JPWO2003068386A1 - 吸着剤及び吸着剤の製造方法 - Google Patents

吸着剤及び吸着剤の製造方法 Download PDF

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Abstract

粉砕処理10で得られたケナフコア粉砕品を、酸溶解処理20によって70%硫酸に溶解させ糖質相(糖/硫酸溶液)を得る。この糖質相を遠心分離処理30によってリグニン質相(硫酸リグニン)と分離する。この糖質相を酸加熱処理40によって硫酸存在下で90℃、約2時間加熱し、更に、水希釈・濾過処理50によって濾液が中性になるまで糖質(残さ)の水希釈および濾過を行う。水洗浄・乾燥処理60によって糖質の水洗浄および乾燥を行い、その後、焼成処理70によって吸着剤Aとなる糖炭化物を得る。

Description

[技術分野]
本発明は、草木質を原料とする吸着剤およびその吸着剤の製造技術に関する。
[背景技術]
通常、混合ガス中の特定のガスを選択的に吸着するのに合成ゼオライト系の吸着剤が用いられる。このような合成ゼオライト系の吸着剤は、ガス吸着性能に関与する細孔、例えば1.0nm以下のミクロポア(マイクロ孔)の比率が高く、混合ガスに対する吸着選択性に優れている。ところが、この種の吸着剤は、混合ガスに対する高い吸着選択性を有する一方、製造コストを低く抑えるのに限界がある。
そこで、例えば活性炭のように、草木質を原料とする吸着剤をガス吸着に用いることが考えられる。このような吸着剤は、原料である草木質を単純に焼成処理等することで製造されるのが一般的である。この焼成処理によって、炭化物粒子内に多数の細孔が形成され、この細孔が各種成分の吸着に関与することとなる。このような吸着剤は、合成ゼオライト系の吸着剤に比して製造コストを低く抑えることが可能となる。しかしながら、草木質を原料とする吸着剤は、合成ゼオライト系の吸着剤に比して混合ガスに対する吸着選択性が低いという問題がある。これは、この種の吸着剤は、例えば合成ゼオライト系の吸着剤に比して、ガス吸着に関与するミクロポア(マイクロ孔)の比率が低いからである。
[発明の開示]
本発明では、草木質を原料としたうえで吸着性能に優れた吸着剤およびその吸着剤の製造技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、草木質を原料とする吸着剤の吸着性能を合成ゼオライト系の吸着剤の如く高めることを考え、草木質を原料とした吸着剤およびその製造技術等について鋭意研究した。その結果、本発明者らは、草木質に含まれる熱可塑性のリグニン質が焼成処理において炭化物粒子内の細孔形成の阻害要因になること、従ってこのリグニン質を合理的に除去することで混合ガスに対する吸着選択性を向上させることが可能となることを見出すことに成功した。
前記目的を達成するための1つの解決方法は、吸着剤を、草木質を原料とする糖質が炭化された糖炭化物を主体に構成することである。
本明細書において「草木質」とは、針葉樹や広葉樹等のような木質材や、ケナフ等のような草質材を広く含むものである。このように草木質を原料とすることで、例えば合成ゼオライト系のような吸着剤に比して製造コストを低く抑えることが可能となる。
また、本解決方法における吸着剤は糖炭化物を主体とする構成、すなわちその殆どが糖炭化物からなるものである。ここでいう「主体」とは、吸着剤に糖炭化物以外の微量成分を含有する場合を含む主旨である。また、ここでいう「糖炭化物」は、草木質に含有される糖質を炭化させることで得られるものである。とりわけ、本解決方法では、草木質に含有される糖質が低分子量化されたうえで炭化されることによって得られるものが好ましい。
この点について、より詳細に説明すると、本来、草木質は糖質(糖に関する成分)以外に、その他の主要成分としてリグニン質(リグニンに関する成分)等を含有する。従って、草木質を単に炭化処理することで得られる吸着剤(炭化物)は、糖炭化物以外にリグニン質やその他の成分を含む。これに対し、本発明は、糖炭化物以外の成分を極力排除した構成の吸着剤を特徴とするものである。このような吸着剤は、例えば、草木質からリグニン質のような糖質以外の成分を除去したうえで、この糖質を焼成処理し炭化させることで得ることができる。リグニン質は、熱可塑性を有するゆえ焼成処理において糖炭化物に付着し、吸着性能に関与する細孔の形成の阻害要因に成り得る。細孔の形成が阻害されると、細孔容積、比表面積等が小さくなり吸着剤の吸着性能が低下することとなる。そこで、本発明のような糖炭化物を主体とした吸着剤を得るために、(低分子量化された)糖質を主体とした成分を焼成処理することで、吸着性能に関与する細孔の形成を良好に行うことが可能となり、吸着性能に優れた吸着剤を実現することができる。すなわち、低分子量化された糖質を主体とした成分を焼成処理することで、とりわけ1.0nm以下のミクロポア(マイクロ孔)の比率を合成ゼオライト系の吸着剤のレベルまで高め、特に混合ガスに対する吸着選択性の高い吸着剤を実現することが可能となる。
