JP7001147B2 - 感光性樹脂組成物、硬化膜、及び、硬化膜を備える電子装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
アルカリ可溶性樹脂(A)、
感光剤(B)、及び
溶剤(C)を含む、感光性樹脂組成物であって、
前記溶剤(C)は、水溶性かつ沸点130℃以上である、グリコールエーテル構造を有する溶剤(C-1)を含み、
前記溶剤(C)が、前記溶剤(C-1)と、前記溶剤(C-1)の沸点と20℃以上異なる沸点を有する他の溶剤(C-2)と、を含む混合溶剤であり、
前記溶剤(C-1)は、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、又は、エチレングリコールモノブチルエーテルを含み、
前記溶剤(C-2)が、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、γ-ブチロラクトン(GBL)、テトラメチル尿素(TMU)から選択される少なくとも一種を含み、
N-メチルピロリドンが、当該感光性樹脂組成物全体に対し、1質量%未満であり、
下記の手順で求められた、当該感光性樹脂組成物における表面エネルギーが、21.0mN/m以下である、
永久膜形成用の感光性樹脂組成物が提供される。
(手順)
当該感光性樹脂組成物を用いて、E型粘度計により、回転周波数100rpm、温度25℃、300秒間回転後に測定される粘度が50mPa・sとなるサンプル溶液を調製する。
温度25℃で、各基板の上に、粘度調整したサンプル溶液2mlを着滴してから10秒後の接触角を、接触角計を使用し、液滴法にて測定する。
10回計測を繰り返し、その平均値を接触角θとし、接触角θを用いて表面エネルギー(mN/m)を求める。
基板上の一表面に、電子部品を設ける工程、
前記基板の一表面上に、アルカリ可溶性樹脂(A)、感光材(B)、及び溶剤(C)を含む感光性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程、
形成された塗膜を露光する露光工程、
露光された塗膜を現像する現像工程、及び
現像後に残存した塗膜を加熱して当該塗膜を硬化させ、永久膜を形成する加熱工程、
を有する、前記感光性樹脂組成物の硬化膜を含む電子装置の製造方法であって、
前記感光性樹脂組成物において、
前記溶剤(C)は水溶性かつ沸点130℃以上である、グリコールエーテル構造を有する溶剤(C-1)を含み、
前記溶剤(C)が、前記溶剤(C-1)と、前記溶剤(C-1)の沸点と20℃以上異なる沸点を有する他の溶剤(C-2)と、を含む混合溶剤であり、
前記溶剤(C-1)は、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、又は、エチレングリコールモノブチルエーテルを含み、
前記溶剤(C-2)が、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、γ-ブチロラクトン(GBL)、テトラメチル尿素(TMU)から選択される少なくとも一種を含み、
N-メチル-2-ピロリドンが、当該感光性樹脂組成物全体に対し、1質量%未満であり、
下記の手順で求められた、当該感光性樹脂組成物における表面エネルギーが、21.0mN/m以下である、
電子装置の製造方法が提供される。
(手順)
当該感光性樹脂組成物を用いて、E型粘度計により、回転周波数100rpm、温度25℃、300秒間回転後に測定される粘度が50mPa・sとなるサンプル溶液を調製する。
温度25℃で、各基板の上に、粘度調整したサンプル溶液2mlを着滴してから10秒後の接触角を、接触角計を使用し、液滴法にて測定する。
10回計測を繰り返し、その平均値を接触角θとし、接触角θを用いて表面エネルギー(mN/m)を求める。
数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」の意である。
本明細書における「電子装置」の語は、半導体チップ、半導体素子、プリント配線基板、電気回路ディスプレイ装置、情報通信端末、発光ダイオード、物理電池、化学電池など、電子工学の技術が適用された素子、デバイス、最終製品等を包含する意味で用いられる。
すなわち、従来の感光性樹脂組成物は、パネルレベルパッケージ等の表面に存在する多種多様な材料全てと相性が良いわけではなかった。そして、パネルレベルパッケージ等の製造工程において、例えば、スリットコートなどの方法を用いて樹脂層を形成する際に、感光性樹脂組成物を弾いてしまう材料が存在していた。しかしながら、本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、溶剤として水溶性かつ沸点130℃以上であるグリコールエーテル構造を有する溶剤(C-1)を含むため、感光性樹脂組成物と基板表面に存在する多種多様な材料との相性が向上したものと推測される。これにより、感光性樹脂組成物を、例えばスリットコートしたとしても、感光性樹脂組成物が大きく弾かれることが無く、凹みや下地の露出がない、厚みが均一な塗膜を形成できるものと考えられる。さらに本発明によれば、塗膜形成後の乾燥工程において、溶剤の揮発が適度に制御されるため、厚みムラの少ない樹脂膜が形成されるものと推測される。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、感光剤(B)と、溶剤(C)とを含む。
アルカリ可溶性樹脂としては限定されず、樹脂膜に要求される機械的特性、光学特性などの物性に応じて選択することができる。アルカリ可溶性樹脂としては、具体的には、ポリアミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、環状オレフィン樹脂などが挙げられる。アルカリ可溶性樹脂としては、上記具体例のうち、少なくも1つを含むことが好ましい。また、アルカリ可溶性樹脂は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。アルカリ可溶性樹脂としては、上記具体例のうち例えば、ポリアミド樹脂またはポリベンゾオキサゾール樹脂を用いることが好ましく、ポリベンゾオキサゾール樹脂を用いることがより好ましい。これにより、感光性樹脂組成物中のアルカリ可溶性樹脂の分散性を向上できる。また、感光性樹脂組成物からなる樹脂膜の機械的強度といった物性を向上することで、膜厚の均一性を向上し、欠損が生じることを抑制できる観点でも好ましい。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミドの構造単位に芳香族環を含む芳香族ポリアミドを用いることが好ましく、下記式(PA1)で表される構造単位を含むものがより好ましい。これにより、感光性樹脂組成物からなる樹脂膜の機械的強度といった物性を向上できる。したがって、膜厚の均一性を向上し、欠損が生じることを抑制できる観点でも好ましい。
なお、本実施形態において、芳香族環とは、ベンゼン環;ナフタレン環、アントラセン環、ピレン環などの縮合芳香環;ピリジン環、ピロール環などの複素芳香環などを示す。本実施形態のポリアミド樹脂は、機械的強度などの観点から、芳香族環としてベンゼン環を含むことが好ましい。
本実施形態に係るアルカリ可溶性樹脂が上記式(PA1)で表される構造単位を含むポリアミド樹脂である場合、例えば、感光性樹脂組成物を上記熱処理することで、脱水閉環し、ポリベンゾオキサゾール樹脂としてもよい。すなわち、上記熱処理をした感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂であるポリベンゾオキサゾール樹脂を含む。
また、アルカリ可溶性樹脂が上記式(PA1)で表される構造単位を含むポリアミド樹脂である場合、後述する樹脂膜、電子装置を作製した後、上記熱処理をすることで、脱水閉環させ、ポリベンゾオキサゾール樹脂としてもよい。ポリアミド樹脂を脱水開環することによってポリベンゾオキサゾール樹脂とした場合、機械的特性や熱的特性を向上できる。これは、樹脂膜の変形を抑制できる観点で都合がよい。
また、ポリアミド樹脂としては、例えば、下記一般式(PA2)で表される構造単位を含むものを用いてもよい。
下記一般式(PA2)で表される構造単位を含むポリアミド樹脂は、ポリイミド樹脂の前駆体である。下記一般式(PA2)で表される構造単位を含むポリアミド樹脂は、例えば、150℃以上380℃以下の温度で、30分間以上50時間以下の条件で熱処理されることによって、脱水閉環し、ポリイミド樹脂とすることができる。ここで、下記式(PA2)の構造単位は、脱水閉環によって、下記式(PI1)で示される構造単位となる。
本実施形態に係るアルカリ可溶性樹脂が下記式(PA2)で表される構造単位を含むポリアミド樹脂である場合、感光性樹脂組成物を上記熱処理することで、脱水閉環し、ポリイミド樹脂としてもよい。すなわち、上記熱処理をした感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂であるポリイミド樹脂を含む。
また、アルカリ可溶性樹脂が下記式(PA2)で表される構造単位を含むポリアミド樹脂である場合、後述する樹脂膜、電子装置を作製した後、上記熱処理をすることで、脱水閉環し、ポリイミド樹脂としてもよい。
芳香族環を有する有機基としては、具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環またはアントラセン環を含むものが好ましく、ベンゼン環を含むものがより好ましい。これにより、アルカリ可溶性樹脂の分散性を向上し、多様な材料に対する接触角を所望の数値範囲内とすることができる。
本実施形態に係るポリアミド樹脂は、例えば、以下のように重合される。
