以下、本発明の実施形態に係るラミネート装置について図面を参酌しつつ説明する。
<第一実施形態>
まず、本実施形態に係るラミネート装置の外観イメージを図1及び図2を参照して簡単に説明する。ラミネート装置は、筐体1内に各種の機能部(これについては後述する)を内装し、画像記録を終えた被記録媒体Aをラミネート処理のために供給する被記録媒体供給部(供給部)10を筐体1の一方側に備えると共に、ラミネート処理を終えた被記録媒体Aを排出する完成品排出部(排出部)150を筐体1の他方側に備えて構成される。
筐体1は、左右に配置された側方フレーム1a,1bと、該側方フレーム1a,1b間の適宜箇所に配されて側方フレーム1a,1bを所定間隔で連結する連結フレーム1cとからなる。また、側方フレーム1a,1bは、それぞれ上部下部に分かれており、上部の側方フレーム1a,1b及びそれを連結する連結フレーム1cで上部筐体1Aが構成される一方、下部の側方フレーム1a,1b及びそれを連結する連結フレーム1cで下部筐体1Bが構成される。
そのため、筐体1は上下に分離可能である。より詳しくは、上部筐体1Aは、一部1dが下部筐体1Bに回転自在に支持されて下部筐体1Bに対して開閉自在に揺動する。また、上部筐体1Aと下部筐体1Bとが合わさった閉位置を維持するために、ロック機構2が筐体1に設けられている。
被記録媒体供給部10は、筐体1の一方側において上部筐体1Aと下部筐体1Bとの境界部分に取り付けられた載置板11を備える。一方、完成品排出部150も、筐体1の他方側において上部筐体1Aと下部筐体1Bとの境界部分に取り付けられた載置板151を備える。載置板11は、上部筐体1Aに回転自在に取り付けられており、被記録媒体Aを載置可能な水平位置と、被記録媒体Aを載置不能な垂直位置を取る。載置板151は、下部筐体1Bに固定して取り付けられている。尚、幅方向に相対接離する一対の幅規制ガイドを載置板11に設けて、被記録媒体Aの幅サイズを問わず、常に被記録媒体Aの幅方向中心を合わせるようにするのが好ましい。
被記録媒体供給部10と完成品排出部150とを連絡する被記録媒体Aの搬送経路は、被記録媒体供給部10の載置板11及び完成品排出部150の載置板151と同様、上部筐体1Aと下部筐体1Bとの境界部分に沿って設定されている。従って、上部筐体1Aを上方に揺動させた開位置において、搬送経路は開放され、搬送経路上の被記録媒体Aを取り出すことができる。
機能部は、大別すると、図3及び図4に示す如く、搬送経路上で搬送される被記録媒体Aの記録面(上面)側から、ベースとなる基材C及びラミネート層が積層されたシート状のラミネート材Bを供給するラミネート材供給部(供給部)20と、搬送経路上で搬送される被記録媒体Aの記録面とは反対の面(下面:ベース面)側から、被転写手段としてのシート状のアンダーフィルムEを供給するアンダーフィルム供給部(供給部)30と、供給されたラミネート材B及びアンダーフィルムEの間に被記録媒体Aが供給されて積層された積層体(ラミネート材B及びアンダーフィルムEとの間に被記録媒体Aを介在させた状態のもの)を加熱圧着する第一及び第二圧着部(圧着部)40,50と、加熱圧着後のラミネート材Bから基材Cを剥離する剥離部60と、剥離された基材Cを回収する基材回収部(回収部)70と、加熱圧着後のアンダーフィルムEを被記録媒体Aから分離させる分離部80と、離間させたアンダーフィルムEを回収するアンダーフィルム回収部(回収部)90とに分けられる。
ラミネート材供給部20は、図5に示す如く、ラミネート材Bをロールから連続シートとして第一圧着部40に向けて供給するもので、ラミネート材Bを第一圧着部40に供給可能に貯留する貯留手段21を備えている。本実施形態に係る貯留手段21は、ラミネート材を長手方向に引き出し可能にラミネート材Bのロールを保持するホルダー(ラミネート材原反保持体)で構成されている。該貯留手段21としてのホルダーは、着脱可能に構成されており、別のホルダー21と交換可能に構成されている。即ち、該ラミネート材供給部20は、被記録媒体供給部10から供給される被記録媒体Aのサイズに対応したラミネート材Bのロールに交換できるように、ホルダー21が着脱可能に構成されている。なお、ラミネート材B及び被記録媒体Aのサイズの関係については後述する。該ラミネート材供給部20は、前記ホルダー21を備えるほか、ホルダー21と搬送経路との間に配置されるフリーローラ22を備える。
ホルダー21は、フリーローラ22と共にその両端が側方フレーム1a,1bに回転自在に支持されている。フリーローラ22は、ホルダー21に取り付けられたロール及び後述する圧着部のローラ43の共通接線よりも内側(搬送経路側)となるように配置されることにより、ロールから繰り出されるラミネート材Bを搬送経路に至るまでの所定区間にて所定角度範囲で巻き付かせ、併せて搬送経路に対するラミネート材Bの進入角度を決定する。また、このフリーローラ22は、後述するように加熱ローラとなっている第一圧着部40の圧着ローラ43からの熱の影響を受け得る領域内に配置されている。そして、フリーローラ22の少なくとも表面に用いる材料は、熱吸収率及び熱伝導率が比較的優れる黒色のアルマイトとしている。
本実施形態のラミネート装置に用いられるラミネート材Bは、図8に示す如く、被記録媒体Aの記録面をラミネートするラミネート層Dを備えている。該ラミネート層Dは、記録面に対して接着する接着層D’と、該接着層D’上に形成され、記録面を保護する保護層D''とからなる積層構造をなしている。本実施形態に係る保護層D''は、透過性を有するアクリル系樹脂で形成されている。接着層D’は、保護層D''との接着性を維持すべく、透過性を有するジョイント用のアンカーコート層D''' を介して保護層D''と積層状態をなしている。該接着層D’は、アンダーフィルムEに対する接着力が、保護層D''に対する基材Cの密着力よりも高く、且つ透過性を有する樹脂(本実施形態においては、熱を加えることで接着力を発揮する熱可塑性樹脂:ポリエステル系の樹脂)によって形成されている。
さらに、ラミネート材Bは、加熱圧着や搬送時にラミネート層Dに傷が付くのを防止すると共に、加熱圧着時にラミネート層Dにシワ等が発生するのを防止すべく、ラミネート層(保護層D'')D上にシート状の基材Cが剥離可能に積層されている。つまり、該ラミネート材Bは、ラミネート層D上に基材Cを積層することで、該ラミネート層Dの表面の傷付きを防止すると共に、当該ラミネート材B自身にコシを与え(厚みを厚くして当該ラミネート材Bにおける撓みの自由度を下げ)、加熱圧着時の圧力等の影響でラミネート層Dにシワが発生するのを防止できるように構成されている。基材Cは、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムで構成されており、ラミネート層(保護層D'')Dに対して自らが保有する粘着性によって剥離可能に密着しており、ラミネート層Dと共に積層構造をなしている。
上記構成のラミネート材Bは、被記録媒体Aよりも大きなサイズに設定されている。具体的に説明すると、該ラミネート材Bは、被記録媒体Aに対するラミネートによる無駄な消費を抑えるべく、一方向の長さが被記録媒体Aの一方向(本実施形態においては搬送経路での進行方向:搬送方向)の長さよりも長く設定されると共に、一方向と直交する他方向の長さ(幅)が、被記録媒体Aの一方向と直交する他方向(進行方向と直交する方向)の長さと略同一に設定されている。即ち、本実施形態に係るラミネート材Bは、第一圧着部40への供給方向となる一方向に長尺で、且つ幅が被記録媒体Aの他方向の長さと略同一に設定されており、当該ラミネート装置への装填効率やラミネート材Bの供給効率等を考慮して上述の如くロール状に巻かれたものが採用されている。上記構成のラミネート材Bのロールは、基材Cが外側を向き、ラミネート層Dが内側を向くようにして巻かれており、そのため、フリーローラ22に対しては基材Cが接触するようになっている。
