JP2005289666A - 炭化物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【目的】草木質の炭化物の製造方法において、加熱時の加熱炉内の気体と糖質中の炭素粒子との接触面積を高めることにより、炭素粒子を均一に加熱し、活性炭と同程度の表面積を有する炭化物を得る。
【構成】草木質を原料とする炭化物の製造方法であって、草木質中のリグニン質を除去した後、残った糖質を懸濁状の溶液とし、この懸濁状の溶液をあらかじめ加熱された加熱炉中に噴霧することにより、糖質中に含まれる炭素粒子を均一に加熱して炭化物を得る。

【選択図】 図1

Description

本発明は、草木質を原料とするもので、いわゆる活性炭と同程度の表面積を有する炭化物の製造技術に関する。
近年、木炭等の炭素質の物質を原料とした炭化物を、薬品処理等によりその表面積を高めることが行われている。これにより得られるいわゆる活性炭と呼ばれるものは、吸着材やキャパシタ等、その表面積が高いという利点を利用して様々な用途が期待されている。
従来においては、木材や鉱物を原料として、炭化した原料を水蒸気が存在する雰囲気中で加熱したり、同様に炭化した原料をカリウム等の金属を添加した状態で再加熱するなど、いわゆる賦括処理と呼ばれる方法により、表面積のより高い活性炭を得るべく開発が進められている。例えば以下に記す特許文献1においては、加熱炉雰囲気中の酸素濃度を調整することにより、炭化処理を行う1工程のみで、従来よりも生産性がよく、かつ表面積の高い活性炭を得る発明を開示している。
しかしながら、前述した従来技術における実施例では、乾燥させた材木チップを加熱炉内に入れて加熱を行っている為、加熱時に材木チップ内部と外部を均一に加熱することが困難である。すなわち材木チップ内部の炭素粒子は、電気炉雰囲気中の気体との接触面積が低い為、材木チップ表面に位置する炭素粒子に比べて加熱が不十分となる恐れがある。従って、得られた活性炭は、部分によって表面積がばらつく恐れが大きい。
特開平9−241014公報
本発明においては、加熱時の炭素粒子と加熱雰囲気中の気体との接触面積を高めることにより、一度の加熱処理で、表面積の均一性が高く、活性炭と同程度の表面積を有する炭化物を製造する方法を提供する。
前記目的を達成すべく請求項1に記載した本発明は、草木質を原料とする炭化物の製造方法であって、前記草木質からリグニン質を除去するリグニン質除去工程と、前記リグニン質除去工程で得られた糖質相から糖質を抽出する糖質抽出工程と、前記糖質抽出工程で得られた糖質を溶媒と混合して溶液を作成する溶液作成工程と、前記溶液作成工程で得られた溶液を、あらかじめ加熱した雰囲気中へ噴霧する噴霧熱分解工程とを有することを特徴とするものである。ここで、草木質とは、草、木材等の植物を広く意味するものである。また、リグニン質とは、リグニンに関する各種成分を広く含むものである。さらに、糖質とは、糖に関する成分であって、セルロース等の多糖類、単糖類、その他各種の糖類を広く含むものであり、糖質相とは、糖質を含む液相もしくは固相を意味するものである。
また、前記目的を達成すべく請求項2に記載した本発明は、請求項1における炭化物の製造方法において、前記糖質抽出工程で得られた糖質は、前記噴霧熱分解工程で噴霧するに至るまで非乾燥状態を維持することを特徴とするものである。
次に、前記目的を達成すべく請求項3に記載した本発明は、請求項1及び2に記載した炭化物の製造方法において、前記リグニン質除去工程は、前記草木質に硫酸を添加し酸溶解によりこの草木質をリグニン質を含むリグニン質相と、糖質を含む糖質相とに分離するステップと、前記リグニン質相を前記糖質相と固液分離するステップとを有することを特徴とするものである。ここで、リグニン質相とは、主に硫酸とリグニンの反応により得られた硫酸リグニンからなるものを意味する。
