JP2005281204A - 皮膚外用剤及びエラグ酸のα−配糖体 - Google Patents

皮膚外用剤及びエラグ酸のα−配糖体 Download PDF

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倫夫 久保田
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光貴 谷口
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由紀子 新本
Akiyoshi Takayama
明美 高山
Hisami Kameyama
久美 亀山
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Abstract

【課題】 調製が容易で、優れた抗酸化効果又は美白効果を有する皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】 エラグ酸に1分子以上の糖が結合したα−配糖体を有効成分として含有する皮膚外用剤である。好ましくは、前記α−配糖体が、エラグ酸と糖類とを含む系にシクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼを作用させて得られたα−配糖体である前記皮膚外用剤である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エラグ酸の配糖体を利用した皮膚外用剤に関する。また本発明は、薬効成分、特に皮膚外用剤の薬効成分として有用なα−配糖体に関する。
エラグ酸は、ユーカリ樹をはじめとした植物や野菜に含まれ、抗酸化作用があることが知られている。また、抗酸化作用以外にもメラニンの生成を抑制する、いわゆる美白効果があることも知られている。しかし、エラグ酸は、水に対する溶解性が低く、そのため、水系媒体等に配合するのが困難であり、化粧料等の分野では、エラグ酸の作用を充分に活かしきれていないのが現状である。また、エラグ酸の誘導体を含有する外用剤も提供されている(特許文献1参照)が、より優れた美白効果を奏する外用剤が要求されている。
特開昭64−79103号公報
本発明は、調製が容易で、且つ薬効、特に抗酸化効果又は美白効果に優れた皮膚外用剤を提供することを課題とする。また、本発明は、皮膚外用剤の薬効成分として有用なエラグ酸配糖体を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、エラグ酸のα−配糖体は、エラグ酸と比較して溶解性が高く、しかも皮膚に適用した場合に、優れた薬効を肌に与えることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
本発明は、前記課題を解決するため、エラグ酸に1分子以上の糖が結合したα−配糖体を有効成分として含有する皮膚外用剤を提供する。また、本発明は下記一般式(1)又は(2)で表される化合物を提供する。
Figure 2005281204
式中、nは1又は2であり、nが1の時、R1及びR2のいずれか一方が水素原子で、且つ他方がα位で結合したグルコース残基であり、nが2の時、R1及びR2は水素原子である。
本発明の一態様として、糖が、グルコース又はマルトースである前記皮膚外用剤;又はα−配糖体が、エラグ酸と糖類とを含む系にシクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼを作用させて得られたα−配糖体である前記皮膚外用剤;が提供される。また、別の観点から、エラグ酸のα−配糖体を添加することを含む皮膚外用剤の製造方法;エラグ酸のα−配糖体を適用することを含む肌の美白方法;エラグ酸のα−配糖体を適用することを含むメラニン生成抑制方法;が提供される。
なお、本明細書において、「美白」の用語は、肌を白くする積極的効果のみならず、肌の黒化を抑制する予防的効果も含む意味で用いるものとする。例えば、しみ、そばかす等の色素沈着を改善する効果のみならず、色素沈着を抑制する効果も含むものとする。
本発明では、高い溶解性を示すエラグ酸のα−配糖体を用いることで、皮膚外用剤への高濃度の配合を容易にしている。また、エラグ酸のα−配糖体は、優れた薬効を示すので、これを高濃度で含有し得る本発明の皮膚外用剤は、優れた薬効、特に優れた抗酸化効果又は美白効果を有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の皮膚外用剤は、エラグ酸のα−配糖体を有効成分として含有する。エラグ酸の構造を以下に示す。
Figure 2005281204
エラグ酸は、A、B、A’及びB’の位置に4つの水酸基を有するが、本発明に用いるエラグ酸のα−配糖体は、いずれの水酸基に糖が付加した化合物であってもよい。例えば、1分子の糖が付加したモノα−配糖体は、A(A’)の水酸基に糖が付加した化合物と、B(B’)の水酸基に糖が付加した化合物との2種の異性体が存在するが、いずれも用いることもできる。また、糖がA、B、A’及びB’の2箇所以上に結合した配糖体類、例えばジα−配糖体を用いることもでき、かかる場合も糖が付加する水酸基の位置については特に制限はない。ジ配糖体は、モノ配糖体と比較してより高い水溶性を有する。