吸着剤の原料である草木質としては、草質材を用いることが好ましく、具体的には、ケナフを用いるのが好ましい。ケナフのような草質材は、栽培によって生産できるため、針葉樹や広葉樹等の木質材に比して、森林資源の保護、地球環境の改善等に貢献する。従って、原料として草質材、特に栽培が容易で生長の早いケナフを用いることにより、地球環境に優しい吸着剤とすることができる。
また、本解決方法では、細孔半径0.4nm付近に極大を有する孔径分布を備える吸着剤を提供することができる。これらは、比較的小さい炭化水素分子を選択的に吸着できることを確認している。
例えば、メタンを選択的に吸着する吸着剤とすることができる。吸着剤は、従来の吸着剤に比して吸着量を飛躍的に増大させることが可能であり、メタンの吸着剤として有効と考えられる。このような吸着剤の形態としては、例えば、細孔半径0.35nm付近に極大を有する孔径分布を備えるものを提供することができる。また、ブタンを選択的に吸着する吸着剤とすることもできる。このような吸着剤の形態としては、例えば、細孔半径0.45nm付近に極大を有する孔径分布を備えるものを提供することができる。
前記目的を解決するための別の解決方法は、草木質を原料とし、リグニン質除去工程、糖質抽出工程、焼成工程を備える製造方法である。
リグニン質除去工程では、本来、草木質に含有される糖質以外の成分であるリグニン質を除去する。ここでいう「糖質」とは、糖に関する成分であって、セルロース等の多糖類、単糖類、その他各種の糖類を広く含むものであり、また、ここでいう「リグニン質」とは、リグニンに関する各種成分を広く含むものである。このリグニン質除去工程によって、糖質以外の主要成分が除去され、リグニンが除去された糖質相を得ることができる。リグニン質は、熱可塑性を有するゆえ後述する焼成処理において糖炭化物に付着し、吸着性能に関与する細孔の形成の阻害要因となる。従って、このリグニン質を除去することによって吸着剤の吸着性能を高めることができる。このリグニン質除去工程の具体的な形態としては、例えば、草木質に硫酸を添加し酸溶解によりリグニン質を分離・除去する形態、草木質に対し硝酸処理およびアルカリ処理を組み合わせた処理(いわゆる硝酸法を用いたもの)を施す形態、草木質に対しヒドロトロピ塩溶液を用いた処理(いわゆるヒドロトロピ法を用いたもの)を施す形態等がある。
糖質抽出工程では、リグニン質除去工程で得られた糖質相から糖質を抽出する。この糖質相には、リグニン質が除去されたあとの糖質、また前工程で使用された溶媒等が含有されており、本工程ではこの糖質相を糖質と糖質以外の成分とに分離することで糖質の精製を行う。この糖質抽出工程の具体的な形態としては、例えば、糖質相を硫酸存在下で加熱処理し、硫酸の脱水作用によって糖質を脱水して析出させる形態がある。
焼成工程では、精製された糖質を、例えば750℃前後の高温で焼成処理することで糖炭化物を形成させる。これにより、糖炭化物を主体とした吸着剤を得ることができる。すなわち、この焼成処理によって糖炭化物の表面に細孔が形成され、この細孔が吸着機能を有する。本方法のように、予め糖質以外の成分を除去したうえで焼成処理を行うことによって、吸着性能の高い細孔を形成させることができる。この吸着剤は、とりわけ1.0nm以下のミクロポア(マイクロ孔)の比率が合成ゼオライト系の吸着剤におけるミクロポア(マイクロ孔)の比率とほぼ同レベルであり、特に混合ガスに対する吸着選択性が高い。
また、草木質を原料とすることで、例えばゼオライト系のような吸着剤に比して製造コストを低く抑えることが可能となる。また、リグニン質は工業的・商業的に利用価値が高く、リグニン質を抽出する過程で生成するその他の糖質相(副産物)は廃棄物とされる場合が多いが、この副産物である糖質相を原料として吸着剤を製造することで、吸着剤の原料コストの低減、糖質相の廃棄コストの削減となり、とりわけコスト面でのメリットが高い。以上のように本解決方法によれば、草木質を原料としたうえで吸着性能に優れた吸着剤を製造することが可能となる。
さらに、別の解決方法によれば、糖質抽出工程の後もしくは焼成工程の後に、賦活処理工程を有するのが好ましい。ここでいう賦活処理とは、例えば、糖質又は炭化物とアルカリ試薬の混合物を300から500℃で脱水した後、600〜800℃で焼成して焼成体とし、さらに、十分水洗いして焼成体中からアルカリ試薬を除去することにより行うものである。この賦活処理工程によって、本解決方法による吸着剤は、とりわけミクロポア(マイクロ孔)の比率が著しく高くなるため、特に混合ガスに対する吸着選択性を高くすることができる。
