JP2005283495A - 移動体の速度測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 速度演算部は、移動体が通過するときに発生する圧力変動P11〜P14に基づいてこの移動体の速度を演算する。速度演算部は、移動体前部が第1の通過点を通過したときに発生する圧力変動(プラスマイナスの波形)P11と、この第1の通過点を通過した移動体前部が第2の通過点を通過したときに発生する圧力変動(プラスマイナスの波形)P13との発生時間差ΔT、及び第1の通過点から第2の通過点までの距離に基づいて、移動体の速度を演算する。速度演算部は、例えば、圧力変動P11〜P14のピーク又はゼロ点に基づいて圧力変動P11,P13の発生時間差ΔTを演算し、一定値である第1の通過点から第2の通過点までの距離をこの発生時間差ΔTによって除算し移動体の速度を演算する。
【選択図】 図2
Description
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、移動体(1,10)の速度を測定する移動体の速度測定装置であって、前記移動体が通過するときに発生する圧力変動(P11〜P14,P31〜P34)に基づいてこの移動体の速度を演算する速度演算手段(8f)を備えることを特徴とする移動体の速度測定装置(8)である。
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る移動体の速度測定装置を備える走行実験装置の平面図である。
図1に示す移動体1は、実際の列車を模擬した模型列車であり、例えば新幹線列車などを縮尺して製作されている。移動体1には、実際の列車の先頭部を模擬した移動体前部1aと、実際の列車の後尾部を模擬した移動体後部1bとが形成されている。構造物2は、実際の構造物を模擬した模型構造物であり、例えば新幹線列車などが通過するトンネル、トンネル緩衝工、跨線橋、橋上駅などの固定構造物を縮尺して製作されている。構造物2には、移動体1が突入する構造物入口2aと、移動体1が退出する構造物出口2bとが形成されている。
図2(A)に示す縦軸は圧力に対する電圧(V)であり、横軸は時間(ms)である。図2(B)に示す縦軸は圧力勾配に対する電圧勾配(V/s)であり、横軸は時間(ms)である。図2に示す圧力波形及び圧力勾配は、図1に示す圧力変動測定部8aと圧力変動測定部8bとの間の距離L1=2025mmであり、移動体長さl=1000mmであり、発射装置4からの移動体1の発射速度U=303.2km/hであるときの波形である。なお、図2(B)に示す圧力勾配P21〜P24の正又は負のピークは、図2(A)に示す圧力変動P11〜P14のゼロ点に対応している。
ステップ(以下、Sという)100において、圧力変動測定部8aが圧力変動を測定する。図1に示す発射装置4が移動体1を発射してガイド装置5によってガイドされながら移動体1が通過点P1を通過する。その結果、図2(A)に示すように、移動体前部1aが通過点P1を通過するときに発生する圧力変動P11を圧力変動測定部8aが測定するとともに、移動体後部1bが通過点P1を通過するときに発生する圧力変動P12を圧力変動測定部8aが測定する。
(1) この第1実施形態では、移動体1が通過するときに発生する圧力変動P11〜P14に基づいて移動体1の速度を速度演算部8fが演算する。このため、移動体1が揺れながら通過しても測定結果に対する影響を低減することができるとともに、移動体1に磁石を設置するような作業が不要になるため磁石の脱落などの危険性を回避することができる。また、移動体1の側方の適当な位置に圧力変動測定部8a,8bを容易に設置するだけで速度を簡単に精度よく測定することができるため、測定値のばらつきを小さくすることができる。
図4は、この発明の第2実施形態に係る移動体の速度測定装置を備える走行実験装置の平面図である。以下では、図1〜図3に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図4に示す圧力変動測定部8a,8bは、構造物2が移動する構造物2内(トンネル区間)に所定の間隔をあけて2つ配置されており、圧力変動測定部8bは圧力変動測定部8aよりも構造物出口2b側に所定の距離L1だけ離れて配置されている。
