JP2010096643A - 分注装置、及びそれを用いた検体処理装置,自動分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】血液,尿などの生体サンプルの定性・定量分析を行う自動分析装置において、吸引量に応じてノズルチップの下降速度を可変とし、液面追従を行うことによって、エア吸引の防止,吸引残量の低減を可能とし、吐出量に応じてノズルチップの上昇速度を変更し、検体液玉持ち帰り、ノズルチップの濡れを低減する。
【解決手段】ノズルチップ内の検体吸引量,吐出量を吸引・吐出圧と分注ヘッド部空間の体積変化量から逐次計算し、ノズルチップ形状と検体容器の形状と、圧力と体積変化量から計算した吸引量,吐出量から液面位置を計算する。計算から求められた液面位置の移動にノズルチップが追従するように、ノズルチップの下降・上昇速度を可変動作する。
【選択図】図7

Description

本発明は血液や尿などの検体や試薬などの液体を別の容器に所定量分注する分注装置、及びそれを用いた検体処理装置,自動分析装置に係り、特に分注のためのノズルを上昇,下降させるノズル駆動機構を備えた分注装置、及びそれを用いた検体処理装置,自動分析装置に関する。
血液,尿などの生体サンプルの定性・定量分析を行う自動分析装置,自動分析装置に供給する検体を遠心分離処理等する検体処理装置では、サンプル(検体),試薬などを必要量,サンプル容器または試薬容器から、反応容器に移し替える機構(分注機構)を備えることが一般的である。特に自動分析装置では、移し変える液体の量の精度が分析精度に直結するため、再現性がよく、かつ高精度な分注機構が要求されている。
分注精度を向上するための技術として特許文献1〜4に記載されているようなものが知られている。
特開2000−266765号公報 特開2005−207898号公報 特許第3410018号 特許第3519266号
特許文献1〜4に記載の分注技術は、検体の液面検出や吸引,吐出の異常検出等は行っているが、分注途中では検体の吸引・吐出量を正確に把握していない。そのような構成では液面に対してノズルチップ先端をより多めに突っ込み、空気吸引しないように設計せざるを得ず、結果として検体残量が多くなり、検体を最後まで吸引することができない可能性があった。また、カメラ等を用いて、検体量や液面の追従性を求める装置なども知られているが、高価であり、検体容器にバーコードラベル等が貼付してあると検出できない可能性がある。吐出においても、ノズルチップを検体に突っ込みすぎると、ノズルチップが濡れ過ぎて検体が付着したままになり、吐出量からその分が少なくなる可能性があった。また、ノズルチップを液面より上で空中吐出した場合は、最後の1滴分がノズルチップに付いたままとなる(検体液持ち帰り)可能性があり、分注精度が変動する可能性があった。
本発明の目的は、ノズルチップの下降速度を検体液面の下降速度に追従させることで、上記の問題を解決し、良好な分注を実現する分注装置、及びそれを用いた自動分析装置,検体処理装置を提供することにある。
本発明は、ノズルチップ内の検体吸引量,吐出量を吸引・吐出圧と分注ヘッド部空間の体積変化量から逐次計算し、ノズルチップ形状と検体容器の形状と、圧力と体積変化量から計算した吸引量,吐出量から液面位置を計算する。計算から求められた液面位置の移動にノズルチップが追従するように、ノズルチップの下降・上昇速度を可変動作することを特徴とする。
吸引時の吸引残量を低減し、エア吸引を発生させない。吐出時には、検体液玉持ち帰り、ノズルチップの濡れ量を低減することができ、分注精度の向上を図ることができる。
従来の分注動作から説明する。
分注ヘッドの構造や機能は特許文献1〜4に詳述がある。
図1は、検体分注装置に使用される分注ヘッドの一例を説明する断面図である。この分注ヘッドは、図2のXYZ移動機構(X:左右,Y:前後,Z:上下に移動)に取り付けられ、血清や尿等の検体の分注動作を行う。ここで分注ヘッド機構系は、主に、ノズルチップ101を装着するノズル基部102と検体を吸引吐出するための吸引吐出部及び、吸引・吐出時の圧力変化を電気信号に変換する圧力センサ106,液面検出時に内部空気を振動させるための加振源であるダイヤフラム107とそれを駆動するソレノイド103,空気の通路となる空洞109,110,111,信号処理回路108とから構成され、真空吸引部はベローズ圧縮・伸張用ステッピングモータ104によりベローズ105を圧縮・伸張してノズルチップ101の先端孔から検体をノズルチップ101内部の112に吸引・吐出する機構である。信号処理回路108は分注制御CPU3に接続され、マイクロプロセッサ等により、信号検出,分注処理,異常処理等が行われる。
