JP2005284295A - 半導電性ローラ - Google Patents

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紀江 風岡
Shozo Watanabe
省三 渡辺
Keitaro Kameyama
啓太郎 亀山
Shiro Tanami
史郎 田波
Kiyoshi Iizuka
清 飯塚
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Abstract

【課題】ブリードアウトを起こさない可塑剤を用い、低コストで導電性,柔軟性を良好にする。
【解決手段】電子写真装置の現像ローラ等に用いられる半導電性ローラにおいて、まず、ウレタンゴム等のポリマー,カーボン系の導電剤,架橋剤を用いると共に、その可塑剤として目的とする半導電性ローラおよび加熱減量に応じて適切な炭酸エステル(プロピレンカーボネート,ジメチルカーボネート,ジエチレンカーボネート,エチレンカーボネート)を用い、架橋させることにより高分子弾性体組成物を作製する。前記ポリマーには溶解度係数が7.5〜10.5であるものを用い、体積固有抵抗値が1×104Ω・cm〜9×1010Ω・cmの範囲内に調整される。そして、シャフト72の外周面に対して、前記高分子弾性体組成物を用いて導電発泡層Pと導電性非発泡層Qとにより、半導電性ローラを構成する。
【選択図】図7

Description

本発明は、主にレーザープリンタ,複写機,ファクシミリ等の電子写真装置に用いられる半導電性ローラに関するものである。
一成分現像剤や複数成分現像剤(カラー現像剤)を用いた乾式電子写真は、複写機,レーザープリンタ等において多く利用され、その現像方式は主に帯電工程,潜像焼き付け工程,現像工程,転写工程,定着工程を有するシステムから成り、一般的にエンジン系部品と称されている現像系,転写系,定着系,感光体系の部品によって構成される。前記現像系の部品には、例えば現像ローラ(現像剤担持体),現像剤搬送ローラ,現像剤規制ブレード(現像剤層厚規制材;以下、規制部材と称する)が用いられている(例えば、特許文献1)。
特開平8−28358号公報。
図11は、一般的な一成分現像剤を用いた電子写真装置の概略構成図を示すものである。図11において、符号1は導電性支持ドラム体の表面に光電層を設けて成る感光体ドラムを示すものであり、図11中の矢印C方向に対して回転自在に装着される。前記感光体ドラム1の周囲には、その周方向に沿って帯電ローラ2,現像装置3,転写ローラ(転写装置)4,クリーニング装置5(例えば、現像同時清掃式の場合は無くても良い)が配置される。
前記帯電ローラ2は、前記感光体ドラム1の外周面をプラスまたはマイナスに帯電(外周面に対して一様に帯電)させるものであり、その帯電ローラ2に電圧を印加、かつ帯電ローラ2を前記感光体ドラム1に接触させることにより、前記感光体ドラム1の表面が帯電される。その後、前記感光体ドラム1の外周面には、潜像形成装置(図示省略)から所望のパターンで光が照射され、その光が照射された部分に静電潜像が形成(反転現像の場合)、または前記光が照射されない部分に静電潜像が形成(正規現像の場合)される。
前記現像装置3は、現像ローラ3a,現像剤搬送ローラ3b,規制部材3cを構成し、前記感光体ドラム1の静電潜像に対しトナー(現像剤)を付着させるためのものである。この現像装置3により、反転現像の場合には光照射部のみにトナーを付着させ、正規現像の場合には光非照射部にのみにトナーを付着させるように、現像ローラ3aと感光体ドラム1との間にバイアス電圧が印加される。
前記現像ローラ3aは、前記感光体ドラム1の外周面に対し一部接触するように近接して配置され、感光体ドラム1の回転方向Cとは反対の図示矢印D方向に回転する。この現像ローラ3aとしては、例えば金属軸体の外周面をウレタンゴム等から成る弾性体で被覆したものが知られている。前記現像剤搬送ローラ3bを前記現像ローラ3aの外周面に対し接触させ、その現像ローラ3aの回転方向と同じ図示矢印E方向に回転させることにより、前記現像ローラ3aの外周面にトナーを供給する。
前記規制部材3cは、前記現像ローラ3aの軸方向に沿って接するように例えば帯形状を成す。この規制部材3cとしては、金属板バネ等(鉄製板)のホルダーに対して例えばウレタンゴム等から成る弾性体を接着して形成される。その弾性体の角部を前記現像ローラ3aの外周面に接触させることにより、現像ローラ3aの外周面に供給されたトナーを規制することができる。
前記転写ローラ4は、前記現像装置3によって形成された感光体ドラム1の外周面におけるトナー像を、転写紙6に対して複写するものである。なお、前記の複写の際、前記転写紙6は給紙ローラ7a,排紙ローラ7bを介して図示白抜き矢印方向に給紙,排紙され、転写紙6に複写されたトナー像は定着ローラ7cにより定着されて、所望の出力印字が行われる。前記の転写ローラ4としては、金属軸体の外周面をウレタンゴム等から成る弾性体で被覆した構造や、非発泡体の層と発泡体の層とを複数積層(例えば、特許文献2)して成る構造が知られている。
特開平2−311871号公報。
図12は、カラー現像剤を用いた電子写真装置(中間ベルト方式)の概略構成図を示すものである。なお、図11に示すものと同様なものには同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。図12において、符号8は転写ベルトを示すものであり、その転写ベルト8の内周側には複数個(使用するカラー現像剤の種類に応じた数)の1次転写ローラ4a〜4dおよびバックアップローラ4eが所望の位置で配置される。前記の転写ベルト8の外周側における各1次転写ローラ4a〜4dが位置する部分には感光体ドラム1がそれぞれ配置され、その各感光体ドラム1には帯電ローラ2,現像装置3,クリーニング装置5がそれぞれ備えられる。また、前記の転写ベルト8の外周側におけるバックアップローラ4eが位置する部分には、2次転写ローラ9が備えられる。