図5(A)に示す縦軸は圧力(kPa)であり、横軸は時間(s)である。図2(B)に示す縦軸は圧力勾配(kPa/s)であり、横軸は時間(s)である。図5に示す圧力波形及び圧力勾配は、図4に示す移動体長さl=915mmであり、圧力変動測定部8aと圧力変動測定部8bとの間の距離L1=1000mmであり、発射装置4の長さL2=2300mmであり、発射装置4の発射口4cから構造物入口2aまでの距離L3=1500mmであり、構造物入口2aから圧力変動測定部8aまでの距離L4=1000mmであり、圧力変動測定部8bから構造物出口2bまでの距離L5=8000mmであり、発射装置4からの移動体1の発射速度U=305km/hであるときに波形変換部8eによって変換された波形である。図5に示す太線の波形は、圧力変動測定部8aによる測定結果であり、細線の波形は圧力変動測定部8bによる測定結果である。波形変換部8eは、図5(A)に示す圧力波形に圧力検出信号を変換するとともに、図5(B)に示すようにこの圧力波形を圧力勾配に変換する。
図6は、この発明の第3実施形態に係る移動体の速度測定装置を備える走行実験装置の平面図である。図7は、この発明の第3実施形態に係る移動体の速度測定装置の圧力変動測定部の測定結果を模式的に示すグラフであり、図7(A)は圧力波形を示し、図7(B)は圧力勾配を示す。
図6に示す速度測定装置8は、圧力変動測定部8aと、信号処理部8cと、波形変換部8eと、速度演算部8fと、記憶部8gと、制御部8hと、補正部8iなどを備えており、圧力変動測定部8aは構造物2と発射装置4との間(明かり区間)に1つ配置されている。
以下では、図3に示す処理と同一の処理については詳細な説明を省略する。
S200において、圧力変動測定部8aが圧力変動を測定し、S210において波形変換部8eが圧力波形及び圧力勾配に変換する。信号処理部8cが出力する圧力検出信号を、図7に示すような圧力波形及び圧力勾配に波形変換部8eが変換し記憶部8gが記憶する。S220において、補正部8iが移動体長さlを補正する。補正部8iは、移動体前部1aの通過による0点から移動体後部1bの通過による0点までの0点間距離(以下、距離L0という)を以下のいずれかの補正方法によって補正する。
1点わき出しモデルによると、圧力変動が0となる点は次のようになる。先ず、補正部8iは、移動体断面積をA0とすると、以下の数1(参考文献1:今井功 流体力学(前編) 裳華房 pp.86-88 1973.11)によって断面積半径bを演算する。
補正部8iは、移動体前部1aの断面積分布をATn(y1)(0≦y1<a)、先頭部の長さをaとすると、前部断面積分布重心lc(参考文献2:M.S.Howe Journal of Fluids and Structures 17 pp.629-642 2003)を以下の数3によって演算する。
図9は、明かり区間で観測される圧力変動の予測のための座標系を示す図である。
図9に示すように、移動体1が一定速度Uでx1の負の方向に進行するものとする。座標系の原点は、移動体1が列車の場合にはまくらぎの長さ方向については移動体1の中心に置き、高さ方向については地面に置く。移動体前部1aは、時間t=0に座標原点を通過するものとする。補正部8iは、移動体長さをl、移動体前部1aの断面積分布をATn(y1)、移動体後部1bの断面積分布をATt(y1)(l−a≦y1<l)として、明かり区間の通過時の圧力変動p(x,t)を以下の数5によって演算する。
補正部8iは、差分法、有限要素法、有限体積法、境界要素法などの数値流体力学(CFD)ソルバーを用いて、事前に距離L0を演算する。
図10は、この発明の第4実施形態に係る移動体の速度測定装置を備える走行実験装置の平面図である。図11は、この発明の第4実施形態に係る移動体の速度測定装置の圧力変動測定部の測定結果を模式的に示すグラフであり、図11(A)は圧力波形を示し、図11(B)は圧力勾配を示す。