液面検出時には、ベローズ105を圧縮状態で停止させておき、ソレノイド103を駆動しダイヤフラム107を振動させて、内部空気を振動させる。内部空気室109の圧力変動は圧力センサ106により検出し、特開2005−207898号公報に示す手法によりノズルチップ101の液面接触や詰まりを検出する。
図2は、従来の検体分注装置の検体吸引処理の概要を説明する図である。1はホストCPU(Central Processing Unit)、2は検体搬送路を制御する搬送路制御CPU、3は検体分注を制御する分注制御CPUである。分注機構はXYZ移動機構5と分注ヘッド201(図2では2個搭載)であり、分注ホストCPU1からの分注指示によりノズルチップ101を装着して、分注位置に搬送ラック204に搭載されて搬送された親検体容器203から検体を分注する。搬送制御CPU2は、搬送路の図示していないモータを制御して、搬送ラック204を分注位置まで搬送し、分注終了した搬送ラック204を装置外の搬送路に搬出する。
図3に従来の吸引動作を示す。図3(A):ノズルチップ101を下降させて血清210の液面を検知する。図1(B):検知した地点から血清210を吸引するとともにノズルチップ101先端が常に液中になるように下降させる。指示量の血清を吸引し終えたとき、または、図1(C):ノズルチップ101の先端が粘度の高い分離剤211に接触し、詰まりが検出された時点でノズルチップ101の下降及び吸引を停止する(吸引量Qa)。エア吸引しないようにノズルチップの下降速度を検体容器液面の下降速度より速めに設定するため、図3(B)(C)に示すように、ノズルチップ101の先端は、検体液中に深めに入り(L1)、検体残量(Qz1)が多くなる。また、ノズルチップ101の外壁の濡れ量も多くなる。
図4に従来の吐出動作を示す。図4(A):ノズルチップ101を吸引開始位置まで下降させる。図4(B):血清210を吐出するとともにノズルチップ101を上昇させる。図4(C):ノズルチップ101をZ軸上限まで上昇させ、吐出動作を終了する。吐出終了時には液中吐出の状態にするように液面より下にノズルチップ101の先端があるため、ノズルチップ101の濡れ量が多くなり(L2)、吐出終了時にノズルチップ101の外壁に付着した検体が液玉214となり、吐出量にばらつきが発生する可能性がある。また、分注ヘッド201の移動中に検体の液玉214が落下する可能性もある。
本発明の実施例を図1,図2と図5から図10に示す一実施例により説明する。本発明は、吸引,吐出時のノズルチップ101内の検体量を圧力センサ106の信号と分注用ポンプ(図1の例示ではベローズ105)体積変化量から計算し、液面位置の変化を計算し、ノズルチップ101(Z軸)の動作速度を計算することにより、ノズルチップ101先端を液面に追従させ、液中のノズルチップ深さ(L1,L2)をできるだけ小さくするもので、従来と同じハードウェア構成の制御系が使用でき、計算プログラムのみを分注制御CPU3に搭載すればよい。従って、図2が制御系,機構系の構成の一実施例を示す図である。分注ヘッド201は、複数個(図2では#1,#2)がXYZ移動機構に取り付けられ、血清や尿等の検体の分注動作を行う。ここで分注ヘッド201は、図1に示す従来と同じものが使用でき、ノズルチップ101を装着するノズル基部と検体を吸引吐出するための吸引吐出部及び、吸引・吐出時の圧力変化を電気信号に変換する圧力センサ106,信号処理回路等から構成され、ノズルチップ101の先端孔から検体を吸引・吐出する。信号処理回路は図示していないマイクロプロセッサ等により、分注ヘッド201内に取り付けた圧力センサ106の出力信号を処理し、分注処理,異常検出,処理等が行われる。ホストCPU1と搬送路制御CPU2,分注制御CPU3はローカル・データ通信回線で結合されている。搬送路制御CPU2は検体ラックの搬送制御を行う。分注制御CPU3は、ラックID(Identity:識別符号)によるホストCPU1への分注指示情報問合せ及び分注結果情報の送信,分注機のXYZ移動機構5や分注ヘッド201,分注機内の検体搬送機構を制御して、一連の分注動作を行う。親検体を入れた親検体容器203は検体容器搬送用ラック204に1本または複数本搭載されてラック単位で搬送される。
図5は、検体分注装置の検体吸引処理の概要を説明する一実施例の図である。図5(A):ノズルチップ101を下降させて血清210の液面を検知する。図5(B):検知した地点から液面に追従する形で血清210を吸引するとともにノズルチップ101を下降させる。指示量の血清を吸引し終えたとき、または、図5(C):ノズルチップ101の先端が分離剤211に接触し、詰まりが検出された時点でノズルチップ101の下降及び吸引を停止する(吸引量Qb)。