図12に示す電子写真装置の場合、まず各々の感光体ドラム1,帯電ローラ2,現像装置3による所望のトナー像が、各1次転写ローラ4a〜4dにより転写ベルト8の外周側表面に転写される。その後、転写されたトナー像は、バックアップローラ4e,2次転写ローラ9を介して転写紙6に複写される。
以上示したような電子写真装置に用いられるゴム部品(弾性体)には、種々のゴム素材(ポリマー)が用いられる。例えば、現像ローラ,規制部材の場合、その表面にトナーを常時通過させるため第1に耐摩耗性が考慮され、その耐摩耗性の良好なウレタンゴムが主に用いられている。また、転写紙を搬送するローラ(例えば、給紙ローラ,排紙ローラ)においても、その表面と転写紙との滑り摩擦を考慮してウレタンゴムが用いられる。トナーを定着させる定着ローラでは、熱によってトナーが溶融されるため、耐熱性の良好なシリコーンゴム等が用いられている。
電子写真装置の帯電ローラ,現像ローラ,規制部材,転写ローラ等に用いられる弾性体には、以下に示す課題1〜3が挙げられる。
(課題1;ブリードアウト)
一般的に、ゴム素材から成る弾性体において、その弾性体の成形加工性の改良や硬度の低下を図るために、そのゴム素材の種類に応じた可塑剤が用いられている。例えば、天然ゴム,スチレンブタジエンゴム(以下、SBRと称する),ブタジエンゴム(以下、BR称する)における可塑剤としては、アロマ成分またはナフテン成分を多く含んだ石油系のプロセスオイルが用いられる。また、エチレンプロピレンゴム(以下、EPDMと称する)にはパラフィン成分を多く含んだプロセスオイルが用いられ、極性の大きいニトリルブタジエンゴム(以下、NBRと称する)にはジオクチルフタレート等のエステル系オイルが用いられる。
しかし、前記のような可塑剤を含む弾性体は、ブリードアウト、即ちゴム素材から可塑剤が滲み出てしまう問題がある。特に、電子写真装置に用いられる弾性体の場合、微量のオイルのブリードアウトによってトナーに影響し、出力印字において不具合が生じてしまう。例えば、規制部材には導電性を有する弾性体(以下、弾性導電体)が用いられるが、ブリードアウトした可塑剤によって弾性導電体の表面にトナーが融着(以下、トナー融着と称する)し、出力印字される複写紙に不具合(例えば、異常スジ)が生じてしまう。
(課題2;導電性および体積固有抵抗値)
電子写真装置における帯電ローラ,現像ローラ,規制部材,転写ローラに用いられる弾性導電体は、トナーに電荷注入することを考慮した導電性が求められる。例えば、現像系の場合、プラス電極,規制部材,トナー,現像ローラ,マイナス電極を順に構成した回路によって電圧がかけられ、この電圧によりトナーに電荷注入を行っている。弾性導電体の体積固有抵抗値が低すぎると、例えば感光体ドラムと現像ローラとの間で異常放電が生じ感光体破壊を起こす場合がある。このような理由により、前記の電荷注入は高い電場にて行う必要があり、弾性導電体の体積固有抵抗値を高くすることが好ましい。
また、カラー現像剤を用いた電子写真装置の場合、数種類のトナー(例えば、ブラック,イエロー,マゼンダ,シアンの4色)を転写ベルトに対して所定の位置および大きさでそれぞれ付着させるため、ブラー現象等の不具合が起こらないように、弾性導電体の体積固有抵抗値を高く(電場を高く)することが好ましい。なお、ブラー現象とは、例えば転写ベルト上に付着したシアン・トナーの周囲(所定距離を隔てた位置)に対してイエロー・トナーを付着させる際、そのイエロー・トナーが所定位置から離れて付着する現象をいう。
しかし、前記の体積固有抵抗値が高くなり過ぎると電子の流れは遅くなってしまい、トナーは十分な電荷注入が行われる前に感光体ドラムに移動してしまう。また、電子写真装置における出力速度の高速化(例えば、1分間に30枚以上の印字出力)の要求に順じて、その現像装置内におけるトナーの移動速度が速くなっているが、その限られた一定時間内でトナーに対して必要量の電荷注入を行うには、弾性導電体の体積固有抵抗値をある程度低くする必要がある。
さらに、カラー現像剤を用いた電子写真装置における2次転写ローラ,転写紙,転写ベルトには、転写工程での互いの摩擦により摩擦帯電電荷が残存するが、2次転写ローラに用いられる弾性導電体の体積固有抵抗値が高すぎると、前記摩擦帯電電荷は除去し難くなる。
通常、感光体ドラム上や転写ベルト上に転写されたトナーは転写紙に対して完全転写されず(約数%のトナーが転写されずに残存)、その残存したトナーは転写紙通過後に2次転写ローラに移動することがあるため、このように移動したトナーを除去するためのクリーニング装置が用いられる。しかし、前記摩擦帯電電荷が残存していると、前記の移動したトナーを除去することは困難となり、それ以降に供給される転写紙の裏側(本来は転写されない側の面)に対してトナーが付着してしまう問題(裏汚れ)がある。
このことから、電子写真装置の弾性導電体において、その体積固有抵抗値を約1×104〜1×1011Ω・cm程度の範囲内に調整することが求められている。
(課題3;柔軟性)
前記の課題2に示した電荷注入における電場は、電界強度、すなわち単位面積当たりの電束密度で表すことができる。トナーは現像装置内にて一定の速度で移動するため、前記の電荷注入を良好にするには電場面積を大きくすることが有効である。
