JP2005280185A - 光記録媒体 - Google Patents

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大介 由徳
Koji Mishima
康児 三島
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Abstract

【課題】青色又は青紫色のレーザ光の照射による情報の記録が可能であり、且つ、長期間の保存に耐えられる光記録媒体を提供する。
【解決手段】記録マークを形成するためのトラック13が0.1〜0.5μmの範囲のトラックピッチで形成された基板と、該基板上に形成され、レーザ光が照射されることにより光学特性が変化する記録層と、を有してなり、記録層は、実質的にAg、Cu、Oからなり、且つ、これらAg、Cu、Oの原子数の比率が、三元系状態図におけるA点(Ag1%、Cu48%、O51%)、B点(Ag9%、Cu35%、O56%)、C点(Ag21%、Cu25%、O54%)、D点(Ag45%、Cu14%、O41%)、E点(Ag51%、Cu18%、O31%)、F点(Ag37%、Cu42%、O21%)、G点(Ag18%、Cu63%、O19%)、H点(Ag1%、Cu71%、O28%)を頂点とする多角形の領域内の比率である。
【選択図】図2

Description

本発明は、レーザ光が照射されることにより記録層が光学的に変化して情報が記録される光記録媒体に関する。
情報記録媒体としてCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光記録媒体が広く利用されている。更に、近年、照射光として青色又は青紫色のレーザ光を用いることで、一層高密度で大容量の情報を記録可能とした光記録媒体が注目されている。尚、仕様統一のため、波長が約405nmの青紫色のレーザ光を用いることが提案されており、これに対応した光記録媒体が普及しつつある。照射光として青色又は青紫色のレーザ光を用いる場合、光記録媒体には、0.1〜0.5μmの範囲のトラックピッチでトラックが形成される。
又、光記録媒体は、データの追記や書き換えができないROM(Read Only Memory)型、データを1回だけ追記できるR(Recordable)型、データの書き換えができるRW(Rewritable)型に大別される。R型の光記録媒体の記録層については、レーザ光が照射されることにより光学特性が変化することに加え、長期間保存しても変質しにくく、耐久性に優れていることが重要であり、従来、R型の光記録媒体の記録層の材料として、有機色素が広く用いられていた。このような従来の有機色素は、化学反応を促進しやすい紫外線や青色、青紫の短波長の可視光線を吸収しにくい材料であり、この性質が変質の抑制に寄与していた。
しかしながら、従来の有機色素は、青色、青紫の短波長の可視光線を吸収しにくいため、照射光として青色又は青紫色のレーザ光を用いた場合は充分な光学特性の変化が得られず、情報を記録することができなかった。又、照射光として青色又は青紫色のレーザ光を用いた場合でも充分な光学特性の変化が得られ、且つ、長期間保存しても変質しにくい有機色素の開発は困難であった。
これに対し、記録層の材料としてAg、Cu等の金属を含む無機材料を用いたR型の光記録媒体が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。このような無機材料を記録層の材料として用いれば、照射光として青色又は青紫色のレーザ光を用いた場合も充分な光学特性の変化が得られ、情報を記録することが可能である。
特開平5―166225号公報 特開2003―237242号公報
しかしながら、Ag、Cu等の金属を含む無機材料は、経時的に変質してノイズの悪化等、記録特性に悪影響を及ぼすことがあり、長期間の保存という点で問題があった。
本発明は、この問題点に鑑みてなされたものであって、青色又は青紫色のレーザ光の照射による情報の記録が可能であり、且つ、長期間の保存に耐えられる光記録媒体を提供することを目的とする。
本発明は、記録層の材料として、実質的にAg(銀)、Cu(銅)、O(酸素)からなり、且つ、これらAg、Cu、Oの原子数の比率が所定の範囲内の比率である材料を用いることにより、青色又は青紫色のレーザ光の照射による情報の記録が可能であり、且つ、長期間の保存に耐えられる光記録媒体を実現したものである。