エラグ酸に結合した糖の種類についても特に制限はなく、単糖類であっても多糖類であってもよいが、α−配糖体の溶解性の観点からは、糖の分子量は小さいほうが好ましい。中でも、グルコース又はマルトースのα−配糖体が好ましい。本発明では、糖がα位でエラグ酸に結合したα−配糖体を用いることにより、溶解性を向上させ、水系媒体への配合を容易にするとともに、肌に適用した場合に優れた薬効を肌に与えることを可能としている。
エラグ酸のα−配糖体は、種々の方法で合成できる。本発明に用いるα−配糖体は、いずれの方法によって合成されたα−配糖体であってもよい。中でも、特許第2657801号公報等に記載のシクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼを用いる方法は、α−配糖体が高収率で得られるので好ましい。シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼは、バチルス マセランス(Bacillus macerans)、バチルス ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス ポリミキサ(Bacillus polymyxa)、クレブシーラ ニューモニアエ(Klebsiella pneumoniae)などの微生物によっても産生されることが知られている。例えば、エラグ酸と糖類(好ましくはα−シクロデキストリン、澱粉部分分解物、可溶性澱粉)とを含む分散系に、上記微生物が産生したシクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼを添加し、10〜80℃で攪拌下、糖転移反応を進行させることで、エラグ酸のα−配糖体を合成できる。反応に用いる好ましい試薬及び好ましい反応条件等の詳細については、特許第2657801号公報に記載があり、本発明においても同様である。
糖としてα−シクロデキストリンを用い、前記合成方法により糖転移反応を進行させると、グルコースのモノα−配糖体の他、下記一般式(1)又は(2)で表されるジα−配糖体及びマルトースのモノα−配糖体が得られる。これらを精製分離して、それぞれを用いることもできるが、混合物のまま用いることもできる。
Figure 2005281204
式中、nは1又は2であり、nが1の時、R1及びR2のいずれか一方が水素原子で、且つ他方がα位で結合したグルコース残基であり、nが2の時、R1及びR2は水素原子である。一般式(1)又は(2)で表される化合物は、水溶性が高く、且つ抗酸化効果又は美白効果にも優れているので、皮膚外用剤の薬効剤として有用である。
本発明の皮膚外用剤における前記α−配糖体の含有量は、0.0001〜5質量%(以下、単に「%」と表記する)であるのが好ましく、0.01〜1%であるのがより好ましい。かかる範囲であれば、エラグ酸のα−配糖体を容易に配合することができ、且つ優れた薬効、特に抗酸化効果又は美白効果を奏する。
本発明の皮膚外用剤には、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、通常、化粧料や医薬部外品、外用医薬品等の製剤に使用される成分、すなわち、水(精製水、温泉水、深層水等)、アルコール類、油剤、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、紫外線防御剤、包接化合物、抗菌剤、防腐剤、香料、消臭剤、塩類、pH調整剤、清涼剤、動物・微生物由来の抽出物、植物抽出物、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、美白剤、活性酸素消去剤、細胞賦活剤、保湿剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、ビタミン類等を加えることができる。
アルコールは、溶解、清涼感、防腐、保湿等の目的で用いられる。本発明に使用可能なアルコールの例には、エタノール等の低級アルコール;及びグリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ−ル、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール;が含まれる。
油剤は、基剤の構成成分としては、又は使用性もしくは使用感を改善する目的で用いられる。通常の化粧料に使用されるものであればいずれも使用することができ、天然系油であるか、合成油であるか等の由来について、又は、固体、半固体、液体であるか等の性状については問わない。本発明には、炭化水素類、ロウ類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル油、シリコーン油類、フッ素系油類等を使用することができる。より具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類、トリ−2−エチルヘキサン酸セチル、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット等の合成エステル油、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、杏仁油、パーシック油、サフラワー油、ヒマワリ油、アボガド油、メドゥホーム油、ツバキ油、アーモンド油、エゴマ油、ゴマ油、ボラージ油、シア脂等の植物や動物由来の油脂、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ゲイロウ等のロウ類等を用いることができる。