例えば、規制部材の場合、その弾性導電体における先端部が現像ローラと接触する部分にて潰れるようにして、弾性導電体と現像ローラとの接触面積を大きくすることが好ましい。また、帯電ローラ,現像ローラの場合には、それぞれ感光体ドラム,トナーに対して安定的に電荷を注入するため、所定のニップ(接触幅)を保てるように弾性導電体において十分な柔軟性が必要になる。さらに、転写ローラの場合、その転写ローラにかかる接触圧力が高すぎると、トナーの凝集が起こり転写効率が低下してしまうため、弾性導電体において十分な柔軟性が必要になる。
このことから、弾性導電体の硬度を低くすることにより、トナーに対して有効に電荷注入を行うことが求められる。
一般的に現像ローラは、感光体ドラムに対して直に接触(直接現像法)し、感光体ドラムよりも速い周速度で回転するように設計されている。この設計により、現像ローラ上のトナーと感光体ドラムとを摩擦帯電させて、トナーの帯電不足を補うと共に、印字不良(「カブリ」と称される印字不良)を防止している。なお、前記の感光体ドラムと現像ローラとの周速度比率は、一般的に1:1.2〜1:1.5の範囲内に調整されている。前記感光体ドラムは現像ローラとの摩擦により摩耗する恐れがある。そのため、前記の現像ローラの硬度を低くして柔らかくすることにより、感光体ドラムに対する摩擦を緩やかにすることが好ましい。
前記の課題2に示したように、電子写真装置に用いられる弾性導電体において適当な導電性、すなわち体積固有抵抗値を約1×104〜1×1011Ω・cm程度の範囲内に調整するにはカーボンブラック等の導電剤が必要となるが、弾性導電体の硬度が高くなってしまう問題がある。前記の課題3を考慮して、前記のカーボンブラックを用いた弾性導電体の硬度を低くするには可塑剤が必要であるが、一般的な可塑剤では前記の課題1に示したようにブリードアウトの問題が起こる。
なお、一般的なブリードアウトを防止する方法として、軸体の外周面に導電性弾性体の基層を設け、さらに前記基層表面に第1被覆層(高誘電率弾性体),第2被覆層(可撓性合成樹脂)を設けることにより前記の課題1に示したブリードアウトを防止する方法(前記の特許文献2参照)が知られている。また、電子線照射装置等を用いて導電性シリコーンゴムに電子線を照射し、その導電性シリコーンゴム表面に重合固化した層を形成する方法(前記の特許文献1参照)が知られている。しかし、前記の各方法では、その製造工程の複雑化および高コスト化の問題がある。
本発明は、前記課題に基づいて成されたものであり、ブリードアウトを起こさない可塑剤を用い、低コストで導電性,柔軟性を良好にした半導電性ローラを提供することにある。
本発明は、前記課題の解決を図るために、請求項1記載の発明は、金属製軸体の外周面に導電性発泡層を形成し、その導電性発泡層の外周面に導電性非発泡層を形成して成る半導電性ローラにおいて、少なくとも前記導電性非発泡層が炭酸エステルを含むことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、前記炭酸エステルとしてプロピレンカーボネートを用いたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記導電性非発泡層において、少なくともポリマー,カーボン系の導電剤,架橋剤,可塑剤を含有し、架橋させて得た高分子弾性体組成物から成ることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、前記半導電性ローラの製品抵抗値が1×108Ω・cm〜1×1010Ω・cmで、転写ローラに用いられることを特徴とする。
以上示したように本発明によれば、種々の用途(例えば電子写真装置)に用いられる高分子弾性体組成物において、柔軟性を保ちながら、ブリードアウトや加硫阻害を防止することができ、さらに、高分子弾性体組成物において、適当な導電性(すなわち体積固有抵抗値を約1×104〜1×1011Ω・cm程度の範囲内に調整)を付与することができると共に、その導電性を高分子弾性体の硬度の上昇を招かないで十分な柔軟性を保持したまま達成し得ることができる。
本発明のように、前記可塑剤として高分子弾性体組成物の使用目的および加熱減量に応じて適切な炭酸エステル(プロピレンカーボネート,ジメチルカーボネート,ジエチレンカーボネート,エチレンカーボネート)を用いることにより、その高分子弾性体組成物の経時的物性変化を抑制できる。
前記炭酸エステルは、ポリマーに分散されるとラクトン化(ラクトン結合)に伴って強力なファンデルワールス力を生じる。このため、炭酸エステルは、より広い範囲のSP値を有するゴム素材、例えば一般的に需要の高いゴム素材(SP値が7.5〜10.5のゴム素材)に対しても相溶性を有する。すなわち、炭酸エステルは、極性の高いNBRから比較的極性の低いEPDMにおいて相溶性を有する。
前記のプロピレンカーボネート等の炭酸エステルは、可塑剤として作用していると共に、非水系電解質すなわち導電剤(イオン導電媒体)として作用する。このため、カーボンブラック等の導電剤における添加量を増加させることなく、高分子弾性体組成物の体積固有抵抗値を低減できる。
以上示したように本発明によれば、種々の用途に用いられる高分子弾性体組成物において、柔軟性を保ちながら低コストでブリードアウトやトナー融着を防止することができる。また、適当な導電性(すなわち体積固有抵抗値を約1×104〜1×1011Ω・cm程度の範囲内に調整)を付与することができると共に、その導電性を高分子弾性体の硬度の上昇を招かないで十分な柔軟性を保持したまま達成し得ることができる。
ゆえに、例えば電子写真装置の帯電ローラ,現像ローラ,規制部材,転写ローラ等においては、摩擦による摩耗やトナー融着を防止することができると共に、広い電場面積によりトナーに対して十分な電荷注入を行うことができる。
