JP2005281102A - 金属酸化物薄膜およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 プラズマ曝露や過度な過熱による、基材や金属酸化物薄膜へのダメージを抑えながら、結晶性の金属酸化物薄膜を効果的に形成する技術を提供する。
【解決手段】 先ず非晶質からなる金属酸化物薄膜を基材に製膜し、次いで、非加熱にて高周波電界中で低温プラズマ処理を行い、さらにプラズマ処理のポスト処理として、プラズマを含まない雰囲気、好ましくは大気雰囲気で加熱処理することにより、結晶性金属酸化物薄膜を製造する。
【選択図】 なし
【解決手段】 先ず非晶質からなる金属酸化物薄膜を基材に製膜し、次いで、非加熱にて高周波電界中で低温プラズマ処理を行い、さらにプラズマ処理のポスト処理として、プラズマを含まない雰囲気、好ましくは大気雰囲気で加熱処理することにより、結晶性金属酸化物薄膜を製造する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、金属酸化物薄膜およびその製造方法に関し、特に、基材へのダメージを伴わずに結晶性金属酸化物薄膜を形成する技術に関する。
従来、酸化物セラミックス薄膜は電子デバイス、表面修飾による各種機能性表面形成等、様々な分野において広く使用されてきた。多くの場合において、例えば酸化チタンの光触媒活性や、各種酸化物の誘電特性は、材質の結晶形態に由来したものであり、高機能な薄膜の形成には、結晶性の向上を行うプロセスが不可欠であった。結晶形態を酸化物セラミックスが取る為には、充分な運動エネルギーを構成元素へ与え、秩序をもった安定構造へと至らせしめる必要がある。通常、元素への運動エネルギー付与は熱処理によって行われてきた。これは、非晶質前駆体に対して加熱処理を行う、あるいはスパッタリング製膜法や真空蒸着法において基材を熱することが盛んに行われている。加熱の方法には、ヒーターの使用、あるいはレーザー、エキシマー光などが用いられている。充分な結晶性を有する金属酸化物薄膜を形成する為の基材、及び金属酸化物薄膜の加熱は、目的とする結晶形や材質によっても大きく左右されるが、一般に500℃以上、あるいは1000℃以上の温度を必要とする。従って、基材、あるいは混在する他の材料への熱ダメージ、あるいは熱膨張・収縮率差に起因した機械的ダメージなどを伴う為に、構造、サイズ、材質などの選定に様々な拘束が発生することが避けられない。
上記のような問題を解決する為に基材の加熱を行わない低温な金属酸化物生成プロセスとして、金属酸化物薄膜を低温プラズマ中へ曝露することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば比較的短時間で、金属酸化物の結晶化が可能となるとされている。プラズマ中では平衡論的に気体温度はほぼ常温に保たれる環境であり、基材の自己バイアスに伴う粒子衝突によるエネルギー供給以外には、薄膜及び基材の温度上昇を生じせしめる因子はないため、この方法ではプロセスの最高温度は100℃近傍となる。
しかしながら、この方法では、極めて高い化学的活性を有するプラズマ構成粒子が薄膜及び基材へと入射する為に、長時間の処理では基材、薄膜に深刻なダメージを与えうる。特にイオン種は基材が低温プラズマ中で形成するシースの電位勾配によって加速される為に、表層部をエッチングするというデメリットが存在することが考えられる。特にプロセスの効率を上げる為にプラズマ発生に使用するRF電力を高めることは、電子温度を高め、シース電圧を高める要因となる為に、効率を上げることに限界が生じる。
また、基材を変化させることで処理時間が変化するが、ガラス基材などを使用する場合には極端な長時間の処理が必要とされる為に、真空設備の大型化、プロセスコストのアップ等のデメリットが生じる。
WO03/031673号公報
また、基材を変化させることで処理時間が変化するが、ガラス基材などを使用する場合には極端な長時間の処理が必要とされる為に、真空設備の大型化、プロセスコストのアップ等のデメリットが生じる。
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、プラズマ曝露や過度な過熱による、基材や金属酸化物薄膜へのダメージを抑えながら、結晶性の金属酸化物薄膜を効果的に形成する技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、非晶質金属酸化物薄膜を、非加熱状態で、高周波電界中で低温プラズマに曝露し、次いで、プラズマを含まない雰囲気で加熱処理することにより、結晶性の金属酸化物薄膜を製造することを特徴とする、金属酸化物薄膜の製造方法を提供する。すなわち、主に非晶質からなる金属酸化物薄膜を先に製膜し、次いで、非加熱にて高周波電界中で低温プラズマ処理を行い、さらにプラズマ処理のポスト処理として、プラズマを含まない雰囲気で加熱処理することにより、結晶性金属酸化物薄膜を製造することを特徴とする方法である。