また、請求項4に記載した本発明は、請求項1乃至3に記載した炭化物の製造方法において、前記糖質抽出工程は、前記糖質相を硫酸存在化で酸加熱することでこの糖質相中の糖質を析出させるステップと、この析出した糖質をそれ以外の成分と固液分離するステップとを有することを特徴とするものである。
さらに、請求項5記載した本発明は、請求項1乃至4に記載した炭化物の製造方法において、前記草木質はケナフであることを特徴とするものである。
<請求項1の発明>
請求項1に記載の炭化物の製造方法によれば、糖質が、溶媒とともに加熱炉内に微粒子状に噴霧されることによって加熱炭化される。この結果、糖質中の炭素粒子と加熱炉内の気体との接触面積が大きくなる為、糖質全体を均一に加熱することができる。さらに、本件においては、糖質表面に付着するリグニンを除去していることにより、より糖質中の各粒子と電気炉内の気体の接触面積を大きくすることができる。
<請求項2の発明>
請求項2に記載の炭化物の製造方法によれば、糖質抽出工程後も糖質の非乾燥状態を維持することにより、糖質抽出工程後に乾燥して凝縮した糖質中の炭素粒子に比べて噴霧工程における噴霧時の炭素粒子が小さい為、加熱炉内の気体との接触面積をより大きくすることが可能となる。
<請求項3の発明>
請求項3に記載の炭化物の製造方法によれば、簡易な方法でリグニン質相と糖質相を分離することができる。
<請求項4の発明>
請求項4に記載の炭化物の製造方法によれば、簡易な方法で糖質を抽出することができる。
<請求項5の発明>
請求項5に記載の炭化物の製造方法によれば、成長が早いとして知られるケナフを材料として用いる為、入手が容易となり、材料コストを抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明における炭化物の製造方法は、図1に示すフロー図に沿って行われるものであって、以下に詳述する粉砕処理10、酸溶解処理20、遠心分離処理30、酸加熱処理40、水希釈・濾過処理50、懸濁水調整処理60、噴霧熱分解処理70を順次実施することによって行うものである。なお、本発明における草木質の材料としては、様々な材料が考えられるが、本実施の形態においては、栽培が容易で成長が早い靭皮植物として知られるケナフを原料として用いる。
〔粉砕処理〕
粉砕処理10では、ケナフの芯部である、いわゆるケナフコアを粉砕する処理を行う。各種の粉砕機を用いることで粒径が約1mm以下のケナフコア粉砕品を得る。なお、本実施の形態の原料となるケナフには、糖質(セルロース等の多糖類)、リグニン質等が含有されている。
〔酸溶解処理〕
酸溶解処理20では、粉砕処理10で得られたケナフコア粉砕品に濃度約70%の硫酸を添加する。そして、室温下で約1時間かけてケナフコア粉砕品を硫酸に溶解させる。硫酸の添加率は、ケナフコア中に含有されるリグニン質の量に応じて定められるのが好ましい。これにより、ケナフコアに含まれるリグニン質は硫酸分と反応するとともに糖質が硫酸に溶解し、混合溶液中に液相である糖質相(糖/硫酸溶液)と、固相であるリグニン質相(硫酸リグニン)を形成する。また、この酸溶解処理20において、多糖類であるセルロース等の糖質の一部は加水分解によって低分子化される。なお、酸溶解処理20では、硫酸に限定されず、塩酸など種々の酸溶液を利用することが考えられる。
〔遠心分離処理〕
