含有する非プロトン性極性溶媒であることを特徴とする感放射線樹脂組成物を提案した(特許文献4)。
本発明においては、プロトン性極性基を有する環状オレフィン系重合体が、プロトン性極性基含有環状オレフィン単位を10〜90重量%含有するものであることが好ましい。
本発明においては、ポリアルキレングリコール化合物溶媒が、両末端水酸基がエステル化又はエーテル化されたポリアルキレングリコールであることが好ましい。
更に、本発明においては、溶媒として、窒素原子を含まない含酸素化合物溶媒を更に含有することが好ましい。
本発明によれば、また、上記感放射線組成物を用いてなる樹脂膜を基板上に積層してなる積層体が提供される。
この積層体は、上記感放射線組成物を用いて樹脂膜を基板上に形成し、次いで必要に応じて樹脂を架橋させることにより得ることができる。
本発明においては、樹脂膜は、パターン化樹脂膜であってもよい。
本発明によれば更に、上記感放射線組成物を用いて樹脂膜を基板上に形成し、この樹脂膜に活性放射線を照射して樹脂膜中に潜像パターンを形成し、次いで樹脂膜に現像液を接触させることにより潜像パターンを顕在化させて、基板上にパターン化樹脂膜を形成する請求項6記載の積層体の製造方法が提供される。
更に、上記本発明の積層体の製造方法においては、基板上にパターン化樹脂膜を形成した後に、樹脂の架橋反応を行ってもよい。
更に、本発明によれば、上記積層体からなる電子部品が提供される。
プロトン性極性基の具体例としては、カルボキシル基(ヒドロキシカルボニル基)、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシル基等の酸素原子を有する極性基;第一級アミノ基、第二級アミノ基、第一級アミド基、第二級アミド基(イミド基)等の窒素原子を有する極性基;チオール基等のイオウ原子を有する極性基;等が挙げられる。これらの中でも、酸素原子を有するものが好ましく、より好ましくはカルボキシル基である。
本発明において、プロトン性極性基を含有する環状オレフィン系重合体に含まれるプロトン性極性基は、環状オレフィン単量体単位に結合していても、環状オレフィン単量体以外の単量体単位に結合していてもよいが、環状オレフィン単量体単位に結合していることが望ましい。
これらのプロトン性極性基を含有する環状オレフィン系重合体は、組成等の異なるものを、それぞれ単独で又は2種類以上組合せて用いることができる。
これらのうち、好ましくはプロトン性極性基以外の極性基を含有する環状オレフィン単量体(b)及び極性基非含有環状オレフィン単量体(c)であり、より好ましくはプロトン性極性基以外の極性基を含有する環状オレフィン単量体(b)である。
これらのうち、好ましくはエステル基、N−置換イミド基及びシアノ基であり、より好ましくはエステル基及びN−置換イミド基である。特に、N−置換イミド基が好ましい。
シアノ基含有環状オレフィンとしては、例えば、8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が挙げられる。
ハロゲン原子含有環状オレフィンとしては、例えば、8−クロロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−クロロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等が挙げられる。
これらのプロトン性極性基以外の極性基を有する環状オレフィンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
プロトン性極性基を含有する環状オレフィン単量体(a)は、必要に応じて、これと共重合可能な単量体(上述の単量体(b)、(c)又は(d))と共重合することができる。
重合触媒としては、例えば、モリブデン、ルテニウム、オスミウム等の金属錯体が好適に用いられる。これらの重合触媒は、それぞれ単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。重合触媒の量は、重合触媒中の金属化合物:環状オレフィンのモル比で、通常、1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:500〜1:1,000,000、より好ましくは1:1,000〜1:500,000の範囲である。
水素添加触媒としては、例えば、オレフィン化合物の水素添加に際して一般的に使用されているものを用いることができる。具体的には、チーグラータイプの均一系触媒、貴金属錯体触媒、及び担持型貴金属系触媒等が利用できる。これらの水素添加触媒のうち、官能基が変性する等の副反応が起きず、重合体中の炭素−炭素不飽和結合を選択的に水素添加できる点から、ロジウム、ルテニウム等の貴金属錯体触媒が好ましく、電子供与性の高い含窒素複素環式カルベン化合物又はホスフィン類が配位したルテニウム触媒が特に好ましい。