速度演算部8fは、図11(A)に示すように、移動体前部1aが通過点P3を通過したときに発生する圧力変動(プラス側からマイナス側に下降する波形)P31と、移動体後部1bが通過点P3を通過したときに発生する圧力変動(マイナス側から上昇する波形)P32との発生時間差ΔT、及び図10に示す移動体長さlに基づいて、移動体1の速度を演算する。速度演算部8fは、例えば、図11(A)に示す圧力変動P31,P32のピークに基づいて圧力変動P31,P32の発生時間差ΔTを演算して、一定値である移動体長さlをこの発生時間差ΔTによって除算し移動体1の速度を演算する。また、速度演算部8fは、図11(B)に示す圧力勾配P42,P43のピークに基づいて圧力変動P31,P32の発生時間差ΔTを演算して、一定値である移動体長さlをこの発生時間差ΔTによって除算し移動体1の速度を演算する。
図12は、この発明の第5実施形態に係る移動体の速度測定装置による明かり区間における列車速度の測定状況を示す概念図である。以下では、図1、図4、図6及び図10に示す速度測定装置8によって実際の列車の速度を測定する場合を例に挙げて説明し、図1、図4、図6及び図10に示す部分と対応する部分については対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
図12に示す移動体10は、鉄道車両を編成した新幹線列車などである。構造物20は、新幹線列車などが通過するトンネルなどの固定構造物である。圧力変動測定部8a,8bは、図12に示すように、構造物20内(トンネル区間)以外の明かり区間に所定の間隔をあけて2つ配置されており、移動体10が明かり区間の通過点P1,P2を通過するときに発生する圧力変動を測定する。この第5実施形態では、第1実施形態と同様に、移動体10の速度を簡単に精度よく測定することができる。
図13は、この発明の第6実施形態に係る移動体の速度測定装置によるトンネル区間における列車速度の測定状況を示す概念図である。
図13に示す圧力変動測定部8a,8bは、トンネル区間に所定の間隔をあけて2つ配置されており、移動体10が構造物20内の通過位置P3,P4を通過するときに発生する圧力変動を測定する。この第6実施形態では、第2実施形態と同様に、移動体10の速度を簡単に精度よく測定することができる。
図14は、この発明の第7実施形態に係る移動体の速度測定装置による明かり区間における列車速度の測定状況を示す概念図である。
図14に示す圧力変動測定部8aは、明かり区間に1つ配置されており、移動体10が明かり区間の通過点P1を通過するときに発生する圧力変動を測定する。この第7実施形態では、第3実施形態と同様に、移動体10の速度をより一層簡単に測定することができる。
図15は、この発明の第8実施形態に係る移動体の速度測定装置によるトンネル区間における列車速度の測定状況を示す概念図である。
図15に示す圧力変動測定部8aは、トンネル区間に1つ配置されており、移動体10が構造物20内の通過位置P3を通過するときに発生する圧力変動を測定する。この第8実施形態では、第4実施形態と同様に、移動体10の速度をより一層簡単に測定することができる。
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この第1実施形態〜第8実施形態では、移動体1,10が鉄道車両や模型車両である場合を例に挙げて説明したが、磁気浮上式鉄道、航空機、自動車などの他の移動体についてもこの発明を適用することができる。また、この第1実施形態〜第8実施形態では、圧力変動P11〜P14,P31〜P34のピーク、ゼロ点及び圧力勾配P21〜P24,P42,P43のピークから発生時間差ΔTを演算しているが、これらのいずれか一つから発生時間差ΔTを演算したり、これらの発生時間差ΔTを平均化して演算したりすることもできる。同様に、この第1実施形態〜第8実施形態では、移動体前部1a,10a及び移動体後部1b,10bが通過したときに発生する圧力変動P11〜P14,P31〜P34に基づいて移動体1,10の速度を演算しているが、移動体前部1a,10a又は移動体後部1b,10bのいずれか一方が通過したときに発生する圧力変動P11〜P14,P31〜P34に基づいて移動体1,10の速度を演算することもできる。さらに、この第1実施形態〜第8実施形態では、トンネル区間又は明かり区間に圧力変動測定部8a,8bを1つ又は2つ配置した場合を例に挙げて説明したが、3つ以上配置することもできる。
1a 移動体前部
1b 移動体後部
2 構造物
3 走行実験装置
8 速度測定装置