一方、図5に戻り、アンダーフィルム供給部30は、アンダーフィルムEをロールから連続シートとして供給するもので、アンダーフィルムEのロールを保持するホルダー(アンダーフィルム原反保持体)31を備えるほか、ホルダー31と搬送経路との間に配置されるフリーローラ32を備える。
ホルダー31は、フリーローラ32と共にその両端が側方フレーム1a,1bに回転自在に支持されている。フリーローラ32は、ホルダー31に取り付けられたロール及び後述する圧着部のローラ41の共通接線よりも内側(搬送経路側)となるように配置されることにより、ロールから繰り出されるアンダーフィルムEを搬送経路に至るまでの所定区間にて所定角度範囲で巻き付かせ、併せて搬送経路に対するアンダーフィルムEの進入角度を決定する。また、このフリーローラ32は、後述するように加熱ローラとなっている第一圧着部40の駆動ローラ41からの熱の影響を受け得る領域内に配置されている。そして、フリーローラ32の少なくとも表面に用いる材料は、フリーローラ22と同様、熱吸収率及び熱伝導率が比較的優れる黒色のアルマイトとしている。
アンダーフィルムEは、積層された状態でベースとなる被転写材(被転写手段)として機能するものであって、ラミネート材Bの接着層D’と熱接着性がある材質乃至該接着層D’と同質の材質からなる樹脂フィルムが用いられる。該アンダーフィルムEは、単層構造、積層構造のどちらも採用することができるが、本実施形態においては、PET(ポリエチレンテレフタレート)製の単層フィルムが採用されている。また、該アンダーフィルムEは、積層された状態でラミネート材B(ラミネート層D)がアンダーフィルムEの側縁から側方にはみ出すことのないよう、第一圧着部40への供給方向となる一方向と直交する方向の長さ(幅)がラミネート材Bと同一か若しくはそれ以上に設定されている。なお、本実施形態においては、後述する幅規制ガイド47が前記第一圧着部40の上流側から該第一圧着部40にかけて設けられているので、アンダーフィルムEの幅についてもラミネート材Bの幅、即ち、被記録媒体Aの他方向の長さと略同一に設定されている。
第一圧着部40は、駆動ローラ41と圧着ローラ43とを備える。駆動ローラ41は、被記録媒体Aのベース面側に配置され、圧着ローラ43は、被記録媒体Aの記録面側に配置され、何れもその両端が側方フレーム1a,1bに回転自在に支持されている。両ローラ41,43間において、ラミネート材B及びアンダーフィルムE並びにその間に被記録媒体供給部10から供給された被記録媒体Aが積層される(以下、被記録媒体A、ラミネート材B(ラミネート材Bを構成する各層)及びアンダーフィルムEの少なくとも二つ以上が積層されたものを総称して「積層体」という)。
また、該第一圧着部40の上流側には、上述の如く、被記録媒体供給部10、ラミネート材供給部20及びアンダーフィルム供給部30から供給されてくる被記録媒体A、ラミネート材B及びアンダーフィルムEを供給方向(一方向)と直交する他方向への移動を規制する幅規制ガイド47が設けられている。
幅規制ガイド47は、間隔を有して互いに対向した一対のガイドプレートにより構成されている。該一対のガイドプレート47は、互いに接離可能に構成されており、前記被記録媒体供給部10、ラミネート材供給部20及びアンダーフィルム供給部30から供給されてくるラミネート材B、被記録媒体A及びアンダーフィルムEのサイズに対応した間隔に随時変更できるように構成されている。
両ローラ41,43は、積層体(A+B+E)に対して圧着作用を生じさせるものであり、例えば、駆動ローラ41には、金属ローラ又は極薄ゴムローラが採用され、圧着ローラ43には、シリコン系の耐熱ゴムローラが採用される。
また、両ローラ41,43は、軸芯部にヒータ42,44が存在しており、加熱ローラとなっている。ローラ41,43の表面における加熱温度は、駆動ローラ41では、60〜120℃の範囲内で設定され、圧着ローラ43では、80〜120℃の範囲内で設定される。駆動ローラ41は、被記録媒体A、ラミネート材B及びアンダーフィルムEの三者が加熱圧着されるポイント(ローラ41,43の理論的な接点)よりも前に、アンダーフィルム供給部30から供給されたアンダーフィルムEが所定角度で巻き付くように配置されており、アンダーフィルムEが加熱圧着ポイントに到達するのに先立って予熱できるようになっている。また、圧着ローラ43は、加熱圧着ポイントよりも前に、ラミネート材供給部20から供給されたラミネート材Bが所定角度で巻き付くように配置されており、ラミネート材Bが加熱圧着ポイントに到達するのに先立って予熱できるようになっている。しかも、フリーローラ22,32は、ローラ41,43からの熱を受けて加熱されるため、加熱ローラとしての機能も有しており、ラミネート材B及びアンダーフィルムEは、ローラ41,43の予熱に先立ち、フリーローラ22,32でも予熱されるようになっている。尚、第一圧着部40におけるアンダーフィルムE側のローラ(駆動ローラ)41も、加熱ローラとし且つラミネート材B側のローラ(圧着ローラ)43のローラ表面での加熱温度より低く設定するのは、アンダーフィルムEに対する熱影響を抑えつつ、ラミネート層D及びアンダーフィルムE間の熱溶着性を活性化させるためである。
また、駆動ローラ41が側方フレーム1a,1bに対して相対変位不能であるのに対し、圧着ローラ43は、圧着力調整機構45を介して側方フレーム1a,1b(及び駆動ローラ41)に対して相対変位可能となっている。該圧着力調整機構45は、側方フレーム1a,1bに取り付けられるベース450と、該ベース450に取り付けられ、搬送経路と直交する方向に軸心を有する軸451と、該軸451に沿ってスライドする可動体452と、該可動体452を搬送経路側に付勢する弾性体453と、該弾性体453の弾性復元力を調整するハンドル(調整部材)454とを備える。通常、両ローラ41,43間の圧着力は、50〜120kgfの範囲内で設定される。
第二圧着部50は、図6に示す如く、駆動ローラ51と圧着ローラ53を備える。駆動ローラ51は、被記録媒体Aのベース面側に配置され、圧着ローラ53は、被記録媒体Aの記録面側に配置され、何れもその両端が側方フレーム1a,1bに回転自在に支持されている。積層体(A+B+E)は、第二圧着部50よりも搬送経路の上流側に位置する剥離部60にて基材Cが剥離されるため、両ローラ51,53間には、積層体(A+B+E−C)が供給される。
両ローラ51,53は、積層体(A+B+E−C)に対して圧着作用を生じさせるものであり、例えば、駆動ローラ51及び圧着ローラ53の何れにも、シリコン系の耐熱ゴムローラが採用される。