ここで、「結晶性の金属酸化物薄膜」とは、膜中に非晶質部分を含むが、薄膜X線回折パターンからは結晶性を有すると判断される程度に結晶性を有する部分が存在する状態を指す。
ここで、「結晶性の金属酸化物薄膜」とは、膜中に非晶質部分を含むが、薄膜X線回折パターンからは結晶性を有すると判断される程度に結晶性を有する部分が存在する状態を指す。
このようにすることで、プラズマ処理の時間を大幅に短縮することが可能となる。これは特に生産ラインにおいては、例えばインラインのスパッタリング製膜装置に見られるような、高価な真空設備の大型化が必要でなくなることを意味する。したがって大幅なコスト削減が期待される。また、プラズマ処理時間を低減することで、表層、及び基材へ与えられるプラズマダメージを回避することも可能となる。特に表層のエッチングが懸念される場合には、膜に対するダメージそのものを低減できるばかりではなく、プラズマの不均一性に起因したダメージの分布の影響を回避することが可能となる。従って、大面積処理において、プラズマダメージによる不均一性という大きなリスクの回避が見込まれる。また、プラズマを用いた各種プロセスよう装置においては、発生させるプラズマを均一化させる為の各種ノウハウ、研究などが存在し、その維持には莫大な労力とコストが費やされているが、本発明において提案する方法によれば、最終的な結晶化は比較的低い温度での加熱で行われ、プラズマの均一性に対する要求を大幅に引き下げることが可能となる為に、装置的なコストの大幅な削減も可能となる。
また、本発明によれば、前記加熱処理を大気雰囲気下で行うことにより、特別な減圧環境、雰囲気制御環境を使用すること無く、通常の加熱設備中での処理が可能となる。従って、大幅な設備簡略化ができ、また、特殊なプロセスガスを必要としない為に大幅なコストダウンが可能となる。
また、本発明によれば、前記低温プラズマの曝露は、実質的に結晶が生成しない程度の条件であることを特徴とする。ここで、実質的に結晶が生成しない程度の条件とは、非晶質の金属酸化物薄膜をプラズマ処理した後の薄膜について、薄膜X線回折(XRD)パターンから結晶性を有すると判断されない程度の低温プラズマ処理条件であることを指し、具体的には、XRDパターン取得に際しては、MXP-18(株式会社ブルカー・エイエックスエス)またはこれと同等の性能を有する装置を用い、薄膜法(θ/2θ法、入射角0.5度、X線源管球電圧40kV(200mA))で測定を行って、結晶が認められない程度であることを指す。このような低温プラズマ処理条件は、例えば、低温プラズマの曝露時間が0分を超え3分未満であることが好ましく、また、前記低温プラズマの発生条件は、印加周波数1kHz〜300MHz、圧力5Pa以上、投入電力が50W以上であることが好ましい。
また、本発明によれば、前記低温プラズマの曝露は、非晶質金属酸化物薄膜全体が結晶化しない程度の条件であることを特徴とする。ここで、非晶質金属酸化物薄膜全体が結晶化しない程度の条件とは、プラズマ処理によって非晶質部分と結晶質部分とが薄膜中に混在している状態となるような低温プラズマ処理の条件であることを指す。
プラズマ処理によって結晶化がある程度進行した金属酸化物薄膜についても、本発明を用いることで、結晶性を高めることが出来る。本発明によれば、プラズマ処理によってある程度までの構造変化が生じていれば、その後の結晶成長は比較的低い温度での熱処理によって行わせしめることが可能である。この場合においても、結晶性を高める為のプラズマ処理によるダメージを軽減可能であると共に、プラズマ処理を短時間化することによる、装置の簡略化、低コスト化が可能となる。
さらに、本発明によれば、上前記加熱処理における加熱温度は、前記非晶質金属酸化物薄膜を前記低温プラズマへの曝露を行なわずに加熱した場合に結晶化する温度よりも低温であることを特徴とする。上述したように、プラズマ処理することによって、その後の結晶成長は比較的低い温度での熱処理によって行わせしめることが可能である。従って、基材からの結晶化阻害因子の熱拡散や基材と金属酸化物薄膜との熱膨張係数の違いによるそりや剥離を回避することが可能となる。(もっと適切な表現で書き換えてくださいませんか?)