遠心分離処理30では、酸溶解処理20で得られた混合溶液を、各種の遠心分離機を用いることによって糖質相(糖/硫酸溶液)とリグニン質相(硫酸リグニン)とに遠心分離する。例えば、分離加速度1300Gの条件で約10分間遠心分離処理30を行う。これにより、ケナフ(原料)中に含まれるリグニン質を除去することが可能となる。なお、除去されたリグニン質は、用途に応じて工業的・商業的に広く利用される。
このように、本実施の形態の酸溶解処理20および遠心分離処理30によって、本発明の特許請求の範囲におけるリグニン質除去工程が構成されている。すなわち、酸溶解処理20が本発明の特許請求の範囲における「草木質をリグニン質を含むリグニン質相と、糖質を含む糖質相とに分離するステップ」に対応しており、遠心分離処理30が本発明の特許請求の範囲における「リグニン質相を糖質相と固液分離するステップ」に対応している。
〔酸加熱処理〕
酸加熱処理40では、遠心分離処理30で得られた糖質相(糖/硫酸溶液)を、例えば90℃で約2時間加熱する。すなわち、この糖質相は、脱水作用を有する硫酸存在下で加熱されることとなる。これにより、糖質相中の糖質が脱水され溶液中に析出する。なお、この酸加熱処理40の過程において、糖質はその一部が炭化した状態となり、また糖質分子同士が一部凝集した状態(後述する濾過処理において濾過されやすい状態)を形成する。また、糖質の一部は、脱水反応によってヒドロキシル基等を失い、親水性が低下する。その結果、溶液中には、糖質分子(脱水等によって構造変化した糖質変成物)が粒子状に析出する。ここで析出した粒子状の糖質分子が図1中の糖質混合物に相当する。
〔水希釈・濾過処理〕
水希釈・濾過処理50では、酸加熱処理40で得られた糖質混合物を例えば3倍水希釈によって分散させた後、この希釈水を例えばガラスフィルターによって残さ分(糖質)と濾液分(硫酸溶液)とに分離する。なお、この水希釈・濾過処理50は糖質の洗浄を主な目的としている。したがって水希釈操作および濾過操作は濾液のpHがおよそ7(中性)となるまで繰返し行う。この濾過処理によって得られた残さ分(以下糖質と記す)は、糖質以外の成分が殆ど除去されている。
このように、本実施の形態の酸加熱処理40および水希釈・濾過処理50によって、本発明の特許請求の範囲における糖質抽出工程が構成されている。すなわち、酸加熱処理40が本発明の特許請求の範囲における「糖質相中の糖質を析出させるステップ」に対応しており、水希釈・濾過処理50が本発明の特許請求の範囲における「析出した糖質をそれ以外の成分と固液分離するステップ」に対応している。
〔懸濁水調整処理〕
懸濁水調整処理60では、水希釈・濾過処理50で得られた糖質を、再度水希釈によって攪拌しながら水中に分散させ、重量比で糖質5wt%程度の懸濁水を調整する。なお、ここでの懸濁水の濃度は、水溶液中の糖質が、重量比で1〜5wt%程度であることが好ましい。5%以上になると、粘性が大きいことより、後述する噴霧熱分解処理70において、噴霧熱分解炉1のノズル4に糖質がつまることより、うまく加熱炉1cに懸濁液を噴霧することができないという問題が発生する。一方、1%未満であると、最終的に得られる活性炭の収率が悪いという問題が発生する。
〔噴霧熱分解処理〕
次に、本発明の噴霧熱分解処理70について説明する。
本発明における噴霧熱分解処理70では、市販の噴霧熱分解装置であって、セラミック等の製造を行う為に用いられている大河原化工機株式会社製の噴霧熱分解装置RH-3Aを用いて行う。 図2に、噴霧熱分解装置の概略図を記す。この噴霧熱分解装置は、主に、噴霧した炭素粒子を加熱する噴霧熱分解炉1と、加熱処理により得られた炭化物を回収するバッグフィルタ2とからなり、それらを連結管3により連結している。