また、圧着ローラ53は、軸芯部にヒータ54が存在しており、加熱ローラとなっている。ローラ表面での加熱温度は、80〜120℃の範囲内で設定される。駆動ローラ51は、加熱ローラとなっていない。第二圧着部50における加熱温度(圧着ローラ53による加熱温度)は、仕上げ処理的な意味合いで、第一圧着部40における加熱温度(駆動ローラ41、及び圧着ローラ43でのトータル的な加熱温度)よりも低く設定している。即ち、例えば被記録媒体Aとラミネート層Dとの間に気泡が混入している場合、加熱せずに圧着すると、ラミネート層Dの接着層D’が硬化している状態で圧着することになるので、気泡をうまく押し込めないが、加熱した状態にすると、接着層D’が軟化し、その状態で圧着することにより、気泡がインクの隙間から被記録媒体Aの記録面に押し込まれて好適に除去されること、そして、加熱温度が高すぎると、ラミネート層D(の接着層D’)が被記録媒体Aの記録面からずれたり、剥がれてしまうこと、の理由から、第二圧着部50でも加熱すると共に、該第二圧着部50における加熱温度を第一圧着部40における加熱温度よりも低く設定している。また、第二圧着部50の駆動ローラ51を加熱ローラとしないのは、上述の如く、第二圧着部50における加熱温度を高くし過ぎないためであると共に、一度加熱した積層体を再度加熱し過ぎると、被記録媒体Aやラミネート層Dの品質が劣化するおそれがあること、ヒータが無くなって製造コストが下げられること、及び消費電力を少なくしてランニングコストが下げられること、にある。加えて、第二圧着部50における圧着力は、基材Cがない分、第一圧着部40における圧着力よりも小さく設定している。
また、第一圧着部40と同様、駆動ローラ51が側方フレーム1a,1bに対して相対変位不能であるのに対し、圧着ローラ53は、圧着力調整機構55を介して側方フレーム1a,1b(及び駆動ローラ41)に対して相対変位可能となっている。該圧着力調整機構55の構成は、第一圧着部40の圧着力調整機構55と同様であるので、特に説明は行わない。通常、両ローラ51,53間の圧着力は、50〜120kgfの範囲内で設定される。
剥離部60は、搬送経路の上流側に位置する第一圧着部40と、該第一圧着部40よりも搬送経路の下流側に位置する第二圧着部50との間に配置され、搬送経路に対向して配置されたナイフエッジ(剥離ガイド体)61を備える。
即ち、剥離部60は、第一圧着部40で加熱圧着してから所定時間経過後に基材Cをラミネート層Dから分離させるべく、第一圧着部40から下流側に所定の距離をおいた位置にナイフエッジ61を備えている。このように、剥離部60を第一圧着部40から所定の距離をおいて配設しているのは、第一圧着部40で加熱圧着されることで活性化(粘性等を発揮)したラミネート層Dが通常の平衡状態(接着力が強くなった状態)になってからラミネート材B(ラミネート層D)に外力を作用させるようにするためである。
つまり、第一圧着部40における加熱から所定時間を経過すれば、被記録媒体Aに対するラミネート層Dの接着力が基材Cとラミネート層Dとの密着力よりも確実に増した状態となり、この状態で基材Cの剥離工程を行えば、ラミネート層Dが被記録媒体Aから不用意に剥がされることなく基材Cのみがきれいに剥がれるため、剥離部60と第一圧着部40との間隔を設けている。従って、剥離部60と第一圧着部40との間隔(所定距離)は、第一圧着部40を通過してから剥離部60に到達するまでの時間が、ラミネート層Dを活性状態から略通常の平衡状態に戻すのに必要な時間(所定時間)と略一致あるいはそれ以上となるように設定されている。
ナイフエッジ61は、その先端部が搬送経路側となって搬送経路に対して鋭角で傾斜するようホルダー62に保持されている。具体的に説明すると、ナイフエッジ61は、剥離部60における搬送経路と対向する下面61aと、該下面61aにおける搬送方向の下流側の端縁に接続され、該下面61aに対して鋭角をなすように上方に延びる(基材回収部70に向けて延びる)傾斜面61bとを備える。また、下面61aと傾斜面61bとの接続線(稜線)は、搬送経路上での被記録媒体Aの搬送方向と略直交する方向に延びている。
また、剥離部60は、ナイフエッジ61のガイド面としての傾斜面61bと所定間隔を有して対向するガイド面を有するガイド板63をさらに備え、ラミネート層Dから剥離させた連続シート状の基材Cは、ナイフエッジ61の傾斜面61b及びガイド板63のガイド面間を通って基材回収部70に送られるようになっている。
基材回収部70は、ラミネート層Dから剥離させた連続シート状の基材Cをロール状に巻き取って回収するもので、基材Cのロールを保持するホルダー(回収基材保持体)71を備える。ホルダー71は、その両端が側方フレーム1a,1bに回転自在に支持されている。また、ホルダー71は、その巻き取り面がナイフエッジ61の先端部よりも搬送経路の上流側となるように配置されることにより、搬送経路から剥離される基材Cをナイフエッジ61の先端部に巻き付かせ、併せて搬送経路に対する基材Cの剥離角度を決定する。
分離部80は、図7に示す如く、圧着部(第二圧着部50)よりも搬送経路の下流側(より詳しくは、該第二圧着部50と、積層体(A+B−C:完成品)を完成品排出部150へ搬出するための搬送ローラ対100との間)に配置され、搬送経路に対向して配置されたナイフエッジ(分離ガイド体)81を備える。
即ち、分離部80は、第二圧着部50で加熱圧着してから所定時間経過後にアンダーフィルムEを被記録媒体Aから分離させるべく、第二圧着部50から下流側に所定の距離をおいた位置にナイフエッジ81を備えている。このように、分離部80を第二圧着部50から所定の距離をおいて配設しているのは、第二圧着部50で加熱圧着されることで活性化(粘性等を発揮)したラミネート層Dが通常の平衡状態(接着力が強くなった状態)になってからラミネート材B(ラミネート層D)に外力を作用させるようにするためである。
つまり、第二圧着部50における加熱から所定時間を経過すれば、被記録媒体Aに対するラミネート層Dの接着力が確実に増した状態となり、この状態でアンダーフィルムEの分離工程を行えば、ラミネート層Dが被記録媒体Aから不用意に剥がされてしまうことがないため、分離部80と第二圧着部50との間隔を設けている。従って、分離部80と第二圧着部50との間隔(所定距離)は、第二圧着部50を通過してから分離部80に到達するまでの時間が、ラミネート層Dを活性状態から略通常の平衡状態に戻すのに必要な時間(所定時間)と略一致あるいはそれ以上となるように設定されている。
尚、図3及び図4において、第一圧着部40から剥離部60までの距離よりも第二圧着部50から分離部80までの距離が短くなっているのは、第一圧着部40における加熱温度よりも第二圧着部50における加熱温度が低く設定されているのに加え、第一圧着部40と剥離部60との間で搬送経路上を通過する積層体(A+B+E)を自然冷却させているのに対し、第二圧着部50及び分離部80間には(実際には分離部80(ナイフエッジ81)の先端部を挟んで搬送経路の上流側及び下流側に跨って)搬送経路を画定するプレート状のガイド板83が設けられており、該ガイド板83が積層体(A+B+E−C)の搬送性を向上させると共に、積層体(A+B+E−C)の熱を強制的に放熱させる(強制的に冷却する)強制冷却手段として機能しているからである。そして、第二圧着部50から分離部80までの距離が短くなる分、装置全体の小型化を図ることができる。尚、本実施形態においては、分離部80と第二圧着部50との間隔は、第二圧着部50を通過してから分離部80に到達するまでの時間が、ラミネート層Dを活性状態から略通常の平衡状態に戻すのに必要な時間(所定時間)となるように、搬送経路上での積層体(A+B+E−C)の移動速度、ガイド板83の冷却効率等の相関関係に基づいて設定されている。
図7に戻り、ナイフエッジ81は、その先端部が搬送経路側となって搬送経路に対して鋭角で傾斜するようホルダー82に保持されている。具体的に説明すると、分離部80のナイフエッジ81は、当該分離部80における搬送経路と対向する上面81aと、該上面81aにおける搬送方向の下流側の端縁に接続され、該上面81aに対して鋭角をなすように下方に延びる傾斜面81bとを備える。また、上面81aと傾斜面81bとの接続線(稜線)は、搬送経路における搬送方向と略直角方向に延びている。
