JP2005285488A - スパークプラグおよびその製造方法 - Google Patents

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弘哲 那須
Makoto Sugita
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Abstract

【課題】 火花放電が行われる接地電極に形成される金属層の密着性を維持することができる内燃機関用のスパークプラグおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 スパークプラグの主体金具5に、接地電極60を接合する。そしてこの主体金具5に対してバレルめっきを施す。このとき、まず、主体金具5および接地電極60の表面上に、ストライクめっきを施す。そして、形成されたストライク層上に、亜鉛金属層を形成する。ストライク層を0.2μm以上、0.7μm以下に形成することで、亜鉛金属層と接地電極60との間でバインダとしての効果を発揮することができる。その後、接地電極60に対する曲げ加工を行うが、ストライク層が変形して内部応力を吸収するので、亜鉛金属層に膨れ(浮き)や剥離、脱落が発生しない。
【選択図】 図2

Description

本発明は、火花放電が行われる接地電極に金属層を形成した内燃機関用のスパークプラグおよびその製造方法に関するものである。
従来、内燃機関には点火のためのスパークプラグが用いられている。このスパークプラグは、中心電極と、中心電極を軸孔の先端側で保持する絶縁碍子と、絶縁碍子を保持する主体金具と、中心電極と火花放電ギャップを形成する接地電極を備えている。そして、中心電極と接地電極との間で火花放電が行われ、両電極間に曝された混合気に点火する。
ところで、このようなスパークプラグでは、主体金具の耐食性を高めるため、主体金具の表面上には亜鉛による金属層の形成が行われている。スパークプラグの生産性やコスト面などを考慮し、その製造工程では、主体金具への接地電極の接合を行い、主体金具に接地電極が接合された状態(以下、この状態の主体金具を「金具組立体」という。)でバレルめっき処理を施し、接地電極ごと主体金具に金属層を形成している。
ところで接地電極は、高温、高圧となる内燃機関の燃焼室内に晒されるため、その材料に、少なくともクロムおよびアルミニウムの少なくともいずれか一方を含有するニッケル合金が使用される。こうしたニッケル合金は酸化被膜を形成して表面を保護するので耐消耗性に優れた効果を発揮する反面、その酸化被膜の形成によって金属層の密着性が低下する。このため、金属層形成後に行われる火花放電ギャップを形成するための接地電極を曲げる加工を行った際や、内燃機関への組み付け後火花放電を行った際などに、金属層に浮き(膨れ)や剥離、脱落が生ずる可能性がある。そして、剥離し脱落した金属層によって中心電極と接地電極との間でブリッジが形成されると、失火の原因となってしまうおそれが生ずる。
これを防止するには、接地電極にマスキング処理を施して、接地電極に金属層が形成されないようにしてから主体金具への金属層の形成を行う方法が考えられる。しかし、マスキング処理を施す工程や、金属層形成後にマスクを取り除く工程が必要となるため、生産性やコスト面を鑑みると実用的ではない。そこで従来では、マスキング処理を行わずに金具組立体に例えばめっき処理を施した後、接地電極に形成された金属層を研削して剥がすことで工程数を減らして生産性を高めるとともに、ブリッジ等の問題が発生しないようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−123937号公報
しかしながら、接地電極に形成された金属層を剥がす必要性が生じたことで、スパークプラグの生産性の低下や、生産コストの上昇を招いてしまうという問題が生じた。また、金属層を研削する際に接地電極も一緒に削ってしまうことがあるため、接地電極の強度の低下を招くというおそれがあり、特に接地電極の曲げ加工の際に接地電極の切削痕を起点にした疲労破壊が生ずるおそれがあった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、火花放電が行われる接地電極に形成される金属層の密着性を維持することができる内燃機関用のスパークプラグおよびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明のスパークプラグは、中心電極と、軸線方向に貫通する軸孔を有し、その軸孔の先端側で前記中心電極を保持する絶縁碍子と、前記絶縁碍子の径方向周囲を取り囲み