本発明によれば、プラズマ曝露や過度な過熱による、基材や金属酸化物薄膜へのダメージを抑えながら、結晶性の金属酸化物薄膜を効果的に形成する技術を提供することが可能となる。
本発明で適用可能な基材としては、プラズマ処理によるダメージに耐えうる範囲であれば特に限定されない。シリコン、アルミナ、水晶、ガラス、耐熱ガラス、その他半導体基材、酸化物基材、樹脂基材、またはそれらの表面に金属薄膜を付与したものなどが代表的な基材としてあげられる。
また非晶質金属酸化物薄膜の製膜方法についても本発明では特にその種類は問われない。代表的なものとしてはスパッタリング製膜、CVD法、真空蒸着法、等の乾式プロセス、及びコーティング剤のスピンコート、バーコート、ディップコート、スプレーコート等湿式プロセスが用いられる。パターニングを行う場合には印刷法による前駆体塗布等も用いられる。
本方法は金属酸化物の材質を特に問うものではないが、形成せしめる金属酸化物としては、透明導電膜(ITO)、や酸化チタンが代表的なものとして挙げられる。
本方法は金属酸化物の材質を特に問うものではないが、形成せしめる金属酸化物としては、透明導電膜(ITO)、や酸化チタンが代表的なものとして挙げられる。
本方法に供する対象物は、プラズマプロセスによって、より低い温度で結晶化が可能な状態へと変化するが、プラズマ処理を行う前後に、結晶化を行いやすくさせるため、あるいは金属酸化物薄膜を含む構造体の機能性向上等の為に何らかの補助的処理を行っても構わない。例えばプラズマ処理前に真空紫外光や紫外光の照射や、仮焼成工程などは、その後の処理を補助する意味合いから行うことが望ましい。
本方法で用いるプラズマ処理は、主には酸素ガスを含む雰囲気中で行われる。望ましくは純酸素雰囲気中で行われるが、酸素ガスを含有する雰囲気であれば、例えば空気雰囲気中で行われても構わない。低温プラズマ処理条件は、例えば、前記低温プラズマの曝露時間が0分を超え3分未満であることが好ましく、また、前記低温プラズマの発生条件は、印加周波数1kHz〜300MHz、圧力5Pa以上、投入電力が50W以上であることが好ましい。
プラズマ処理後に行う加熱に関しても、特に雰囲気は特定されるものではない、減圧環境下、雰囲気制御された環境、あるいは無制御な大気中で加熱を行っても構わない。
本発明は、従来よりも低温の環境下で、従来よりも短時間のプラズマ処理を行った金属酸化物薄膜を結晶化させる技術に属する。その用途としては、例えば電子デバイス中に作成される金属酸化物誘電体、半導体の形成に用いることが可能である。また、いわゆるLTCCなど、基板中に金属酸化物層を作り込む際にも使用できる。またITO薄膜を付与したガラス基材作成にも使用可能である。また光触媒層を基材表面に付与することも可能である。
特に光触媒層の形成については、湿式法によってソーダライムガラス上へ直接緻密なアナターゼ型酸化チタンを形成可能であり、窓ガラスなど建築材料用途が見込まれる。
本発明は、従来よりも低温の環境下で、従来よりも短時間のプラズマ処理を行った金属酸化物薄膜を結晶化させる技術に属する。その用途としては、例えば電子デバイス中に作成される金属酸化物誘電体、半導体の形成に用いることが可能である。また、いわゆるLTCCなど、基板中に金属酸化物層を作り込む際にも使用できる。またITO薄膜を付与したガラス基材作成にも使用可能である。また光触媒層を基材表面に付与することも可能である。
特に光触媒層の形成については、湿式法によってソーダライムガラス上へ直接緻密なアナターゼ型酸化チタンを形成可能であり、窓ガラスなど建築材料用途が見込まれる。
以下に、本発明の具体的な実施形態について、図に基づき説明する。
本方法をSi基材上に製膜した酸化チタン薄膜へ適用した実施例を述べる。
基材として、面方位〈100〉、直径100mm、厚さ0.5mmのシリコン単結晶基板を、酸洗浄した後に、表面をドライ酸化処理したものを用意した。
酸化チタン塗布剤としてチタンアルコキシドをベースとした酸化チタンコート剤(日本曹達製NDH510C)を使用した。上記酸化チタン塗布剤を、上記基材にスピンコート法(3000 rpm 20秒)により塗布し、大気中で乾燥(120℃ 120秒)の後、60℃の純水中にバブリングさせた純酸素流通下で、低圧水銀灯による紫外線照射環境下に1時間保持し、サンプルとした。