また、分離部80は、搬送経路を画定するために筐体1内に内装され且つナイフエッジ81の先端部を挟んで搬送経路の上流側及び下流側に跨った形状の前記ガイド板83を備える。より詳しくは、ガイド板83は、その先端部が圧縮部(第二圧縮部50)の近傍まで延設される一方、その基端部がナイフエッジ81の先端部を越えて搬送経路の下流側まで延設された形状である。さらに、分離部80は、ガイド板83のうち、ナイフエッジ81の先端部よりも搬送経路の下流側における部分の内面(ガイド面)と所定間隔を有して対向するガイド面を有するガイド板84をさらに備える。
両ガイド板83,84は、先端部(搬送経路の上流側における端部)が搬送経路から離間する方向に所定角度を以て屈曲され、テーパ状の拡開された入口側開口を形成している。また、ガイド板84は、ナイフエッジ81の上面81aを基準に搬送経路から離間する方向にオフセットされて、ナイフエッジ81の上面81aよりも低位置に設定されており、そのため、ガイド板83,84のガイド面間隔は、ガイド板83のガイド面とナイフエッジ81の上面81aとの間隔よりも広くなっている。即ち、ナイフエッジ81よりも下流側の搬送経路を画定するガイド面間隔は、アンダーフィルムEの分離前よりも分離後の方向が広く設定されている。
アンダーフィルム回収部90は、余分なラミネート層Dを転写させたアンダーフィルムEの連続シートをロール状に巻き取って回収するもので、アンダーフィルムEのロールを保持するホルダー(回収アンダーフィルム保持体)91を備える。ホルダー91は、その両端が側方フレーム1a,1bに回転自在に支持されている。また、ホルダー91は、その巻き取り面がナイフエッジ81の先端部(稜線)よりも搬送経路の上流側となるように配置されることにより、搬送経路から分離されるアンダーフィルムEをナイフエッジ81の先端部に巻き付かせ、併せて搬送経路に対する基材Cの剥離角度を決定する。
各機能部の構成は以上の通りである。図1〜図4に戻って、ラミネート材供給部20、剥離部60の主たる構成要素及び基材回収部70は、同じ筐体(被記録媒体Aの記録面側に位置する上部筐体1A)に配置される一方、アンダーフィルム供給部30、分離部80の主たる構成要素及びアンダーフィルム回収部90も、同じ筐体(被記録媒体Aのベース面側に位置する下部筐体1B)に配置されている。また、第一圧着部40、第二圧着部50及び搬送ローラ対100は、両方の筐体(上部筐体1A及び下部筐体1B)に跨って配置されている。
また、第一圧着部40、第二圧着部50及び搬送ローラ対100のそれぞれ駆動ローラ41,51,101は、一方の筐体(下部筐体1B)に配置され、それぞれ圧着ローラ(従動ローラ)43,53,102は、他方の筐体(上部筐体1A)に配置されている。
さらに、第一圧着部40、第二圧着部50及び搬送ローラ対100の駆動ローラ41,51,101のみならず、基材回収部70及びアンダーフィルム回収部90のホルダー71,91の全てに対し、スプロケット、チェーン、ギアトレイン等の周知の駆動力伝達手段(図1及び図2参照、但し、構成は図より明らかであるため、採番しない)によってモータ(駆動源)3の駆動力が同時に伝達されるようになっている。これらの同期駆動により、ラミネート材供給部20からラミネート材Bが引っ張られ、アンダーフィルム供給部30からアンダーフィルムEが引っ張られ、且つ積層体(A+B+E;A+B+E−C;A+B−C)が搬送経路に沿って下流側に搬送されるようになっている。
但し、ラミネート材B(のラミネート層D)といった薄いフィルムを搬送するために、第二圧着部50の駆動ローラ51は、第一圧着部40の駆動ローラ41よりも3%以下のオーバードライブを掛けて圧縮部40,50間のラミネート材Bにバックテンションを付与するようにしている。尚、3%以下としたのは、バックテンションが小さ過ぎると、第一及び第二圧着部40,50間にたるみが生じて被記録媒体Aのひずみが発生したり、加熱によって軟化したラミネート層Dにしわが発生し、そのしわが被記録媒体Aの記録面上に残ってしまい、一方、バックテンションが大き過ぎると、そのバックテンションによってラミネート層Dが延ばされて縦じわが発生し、その縦じわも被記録媒体Aの記録面上に現れてしまうからである。
本実施形態に係るラミネート装置は、以上の構成からなり、次に、本装置におけるラミネート処理の各工程について説明する。
まず、被記録媒体Aに対するラミネート処理を行う前に、予めラミネート材供給部20からラミネート材Bを引き出し、該ラミネート材Bをフリーローラ22に巻き掛けて第一圧着部40(駆動ローラ41と圧着ローラ43との間)及び第二圧着部50(駆動ローラ51と圧着ローラ53との間)に挿通し、先端部を基材回収部70のホルダー71に巻き付けておく。また、アンダーフィルム供給部30からアンダーフィルムEを引き出し、該アンダーフィルムEをフリーローラ32に巻き掛けて第一圧着部40(駆動ローラ41と圧着ローラ43との間)及び第二圧着部50(駆動ローラ51と圧着ローラ53との間)に挿通し、先端部をアンダーフィルム回収部90のホルダー91に巻き付けておく。この状態では、第一圧着部40と分離部60との間における搬送経路で、ラミネート材BとアンダーフィルムEとが重なりあった状態となっている。
この状態で、図5に示す如く、被記録媒体Aの記録面をラミネート材Bが供給される側(本実施形態においては、ラミネート材供給部20に配置に対応させて上方側)に向け、被記録媒体供給部10から被記録媒体Aを順次供給する。即ち、該ラミネート装置は、複数の被記録媒体Aを連続的にラミネート処理を行えるようになっており、先行する被記録媒体Aと後続の被記録媒体Aとの間に間隔をおいた状態で、これらの被記録媒体Aを被記録媒体供給部10から順次供給する。そうすると、被記録媒体Aは、幅規制ガイド47(一対のガイドプレート)に他方向の両端が案内されつつ第一圧着部40に向けて移動し、該幅規制ガイド47(一対のガイドプレート)に幅方向の両端が案内されつつ供給されるラミネート材BとアンダーフィルムEとの間に、記録面とラミネート層Dとが対向した状態で介在した状態となる。そして、ラミネート材BとアンダーフィルムEとの間に被記録媒体Aが介在した状態で第一圧着部40に到達すると、ラミネート材B、被記録媒体A及びアンダーフィルムEが搬送方向に搬送されつつ順次加熱圧着される。このように第一圧着部40で加熱圧着されると、上述の如く、ラミネート材B及びアンダーフィルムEの一方向(搬送方向)の長さが被記録媒体Aの一方向の長さよりも長く、且つ他方向の長さが被記録媒体の他方向の長さと略同一に設定されているので、ラミネート層Dは軟化して被記録媒体Aの記録面及び一方向の両端面を覆うように変形する。
そうすると、図9(イ)に示す如く、一方向(搬送方向)に所定の間隔をおいた複数の被記録媒体Aが、他方向の両端をラミネート材B及びアンダーフィルムEの幅方向の両端に略一致させた状態で、該ラミネート材B及びアンダーフィルムEに挟まれ、被記録媒体Aの記録面にラミネート層Dが密着したラミネート部分Daと、アンダーフィルムEにラミネート層Dが密着した非ラミネート部分Dbとが交互に形成されることになる。