本発明で使用されるプロトン性極性基を含有する環状オレフィン系重合体の分子量分布は、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)比で、通常、4以下、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下である。
本発明で使用されるプロトン性極性基を含有する環状オレフィン系重合体のヨウ素価は、通常、200以下、好ましくは50以下、より好ましくは10以下である。プロトン性極性基を含有する環状オレフィン系重合体のヨウ素価がこの範囲にある時に特に耐熱性に優れ好適である。
また、多官能エポキシ化合物は、脂環構造を有するものであることが好ましく、より好ましくは、脂環構造部分に直接又は2価の連結基を介して結合しているエポキシ基を3個以上有するエポキシ化合物である。脂環構造は、芳香環を水素添加して得られるものであってもよい。
このような多官能エポキシ化合物を使用することにより、放射線に対する感度、樹脂膜厚均一性、凹凸部平坦化性、耐熱形状保持性及び誘電特性等の特性が高度にバランスされる。
このようなエポキシ化合物の具体例としては、ジシクロペンタジエンを骨格とする3官能性のエポキシ化合物(商品名「XD−1000」。日本化薬社製)、[2,2−ビス(ヒドロキシメチル)1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(シクロヘキサン骨格及び末端エポキシ基を有する15官能性の脂環式エポキシ樹脂。商品名「EHPE3150」。ダイセル化学工業社製)、エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(脂肪族環状3官能性のエポキシ樹脂。商品名「エポリードGT301」。ダイセル化学工業社製)、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(脂肪族環状4官能性のエポキシ樹脂。商品名「エポリードGT401」。ダイセル化学工業社製)を挙げることができる。
また、脂環構造を有さないエポキシ基が3つ以上のエポキシ化合物としては、芳香族アミン型多官能性エポキシ化合物(商品名「H−434」、東都化成工業社製)、クレゾールノボラック型多官能エポキシ化合物(商品名「EOCN−1020」、日本化薬社製)、フェノールノボラック型多官能エポキシ化合物(エピコート152、154、ジャパンエポキシレジン社製)、ナフタレン骨格を有する多官能エポキシ化合物(商品名EXA−4700、大日本インキ化学株式会社製)、鎖状アルキル多官能エポキシ化合物(商品名「SR−TMP」、坂本薬品工業社製)、多官能エポキシポリブタジエン(商品名「エポリードPB3600」、ダイセル化学工業社製)、ビスフェノールA型多官能エポキシ樹脂(エピコート157S65、157S70、ジャパンエポキシレジン製)等を挙げることができる。
これらの3個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物は、それぞれ単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができ、その配合量は、前記プロトン性極性基を有する環状オレフィン系重合体100重量部に対し、通常、1〜200重量部、好ましくは10〜100重量部、より好ましくは20〜50重量部である。使用量がこの範囲にあるときに、形成される樹脂膜の膜厚均一性、凹凸部平坦化性及び耐熱形状保持性が高度に改善され好適である。
併用可能なその他の架橋剤は、2個以下のエポキシ基及び/又はプロトン性極性基を有する環状オレフィン系重合体のプロトン性極性基と架橋可能なエポキシ基以外の基(例えば、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、イソシアネート基等が挙げられ、好ましくはアミノ基、イソシアネート基等である。)を合計2個以上、好ましくは3個以上有していればよく、これらの架橋可能な基は、同一でも異なっていてもよい。
このような架橋剤の例としては、エポキシ基を2個有するエポキシ化合物であって、脂環骨格を有するエポキシ化合物;エポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物であって、クレゾールノボラック骨格、フェノールノボラック骨格、ビスフェノールA骨格又はナフタレン骨格を有するエポキシ化合物;エポキシ基を2個以上有するトリメチロールプロパン型エポキシ化合物が挙げられる。
これらのその他の架橋剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
