JP2005283150A - 液量検出器 - Google Patents

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【課題】 ノズル部内に吸引される液体量の多少によって、静電容量による検出感度に影響を与えないようにし、ノズル部から分注される液体が極めて微量であっても、その分注量を高い精度で検出できるようにすることである。
【解決手段】 対向して配置される一対の検出電極板11,12を備え、この検出電極板11,12間に分注チップ10を挿入したときに、分注チップ内に収容される液体の変化量を、前記検出電極板11,12間の静電容量の変化として検出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ノズルなどに吸引した微量の液体を高精度で検出するための液量検出器に関するものである。
最近の血液自動分析やマイクロチップによる免疫・環境分析などの技術はめざましい発展を見せているが、それらの分野で行なわれる定量分析技術の一つにマルチピペットノズルの分注による定量分注や希釈分注などがある。従来、ノズルによる定量分注を行なう場合に、ノズル内に吸引した液体の量を高精度で検出するための手段として、液量変化を静電容量によって検出するようにした液体吸引装置が知られている(特許文献1)。
この液体吸引装置1は、図12に示したように、容器2内の液体3を吸引するノズル部4を、電気絶縁性の内管5と導電性の外管6とからなる二重構造のノズル部本体7と、このノズル部本体7の先端部に導電性外管6と電気的に絶縁された状態で設けられる導電性のノズル先端部8とによって形成し、このノズル先端部8と導電性外管6との間の静電容量C1の変化に基づいて、吸引された液体の量を検出するものである。
しかしながら、上記従来の液体吸引装置1にあっては、ノズル部4自身が検出器となっているために、ノズル本体部7内に吸引された液体3aの多少によって検出器としての測定感度が変動するおそれがある。特に、ノズル本体部7内に吸引された液体3aを他の容器に微量ずつ分注するような場合、分注に伴うノズル本体部7内の液体3aの減少によって測定感度が変動してしまうために、分注した微量の液体量を高い精度で検出することができなかった。
また、上記従来の液体吸引装置1にあっては、ノズル部4が液体吸引装置1と一体の検出器を構成しているために、ノズル部4内に吸引する液体の種類を替える度にノズル部4の流路を水などで洗浄しなければならず、その作業が面倒であると同時に残留液や付着物の混入で検出精度に影響を及ぼすおそれがあった。
特開平10−311840号公報
そこで、本発明が解決しようとする課題は、第1に、ノズル部内に吸引される液体量の多少によって検出感度に影響を与えないようにすることである。即ち、ノズル部から分注される液体が極めて微量であっても、その分注量を高い精度で検出できるようにすることである。第2に、検出器とノズル部とを分離し、非接触方式でノズル部内の液量を検出できるようにして、作業性の向上と共に分注量の検出精度を高めることである。
上記課題を解決するために、本発明に係る液量検出器は、対向して配置される一対の検出電極板を備え、この検出電極板間に分注チップを挿入したときに、分注チップ内に収容される液体の変化量を、前記検出電極板間の静電容量の変化として検出することを特徴とする。
前記検出電極板を二枚以上の電極板からなる多重構造とすることで、検出感度をより一層高めることができる。また、一対の検出電極板間の距離を調整可能とすることで、分注チップの形状や大きさに対応して適宜調整でき、精度の高い検出を行なうことができる。
以上説明したように、本発明に係る液量検出器は、分注チップから分注される液体が極めて微量であっても、高精度で検出することができる。また、本発明の液量検出器は、被検出体である分注チップとは別体で設けられているので、分注チップを液体の種類が変わる毎に新しく取り替えることができ、洗浄等の作業が必要なくなると共に、洗浄をなくすことによって分注量の検出精度を高めることができた。
図1は本発明に係る液量検出器の原理図を示したものである。図1において、符号10は分注ユニットの先端に取付けられて血液や試薬などの液体を収容する分注チップであり、符号11,12は前記分注チップ10に収容された液体の静電容量C2を浮遊容量と共に検出するための一対の検出電極板である。本発明の液量検出器は、検出電極板11,12が分注チップ10とは別体で構成されている。