即ち、先行する被記録媒体Aと後続の被記録媒体Aとの間に間隔をおくように被記録媒体Aを順次供給し、第一圧着部40でラミネート材B、被記録媒体A及びアンダーフィルムEを連続的に加熱圧着させる(ラミネート材B、被記録媒体A及びアンダーフィルムEの三者が第一圧着部40を通過する)と、図9(ロ)((イ)のI−I断面図)に示す如く、ラミネート材Bの幅方向においては、被記録媒体Aの他方向の両端とラミネート材B及びアンダーフィルムEの幅方向の両端が略一致して、被記録媒体Aの記録面にラミネート層Dが密着したラミネート部分Daのみが形成される一方で、ラミネート材Bの一方向(搬送方向)においては、図9(ハ)((イ)のII−II断面図)に示す如く、被記録媒体A、ラミネート材B及びアンダーフィルムEが積層されたラミネート部分Daと、ラミネート材B及びアンダーフィルムEが積層された非ラミネート部分Dbとが搬送方向(一方向)において交互に形成された積層体(A+B+E、B+E)が得られる。尚、アンダーフィルムEに転写されるラミネート層Dの転写幅Dbが3mm程度以上となるように、先行する被記録媒体Aと後続の被記録媒体Aとの間隔(供給間隔)が設定されている。ラミネート層Dの転写幅Dbがこの値よりも小さいと、アンダーフィルムEとラミネート層Dとの接着面積が少なくて接着力が十分でないため、アンダーフィルムEとラミネート層Dとが剥がれるおそれがあり、それが原因となって、ラミネート層Dと記録面とが圧着した部分(ラミネート部分)Daと、ラミネート層DとアンダーフィルムEとが圧着した部分(非ラミネート部分)Dbとがきれいに切り離されないことがあるからである。
次に、第一圧着部40で得られた積層体(A+B+E、B+E)は、図6に示す如く、剥離部60に搬送される。該積層体(A+B+E、B+E)は、第一圧着部40にて加熱された後、時間(所定時間)の経過に伴ってある程度冷却された状態にあるため、ラミネート層Dの接着層D’は硬化を開始しており(活性状態から通常の平衡状態に戻りつつあり)、その結果、接着層D’が略硬化あるいはある程度硬化した状態(略通常の平衡状態)となり、剥離部60に到達した積層体(A+B+E、B+E)は、基材Cとラミネート層Dとの密着力がラミネート層Dと被記録媒体Aの記録面との密着力やラミネート層DとアンダーフィルムEとの密着力よりも小さくなる(ラミネート層Dと被記録媒体Aの記録面との密着力やラミネート層DとアンダーフィルムEとの密着力の方が基材Cとラミネート層Dとの密着力よりも大きくなる)。そのため、ナイフエッジ61を介して基材Cが搬送方向の上流側の上方に向けて引っ張られても、確実に基材Cのみが剥離され、従来のラミネート装置のように、ラミネート層Dの一部又は全部が基材Cと共に持ち去られるようなことはない。
しかも、剥離部60では、ナイフエッジ61の先端部が積層体(A+B+E)と摺接状態にあるため、基材Cの剥離に伴う積層体(A+B+E)の浮き上がりが防止され、基材Cの剥離角度は安定化される。
次に、剥離部60で基材Cが剥離された積層体(A+B+E−C)は、第二圧着部50に搬送され、ここで二回目の加熱圧着が行われる。このように、本実施形態に係るラミネート装置は、最初に基材Cがある状態で加熱圧着し、次に基材Cを取り除いた状態で加熱圧着する構成を採用するもので、これにより、被記録媒体Aの記録面に対するラミネート層Dの密着性を向上させることができ、また、例えば第一圧着部40での積層時に被記録媒体Aとラミネート層Dとの間に気泡が混入したとしても、この気泡を除去してきれいな仕上がり面を得ることができる。
次に、第二圧着部50で二度目の加熱圧着された積層体(A+B+E−C)は、図7に示す如く、分離部80に搬送される。該積層体(A+B+E−C)は、第二圧着部50での加熱圧着により、ラミネート材Bのラミネート層Dが再度活性化しているが、第二圧着部50で加熱圧着されてからの時間(所定時間)の経過による自然放熱及びガイド板83の放熱作用による強制冷却に伴って、ラミネート層Dの接着層D’が硬化しつつ(活性状態から通常の平衡状態に戻りつつ)分離部80に向けて移動することになる。その結果、積層体(A+B+E−C)は、接着層D’が略硬化あるいはある程度硬化した状態(略通常の平衡状態)となった状態で分離部80に到達し、ここでアンダーフィルムEが分離される。
このように接着層D’が略通常の平衡状態となって分離部80に到達した積層体(A+B+E−C)は、分離部80のナイフエッジ81の上面上を摺接しながら下流側に移動し、該ナイフエッジ81の稜線を通過するに際し、アンダーフィルムEがナイフエッジ81の先端部に巻き掛けられた状態でアンダーフィルムEがアンダーフィルム回収部90のホルダー91に巻き取られていく。この際、図10に示す如く、被記録媒体Aのベース面とアンダーフィルムEとが離間するように、被記録媒体A及びアンダーフィルムEは、相対移動することになる。即ち、被記録媒体Aは、ガイド板83,84間(搬送経路)を更に下流側に向けて移動しようとするのに対し、アンダーフィルムEは、被記録媒体Aの移動方向とは異なる方向(被記録媒体Aのベース面から離間する方向)に引っ張られることになる。そのため、基材Cが剥離された非ラミネート部分Dbのラミネート層DもアンダーフィルムEと同方向に移動しようとするため、被記録媒体Aがある部分とない部分との境界(即ち、非ラミネート部分Dbとラミネート部分Daとの境界)において引っ張り力が集中的に作用することになる。そうすると、確実に非ラミネート部分Dbのみが切除されて、ラミネート部分Daの端縁は被記録媒体Aの端縁に沿ったきれいなものとなる。
ラミネート部分の端縁がきれいに仕上げられる理由は、一つに、被記録媒体Aの端縁が切断刃の如き機能を発揮することにあると考えられる。即ち、ラミネート部分Daと非ラミネート部分Dbとの境界には、被記録媒体Aの端縁が起因して剪断力(アンダーフィルムEを分離する際、被記録媒体Aの端縁部の反力及び非ラミネート部分DbのアンダーフィルムEとの密着力の相互作用により被記録媒体Aの端縁部を境として生じるラミネート層Dの剪断力)が作用して、ラミネート部分Da及び非ラミネート部分Dbが被記録媒体Aの端縁に沿って切断されるというものである。特に、本実施形態に係るナイフエッジ81は、上面と傾斜面とが鋭角をなしているため、搬送経路上のアンダーフィルムEの移動方向とナイフエッジ81の先端(稜線)からアンダーフィルム回収部90に向けて移動するアンダーフィルムEの移動方向が鋭角となっているので、被記録媒体Aの端縁が極めて鋭い切断刃として機能すると考えられる。
あるいは、別の理由として、図9(ハ)に示す如く、被記録媒体Aの厚みが原因となって、被記録媒体Aの端縁に沿ったラミネート層Dの極小幅領域がアンダーフィルムEから僅かに浮いた状態となることにあると考えられる。アンダーフィルムEを分離する際の引っ張り力がこの浮いた部分に集中的に作用するため、この浮いた部分でラミネート層Dが破断されて、ラミネート部分Da及び非ラミネート部分Dbが被記録媒体Aの端縁に沿って切断されるというものである。あるいは、さらに別の理由として、被記録媒体Aよりも大きなサイズに設定されたラミネート材B及びアンダーフィルムEを用い、被記録媒体Aを介在させた状態で圧着部40,50によってラミネート材BとアンダーフィルムEとを加熱圧着するため、ラミネート材Bのラミネート層Dが被記録媒体Aの記録面及び端縁部等の形状に沿って変形した態様となり、その結果、被記録媒体Aの端縁に沿ったラミネート層Dの極小幅領域の厚みが薄くなることにあると考えられる。アンダーフィルムEを分離する際の引っ張り力がこの薄くなった部分に集中的に作用するため、この薄くなった部分でラミネート層Dが破断されて、ラミネート部分Da及び非ラミネート部分Dbが被記録媒体Aの端縁に沿って切断されるというものである。
尚、当然の如く、ラミネート部分Daから切り離された非ラミネート部分Dbのラミネート層Dは、アンダーフィルムEと共に持ち去られることになる。