また、他の解決方法によれば、前記糖質抽出工程では、まず糖質相を硫酸存在下で酸加熱して糖質を析出させるステップを行う。例えば、約90℃で2時間の処理を行う。この処理では、糖質相中の糖質が硫酸の脱水作用によって析出する。次に、析出した糖質を糖質相から分離するステップを行う。例えば、フィルターを用いた濾過処理によって濾過し残さとして回収する。なお、濾過処理に際しては糖質に付着した硫酸溶液を水によって洗浄するのが好ましい。これにより、ほぼ糖質で構成された成分を得ることができる。従って、簡便な処理によって糖質相から糖質を抽出することができる。
また、別の解決方法によれば、前記リグニン質除去工程は、少なくともまず草木質をリグニン質相と糖質相とに分離するステップを有する。このステップでは、予め粉砕処理した草木質に、例えば濃度70%の硫酸を添加しこの草木質を硫酸に溶解させる。草木質に対する硫酸の添加比率は、草木質中に含有されるリグニン質の量に応じて定められるのが好ましい。これにより、酸溶解処理による加水分解作用によって、互いに分離されたリグニン質相と低分子化された糖質相が形成される。このとき、リグニン質相はリグニン質を含む固相となり、糖質相は硫酸溶液に糖質が混合された液相となる。従って、次に固液分離を行うことによって、糖質からリグニン質を容易に除去することができる。この固液分離操作は、各種の遠心分離機やフィルターを用いて行うことができる。従って、簡便な処理によって原料である草木質からリグニン質を除去することができる。
このリグニン質除去工程で得られる低分子化された糖質相を、既に述べた糖質抽出工程、焼成工程で順次処理することによって、低分子化された糖質が炭化された糖炭化物を主体とした吸着剤を得ることができる。
また、別の解決方法によれば、ケナフを原料として用いることで、地球環境に優しい吸着剤を製造することができる。
さらに、特に、賦活処理工程を備える製造方法では、従来の吸着剤に比してメタンの吸着量またはブタンの吸着量を飛躍的に増大させることが可能であり、メタンまたはブタンの吸着剤として有効と考えられる。
メタンの吸着量を増大させる賦活処理工程の一形態としては、前記糖質乾燥物又は糖炭化物に対して同重量の水酸化カリウムを添加する方法を挙げることができる。また、ブタンの吸着量を増大させる賦活処理工程の一形態としては、前記賦活処理工程では、糖質乾燥物に、前記塩基性水酸化物として水酸化カリウムを糖質乾燥物に対して3倍以上7倍以下の重量だけ添加し、又は、糖炭化物に、前記塩基性水酸化物として水酸化カリウムを糖炭化物に対して7倍以上12倍以下の重量だけ添加する方法を挙げることができる。
本発明の目的、特徴及び利点は、以下に記載されている実施例の記載あるいはクレームを図面を参照しながら読むことによってよって、より良く理解することができる。
[発明を実施するための最良の形態]
図1は、本実施の形態の吸着剤A〜C,F,Gの製造工程の概要を示す図である。本実施の形態では、草木質の一種であるケナフを原料として吸着剤A〜C,F,Gを製造する場合について説明する。
本実施の形態では、図1に示すような処理工程を順次実施することによって吸着剤A〜C,F,Gを製造する。
この工程は、粉砕処理10、酸溶解処理20、遠心分離処理30、酸加熱処理40、水希釈・濾過処理50、洗浄・乾燥処理60、焼成処理70、賦活処理80からなる。以下、これら各処理の詳細な処理について図1を参照しながら説明する。
〔粉砕処理〕
粉砕処理10では、ケナフの芯部である、いわゆるケナフコアを粉砕する処理を行う。各種の粉砕機を用いることで粒径が約1mm以下のケナフコア粉砕品を得る。なお、本実施の形態の吸着剤Aの原料となるケナフには、糖質(セルロース等の多糖類)、リグニン質等が含有されている。
〔酸溶解処理〕
酸溶解処理20では、粉砕処理10で得られたケナフコア粉砕品に濃度約70%の硫酸を添加する。そして、室温下で約1時間かけてケナフコア粉砕品を硫酸に溶解させる。硫酸の添加率は、ケナフコア中に含有されるリグニン質の量に応じて定められるのが好ましい。本実施の形態では、ケナフコアからリグニン質を溶解させるのに十分な過剰の硫酸を添加している。これにより、ケナフコアに含まれるリグニン質は硫酸分と反応し、混合溶液中に、液相である糖質相(糖/硫酸溶液)と、固相であるリグニン質相(硫酸リグニン)を形成する。また、この酸溶解処理20において、多糖類であるセルロース等の糖質の一部は加水分解によって低分子化される。すなわち、ヘミセルロース、二糖類、単糖類など種々のより分子量の低い糖類となる。
なお、酸溶解処理20では、硫酸に限定されず、塩酸など種々の濃酸を利用することができる。好ましくは、後述する糖質抽出工程に相当する酸加熱処理40で使用する酸と同一種類とすると、処理に要する薬品の数を低減でき、酸の回収、再使用が容易となる。