前記分注チップ10は、高周波の誘電特性などを備えるポリプロピレン、その他のプラスチックによって形成されている。この分注チップ10は、図2に示されるように、全体が円錐形状をしており、且つ先端部分に向かって細く鋭い形状となっているので、微量の液体を分注するのに適し、10μl以下の液体を分注することも可能である。なお、この分注チップ10は市販のものを利用することができる。
前記一対の検出電極板11,12は、導電性材料によって形成されており、図1及び図2に示されるように、分注チップ10の外周面の形状に合わせて各々が湾曲形状をしている。これらの検出電極板11,12は、所定の距離を設けて対向するように配置され、分注チップ10が検出電極板11,12間に挿入された時に、分注チップ10の外周面との間に一定の隙間Sが形成されるように、分注チップ10の外周面のテーパに対応した傾斜角度で、図示外の部材によって保持されている。また、前記一対の検出電極板11,12は、挿入される分注チップ10の形状や大きさに応じて両者間の距離を調整できるように、前後方向(図1における矢印方向)に移動可能に設定されている。なお、この実施形態では、一方の検出電極板11と他方の検出電極12が検出回路13に接続されることで、両者間の静電容量C2が検出される。
本発明は、分注チップ10及びその中に収容された液体の液量変化を、分注チップ10の両側に配置される検出電極板11,12間の静電容量C2の変化として検出するものである。静電容量C2は、誘電体である分注チップ10の誘電率及びその中に収容された液体の誘電率と、検出電極板11,12の対向面積及び検出電極板間の距離との関係で決定される。したがって、検出電極板11,12の対向面積と距離とを固定しておき、該検出電極板11,12間に分注チップ10を先端部から挿入することで、分注チップ10内に収容された液体の変化量を検出電極板11,12間の静電容量C2の変化として捉えることができる。
分注チップ10を対向して配置される一対の検出電極板11,12間に挿入する手段としては、分注チップ10を検出電極板11,12間に上方から差し込み、検出後に再び上方に引き抜く方法、又は分注チップ10を水平方向に移動させて検出電極板11,12間を横方向に通過させる際に検出する方法などがある。
図3及び図4は、本発明に係る液量検出器の第2実施形態を示したものである。この実施形態に係る液量検出器は、一対の検出電極板11,12を内側電極板11a,12aと外側電極板11b,12bとの二重構造にしたものである。内側電極板11a,12aおよび外側電極板11b,12bは、前記第1実施形態と同様に、分注チップ10の外周面の形状に対応した湾曲形状をしており、その間にプラスチック樹脂15のような絶縁材料を挟み込むことで両者を離間させている。なお、内側電極板11a,12aと外側電極板11b,12bとの間に空気層を介して離間させてもよい。前記内側電極板11a,12aは、第1の実施形態の場合と同様、所定の距離を設けて対向配置され、分注チップ10が内側電極板11a,12a間に挿入された時に、分注チップ10の外周面との間に一定の隙間Sが形成されるように、分注チップ10の外周面のテーパに対応した傾斜角度で保持されている。外側電極板11b,12bは、内側電極板11a,12aの背面側に離間した状態で配置される。なお、この実施形態では、両方の内側電極板11a,12aが検出回路13に接続され、両方の外側検出電極11b,12bが検出回路13のケーシングに接地されている。また、この実施形態では外側電極板11b,12bが左右に分かれているが、一体構造であっても適用可能である。
前記二重構造の検出電極板11,12によって検出される静電容量は、図5に示すような等価回路によって表わすことができる。即ち、検出電極板11,12が二重構造の場合、誘電体である分注チップ10の中に収容された液体の変化量を、分注チップ10の両側に配置される内側電極板11a,12a間の検出容量C3の変化として検出することができ、内側電極板11a,12aと外側電極板11b,12bとの間に配置された絶縁体としてのプラスチック樹脂15については浮遊容量C4,C5として検出することができる。検出回路13によって検出される静電容量は、検出容量C3に浮遊容量C4,C5を加えた合成容量であるが、浮遊容量C4,C5を含む直列接続となるために、検出容量C3と浮遊容量C4,C5との合成容量が第1実施形態の場合に比べて小さくなる。検出容量C3は、浮遊容量C4,C5に比べて非常に小さいので、上記のように合成容量を抑えることで、相対的に検出容量C3の変化量が大きなものとなる。そのために、分注チップ10内の微量の液体変化を高精度、高感度で検出することができ、10μl以下の分注量を静電容量の変化として検出することが可能となる。この実施形態のように、二重構造の検出電極板11,12によって液量検出した場合には、前記第1実施形態における電極板構造に比べて、約1.5倍の高感度で検出できることを確認している。なお、上記の実施形態では二重構造の検出電極板11,12について説明したが、更に多重構造とすることで、検出感度をより一層高めることができる。