まず、重合工程(S1)によって、ジアミンモノマーと、ジカルボン酸モノマーとを重縮合させることで、ポリアミドを重合する。次いで、低分子量成分除去工程(S2)によって、低分子量成分を除去し、ポリアミドを主成分とするポリアミド樹脂を得る。
重合工程(S1)では、ジアミンモノマーと、ジカルボン酸モノマーとを重縮合させる。ポリアミドを重合する重縮合の方法としては限定されず、具体的には、溶融重縮合、酸塩化物法、直接重縮合などが挙げられる。
なお、ジカルボン酸モノマーの代わりに、テトラカルボン酸二無水物、トリメリット酸無水物、ジカルボン酸ジクロライドまたは活性エステル型ジカルボン酸からなる群より選ばれる化合物を用いてもよい。活性エステル型ジカルボン酸を得る方法としては、具体的には、ジカルボン酸に、1-ヒドロキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾールなどに反応させる方法を挙げることができる。
重合に用いるジアミンモノマーとしては限定されず、例えば、構造中に芳香族環を含むジアミンモノマーを用いることが好ましく、構造中にフェノール性ヒドロキシル基を含むジアミンモノマーを用いることがより好ましい。このようなジアミンモノマーを原料としてポリアミド樹脂を製造することで、ポリアミド樹脂のコンホメーションを制御し、組成物としたときの分散性をより向上できる。
なお、例えば、下記一般式(DA1)で表されるジアミンモノマーを用いた場合、ポリアミド樹脂は、下記一般式(PA2)で表される構造単位を含む。すなわち、本実施形態に係るポリアミド樹脂は、例えば、下記一般式(PA2)で表される構造単位を含むことが好ましい。
なお、R4は、2価の基である。ここで、2価の基とは、原子価のことを示す。すなわち、R4が他の原子と結合する結合手が2個であることを示す。
アルキレン基としては、例えば、直鎖形状のアルキレン基でもよく、分岐鎖形状のアルキレン基でもよい。直鎖形状のアルキレン基としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デカニレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられる。分岐鎖形状のアルキレン基としては、具体的には、-C(CH3)2-、-CH(CH3)-、-CH(CH2CH3)-、-C(CH3)(CH2CH3)-、-C(CH3)(CH2CH2CH3)-、-C(CH2CH3)2-などのアルキルメチレン基;-CH(CH3)CH2-、-CH(CH3)CH(CH3)-、-C(CH3)2CH2-、-CH(CH2CH3)CH2-、-C(CH2CH3)2-CH2-などのアルキルエチレン基などが挙げられる。
アリーレン基としては、具体的には、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、及び、2個またはそれ以上のアリーレン基同士が結合したものなどが挙げられる。
ハロゲン置換アルキレン基、ハロゲン置換アリーレン基としては、具体的には、それぞれ、上述したアルキレン基、アリーレン基中の水素原子を、フッ素原子、塩素原子、臭素原子といったハロゲン原子で置換したものを用いることができる。これらの中でも、フッ素原子によって水素原子を置換したものを用いるものが好ましい。
以下に、これらのジアミンモノマーの構造式を示す。
重合に用いるジカルボン酸モノマーとしては限定されず、例えば、構造中に芳香族環を含むジカルボン酸モノマーを用いることが好ましい。
芳香族環を含むジカルボン酸モノマーとしては、例えば、下記一般式(DC1)で表されるものを用いることが好ましい。このようなジカルボン酸モノマーを原料としてポリアミド樹脂を製造することで、ポリアミド樹脂のコンホメーションを制御し、混合溶剤中での分散性を向上できる。そして、分散性向上により、θmax-θminの値やθaveの値を所望の数値に制御しやすくなる。
なお、R11は、2価の基である。ここで、2価の基とは、原子価のことを示す。すなわち、R11が他の原子と結合する結合手が2個であることを示す。
アルキレン基としては、例えば、直鎖形状のアルキレン基でもよく、分岐鎖形状のアルキレン基でもよい。直鎖形状のアルキレン基としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デカニレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられる。分岐鎖形状のアルキレン基としては、具体的には、-C(CH3)2-、-CH(CH3)-、-CH(CH2CH3)-、-C(CH3)(CH2CH3)-、-C(CH3)(CH2CH2CH3)-、-C(CH2CH3)2-などのアルキルメチレン基;-CH(CH3)CH2-、-CH(CH3)CH(CH3)-、-C(CH3)2CH2-、-CH(CH2CH3)CH2-、-C(CH2CH3)2-CH2-などのアルキルエチレン基などが挙げられる。
アリーレン基としては、具体的には、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、及び、2個またはそれ以上のアリーレン基同士が結合したものなどが挙げられる。
ハロゲン置換アルキレン基、ハロゲン置換アリーレン基としては、具体的には、それぞれ、上述したアルキレン基、アリーレン基中の水素原子を、フッ素原子、塩素原子、臭素原子といったハロゲン原子で置換したものを用いることができる。これらの中でも、フッ素原子によって水素原子を置換したものを用いるものが好ましい。
また、上記特定のモノカルボン酸としては、具体的には、5-ノルボルネン-2-カルボン酸、4―ヒドロキシ安息香酸、3-ヒドロキシ安息香酸などが挙げられる。上記特定のモノカルボン酸としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記特定の窒素原子含有複素芳香族化合物としては、具体的には、5-アミノテトラゾールなどが挙げられる。
上記重合工程(S1)に次いで、低分子量成分除去工程(S2)を行い、低分子量成分を除去することが好ましい。
具体的には、低分子量成分と、ポリアミド樹脂との混合物が含まれた有機層を、濾過などによって濃縮した後、水/イソプロパノールなどの有機溶媒に再度溶解させる。これにより、沈殿物をろ別し、低分子量成分が除去されたポリアミド樹脂を得ることができる。
フェノール樹脂としては、具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、フェノール-ビフェニルノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、クレゾールノボラック樹脂などのフェノール化合物とアルデヒド化合物との反応物;フェノールアラルキル樹脂などのフェノール化合物とジメタノール化合物との反応物などが挙げられる。なお、フェノール樹脂としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を含むことができる。
このようなフェノール化合物としては、具体的には、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾールなどのクレゾール類;2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノールなどのキシレノール類;o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノールなどのエチルフェノール類;イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p-tert-ブチルフェノールなどのアルキルフェノール類;レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ピロガロール、フロログルシノールなどの多価フェノール類;4,4’-ビフェノールなどのビフェニル系フェノール類が挙げられる。フェノール化合物としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を用いることができる。
このようなアルデヒド化合物としては、具体的には、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒドなどが挙げられる。アルデヒド化合物としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を用いることができる。
このようなジメタノール化合物としては、具体的には、1,4-ベンゼンジメタノール、1,3-ベンゼンジメタノール、4,4’-ビフェニルジメタノール、3,4’-ビフェニルジメタノール、3,3’-ビフェニルジメタノール、2,6-ナフタレンジメタノール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-p-クレゾールなどのジメタノール化合物;1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メトキシメチル)ベンゼン、4,4’-ビス(メトキシメチル)ビフェニル、3,4’-ビス(メトキシメチル)ビフェニル、3,3’-ビス(メトキシメチル)ビフェニル、2,6-ナフタレンジカルボン酸メチル、等のビス(アルコキシメチル)化合物、または1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,3-ビス(クロロメチル)ベンゼン,1,4-ビス(ブロモメチル)ベンゼン、1,3-ビス(ブロモメチル)ベンゼン、4,4’-ビス(クロロメチル)ビフェニル、3,4’-ビス(クロロメチル)ビフェニル、3,3’-ビス(クロロメチル)ビフェニル、4,4’-ビス(ブロモメチル)ビフェニル、3,4’-ビス(ブロモメチル)ビフェニルもしくは3,3’-ビス(ブロモメチル)ビフェニルなどのビス(ハルゲノアルキル)化合物、4,4’-ビス(メトキシメチル)ビフェニル、4,4’-ビス(メトキシメチル)ビフェニルなどのビフェニルアラルキル化合物などが挙げられる。ジメタノール化合物としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を用いることができる。