〔遠心分離処理〕
遠心分離処理30では、酸溶解処理20で得られた混合溶液を、各種の遠心分離機を用いることによって糖質相(糖/硫酸溶液)とリグニン質相(硫酸リグニン)とに遠心分離する。例えば、分離加速度1300Gの条件で約10分間遠心分離処理を行う。これにより、ケナフ(原料)中に含まれるリグニン質を除去することが可能となる。なお、除去されたリグニン質は、用途に応じて工業的・商業的に広く利用される。
本実施の形態の酸溶解処理20および遠心分離処理30は、リグニン質除去工程を構成している。すなわち、酸溶解処理20が本解決方法における「草木質をリグニン質相と糖質相とに分離するステップ」に対応しており、遠心分離処理30が本発明における「リグニン質相を糖質相と固液分離するステップ」に対応している。
なお、このようなリグニン質除去工程では、得られる糖質は酸による加水分解により低分子量化されているが、セルロースを分解することなくリグニン質を除去する異なるリグニン質除去工程を用いても良い。
〔酸加熱処理〕
酸加熱処理40では、遠心分離処理30で得られた糖質相(糖/硫酸溶液)を、例えば90℃で約2時間、あるいは180℃で1時間加熱する。すなわち、この糖質相は、脱水作用を有する硫酸存在下で加熱されることとなる。これにより、糖質相中の糖質が脱水され溶液中に析出する。なお、この酸加熱処理40の過程において、糖質はその一部が炭化した状態になり、また糖質分子同士が一部凝集した状態(後述する濾過処理において濾過されやすい形態)を形成する。すなわち、糖質の一部は、脱水反応によってヒドロキシル基等を失い、親水性が低下して析出する。このとき、糖質分子(脱水等によって構造変化した糖質変成物)は粒子状に析出する。特に、反応系が均一な状態となるように酸加熱処理することで、より均一な粒子径を有する粒子として糖質を析出させることができる。
〔水希釈・濾過処理〕
水希釈・濾過処理50では、酸加熱処理40で得られた糖質相を例えば3倍の水による希釈によって分散させた後、この希釈水を例えばガラスフィルターによって残さ(糖質)と濾液分(硫酸溶液)とに分離する。なお、この水希釈・濾過処理工程50は糖質の洗浄を主な目的としており、したがって水希釈操作および濾過操作は濾液のpHがおよそ7(中性)となるまで繰返し行う。この濾過処理によって得られた残さ(糖質)は、糖質以外の成分が殆ど除去されており、糖炭化物を主体に構成される吸着剤を得るのに有効である。
このように、本実施の形態の酸加熱処理40および水希釈・濾過処理50は、糖質抽出工程を構成している。すなわち、酸加熱処理40が本解決方法における「糖質相中の糖質を析出させるステップ」に対応しており、水希釈・濾過処理50が本解決方法における「析出した糖質をそれ以外の成分と固液分離するステップ」に対応している。
なお、「糖質相中の糖質を析出させるステップ」は、水希釈・濾過処理50に限定されず、酸を除去できる種々の処理を適用することができる。例えば、加熱によって硫酸をガス化して除去するとともに部分的に、または全体的に糖質を炭化するガス化処理でも良い。あるいは、アルカリ性の化合物による中和処理の後、濾過処理等しても良い。
〔水洗浄・乾燥処理〕
水洗浄・乾燥処理60では、水希釈・濾過処理50で得られた糖質(残さ)を再度水洗浄し、その後、例えば105℃で48時間乾燥させる。これにより糖質の乾燥物が得られる。なお、水希釈・濾過処理50で得られた糖質(残さ)を水洗浄後、凍結乾燥することで糖質の乾燥物を得ることもできる。なお、糖質の乾燥物は、本実施形態の糖質抽出工程に限定されず、公知の、あるいは周知の技術に基づく種々の方法によって得ることができる。好ましくは、本実施形態のように粒子状の乾燥物として得、特に、均一な粒子として得られる方法が好ましい。この糖質抽出工程で得られる糖質の乾燥物(本明細書において「糖質乾燥物」又は単に「乾燥物」ともいう)は、上述の酸加熱処理40によって脱水され、変成した糖質変成物である。
〔焼成処理〕
焼成処理70では、水洗浄・乾燥処理60で得られた乾燥物を、窒素雰囲気下、約750℃で焼成処理する。これにより、完全に炭化した状態の糖炭化物(本実施の形態の吸着剤A)を調整することができる。この糖炭化物は、酸溶解処理20で低分子化された糖質がこの焼成処理70で炭化されることによって得られるものである。この焼成処理過程において、糖質の表面に、吸着性能に関与する多数の細孔が形成される。これにより、糖炭化物を主体とする構成の吸着剤Aが得られる。焼成処理では、特に、糖質の乾燥物が粒子状であると良好に細孔が形成され、粒子が均一であるとより均一な細孔が形成され易い。
〔賦活処理〕