図6は本発明に係る液量検出器を用いた血液自動分析装置の一実施形態を示したものである。この図に示すように、血液自動分析装置20は、ベース部21と駆動部22とを備えており、ベース部21には、検体ユニット23、試薬ユニット24、チップ収納ユニット25が配設される。検体ユニット23には多数の人から採取した血液を検査項目に応じて分注した試験管が配列され、試薬ユニット24には血液検査の項目に対応した種類の試薬を揃えた試験管が配列される。チップ収納ユニット25には、検体に対して異なる試薬を用いる毎に使い捨て使用される未使用の分注チップ10が多数配列されている。さらに、本発明では前記チップ収納ユニット25の隣りに分注チップ10の廃棄部26および本発明に係る液量検出器27が配設されている。そして、廃棄部26の前面側には廃棄部26に投入された廃棄チップを収容する廃棄ボックス28が配置されている。
一方、駆動部22にはX,Y,Z軸方向に移動可能な分注ユニット30と、この分注ユニット30をX,Y軸方向に移動させるためのガイドレールが配設される。ガイドレールは、分注ユニット30をX軸方向に移動させる一対のX軸ガイドレール31a,31bと、Y軸方向に移動させるY軸ガイドレール32とからなる。X軸ガイドレール31a,31bは、前記ベース部21の両側において、前後方向に配設された一対の側面フレーム33a,33b内にそれぞれ配設され、一方のY軸ガイドレール32は、左右のX軸ガイドレール31a,31bに摺動可能に掛け渡されている。前記分注ユニット30は、Y軸ガイドレール32に跨って配置され、X,Y軸移動機構(図示せず)によってY軸ガイドレール32上を左右方向に移動すると共に、X軸ガイドレール31a,31bと平行に前後方向に移動する。また、分注ユニット30は、Z軸移動機構(図示せず)を備えており、分注ユニット30の前面に設けられたヘッド部35を上下方向に移動する。なお、ヘッド部35の先端には前記分注チップ10が着脱自在に装着される。前記X,Y,Z軸移動機構はステッピングモータによってドライブされ、左右の側面フレーム33a,33bの後端部を左右方向に連結する背面フレーム36に支持された駆動制御部37から信号配線38を通じて、分注ユニット30の動きがコントロールされる。
図7乃至図11は、上述した血液自動分析装置20の分注ユニット30の動作を示したものである。先ず、本装置の電源スイッチを入れると、図7(a)に示すように分注ユニット30がチップ収納ユニット25の装着位置まで移動し、その位置でヘッド部35が下降動作して先端に分注チップ10を装着する。次いで、ヘッド部35を上昇させた後、(b)に示すように、分注ユニット30を液量検出器27の位置まで移動し、再びヘッド部35を下降させて分注チップ10を検出電極板11,12間に挿入し、液量ゼロの時の静電容量を検出する。そして、この時の検出値に基づいて検出回路のゼロ調整を行なう。その後、ヘッド部35を上昇させて分注チップ10を検出電極板11,12間から引き抜き、(c)に示すように、分注ユニット30を試薬ユニット24の所定位置(試験管イ)まで移動する。そして、(d)に示すように、この位置で再びヘッド部35が下降して分注チップ10の先端部分を試験管イ内に挿入し、ポンプを動作させて一定量の試薬(例えば30μl)を分注チップ10内に吸引する。次いで、ヘッド部35を上昇させた後、(e)に示すように、分注ユニット30を液量検出器27の位置まで移動する。
図8(f)に示すように、再びヘッド部35を下降させて分注チップ10を検出電極板11,12間に挿入し、静電容量を検出して分注チップ10内に収容した試薬が30μlであることを確認する。確認終了後、(g)に示すように、分注ユニット30を検体ユニット23の所定位置(試験管A)まで移動し、再びヘッド部35を下降させ、ポンプを動作させて分注チップ10の先端部分から一定量(例えば10μl)の試薬を検体内に吐出する(h)。次いで、ヘッド部35を上昇させた後、(i)に示すように、分注ユニット30を液量検出器27の位置まで移動する。
