JP2005290889A - 掘割道路の構造及びその施工方法 - Google Patents
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Abstract
掘割道路の構造において、施工の際の仮設工事を削減して工期を短縮するとともに交通規制を削減し、掘割道路の構築工事による交通への影響を最小限にする。また、仮設構造物及び地下構造物本体にかかる応力を分散し、これらを構築する部材のコストを削減する。
【解決手段】
掘割道路1の両側に沿って連続して杭3を設け、杭3を土留壁と側壁とに兼用し、工期及び費用を削減する。また、これにより掘削幅が狭くなるので、施工ヤード27の幅が狭くなり、交通への影響が最小限になる。
さらに、掘割道路1をなす底版4を、両側の杭3と連結するように形成し、地下構造物の断面形状をH形として、杭基礎と直接基礎を併せ持つパイルドラフト構造を構成するようにする。これによって、地下水位が高い場所における躯体の浮き上がりや、地盤の液状化などに対しても安定した構造となる。
【選択図】図1
Description
この掘割道路を施工する方法としては、まず交通路となる部分の両側に土留壁を設置した後に掘削を行うとともに上部に覆工を敷設し、U字型のコンクリート構造物を構築する工法が知られている。
また、掘割道路のうち、他の交通路との交差がある部分(立体交差)には、U字形のコンクリート構造物のかわりに、ボックスカルバートを用いることで立体交差を構築している。
また、立体交差部分において、ボックスカルバートを用いる工法やシールド工法は、下側を通る交通路の上部にある程度の土被りが必要なため、その分だけ交通路の深度が深くなり、地下部分の道路延長が長くなるとともに、上載土圧に耐えうる構造にする必要がある。
特許文献1に示すような杭基礎を用いた工法では、杭の設置の他に、下側となる交通路の掘削の前に土留壁等の仮設工事の必要があるため、その分の工期、費用が必要であった。
また、いずれの工法においても、地下にある構造物には土圧や地下水圧がかかるため、仮設構造物及び地下構造物本体はこれに耐えうる強固な構造とする必要があり、これらを構築する部材のコストが高くなっていた。
また、掘割道路の構造において、仮設構造物及び地下構造物本体にかかる応力を分散し、これらを構築する部材のコストを削減することである。
前記掘割道路1の両側に設けた前記杭3と連結し、前記掘割道路1をなす底版4とを備えることを特徴とする。
また、従来土留壁は、側壁を構築する場所の外側に構築していたが、これらが同じ場所に構築されることとなるので、掘削幅を狭くできるとともに、施工ヤード27の幅を狭くでき、交通への影響を最小限にできる。
前記掘割道路1の上部に設けられる上側の交通路2を形成する橋部材8を、前記掘割道路1を挟んで対向する前記橋座6に架設し、
前記胸壁5と前記橋部材8の端面との間で力の伝達を可能としたことを特徴とする。
また、橋部材8を架設することで上側の交通路2を形成するようにしたことで、掘割道路1を従来より浅い位置に構築でき、地下部分の道路延長を短くできるとともに各部材にかかる負担を軽減でき、各部材のコストを削減できる。
前記掘割道路1となる部分を掘削する掘削工程と、
前記掘削工程によって掘削された掘削面に沿って、前記掘割道路1の両側に配された前記杭3と連結する底版4を形成する底版形成工程とを有することを特徴とする。
また、地下構造物にかかる土圧を底版と橋部材とに分散し、各部材にかかる負担を軽減して、部材のコストを削減できる。
また、橋部材によって上側の交通路を形成するので、掘割道路を浅い位置に構築でき、地下部分の道路延長を短くできるとともに、各部材にかかる負担を軽減して、部材のコストを削減できる。
さらに、地下構造物がパイルドラフト構造を有することで、地盤の液状化などに対しても安定な構造となる。
掘割道路は、道路や線路などの交通路が半地下となったものであって、ここでは、その掘割道路の一例として、図12に示すような交通路の交差部18における立体交差の構造及び施工方法について説明する。