本発明により、ノズルチップ101の検体(血清)210への突っ込み量が少なくなり(L3)、残量(Qz2)が少なくなるとともに、ノズルチップ101の外壁への検体付着量が少なくなるため、血清210の採取量を従来方式に比べ、減少させることが可能となる。これは、患者の負担軽減になる。
なお、親検体容器203に保存用,再検査用などのために、ある量の検体を残したい場合、検体残量に相当する突っ込み量(L1,L3)を指定できるようにしてあり、その場合は、その指定値を確保しながら吸引による液面低下にノズルチップ101を追従させる。
図6は、検体分注装置の検体吐出処理の概要を説明する一実施例の図である。図6(A):ノズルチップ101を吐出開始位置まで下降させる。図6(B):子検体213を吐出するとともにノズルチップ101を検体の液面に追従しながら上昇させる。図6(C):ノズルチップ101をZ軸上限まで上昇させ、吐出動作を終了する。ノズルチップ101の液中深さを浅くして(L4)液面に追従する形で吐出動作を行っているため、ノズルチップ101の濡れ量が少なくなり、子検体213の表面張力によって検体液玉の発生が減少することが可能である。
図7は、吸引処理での処理フローの一実施例の概要を説明する図である。吸引処理が開始されると分注ヘッド201を下降してノズルチップ101の先端が検体の液面に到達し、液面検知されたら検体の吸引をするとともにノズルチップ101内の圧力信号から吸引異常とともに体積吸引量を算出し、吸引量から検体の液面を追従しながら分注ヘッド201を下降させる。
図8は、吐出処理での処理フローの一実施例の概要を説明する図である。吐出処理が開始されると分注ヘッド201を吐出開始位置まで下降し、吐出動作を行いノズルチップ101内の圧力信号から吐出量を算出し、吐出量から検体の液面を追従しながら分注ヘッド201を上昇させる。
図9は、検体分注装置の検体吸引処理時の動作波形を示す。吸引量は気体の状態方程式とボイルシャルルの法則とベローズの体積増加量から求めることができる。ベローズの動作に伴う分注ヘッド内部空間(ノズルチップ101から空洞110,109,111、ベローズ105に至る部分)の空気の圧力変化量は、圧力センサ106の信号により計算でき、この変化量と吸引前の内部空間の空気量からボイルシャルルの法則より内部空間の空気の膨張量が求まる。また、ベローズの体積増加量はベローズ105の伸張量×断面積から求めることができる。さらに、ベローズの体積増加量は空気の膨張量と検体吸引量の和に一致する。したがって、検体吸引量はベローズの体積増加量から空気の体積膨張量を差し引くことにより求められる。同様に吐出量も求めることができる。
図9(A):ベローズ105をt1からt2まで一定速度で伸長し検体を吸引する。図9(B):検体吸引時のノズルチップ101内の圧力変化を示す。この圧力波形が圧力センサ106により検出される。図9(C):圧力変化からノズルチップ101内の液量を計算した結果を示す。ノズルチップ101内の液量は図9(B)の吸引圧力のサンプリングごとの変化からあらかじめ測定または計算された吸引量の変化分を求め、それを積分(プログラムでは加算)することで計算できる。
図9(D):試験管(親検体容器)203内の液面低下を示す。図9(E):Z軸下降によるノズルチップ101の下降速度の動きを示す。下降速度は図9(D)の検体液面低下の微分(プログラムでは差分)であり、サンプリングごとの変化分(ノズルチップ101の液量変化を容器断面積で割ったもの)から計算できる。
この様に、ノズルチップ101内の検体量を計算しながらノズルチップ101を降下させると、液面追従性が向上し、エア吸引,ノズルチップ101の突っ込みすぎが軽減される。ノズルチップ101を最適に液面の低下に追従させることで、分離分注等の検体吸い切り時の残量を少なくでき、検体の有効利用,検体採取量の低減が可能になる。
図10は、検体分注装置の検体吐出処理時の動作波形を示す。図10(A):ベローズ105をt3からt4まで一定速度で圧縮し、検体を吐出する。図10(B):ベローズ105を圧縮させた時のノズルチップ101内の圧力変化を示す。図10(C):圧力からノズルチップ101内の液量を計算した結果を示す。図10(D):試験管内の液面上昇を示す。図10(E):Z軸上昇によるノズルチップ101の上昇速度の動きを示す。上昇速度は、吸引時と同様に、図10(D)の検体液面上昇の微分であり、サンプリングごとの変化分から計算できる。吐出開始位置は、容器底面から数mm上に設定されるので、検体液面がノズルチップ101先端位置に到達するt5までZ軸は停止したままで待機し、t5以降に上昇を開始する。t5以降、液面の上昇に追従してZ軸(ノズルチップ101)を上昇させる。