また、円筒状のシャフト外周面に対して高分子弾性体組成物の導電性発泡層と導電性非発泡層とを形成した半導電性ローラにおいても、ブリードアウトやトナー融着を防止でき、適当な製品抵抗値,柔軟性,耐久性を付与することができる。このため、近年の出力速度の高速化に対応すると共に、電子写真装置における出力印字等の効率を向上できる。
以下、本発明の実施の形態における半導電性ローラを説明する。本実施の第1〜第6形態では、種々の高分子弾性体,カーボン系の導電剤,架橋剤,可塑剤を用いて高分子弾性体組成物および半導電性ローラを作製し、それら高分子弾性体組成物および半導電性ローラにおける種々の特性を調べることにより、その導電性,柔軟性を良好にして電子写真装置における複写効率(出力印字等の効率)の向上を検討したものである。
(本実施の第1形態)
本実施の第1形態(第1,第2実施例)では、種々の可塑剤を用いた高分子弾性体組成物の未加硫特性,加硫特性等を調べることにより、高分子弾性体組成物におけるトナー融着,ブリードアウトを防ぐと共に導電性,柔軟性を良好にし得る可塑剤を検討した。
第1実施例において、下記表1に示す配合で、ゴム素材(ベースポリマー)としてウレタンゴム、加工助材としてステアリン酸亜鉛、導電剤としてFEFカーボン、種々の可塑剤(炭酸エステル,アロマプロセスオイル,ナフテンプロセスオイル,パラフィンプロセスオイル,アジピン酸誘導体,ジオクチルフタレート)、架橋剤として有機過酸化物を用い、それら各材料を混練し加硫(架橋反応)させて高分子弾性体組成物の試料S1〜S10を作製した。
なお、前記炭酸エステルとして、プロピレンカーボネート,ジメチルカーボネート,ジエチレンカーボネート,エチレンカーボネートを用いた。また、下記表1に示した各材料の商品名等は、下記表2に示した。
Figure 2005284295
Figure 2005284295
前記の表1に示した各試料S1〜S10において、JISのK6251,K6253に準拠して、温度125℃でのムーニー粘度(Vm,ML1+4,t5,t35,t△30),温度170℃での90%加硫度を測定して未加硫特性を調べると共に、常態物性(硬度,引張り強さ,伸び,体積固有抵抗値(図3に基づいて後述する))を測定して加硫特性を調べた。また、図1,2の説明図に示す方法(詳細を後述する)により、前記の各試料S1〜S10におけるトナー融着性,ブリード性を調べた。
図1は、トナー融着性の測定方法を示す説明図である。図1に示すように、まず矩形平板状(厚み2mm;20mm×20mm×2mm)の高分子弾性体組成物(試料S1〜S10)11aと11bとの間に、100mgのトナー12を均一な厚さで介在させる。次に、前記の高分子弾性体組成物11aと11bとの間に対し、荷重500gの重り13により圧力を加え、40℃×90%RHの雰囲気下で72時間放置する。
その後、前記の高分子弾性体組成物11aと11bとを互いに引き離しトナー12をエアー(4.9×104Paのエアー圧)により除去し、前記の高分子弾性体組成物11a,11bの表面に残存したトナーの量(重さ)を測定する。そして、前記の残存したトナーの量が少ないほど、高分子弾性体組成物におけるトナー融着が起こりにくいと見なすことができる。
図2は、ブリード性の測定方法を示す説明図である。なお、図1に示すものと同様なものには同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。図2に示すように、まず高分子弾性体組成物11aと11bとの間に矩形状(30mm×30mm)の普通紙21を介在させる。なお、前記普通紙の重さはG0とする。次に、重り13により前記の高分子弾性体組成物11aと11bとの間に対して圧力を加え、温度80℃の雰囲気下で72時間放置する。
その後、前記の高分子弾性体組成物11aと11bとを互いに引き離してから、前記普通紙21の重さ(G1)を測定し、前記の重さG0との重量差を算出する。この重量差が小さいほど、高分子弾性体組成物においてブリードアウトが起こりにくいと見なすことができる。なお、前記のブリードアウトが起こると可塑剤等が普通紙21に付着し、前記の重量差が大きくなる。
図3は、体積固有抵抗値の測定方法を示す説明図である。図3において、符号31は正極として作用する固定部材、符号32は負極として作用すると共に荷重(被測定対象33に対する荷重)を加える荷重部材を示すものである。前記固定部材31と荷重部材32との間には、矩形平板状(厚み2mm;70mm×70mm×2mm)の被測定対象(高分子弾性体組成物、または後述する導電性非発泡層)33が介在する。また、前記固定部材31,荷重部材32には直流電源34が接続されると共に、その直流電源34と荷重部材32との間には電流計35が介在する。
まず、前記荷重部材32により、約49Nの荷重(荷重部材32の重さによる荷重を含む)を被測定対象33に対して1分間加えた後、直流電源34により固定部材31と荷重部材32との間に電圧(100V)を印加する。その10秒間の印加後に電流計35の表示電流値を読み取り、下記の式により体積固有抵抗値を算出する。なお、下記の数式中の記号において、Vは印加電圧(V),Iは表示電流値(A),ρは体積固有抵抗値(Ω・cm),Aは荷重部材32と被測定対象33との接触面積(cm2),dは被測定対象33の厚み(cm)を示すものとする。
ρ=((V/I)×A)/d …… (1)
前記の未加硫特性,加硫特性,トナー融着性,ブリード性の結果を下記表3に示す。
Figure 2005284295
前記表3に示す結果から、可塑剤として炭酸エステルを用いた試料S2〜S5は、試料S6〜S10と比較して可塑剤を用いない試料S1と同様の未加硫特性,加硫特性であると共に、その硬度が十分に低いことを読み取れる。また、試料S1および試料S2〜S5においては、トナー融着,ブリードアウトが起こらなかったことを読み取れる。