ヒドロキシスチレン樹脂としては限定されず、具体的には、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレン誘導体、スチレン及びスチレン誘導体からなる群より選択される1種または2種以上を重合または共重合させた重合反応物または共重合反応物を用いることができる。
なお、ヒドロキシスチレン誘導体、スチレン誘導体としては、具体的には、ヒドロキシスチレン、スチレンの芳香族環が備える水素原子を一価の有機基で置換したものが挙げられる。水素原子を置換する一価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基などのアルキル基;アリル基、ビニル基などのアルケニル基;エチニル基などのアルキニル基;メチリデン基、エチリデン基などのアルキリデン基;シクロプロピル基などのシクロアルキル基;エポキシ基オキセタニル基などのヘテロ環基などが挙げられる。
上記環状オレフィン系樹脂としては限定されず、具体的には、ノルボルネン及びノルボルネン誘導体からなる群より選択される1種または2種以上を重合または共重合させた重合反応物または共重合反応物を用いることができる。
ここで、ノルボルネン誘導体としては、具体的には、ノルボルナジエン、ビシクロ[2.2.1]-ヘプト-2-エン(慣用名:2-ノルボルネン)、5-メチル-2-ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボルネン、5-ブチル-2-ノルボルネン、5-ヘキシル-2-ノルボルネン、5-デシル-2-ノルボルネン、5-アリル-2-ノルボルネン、5-(2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-エチニル-2-ノルボルネン、5-ベンジル-2-ノルボルネン、5-フェネチル-2-ノルボルネン、2-アセチル-5-ノルボルネン、5-ノルボルネン-2-カルボン酸メチル、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
また、感光性樹脂組成物中のアルカリ可溶性樹脂の含有量の上限値は、例えば、感光性樹脂組成物の全固形分を100質量部としたとき、95質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることがより好ましく、85質量部以下であることが更に好ましい。
なお、本実施形態において、感光性樹脂組成物の全固形分とは、溶剤を除いた、感光性樹脂組成物の含有成分の合計を示す。
感光剤としては、光エネルギーを吸収することにより酸を発生する光酸発生剤を用いることができる。
光酸発生剤としては、具体的には、ジアゾキノン化合物;ジアリールヨードニウム塩;2-ニトロベンジルエステル化合物;N-イミノスルホネート化合物;イミドスルホネート化合物;2,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン化合物;ジヒドロピリジン化合物などが挙げられる。これらの中でも、感光性ジアゾキノン化合物を用いることが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の感度を向上することができる。したがって、パターンの精度を向上でき、外観を向上させることができる。なお、光酸発生剤としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を含むことができる。
また、感光性樹脂組成物がポジ型である場合には、感光剤として、上記具体例に加えて、トリアリールスルホニウム塩;スルホニウム・ボレート塩などのオニウム塩などを併せて用いてもよい。これにより、感光性樹脂組成物の感度をさらに向上できる。
ジアゾキノン化合物のQとしては、下記式(a)または下記式(b)を含むことが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の透明性を向上することができる。したがって、感光性樹脂組成物の外観を向上することができる。
また、感光性樹脂組成物中の感光剤の含有量の上限値は、アルカリ可溶性樹脂を100質量部としたとき、例えば、30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。これにより、感光性樹脂組成物が基板表面に存在する材料によって弾かれることを抑制できる。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、溶剤(C)として、水溶性かつ沸点130℃以上である、グリコールエーテル構造を有する溶剤(C-1)を含む。
溶剤(C-1)は、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、又は、エチレングリコールモノブチルエーテルを含むことがより好ましく、プロピレングリコールモノプロピルエーテルを含むことが特に好ましい。
また、溶剤(C-1)は、以下の式で表されることが好ましい。
すなわち、溶剤(C)は、溶剤(C-1)と、溶剤(C-1)以外の溶剤(以下、他の溶剤(C-2)と呼称する。)と、を含む混合溶剤であってもよい。
他の溶剤(C-2)としては、ウレア化合物、または、アミド化合物、エーテル系溶媒、アセテート系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、ラクトン系溶媒、カーボネート系溶媒、スルホン系溶媒、エステル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。他の溶剤(C-2)としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
アミド化合物としては、具体的には、N-メチルピロリドン(NMP)、3-メトキシ-N、N-ジメチルプロパンアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルプロピオンアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、N,N-ジブチルホルムアミドなどが挙げられる。
上記エーテル系溶媒としては、具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、などが挙げられる。
上記アセテート系溶媒としては、具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル-1,3-ブチレングリコールアセテートなどが挙げられる。
上記アルコール系溶媒としては、具体的には、テトラヒドロフルフリルアルコール、ベンジルアルコール、2-エチルヘキサノール、ブタンジオール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。
上記ケトン系溶媒としては、具体的には、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、2-ヘプタノンなどが挙げられる。
上記ラクトン系溶媒としては、具体的には、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトンなどが挙げられる。
上記カーボネート系溶媒としては、具体的には、エチレンカルボナート、炭酸プロピレンなどが挙げられる。
上記スルホン系溶媒としては、具体的には、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホランなどが挙げられる。
上記エステル系溶媒としては、具体的には、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル-3-メトキシプロピオネートなどが挙げられる。
上記芳香族炭化水素系溶媒としては、具体的には、メシチレン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
上記した中でも、ウレア化合物、ラクトン系溶媒、エーテル系溶媒、アセテート系溶媒が好ましい。
なお、溶剤(C-1)の沸点と他の溶剤(C-2)の沸点との違いは、例えば、100度以下としてもよい。
また、溶剤中の溶剤(C-1)の含有量の上限値としては、溶剤を100質量部としたとき、例えば、100質量部以下、80質量部以下、60質量部以下、40質量部以下とすることができる。
アルカリ可溶性樹脂等に対する可溶性の観点、及び、最適な速度で溶剤を揮発させる観点からは、溶剤(C)は溶剤(C-1)を含み、かつ、他の溶剤(C-2)を1種又は2種以上含むことが好ましい。
・溶剤(C-1)としてプロピレングリコールモノプロピルエーテルを、他の溶剤(C-2)としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を含む態様、
・溶剤(C-1)としてプロピレングリコールモノプロピルエーテルを、他の溶剤(C-2)としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を含む態様、
・溶剤(C-1)としてプロピレングリコールモノプロピルエーテルを、他の溶剤(C-2)としてγ-ブチロラクトン(GBL)を含む態様、
・溶剤(C-1)としてプロピレングリコールモノプロピルエーテルを、他の溶剤(C-2)としてテトラメチル尿素(TMU)を含む態様、