、前記絶縁碍子を保持する主体金具と、クロムを5重量%以上およびアルミニウムを0.8重量%以上の少なくともいずれか一方を含有するニッケル合金からなり、一端が前記主体金具に接合され、他端が前記中心電極の先端部に対向する接地電極とを備えたスパークプラグであって、少なくとも前記接地電極の表面上には、ニッケルまたは銅を主成分とし、厚みが0.2μm以上、0.7μm以下であるストライク層と、前記ストライク層の表面上に、亜鉛を主成分とする亜鉛金属層とが形成されてなることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明のスパークプラグは、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記亜鉛金属層の表面上に、含有されるクロム成分のうち95重量%以上が三価クロムであるクロメート被膜層が形成されてなることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明のスパークプラグの製造方法は、中心電極と、軸線方向に貫通する軸孔を有し、その軸孔の先端側で前記中心電極を保持する絶縁碍子と、前記絶縁碍子の径方向周囲を取り囲み、前記絶縁碍子を保持する主体金具と、クロムを5重量%以上およびアルミニウムを0.8重量%以上の少なくともいずれか一方を含有するニッケル合金からなり、一端が前記主体金具に接合され、他端が前記中心電極の先端部に対向する接地電極とを備えたスパークプラグの製造方法であって、前記接地電極の一端を前記主体金具に接合する接合工程と、前記主体金具に接合された少なくとも前記接地電極の表面上に、ニッケルまたは銅を主成分とし、厚みが0.2μm以上、0.7μm以下であるストライク層を形成する第1めっき工程と、前記ストライク層の表面上に、亜鉛を主成分とする亜鉛金属層を形成する第2めっき工程と、前記ストライク層および前記亜鉛金属層が形成された前記接地電極の他端が、前記中心電極の先端部と対向するように、前記接地電極を前記中心電極側に屈曲する屈曲工程とを備えている。
請求項1に係る発明のスパークプラグでは、少なくとも接地電極の表面上に、ニッケルまたは銅を主成分とし、厚みが0.2μm以上、0.7μm以下であるストライク層が形成されてなり、そのストライク層の表面上に、亜鉛を主成分とする亜鉛金属層が形成されてなる。このように、接地電極と亜鉛金属層との間にストライク層を形成したことで、曲げ加工等により内部応力が高まってもストライク層が変形し、その内部応力を吸収することができ、接地電極と亜鉛金属層との密着性を維持することができる。このため、クロムを5重量%以上およびアルミニウムを0.8重量%以上の少なくともいずれか一方を含有するニッケル合金からなる接地電極からめっきを切削する工程を省くことができ、接地電極の強度を維持することができる。
なお、本発明において「主成分」とは、その成分が、含有される全成分のうち70重量%以上を占める成分であることを示す。さらに、接地電極にストライク層および亜鉛金属層を設けてもよいし、主体金具に接地電極を接合した金具組立体全体にストライク層および亜鉛金属層を設けてもよい。
さらに、ストライク層の厚みが0.2μm以上、0.7μm以下となることで、接地電極と亜鉛金属層の密着性を向上できる。ストライク層の厚みが0.2μm未満では、ストライク層を設ける効果を得ることができない。一方、ストライク層の厚みが0.7μmを越えると、ストライク層自身が接地電極から剥離しやすくなり、密着性が低下する。
また、請求項2に係る発明のスパークプラグでは、請求項1に係る発明の効果に加え、亜鉛金属層の表面上に、含有されるクロム成分のうち95重量%以上が三価クロムであるクロメート被膜層が形成されてなる。このため、クロメート被膜層で亜鉛金属層の保護をすることができ、主体金具の耐食性を高めることができる。
また、請求項3に係る発明のスパークプラグの製造方法では、接地電極を中心電極側に屈曲する前に、少なくとも接地電極の表面上に、ニッケルまたは銅を主成分とし、厚みが0.2μm以上、0.7μm以下であるストライク層を形成し、そのストライク層の表面上に、亜鉛を主成分とする亜鉛金属層を形成した。このように接地電極と亜鉛金属層との間にストライク層を形成したことで、曲げ加工等により内部応力が高まってもストライク層が変形し、その内部応力を吸収することができ、接地電極と亜鉛金属層との密着性を維持することができる。このため、クロムを5重量%以上およびアルミニウムを0.8重量%以上の少なくともいずれか一方を含有するニッケル合金からなる接地電極からめっきを切削する必要がなく、こうした工程を省くことで生産性を高め、生産コストを削減することができる。