使用可能な紫外線防御剤の例には、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸ナトリウム、4−ブチル−4‘−メトキシジベンゾイルメタン、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
水溶性高分子は、系の安定化のため、又は使用性もしくは使用感を改良するために用いられ、又保湿効果を得るためにも用いられる。使用可能な水溶性高分子の例には、カラギーナン、ペクチン、寒天、ローカストビーンガム等の植物系高分子、キサンタンガム等の微生物系高分子、ゼラチン等の動物系高分子、デンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸系高分子、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子等が含まれる。
防腐剤、抗菌剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール等が挙げられる。
エラグ酸のα−配糖体は、単独で優れた美白効果を有するが、本発明の効果をさらに向上させるために、従来公知の美白剤を併用してもよい。美白剤は日焼け等により生じる皮膚の黒化、色素沈着により生ずるシミ、ソバカス等の現象を防止する目的で用いられる。使用可能な他の美白剤の例には、アルブチン、リノール酸、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体、トラネキサム酸、胎盤抽出物、カミツレ抽出物、カンゾウ抽出物、エイジツ抽出物、オウゴン抽出物、海藻抽出物、クジン抽出物、ケイケットウ抽出物、ゴカヒ抽出物、コメヌカ抽出物、小麦胚芽抽出物、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、サンペンズ抽出物、シラユリ抽出物、シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、大豆抽出物、茶抽出物、糖蜜抽出物、ビャクレン抽出物、ブドウ抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ抽出物、モッカ抽出物、ユキノシタ抽出物、ヨクイニン抽出物等が含まれる。
抗炎症剤は、日焼け後の皮膚のほてりや紅斑等の炎症を抑制する目的で用いられる。本発明に使用可能な抗炎症剤の例には、イオウ及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、アロエ抽出物、アルテア抽出物、アシタバ抽出物、アルニカ抽出物、インチンコウ抽出物、イラクサ抽出物、オウバク抽出物、オトギリソウ抽出物、カミツレ抽出物、キンギンカ抽出物、クレソン抽出物、コンフリー抽出物、サルビア抽出物、シコン抽出物、シソ抽出物、シラカバ抽出物、ゲンチアナ抽出物等が含まれる。
細胞賦活剤は、肌荒れの改善等の目的で用いられる。本発明に使用可能な細胞賦活剤の例には、カフェイン、鶏冠抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、ローヤルゼリー、シルクプロテイン及びその分解物又はそれらの誘導体、ラクトフェリン又はその分解物、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸等のムコ多糖類またはそれらの塩、コラーゲン、酵母抽出物、乳酸菌抽出物、ビフィズス菌抽出物、醗酵代謝抽出物、イチョウ抽出物、オオムギ抽出物、センブリ抽出物、タイソウ抽出物、ニンジン抽出物、ローズマリー抽出物、グリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸等の有機酸及びそれらの誘導体等が含まれる。
活性酸素消去剤は、過酸化脂質生成抑制等の酸化障害抑制の目的で用いられる。本発明に使用可能な活性酸素除去剤の例には、スーパーオキサイドディスムターゼ、マンニトール、クエルセチン、カテキン及びその誘導体、ルチン及びその誘導体、ボタンピ抽出物、ヤシャジツ抽出物、メリッサ抽出物、羅漢果抽出物、レチノール及びその誘導体、カロチノイド等のビタミンA類、チアミンおよびその誘導体、リボフラビンおよびその誘導体、ピリドキシンおよびその誘導体、ニコチン酸およびその誘導体等のビタミンB類、トコフェロール及びその誘導体等のビタミンE類、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソール等が含まれる。
本発明に使用可能な保湿剤の例には、エラスチン、ケラチン等のタンパク質またはそれらの誘導体、加水分解物並びにそれらの塩、グリシン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、テアニン等のアミノ酸及びそれらの誘導体、ソルビトール、エリスリトール、トレハロース、イノシトール、グルコース、蔗糖およびその誘導体、デキストリン及びその誘導体、ハチミツ等の糖類、D−パンテノール及びその誘導体、尿素、リン脂質、セラミド、オウレン抽出物、ショウブ抽出物、ジオウ抽出物、センキュウ抽出物、ゼニアオイ抽出物、タチジャコウソウ抽出物、ドクダミ抽出物、ハマメリス抽出物、ボダイジュ抽出物、マロニエ抽出物、マルメロ抽出物等が含まれる。