AgやCuの酸化物は、レーザ光が照射されることで加熱されて還元され、反射率等の光学特性が変化する。青色又は青紫色の(波長が380〜450nm程度の)レーザ光を用いた場合も、レーザ光が照射された部位が加熱、還元されて光学特性が変化するので情報を記録することができる。
又、上記のようにAg、Cu、Oの原子数の比率を制限することにより、記録層の変質を抑制することができる。このように、Ag、Cu、Oの原子数の比率を制限することで、記録層の変質が抑制される理由は必ずしも明らかではないが、概ね以下のように考えられる。
酸化銀の変質は、主として酸化銀が光記録媒体に含まれる微量の水分や外部から浸入する水分と反応して水酸化物に変化し、この水酸化物が凝集する現象であると推測される。これに対し、Cuは、酸化銀が水酸化物に変化することを抑制する効果を有すると考えられる。Ag、Cu、Oの原子数の比率を所定の範囲に制限することによりこの効果が高められ、記録層の変質が抑制されると推測される。
一方、酸化銅の変質は、主として酸化銅の結晶にクラックが生じたり、酸化銅の結晶が剥離する現象であると推測される。これに対し、Agには、酸化銅の結晶の応力を緩和する効果があると考えられる。Ag、Cu、Oの原子数の比率を所定の範囲に制限することによりこの効果が高められ、記録層の変質が抑制されると推測される。
即ち、以下の発明により上記目的を達成することができる。
(1)記録マークを形成するためのトラックが0.1〜0.5μmの範囲のトラックピッチで形成された基板と、該基板上に形成され、レーザ光が照射されることにより光学特性が変化する記録層と、を有してなり、該記録層は、実質的にAg、Cu、Oからなり、且つ、これらAg、Cu、Oの原子数の比率が、三元系状態図におけるA点(Ag1%、Cu48%、O51%)、B点(Ag9%、Cu35%、O56%)、C点(Ag21%、Cu25%、O54%)、D点(Ag45%、Cu14%、O41%)、E点(Ag51%、Cu18%、O31%)、F点(Ag37%、Cu42%、O21%)、G点(Ag18%、Cu63%、O19%)、H点(Ag1%、Cu71%、O28%)を頂点とする多角形の領域内の比率であることを特徴とする光記録媒体。
(2)前記記録層は、前記Ag、Cu、Oの原子数の比率が、前記三元系状態図における前記A点、前記B点、前記C点、前記F点、前記G点、前記H点を頂点とする多角形の領域内の比率であることを特徴とする前記(1)の光記録媒体。
(3)基板と、該基板上に形成され、レーザ光が照射されることにより光学特性が変化する記録層と、を有してなり、該記録層は、実質的にAg、Cu、Oからなり、且つ、これらAg、Cu、Oの原子数の比率が、三元系状態図におけるA点(Ag1%、Cu48%、O51%)、B点(Ag9%、Cu35%、O56%)、C点(Ag21%、Cu25%、O54%)、F点(Ag37%、Cu42%、O21%)、G点(Ag18%、Cu63%、O19%)、H点(Ag1%、Cu71%、O28%)を頂点とする多角形の領域内の比率であることを特徴とする光記録媒体。
(4)前記記録層の少なくとも片面に誘電体層が形成されたことを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかの光記録媒体。
(5)透光性を有するスペーサ層が備えられ、且つ、該スペーサ層を挟んで前記記録層が複数層形成されたことを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかの光記録媒体。
尚、本出願において「記録層は、実質的にAg、Cu、Oからなり」とは、記録層を構成する総ての原子の数に対する記録層中のAg、Cu、Oの原子数の合計値が80%以上であることを意味する。尚、記録層を構成する総ての原子の数に対する記録層中のAg、Cu、Oの原子数の合計値を90%以上とすることが更に好ましい。
又、本出願において「三元系状態図」という用語は、3辺がそれぞれAg、Cu、Oの原子数の比率を示す軸を構成する三角形の図という意義で用いることとする。尚、三元系状態図におけるAg、Cu、Oの原子数の比率は、記録層中のAg、Cu、Oの原子数の合計値に対するAg、Cu、O毎の原子数の比率である。又、「領域内の比率」とは、領域の境界を構成する点や点を結ぶ線上の点で示される比率も含む。
