JP2005281147A - 防菌防黴剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 有効成分として、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム ブロマイド)と、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム アセテート)と、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル・ドデシルベンゼンスルホン酸塩と、一般式Iで表されるN−置換ベンズイソチアゾリン系化合物とから選ばれる2種以上を含有する。
【化1】
式中、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。
Description
中でも、四級アンモニウム塩化合物であるN,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム ブロマイド)は、黴に対する抗黴効果が強く皮膚刺激性が低いという特徴があるため、抗微生物作用が要求される分野で注目されている(例えば、特開2000−198879公報参照)。
同様に、前記N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム ブロマイド)においても、単剤では、低濃度使用を目的にすると広範囲の細菌や黴に対して効果が不充分である。具体的には、アスペギルス ニガー(Aspergillus niger)やペニシリウム シトリナム(Penicillium citrinum)などの黴類に対して効果が弱いという問題があった。
但し、この公報では、人や環境に対する安全性については言及されているものの、直接人の皮膚に接触した際の諸問題、例えば、皮膚への刺激性等についての追求はなされていない。
その結果、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム ブロマイド)と、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム アセテート)と、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル・ドデシルベンゼンスルホン酸塩と、下記一般式Iで表されるN−置換ベンズイソチアゾリン系化合物の何れかを、適宜の組み合わせで2種以上用いることが最も合目的であり、しかもこの組み合わせによれば、人の肌に対する刺激性を低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
このとき、有効成分が、(A)N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム ブロマイド)、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム アセテート)、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル・ドデシルベンゼンスルホン酸塩のうちの少なくとも1種と、(B)一般式Iで表されるN−置換ベンズイソチアゾリン系化合物との組み合わせであって、(A)と(B)を重量比で(A):(B)=1:99〜99:1の割合で含有することをも特徴とする。
下式中、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。
式I中のRは、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、具体的には、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、アルキルチオ基、カルボキシル基またはそのエステル、ハロゲン原子、カルボニル基、シアノ基などの置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基などの炭化水素基を示す。
また、一般式Iで表される化合物のベンゼン環は、置換基を有していてもよく、具体的には、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、アルキルチオ基、カルボキシル基またはそのエステル、ハロゲン原子などの置換基が挙げられる。
また、このN−ブチルベンズイソチアゾリン−3−オンは、抗菌または防黴効果を長期間に亘り維持することができ、揮発分の吸入毒性が低く(すなわち、揮発分自体も少ないし、万一揮発分を吸入したとしても毒性が低く)、取り扱いが容易であるため、主として、真菌を対象とする場合に、従来から多く用いられている。
なお、N−ブチルベンズイソチアゾリン−3−オンは、一般に市販されているものをそのまま用いることができる。
このような組み合わせとすることによって、上記4成分をそれぞれ単独で用いた場合や、(A)成分の3つの化合物を混合して用いた場合以上の、防菌防黴効果と、皮膚刺激の抑制効果とを得ることができ、特に、ウエット状態において、低濃度での使用であっても、長期間に亘って上記効果を維持できる上、人の肌に対しての刺激性を低減することができる。
この適切な配合比の選択により、ウエット状態であっても、また低濃度であっても、各有効成分の活性が高められ、その組成物である防菌防黴剤は長期間に亘って様々な微生物に対応できる優れた防除効果を発揮し、しかもその理由は詳細には不明であるが、この配合比の範囲内において、人の肌を刺激する部分が互いに相殺されると推測される理由により、皮膚刺激性を極力抑えることができる。
(A)成分と(B)成分とを含有するものの場合、(A)成分の何れか1つの化合物と(B)成分の化合物との2種の化合物を組み合わせるものと、(A)成分の何れか2つの化合物と(B)成分の化合物との3種の化合物を組み合わせるものと、(A)成分の3つの化合物全てと(B)成分の化合物との4種の化合物を組み合わせるものとがある。
これらの2種、3種あるいは4種の化合物からなる組成物とすることにより、本発明では、低濃度での使用で、かつ細菌や真菌類の繁殖し易いウエット状態において、長期間に亘って防菌防黴効果を持続することができる。
このカバリング作用は、(A)成分と(B)成分とを組み合わせる場合において、特に良好に発現し、優れた防菌防黴効果を維持したままで、皮膚刺激性の低減効果を得ることができる。
この配合量において、上記の防菌防黴効果、皮膚刺激抑制効果を有効に得ることができる。
一般的には、取扱性などの点から液剤として調製することが好ましいが、場合によってはエマルジョンやサスペンジョンとして製剤することもできる。
液剤として調製するには、有効成分を溶媒に溶解し、適宜攪拌混合すればよい。
溶媒の使用量は、特に制限はなく、使用薬剤、採用する剤型、採用する調製方法等に応じて適宜選定すればよい。
この対象物は、本発明の防菌防黴剤の特性(ウエット状態下、低濃度で長期間に亘って防菌防黴を維持できることと、皮膚刺激性が低いことなど)から、繊維製品や紙製品、特にウエット状態で市販されるこれらの製品などのように直接人の肌と接触する機会の多い工業製品が好ましいが、これらの他にも、微生物防除が必要とされるものの殆どに適用が可能である。
また、ウエット状態の製品にあっては、ウエット状態にするための水剤に、本発明の防菌防黴剤を添加して用いることもできる。
すなわち、1ppm未満であれば、実用性のある防菌防黴効果を得ることができないばかりか、長期間に亘っての効果の持続性もなく、1000ppmより多くてもこの効果が飽和するのみならず、皮膚への刺激が強くなり過ぎることがある。
しかも、本発明の防菌防黴剤によれば、極めて安価に調製され得るのみならず、皮膚刺激性が低く、様々な繊維製品や紙製品に適用することができる。