サンプルをプラズマ装置(March Instruments PM-600)のチャンバー中央に設置しプラズマを発生させることで、プラズマ照射を行った。プラズマの発生は、107Paの純酸素雰囲気に周波数13.56MHz 500WのRF電力を加えることで行った。サンプルへのプラズマ照射は1分間行った。
プラズマへの浸漬後、サンプルは大気中で200℃に保持し、一定時間置きにXRDパターンを測定することでサンプル表面に付与した酸化チタン薄膜の結晶性を評価した。XRDパターン取得に際してはMXP-18(株式会社ブルカー・エイエックスエス)を用い薄膜法(θ/2θ法、入射角0.5度、X線源管球電圧40kV(200mA))で測定を行った。
図1(a)はプラズマ処理後のサンプル表面のXRDパターンについて、また、図1(b)は、プラズマ処理後に200℃18時間加熱した後のサンプル表面のXRDパターンについて、アナターゼ形の結晶形に特有のピークが生じる回折角(2θ)25度付近を示したものである。図1においては、プラズマ処理と200℃への加熱を行ったものについてXRDパターンにピークが生じており、アナターゼ型の結晶性薄膜が得られていることが明らかである。
基材として、面方位〈100〉、直径100mm、厚さ0.5mmのシリコン単結晶基板を、酸洗浄した後に、表面をドライ酸化処理したものを用意した。
酸化チタン塗布剤としてチタンアルコキシドをベースとした酸化チタンコート剤(日本曹達製NDH510C)を使用した。上記酸化チタン塗布剤を、上記基材にスピンコート法(3000 rpm 20秒)により塗布し、大気中で乾燥(120℃ 120秒)の後、60℃の純水中にバブリングさせた純酸素流通下で、低圧水銀灯による紫外線照射環境下に1時間保持し、サンプルとした。
サンプルをプラズマ装置(March Instruments PM-600)のチャンバー中央に設置しプラズマを発生させることで、プラズマ照射を行った。プラズマの発生は、107Paの純酸素雰囲気に周波数13.56MHz 500WのRF電力を加えることで行った。サンプルへのプラズマ照射は1分間行った。
プラズマへの浸漬後、サンプルは大気中で200℃に保持し、一定時間置きにXRDパターンを測定することでサンプル表面に付与した酸化チタン薄膜の結晶性を評価した。XRDパターン取得に際してはMXP-18(株式会社ブルカー・エイエックスエス)を用い薄膜法(θ/2θ法、入射角0.5度、X線源管球電圧40kV(200mA))で測定を行った。
図1(a)はプラズマ処理後のサンプル表面のXRDパターンについて、また、図1(b)は、プラズマ処理後に200℃18時間加熱した後のサンプル表面のXRDパターンについて、アナターゼ形の結晶形に特有のピークが生じる回折角(2θ)25度付近を示したものである。図1においては、プラズマ処理と200℃への加熱を行ったものについてXRDパターンにピークが生じており、アナターゼ型の結晶性薄膜が得られていることが明らかである。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で準備されたサンプルを、実施例1と同様の方法でプラズマ処理した。ただし投入電力は500W、処理時間は1〜10分を用いた。
図2はサンプルの表面XRDパターンの25度付近に生じたピークの面積を、プラズマ処理をおこなった時間に対してプロットしたものである。XRDパターンのピーク面積は結晶相の体積にほぼ比例する。結晶相が充分に形成されるには3分〜10分の時間が必要とされる。また、実施例1で使用された条件、500Wの投入電力で1分間のプラズマ処理で結晶化は生じていない。
実施例1と同様の方法で準備されたサンプルを、実施例1と同様の方法でプラズマ処理した。ただし投入電力は500W、処理時間は1〜10分を用いた。
図2はサンプルの表面XRDパターンの25度付近に生じたピークの面積を、プラズマ処理をおこなった時間に対してプロットしたものである。XRDパターンのピーク面積は結晶相の体積にほぼ比例する。結晶相が充分に形成されるには3分〜10分の時間が必要とされる。また、実施例1で使用された条件、500Wの投入電力で1分間のプラズマ処理で結晶化は生じていない。
(比較例2)