架橋剤の使用量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、プロトン性極性基を有する環状オレフィン系重合体100重量部に対し、通常、1〜200重量部、好ましくは10〜100重量部、より好ましくは20〜50重量部である。使用量がこの範囲にあるときに、形成される樹脂膜の膜厚均一性、凹凸部平坦化性及び耐熱形状保持性が高度に改善され好適である。
このような感放射線化合物としては、例えば、アセトフェノン化合物、トリアリールスルホニウム塩、キノンジアジド化合物等のアジド化合物等が挙げられるが、好ましくはアジド化合物、特に好ましくはキノンジアジド化合物である。
キノンジアジド化合物としては、例えば、キノンジアジドスルホン酸ハライドとフェノール性水酸基を有する化合物とのエステル化合物を用いることができる。
キノンジアジドスルホン酸ハライドとしては、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロライド、1,2−ベンゾキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド等が挙げられる。
これ以外のフェノール性水酸基を有する化合物としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1,2,2 −テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ノボラック樹脂のオリゴマー、フェノール性水酸基を1つ以上有する化合物とジシクロペンタジエンとを共重合して得られるオリゴマー等が挙げられる。
これらの感放射線化合物は、それぞれ単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
感放射線化合物の使用量は、プロトン性極性基を含有する環状オレフィン系重合体100重量部に対して、通常、1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部、より好ましくは10〜40重量部の範囲である。感放射線化合物の使用量がこの範囲にあると、基板上に形成させた樹脂膜をパターニングする際に、放射線照射部と放射線未照射部との溶解度差が大きくなり、現像によるパターニングが容易で、且つ、放射線感度も高くなるので好ましい。
本発明において、ポリアルキレングリコール化合物とは、複数のアルキレングリコール鎖を有するポリアルキレングリコール及びこのポリアルキレングリコールの末端水酸基のいずれか又は双方をエステル化又はエーテル化したものの総称である。
本発明で使用するポリアルキレングリコール化合物溶媒において、アルキレングリコール鎖の数は、特に限定されないが、通常、2〜10、好ましくは2〜5、より好ましくは2である。また、ポリアルキレングリコール化合物としては、末端水酸基の少なくとも一方がエステル化又はエーテル化されたものが好ましく、両末端水酸基がエステル化又はエーテル化されたものがより好ましい。入手容易性と操作性の観点から、アルキレン部分の炭素数は2〜3のものが好ましく、特に2であるものが好ましい。
これらのポリアルキレングリコール化合物溶媒は、それぞれ単独であるいは2種以上を組合せて用いることができる。
これらの中でも、環状アミド類が好ましく、N−メチル−2−ピロリドンがより好ましい。
これらの窒素含有化合物溶媒を用いると感放射線組成物を用いて得られる樹脂膜の感光性が向上し好適である。これらの窒素含有化合物溶媒は、それぞれ単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
ポリアルキレングリコール化合物溶媒と窒素含有化合物溶媒との割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、ポリアルキレングリコール化合物溶媒/窒素含有化合物溶媒比(重量比)で、通常、95/5〜5/95、好ましくは95/5〜50/50、更に好ましくは、90/10〜60/40の範囲である。
本発明の感放射線組成物においては、ポリアルキレングリコール化合物と窒素含有溶媒との混合溶媒に、更に窒素原子を含まない含酸素化合物溶媒を加えると樹脂膜厚均一性や凹凸部平坦化性が高度に改善されるので好適である。
これらの中でも、モノアルキレングリコール類、モノアルキレングリコールモノエーテル類、モノアルキレングリコールモノエステル類、モノアルキレングリコールエーテルエステル類等のモノアルキレングリコール化合物やケトン類が好ましい。