又、「トラックピッチ」という用語は、グルーブの部分がトラックとなるグルーブ方式の光記録媒体の場合はグルーブと該グルーブの隣のグルーブとのピッチ、ランド及びグルーブの部分がトラックとなるランド・グルーブ方式の光記録媒体の場合はランドと該ランドの隣のグルーブとのピッチ、という意義で用いることとする。
本発明によれば、青色又は青紫色のレーザ光の照射による情報の記録が可能となり、且つ、記録層の変質が抑制され、長期間の保存が可能となるという優れた効果がもたらされる。
以下、本発明を実施するための好ましい形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1に示されるように、本発明の第1実施形態に係る光記録媒体10は、基板12の片面に反射層14、誘電体層16、記録層18、誘電体層20、カバー層22がこの順で形成され、レーザ光が照射されることにより記録層18の光学特性が変化するRタイプの光ディスクであり、記録層18の材料に特徴を有している。他の構成については従来の光記録媒体と同様であるので説明を適宜省略する。尚、光記録媒体10は、外径が約120mm、厚さが約1.2mmの円板形状である。
基板12は、厚さが約1.1mmで、反射層14側の面には記録マークを形成するためのトラック13がグルーブとして0.1〜0.5μmのトラックピッチで形成されている。尚、「グルーブ」という用語は一般的にトラックとなる凹部という意味で用いられるが、トラックとなる凸部についても本出願では便宜上「グルーブ」という用語を用いることとする。本実施形態では、グルーブは、カバー層22側に突出する凸部である。基板12の材料としてはポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができる。
反射層14、誘電体層16、記録層18、誘電体層20は、基板12の凹凸パターンに倣って凹凸パターンで形成されている。
反射層14の材料としてはAl、Ag、Au、Cu、Mg、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Zn、Ge、Ag、Pt等を用いることができる。これらのうち、高い反射率が得られるという点でAl、Ag、Au、Cuを用いることが好ましい。
誘電体層16、誘電体層20の材料としては、例えば、SiO、Al、ZnO、CeO、Ta等の酸化物、SiN、AlN、GeN、GeCrN、等の窒化物、ZnS等の硫化物、又はこれらを組合わせた材料を主成分とする材料を用いることができる。
記録層18は、実質的にAg、Cu、Oからなり、且つ、これらAg、Cu、Oの原子数の比率は、図2に示される三元系状態図におけるA点(Ag1%、Cu48%、O51%)、B点(Ag9%、Cu35%、O56%)、C点(Ag21%、Cu25%、O54%)、D点(Ag45%、Cu14%、O41%)、E点(Ag51%、Cu18%、O31%)、F点(Ag37%、Cu42%、O21%)、G点(Ag18%、Cu63%、O19%)、H点(Ag1%、Cu71%、O28%)を頂点とする多角形の領域内の比率である。
カバー層22は、厚さが約100μmである。カバー層22の材料としては透光性を有するアクリル系紫外線硬化性樹脂、エポキシ系紫外線硬化性樹脂等のエネルギ線硬化性樹脂を用いることができる。ここで、「エネルギ線」という用語は、流動状態の特定の樹脂を硬化させる性質を有する、例えば紫外線、電子線等の電磁波、粒子線の総称という意義で用いることとする。尚、カバー層22の材料として、透光性を有するフィルムを用いてもよい。
次に、光記録媒体10の作用について説明する。
光記録媒体10は、記録層18が、実質的にAg、Cu、Oからなり、酸化銀や酸化銅等の酸化物を含み、これらの酸化物がレーザ光の照射で加熱されて還元され、反射率(光学特性)が変化する。従って、青色又は青紫色のレーザ光を用いた場合も、レーザ光が照射された部位が加熱、還元されて反射率が変化するので情報を記録することができる。
又、上記のようにAg、Cu、Oの原子数の比率を制限することにより、記録層の変質が抑制される。尚、この変質が抑制される効果については、実験例を後述する。
又、光記録媒体10は、記録層18がレーザ光で加熱されて酸化銀や酸化銅等の酸化物が還元される際にO等のガスが発生し、記録層18や記録層18に隣接する他の層に変形が生じるが、記録層18の両側の誘電体層16、20により記録層18の変形が抑制されるので、それだけ記録・再生精度が良い。