橋部材8は、長さ方向が掘割道路1の延長方向に対して直交するように、胸壁5より掘割道路1側にある橋座6に設けられたゴム支承19に載置されている。そして、隣接して複数本配された橋部材8の上面は舗装され、上側の交通路2となっている。
また、隣接して配された橋部材8の間には、橋部材8どうしを連結するようにコンクリートが充填されているとともに、このコンクリート部分と橋台7を連結するようにアンカーバー20が設けられ、橋台7から橋部材8が外れないようにしている。
なお、ゴム支承19とアンカーバー20はともに、掘割道路1を挟んだ両側の橋台7に設けられているが、アンカーバー20の構造は、掘割道路1を挟んだ片側が固定側、これに対向する側が可動側となっている。すなわち、固定側では、アンカーバー20が橋部材8どうしの間に充填されたコンクリート部分に固定されており、可動側ではアンカーバー20とコンクリート部分との間に遊間が設けられている。
しかし、橋部材8であるプレテン桁は、もともと外部から過大な軸力が加わることを想定して作られていないので、過分に負担させるわけにはいかない。そこで、掘削時には、図5に示すように、橋部材8を単独で切梁とせず、仮設の切梁36も設けて橋部材8の負担を軽減している。また、橋部材8の端面と胸壁5の間に緩衝材9を設けることで、橋部材8が緩衝材9を介して軸力のみを伝達する構造とし、この構造により、橋梁下部工としての杭3の負担を軽減している。
まず、掘割道路1の両側に設けられる杭3の施工を行う。この杭3の施工にあたっては、杭上に配されて杭上を自走可能な杭打設装置を用いる。このような杭打設装置によって施工を行えば、施工ヤード27の範囲を狭くできるので、交通への影響を最小限に抑えることができる。また、杭打設装置を複数台投入し、各施工ヤード27で並行して施工を行えば、工期を短縮することができる。
また、ここでは、掘割道路1となる既存の交通路38が、4車線の交通路で、交差部18には右折レーンが設けられて5車線となっており、上側の交通路2となる既存の交通路39が、交差部18において3車線になっている交差点での施工について説明する。
作業を行うための施工ヤード27としては、後に右折レーンとしての張出し部21を構築する部分とし、反対車線側もほぼ同じ範囲を施工ヤード27として確保する。よって、施工ヤード27の幅は、既存の交通路38のうち、最も外側にある車線部分と、その外側の杭3を施工するのに必要な部分とを合わせた幅となる。すなわち、二つの施工ヤード27の間には、既存の交通路38で内側の車線となっていた部分が残ることとなり、施工中であっても利用可能となっている。また、施工ヤード27を設けたことで利用できなくなった外側の車線は、施工ヤード27の外側に新たに構築した迂回路28に切り替える。この施工ヤード27の外側に新たに構築した迂回路28は、立体交差が完成した後に側道30を設ける部分を用いて仮設したものである。また、上側となる交通路39は交差部18のほぼ中央部まで設けられた施工ヤード27を迂回するように設けられる。
上述の施工ヤード27内において、交差部18から順次杭3を施工し、後に橋部材8を載置する杭3には橋台7を形成する。この橋台7には、図3、4に示すように、胸壁5やゴム支承19及び橋部材8を橋台7に連結するためのアンカーバー20などが設けられる。そして、既存の交差部18にあって、橋台7を形成した杭3の上部を覆工部材29で覆工し、上側となる交通路39をここに移設する。同様に、交差部18を中心とした反対側の交通路についても同様の施工を行い、図8に示すように、上述した交差部18の覆工が完了したら、迂回させていた上側となる交通路39を元に戻す。
また、図12に示すように、後に掘割道路1の側道30の右折レーンとなる張出し部21の構築を行う。なお、この張出し部21は、次に行う橋掛け工程が完了してから使用開始とする。