賦活処理80では、水洗浄・乾燥処理60で得られた乾燥物もしくは、焼成処理70で得られた糖炭化物を、例えば、得られた乾燥物又は糖炭化物と同量以上の水酸化カリウムを混合して混合物とする。そして、混合物に対して0〜6倍の水で希釈し、混合水溶液とする。この混合水溶液を2時間攪拌させた後、105℃に調整された乾燥機内に放置し、水分を除去させ、乾燥体とする。
なお、水酸化カリウムに代えて、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムなど塩基性水酸化物を用いることもできる。
ここで、添加する脱水剤、すなわち塩基性水酸化物は、より多いほど細孔の形成が著しくなる。添加する塩基性水酸化物の量が少ないと、より小さい細孔が形成され、一方、塩基性水酸化物の量が多いと、より大きな細孔、すなわち径が拡張された細孔が形成される。具体的には、例えば、糖質乾燥物又は糖炭化物に対して0を超え2倍以下の重量の水酸化カリウム、好ましくは同量、すなわち糖質乾燥物または糖炭化物に対して1:1の重量比で水酸化カリウムを添加すると、細孔半径0.35nm付近の細孔を数多く形成できる。このような糖炭化物は、常圧において、メタンを選択的に吸着できる。
また、糖質乾燥物に対して重量比1:3〜7、好ましくは重量比1:5、糖炭化物に対して重量比1:7〜12、好ましくは重量比1:10となるように、水酸化カリウムを添加すると、細孔半径0.45nm付近の細孔を数多く形成できる。なお、糖炭化物は一般に糖質乾燥物の重量に対して約50%の収率で得られるため、糖質乾燥物の重量に換算して重量比1:4〜6の範囲の水酸化カリウムを糖質乾燥物又は糖炭化物のどちらかに添加して賦活処理することでこのような0.45nm付近の細孔を多く有する活性炭が得られる。このような糖炭化物は、常圧においてブタンを選択的に吸着できる。また、より高圧において、例えば、150気圧などにおいては、メタン等より小さい気体分子を良好に吸着できることが期待される。
このように、糖質乾燥物又は糖炭化物に対する脱水剤の量を調節することで、細孔の大きさを制御することができる。したがって、例えば、糖質炭化物に対して重量比にして1:2〜3の範囲の水酸化カリウムを添加することにより、エタン又はプロパンを選択的に吸着できる活性炭を得ることができると期待できる。また、水酸化カリウムの量の制御により、イソプロパン、イソブタン、t−ブタンなど種々のサイズの分子を選択的に吸着できる活性炭が得られることが期待できる。また、このようなアルカンや炭化水素に限らず、水素や水蒸気等の気体についても、選択的に吸着させることができる可能性も有している。
次に、得られた乾燥体を窒素雰囲気中において750℃で5時間加熱処理を行い、炭化物とする。さらに、炭化物に5mol/l塩酸溶液を混合した後、48時間かけて攪拌洗浄することによって、アルカリ分を炭化物中から除去する。その後、例えばガラスフィルターを用いて炭化物と濾液分(塩酸溶液)とに分離する。最後に、炭化物を前述した水洗浄・乾燥処理と同じ方法により、乾燥物とする。
なお、焼成処理70を経ずに賦活処理80をした糖質乾燥物においては、かかる加熱処理は、焼成処理を兼ねているとみなすことができる。
なお、賦活処理は、アルカリ賦活の他、塩化亜鉛賦活、リン酸賦活等の薬品賦活法やガス賦活法など、公知の方法を用い得るものであるが、アルカリ賦活であると、表面積が飛躍的に向上し、より大きな吸着量が得られるため、好ましい。
ここで得られた乾燥物は、賦活処理前の乾燥物もしくは糖炭化物がいわゆる活性炭と化したものであり、活性炭の表面には、吸着性能に関与する多数の細孔が形成されている。乾燥物を賦活処理したものは、スポンジ様の軽い活性炭となり、比重が小さい。一方、糖炭化物を賦活処理したものは、乾燥物を賦活処理したものに比べ、比重が大きい。なお、水洗浄・乾燥処理60で得られた乾燥物に同量の水酸化カリウムを添加して賦活処理したものを、以下吸着剤B(糖活性炭)と記し、焼成処理70で得られた糖炭化物に同量の水酸化カリウムを添加して賦活処理したものを、以下吸着剤C(糖炭化物活性炭)と記す。また、水洗浄・乾燥処理60で得られた乾燥物に5倍量の水酸化カリウムを添加して賦活処理したものを、以下吸着剤Fと記し、焼成処理70で得られた糖炭化物に10倍量の水酸化カリウム(糖質乾燥物からの収率を50%として換算すると糖質乾燥物に対して5倍量の水酸化カリウム)を添加して賦活処理したものを、以下吸着剤Gと記す。
[実施例]
上記の各処理を順次実施することで得られた吸着剤A〜C,F,Gにつき、その吸着性能に関する指標の評価を行った。この評価に際しては、ミクロポア(マイクロ孔)の細孔分布、ミクロポアの総体積、吸着剤の比表面積など、吸着性能に関する指標の測定と、メタンまたはブタンを対象として実際の吸着量の測定を実施した。以下、その測定結果の一例を説明する。なお、図2及び図3は、吸着剤A〜Cに関し細孔径(ミクロポア半径)と細孔容積との関係を示すグラフであり、図4は吸着剤A〜Cに関し吸着平衡圧とメタン吸着量を示すグラフであり、図5は吸着剤F〜Hに関し吸着平衡圧とブタン吸着量を示すグラフおよび表である。