さらに、ストライク層の厚みが0.2μm以上、0.7μm以下となることで、接地電極と亜鉛金属層の密着性を向上できる。ストライク層の厚みが0.2μm未満では、ストライク層を設ける効果を得ることができない。一方、ストライク層の厚みが0.7μmを越えると、ストライク層自身が接地電極から剥離しやすくなり、密着性が低下する。
以下、本発明を具体化したスパークプラグおよびその製造方法の一実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本実施の形態におけるスパークプラグの一例としてのスパークプラグ100の構造について説明する。図1は、スパークプラグ100の部分断面図である。なお、図1に示す軸線O方向(図中一点鎖線Oで示す)において、中心電極2が設けられた側をスパークプラグ100の先端側とし、端子金具4が設けられた側を後端側として説明する。
図1に示すように、スパークプラグ100は、概略、絶縁体を構成する絶縁碍子1と、この絶縁碍子1を保持する主体金具5と、絶縁碍子1内に軸線O方向に延びるようにして保持された中心電極2と、主体金具5の先端面57に一端部62を溶接され、他端部61が中心電極2の先端部22に対向する一対の接地電極60と、絶縁碍子1の上端部に設けられた端子金具4とから構成されている。
まず、このスパークプラグ100の絶縁体を構成する絶縁碍子1について説明する。絶縁碍子1は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その後端部(図1における上部)には、沿面距離を稼ぐためのコルゲーション11が形成されている。また、絶縁碍子1の先端部(図1における下部)には、内燃機関の燃焼室に曝される脚長部13が設けられている。さらに、絶縁碍子1の軸中心には軸孔12が形成される。
中心電極2はインコネル(商標名)600または601等のニッケル系合金等で形成され、内部に熱伝導性に優れる銅等からなる金属芯23を有している。また、中心電極2は、軸孔12の内部に設けられたシール体14および抵抗体3を経由して、上方の端子金具4に電気的に接続されている。そして端子金具4には高圧ケーブル(図示外)がプラグキャップ(図示外)を介して接続され、外部回路より高電圧が印加されるようになっている。
次に、主体金具5について説明する。主体金具5は絶縁碍子1を保持し、図示外の内燃機関にスパークプラグ100を固定するための円筒状の金具である。主体金具5は絶縁碍子1を取り囲むようにして保持している。主体金具5は低炭素鋼材で形成され、図示外のスパークプラグレンチが嵌合する工具係合部51と、図示外の内燃機関上部に設けられたエンジンヘッドに螺合する雄ねじ部52とを備えている。
さらに主体金具5は、工具係合部51の後端側にかしめ部53を有している。そのかしめ部53をかしめることにより、板パッキン8を介して絶縁碍子1が主体金具5の段部56に支持されて、主体金具5と絶縁碍子1とが一体にされる。かしめによる密閉を完全なものとするため、主体金具5と絶縁碍子1との間に環状のリング部材6,7が介在され、リング部材6,7の間にはタルク(滑石)9の粉末が充填されている。また、主体金具5の中央部には鍔部54が形成され、雄ねじ部52の後端部側(図1における上部)近傍、すなわち鍔部54の座面55にはガスケット10が嵌挿されている。
次に、接地電極60について説明する。接地電極60は耐腐食性の高いニッケル合金からなり、ニッケルを主成分として、クロムを5重量%以上およびアルミニウムを0.8重量%以上の少なくともいずれか一方を含有するものが使用される。このようなニッケル合金の一例として、インコネル(商標名)600または601等のニッケル合金が用いられる。
本実施の形態のスパークプラグ100では2つの接地電極60が、中心電極2を挟んで対向するように設けられている。この接地電極60は、自身の長手方向の横断面が略長方形を有しており、一端部62が主体金具5の先端面57に溶接により接合されている。また、接地電極60の他端部61は、中心電極2の先端部22に対向するように屈曲されている。
そして、スパークプラグ100の主体金具5および接地電極60の表面上には、ニッケル99重量%、その他不可避不純物を含有したストライク層65(図3参照)が形成されてなり、さらに、その表面上に亜鉛98重量%、その他炭化物および酸化物を含有した亜鉛めっき層66が形成されてなる。なお、ストライク層65の厚さは、0.5μmで、亜鉛めっき層66の厚さは5μmである。なお、本実施の形態の亜鉛めっき層66が、本発明における「亜鉛金属層」に相当する。