噴霧熱分解炉1は、上部に位置して原料を炉内に導入する為のノズル4と、ノズル4の下部に位置する円筒状の加熱炉1cと、加熱炉1cを囲んで中空円筒状に設けられたヒーター1bとを備えている。また、ノズル4には、ノズル4内に流入した原料を噴霧させる為に高圧の空気を導入する噴霧用エア導入口4bと、特定の空気を炉内に導入して加熱炉1cの雰囲気を調整するキャリアエア導入口4cが設けられている。さらに、噴霧熱分解炉1の下部には、搬送用エア流入口1aが設けられている。この搬送用エア流入口1aからは、炭化物の製造時に、噴霧熱分解炉1から、連結管3を介して、バッグフィルタ2に向けて常時搬送用エアを流入させている。これにより、炭化物の加熱時には、ノズル4から加熱炉1cに向けて噴霧した糖質が、加熱によって炭化されつつ重力によって加熱炉1cの下方に落下した後、搬送用エアの気流によってバッグフィルタ2へ搬送されることとなる。
一方、バッグフィルタ2は、噴霧熱分解炉1から搬送されてきた炭化物を補集するフィルタ2aを内部に備え、下部には、最終的に炭化物を回収するホルダ2cを備えている。さらに、上部には、圧縮空気導入口2bを備えている。この圧縮空気導入口2bから導入される圧縮エアは、フィルタ2aに補集された炭化物をその下方に位置するホルダ2cに向けて落下させるためのものである。なお、バッグフィルタ2におけるフィルタ2aの上方には、図示しない吸引機との連結部を備えており、前述した搬送用エアによって噴霧熱分解炉1からバッグフィルタ2に搬送された炭化物を、吸引機の吸引力により、フィルタ2aに付着させる。そして、所定の時間間隔で、前述した圧縮空気を、圧縮空気導入口2bからバッグフィルタ2の下方に向けて噴射することにより、フィルタ2aに補集された炭化物を、下方のホルダに向けて落下させる。なお、前述した吸引機の吸引力は、ホルダ近辺まで落下した炭化物を再び上昇させてフィルタ2aに付着させるほどの吸引力とはならないように設定されている。また、ホルダ2cは、人為的にバッグフィルタ2から取外すことにより、得られた炭化物を回収することができる。
次に、以上のように構成される噴霧熱分解装置を用いて、前述した懸濁液より、炭化物を得る方法について、詳述する。まず、噴霧熱分解炉1において、キャリアエア導入口4より、窒素ガスを20L/分の流速で加熱炉1cに向けて流入させ、加熱炉1c内を窒素ガスで満たす。また、ヒーター1bの電源を入れて、加熱炉1cの温度を850℃程度に設定する。この状態で、前述した懸濁液調整処理60で得た懸濁液を、ノズル4の原料導入口4aから注入する。そして、微粒化用エア導入口4cから導入される高圧エアにより噴霧圧力0.2Mpaで加熱炉1cに向けて噴霧する。したがって、懸濁液中に存在する糖質中の炭素粒子は、加熱炉1cに噴霧てヒーター1bによって急激に加熱される。その結果、酸溶解処理20で低分子化された糖質が炭化される。なお、前述した微粒化用エア導入口4bから加熱炉1cに導入される高圧エアは、キャリアガス導入口4cから加熱炉1cに導入する気体と同じ成分のものとすることが好ましい。これにより、加熱炉1c中の雰囲気の濃度を一定に保つことが容易となるからである。
次に、ノズル4より加熱炉1cに向けて噴霧された糖質は、加熱により炭化された状態で、その重力により、加熱炉1cの下方に落下する。ここで、前述したように、加熱炉1c下方に位置する搬送用エア導入口1aからは、常時搬送用エアが、連結管3を介してバッグフィルタ2に向けて流入されている。さらに、バッグフィルタ2内は、図示しない吸引機により、バッグフィルタ2の上方へ向けて吸引されている。従って、加熱炉1cの下方に落下した炭化物は、搬送用エアの気流と、図示しない吸引機による吸引力によって、連結管3を通過してバッグフィルタ2に搬送され、さらに、フィルタ2aに付着することとなる。そして、一定時間経過後、吸引機による炭化物を吸引する圧力より高い圧力の圧縮エアを、圧縮エア導入口2bからバッグフィルタ2内に向けて流入させる。その結果、フィルタ2aに付着した炭化物をホルダ2cに向けて落下させ、最終的にホルダ2cに炭化物を収集することができる。