これらの窒素原子を含まない含酸素化合物溶媒は、それぞれ単独であるいは2種以上を組合せて用いることができる。その配合量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、ポリアルキレングリコール化合物溶媒100重量部に対して、通常、1〜100重量部、好ましくはより3〜60重量部、好ましくは5〜40重量部の範囲である。
その他の溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類:シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;等が挙げられる。これらのその他の溶媒は、それぞれ単独であるいは2種以上を組合せて用いることができ、その配合量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
その他の樹脂成分としては、例えば、プロトン性極性基を有さない環状オレフィン系重合体、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ゴム及びエラストマー等を挙げることができる。これらのその他の樹脂成分は、それぞれ単独で又は2種以上を組合せて用いることができ、その配合量は本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
増感剤としては、例えば、2H−ピリド−(3,2−b)−1,4−オキサジン−3(4H)−オン類、10H−ピリド−(3,2−b)−1,4−ベンゾチアジン類、ウラゾール類、ヒダントイン類、バルビツール酸類、グリシン無水物類、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール類、アロキサン類、マレイミド類等が好ましく挙げられる。
界面活性剤は、ストリエ−ション(塗布筋あと)の防止、現像性の向上等の目的で使用され、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレート等のポリオキシエチレンジアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤;シリコーン系界面活性剤;(メタ)アクリル酸共重合体系界面活性剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、通常の重合体に使用されている、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤等が使用できる。例えば、フェノール類として、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、p−メトキシフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、アルキル化ビスフェノール等を挙げることができる。リン系酸化防止剤としては、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、イオウ系としては、チオジプロピオン酸ジラウリル等が挙げられる。これらの中でも、加熱時の黄変の観点から、フェノール系酸化防止剤が好ましく、中でも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。
接着助剤としては、例えば、官能性シランカップリング剤等が挙げられ、その具体例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
本発明の感放射線組成物の固形分濃度は、通常、1〜70重量%、好ましくは、5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。固形分濃度がこの範囲にある時に、基板上への塗布性や形成される樹脂膜の膜厚均一性及び凹凸部平坦化性等に優れ好適である。
本発明において、基板は、例えば、プリント配線基板、シリコンウエハー基板、ガラス基板、プラスチック基板等を用いることができる。また、ディスプレイ分野において使用される、ガラス基板やプラスチック基板等に薄型トランジスタ型液晶表示素子、カラーフィルター、ブラックマトリックス等が形成されたものも好適に用いられる。
樹脂膜の厚さは、通常、0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは0.5〜30μmの範囲である。
樹脂膜を基板上に形成する方法は、特に限定されず、例えば、塗布法やフィルム積層法等の方法を用いることができる。塗布法は、例えば、感放射線組成物を基板上に塗布した後、加熱乾燥して溶媒を除去し、次いで必要に応じて、架橋する方法である。感放射線組成物を基板上に塗布する方法としては、例えば、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、ドクターブレード法、回転塗布法、バー塗布法、スクリーン印刷法等の各種の方法を採用することができる。加熱乾燥条件は、各成分の種類や配合割合に応じて異なるが、通常、30〜150℃、好ましくは60〜120℃で、通常、0.5〜90分間、好ましくは1〜60分間、より好ましくは1〜30分間で行えばよい。