また、本解決方法に関する吸着剤A〜C,F,Gの製造条件を以下にまとめておく。
吸着剤A:▲1▼粒径約1mm以下に粉砕したケナフ芯材を70%硫酸に室温下で約1時間かけて溶解させ、反応混合物を1300Gで10分間遠心分離し固形分を除去した。
▲2▼▲1▼で得られる液相を90℃で2時間加熱し、水で3倍に希釈した反応混合物をガラスフィルターで濾過し、固形分を水で洗浄、乾燥させた。
▲3▼▲2▼で乾燥させた固形分をN雰囲気下で約750℃で1時間焼成し、吸着剤Aを得た。
吸着剤B:▲1▼〜▲2▼の操作で得られる糖質乾燥物に同重量の水酸化カリウムを加えて、これを6倍の水で希釈して混合、溶解させた後、105℃で乾燥させた。
▲4▼得られた固形分をN雰囲気下で750℃で約5時間焼成し、5mol/l塩酸100mlを加えて48時間攪拌し、濾取するとともに水で洗浄し、吸着剤Bを得た。
吸着剤C:▲1▼〜▲3▼の操作で得られる糖炭化物に同重量の水酸化カリウムを加えて、これを水で6倍に希釈して混合、溶解させた後、105℃で乾燥させた。
その後、▲4▼の操作により、吸着剤Cを得た。
吸着剤F:▲6▼▲1▼によって得られる液相を180℃で1時間加熱し、水で3倍に希釈した反応混合物をガラスフィルターで濾過し、固形分を水で洗浄、乾燥させた。
▲6▼で得られた固形分(糖質乾燥物)5gに対して水酸化カリウム25gと水50mlを加えて常温で2時間攪拌後、105℃で乾燥させた。
その後、▲4▼の操作により、吸着剤Fを得た。
吸着剤G:▲6▼までの操作によって得られる固形分を750℃で1時間焼成し、糖炭化物を得た。
この糖炭化物5gに対して水酸化カリウム50gと水100mlを加えて常温で2時間攪拌後、105℃で乾燥させた。
その後、▲4▼において5mol/l塩酸200ml用いた他は同様の操作により、吸着剤Gを得た。
〔ミクロポアの細孔分布〕
ミクロポアの細孔分布は吸着剤の吸着性能をよく示すものであり、図2に示すように、ミクロポア(マイクロ孔)の半径R[nm]とその細孔容積ΔV/ΔR[mmnm−1−1]との関係を用いて示すことができる。
図2及び図3において、吸着剤DおよびEは、本実施の形態の吸着剤A〜Cの比較例として挙げたものである。ここで、吸着剤Dはゼオライト(東ソー(株)製ゼオラムA−5)に関するものであり、吸着剤Eはケナフコアをリグニン質を除去せずに焼成処理(処理温度:1000℃)することで得られたもの(ケナフコア炭化物)である。図2では、吸着剤Aに関するデータを○プロットで示し、吸着剤Dに関するデータを△プロットで示し、吸着剤Eに関するデータを□プロットで示している。また、図3では、吸着剤Bに関するデータを◇プロットで示し、吸着剤Cに関するデータを●プロットで示し、吸着剤Dに関するデータを△プロットで示している。なお、これら吸着剤A〜Eに関する各データは、定容量式ガス吸着法で測定した測定データをいわゆるMP法を用いて解析することによって得られたものである。
図2及び図3に示すように、吸着剤A、B及びCのミクロポア(マイクロ孔)の細孔容積は、0.3〜0.4nmの間に極大値を有する。このことから、0.4nm付近のそれ以下の分子径のガスを選択的に吸着することが可能であることが判る。例えば、メタンガスや、その分子径前後の分子径を有するガスを選択的に吸着するのに特に有効である。吸着剤Aを吸着剤Dと比較すると、吸着剤Aのミクロポアの細孔分布は、吸着剤Dとほぼ同様であり、同程度の吸着性能を有することが判る。また、吸着剤Aを吸着剤Eと比較すると、リグニン質を除去したうえで糖質を焼成処理することで、リグニン質を除去せずに焼成処理を行う場合に比して、細孔容積が大きいことが判る。さらに、吸着剤B及びCを吸着剤Aと比較すると、焼成処理の前又は後に糖質を賦活処理することで、細孔容積が著しく大きくなることが判る。
〔ミクロポアの総体積〕
吸着剤A〜Eに関するミクロポアの総体積V[mm−1]をt−plot法によって測定した。その測定の結果、例えば、吸着剤Aでは190[mm−1]、吸着剤Bでは590[mm−1]、吸着剤Cでは382[mm−1]、吸着剤Dでは196[mm−1]、吸着剤Eでは60[mm−1]という値が得られた。このことから、吸着剤Aは、吸着剤Eに比してミクロポアの総体積が大きく、吸着剤Dと同程度のミクロポアの総体積を有することが判る。また、吸着剤B及びCが他の吸着剤に比して総体積が著しく大きいことが判る。
〔比表面積〕