また、該分離部80では、図7に示す如く、ナイフエッジ81の先端部を挟んで搬送経路の上流側及び下流側に亘って搬送経路を画定するガイド面(ガイド板83,84の内面、ナイフエッジ81の上面81a)が設けられているため、アンダーフィルムEの分離中であっても、積層体(A+B+E−C;A+B−C)を搬送経路に沿って安定して搬送させることができ、その結果、積層体(A+B+E−C;A+B−C)の法線方向へのバタツキを抑えることができると共に、アンダーフィルムEの分離角度の安定化を図ることができる。さらに、アンダーフィルムEがアンダーフィルム回収部90側に引っ張られるときに、初期の段階で被記録媒体Aの先頭部分がアンダーフィルムEの移動に追従しようとするが、被記録媒体Aが完全に折れ曲がってしまう前、即ち、自己の弾性により姿勢を復元させ得る状態でラミネート部分Daと非ラミネート部分Dbとの境界が切断されるので、ナイフエッジ81の下流側に配設されたガイド板84は、ナイフエッジ81側が屈曲して搬送経路を拡大するように構成することで、被記録媒体Aの先頭部分がガイド板83,84間(搬送経路)に導かれ、該被記録媒体Aが下流側の完成品排出部150に搬送されることになる。従って、完成品排出部150には、被記録媒体Aの端縁に沿ったきれいな端縁を有し、且つ被記録媒体Aとの間に空気等が介在することなく記録面に密着したラミネート層Dでラミネートされた被記録媒体Aが排出されることになる。
<応用例>
上記実施形態に係るラミネート装置は、一回目は基材Cを剥離する前、二回目は基材Cを剥離した後、という具合で加熱圧着を二段階で行うものである。二回目の加熱圧着では、基材Cによる拘束が解除されてラミネート層Dが柔軟となり且つ圧着力が直接的にラミネート層Dに作用するため、被記録媒体Aの記録面に対するラミネート層Dの密着性が増す。しかも、一回目の加熱圧着によってラミネート層Dが被記録媒体Aに密着して安定化しているため、ラミネート層Dに対して直接的に加熱し圧着力を加えても、ラミネート層Dがそれらの影響を受けることはない。従って、図11(イ)に示す通常の光沢仕上げのラミネート処理(光沢のある記録面(平滑度が高い記録面)に対し、表面(より正確には、保護層D''の表面)が光沢を持つようにラミネート層Dを形成するラミネート処理)は勿論のこと、次のようなラミネート処理も可能となる。
応用例(その1):図11(ロ)に示す如く、マット調や絹目調といった半光沢や無光沢の記録面(凹凸のある記録面)に対し、表面が半光沢や無光沢となるようにラミネート層Dを形成するラミネート処理(半光沢仕上げや無光沢仕上げのラミネート処理)。その場合、ラミネート層Dの保護層D''は、加熱圧着により被記録媒体Aの記録面の凹凸に沿う柔軟性を有するものでなければならない。
応用例(その2):図11(ハ)に示す如く、マット調や絹目調といった半光沢や無光沢の記録面(凹凸のある記録面)に対し、表面が光沢を持つようにラミネート層Dを形成するラミネート処理(光沢仕上げのラミネート処理)。その場合、ラミネート層Dの保護層D''は、加熱圧着によっても被記録媒体Aの記録面の凹凸に沿わない剛性を有するものでなければならない。
<第二実施形態>
本実施形態に係るラミネート装置を図12に示す。第一実施形態に係るラミネート装置と異なる点は、まず、二つの圧着部を一つにした点であり、次に、圧着部の圧着ローラを駆動ローラに対して接離可能に構成した点である。その他は、基本的には第一実施形態と同じであるため、これらについては、第一実施形態における説明を準用乃至第一実施形態における説明を技術的に読み替えるものとし、併せて第一実施形態の構成要素と同一符号を採番するものとし、説明は割愛する。
圧着部を一つにしたのは、一回の加熱圧着でも被記録媒体Aの記録面に対するラミネート層Dの密着性向上効果及び被記録媒体Aとラミネート層Dとの間に混入した気泡の除去効果が製品レベルで許容できる場合もあるからである。
圧着部におけるローラ対の接離機構(圧着・解除機構)46は、第一部位にてローラ(圧着ローラ43)を回転自在に支持して第二部位にて筐体1に揺動自在に支持されたアーム(カムフォロア)460と、該アーム460の第三部位に当接して、該アーム460の揺動位置を圧着ローラ43が駆動ローラ41に圧着する第一位置と圧着ローラ43が駆動ローラ41から離間する第二位置とに替えるカム461とを備える。
圧着・解除機構46は、圧着ローラ43が無いとした場合に取るラミネート材Bの軌跡B’よりも外方に圧着ローラ43を離間させるように構成されているため、圧着解除位置にある圧着ローラ43は、ラミネート材Bと接触することはない。
そのため、本実施形態に係るラミネート装置によれば、例えば一枚の被記録媒体Aのみをラミネート処理する場合、該被記録媒体Aが圧着部40を抜けた時点で圧着ローラ43を圧着解除するようにすれば、その被記録媒体Aが完成品として排出されるまでにラミネート材供給部20から繰り出された分のラミネート材Bが同じくアンダーフィルム供給部30から繰り出された分のアンダーフィルムEにラミネートされることはなく、従って、そのラミネート材B及びアンダーフィルムEをそれぞれ巻き戻すことにより、次の被記録媒体Aのラミネート処理のために使用することができ、ラミネート材Bの有効利用が図れるのである。
尚、圧着・解除機構は、揺動式に限らず、直動式であってもよいし、また、圧着・解除機構は、方式を問わず、第一実施形態に係るラミネート装置の第一圧着部40及び/又は第二圧着部50に適用してもよい。
<第三実施形態>
本実施形態に係るラミネート装置を図13に示す。本実施形態に係るラミネート装置と第一実施形態、あるいは第二実施形態に係るラミネート装置との異なる点は、被記録媒体供給部10が被記録媒体Aを供給するタイミングを機械的にコントロールできるように構成されている点にある。その他については、基本的には第一実施形態、あるいは第二実施形態と同じであるため、これらについては、第一実施形態、あるいは第二実施形態における説明を準用乃至技術的に読み替えるものとし、併せて第一実施形態、あるいは第二実施形態の構成要素と同一符号を採番するものとし、説明は割愛する。
本実施形態に係るラミネート装置の被記録媒体供給部10は、筐体1の一方側において下部筐体1Bの上端部から外方に向けて延出するように取り付けられた載置板11と、筐体1の一方側において上部筐体1Aと下部筐体1Bとの間に形成された被記録媒体供給口12で被記録媒体Aの通過を許容する状態と通過を阻止する状態とに切り換える被記録媒体通過阻止手段13とを備えている。
前記載置板11は、上記第一実施形態、あるいは第二実施形態に係る載置板11と同様に構成されている。本実施形態に係る被記録媒体通過阻止手段13には、シリンダチューブ13aに対してロッド13bが出退可能に構成された電動シリンダが採用されている。該被記録媒体通過阻止手段13は、シリンダチューブ13aが下部筐体1Bに連結されており、ロッド13bが伸長した状態で、該ロッド13bが被記録媒体供給口12乃至その近傍における被記録媒体Aが通過する搬送経路上に存在し、該ロッド13bの存在によって被記録媒体供給口12から第一圧着部40に向けての被記録媒体Aの移動、即ち、被記録媒体Aの供給を阻害した状態にできるようになっている。また、該被記録媒体通過阻止手段13は、ロッド13bがシリンダチューブ13a内に待避した状態で、該ロッド13bが被記録媒体供給口12乃至その近傍における被記録媒体Aが通過する搬送経路上に存在することなく、被記録媒体供給口12から第一圧着部40に向けての被記録媒体Aの移動、即ち、被記録媒体Aの供給することのできる状態となるように構成されている。該被記録媒体通過阻止手段13は、前記被記録媒体供給口12と第一圧着部40との間の搬送経路上における所定位置で被記録媒体Aの有無を検知する透過センサーや光電センサー等の検知センサー(図示しない)の検知結果に基づき、ロッド13bを伸縮させるように構成されている。
具体的には、所定位置に配設された検知センサーが搬送経路上に被記録媒体Aが存在すると判断している間は、ロッド13bを伸長状態にして被記録媒体Aの供給を阻止する一方で、検知センサーが搬送経路上に被記録媒体Aが存在しないと判断した際に、ロッド13bを短縮状態にして被記録媒体Aの供給を許容するように構成されている。