実施例1と同様の方法で準備されたサンプルを、実施例1と同様の方法でプラズマ処理した。ただし投入電力は100W、処理時間は1〜15分を用いた。
図3はサンプルの表面XRDパターンの25度付近に生じたピークの面積を、プラズマ処理をおこなった時間に対してプロットしたものである。XRDパターンのピーク面積は結晶相の体積にほぼ比例する。実施例2で使用された条件、100Wの投入電力で1分間のプラズマ処理で結晶化は生じていない。さらに10分間の処理によっても結晶化は生じていない。
実施例1と同様の方法で準備されたサンプルを、実施例1と同様の方法でプラズマ処理した。ただし投入電力は100W、処理時間は1〜15分を用いた。
図3はサンプルの表面XRDパターンの25度付近に生じたピークの面積を、プラズマ処理をおこなった時間に対してプロットしたものである。XRDパターンのピーク面積は結晶相の体積にほぼ比例する。実施例2で使用された条件、100Wの投入電力で1分間のプラズマ処理で結晶化は生じていない。さらに10分間の処理によっても結晶化は生じていない。
(比較例3)
実施例1と同様の方法で準備されたサンプルを、200℃に加熱し、2258時間保持した。
図4は200℃で2258時間加熱した後のサンプル表面のXRDパターンについて、アナターゼ形の結晶形に特有のピークが生じる回折角(2θ)25度付近を示したものである。図4においてXRDパターンにピークは生じておらず、結晶化は生じていないことが明らかである。
実施例1と同様の方法で準備されたサンプルを、200℃に加熱し、2258時間保持した。
図4は200℃で2258時間加熱した後のサンプル表面のXRDパターンについて、アナターゼ形の結晶形に特有のピークが生じる回折角(2θ)25度付近を示したものである。図4においてXRDパターンにピークは生じておらず、結晶化は生じていないことが明らかである。
実施例1と同様の方法によって準備されたサンプルを、実施例1と同様の方法でプラズマ処理し、200℃で加熱した。ただしプラズマ処理時の投入電力は100Wとし、プラズマ処理時間は1分間とした。図5(a)はプラズマ処理後のサンプルについてのXRDパターンであり、図5(b)は、プラズマ処理後に200℃に加熱した状態で100時間保持したサンプルについてのXRDパターンである。実施例1における場合と同様にアナターゼ形の結晶形に特有のピークが生じる回折角(2θ)25度付近を示したものである。
また図6はサンプルの表面XRDパターンの25度付近に生じたピークの面積を、プラズマ処理後に200℃に加熱した時間に対してプロットしたものである。XRDパターンのピーク面積は結晶相の体積にほぼ比例する。図6に明らかなように、加熱時間と共にピーク面積は増大しており、200℃で結晶相の生成が行われている。
また図6はサンプルの表面XRDパターンの25度付近に生じたピークの面積を、プラズマ処理後に200℃に加熱した時間に対してプロットしたものである。XRDパターンのピーク面積は結晶相の体積にほぼ比例する。図6に明らかなように、加熱時間と共にピーク面積は増大しており、200℃で結晶相の生成が行われている。
実施例1と同様の方法で準備されたサンプルを、実施例1と同様の方法でプラズマ処理し、さらに200℃で18時間加熱した。基材として、RCA洗浄した後に表面に白金をスパッタ製膜したものを用いた。またプラズマ処理に関しては投入電力550W、処理時間は10分を用いた。
図7はサンプルの表面に関するXRDパターンである。プラズマ処理後の200℃加熱によって25度付近に生じたアナターゼ型酸化チタンの存在を示すピークが成長しており、プラズマ処理後の200℃の加熱処理によってアナターゼ型酸化チタンが成長していることがわかる。
図7はサンプルの表面に関するXRDパターンである。プラズマ処理後の200℃加熱によって25度付近に生じたアナターゼ型酸化チタンの存在を示すピークが成長しており、プラズマ処理後の200℃の加熱処理によってアナターゼ型酸化チタンが成長していることがわかる。
実施例1と同様の方法で準備されたサンプルを、実施例1と同様の方法でプラズマ処理し、さらに200℃で108時間加熱した。基材として、水晶基板を用いた。またプラズマ処理に関しては投入電力550W、処理時間は10分を用いた。