フィルム積層法は、例えば、感放射線組成物を樹脂フィルムや金属フィルム等の基材上に塗布した後に加熱乾燥により溶剤を除去してBステージフィルムを得、次いで、このBステージフィルムを基板上に積層する方法である。加熱乾燥条件は、各成分の種類や配合割合に応じて異なるが、通常、30〜150℃、好ましくは60〜120℃で、通常、0.5〜90分間、好ましくは1〜60分間、より好ましくは1〜30分間行えばよい。フィルム積層は、加圧ラミネータ、プレス、真空ラミネータ、真空プレス、ロールラミネータ等の圧着機を用いて行うことができる。
本発明の積層体、特に基板上にパターン化樹脂膜を形成した積層体は、種々の電子部品として有用である。
基板上にパターン化された樹脂膜は、以下のようにして形成することができる。
まず、上述のようにして基板上に形成した樹脂膜に活性放射線を照射して所望のパターンの潜像を形成する。活性放射線としては、感放射線化合物を活性化させ、感放射線組成物のアルカリ可溶性を変化させることができるものであれば特に限定されない。具体的には、紫外線、g線やi線等の単一波長の紫外線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光等の光線;電子線のような粒子線;等を用いることができる。これらの活性放射線を選択的にパターン状に照射して潜像パターンを形成する方法としては、常法に従えばよく、例えば、縮小投影露光装置等により、紫外線、g線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光等の光線を所望のマスクパターンを介して照射する方法、又は電子線等の粒子線により描画する方法等を用いることができる。活性放射線として光線を用いる場合は、単一波長光であっても、混合波長光であってもよい。照射条件は、使用する活性放射線に応じて適宜選択されるが、例えば、波長200〜450nmの光線を使用する場合、照射量は、通常10〜1,000mJ/cm2、好ましくは50〜500mJ/cm2の範囲であり、照射時間と照度に応じて決まる。このようにして活性放射線を照射した後、必要に応じ、樹脂膜を60〜130℃程度の温度で1〜2分間程度加熱処理する。
このようにして目的とするパターン化樹脂膜を基板上に形成した後、必要に応じて、基板上、基板裏面及び基板端部の現像残渣を除去するために、基板をリンス液でリンスすることができる。リンス処理の後、残存しているリンス液を圧縮空気や圧縮窒素により除去する。
更に、必要に応じて、感放射線化合物を失活させるために、活性放射線の照射には、パターン化樹脂膜を有する基板全面に活性放射線を照射することもできる。上記潜像パターンの形成に例示した方法を利用できる。照射と同時に又は照射後に樹脂膜を加熱してもよい。加熱方法としては、例えば、基板をホットプレートやオーブン内で加熱する方法が挙げられる。温度は、通常、100〜300℃、好ましくは120〜200℃の範囲である。
なお、各特性は、以下の方法により評価した。
[重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー社製HLC−8020)を用いて、ポリイソプレン換算分子量として求める。
[水素化率]
水素化率は、1H−NMRスペクトルにより、水素化された炭素−炭素二重結合モル数の水素添加前の炭素−炭素二重結合モル数に対する割合として求める。
[ヨウ素価]
JIS K0070Bに従って測定する。
550×650×0.7mmの低反射Cr膜付きガラス基板上に、感放射線組成物を50ml滴下しスピンコートした後、ホットプレート上において95℃で2分間乾燥処理をして、膜厚3μmの塗布基板を形成する。光干渉式膜厚測定装置VM−8000J(大日本スクリーン社製)を用い、塗布基板の周囲から10mm内側を測定有効エリアとし縦横各5列にほぼ等間隔に設定した25点の膜厚を測定し、下記式により面内膜厚変動幅を計算する。
面内膜厚変動幅=100×(膜厚最大値−膜厚最小値)/(平均膜厚)
この面内膜厚変動幅の数値により、下記の基準で、面内膜厚均一性を判定する。
◎:10未満
○:10以上15未満
△:15以上20未満
×:20以上
300×350×0.7mmのガラス基板上にライン幅20μm、スペース300μm、高さ1.5μmの格子状パターンのアルミ配線を形成した基板上に、スピンナー(ミカサ社製)を用いて、感放射線組成物を塗布し、ホットプレートを用いて95℃、120秒間乾燥し、乾燥後の膜厚(ガラス基板からの距離)が2.5μmになるように成膜する。次に、接触式膜厚計P−10(テンコール社製)を用いて膜厚(ガラス基板からの距離)を測定する。下記式によりアルミ配線のある部分とない部分の膜厚差を求め、下記の基準で判定する。