次に、第2実施例において、下記表4に示す配合で、ゴム素材としてNBR、種々の加工助材(酸化亜鉛,ステアリン酸)、導電剤としてSRFカーボン、充填材として重質炭酸カルシウム、種々の可塑剤(炭酸エステル(プロピレンカーボネート),ジオクチルフタレート,ジオクチルアジペート,ジオクチルセハゲート,ジ‐(2‐エチルヘキシル)アゼレート)、種々の加硫促進剤(テトラメチルチウラムジスルフィド,ジフェニルグアニジン,ジベンゾチアゾールジスルフィド)、架橋剤として硫黄を用い、それら各材料を混練し加硫させて高分子弾性体組成物の試料S11〜S16を作製した。なお、下記表4に示した各材料の商品名等は、下記表5に示した。
Figure 2005284295
Figure 2005284295
前記の表4に示した各試料S11〜S16について、前記の第1実施例と同様の方法により、未加硫特性,加硫特性,トナー融着性,ブリード性を調べ、その結果を下記表6に示す。なお、第2実施例における90%加硫度の測定は、温度150℃にて行った。
Figure 2005284295
前記表6に示す結果から、可塑剤として炭酸エステルを用いた試料S12は、試料S13〜S16と比較して、可塑剤を用いない試料S11と同様の未加硫特性,加硫特性であると共に、その硬度が十分に低いことを読み取れる。また、試料S11,S12においては、トナー融着,ブリードアウトが起こらなかったことを読み取れる。
以上、第1,第2実施例に示したように本実施の第1形態によれば、可塑剤として炭酸エステルを用いることにより、トナー融着,ブリードアウトを起こすことなく高分子弾性体組成物の硬度を低減することができる。また、炭酸エステル以外の可塑剤を用いた場合、「ゴム硬度が10度以上下がる」,「加硫しにくい(加硫に要する時間が非常に長い)、あるいは加硫が起こらない」等の加硫阻害を起こす恐れがあるが、本実施の第1形態(表3,6に示す未加硫特性(t5,t35,t△30))のように炭酸エステルを可塑剤として用いることにより、前記のような加硫阻害をふせぐことができる。ゆえに、高分子弾性体組成物の可塑剤として、炭酸エステルが適していることを確認できた。
(本実施の第2形態)
本実施の第2形態では、前記の第1実施例の試料S2〜S5で用いた種々の炭酸エステル(プロピレンカーボネート,ジメチルカーボネート,ジエチレンカーボネート,エチレンカーボネート)において、高分子弾性体組成物に対する経時的物性変化(加熱減量;加熱による重量の減少割合)を調べた。
まず、前記表1に示した試料S2〜S5における各材料を混練し、それぞれ温度170℃の雰囲気下で10分間架橋硬化させて硬化成形物S2a〜S5aを作製した。そして、前記の各硬化成形物S2a〜S5aにおいて、それぞれ100g採取してギヤー式オーブンにより温度120℃の雰囲気下で12時間放置し、その放置前後における重量の減少割合を百分率で算出して、それぞれ下記表7に示した。
Figure 2005284295
前記の表7に示すように、硬化成形物S3a〜S5aと比較して、プロピレンカーボネートを用いた硬化成形物S2aの加熱減量は最も小さかった。すなわち、種々の炭酸エステルのうちプロピレンカーボネートは、長期間の架橋硬化の場合においても、高分子弾性体組成物に対する経時的物性変化が最も小さいことを読み取れる。
ゆえに、本実施の第2形態により、通常の加熱架橋(温度200℃前後の雰囲気下の加熱架橋)で得られる高分子弾性体組成物の可塑剤として、炭酸エステルのうちプロピレンカーボネートを用いることが好ましいことを確認できた。また、通常の加熱架橋以外の条件で高分子弾性体組成物を作製する場合には、その高分子弾性体組成物の使用目的および加熱減量に応じて、適切な炭酸エステルを可塑剤として用いることにより、その高分子弾性体組成物の経時的物性変化を抑制できることを確認できた。
(本実施の第3形態)
本実施の第3形態では、種々のSP値を有するゴム素材を用いて、そのゴム素材と炭酸エステルとの相溶性を調べた。
まず、下記の表8に示す配合で、それぞれSP値の異なる種々のゴム素材(ナイロン樹脂,ウレタンゴム,アクリルニトリルブタジエンゴム,BR,SBR,天然ゴム,EPDM,シリコーンゴム)、種々の加工助材(ステアリン酸亜鉛,酸化亜鉛,ステアリン酸)、導電剤としてFEFカーボン、可塑剤としてプロピレンカーボネート(SP値は9.5〜10.5)、種々の架橋剤(有機過酸化物,テトラメチルチウラムジスルフィド,ジフェニルグアニジン,ジベンゾチアゾールジスルフィド,硫黄)を用い、それら各材料を混練し加硫させて高分子弾性体組成物の試料S17〜S24を作製した。なお、下記表8に示した各材料の商品名等は、下記表9に示した。
Figure 2005284295
Figure 2005284295
前記表8に示した各試料S17〜S24について、前記の第1実施例と同様の方法により、未加硫特性,加硫特性,トナー融着性,ブリード性を調べ、その結果を下記表10に示す。なお、本実施の第3形態における90%加硫度の測定は、温度150℃または170℃にて行った。
Figure 2005284295
前記表10に示すように、試料S18〜S23の未加硫特性,加硫特性,トナー融着性,ブリード性が良好であることが読み取れる。すなわち、プロピレンカーボネートは、そのプロピレンカーボネート自体のSP値が9.5〜10.5の範囲であるにもかかわらず、その範囲以外のSP値を有するゴム素材(例えば、試料S19〜S23のSP値は7.9〜9.3)に対しても相溶性があることを確認できた。