製剤例の処方を次に示す。なお、製剤例中の部は重量部を意味する。
製剤例1
N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル
−1−デシルピリジニウム ブロマイド) 15部
N−ブチルベンズイソチアゾリン−3−オン 5部
製剤例2
N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル
−1−デシルピリジニウム ブロマイド) 2部
N−ブチルベンズイソチアゾリン−3−オン 20部
製剤例3
N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル
−1−デシルピリジニウム ブロマイド) 15部
N−エチルベンズイソチアゾリン−3−オン 5部
製剤例4
N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル
−1−デシルピリジニウム ブロマイド) 1.5部
N−エチルベンズイソチアゾリン−3−オン 20部
製剤例5
2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル・ドデ
シルベンゼンスルホン酸塩 12部
N−ブチルベンズイソチアゾリン−3−オン 1部
製剤例6
2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル・ドデ
シルベンゼンスルホン酸塩 1部
N−ブチルベンズイソチアゾリン−3−オン 20部
製剤例7
2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル・ドデ
シルベンゼンスルホン酸塩 15部
N−フェニルベンズイソチアゾリン−3−オン 2部
製剤例8
2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル・ドデ
シルベンゼンスルホン酸塩 1部
N−フェニルベンズイソチアゾリン−3−オン 18部
製剤例9
N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル
−1−デシルピリジニウム ブロマイド) 5部
2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル・ドデ
シルベンゼンスルホン酸塩 3部
N−ブチルベンズイソチアゾリン−3−オン 12部
製剤例10
N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル
−1−デシルピリジニウム ブロマイド) 4部
2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル・ドデ
シルベンゼンスルホン酸塩 6部
N−ブチルベンズイソチアゾリン−3−オン 3部
製剤例11
N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル
−1−デシルピリジニウム ブロマイド) 5部
2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル・ドデ
シルベンゼンスルホン酸塩 5部
N−メチルベンズイソチアゾリン−3−オン 10部
製剤例12
N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル
−1−デシルピリジニウム ブロマイド) 5部
2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル・ドデ
シルベンゼンスルホン酸塩 6部
N−フェニルベンズイソチアゾリン−3−オン 2部
製剤例13
N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル
−1−デシルピリジニウム ブロマイド) 10部
2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル・ドデ
シルベンゼンスルホン酸塩 6部
製剤例14
N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル
−1−デシルピリジニウム アセテート) 15部
N−ブチルベンズイソチアゾリン−3−オン 5部
比較製剤例1
N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル
−1−デシルピリジニウム ブロマイド) 20部
製剤例1〜14、比較製剤例1について、所定濃度の薬剤を含有した平板培地を作成し、供試微生物に、アスペギルス ニガー(Aspergillus niger)、ペニシリウム シトリナム(Penicillium citrinum)及びグリオクラジウム バイレンス(Gliocladium virens)を用い、その供試菌液を塗沫し、28±2℃の恒温器内にて2週間培養した。
培養後に発育の見られない濃度を有効とし、微生物最小発育阻止濃度を測定し、結果を表1に示す。
製剤例1〜14、比較製剤例1について、ウエットティッシュ用の不織布に薬剤(製剤例の)濃度として1000ppmとなるように含浸させ試験片とした。
一方、供試菌として、アスペギルス ニガー(Aspergillus niger)とペニシリウム シトリナム(Penicillium citrinum)とグリオクラジウム バイレンス(Gliocladium virens)の混合胞子懸濁液を作成した。
あらかじめ用意した平板寒天培地中央に、上記の試験片を乗せ、上記の混合胞子懸濁液1mlをまきかけた。
これを28±2℃の恒温器内にて2週間培養し、カビの繁殖状況を観察し、試験片の菌を接種した部分に菌糸の生育が見られない場合を「0」、試験片の菌糸発育部分の面積が全面積の1/3を超えない場合を「1」、試験片の菌糸発育部分の面積が全面積の1/3を超える場合を「2」として表2に示す。
製剤例3,4,7,8,11,12,13については、7日目までは、カビの生育が抑えられていたが、14日目には試験片上にカビの生育が見られ、カビの生育がやや活発になっていることが確認された。
これらに対し、比較製剤例1は4日目でカビの生育が見られた。
製剤例3,4,7,8,11,12,13については、2週間目で多少の赤斑が生じたが、試験を終了し接触がなくなった後は何ら異常は認められなかった。
そして、含有される各有効成分の濃度は低く抑えられるので、極めて安価に調製され得る。
しかも、本発明の防菌防黴剤は、皮膚刺激性が低いため、人の肌に直接触れる機会の多い、あるいは人の肌用としての、様々な繊維製品や紙製品、これらをウエット状で市販する製品に、有効に適用することができる。
Claims (4)
- 有効成分が、
(A)N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム ブロマイド)、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム アセテート)、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル・ドデシルベンゼンスルホン酸塩から選ばれる何れか1種以上と、
(B)一般式Iで表されるN−置換ベンズイソチアゾリン系化合物の組み合わせであり、
(A)と(B)の含有割合が、重量比で(A):(B)=1:99〜99:1であることを特徴とする請求項1に記載の防菌防黴剤。 - 一般式Iで表されるN−置換ベンズイソチアゾリン系化合物が、N−ブチルベンズイソチアゾリン−3−オンであることを特徴とする請求項1または2に記載の防菌防黴剤。
- 繊維製品または紙製品に用いられる、請求項1〜3の何れかに記載の防菌防黴剤。
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