膜厚差(%)=100×(配線のある部分の膜厚−配線のない部分の膜厚)/配線のない部分の膜厚
◎:膜厚差が5%未満
○:5%以上10未満
△:10%以上15%未満
×:15%以上
シリコン基板上にスピンコーター(D−629、大日本スクリーン社製)を用いて、感放射線組成物を塗布した後、ホットプレートで90℃、120秒間の乾燥処理を行い、光学式膜厚計SM−200(テンコール社製)で測定したときに2.5μmになるように成膜する。
この樹脂膜に、露光機(PLA501F、キャノン社製)とL−39フィルターとを用い、405nmにおける光強度が6mW/cm2である光を、10μmのライン部とスペース部が一対一のマスクを介して、所定の時間照射する。
次に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.3重量%水溶液により23℃で100秒間現像処理を行った後、超純水で1分間リンス処理しポジ型のパターンを形成させる。
このとき、露光現像された10μmのスペース部が解像してなくなる時の露光量を感度の値とし、これに基づいて下記の基準で感度を判定する。
◎:300mJ/cm2以下
○:500mJ/cm2以上300mJ/cm2以下
△:500mJ/cm2以上1000mJ/cm2以下
×:1000mJ/cm2よりも大きい
300×350×0.7mmのガラス基板上に1.5μmの段差を有するアルミ膜を形成した基板上に、スピンナー(ミカサ社製)を用いて、架橋性樹脂組成物を塗布し、ホットプレートを用いて95℃、120秒間乾燥し、乾燥後の膜厚が2.5μmになるように成膜する。この膜の全面に、365nmにおける光強度が5mW/cm2である紫外線を、空気中で60秒間照射し、次いで、このパターンが形成されたガラス基板をホットプレートを用いて、160℃で2分間、1回目の加熱処理する。得られたパターンの断面を電子顕微鏡で観察して、パターンの下端の幅aを測定する。次に、1回目の加熱処理を施したガラス基板を、クリーンオーブンを用いて、230℃で1時間、2回目の加熱処理を施す。この2回目の加熱処理をしたパターンの断面を電子顕微鏡で観察して、パターンの上端の形状を評価すると共に、パターンの下端幅bを測定する。1回目の加熱処理後のパターンの下端幅aに対する2回目の加熱処理後のパターンの下端幅bの百分比率(b/a)を求めて、下記の基準で判定する。
◎:上端に丸みは認められず、上記比率は110%以下である。
○:上端が丸みを帯びているが、上記比率は120%以下である。
△:上端が丸みを帯び、上記比率は120%を超えている。
×:パターンが完全に溶融し、隣接パターンと融着している。
アルミニウム基板上にスピンナー(ミカサ社製)を用いて、感放射線組成物を塗布した後、ホットプレートで95℃、120秒間の乾燥処理を行い、触針式膜厚計P−10(テンコール社製)で測定したときに3μmになるように、成膜する。この膜を露光処理しないで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド0.3%水溶液に23℃で100秒間浸漬して現像処理を行った後、超純水で1分間リンス処理し、次いで、樹脂膜全面に365nmにおける光強度が5mW/cm2である紫外線を照射して、感放射線化合物を失活させる。その後、230℃のホットプレートで1時間加熱を行う。この樹脂膜の上に、0.3μmのアルミニウム膜を形成し、23℃の環境下で1MHzの誘電率を測定する。この誘電率に基づいて、下記の基準で判定する。
○:誘電率が3未満。
×:誘電率が3以上。
8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン60部、N−フェニル−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)40部、1−ヘキセン1.3部、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド0.05部、及びテトラヒドロフラン400部を、窒素置換したガラス製耐圧反応器に仕込み、攪拌しつつ70℃で2時間反応させて重合体溶液A(固形分濃度:約20%)を得た。
この重合体溶液Aの一部を攪拌機付オートクレーブに移し、150℃で水素を圧力4MPaで溶存させて5時間反応させ、水素化された重合体(水素化率100%)を含む重合体溶液B(固形分濃度:約20%)を得た。