前記のように、互いに異なったSP値を有する炭酸エステルとゴム素材とが相溶した理由として、下記の数式(SP値の理論式)に示す蒸発潜熱が考えられる。なお、下記の数式において、△Hは蒸発潜熱(cal/mol)、Rはガス定数(1.987cal/mol・deg)、Vは分子容積(cc/mol)、温度をT(K)とする。
(SP値)=(凝集エネルギー密度)1/2=(△H−RT)/V ……(1)
前記(1)式における蒸発潜熱△Hは分子間ファンデルワールス力に比例し、SP値に大きく影響する。炭酸エステルは、その蒸発潜熱を測定する際、そのラクトン結合による強い分子間力にて理論値よりも大きな実測値を示す。しかし、ポリマーに分散すると、分子間力は介在ポリマーの影響で小さくなる。したがって、SP値よりも小さなポリマーとも相溶するものと思われる。
ゆえに、炭酸エステルは、より広い範囲のSP値を有するゴム素材、例えば一般的に需要の高いゴム素材(SP値が7.5〜10.5のゴム素材)に対しても相溶性があることを確認できた。
(本実施の第4形態)
本実施の第4形態では、高分子弾性体組成物における可塑剤の添加量を変化させて、その添加量に対する体積固有抵抗値(JISのK6911に準拠)の変化を調べた。まず、下記表11に示す配合で、ゴム素材としてウレタンゴム、加工助材としてステアリン酸亜鉛、導電剤としてSRFカーボン、種々の可塑剤(プロピレンカーボネート,アジピン酸誘導体)、架橋剤として有機過酸化物を用い、それら各材料を混練し加硫させて比較的低い導電性を有する高分子弾性体組成物の試料S25〜S29を作製した。また、前記導電剤として、SRFカーボンの代わりにXCFカーボンを用い、前記の試料S25〜S29と同様の方法で比較的導電性の良好な高分子弾性体組成物の試料S30〜S34を作製した。なお、下記表11に示した各材料の商品名等は、下記表12に示した。
Figure 2005284295
Figure 2005284295
前記表11に示した各試料S25〜S34について、前記の第1実施例と同様の方法により、未加硫特性,加硫特性を調べ、その結果を下記表13に示した。
Figure 2005284295
また、前記表13に示す各試料S25〜S34の体積固有抵抗値について、それぞれLog換算(常用対数に換算)し、図4の可塑剤添加量に対する体積固有抵抗値特性図に示した。なお、図4において、実線で示す折れ線グラフ(以下、実線グラフと称する)は可塑剤としてプロピレンカーボネートを用いた場合(試料S26,S27,S31,S32)のものであり、点線で示す折れ線グラフ(以下、点線グラフと称する)は可塑剤としてアジピン酸誘導体を用いた場合(試料S28,S29,S33,S34)である。
図4中の点線グラフに示す結果から、可塑剤として用いたアジピン酸誘導体の添加量の増加と共に体積固有抵抗値が増加し、導電性が低下していることを読み取れる。一方、図4の実線グラフに示すように、可塑剤として用いたプロピレンカーボネートの添加量の増加と共に体積固有抵抗値が低下し、導電性が向上していることを読み取れる。
前記のように、プロピレンカーボネートの添加により体積固有抵抗値が低下した理由は、そのプロピレンカーボネートが可塑剤として作用していると共に、非水系電解質すなわち導電剤(イオン導電媒体)として作用しているものと思われる。このため、プロピレンカーボネートを用いることにより、カーボンブラック等の導電剤における添加量を増加させることなく、高分子弾性体組成物の体積固有抵抗値を低減できることが解った。
ゆえに、本実施の第4形態に示したようにプロピレンカーボネート等の炭酸エステルを用いることにより、その炭酸エステルが可塑剤およびイオン導電媒体として作用するため、カーボンブラック等の導電剤に頼らずとも高分子弾性体組成物の体積固有抵抗値を低減できると共に、その高分子弾性体組成物の硬度を低減できることが確認できた。
(本実施の第5形態)
本実施の第5形態では、プロピレンカーボネートを含んだ高分子弾性体組成物において、赤外線吸収スペクトル特性を調べた。まず、ウレタンゴム(ウレパン641G/50EL06G)のみから成る成形体を試料G1、前記ウレタンゴムとプロピレンカーボネートとから成る成形体を試料G2として作製した。そして、試料をアセトンにて抽出し、赤外線分光光度法(顕微ART法)により、前記試料G1,G2において波数(カイザー;cm-1)に対する赤外線吸収スペクトル(%T)を測定し、その測定結果をそれぞれ図5,6の波数に対する赤外線吸収スペクトル特性図に示した。図5,6に示す結果から、試料G2は、図6中の符号A,Bに示すように波数1790cm-1,955cm-1にて、試料G1には無い炭酸エステル特有の赤外線吸収スペクトルを有することが読み取れる。
ゆえに、本実施の第5形態に示すように、(波数1790cm-1,955cm-1の赤外線吸収スペクトルを有する)プロピレンカーボネート等の炭酸エステルを可塑剤として用いても、他の配合物と何ら化学的な反応は起こさずに、高分子弾性体組成物の導電性,柔軟性を良好にすると共に、ブリードアウトを防止できる効果があることを確認できた。
(本実施の第6形態)
本実施の第6形態では、種々の可塑剤を用いて高分子弾性体組成物を得、その高分子弾性体組成物により導電性発泡層(後述する発泡体による層)と導電性非発泡層(後述する非発泡体による層)とから成る半導電性ローラを作製し、その半導電性ローラの特性(製品特性)および導電性非発泡層の特性等を調べることにより、トナー融着,ブリードアウトを防ぐと共に導電性,柔軟性を良好にすることを検討した。
まず、下記表14に示す配合で、ゴム素材としてEPDM、加工助材としてステアリン酸および酸化亜鉛、導電剤としてSRFカーボンおよびXCFカーボン、充填材として重質炭酸カルシウム、可塑剤としてパラフィンプロセスオイル、加硫促進剤としてジメチルジチオカルバミン酸亜鉛およびジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、架橋剤として硫黄、発泡剤としてアゾジカルボンアミドを用い、それら各材料をオープンロールにより混練して導電性材料を得た。