吸着剤A〜Eに関する吸着剤の比表面積SBET[m−1]をBETプロット法によって測定した。その測定の結果、例えば、吸着剤Aでは534[m−1]、吸着剤Bでは[1468m−1]、吸着剤Cでは1028[m−1]、吸着剤Dでは529[m−1]、吸着剤Eでは142[m−1]という値が得られた。このことから、吸着剤Aは、吸着剤Eに比して比表面積が大きく、吸着剤Dと同程度の比表面積を有することが判る。
〔メタン吸着量〕
前記のミクロポア(マイクロ孔)の細孔分布、ミクロポアの総体積、吸着剤の比表面積における効果を確認するため、吸着剤A〜Dについて、メタンの吸着量を測定した。測定は、高精度全自動ガス吸着装置(日本ベル(株)製)を用いて行い、前処理として吸着剤A〜Dのサンプルを真空引き状態で250℃で3時間加熱処理した後、空着温度298K、平衡時間500秒として、種々の吸着平衡圧におけるメタン吸着量を測定した。なお、メタン吸着量は、公知の容量法により、気体の状態方程式を利用して算出したものである。(最後の一文が不自然な場合は、削除の指示をお願いします。)その結果を図4に示す。図4では、横軸が吸着平衡圧、縦軸がメタン吸着量を示している。
図4中の記号も、前述した図2及び図3と同じく吸着剤Aに関するデータを○プロットで示し、吸着剤Bに関するデータを◇プロットで示し、吸着剤Cに関するデータを●プロットで示し、吸着剤Dに関するデータを△プロットで示している。
図4に示すように、吸着剤A,B及びCは、どの吸着平衡圧においても、比較例である吸着剤Dの2倍から4倍程度の吸着量を示しており、高いことが判る。したがって、本解決方法により得られた吸着剤は、一般に使用される吸着剤である合成ゼオライトよりもメタンの吸着量が大きいことが判る。また、吸着剤Aに比して吸着剤B及びCの方がメタンの吸着量が大きいことより、水洗浄・乾燥処理の後もしくは焼成処理の後に賦活処理を行ったものは、賦活処理を行わないものに比べてメタンの吸着性が高いことが判る。
ここで、賦活処理を施した吸着剤B及びCを比較すると、焼成処理70を経ずに賦活処理80をした吸着剤Bでは、焼成処理70をした後賦活処理80をした吸着剤Cに比して、平衡吸着圧に対するメタン吸着量が多い。したがって、吸着剤Bは、吸着剤Cに比して単位重量あたりのメタン吸着効率が高い。
〔ブタンの吸着量〕
吸着剤F,Gについて、ブタンを用いる他はメタンの吸着量の測定と同様の方法によってブタンの吸着量を測定した。また、比較例として石炭を賦活処理した活性炭(自動車のキャニスターに使用される活性炭)を吸着剤Hとして同様の方法によりブタンの吸着量を測定した。その結果を表および図5に示す。図5中の記号は、吸着剤Fに関するデータを▲プロットで示し、吸着剤Gに関するデータを×プロットで示し、吸着剤Hに関するデータを*プロットで示している。
Figure 2003068386
図5に示すように、吸着剤F,Gは、いずれの吸着平衡圧においても、吸着剤Hの2倍から2.5倍程度の吸着量を示しており、高いことが判る。したがって、本解決方法により得られた吸着剤は、一般に使用される吸着剤よりもブタンの吸着量が大きいことが判る。また、吸着剤BとCにおけるメタンの吸着の場合と同様、吸着剤Gに比して吸着剤Fの方が、単位重量あたりのブタンの吸着量が大きいことより、焼成処理の前に賦活処理を行うことにより、重量あたりの吸着性をより向上させることができる。また、吸着剤Fと吸着剤Gとでは、吸着剤Fの方が比重が小さく嵩高いため、単位体積あたりのブタン吸着量は、焼成処理後に賦活処理した吸着剤Gの方が高かった。
以上のように、本実施の形態によれば、草木質であるケナフを原料としたうえで吸着性能に優れた吸着剤A〜C,F,Gを製造することが可能となる。吸着剤Aは、図1に示すように、吸着剤Dと同様の細孔分布を有し、ミクロポアの総体積Vおよび比表面積SBETが吸着剤Dと同程度である。従って、吸着剤Aは、吸着剤Dと同様の吸着性能を有し、混合ガスに対する吸着選択性が高い。
また、吸着剤B及びCにおいては、とりわけ1.0nm以下のミクロポア(マイクロ孔)の比率、ミクロポアの総体積Vおよび比表面積SBETが、吸着剤Dよりも高いレベルである。加えて、メタンの吸着性に関しても、吸着剤Dよりも高いレベルである。したがって、吸着剤B及びCは、吸着剤Dに比して、特に混合ガスに対する吸着選択性が高い。また、吸着量も高い。
さらに、吸着剤F及びGは、ブタンの吸着性に関して、従来の吸着剤Hよりも優れている。すなわち、本解決方法の糖質抽出工程、すなわち酸加熱処理で析出させることでより均一な粒子状の糖質乾燥物が得られ、賦活処理や焼成処理を経て、より均一な孔径の細孔を多数有する炭化物が得られる。特に、より大量の水酸化カリウムを用いた、より厳しい条件での賦活処理によって、賦活処理に係る加熱処理で細孔が広がり、1.0nm以下のミクロポアの比率が増大しており、かつ吸着剤B,Cより大きなミクロポアを有する活性炭が得られる。これは、吸着剤B,Cと吸着剤F,Gとが被吸着物質として選択する分子の大きさから推測できる。