図8はサンプルの表面に関するXRDパターンである。プラズマ処理後の200℃加熱によって25度付近に生じたアナターゼ型酸化チタンの存在を示すピークが成長しており、プラズマ処理後の200℃の加熱処理によってアナターゼ型酸化チタンが成長していることがわかる。
図8はサンプルの表面に関するXRDパターンである。プラズマ処理後の200℃加熱によって25度付近に生じたアナターゼ型酸化チタンの存在を示すピークが成長しており、プラズマ処理後の200℃の加熱処理によってアナターゼ型酸化チタンが成長していることがわかる。
実施例1と同様の方法で準備されたサンプルを、実施例1と同様の方法でプラズマ処理し、さらに200℃で108時間加熱した。基材として、ホウ珪酸ガラス基板を用いた。またプラズマ処理に関しては投入電力550W、処理時間は10分を用いた。
図9はサンプルの表面に関するXRDパターンである。プラズマ処理後の200℃加熱によって25度付近に生じたアナターゼ型酸化チタンの存在を示すピークが成長しており、プラズマ処理後の200℃の加熱処理によってアナターゼ型酸化チタンが成長していることがわかる。
図9はサンプルの表面に関するXRDパターンである。プラズマ処理後の200℃加熱によって25度付近に生じたアナターゼ型酸化チタンの存在を示すピークが成長しており、プラズマ処理後の200℃の加熱処理によってアナターゼ型酸化チタンが成長していることがわかる。
実施例1と同様の方法で準備されたサンプルを、実施例1と同様の方法でプラズマ処理し、さらに200℃で108時間加熱した。基材として、ソーダライムガラス基板を用いた。またプラズマ処理に関しては投入電力550W、処理時間は10分を用いた。
図10はサンプルの表面に関するXRDパターンである。プラズマ処理後の200℃加熱によって25度付近に生じたアナターゼ型酸化チタンの存在を示すピークが成長しており、プラズマ処理後の200℃の加熱処理によってアナターゼ型酸化チタンが成長していることがわかる。
図10はサンプルの表面に関するXRDパターンである。プラズマ処理後の200℃加熱によって25度付近に生じたアナターゼ型酸化チタンの存在を示すピークが成長しており、プラズマ処理後の200℃の加熱処理によってアナターゼ型酸化チタンが成長していることがわかる。
(比較例4)
実施例1と同様の方法で準備されたサンプルを、500℃で1時間加熱した。基材として、ソーダライムガラス基板を用いた。図11はサンプルの表面に関するXRDパターンである。XRDパターンにピークは生じていないことから、酸化チタン部分は非晶質のままである。一般に、ソーダライム基材上では、基材からのアルカリ金属元素の拡散によって結晶化が阻害されるため、中間にバリア層を設けなければゾルゲル法による酸化チタン薄膜を結晶化させることはできないといわれる。本比較例はそれを裏付けている。
実施例1と同様の方法で準備されたサンプルを、500℃で1時間加熱した。基材として、ソーダライムガラス基板を用いた。図11はサンプルの表面に関するXRDパターンである。XRDパターンにピークは生じていないことから、酸化チタン部分は非晶質のままである。一般に、ソーダライム基材上では、基材からのアルカリ金属元素の拡散によって結晶化が阻害されるため、中間にバリア層を設けなければゾルゲル法による酸化チタン薄膜を結晶化させることはできないといわれる。本比較例はそれを裏付けている。
(比較例5)
実施例1と同様の方法で準備されたサンプルを、300℃で108時間加熱した。基材として、ソーダライムガラス基板、及び実施例1と同様の方法で準備したSi基材を用いた。図12はSi基材上に作成したサンプルの表面に関するXRDパターンであり、図13はソーダライムガラス基板上に作成したサンプルの表面に関するXRDパターンである。図12においてはXRDパターンにピークが生じており、酸化チタン部分がアナターゼ型に結晶化している。しかしながら図13に示したソーダライムガラス上に作成したサンプルに関するXRDパターンにピークは生じておらず、酸化チタン部分は非晶質のままである。比較例4で触れたように、一般に、ソーダライム基材上では、基材からのアルカリ金属元素の拡散によって結晶化が阻害されるため、従来の方法においては基材表面と金属酸化物薄膜との中間にバリア層を設けなければゾルゲル法による酸化チタン薄膜を結晶化させることはできない。