そして、前記の各導電性材料を中空円筒状に押出成形してから高周波誘電加熱および熱風加熱により発泡,加硫し、所望の形状(所望の長さ)に切断することにより、高分子弾性体組成物の発泡体(導電性発泡層に相当)Pを作製した。なお、前記の各材料の商品名等においても、下記表14に示した。
Figure 2005284295
また、下記表15に示す配合で、種々のゴム素材(ベースポリマー;NBR,EPDM,ウレタンゴム)、種々の加工助材(酸化亜鉛,ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸)、種々の導電剤(SRFカーボン,FEFカーボン,アセチレンブラック)、充填材として重質炭酸カルシウム、可塑剤として種々の炭酸エステルまたはジオクチルフタレート、種々の加硫促進剤(テトラメチルジスルフィド,ジフェニルグアニジン,ジベンゾチアゾールジスルフィド,ベンゾチアゾールジスルフィド,ジンククロライドチアゾール)、架橋剤として硫黄を用い、それら各材料をオープンロールによりそれぞれ混練して導電性材料を得た。
そして、クロスヘッドを用いて、外径18mmの形状保持体(以下、マンドレルと称する)の外周面に対して前記の各材料を均一な厚さ(厚さ2mm)で被覆し、蒸気釜を用いて温度が150℃,圧力が約0.49MPaの雰囲気下で30分間加熱処理してから前記マンドレルを取り外して、中空円筒状で高分子弾性体組成物の非発泡体(導電性非発泡層に相当)Q1〜Q9を作製した。なお、前記炭酸エステルとして、プロピレンカーボネート,ジメチルカーボネート,ジエチレンカーボネート,エチレンカーボネートを用いた。また、下記表15に示した各材料の商品名等は、下記表16に示した。
Figure 2005284295
Figure 2005284295
図7A〜図7Cは、本実施の形態における半導電性ローラの製造方法を示す説明図である。図7Aにおいて、発泡体Pの一端面側から内周面側に対してエアー吹出機71の吹出口71を挿入し、その吹出口71aからエアーを吹き出して発泡体Pを拡張させながら、その発泡体Pの他端面側から内周面側に対して円柱状のシャフト(金属製軸体;外径が発泡体Pの内径以上)72を挿入する。そして、前記発泡体Pとシャフト72外周面との間におけるエアーを除去し互いに固定してから、そのシャフトを備えた発泡体Pの外周面(スキン層)を研磨機により研磨(除去)し、所望の外径(18mm)に調整してシャフト付発泡体Psを得る。
その後、図7Bに示すように、エアー吹出機71の吹出口71aを非発泡体Q(非発泡体Q1〜Q9)の一端面側から内周面側に挿入して互いに固定し、エアーにより非発泡体Qを拡張させながら、その非発泡体Qの多端面側から内周面側に対して前記のシャフト付発泡体PSを挿入する。そして、前記のシャフト付発泡体PSと非発泡体Qとの間におけるエアーを除去し互いに固定してから、図7Cに示すように所望の形状に切断して、導電性発泡層と導電性非発泡層とから成る2層構造の半導電性ローラR(半導電性ローラR1〜R9)を作製する。
なお、前記半導電性ローラRの外周面は、円筒研削盤により研磨して、外径20mm,軸方向の長さ230mmに調整する。また、図7中の矢印は、エアー吹出機によるエアーの流れを示すものである。
以上示した方法により発泡体Pと各非発泡体Q1〜Q9とを用いて作製した各半導電性ローラR1〜R9において、JISのK6251,K6253に準拠および図8〜図10に示す方法(詳細を後述する)により、常態物性(硬度(アスカーC硬度),製品抵抗値,耐久性),トナー融着性,ブリード性を調べた。また、前記の各半導電性ローラR1〜R9を図12に示した電子写真装置の2次転写ローラに適用して、その印字評価を行った。さらに、前記の各半導電性ローラR1〜R9における導電性非発泡層の常態物性(硬度,体積固有抵抗値(図3に示す方法))も調べた。
図8は、半導電性ローラにおけるトナー融着性の測定方法を示す説明図である。なお、図7に示すものと同様なものには同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。図8に示すように、まずSUS板81上にトナー82を均一な厚さで塗布し、そのトナー82上に半導電性ローラRを載置し、その半導電性ローラRにおけるシャフト72の両端に対して約2.45Nの荷重を加え、40℃×90%RHの雰囲気下で72時間放置する。その後、前記SUS板81と半導電性ローラRとを引き離しトナー82をエアー(4.9×104Paのエアー圧)により除去して、半導電性ローラRに残存したトナーを目視により観察する。
ブリード性においては、図8に示したSUS板81と半導電性ローラRとの間に、トナー82の代わりに普通紙を介在させ、その半導電性ローラRにおけるシャフト72の両端に対して約2.45Nの荷重を加えて、温度80℃の雰囲気下で72時間放置する。その後、前記SUS板81と半導電性ローラRとを互いに引き離してから、前記普通紙に対するブリードアウトの有無(半導電性ローラRからの可塑剤等の滲みだし)を目視により観察する。
図9は、半導電性ローラにおける耐久性の測定方法を示す説明図である。なお、図7に示すものと同様なものには同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。図9に示すように、回転電極91の外周面上に半導電性ローラRを載置し、その半導電性ローラRにおけるシャフト72の両端に対して約49Nの荷重を加える。そして、前記回転電極91の回転により半導電性ローラRを回転させながら、高圧電源92により前記シャフト72と回転電極91との間に電圧2kVを1.5時間印加し、異常放電等の有無を観察する。