100部の重合体溶液Bに1部の活性炭粉末を添加した耐熱容器をオートクレーブに入れ、攪拌しつつ150℃で水素を4MPaの圧力で3時間溶存させた。次いで、溶液を取り出して孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターでろ過して活性炭を分離して重合体溶液を得た。ろ過は滞りなく行えた。重合体溶液をエチルアルコール中に注いで凝固させ、生成したクラムを乾燥して重合体を得た。得られた重合体のポリイソプレン換算のMwは5,500であり、Mnは3,200であった。またヨウ素価は1であった。
合成例1で得た重合体100部、表1に示す総量550部の溶媒、1,2−キノンジアジド化合物として4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール(1モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(2.5モル)との縮合物25重量部、架橋剤として脂環式構造含有多官能エポキシ化合物(分子量2700、エポキシ基数15、ダイセル化学工業社製、EHPE3150)20部、接着助剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1部及びシリコーン系界面活性剤(信越化学工業社製、KP−341)0.05部を混合し溶解させた後、孔径0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過して感放射線組成物を調製した。この感放射線組成物について、感度、樹脂膜厚均一性、凹凸部平坦化性、耐熱形状保持性及び誘電特性を評価した。結果を、表1に示す。
架橋剤及び溶媒を表1に示すように変更するほかは実施例1と同様にして、感放射線組成物を調製した。これらの感放射線組成物について、感度、樹脂膜厚均一性、凹凸部平坦化性、耐熱形状保持性及び誘電特性を評価した。結果を、表1に示す。
※1 XD−1000:エポキシ化合物(エポキシ基数3、分子量714、脂環構造)
EXA−7015:エポキシ化合物(エポキシ基数2、分子量352、脂環構造)
※2 EDM:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
MAK:メチルアミルケトン
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
PGPE:プロピレングリコールモノプロピルエーテル
これに対して、本発明の感放射線組成物から、膜厚均一性、凹凸部平坦化性、耐熱形状保持性及び誘電特性にも優れた樹脂膜が得られ、特に、混合溶媒に更にケトン化合物を併用した場合には、上記各特性がとりわけ優れたものになることが分かる。
Claims (11)
- プロトン性極性基を有する環状オレフィン系重合体、架橋剤、感放射線化合物及び溶媒を含有してなる感放射線組成物であって、架橋剤が3個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物であり、溶媒がポリアルキレングリコール化合物溶媒と窒素含有化合物溶媒とを含んでなることを特徴とする感放射線組成物。
- プロトン性極性基を有する環状オレフィン系重合体が、プロトン性極性基含有環状オレフィン単位を10〜90重量%含有するものである請求項1に記載の感放射線組成物。
- ポリアルキレングリコール化合物溶媒が、両末端水酸基がエステル化又はエーテル化されたポリアルキレングリコールである請求項1又は2に記載の感放射線組成物。
- 溶媒として、窒素原子を含まない含酸素化合物溶媒を更に含有する請求項1〜3に記載の感放射線組成物。
- 基板と、その上に請求項1〜4のいずれかに記載の感放射線組成物を用いて形成された樹脂膜とからなる積層体。
- 樹脂膜がパターン化樹脂膜である請求項5に記載の積層体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の感放射線組成物を用いて樹脂膜を基板上に形成することを特徴とする、基板とその上に形成された樹脂膜とからなる積層体の製造方法。
- 樹脂膜を基板上に形成した後、樹脂を架橋する請求項7記載の積層体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の感放射線組成物を用いて樹脂膜を基板上に形成し、この樹脂膜に活性放射線を照射して樹脂膜中に潜像パターンを形成し、次いで樹脂膜に現像液を接触させることにより潜像パターンを顕在化させて、基板上にパターン化樹脂膜を形成する請求項6記載の積層体の製造方法。
- 基板上にパターン化樹脂膜を形成した後に、樹脂の架橋反応を行う請求項8に記載の積層体の製造方法。
- 請求項5又は6に記載の積層体からなる電子部品。
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