これにより、被記録媒体供給口12と第一圧着部40との間での搬送経路上の所定位置(検知センサーの配置位置)を被記録媒体Aが完全に通過した後にしか、後続の被記録媒体Aを供給することができなくなり、先行する被記録媒体Aと後続の被記録媒体Aとの間に間隔があけられ、第一圧着部40及び第二圧着部50にて被記録媒体Aの先端乃至後端の全ての領域に対しラミネート材B(ラミネート層D)を完全に加熱圧着させることができると共に、被記録媒体A,A間でアンダーフィルムEとラミネート層Dとを略完全に加熱圧着することができる。これにより、ラミネート部分Daと、被記録媒体Aを包囲するように形成された非ラミネート部分Dbとの境界近傍において、ラミネート層DとアンダーフィルムEとの非密着領域を最大限に小さくすることができ、分離部80においてアンダーフィルムEを被記録媒体Aのベース面から離間させるに際し、その引っ張り力を被記録媒体Aの端縁(エッジ)近傍に対応する領域に集中させて作用させることができ、非ラミネート部分Dbの分離後におけるラミネート部分Daのラミネート層Dの端縁をきれいに仕上げることができる。
<第四実施形態>
本実施形態に係るラミネート装置を図14に示す。本実施形態に係るラミネート装置と第一乃至第三実施形態に係るラミネート装置との異なる点は、被記録媒体供給部10が被記録媒体Aを自動供給可能に構成されている点にある。その他の構成は、第一乃至第三実施形態と同じであるため、これらについては、第一乃至第三実施形態における説明を準用乃至技術的に読み替えるものとし、併せて第一乃至第三実施形態の構成要素と同一符号を採番するものとし、説明は割愛する。
本実施形態に係るラミネート装置の被記録媒体供給部10は、筐体1の一方側において下部筐体1Bの外面に連設されたソーター14と、被記録媒体供給口12で、前記ソーター14から供給される被記録媒体Aの通過を許容する状態と通過を阻止する状態とに切り換える前記被記録媒体通過阻止手段13とを備えている。
前記ソーター14は、複数枚の被記録媒体A,A…を積み上げ状態で収容する収容部15と、該収容部15に収容された被記録媒体A,A…のうち、最上の被記録媒体Aを一枚ずつ被記録媒体供給口12に向けて送り出す送りローラ16とで構成されている。
前記収容部15は、箱状に形成されており、前記下部筐体1Bに連結される壁部には、前記被記録媒体供給口12に対応してスリット状の開口が形成されている。該収容部15内には、上下方向に移動可能に収容されて複数枚の被記録媒体Aを載置する載置板17と、該収容部15内で載置板17を上方に向けて付勢すべく、当該収容部15の底部と載置板17との間に介装された付勢手段18(本実施形態においてはコイルバネ)とが内装されている。
前記送りローラ16は、前記付勢手段18による載置板17に対する付勢で、載置板17に載置された複数枚の被記録媒体A,A…のうちの最上の被記録媒体Aに対して圧接し、該最上の被記録媒体Aが収容部15のスリット(被記録媒体供給口12)に対応した配置となるように配設されている。つまり、該送りローラ16は、付勢手段18による付勢で最上の被記録媒体Aがスリット(被記録媒体供給口12)の形成位置からずれた位置にならないように規制するように配置されている。該送りローラ16は、先行する被記録媒体Aと後続の被記録媒体Aとの間に間隔をおいて順次被記録媒体Aを送り出すべく、タイマーによって回転及びその停止が切り換わるように構成されている。このようにすることで、当該ソーター14は、送りローラ16を回転させた際に、被記録媒体Aの記録面と当該送りローラ16の外周面との摩擦により、最上の被記録媒体Aのみを被記録媒体供給口12に向けて送り出すようになっている。
そして、前記被記録媒体通過阻止手段13は、第三実施形態と同様に、前記被記録媒体供給口12と第一圧着部40との間の搬送経路上における所定位置で被記録媒体Aの有無を検知する透過センサーや光電センサー等の検知センサー(図示しない)の検知結果に基づき、ロッド13bを伸縮させ、被記録媒体供給口12に被記録媒体Aを供給できる状態と、被記録媒体Aの供給を阻止する状態とに切り換えできるようになっている。該被記録媒体通過阻止手段13は、第三実施形態と異なり、自動送りを達成させたソータ14から不用意に先行する被記録媒体Aに密接した状態で後続の被記録媒体1が被記録媒体供給口12に向けて送り出されないようするために設けられている。
これにより、第三実施形態と同様に、被記録媒体供給口12と第一圧着部40との間での搬送経路上の所定位置(検知センサーの配置位置)を被記録媒体Aが完全に通過した後にしか、後続の被記録媒体Aを供給することができなくなり、仮に送りローラ16が誤動作するなどして先行する被記録媒体Aと後続の被記録媒体Aとの間隔が接近するような態様で送り出されようとしても、先行する被記録媒体Aと後続の被記録媒体Aとの間に確実に間隔があけられ、第一圧着部40及び第二圧着部50にて被記録媒体Aの先端乃至後端の全ての領域に対しラミネート材B(ラミネート層D)を完全に加熱圧着させることができると共に、被記録媒体A,A間でアンダーフィルムEとラミネート層Dとを略完全に加熱圧着することができる。これにより、ラミネート部分Daと、被記録媒体Aの一方向の両端からはみ出るように形成された非ラミネート部分Dbとの境界近傍において、ラミネート層DとアンダーフィルムEとの非密着領域を最大限に小さくすることができ、分離部80においてアンダーフィルムEを被記録媒体Aのベース面から離間させるに際し、その引っ張り力を被記録媒体Aの端縁(エッジ)近傍に対応する領域に集中させて作用させることができ、非ラミネート部分Dbの分離後におけるラミネート部分Daのラミネート層Dの端縁を綺麗に仕上げることができる。
<第五実施形態>
本実施形態に係るラミネート装置を図15に示す。第一実施形態乃至第四実施形態に係るラミネート装置と異なる点は、アンダーフィルム供給部30、アンダーフィルム回収部90及び分離部80を備えておらず、被記録媒体Aを覆った状態で、該被記録媒体Aの周縁からはみ出たラミネート層D(非ラミネート部分Dbとなるラミネート層D)をアンダーフィルムEに密着(転写)させる代わりに、第一実施形態乃至第四実施形態の第一圧着部40に相当する圧着部40のローラ(被記録媒体Aのベース面側に位置するローラ:駆動ローラ41)のローラ表面に転写させ、該圧着部40がラミネート部分Daと非ラミネート部分Dbとを分断する分離部としても機能するように構成されている点にある。その他は、基本的には第一実施形態乃至第四実施形態と同じであるため、これらについては、第一実施形態乃至第四実施形態における説明を準用乃至第一実施形態乃至第四実施形態における説明を技術的に読み替えるものとし、併せて第一実施形態乃至第四実施形態の構成要素と同一符号を採番するものとし、説明は割愛する。
本実施形態に係る圧着部40は、駆動ローラ41及び圧着ローラ43のローラ幅がラミネート材Bの幅と略一致しているかそれよりも幅広となっており、第一実施形態乃至第四実施形態の第一圧着部40と同様に、駆動ローラ41が回転駆動することで、被記録媒体Aの記録面にラミネート層Dが密着すると共に、被記録媒体Aからはみ出たラミネート層Dが駆動ローラ41の表面に密着し、ラミネート材Bが被記録媒体A及び駆動ローラ41に対して加熱圧着され、駆動ローラ41が被転写手段として機能することになる。そして、駆動ローラ41が回転駆動することで加熱圧着されたラミネート材B及び被記録材料Aは、下流側(完成品排出部150)に向けて圧着搬送されることになるが、加熱圧着後に積層状態にある被記録媒体A及びラミネート材Bが駆動ローラ41及び圧着ローラ43で被記録媒体Aに圧着されるポイントを通過すると、該ポイントから下流側で駆動ローラ41の外周面と被記録媒体Aのベース面とが離間するように、駆動ローラ41及び被記録媒体Aが相対移動することになる。