さらに、亜鉛めっき層66の表面上に、含有されるクロム成分のうち95重量%以上が三価クロムであるクロメート被膜層67が形成されてなる。
次に、このような構成のスパークプラグ100を、以下の工程を実施して製造する。ただし、本実施の形態の要部の製造方法を中心に説明し、公知部分については説明を省略または簡略化する。
以下、図2,図3を参照して、主体金具5にめっきを施す一連の工程について説明する。図2は、接地電極60が接合された主体金具5の部分断面図である。図3は、図2の一点鎖線A−A’において矢視方向からみた接地電極60の断面図である。
まず、主原料にアルミナを使用し、高温で所定の形状に焼成することによって絶縁碍子1を形成する。また、鋼鉄材料を使用し、所定の形状に塑性加工することによって、主体金具5を形成する。この際、主体金具5は所定の形状の工具係合部51、雄ねじ部52、かしめ部53および鍔部54を作製している。次いで、ニッケル系合金からなる棒状の中心電極2、接地電極60を作製する。なお、中心電極2の形成時には、金属芯23を挿入して形成している。
そして、図2に示すように、絶縁碍子1等を組み付ける前の円筒状の主体金具5の先端面57で対極となる位置に、2つの接地電極60の各一端部62が接合され、金具組立体200が形成される(接合工程)。接地電極60は曲げ加工が施される前の状態であり、その他端部61を先端側(図2における下側)に向けて接合される。
次に、金具組立体200に対してバレル装置によるストライクめっき処理によりストライクめっきが施される。これにより、図3に示すように、接地電極60の表面上にはストライク層65が形成される(第1めっき工程)。
なお、本実施の形態におけるストライク層65は、ニッケルを主成分としたニッケルストライク層であり、ストライク処理とは、金具組立体200をめっき浴(いわゆるウッド浴)に浸け、通常行われるめっきよりも電流密度を高くした状態で、短時間(約1〜10分)で処理を行う電気めっきである。このウッド浴は、例えば、塩化ニッケル150g〜300g/リットルおよび塩酸100g〜180g/リットルが含有されたものを使用する。
次に、ストライク層65が形成された金具組立体200にバレル装置によるめっき処理を行い、ストライク層65の表面に亜鉛めっき層66を形成する(第2めっき工程)。なお、バレルめっき処理に用いられるめっき浴は、例えば、亜鉛15g〜30g/リットル、シアン化ナトリウム15g〜60g/リットル、水酸化ナトリウム40g〜80g/リットルが含有されたものを使用する。
そして、ストライク層65および亜鉛めっき層66が形成された金具組立体200にバレル装置によるクロメート処理を行い、亜鉛めっき層66の表面にクロメート被膜層67を形成する。なお、クロメート処理に用いられるクロメート処理浴は、塩化クロム30g〜70g/リットル、硝酸コバルト1g〜5g/リットル、硝酸ナトリウム50g〜150g/リットル、マロン酸25g〜40g/リットルが含有されたものを使用する。
次いで、ストライク層65、亜鉛めっき層66およびクロメート被膜層67が形成された金具組立体200を乾燥させた後、接地電極60に対し、図2に示すように、曲げ加工が行われる。スパークプラグ100が組み立てられた際に中心電極2の先端部22に対して接地電極60の他端部61を対向させるため、図2の2点鎖線で示すように、2つの接地電極60はそれぞれの他端部61が内側に向けて折り曲げられる(屈曲工程)。ストライクめっきが施してあることで、接地電極60の曲げ加工によって発生する亜鉛めっき層66の内部応力がストライク層65の変形によって吸収され、密着性が維持される。こうして作製される主体金具5内に中心電極2を保持した絶縁碍子1が挿入され、かしめられることで、スパークプラグ100が完成する。
[実施例1]
上記のように形成される主体金具5および接地電極60に施しためっきの密着性について評価を行うために、以下に示す試験を行った。図4は、接地電極60に施したストライク層65の厚みによるめっきの密着性への影響を示す表である。
この評価試験では、接地電極60に、第1めっき工程において形成可能な0(形成せず),0.1,0.2,0.5,0.7,0.9,1.2(μm)の7種類の厚みのストライク層65と、第2めっき工程において形成可能な5,10,15(μm)の3種類の厚みの亜鉛めっき層66とをそれぞれ組み合わせた二層めっきを施した。そして、各組み合わせの接地電極60に対してそれぞれ折り曲げ加工を行った後のめっきの状態について判定を行った。