本発明の皮膚外用剤の形態の例としては、特に限定されず、例えば、乳液、クリーム、化粧水、パック、美容液、洗浄料、メーキャップ化粧料、分散液、軟膏、液剤、エアゾール剤、貼布剤、パップ剤、リニメント剤等のいずれの形態の化粧料であっても外用医薬品等であってもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
[例1:エラグ酸のα−配糖体の製造]
エラグ酸2水和物(和光純薬工業(株)製)2mgを、50mM酢酸緩衝液(pH6.0)20mLに分散させ、α−シクロデキストリン(α−CD)((株)林原生物化学研究所製)2gを加え、攪拌した。そこへ、バチルス ステアロサーモフィラス由来のシクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ((株)林原生物化学研究所)を400単位/g−α−CDを加え、60℃で攪拌し、反応させた。攪拌を続けていくうちに、反応液中に分散していたエラグ酸が次第に溶解していくのが観察され、エラグ酸が溶解性の高い配糖体に変化したことが確認された。24時間攪拌した後、系中から分子量1万以上の化合物を除去し、反応液を得た。この反応液中の物質の同定を行うために、HPLC分析、UV吸収スペクトル、LC−MS分析を行った。
まず、HPLC分析を以下の条件で行った。
使用カラム:STR ODS−M(信和化工株式会社製、カラム温度40℃);
検出波長:256nm;
流速 0.5mL/min;
インジェクション量:20μL;
溶離液:メタノール/水/酢酸=40/60/1(比)の混合液;
機器:CR−4A及びLCD−10AD(株式会社島津製作所製)
HPLCクロマトグラムを図1に示す。17.0分(図1中(c))、19.9分(図1中(b))及び33.5分(図1中(a))のピークについて、さらにUV吸収スペクトルを測定した結果を図2に示す。(a)〜(c)のいずれの成分のUV吸収スペクトルもλmaxは256nmであり、その波形もよく一致していた。
さらに、反応液のLC−MS分析の結果を図3に示す。なお、LC−MS分析は、以下の条件で行った。
LC−MS流速: 0.3mL/min
MS装置: LCQ−advantage(サーモエレクトロン株式会社製)
イオン:m/z=50−1000
キャピラリー温度: 260℃
Search Gas Flow: 40.0(arb)
Aux Gas Flow: 00.0(arb)
Source Type: ESI
Negative polarity
Source Voltage (kV): 6.00
Capillary Voltage (V): −25.0
Type Lens Offset (V): −25.0
図3のLC−MS分析結果より、(a)の成分のm/zは301であり、エラグ酸イオンの分子量(M−H)-に一致し、(b)の成分のm/zは463であり、グルコース1分子がエラグ酸に結合した配糖体イオンの分子量(M−H)-に一致し、及び(c)の成分のm/zは625であり、グルコース2分子(マルトース)がエラグ酸に結合した配糖体イオンの分子量(M−H)-に一致した。
これらの分析結果、さらに、バチルス ステアロサーモフィラス由来のシクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼを利用した配糖体の合成の反応機構(岡田茂孝・北畑寿美雄監修、「工業用糖質酵素ハンドブック」、第9章「酵素による配糖化と配糖体の加工」149−154頁、講談社サイエンティフィク編、講談社発行(1999年)参照)から、反応液中には、上記構造式中、A(A’)の水酸基にグルコースが1分子結合したモノα−配糖体、B(B’)の水酸基にグルコースが1分子結合したモノα−配糖体、AとA’、BとB’及びAとB’(A’とB)の水酸基にグルコースが2分子結合したジα−配糖体、A(A’)の水酸基にマルトースが1分子結合したα−配糖体、及びB(B’)の水酸基にマルトースが1分子結合したモノα−配糖体の7種が存在していると推定された。また、これらは、液体クロマトグラフィーにより分離可能である。
[例2:エラグ酸のα−配糖体の製造]
エラグ酸2水和物(和光純薬工業(株)製)1mgを、10mgの澱粉部分分解物(商品名「パインデックス#1」、松谷化学工業株式会社製)を溶解した脱イオン水10mLに懸濁・分散させ、pHを5.5に調整した後、バチルス ステアロサーモフィラス由来のシクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ((株)林原生物化学研究所製)を、1,000単位/g−澱粉部分分解物を加え、攪拌しながら46℃で23時間反応させた。100℃で10分間加熱して反応を停止させた後、反応液を遠心分離(10,000rpm、5分間)して上清を回収し、上清液の256nmにおける吸光度を測定した。上記操作において、予め加熱失活させた酵素を加えた以外は、同様に処理して得た上清液を対照とした。結果を表1に示す。
Figure 2005281204