以上により得られた炭化物について、以下に記す物性評価を行った。
なお、その際には、比較例として、前術した水希釈・濾過処理50後に得た残さ(糖質)を、乾燥後、750℃の温度条件で、1時間電気炉中で加熱処理することにより得た炭化物を用いた。
〔比表面積〕
まず、炭化物の比表面積SをBETプロット法によって測定した。その測定の結果、本発明による方法により得た炭化物は、666〔m2/g〕、比較例の炭化物は、560〔m2/g〕という値が得られた。このことから、本発明により得られた炭化物は、比較例の炭化物に比して表面積が大きいことが分かる。
これは、比較例においては、糖質を水希釈・濾過処理50後に電気加熱炉中で加熱処理しているのに対して、本発明による方法により得られた炭化物は、噴霧熱分解装置により加熱していることに起因しているものと考えられる。すなわち、本発明による方法では、糖質を粒子状態にして加熱処理している為、加熱時に、炭素粒子と加熱炉中の気体との接触面積が大きくなることより、各粒子が均一に加熱されることによるものと考えられる。
また、本発明による方法では、水希釈・濾過処理50後の糖質をそのまま懸濁水調整処理60を行っており、糖質が非乾燥状態であることを維持している。それに対して、比較例の炭化物では、糖質を水希釈・濾過処理50後に乾燥させた後に、電気加熱炉中で加熱処理を施している。糖質においては、加熱処理前の乾燥時、炭素粒子内部もしくは粒子表面から、水分が徐々に蒸発することとなるが、この際に、炭素粒子は相互の分子間力により徐々に相互に近付き、完全に乾燥した時には、糖質が凝集してしまう。従って、この状態で、電気加熱炉に入れて加熱させても、凝集した炭素粒子内部の炭素粒子は、表面の炭素粒子に比べて電気加熱炉内の気体との接触面積が低く、加熱が不均一となる。それに対して、本発明における製造方法により得た炭化物は、水希釈・濾過処理50後に得られた糖質を、乾燥させることなく、懸濁水調整処理60を行い、炭素粒子を加熱炉1c内に噴霧させることにより、炭素粒子を加熱炉1c中に分散させた状態で加熱を行う。したがって、糖質中に存在する炭素粒子は、凝集することなく、加熱炉1c中に噴霧される為、加熱時に加熱炉1c中に存在する気体との接触面積が大きくなり、均一に加熱されることとなる。また、懸濁液調整処理60後の糖質は、あらかじめ加熱されている加熱炉1c中に噴霧されることより、急激に熱せられ、各炭素粒子内部もしくは表面に存在する水分が、急激に蒸発する。その結果、糖質内に存在する近接する炭素粒子は、分子間力により互いに引き合って凝縮する前に、水分がなくなって固化する為、加熱前に糖質内の水分が存在した部分が、加熱処理後に空孔として残存することとなり、最終的に細孔の多い炭化物となる。
以上のことより、本発明の方法により得られた炭化物は、比較例の炭化物に比べて十分な加熱が行われ、比表面積の高いものとなる。なお、ここで得られた炭化物は、いわゆる活性炭と同程度の比表面積が得られている。従来、草木質により活性炭を得る方法として、加熱等による炭化処理と、比表面積を高める薬品等による賦括処理の2工程を必要としていたが、本発明により、賦括処理工程を省くことが可能となった。
〔細孔容積〕