なお、接地電極60としては、インコネル600の材料を用い、幅2.2mm、高さ1.1mm、長さ3.0mmのものを使用した。また、ストライクめっき処理のめっき浴としては、塩化ニッケル:200g/リットル、塩酸:150g/リットル、溶媒:脱イオン水を用い、浴温:35℃、浴pH:0.5、陰極電流密度:0.7A/dmの条件でストライクめっき処理を行った。そして、めっき時間を変えることで、上記の7種類の厚みのストライク層65を形成した。また、バレルめっき処理のめっき浴としては、亜鉛:20g/リットル、シアン化ナトリウム:45g/リットル、水酸化ナトリウム:60g/リットル、溶媒:脱イオン水を用い、浴温:25℃、陰極電流密度0.3A/dmの条件でバレルめっき処理を行った。そして、これについても、めっき時間を変えることで、上記の3種類の厚みの亜鉛めっき層66を形成した。さらに、クロメート処理のクロメート処理浴としては、塩化クロム:50g/リットル、硝酸コバルト:3g/リットル、硝酸ナトリウム:100g/リットル、マロン酸:31.2g/リットル、溶媒:脱イオン水を用い、浴温:60℃、浴pH:2.0、クロメート処理時間:60秒の条件でクロメート処理を行い、クロメート被膜層67を形成した。そして、上記3層を形成後、水洗し、さらに80℃の温風により乾燥して曲げ加工を行った。なお、ストライク層65および亜鉛めっき層66の厚みは、蛍光X線膜厚計を用いて計測している。
判定基準は、次の通りである。曲げ加工後の接地電極60の表面を目視により確認し、亜鉛めっき層66に剥離や脱落が発生していたものについて「×」と判定した。また、剥離や脱落は認められなかったが、膨れ(浮き)が発生していたものについて「△」と判定した。そして、割れ(クラック)については確認できても膨れ(浮き)・剥離・脱落がなかったものについては「○」と判定した。亜鉛めっき層66は硬度が高いため曲げ加工によって割れが発生するが、膨れ(浮き)や剥離、脱落が発生しなければ火花放電ギャップにおいてブリッジを形成して失火に至るといった不具合の原因とはならないため、亜鉛めっき層66に膨れ(浮き)・剥離・脱落が発生しなければ問題ないと判断した。
ストライク層65の厚みが0,0.1,0.9,1.2(μm)である場合において、亜鉛めっき層66の厚みが5,10,15(μm)のいずれの場合でも亜鉛めっき層66に剥離や脱落が発生し、判定結果が「×」となった。また、ストライク層65の厚みが0.2,0.7(μm)である場合において、亜鉛めっき層66の厚みが5,10(μm)の場合では、亜鉛めっき層66に割れは認められたものの、膨れ(浮き)や剥離、脱落は発生せず、判定結果が「○」となった。一方、ストライク層65の厚みが0.2,0.7(μm)で、亜鉛めっき層66の厚みが15μmの場合には、亜鉛めっき層66に膨れ(浮き)が発生したことが認められ、判定結果が「△」となった。そして、ストライク層65の厚みが0.5μmである場合には、亜鉛めっき層66の厚みが5,10,15(μm)のいずれの場合でも、亜鉛めっき層66に割れは認められたものの、膨れ(浮き)や剥離、脱落は発生せず、判定結果が「○」となった。
この結果から、ストライク層65の厚みを0.2μm以上、0.7μm以下とするとよいことがわかった。このように、ストライク層65の厚みが0.2μm以上、0.7μm以下となることで、接地電極60と亜鉛めっき層66の密着性を向上できる。
さらに、亜鉛めっき層66の厚みを10μm以下とすれば、膨れ(浮き)も生ずるおそれがない。通常、主体金具5に形成される亜鉛めっき層66は、主体金具等の耐食性や金属層の剥離性を考慮すると、その厚みが3μm〜9μmの範囲で形成される。上記したように、ストライク層65を、その厚みが0.2μm以上、0.7μm以下の範囲となるように形成すれば、亜鉛めっき層66の厚みが通常通りのままで、二層の金属層の厚みを10μm以下とすることができ、十分に接地電極60の金属層の膨れ(浮き)や剥離、脱落を抑制することができる。さらに、上記の厚みのストライク層65を形成しても、接地電極60の大きさにはほとんど影響がないため、接地電極60の曲げ加工を行う場合に従来使用していた治具をそのまま用いることができ、傷等の原因とはならない。
以上説明したように、本実施の形態のスパークプラグ100では、少なくとも接地電極60の表面上に、ニッケルを主成分とし、厚みが0.2μm以上、0.7μm以下であるストライク層65が形成されてなり、そのストライク層65の表面上に、亜鉛を主成分とする亜鉛めっき層66が形成されてなる。これにより、クロムを5重量%以上およびアルミニウムを0.8重量%以上の少なくともいずれか一方を含有するニッケル合金からなる接地電極60より、めっきを切削する工程を省くことができ、接地電極60の強度を維持することができる。