図9(j)に示すように、再びヘッド部35を下降させて分注チップ10を検出電極板11,12間に挿入し、静電容量を検出して分注チップ10内に残っている試薬が20μlであることを確認する。確認終了後、(k)に示すように、分注ユニット30を検体ユニット23の所定位置(試験管B)まで移動し、再びヘッド部35を下降させ、ポンプを動作させて分注チップ10の先端部分から一定量(例えば10μl)の試薬を検体内に吐出する(l)。次いで、ヘッド部35を上昇させた後、(m)に示すように、分注ユニット30を液量検出器27の位置まで移動する。
図10(n)に示すように、再びヘッド部35を下降させて分注チップ10を検出電極板11,12間に挿入し、静電容量を検出して分注チップ10内に残っている試薬が10μlであることを確認する。確認終了後、(o)に示すように、分注ユニット30を検体ユニット23の所定位置(試験管C)まで移動し、再びヘッド部35を下降させ、ポンプを動作させて分注チップ10の先端部分から一定量(例えば10μl)の試薬を検体内に吐出する(p)。次いで、ヘッド部35を上昇させた後、(q)に示すように、分注ユニット30を液量検出器27の位置まで移動する。
図11(r)に示すように、再びヘッド部35を下降させて分注チップ10を検出電極板11,12間に挿入し、静電容量を検出して分注チップ10内に残っている試薬が0μl、即ち分注チップ10内には試薬が残っていないことを確認する。上記確認後、ヘッド部35を上昇させ、(s)に示すように、分注ユニット30を分注チップ10の廃棄部26まで移動させたのち、ヘッド部35を下降させ(t)、ヘッド部35から分注チップ10を分離してホッパ内に廃棄すると同時にヘッド部35が上昇して、各試験管A,B,Cの検体に対する試験管イ内の試薬の分注動作が全て完了する。これによって、図7(a)の動作に戻り、他の試験管ロ,ハ内の試薬についても上記と同様の動作が繰り返される。
なお、上記の実施形態では分注チップ10から試験管A,B,C内に吐出される試薬の量がいずれも適正の10μlである場合について説明したが、吐出量が適正でないために液量検出器27での確認ができないときには、その時点で分注ユニット30の駆動が停止される。
本発明に係る液量検出器として、上記の実施形態では血液自動分析装置を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば液クロマトのような化学分析やマイクロチップによる免疫・環境分析など広い分野での応用が可能である。
本発明に係る液量検出器の第1原理図である。 第1実施形態に係る液量検出器の斜視図である。 本発明に係る液量検出器の第2原理図である。 第2実施形態に係る液量検出器の斜視図である。 第2実施形態に係る液量検出器の等価回路図である。 本発明に係る液量検出器を適用した血液自動分析装置を示す斜視図である。 血液自動分析装置における分注ユニットの動作(a)〜(e)を示す説明図である。 血液自動分析装置における分注ユニットの動作(f)〜(i)を示す説明図である。 血液自動分析装置における分注ユニットの動作(j)〜(m)を示す説明図である。 血液自動分析装置における分注ユニットの動作(n)〜(q)を示す説明図である。 血液自動分析装置における分注ユニットの動作(r)〜(u)を示す説明図である。 従来の液体吸引装置のノズル部を示す断面図である。
符号の説明
10 分注ユニット
11,12 検出電極板
15 プラスチック樹脂
27 液量検出器

Claims (5)

  1. 対向して配置される一対の検出電極板を備え、
    この検出電極板間に分注チップを挿入したときに、分注チップ内に収容される液体の変化量を、前記検出電極板間の静電容量の変化として検出することを特徴とする液量検出器。
  2. 前記一対の検出電極板間に分注チップを挿入して静電容量を検出する際、分注チップの外周面に検出電極板が非接触である請求項1記載の液量検出器。
  3. 前記検出電極板は、分注チップの外周面の形状に対応して形成されている請求項1記載の液量検出器。
  4. 前記検出電極板は、二枚以上の電極板からなる多重構造であると共に、各電極板が離間して配置されている請求項1記載の液量検出器。
  5. 前記一対の検出電極板は、対向する検出電極板間の距離が調整可能である請求項1記載の液量検出器。
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