図11は、親検体容器203をパラメータ化する場合の計算方法の一例を示す。図11は親検体容器203を横に図示している。親検体容器203において、深さX1の内径D1,深さX2の内径D2を親検体容器203の図面または、実測値より求める。これらの値から親検体容器203の上部内壁面の形状を求める式は、Y=a1X+b1となる。
ここに、
a1=((D1−D2)/2)/(X1−X2)
b1=((D2X1−D1X2)/2)/(X1−X2)
となる。
係数a1,b1を上部の形状パラメータとする。同様に下部形状パラメータは、深さX3の内径D3,深さX4の内径D4を求め、Y=a2X+b2から下部形状パラメータをa2,b2とする。下部形状パラメータは、球状で近似できる場合、球の半径rを用いることもできる。サンプリングごとの前回サンプリング時の吸引終了位置を今回の吸引開始位置Xp1とし、吸引量Qxから吸引終了位置Xp2を形状パラメータから計算する。円錐台の体積を指定して高さを求めるため、3次方程式の解を計算することになるが、解析的に計算でき、プログラム化が可能である。サンプリングごとに吸引量Qxを計算し、Xp2の位置を求め、それにノズルチップ101が追従するように下降速度を計算し、検体液面に追従させる。吐出時は、図11のXp2が吐出開始位置で、Xp1が吐出終了位置になる。
この様に、ノズルチップ101内の検体量を計算しながらノズルチップ101を上昇させることで、液面追従性が向上し、ノズルチップ101が検体液面から出て吐出する空中吐出や、ノズルチップ101の突っ込みすぎが軽減される。これにより、検体持ち帰りの発生が減少し、分注精度の向上を図ることができる。また、ノズルチップ101の突っ込みすぎによるノズルチップ101の外壁濡れによる液玉の発生をなくすことで、分注精度の変動や液玉落下によるコンタミネーションを防止することができる。
分注ヘッドの断面の一例を示す図である。 制御系の構成の一例を示す図である。 従来の検体分注処理装置の検体吸引処理の概要を説明する一実施例の図である。 従来の検体分注処理装置の検体吐出処理の概要を説明する一実施例の図である。 本発明における検体分注装置の検体吸引処理の概要を説明する一実施例の図である。 本発明における検体分注装置の検体吐出処理の概要を説明する一実施例の図である。 本発明における吸引処理フローを示す図である。 本発明における吐出処理フローを示す図である。 本発明における吸引処理時の動作波形等を示す図である。 本発明における吐出処理時の動作波形等を示す図である。 本発明における検体容器形状パラメータとその計算方法を示す図である。
符号の説明
1 ホストCPU
2 搬送路制御CPU
3 分注制御CPU
4 機構ドライバ
5 XYZ移動機構
101 ノズルチップ
102 ノズル基部
103 ソレノイド
106 圧力センサ
107 ダイヤフラム
110 ノズル基部空洞
112 ノズルチップ空洞
201 分注ヘッド
203 親検体容器
204 検体容器搬送用ラック
210 血清
211 分離剤
212 血餅
213 子検体
214 検体液玉

Claims (5)

  1. 被吸引液体に浸漬し、所定量の被吸引液体を吸引するノズルと、
    該ノズル内に被吸引液体を吸引するための圧力変動を発生させるために流体が収容された流体容器の容積を変化させる圧力変動発生機構と、
    前記ノズルを上下動させるノズル上下動機構と、
    を備えた分注装置において、
    前記ノズル内の圧力を検知する圧力検知機構を備え、該圧力検知機構が検知した圧力値と前記圧力変動発生機構の流体容器の容積の変化量に基づき、前記ノズル内に吸引した被吸引液体の量を算出する吸引液体量算出手段と、
    該吸引液体量算出手段により算出された被吸引液体の量に基づき被吸引液体が収容された容器の液面位置を算出する液面位置算出手段と、
    を備えたことを特徴とする分注装置。
  2. 請求項1記載の分注装置において、
    前記液面位置算出手段により算出された液面位置の情報に基づいて、前記ノズル上下動機構のノズル位置を制御する制御機構を備えたことを特徴とする分注装置。
  3. 請求項1記載の分注装置において、
    前記液面位置算出手段は、ノズルの形状と被吸引液体が収容された容器形状に基づいて液面位置を算出することを特徴とする分注装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の分注装置を備えたことを特徴とする自動分析装置。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の分注装置を備えたことを特徴とする検体処理装置。
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