8a,8b 圧力変動測定部
8c,8d 信号処理部
8e 波形変換部
8f 速度演算部
8g 記憶部
8h 制御部
8i 補正部
10 移動体(車両)
10a 移動体前部
10b 移動体後部
20 構造物
P1,P3 通過点(第1の通過点)
P2,P4 通過点(第2の通過点)
L1 距離
P11〜P14,P31〜P34 圧力変動
P21〜P24,P41〜P47 圧力勾配
l 移動体長さ
ΔT 発生時間差
Claims (10)
- 移動体の速度を測定する移動体の速度測定装置であって、
前記移動体が通過するときに発生する圧力変動に基づいてこの移動体の速度を演算する速度演算手段を備えること、
を特徴とする移動体の速度測定装置。 - 請求項1に記載の移動体の速度測定装置において、
前記速度演算手段は、前記移動体の前部が第1の通過点を通過したときに発生する圧力変動と、前記第1の通過点を通過した前記移動体の前部が第2の通過点を通過したときに発生する圧力変動との発生時間差、及び前記第1の通過点から前記第2の通過点までの距離に基づいて、この移動体の速度を演算すること、
を特徴とする移動体の速度測定装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の移動体の速度測定装置において、
前記速度演算手段は、前記移動体の後部が第1の通過点を通過したときに発生する圧力変動と、前記第1の通過点を通過した前記移動体の後部が第2の通過点を通過したときに発生する圧力変動との発生時間差、及び前記第1の通過点から前記第2の通過点までの距離に基づいて、この移動体の速度を演算すること、
を特徴とする移動体の速度測定装置。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の移動体の速度測定装置において、
前記移動体が通過するときに発生する圧力変動を測定する圧力変動測定手段を備え、
前記圧力変動測定手段は、前記移動体が移動するトンネル区間又はこのトンネル区間以外の明かり区間に所定の間隔をあけて2つ配置されていること、
を特徴とする移動体の速度測定装置。 - 請求項1に記載の移動体の速度測定装置において、
前記速度演算手段は、前記移動体の前部が所定の通過点を通過したときに発生する圧力変動と、前記移動体の後部が前記所定の通過点を通過したときに発生する圧力変動との発生時間差及び前記移動体の長さに基づいて、この移動体の速度を演算すること、
を特徴とする移動体の速度測定装置。 - 請求項1又は請求項5に記載の移動体の速度測定装置において、
前記移動体が通過するときに発生する圧力変動を測定する圧力変動測定手段を備え、
前記圧力変動測定手段は、前記移動体が移動するトンネル区間又はこのトンネル区間以外の明かり区間に1つ配置されていること、
を特徴とする移動体の速度測定装置。 - 請求項5又は請求項6に記載の移動体の速度測定装置において、
前記移動体の長さを補正する補正手段を備え、
前記速度演算手段は、前記発生時間差及び前記補正後の前記移動体の長さに基づいて、この移動体の速度を演算すること、
を特徴とする移動体の速度測定装置。 - 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の移動体の速度測定装置において、
前記速度演算手段は、前記圧力変動のピーク及び/又はゼロ点に基づいて前記移動体の速度を演算すること、
を特徴とする移動体の速度測定装置。 - 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の移動体の速度測定装置において、
前記速度演算手段は、前記圧力変動の圧力勾配のピークに基づいて前記移動体の速度を演算すること、
を特徴とする移動体の速度測定装置。 - 請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の移動体の速度測定装置において、
前記速度演算手段は、前記移動体が車両又は模型車両であるときに、この車両又はこの模型車両が通過するときに発生する圧力変動に基づいて、この車両又はこの模型車両の速度を演算すること、
を特徴とする移動体の速度測定装置。
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