・溶剤(C-1)としてプロピレングリコールモノプロピルエーテルを、他の溶剤(C-2)としてN-メチルピロリドン(NMP)を含む態様、
・溶剤(C-1)としてプロピレングリコールモノプロピルエーテルを、他の溶剤(C-2)としてγ-ブチロラクトン(GBL)とテトラメチル尿素(TMU)を含む態様が好ましい。
溶剤を上記の組み合わせとすることで、感光性樹脂組成物の樹脂材料に対する濡れ性、均一な塗膜形成能及びアルカリ可溶性樹脂の溶解性に優れた感光性樹脂組成物を得ることができる。
アルカリ可溶性樹脂として、環状オレフィン樹脂を用いる場合、溶剤(C-1)として、プロピレングリコールモノプロピルエーテル及び/又はエチレングリコールモノブチルエーテルを用い、他の溶剤(C-2)を添加しないか、溶剤(C-1)として、プロピレングリコールモノプロピルエーテルを用い、他の溶剤(C-2)として、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)及び/又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いることが好ましく、溶剤(C-1)として、プロピレングリコールモノプロピルエーテル及び/又はエチレングリコールモノブチルエーテルを用い、他の溶剤(C-2)を添加しないことが特に好ましい。
上記の組み合わせとすることで、樹脂との相溶性に優れた均一な組成の感光性樹脂組成物となり、成分の上でも、均一な塗膜形成が可能な感光性樹脂組成物を得ることができる。
以下に、代表成分について、詳細を説明する。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、密着助剤をさらに含んでもよい。密着助剤としては具体的には、トリアゾール化合物またはアミノシランを用いることができる。これにより、さらに窒素原子に由来する孤立電子対の数を増やすことができる。したがって、感光性樹脂組成物の溶媒以外の含有物を、金属原子に対して配位させることができ、密着性をさらに向上できる。密着助剤としては、トリアゾール化合物またはアミノシランの一方を用いてもよいし、トリアゾール化合物及びアミノシランを併用してもよい。
トリアゾール化合物としては、具体的には、4-アミノ-1,2,4-トリアゾール、4H-1,2,4-トリアゾール-3-アミン、4-アミノ-3,5-ジ-2-ピリジル-4H-1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-5-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール、4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-アミン、3,4-ジアミノ-4H-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジアミノ-4H-1,2,4-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール-3,4,5-トリアミン、3-ピリジル-4H-1,2,4-トリアゾール、4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド、3,5-ジアミノ-4-メチル―1,2,4-トリアゾール、3-ピリジル-4-メチル-1,2,4-トリアゾール、4-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドなどの1,2,4-トリアゾールが挙げられる。トリアゾール化合物としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
アミノシランとしては、具体的には、シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物及び3-アミノプロピルトリエトキシシランの縮合物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及び3-アミノプロピルトリエトキシシランの縮合物、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N’ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N′-ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N,N′-ビス[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N′-ビス[3-(メチルジエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’-ビス[3-(ジメチルメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N-[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]-N’-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]ジアミノプロパン、N,N’-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]ジアミノヘキサン、N,N′-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]ジエチレントリアミンなどが挙げられる。アミノシランとしては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、感光性樹脂組成物中の密着助剤の含有量の上限値は、例えば、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、例えば、10質量部以下であることが好ましく、7質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることが更に好ましい。これにより、感光性樹脂組成物中に、密着助剤が好適に分散し、密着力を向上できる。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、シランカップリング剤をさらに含んでもよい。シランカップリング剤としては、密着助剤として例示したアミノシラン以外のものが挙げられる。
上述したシラン化合物とは異なる構造のシランカップリング剤としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニルシラン;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン;p-スチリルトリメトキシシランなどのスチリルシラン;3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのメタクリルシラン;3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリルシラン;イソシアヌレートシラン;アルキルシラン;3-ウレイドプロピルトリアルコキシシランなどのウレイドシラン;3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシラン;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネートシラン;チタン系化合物;アルミニウムキレート類;アルミニウム/ジルコニウム系化合物などが挙げられる。シランカップリング剤としては、上記具体例のうち1種または2種以上を配合することができる。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂と熱によって反応可能な熱架橋剤を含んでもよい。これにより、感光性樹脂組成物をポストベークした硬化物について、引張破断伸びといった機械的特性を向上できる。また、感光性樹脂組成物により形成される樹脂膜の感度を向上できる観点からも都合がよい。
熱架橋剤としては、具体的には、1,2-ベンゼンジメタノール、1,3-ベンゼンジメタノール、1,4-ベンゼンジメタノール(パラキシレングリコール)、1,3,5-ベンゼントリメタノール、4,4-ビフェニルジメタノール、2,6-ピリジンジメタノール、2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-p-クレゾール、4,4’-メチレンビス(2,6-ジアルコキシメチルフェノール)などのメチロール基を有する化合物;フロログルシドなどのフェノール類;1,4-ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メトキシメチル)ベンゼン、4,4’-ビス(メトキシメチル)ビフェニル、3,4’-ビス(メトキシメチル)ビフェニル、3,3’-ビス(メトキシメチル)ビフェニル、2,6-ナフタレンジカルボン酸メチル、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメトキシメチルフェノール)などのアルコキシメチル基を有する化合物;ヘキサメチロールメラミン、ヘキサブタノールメラミン等から代表されるメチロールメラミン化合物;ヘキサメトキシメラミンなどのアルコキシメラミン化合物;テトラメトキシメチルグリコールウリルなどのアルコキシメチルグリコールウリル化合物;メチロールベンゾグアナミン化合物、ジメチロールエチレンウレアなどのメチロールウレア化合物;ジシアノアニリン、ジシアノフェノール、シアノフェニルスルホン酸などのシアノ化合物;1,4-フェニレンジイソシアナート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアナートなどのイソシアナート化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、イソシアヌル酸トリグリシジル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂型エポキシ樹脂などのエポキシ基含有化合物;N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-メチレンジマレイミドなどのマレイミド化合物などが挙げられる。熱架橋剤としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、感光性樹脂組成物中の熱架橋剤の含有量の下限値は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることが更に好ましく、5質量部以上であることが一層好ましく、8質量部以上であることが殊更好ましい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、界面活性剤をさらに含んでいてもよい。