表1に示した結果から明らかな様に、バチルス ステアロサーモフィラス由来のシクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ((株)林原生物化学研究所製)を作用させることにより得られた、エラグ酸のα−配糖体を含む反応上清液の波長256nmにおける吸光度は、対照の2倍以上の値であった。これにより、エラグ酸を配糖体化することにより、水に対する溶解度が向上することが確認された。
[例3:エラグ酸配糖体の抗酸化効果評価:脂質過酸化抑制効果]
1%卵黄レシチンと0.4%ドデシル硫酸ナトリウムとの混合溶液1.5mLに、2.4mmol/Lの硫酸第一鉄溶液0.5mLと、4.8mmol/Lのアスコルビン酸溶液0.5mLとを加え、さらに0.12%エラグ酸配糖体(例1にて製造したもの)溶液を加え、37℃の水浴中1時間加温した。その後、チオパルビツール酸値(TBA値)を定法により測定し、過酸化度を求めた。エラグ酸の代わりに、ブランクとして緩衝液、陽性対照として0.12%のルチン配糖体を用い同様に反応させた。溶液調製には、10mmol/Lのトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を用いた。
ブランクのTBA値と比較した時の抑制率を抗酸化効果とした。
結果
抑制率
エラグ酸配糖体 49.7%
ルチン配糖体 30.0%
この結果より、エラグ酸配糖体は抗酸化効果に優れていることが確認された。このことから、エラグ酸配糖体を皮膚外用剤に配合することにより製剤の安定性を向上させると共に、肌の酸化を防ぐことができるといえる。
[例4:化粧水]
下記成分(3)、(4)及び(8)〜(10)を混合溶解した溶液と、成分(1)、(2)、(5)〜(7)及び(11)を混合溶解した溶液とを混合して、均一にし、化粧水を得た。
(処方) (%)
(1)グリセリン 5.0
(2)1、3−ブチレングリコール 6.5
(3)ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1.2
モノラウリン酸エステル
(4)エチルアルコール 8.0
(5)エラグ酸配糖体*1 0.01
(6)乳酸 0.05
(7)乳酸ナトリウム 0.1
(8)パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 0.1
(9)防腐剤 適量
(10)香料 適量
(11)精製水 残量
*1 例1で製造したもの
[例5:乳液]
下記成分(10)及び(12)の一部を加熱溶解し70℃に保った混合物を、成分(1)〜(6)及び(8)を加熱溶解し70℃に保った混合物に加えて混合し、均一に乳化した。さらにこの混合物を、冷却後(12)の残部で溶解させた(7)、(9)及び(11)を加え均一に混合した。この混合物に(13)を加え均一に混合して乳液を得た。
(処方) (%)
(1)ポリオキシエチレン(10E.O.)ソルビタン 1.0
モノステアレート
(2)ポリオキシエチレン(60E.O.)ソルビット 0.5
テトラオレエート
(3)グリセリルモノステアレート 1.0
(4)ステアリン酸 0.5
(5)ベヘニルアルコール 0.5
(6)スクワラン 8.0
(7)エラグ酸配糖体*1 0.1
(8)防腐剤 0.1
(9)カルボキシピニルポリマー 0.1
(10)水酸化ナトリウム 0.05
(11)エチルアルコール 5.0
(12)精製水 残量
(13)香料 適量
*1 例1で製造したもの
調製した例4及び例5の化粧水及び乳液は、いずれも肌に適用することによって、肌を美白にし、且つ肌にはりやつやを与える、優れた化粧料であった。また、これらの化粧水及び乳液には、沈殿等が認められず、安定性も良好であった。
本発明の皮膚外用剤は、化粧料、医薬部外品及び外用医薬品等、種々の用途に供することができる。中でも、抗酸化効果又は美白効果に優れているので、化粧料として特に有用である。また、本発明のエラグ酸配糖体は、溶解性が高く、且つ優れた薬効を有するので、種々の用途、好ましくは皮膚外用剤の美白剤として用いることができる。
エラグ酸糖転移反応物のHPLCクロマトグラムである。 HPLCにおける溶出成分(a)、(b)及び(c)のUV吸収スペクトルである。 HPLCにおける溶出成分(a)、(b)及び(c)のマススペクトルである。
符号の説明
(a):HPLCにおいて保持時間33.5分に溶出する成分(未反応のエラグ酸)
(b):HPLCにおいて保持時間19.9分に溶出する成分
(c):HPLCにおいて保持時間17.0分に溶出する成分

Claims (4)

  1. エラグ酸に1分子以上の糖が結合したα−配糖体を有効成分として含有する皮膚外用剤。
  2. 糖が、グルコース又はマルトースである請求項1に記載の皮膚外用剤。
  3. α−配糖体が、エラグ酸と糖類とを含む系にシクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼを作用させて得られたα−配糖体である請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
  4. 下記一般式(1)又は(2)で表される化合物:
    Figure 2005281204
    式中、nは1又は2であり、nが1の時、R1及びR2のいずれか一方が水素原子で、且つ他方がα位で結合したグルコース残基であり、nが2の時、R1及びR2は水素原子である。
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