又、光記録媒体10は、記録層18の両側に誘電体層16、20が形成されているので、それだけ基板12中の水分や、外部の水分が記録層18まで到達しにくくなっており、この点でも記録層18の変質を抑制する効果が高められている。
次に、図3に示されるフローチャート等を参照しながら光記録媒体10の製造方法の一例について説明する。
まず、射出成形により、外径が約120mm、厚さが約1.1mmの円板形状の基板12を成形する(S102)。この際、基板12の片面にトラック13の凹凸パターンを形成する。
次に、基板12におけるグルーブ13が形成された面の上に、スパッタリング法、蒸着法等の気相成長法により、反射層14を形成し(S104)、更に同様にスパッタリング法等により、反射層14の上に誘電体層16を形成する(S106)。反射層14、誘電体層16は、トラック13の凹凸パターンに倣って凹凸パターン形状に形成される。
次に、スパッタリング法等により、誘電体層16の上に記録層18を形成する(S108)。具体的には、Agのターゲット及びCuのターゲットが配設されたチャンバ(図示省略)内に基板12を設置し、チャンバ内にOガスを供給する。このチャンバ内にArやXe等のスパッタリングガスを供給してAgのターゲット及びCuのターゲットに衝突させるとAg、Cuの粒子が飛散し、チャンバ内のOと反応して酸化しつつ基板12の誘電体層16の上に堆積する。これにより、記録層18がトラック13の凹凸パターンに倣ってほぼ均一な厚さで形成される。スパッタリング条件を調節することにより、記録層18中のAg、Cu、Oの比率を調整することができる。尚、記録層18は主としてAg、Cu、Oで構成されることが好ましいが、少量であれば、他の原子や化合物等が混入してもよい。
次に、記録層18の上に、スパッタリング法、蒸着法等により、誘電体層20を形成する(S110)。誘電体層20も、トラック13の凹凸パターンに倣って凹凸パターン形状に形成される。
最後に、スピンコート法により、誘電体層20の上にカバー層22を100μmの厚さに展延し、紫外線等を照射して硬化させる(S112)。尚、予め製造したフィルムを接着してカバー層22を形成してもよい。これにより光記録媒体10が完成する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図4に示されるように、本第2実施形態に係る光記録媒体50は、透光性を有するスペーサ層52が備えられ、且つ、スペーサ層52を挟んで記録層18が2層形成されたことを特徴としている。尚、スペーサ層52上に反射層14は形成されていない。他の構成については前記第1実施形態に係る光記録媒体10と同様であるので図1と同一符号を付することとして説明を省略する。尚、2層の記録層18の(トラック13の)凹凸パターンは光記録媒体の種類に応じて等しいパターンとしてもよく、異なるパターンとしてもよい。
スペーサ層52は、厚さが約25μmで、材料としては例えばアクリル系紫外線硬化性樹脂、エポキシ系紫外線硬化性樹脂等の透光性を有するエネルギ線硬化性樹脂を主成分とする材料を用いることができる。
光記録媒体50は、2層の記録層18に情報を記録することができるのでそれだけ記録容量が大きい。又、光記録媒体50は、記録層18が実質的にAg、Cu、Oからなるので、40〜65%程度の高い光透過率を有している。更に、光記録媒体50は、記録層18が実質的にAg、Cu、Oからなるので、照射光として青色又は青紫色のレーザ光を用いた場合、レーザ光が照射された部位の反射率は変化しても、青色又は青紫色のレーザ光の光透過率は殆ど変化しない。従って、上側(カバー層22側)の記録層18に情報を記録した後であっても、下側(基板12側)の記録層18に青色又は青紫色のレーザ光を照射して正確に情報を記録することができ、又、基板12側の記録層18に記録された情報を正確に再生することができる。
ここで、光記録媒体50の製造方法の一例について簡単に説明しておく。まず、前記第1実施形態と同様の要領で基板12上に反射層14、誘電体層16、記録層18、誘電体層20を形成する。次に、誘電体層20上にスペーサ層52の材料を塗布し、透光性スタンパを当接させてスペーサ層52における基板12と反対側の面をトラック13の凹凸パターン形状に成形すると共に25μmの厚さとし、該透光性スタンパを介してエネルギ線を照射することによりスペーサ層52を硬化させ、透光性スタンパを剥離する。更に、スペーサ層52上に前記第1実施形態と同様の要領で誘電体層16、記録層18、誘電体層20、カバー層22を形成する。これにより光記録媒体50が得られる。