界面活性剤としては、限定されず、具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシエチレンジアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤;エフトップEF301、エフトップEF303、エフトップEF352(新秋田化成社製)、メガファックF171、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF177、メガファックF444、メガファックF470、メガファックF471、メガファックF475、メガファックF482、メガファックF477(DIC社製)、フロラードFC-430、フロラードFC-431、ノベックFC4430、ノベックFC4432(スリーエムジャパン社製)、サーフロンS-381、サーフロンS-382、サーフロンS-383、サーフロンS-393、サーフロンSC-101、サーフロンSC-102、サーフロンSC-103、サーフロンSC-104、サーフロンSC-105、サーフロンSC-106、(AGCセイミケミカル社製)などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤;オルガノシロキサン共重合体KP341(信越化学工業社製);(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57、95(共栄社化学社製)などが挙げられる。
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤(例えばポリエーテル変性ジメチルシロキサンなど)も好ましく用いることができる。シリコーン系界面活性剤として具体的には、東レダウコーニング社のSHシリーズ、SDシリーズおよびSTシリーズ、ビックケミー・ジャパン社のBYKシリーズ、信越化学工業株式会社のKPシリーズ、日油株式会社のディスフォーム(登録商標)シリーズ、東芝シリコーン社のTSFシリーズなどを挙げることができる。
これらのなかでも、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤を用いることが好ましい。パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤としては、上記具体例のうち、メガファックF171、メガファックF173、メガファックF444、メガファックF470、メガファックF471、メガファックF475、メガファックF482、メガファックF477(DIC社製)、サーフロンS-381、サーフロンS-383、サーフロンS-393(AGCセイミケミカル社製)、ノベックFC4430及びノベックFC4432(スリーエムジャパン社製)から選択される1種または2種以上を用いることが好ましい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、酸化防止剤をさらに含んでもよい。酸化防止剤としては、フェノ-ル系酸化防止剤、リン系酸化防止剤およびチオエ-テル系酸化防止剤から選択される1種以上を使用できる。酸化防止剤は、感光性樹脂組成物により形成される樹脂膜の酸化を抑制できる。
フェノ-ル系酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9-ビス{2-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕-1,1-ジメチルエチル}2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6-ヘキサンジオール-ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジフェニル-4-オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、2-オクチルチオ-4,6-ジ(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-s-トリアジン、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチル-6-ブチルフェノール)、2,-2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、ビス〔3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4’-ブチリデンビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4-s-ブチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2-t-ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-t-ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリス〔(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2-t-ブチル-4-メチル-6-(2-アクリロイルオキシ-3-t-ブチル-5-メチルベンジル)フェノール、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4-8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン-ビス〔β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコ-ルビス〔β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート〕、1,1’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(6-(1-メチルシクロヘキシル)-4-メチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,9-ビス(2-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニルプロピオニロキシ)1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)サルファイド、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-2-メチルフェノール)、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-アミルヒドロキノン、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,4-ジメチル-6-(1-メチルシクロヘキシル、スチレネイティッドフェノール、2,4-ビス((オクチルチオ)メチル)-5-メチルフェノール、などが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニルホスファイト)、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチル-5-メチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート-ジエチルエステル、ビス-(2,6-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ミックスドモノandジ-ノニルフェニルホスファイト)、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メトキシカルボニルエチル-フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-オクタデシルオキシカルボニルエチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
チオエ-テル系酸化防止剤としては、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ビス(2-メチル-4-(3-n-ドデシル)チオプロピオニルオキシ)-5-t-ブチルフェニル)スルフィド、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-ラウリル)チオプロピオネートなどが挙げられる。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、フィラーを更に含んでいてもよい。フィラーとしては、感光性樹脂組成物によってなる樹脂膜に求められる機械的特性、熱的特性に応じて適切な充填材を選択できる。