また、本実施の形態のスパークプラグ100の製造方法では、接地電極60を中心電極2側に屈曲する前に、少なくとも接地電極60の表面上に、ニッケルを主成分とし、厚みが0.2μm以上、0.7μm以下であるストライク層65が形成されてなり、そのストライク層65の表面上に、亜鉛を主成分とする亜鉛めっき層66が形成されてなる。これにより、クロムを5重量%以上およびアルミニウムを0.8重量%以上の少なくともいずれか一方を含有するニッケル合金からなる接地電極60より、めっきを切削する必要がなく、こうした工程を省くことで生産性を高め、生産コストを削減することができる。
なお、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、本実施の形態のスパークプラグ100は、接地電極60が2つあるものを用いたが、1つであっても、あるいは3つ以上であってもよい。また、屈曲工程において接地電極60が屈曲された主体金具5内に、中心電極2が保持された絶縁碍子1を挿入してかしめることによってスパークプラグ100が完成するとしたが、屈曲工程は主体金具5に挿入した絶縁碍子1のかしめ後に行ってもよい。また、本実施の形態では、ストライク層65がニッケルを主成分とするニッケル合金から形成されたが、本発明では、これに限らず、銅を主成分とする銅合金から形成されてもよい。これにおいても、ニッケルストライク層と同様に、接地電極60と亜鉛めっき層66との密着性を高めることができる。
本発明は内燃機関に用いられるスパークプラグに適用することができる。
スパークプラグ100の部分断面図である。 接地電極60が接合された主体金具5の部分断面図である。 図2の一点鎖線A−A’において矢視方向からみた接地電極60の断面図である。 接地電極60に施したストライク層65の厚みによるめっきの密着性への影響を示す表である。
符号の説明
1 絶縁碍子
2 中心電極
5 主体金具
12 軸孔
60 接地電極
65 ストライク層
66 亜鉛金属層
100 スパークプラグ

Claims (3)

  1. 中心電極と、軸線方向に貫通する軸孔を有し、その軸孔の先端側で前記中心電極を保持する絶縁碍子と、前記絶縁碍子の径方向周囲を取り囲み、前記絶縁碍子を保持する主体金具と、クロムを5重量%以上およびアルミニウムを0.8重量%以上の少なくともいずれか一方を含有するニッケル合金からなり、一端が前記主体金具に接合され、他端が前記中心電極の先端部に対向する接地電極とを備えたスパークプラグであって、
    少なくとも前記接地電極の表面上には、
    ニッケルまたは銅を主成分とし、厚みが0.2μm以上、0.7μm以下であるストライク層と、
    前記ストライク層の表面上に、亜鉛を主成分とする亜鉛金属層と
    が形成されてなることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 前記亜鉛金属層の表面上に、含有されるクロム成分のうち95重量%以上が三価クロムであるクロメート被膜層が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 中心電極と、軸線方向に貫通する軸孔を有し、その軸孔の先端側で前記中心電極を保持する絶縁碍子と、前記絶縁碍子の径方向周囲を取り囲み、前記絶縁碍子を保持する主体金具と、クロムを5重量%以上およびアルミニウムを0.8重量%以上の少なくともいずれか一方を含有するニッケル合金からなり、一端が前記主体金具に接合され、他端が前記中心電極の先端部に対向する接地電極とを備えたスパークプラグの製造方法であって、
    前記接地電極の一端を前記主体金具に接合する接合工程と、
    前記主体金具に接合された少なくとも前記接地電極の表面上に、ニッケルまたは銅を主成分とし、厚みが0.2μm以上、0.7μm以下であるストライク層を形成する第1めっき工程と、
    前記ストライク層の表面上に、亜鉛を主成分とする亜鉛金属層を形成する第2めっき工程と、
    前記ストライク層および前記亜鉛金属層が形成された前記接地電極の他端が、前記中心電極の先端部と対向するように、前記接地電極を前記中心電極側に屈曲する屈曲工程と
    を備えたことを特徴とするスパークプラグの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013095994A (ja) * 2011-11-04 2013-05-20 Ngk Spark Plug Co Ltd スパークプラグ用主体金具の製造方法及びスパークプラグ

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