橋部材8の架設は夜間において、杭3の施工時に施工ヤード27の間にあった交通路を通行止めとして、迂回路28のみを通行可能とする。そして、杭打設工程で、掘割道路となる交通路38の両側に打設した杭3の間を新たに施工ヤード32として行う。また、交差部18は、片側半分を施工ヤード32とし、上側となる交通路39は、この施工ヤード32を迂回するように仮設する。
その他、橋部材8の上面の舗装や橋側端部の壁高欄の構築等を行い、交通路として利用できるようにする。
また、杭打設工程時に設けられた施工ヤード27では、杭3を打設するのに必要な範囲として、打設する杭3よりも外側に境界を有していたが、橋掛け工程時に設けられた施工ヤード32では、杭打設工程によって打設された杭3を境界としているため、側道部分が広くなっている。そこで、迂回路28を2車線にするとともに、張出し部21を右折レーンとして利用し、交通への影響を少なくする。そして、施工ヤード32を、後に地下部分を通る本線と側道30との分岐部分まで延長し、掘割道路となる交通路38の掘削工程を行う。
次に、杭3の外面であって、底版4と接する部分には、杭3と底版4を連結する連結部材としての鉄筋(図示略)を、底版4が形成される方向に突出するように複数溶接する。
さらに、この鉄筋の他、底版4に必要な鉄筋を構築した後、コンクリートを打設して基礎部23の上部に底版4を構築する。コンクリートが硬化して杭3と底版4が連結し、杭基礎と直接基礎を併せ持つパイルドラフト構造が形成されたら、仮設していた切梁36を撤去する。なお、切梁36を支持していた中間杭33は底版4の上面で切断し、底版4の内部及び下部にあった部分はそのまま残置される。
例えば、自動車専用道路のように、半地下部分が長い距離連続する掘割道路を構築する場合も同様に杭打設工程、橋掛け工程、掘削工程、底版形成工程により構築することができる。このとき、掘割道路に交差する交通路が複数ある場合は、各箇所において橋掛け工程を行うようにする。また、橋掛け工程を掘割道路の所定区間に渡って連続して行い、掘割道路の上側に構築する交通路を掘割道路に並行するように構築しても良い。
さらに、杭3と底版4とを連結する連結部材が、地下水等によって腐食することを防止するための止水手段を設けても良く、また、使用する橋部材、杭の材質、形状等も任意であって、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
2 上側の交通路
3 杭
4 底版
5 胸壁
6 橋座
7 橋台
8 橋部材
9 緩衝材
18 交差部
Claims (5)
- 掘割道路の両側に沿って土留壁となるように連続して設けた杭と、
前記掘割道路の両側に設けた前記杭と連結し、前記掘割道路をなす底版とを備えることを特徴とする掘割道路の構造。 - 前記杭の上部に、胸壁を有し、前記胸壁より前記掘割道路側に橋座を有する橋台を設け、
前記掘割道路の上部に設けられる上側の交通路を形成する橋部材を、前記掘割道路を挟んで対向する前記橋座に架設し、
前記胸壁と前記橋部材の端面との間で力の伝達を可能としたことを特徴とする請求項1に記載の掘割道路の構造。 - 前記胸壁と、前記橋部材の端面との間に緩衝材を備えることを特徴とする請求項2に記載の掘割道路の構造。
- 掘割道路となる部分の両側に沿って土留壁となるように連続して杭を設ける杭打設工程と、
前記掘割道路となる部分を掘削する掘削工程と、
前記掘削工程によって掘削された掘削面に沿って、前記掘割道路の両側に配された前記杭と連結する底版を形成する底版形成工程とを有することを特徴とする掘割道路の施工方法。 - 請求項4に記載の掘割道路の施工方法であって、
前記杭の上部に、胸壁を有し、前記胸壁より前記掘割道路側に橋座を有する橋台を設け、前記掘割道路の上部に設けられる上側の交通路を形成する橋部材を、前記掘割道路を挟んで対向する前記橋座に架設する橋掛け工程を、前記掘削工程の前に有することを特徴とする掘割道路の施工方法。
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