図10は、半導電性ローラにおける製品抵抗値の測定方法を示す説明図である。なお、図7に示すものと同様なものには同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。図10に示すように、温度22℃×55%の雰囲気下で、アルミ板10上に半導電性ローラRを載置し、その半導電性ローラRにおけるシャフト72の両端に対して約4.9Nの荷重を加える。そして、前記シャフト72とアルミ板10との間に電圧100Vを10秒間印加した後、その半導電性ローラの製品抵抗値を抵抗測定機11により測定する。
以上示したような方法により測定した半導電性ローラR1〜R9の製品特性(常態物性,トナー融着性,ブリード性,印字評価)および導電性非発泡層の常態物性を、下記の表17に示した。
なお、表17中の印字評価において、「NG1」は異常放電によりブラー現象等が起きた場合、「NG2」はトナー融着により文字抜けが起きた場合、「NG3」は異常放電により文字抜けや裏汚れ等が生じた場合、「NG4」は抵抗値高により文字抜け等が起きた場合、を示すものとする。また、記号「×」はトナー融着,ブリードアウトが起きた場合または耐久性,総合評価が悪い場合、記号「○」はトナー融着,ブリードアウトが起きなかった場合または耐久性,印字評価,総合評価が良好な場合、を示すものとする。
Figure 2005284295
前記の表17に示すように、各半導電性ローラR1〜R8における導電性非発泡層において、それぞれ同様な硬度および体積固有抵抗値であったが、導電性非発泡層の可塑剤として一般的なジオクチルフタレート(炭酸エステル以外)を用いた半導電性ローラR7の場合、著しいブリードアウトが生じトナー融着が起こった。
また、表17中で製品抵抗値が最も低い半導電性ローラR8の場合、そのローラ付近で異常放電が生じブラー現象等が起こった。さらに、表17中で導電性非発泡層の体積固有抵抗値および製品抵抗値が最も高い半導電性ローラR9の場合、トナーに対して十分な電荷を付与することができず、文字抜け等の印字不良が起こった。
一方、導電性非発泡体の可塑剤として炭酸エステルを用いた半導電性ローラR1〜R6の場合、ブリードアウトやトナー融着が起こらず、特に可塑剤としてプロピレンカーボネートを用いた半導電性ローラR1,R5,R6はブリード性,トナー融着性において良好な結果が得られた。また、炭酸エステルは、NBRだけではなくEPDM,ウレタンゴム等においても相溶することを確認できた。
ゆえに、円柱状のシャフトの外周面に対して導電性発泡層と導電性非発泡層とを形成した半導電性ロールにおいて、導電性非発泡層の可塑剤として炭酸エステルを用いることにより、ブリードアウトやトナー融着を防止することができると共に、適当な導電性(製品抵抗値が1×108〜1×1010Ω・cm程度),柔軟性を得ることができる。
また、前記の半導電性ローラを例えばカラー現像剤を用いた電子写真装置(例えば、2次転写ローラ)に適用しても、電子写真装置に求められる所望の常態物性,製品特性等が得られ、ブラー現象や裏汚れ等を防止することができ出力印字が向上することを判明した。
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲内で多様な変形及び修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形及び修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
本実施の形態におけるトナー融着性の測定方法を示す説明図。 本実施の形態におけるブリード性の測定方法を示す説明図。 本実施の形態における体積固有抵抗値の測定方法を示す説明図。 可塑剤添加量に対する体積固有抵抗値特性図。 試料G1における波数に対する赤外線吸収スペクトル特性図。 試料G2における波数に対する赤外線吸収スペクトル特性図。 本実施の形態における半導電性ローラの製造方法を示す説明図。 半導電性ローラにおけるトナー融着性(またはブリード性)の測定方法を示す説明図。 半導電性ローラにおける耐久性の測定方法。 半導電性ローラにおける製品抵抗値の測定方法を示す説明図。 一般的な電子写真装置の概略構成図。 カラー現像剤を用いた電子写真装置の概略構成図。
符号の説明
11a,11b…高分子弾性体組成物
12,82…トナー
13…重り
21…普通紙
33…被測定対象(高分子弾性体組成物または導電性非発泡層)
72…シャフト
P…発泡体(導電性発泡層)
Q…非発泡体(導電性非発泡体)
R…半導電性ローラ

Claims (4)

  1. 金属製軸体の外周面に導電性発泡層を形成し、その導電性発泡層の外周面に導電性非発泡層を形成して成る半導電性ローラにおいて、
    少なくとも前記導電性非発泡層が炭酸エステルを含むことを特徴とする半導電性ローラ。
  2. 前記炭酸エステルとしてプロピレンカーボネートを用いたことを特徴とする請求項1記載の半導電性ローラ。
  3. 前記導電性非発泡層は、少なくともポリマー,カーボン系の導電剤,架橋剤,可塑剤を含有し架橋させて得た高分子弾性体組成物から成ることを特徴とする請求項1または2記載の半導電性ローラ。
  4. 製品抵抗値が1×108Ω・cm〜1×1010Ω・cmで、転写ローラに用いられることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の半導電性ローラ。
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