フィラーとしては、具体的には、無機フィラーまたは有機フィラーなどが挙げられる。
上記無機フィラーとしては、具体的には、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶性シリカ、2次凝集シリカ、微粉シリカなどのシリカ;アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化チタン、炭化ケイ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、チタンホワイトなどの金属化合物;タルク;クレー;マイカ;ガラス繊維などが挙げられる。無機フィラーとしては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記有機フィラーとしては、具体的には、オルガノシリコーンパウダー、ポリエチレンパウダーなどが挙げられる。有機フィラーとしては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態における感光性樹脂組成物を調製する方法は限定されず、感光性樹脂組成物に含まれる成分に応じて、公知の方法を用いることができる。
例えば、上記各成分を、溶媒に混合して溶解することにより調製することができる。これにより、ワニスとした感光性樹脂組成物を得ることができる。
前記感光性樹脂組成物において、感光性樹脂組成物全体の固形分濃度は、例えば、10~30質量%とすることができる。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、該感光性樹脂組成物のワニスを例えば、半導体素子等を含む比較的大面積の基板に対して塗工し、次いで、プリベークすることで乾燥させ樹脂膜を形成し、次いで、露光及び現像することで所望の形状に樹脂膜をパターニングし、次いで、樹脂膜をポストベークすることで硬化させ硬化膜を形成することで使用される。
なお、上記永久膜を作製する場合、プリベークの条件としては、例えば、温度90℃以上130℃以下で、30秒間以上1時間以下の熱処理とすることができる。また、ポストベークの条件としては、例えば、温度150℃以上350℃以下で、30分間以上10時間以下の熱処理とすることができる。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物の粘度の上限値は、例えば、5000mPa・s以下でもよく、1800mPa・s以下でもよく、1500mPa・s以下でもよい。また、本実施形態に係る感光性樹脂組成物の粘度の下限値は、所望の樹脂膜の厚みに応じて、例えば、1mPa・s以上でもよく、10mPa・s以上でもよい。
なお、本実施形態において、感光性樹脂組成物の粘度は、例えば、E型粘度計によって、温度25℃、回転開始から300秒後に測定をすることができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物を硬化させてなる、硬化膜は、永久膜を用いる用途に用いられ、例えばバッファーコート用に用いることができ、各種電子装置に用いることができる。
なお、本実施形態において、樹脂膜とは、感光性樹脂組成物の乾燥膜または硬化膜である。すなわち、本実施形態にかかる樹脂膜とは、感光性樹脂組成物を乾燥または硬化させてなるものである。
本発明の電子装置の製造方法は、
基板上の一表面に、電子部品を設ける工程、
前記基板の一表面上に、
アルカリ可溶性樹脂(A)、
感光材(B)、及び
溶剤(C)を含む感光性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程、
形成された塗膜を露光する露光工程、
露光された塗膜を現像する現像工程、及び
現像後に残存した塗膜を加熱して当該塗膜を硬化させ、永久膜を形成する加熱工程
を含み、
前記溶剤(C)は水溶性かつ沸点130℃以上である、グリコールエーテル構造を有する溶剤(C-1)を含む。
感光性樹脂組成物の塗工後は溶剤を除去する方法を行うことが好ましく、溶剤除去については、各種の方法を適用することできる(例えば加熱など)が、例えば、ウエハレベルパッケージ、パネルレベルパッケージは比較的大面積の塗膜を形成する場合、減圧乾燥を適用することが好ましい。つまり、感光性樹脂組成物を塗工したパネルを、減圧環境下(例えば30Pa以下の環境下)で乾燥させることが好ましい。なお、減圧乾燥を行うと、塗工時に発生しうるマイクロバブルを低減しうるメリットもある。
露光については、様々な波長の電磁波や粒子線等を用いることができる。例えばg線、i線のような紫外線、可視光線、レーザー、X線、電子線等が用いられる。好ましくはg線またはi線のような紫外線である。露光量は、感光性接着剤組成物の感度等に応じて適宜設定されるが、一例として30~3000mJ/cm2程度である。露光は、通常、適当なマスクパターンを用いるなどして行われる。
現像については、種々の現像液を適用することができる。例えば、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の水酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドのようなアルカリ現像液、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ブチル等の有機系現像液等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ現像液が好ましく、特に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液が好ましい。現像液の供給方法としては、スプレー、パドル、浸漬等の方式が挙げられる。大面積のパネルの処理という点ではスプレー方式が好ましい。
ポストベークの条件(硬化条件)は特に限定されないが、例えば80~300℃で30~300分である。
パネルレベルパッケージは、例えば、コア、チップ、プリプレグ(ガラスクロスや炭素繊維のような繊維状補強材に、エポキシなどの熱硬化性樹脂を均等に含浸させた強化プラスチック材料)等の各種構造が、シート状の封止材で封止ないし固定されて、パネル状となったものである。また、パネルレベルパッケージには、通常、配線などとしてCuやAlなどの金属も用いられる(これら金属は通常めっき法やスパッタ法によりパネルレベルパッケージに組み込まれる)し、窒化ケイ素などのパッシベーション膜なども含まれうる。さらに、パネルレベルパッケージには、一態様として、感光性樹脂組成物を硬化させてなる樹脂膜(例えば、本実施形態の感光性樹脂組成物を硬化させてなる樹脂膜)が表面に形成される。
前述しているが、本実施形態の感光性樹脂組成物は、溶剤(C-1)を含むことにより、上記のような様々なパネルレベルパッケージにおいて均一な膜を形成することができる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. アルカリ可溶性樹脂(A)、
感光剤(B)、及び
溶剤(C)を含み、
前記溶剤(C)は、水溶性かつ沸点130℃以上である、グリコールエーテル構造を有する溶剤(C-1)を含む、永久膜形成用の感光性樹脂組成物。
2. 前記溶剤(C-1)は、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、3-ブチレングリコール-3-モノメチルエーテルからなる群から選択される少なくともいずれか一種を含む、1.に記載の感光性樹脂組成物。
3. 前記溶剤(C-1)は、アルキレングリコールモノアルキルエーテルを含む、1.又は2.に記載の感光性樹脂組成物。
4. 前記アルカリ可溶性樹脂(A)が、ポリアミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、及び、環状オレフィン系樹脂からなる群より選択された少なくとも一つを含む、1.~3.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
5. 前記感光性樹脂組成物の引火点が40℃以上である、1.~4.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
6. 前記感光性樹脂組成物の、温度25℃で、E型粘度計を用いて測定した粘度が0.1mPa・S以上5000mPa・S以下である、1.~5.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
7. ウエハレベルパッケージ、又は、パネルレベルパッケージに用いる、1.~6.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
8. 前記感光剤(B)が、光酸発生剤である、1.~7.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
9. 前記感光性樹脂組成物において、感光性樹脂組成物全体の固形分濃度が10~30質量%である、1.~8.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
10. 前記感光性樹脂組成物において、前記溶剤(C-1)が、前記溶剤(C)全体に対し、1質量%以上100質量%以下含まれる、1.~9.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