また、本実施の形態によれば、リグニン質を抽出する過程で生成する副産物である糖質相を原料として吸着剤Aを製造することで、吸着剤Aの原料コストの低減、糖質相の廃棄コストの削減に有効である。
なお、本解決方法は、上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の応用や変形が考えられる。
以上説明したように、本発明によれば、草木質を原料としたうえで吸着性能に優れた吸着剤およびその吸着剤の製造技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本実施の形態の吸着剤A〜Cの製造工程の概要を示す図である。
図2は、吸着剤A,D,Eに関しミクロポア半径と細孔容積との関係を示すグラフである。
図3は、吸着剤B,C,Dに関しミクロポア半径と細孔容積との関係を示すグラフである。
図4は、吸着剤A〜Dに関し吸着平衡圧とメタン吸着量との関係を示すグラフである。
図5は、吸着剤F,G,Hに関し吸着平衡圧とブタン吸着量との関係を示すグラフである。

Claims (14)

  1. 草木質を原料とする吸着剤であって、
    糖質が炭化された糖炭化物を主体に構成されていることを特徴とする吸着剤。
  2. 草木質を原料とする吸着剤であって、
    低分子量化された糖質が炭化された糖炭化物を主体に構成されていることを特徴とする吸着剤。
  3. 請求項1又は2に記載の吸着剤であって、
    前記草木質としてケナフが用いられていることを特徴とする吸着剤。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載した吸着剤であって、細孔半径0.4nm付近に極大を有する孔径分布を備えることを特徴とする吸着剤。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載した吸着剤であって、前記吸着剤はメタンを選択的に吸着することを特徴とする吸着剤。
  6. 請求項1から3のいずれかに記載した吸着剤であって、前記吸着剤はブタンを選択的に吸着することを特徴とする吸着剤。
  7. 草木質を原料とする吸着剤の製造方法であって、
    前記草木質からリグニン質を除去するリグニン質除去工程と、
    前記リグニン質除去工程で得られた糖質相から糖質を抽出する糖質抽出工程と、
    前記糖質抽出工程で得られた糖質を焼成処理することで糖炭化物を主体とした吸着剤を得る焼成工程と、
    を有することを特徴とする製造方法。
  8. 請求項7に記載した製造方法であって、
    前記糖質抽出工程を経た糖質乾燥物又は前記焼成工程を経た糖炭化物を賦活処理する賦活処理工程を有することを特徴とする製造方法。
  9. 請求項8に記載した製造方法であって、
    前記賦活処理工程は、前記糖質乾燥物又は糖炭化物に塩基性水酸化物を添加するステップと、
    前記塩基性水酸化物が添加された糖質乾燥物又は糖炭化物を焼成処理するステップと
    を有することを特徴とする製造方法。
  10. 請求項7から9のいずれかに記載した製造方法であって、
    前記糖質抽出工程は、前記糖質相を硫酸存在下で酸加熱することでこの糖質相中の糖質を析出させるステップと、
    この析出した糖質をそれ以外の成分と固液分離するステップと、
    を有することを特徴とする製造方法。
  11. 請求項7から10のいずれかに記載した製造方法であって、
    前記リグニン質除去工程は、前記草木質に硫酸を添加し酸溶解によりこの草木質をリグニン質を含むリグニン質相と、糖質を含む糖質相とに分離するステップと、
    前記リグニン質相を前記糖質相と固液分離するステップと
    を有することを特徴とする製造方法。
  12. 請求項7から11のいずれかに記載した製造方法であって、
    前記草木質としてケナフを用いることを特徴とする製造方法。
  13. 請求項8に記載した製造方法であって、
    前記賦活処理工程では、前記塩基性水酸化物として水酸化カリウムを前記糖質乾燥物又は糖炭化物に対して2倍量以下の重量だけ添加し、メタンを選択的に吸着する吸着剤を得ることを特徴とする吸着剤の製造方法。
  14. 請求項8に記載した製造方法であって、
    前記賦活処理工程では、糖質乾燥物に、前記塩基性水酸化物として水酸化カリウムを糖質乾燥物に対して3倍以上7倍以下の重量だけ添加し、又は、糖炭化物に、前記塩基性水酸化物として水酸化カリウムを糖炭化物に対して7倍以上12倍以下の重量だけ添加し、ブタンを選択的に吸着する吸着剤を得ることを特徴とする吸着剤の製造方法。
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