実施例1と同様の方法で準備されたサンプルを、300℃で108時間加熱した。基材として、ソーダライムガラス基板、及び実施例1と同様の方法で準備したSi基材を用いた。図12はSi基材上に作成したサンプルの表面に関するXRDパターンであり、図13はソーダライムガラス基板上に作成したサンプルの表面に関するXRDパターンである。図12においてはXRDパターンにピークが生じており、酸化チタン部分がアナターゼ型に結晶化している。しかしながら図13に示したソーダライムガラス上に作成したサンプルに関するXRDパターンにピークは生じておらず、酸化チタン部分は非晶質のままである。比較例4で触れたように、一般に、ソーダライム基材上では、基材からのアルカリ金属元素の拡散によって結晶化が阻害されるため、従来の方法においては基材表面と金属酸化物薄膜との中間にバリア層を設けなければゾルゲル法による酸化チタン薄膜を結晶化させることはできない。
塩化インジウム(InCl3,高純度化学研究所社製)1.53g(0.0054 mol)、第一塩化錫(SnCl2,高純度化学研究所社製)0.14 g(0.0006 mol)をエタノール(和光純薬工業社製)30 mlに溶解し、4時間攪拌し溶液を得た。得られた溶液をホウ珪酸ガラス上に3000 rpmで30秒間スピンコートし試験片を得、200 ℃ 108時間の加熱処理および/または周波数13.56 MHz、アンプパワー 500 W、内圧106 Pa、照射時間10分の条件での酸素プラズマ照射処理を行った。
図14はITOに特徴的なのピークが生じる31度(2θ角)付近について、各サンプルの表面に関するXRDパターンを測定した結果である。特に図14(a)に示した、処理を施さなかったサンプル、図14(b)に示したプラズマ処理を行ったサンプル、図14(c)に示した200℃で108時間加熱したサンプルについては、XRDパターンにピークは生じず、ITO膜は非晶質であるが、図14(d)に示した、プラズマ処理の後に200℃で108時間加熱したサンプルについてはXRDパターンにピークが生じており、ITO部分が結晶化している。
図14はITOに特徴的なのピークが生じる31度(2θ角)付近について、各サンプルの表面に関するXRDパターンを測定した結果である。特に図14(a)に示した、処理を施さなかったサンプル、図14(b)に示したプラズマ処理を行ったサンプル、図14(c)に示した200℃で108時間加熱したサンプルについては、XRDパターンにピークは生じず、ITO膜は非晶質であるが、図14(d)に示した、プラズマ処理の後に200℃で108時間加熱したサンプルについてはXRDパターンにピークが生じており、ITO部分が結晶化している。
Claims (7)
- 非晶質金属酸化物薄膜を、非加熱状態で、高周波電界中で低温プラズマに曝露し、次いで、プラズマを含まない雰囲気で加熱処理することにより、結晶性の金属酸化物薄膜を製造することを特徴とする、金属酸化物薄膜の製造方法。
- 前記加熱処理を大気雰囲気下で行うことを特徴とする、請求項1に記載の金属酸化物薄膜の製造方法。
- 前記低温プラズマの曝露は、実質的に結晶が生成しない程度の条件であることを特徴とする、請求項1または2に記載の金属酸化物薄膜の製造方法。
- 前記低温プラズマの曝露は、非晶質金属酸化物薄膜全体が結晶化しない程度の条件であることを特徴とする、請求項1または2に記載の金属酸化物薄膜の製造方法。
- 前記加熱処理における加熱温度は、前記非晶質金属酸化物薄膜を前記低温プラズマへの曝露を行なわずに加熱した場合に結晶化する温度よりも低温であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の金属酸化物薄膜の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載された方法を用いて形成されたことを特徴とする、結晶性金属酸化物薄膜。
- 基材表面に請求項6に記載の結晶性金属酸化物薄膜を形成せしめた構造体であって、前記基材がソーダライムガラスであり、前記結晶性金属酸化物薄膜が酸化チタンを含む膜であることを特徴とする構造体。
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