11. 前記感光性樹脂組成物において、N-メチル-2-ピロリドンが、前記感光性樹脂組成物全体に対し、1質量%未満である、1.~10.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
12. 前記溶剤(C)が、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、γ-ブチロラクトン(GBL)、テトラメチル尿素(TMU)、N-メチルピロリドン(NMP)から選択される少なくとも一種をさらに含む、1.~11.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
13. 1.~12.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を硬化させてなる、硬化膜。
14. 13.に記載の硬化膜を含む、電子装置。
15. 基板上の一表面に、電子部品を設ける工程、
前記基板の一表面上に、
アルカリ可溶性樹脂(A)、
感光材(B)、及び
溶剤(C)を含む感光性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程、
形成された塗膜を露光する露光工程、
露光された塗膜を現像する現像工程、及び
現像後に残存した塗膜を加熱して当該塗膜を硬化させ、永久膜を形成する加熱工程
を含む、前記感光性樹脂組成物の硬化膜を含む電子装置の製造方法であって、
前記溶剤(C)は水溶性かつ沸点130℃以上である、グリコールエーテル構造を有する溶剤(C-1)を含む、電子装置の製造方法。
さらに以下、参考形態の例を付記する。
1. アルカリ可溶性樹脂(A)、
感光剤(B)、及び
溶剤(C)を含み、
前記溶剤(C)は、水溶性かつ沸点130℃以上である、グリコールエーテル構造を有する溶剤(C-1)を含む、永久膜形成用の感光性樹脂組成物。
2. 前記溶剤(C-1)は、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、3-ブチレングリコール-3-モノメチルエーテルからなる群から選択される少なくともいずれか一種を含む、1.に記載の感光性樹脂組成物。
3. 前記溶剤(C-1)は、アルキレングリコールモノアルキルエーテルを含む、1.又は2.に記載の感光性樹脂組成物。
4. 前記アルカリ可溶性樹脂(A)が、ポリアミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、及び、環状オレフィン系樹脂からなる群より選択された少なくとも一つを含む、1.~3.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
5. 前記感光性樹脂組成物の引火点が40℃以上である、1.~4.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
6. 前記感光性樹脂組成物の、温度25℃で、E型粘度計を用いて測定した粘度が0.1mPa・S以上5000mPa・S以下である、1.~5.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
7. ウエハレベルパッケージ、又は、パネルレベルパッケージに用いる、1.~6.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
8. 前記感光剤(B)が、光酸発生剤である、1.~7.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
9. 前記感光性樹脂組成物において、感光性樹脂組成物全体の固形分濃度が10~30質量%である、1.~8.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
10. 前記感光性樹脂組成物において、前記溶剤(C-1)が、前記溶剤(C)全体に対し、1質量%以上100質量%以下含まれる、1.~9.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
11. 前記感光性樹脂組成物において、N-メチル-2-ピロリドンが、前記感光性樹脂組成物全体に対し、1質量%未満である、1.~10.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
12. 前記溶剤(C)が、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、γ-ブチロラクトン(GBL)、テトラメチル尿素(TMU)、N-メチルピロリドン(NMP)から選択される少なくとも一種をさらに含む、1.~11.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
13. 前記溶剤(C)が、前記溶剤(C-1)と、前記溶剤(C-1)の沸点よりも20℃以上高い沸点を有する他の溶剤(C-2)と、を含む混合溶剤である、1.~12.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
14. 1.~13.のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を硬化させてなる、硬化膜。
15. 14.に記載の硬化膜を含む、電子装置。
16. 基板上の一表面に、電子部品を設ける工程、
前記基板の一表面上に、アルカリ可溶性樹脂(A)、感光材(B)、及び溶剤(C)を含む感光性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程、
形成された塗膜を露光する露光工程、
露光された塗膜を現像する現像工程、及び
現像後に残存した塗膜を加熱して当該塗膜を硬化させ、永久膜を形成する加熱工程、
を有する、前記感光性樹脂組成物の硬化膜を含む電子装置の製造方法であって、
前記溶剤(C)は水溶性かつ沸点130℃以上である、グリコールエーテル構造を有する溶剤(C-1)を含む、電子装置の製造方法。
各実施例、各比較例の感光性樹脂組成物を以下のようにして調製した。
以下の手順により、ポリアミド樹脂であるアルカリ可溶性樹脂1を準備した。
温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のガラス製セパラブルフラスコ内に、下記式(DC2)で表されるジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸206.58g(0.800mol)と、1-ヒドロキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール・一水和物216.19g(1.600mol)とを反応させて得られたジカルボン酸誘導体の混合物170.20g(0.346mol)と、5-アミノテトラゾール4.01g(0.047mol)と、下記式(DA2)で表される4,4’-メチレンビス(2-アミノフェノール)45.22g(0.196mol)と、下記式(DA3)で表される4,4’-メチレンビス(2-アミノ-3,6ジメチルフェノール)56.24g(0.196mol)と、を入れた。その後、上記セパラブルフラスコ内に578.3gのN-メチル-2-ピロリドンを加え、各原料成分を溶解させた。次に、オイルバスを用い、90℃で5時間反応させた。次いで、上記セパラブルフラスコ内に24.34g(0.141mol)の4-エチニルフタル酸無水物と、121.7gのN-メチル-2-ピロリドンとを加え、90℃で2時間攪拌しながら反応させた後、23℃まで冷却して反応を終了させた。
セパラブルフラスコ内にある反応混合物を濾過して得られた濾過物を、水/イソプロパノール=7/4(容積比)の溶液に投入した。その後、沈殿物を濾別し、水で充分洗浄した後、真空下で乾燥することにより目的のアルカリ可溶性樹脂1を得た。得られたアルカリ可溶性樹脂1の重量平均分子量Mwは18081であった。
感光剤1として、下記式で表される化合物を用いた。
以下の手順により、ジアゾキノン化合物である感光剤1を合成した。
温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、下記式(P-1)で表されるフェノール11.04g(0.026mol)と、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホニルクロライド18.81g(0.070mol)と、アセトン170gとを入れて撹拌し、溶解させた。
次いで、反応溶液の温度が35℃以上にならないようにウォーターバスでフラスコを冷やしながら、トリエチルアミン7.78g(0.077mol)とアセトン5.5gの混合溶液をゆっくり滴下した。そのまま室温で3時間反応させた後、酢酸1.05g(0.017mol)を添加し、さらに30分反応させた。次いで、反応混合物を濾過した後、濾液を水/酢酸(990mL/10mL)の混合溶液に投入した。次いで、沈殿物を濾集して水で充分洗浄した後、真空下で乾燥した。これにより、下記式(Q-1)の構造で表される感光剤1を得た。
溶剤として、表1の記載の化合物を用いた。
・界面活性剤1:フッ素系界面活性剤(スリーエムジャパン社製、FC4430)
密着助剤として、下記カップリング剤を用いた。
(カップリング剤1)
カップリング剤1として、下記式(S1)で表されるN,N′-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン(信越化学社製、X-12-5263HP)を準備した。
カップリング剤2として、下記式(S1)で表されるシクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物及び3-アミノプロピルトリエトキシシランの縮合物であるカップリング剤2を以下の方法によって合成した。合成方法について、詳細を説明する。