次に、炭化物の細孔容積VをTプロット法によって測定した。その測定の結果、本発明による方法により得た炭化物は、0.248〔cc/g〕、比較例の炭化物は、0.158〔cc/g〕という値が得られた。このことから、本発明により得られた炭化物は、比較例により得られた炭化物に比して細孔容積が大きいことが分かる。この結果は、前述した本発明による方法により得た炭化物の比表面積が比較例に比して大きいことと同じ理由によるものと考えられる。
なお、本発明の方法により得られた炭化物は、前述した酸溶解処理20、遠心分離処理30により、草木質中に存在するリグニンを除去している。草木質は、一般的に、糖質以外に主要成分としてリグニン質等を含有するが、このリグニン質は、熱可塑性を有するゆえ、噴霧加熱処理時に炭素粒子に付着する。その結果、加熱時の炭素粒子と加熱炉内の気体との接触面積が低くなり、細孔の形成の阻害要因となる。また、糖質粒子にリグニンが付着することにより、各粒子が大きくなり、本発明における噴霧熱分解処理70において、加熱炉1cに向けて噴霧する際に、ノズル4に詰まり、噴霧がスムーズに行えないなどの問題点を有する。従って、噴霧熱分解処理70を円滑に行い、また、糖質の加熱を充分に行う為に、本発明による方法では、噴霧加熱処理70前に草木質中のリグニン質をあらかじめ除去しておく処理を有する。
以上に記した本発明により得られた炭化物は、いわゆる活性炭と同程度の大きい比表面積及び細孔容積を有する。従って、例えば特定のガスの吸着剤として用いると、炭化物内部に存在する細孔に特定のガスを吸着することができるなど優れた効果が期待できる。
また、本発明により得られた炭化物は、草木質を材料としている為、少なくとも石油系の物質を材料とするものに比べ、地球環境に優れたものとなり、さらに低コストでの製造が可能となる。特に、本発明による炭化物は、草木質の中でも成長の早い植物として知られるケナフを用いている為、より地球環境に優れた材料となる。
本発明における工程のフロー図である。 噴霧熱分解装置の概略図である。
符号の説明
1 噴霧熱分解炉
1b ヒーター
1c 加熱炉
2 バッグフィルタ
2a フィルタ
2b 圧縮エア導入口
2c ホルダ
3 連結管
4 ノズル
4a 原料導入口
4b 微粉化用エア導入口
4c キャリアエア導入口


Claims (5)

  1. 草木質を原料とする炭化物の製造方法であって、前記草木質からリグニン質を除去するリグニン質除去工程と、前記リグニン質除去工程で得られた糖質相から糖質を抽出する糖質抽出工程と、前記糖質抽出工程で得られた糖質を溶媒と混合して溶液を作成する溶液作成工程と、前記溶液作成工程で得られた溶液を、あらかじめ加熱した加熱炉内へ噴霧する噴霧熱分解工程とを有することを特徴とする炭化物の製造方法。
  2. 請求項1に記載した炭化物の製造方法において、前記糖質抽出工程で得られた糖質は、前記噴霧熱分解工程で噴霧するに至るまで非乾燥状態を維持することを特徴とする炭化物の製造方法。
  3. 請求項1及び2に記載した炭化物の製造方法において、前記リグニン質除去工程は、前記草木質に硫酸を添加し酸溶解によりこの草木質をリグニン質を含むリグニン質相と、糖質を含む糖質相とに分離するステップと、前記リグニン質相を前記糖質相と固液分離するステップとを有することを特徴とする炭化物の製造方法。
  4. 請求項1乃至3に記載した炭化物の製造方法において、前記糖質抽出工程は、前記糖質相を硫酸存在化で酸加熱することでこの糖質相中の糖質を析出させるステップと、この析出した糖質をそれ以外の成分と固液分離するステップとを有することを特徴とする炭化物の製造方法。
  5. 請求項1乃至4に記載した炭化物の製造方法において、前記草木質はケナフであることを特徴とする炭化物の製造方法。


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