この場合、図16に示す如く、駆動ローラ41の外周面がベース面から離間するに際し、被記録媒体Aの記録面上にラミネート層Dが密着したラミネート部分Daと、被記録媒体Aの周辺からはみ出たラミネート層Dが駆動ローラ41の外周面に密着した非ラミネート部分Dbとの境界に引っ張りが生じ、第一実施形態乃至第四実施形態と同様に、ラミネート部分Daと非ラミネート部分Dbとの境界が被記録媒体Aの端縁に沿ってきれいに切断されることになる。従って、本実施形態に係るラミネート装置は、アンダーフィルムEに代えて駆動ローラ41を被転写手段として機能させることで、圧着部40を第一実施形態乃至第四実施形態の分離部80として機能させるようになっている。
このように、駆動ローラ41の外周面上に余分なラミネート層D(非ラミネート部分Dbのラミネート層D)が付着したまま駆動ローラ41が回転すると、ラミネート材Bを圧着するポイントに到着する度にラミネート層Dが付着して堆積していくことになるので、本実施形態に係るラミネート装置は、ラミネート材Bを被記録媒体Aに圧着するポイントよりも上流側で、外周面に付着したラミネート層Dの残滓を掻き落として除去すべく、先端部が駆動ローラ41の外周面に所定圧で接触したスクレーパー(除去手段)85が設けられており、被記録媒体Aの連続的なラミネート処理を可能としている。
<その他の実施形態>
本発明は、上記何れの実施形態にも限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記何れの実施形態も、主としてインクジェット記録方式で記録された被記録媒体Aをラミネート処理の対象としているが、熱転写記録方式は勿論、その他の印刷記録方式による被記録媒体であってもよいし、銀塩写真の被記録媒体をも対象とする。
また、上記何れの実施形態も、被記録媒体Aの記録面が上を向く搬送形態であるが、下を向く搬送形態であってもよいし、被記録媒体Aが上下方向に移動する搬送形態であってもよい。但し、第二実施形態や第五実施形態の如く、圧着・解除機構46を設けることを考慮すれば、圧着ローラを被記録媒体の記録面側に配置し、駆動ローラを被記録媒体のベース面側に配置するのが好ましい。
また、上記何れの実施形態も、ラミネート材B及びアンダーフィルムEに連続シートを用いているが、被記録媒体Aと共にカットシートであってもよい。この場合において、ラミネート材Bは、被記録媒体Aに対するラミネートによる無駄な消費を抑えるべく、一方向の長さが被記録媒体Aの一方向の長さよりも長く設定されると共に、一方向と直交する他方向の長さが、被記録媒体Aの一方向と直交する他方向の長さと略同一に設定し、ラミネート材Bを被記録媒体A及び被転写手段Bに加熱圧着させる圧着部に、ラミネート材Bと被記録媒体Aとの他方向の両端を一致させた状態でこれらを供給できるように、被記録媒体供給部10及びラミネート材供給部20を構成することは勿論のことである。また、ラミネート材B及びアンダーフィルムEがカットシートである場合は、それらを手差しで供給するか自動的に供給するかを問わず、ラミネート材供給部20及びアンダーフィルム供給部30を被記録媒体供給部10のようにカットシートを取り扱える構造のものに変更する必要がある。
また、上記何れの実施形態も、貯留手段21をホルダーで構成し、ラミネート材Bのロールをホルダー21を介して軸支できるように構成したが、上述の如く、ラミネート材Bにカットシートを採用する場合には、例えば、第四実施形態の被記録媒体供給部10の如き構成の貯留手段を採用するようにしてもよい。この場合、貯留手段はカセットタイプにして交換可能に構成することが好ましい。
また、上記何れの実施形態も、ラミネート材供給部20の貯留手段21(ホルダー)を着脱可能に構成すると共に、幅規制ガイド47(一対のガイドプレート)の間隔を変更できるように構成し、被記録媒体供給部10から供給される被記録媒体Aのサイズに対応したラミネート材Bを供給できるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、当該ラミネート装置を単一のサイズの被記録媒体Aに対してラミネートを行う専用機にする場合には、一対のガイドプレートをラミネート処理する被記録媒体Aの他方向の長さに対応した間隔で固定してもよい。但し、ラミネート材Bは消耗材であるため、貯留手段21は交換可能(着脱可能)に構成しておくことは勿論のことである。
また、上記何れの実施形態も、幅規制ガイド47を設けたが、該幅規制ガイド47は必要に応じて設ければよい。つまり、一般的に被記録媒体A自体にはコシがあり、また、ラミネート材Bが基材Cを備えている場合には、ラミネート材Bにコシを付与することができるので、被記録媒体供給部10における被記録媒体Aの供給精度(搬送方向性)及びラミネート材供給部20におけるラミネート材Bの供給精度(搬送方向性)が十分に得られれば、幅規制ガイド47を設けなくても、被記録媒体A及びラミネート材Bを他方向の両端を一致させた状態で圧着部40に供給することができる。但し、確実なラミネートを継続的に可能にするには、幅規制ガイド47を設けることが好ましい。
また、上記何れの実施形態も、分離部81を介してアンダーフィルムEを搬送経路から引き出したり、回転するローラ表面を被転写手段とすることで、ラミネート部分Daと非ラミネート部分Dbとを自動的に切り離すようにしているが、例えば、前記基材回収部70、アンダーフィルム回収部90、分離部80等を設けることなく、少なくとも第一圧着部40で被記録媒体A、ラミネート材B及びアンダーフィルムEを圧着し、被記録媒体Aがラミネート材AとアンダーフィルムEとに挟まれた(被記録媒体Aがサンドイッチ状態にある)長尺な積層体として排出するようにしてもよい。また、基材回収部70、アンダーフィルム回収部90、分離部80等を設けることなく、被記録媒体A、ラミネート材B及びアンダーフィルムEの積層体における被記録媒体A間を切断する切断装置を第一圧着部40又は第二圧着部50の下流側に設け、被記録媒体A、ラミネート材B及びアンダーフィルムEの積層体を枚葉状態で排出するようにしてもよい。このようにすれば、図17に示す如く、作業者が手作業でアンダーフィルムEをラミネート材Bから剥離させる(アンダーフィルムEをめくる)ことで、上記実施形態と同様の作用が生じ、ラミネート部分Daと非ラミネート部分Dbとを切り離すことができる。
また、上記何れの実施形態も、ハンドリング性の良さから基材Cの付いたラミネート材Bを用いるようにしているが、基材Cは本発明においては必須ではない。この場合、基材回収部70は不要である。
また、上記第一乃至第四実施形態は、アンダーフィルムEの分離部80が基材Cの剥離部60よりも下流側に配置されているが、第五実施形態と同様、分離部80(=圧着部40)を剥離部60よりも上流側に配置し、まだ基材Cが付いている状態でラミネート部分Daと非ラミネート部分Dbとを切り離すようにし、しかる後に基材Cをラミネート部分Daのみとなったラミネート層Dから剥離するようにしてもよい。
また、上記第五実施形態は、ローラ41のローラ表面に非ラミネート部分Dbを転写するようにしているが、例えば無端回転するベルトのベルト表面に非ラミネート部分Dbを転写するようにしてもよい。
また、上記第五実施形態は、ローラ表面に転写された非ラミネート部分Dbをスクレーパ83で除去するようにしているが、例えばローラ41を定期的に取り外して清掃したり、あるいは新しいローラ41に交換するようにしてもよい。