撹拌機および冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物(45.6g、300mmol)をN-メチル-2-ピロリドン(970g)に溶解させ、恒温槽にて30℃に調整した。次いで、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(62g、280mmol)を滴下ロートに仕込み、60分かけて溶解液へ滴下した。滴下完了後、30℃、18時間の条件化で撹拌を行い、下記式(S2)で表されるカップリング剤2を得た。
実施例1~4および比較例1~6の感光性樹脂組成物を以下のようにして調製した。
まず、下記表2または表3に示す配合割合に従って、溶剤を混合し、混合溶剤を作製した。
次いで、混合溶剤に、溶剤以外の各原料成分を添加、撹拌し、そして、孔径0.2μmのPTFE製メンブレンフィルターで濾過することで、各実施例および各比較例の感光性樹脂組成物のワニスを得た。
なお、界面活性剤の添加量は、混合溶剤を含む感光性樹脂組成物のワニス全体に対する濃度(ppm)である。
また、JIS K 2265-1に基づく実施例1の感光性樹脂組成物のタグ密閉式引火点は、60.4℃であった。
各実施例、比較例の感光性樹脂組成物について、スパッタCuを表層とする基板、スパッタAlを表層とする基板、ベアシリコンウェハーに対する接触角を測定した。
ベアシリコンウェハーについては、株式会社アドバンテックより購入したものを用いた。
次いで、温度25℃で、各基板の上に、上記で粘度調整した感光性樹脂組成物のワニス2mlを着滴してから10秒後の接触角を液滴法にて評価した。なお、測定は接触角計(協和界面科学社製、DROPMASTER-501)を用いて行った。
これにより、スパッタCu、ベアシリコンウェハーに対する接触角を評価した。評価は、10回計測を繰り返し、その平均値を算出して、これを接触角θ(°)とした。また、これにより、感光性樹脂組成物の表面エネルギー(mN/m)を評価した。
各実施例、比較例の感光性樹脂組成物の塗布性について評価を行った。以下に詳細を説明する。
まず、基板上に銅箔を張り付けた銅張積層基板を準備した。この基板の形状は200mm×300mmの長方形状であった。
各実施例および比較例の組成物について、E型粘度計により、回転周波数100rpm、温度25℃、300秒間回転後に測定される粘度が50mPa・sとなるように、各実施例・比較例に用いた溶剤で粘度調整した。粘度調整の際は、各樹脂組成物に含まれる各溶剤の配合比が一定となるよう、溶剤を添加した。
この基板表面に、膜厚調整機能付きフィルムアプリケーター300mm(オールグッド株式製)により、各実施例、各比較例の感光性樹脂組成物を用いて塗膜を形成した。また、塗膜は、表2または表3に記載の条件でプリベーク処理を行い、プリベーク処理後の塗膜を外観観察に供した。塗膜の膜厚はプリベーク処理後の膜厚が10μmとなるよう調整した。
(ヒケ)
○ 塗膜にへこみが見られなかった
× 塗膜の一部にへこみが発生した
(ハジキ)
○ 下地が露出した部分はなかった
× 下地が一部露出した
また、実施例3、4の感光性樹脂組成物は、比較例6と比べて、塗膜における凹みや下地露出が抑制されており、比較例5と比べて、減圧乾燥してなる塗膜におけるヒケ(凹み)が抑制される結果を示した。
したがって、実施例1~4の感光性樹脂組成物は、無機材料を含む基板に対して、濡れ性に優れており、塗膜における凹みや下地露出が抑制され、安定的に均一な塗膜が形成できることが分かった。また、これらの実施例の感光性樹脂組成物は、ウエハレベルパッケージやパネルレベルパッケージに好適に用いることができる。
Claims (13)
- アルカリ可溶性樹脂(A)、
感光剤(B)、及び
溶剤(C)を含む、感光性樹脂組成物であって、
前記溶剤(C)は、水溶性かつ沸点130℃以上である、グリコールエーテル構造を有する溶剤(C-1)を含み、
前記溶剤(C)が、前記溶剤(C-1)と、前記溶剤(C-1)の沸点と20℃以上異なる沸点を有する他の溶剤(C-2)と、を含む混合溶剤であり、
前記溶剤(C-1)は、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、又は、エチレングリコールモノブチルエーテルを含み、
前記溶剤(C-2)が、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、γ-ブチロラクトン(GBL)、テトラメチル尿素(TMU)から選択される少なくとも一種を含み、
N-メチルピロリドンが、当該感光性樹脂組成物全体に対し、1質量%未満であり、
下記の手順で求められた、当該感光性樹脂組成物における表面エネルギーが、21.0mN/m以下である、
永久膜形成用の感光性樹脂組成物。
(手順)
当該感光性樹脂組成物を用いて、E型粘度計により、回転周波数100rpm、温度25℃、300秒間回転後に測定される粘度が50mPa・sとなるサンプル溶液を調製する。
温度25℃で、各基板の上に、粘度調整したサンプル溶液2mlを着滴してから10秒後の接触角を、接触角計を使用し、液滴法にて測定する。
10回計測を繰り返し、その平均値を接触角θとし、接触角θを用いて表面エネルギー(mN/m)を求める。 - 前記アルカリ可溶性樹脂(A)が、ポリアミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、及び、環状オレフィン系樹脂からなる群より選択された少なくとも一つを含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
- 当該感光性樹脂組成物の引火点が40℃以上である、請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
- 当該感光性樹脂組成物の、温度25℃で、E型粘度計を用いて測定した粘度が0.1mPa・S以上5000mPa・S以下である、請求項1~3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- ウエハレベルパッケージ、又は、パネルレベルパッケージに用いる、請求項1~4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 前記感光剤(B)が、光酸発生剤である、請求項1~5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 当該感光性樹脂組成物において、感光性樹脂組成物全体の固形分濃度が10~30質量%である、請求項1~6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 当該感光性樹脂組成物において、前記溶剤(C-1)が、前記溶剤(C)全体に対し、1質量%以上100質量%以下含まれる、請求項1~7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 界面活性剤を含む、請求項1~8のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- カップリング剤を含む、請求項1~9のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
- 請求項1~10のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を硬化させてなる、硬化膜。
- 請求項11に記載の硬化膜を含む、電子装置。
- 基板上の一表面に、電子部品を設ける工程、
前記基板の一表面上に、アルカリ可溶性樹脂(A)、感光材(B)、及び溶剤(C)を含む感光性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程、
形成された塗膜を露光する露光工程、
露光された塗膜を現像する現像工程、及び
現像後に残存した塗膜を加熱して当該塗膜を硬化させ、永久膜を形成する加熱工程、
を有する、前記感光性樹脂組成物の硬化膜を含む電子装置の製造方法であって、
前記感光性樹脂組成物において、
前記溶剤(C)は水溶性かつ沸点130℃以上である、グリコールエーテル構造を有する溶剤(C-1)を含み、
前記溶剤(C)が、前記溶剤(C-1)と、前記溶剤(C-1)の沸点と20℃以上異なる沸点を有する他の溶剤(C-2)と、を含む混合溶剤であり、
前記溶剤(C-1)は、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、又は、エチレングリコールモノブチルエーテルを含み、
前記溶剤(C-2)が、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、γ-ブチロラクトン(GBL)、テトラメチル尿素(TMU)から選択される少なくとも一種を含み、
N-メチル-2-ピロリドンが、当該感光性樹脂組成物全体に対し、1質量%未満であり、
下記の手順で求められた、当該感光性樹脂組成物における表面エネルギーが、21.0mN/m以下である、
電子装置の製造方法。
(手順)
当該感光性樹脂組成物を用いて、E型粘度計により、回転周波数100rpm、温度25℃、300秒間回転後に測定される粘度が50mPa・sとなるサンプル溶液を調製する。
温度25℃で、各基板の上に、粘度調整したサンプル溶液2mlを着滴してから10秒後の接触角を、接触角計を使用し、液滴法にて測定する。
10回計測を繰り返し、その平均値を接触角θとし、接触角θを用いて表面エネルギー(mN/m)を求める。
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