尚、上記第1実施形態及び第2実施形態において、基板12上に反射層14が形成されているが、レーザ光の照射部と非照射部との間に反射率等の光学特性の充分な差異が得られる場合には、反射層は省略してもよい。
又、上記第1実施形態及び第2実施形態において、記録層18の両側に誘電体層16、20が形成されているが、記録層18の片側だけに誘電体層を形成してもよい。記録層におけるカバー層側に誘電体層を形成すれば外部の水分が記録層18に到達することを抑制できる。一方、記録層における基板側に誘電体層を形成すれば、基板に含まれる水分や、基板を介して外部から浸入する水分が記録層に到達することを抑制できる。又、上記第2実施形態のようにスペーサ層を挟んで記録層が複数層形成される場合、カバー層に最も近い記録層のカバー層側(光入射面側)と、基板に最も近い記録層の基板側に誘電体層を形成することにより、カバー層側、記録層側双方から記録層への水分の到達を抑制することができ、好ましい。又、レーザ光の照射部の変形が充分小さい場合には、誘電体層は省略してもよい。
又、上記第2実施形態において、光記録媒体50は、2層の記録層18がスペーサ層52を挟んで形成された2層記録式であるが、実質的にAg、Cu、Oからなる記録層18は、40〜65%程度の高い光透過率を有しているので、3層以上の記録層がスペーサ層を挟んで形成された多層記録式の光記録媒体についても好適である。
又、上記第1実施形態及び第2実施形態において、光記録媒体10、50は片面のみに情報を記録可能である片面記録式とされているが、両面に記録層が形成された両面記録式の光記録媒体に対しても本発明は当然適用可能である。
又、上記第1実施形態及び第2実施形態において、光記録媒体10、50は、トラック13がカバー層22側から見て凸形状のグルーブの部分として形成されているが、カバー層22側から見て凹形状のグルーブの部分がトラックとなるグルーブ方式の光記録媒体に対しても本発明は適用可能である。又、ランド及びグルーブの部分がトラックとなるランド・グルーブ方式の光記録媒体に対しても本発明は適用可能である。
又、上記第1実施形態及び第2実施形態において、光記録媒体10、50は、基板12よりもカバー層22が薄い構成であるが、DVDのように基板12と、カバー層とが等しい厚さを有する光記録媒体に対しても本発明は当然適用可能である。
〔実験例〕
上記第1実施形態と同様の手法で複数の光記録媒体を作製した。尚、これら光記録媒体の構成は、上記第1実施形態に係る光記録媒体10に対し、反射層14を省略した構成とした。他の構成については光記録媒体10と同じである。又、これら各光記録媒体の記録層形成工程において表1に示されるように相互に異なるスパッタリング条件を設定し、Ag、Cu、Oの比率が、相互に異なる記録層を形成した。具体的には、Ag、Cu、Oの原子数の比率が、図2に示される三元系状態図におけるA点(Ag1%、Cu48%、O51%)、B点(Ag9%、Cu35%、O56%)、C点(Ag21%、Cu25%、O54%)、D点(Ag45%、Cu14%、O41%)、E点(Ag51%、Cu18%、O31%)、F点(Ag37%、Cu42%、O21%)、G点(Ag18%、Cu63%、O19%)、H点(Ag1%、Cu71%、O28%)及び他の複数の点で示される比率である記録層を形成した。
製造方法について詳細に説明すると、まず、射出成形により、厚さが1.1mm、直径が120mmで表面にトラックピッチが0.32μm、段差が20nmの凸形状のグルーブの部分がトラック13となるポリカーボネート樹脂の複数の基板12を作製した。
次に、これらの基板12をスパッタリング装置に順次セットし、厚さが10nmとなるように誘電体層16を形成した。尚、誘電体層16の材料はAlである。
更に、各基板12の誘電体層16上に、厚さが15nmとなるように記録層18を形成した。この際、表1に示されるように、Cuターゲット、Agターゲットの成膜パワー、Arガス、Oガスの流量を設定し、記録層18中のAg、Cu、Oの比率を調節した。
Figure 2005280185
次に、スパッタリング法により、記録層18上に厚さが20nmとなるように誘電体層20を形成した。尚、誘電体層20の材料も、誘電体層16と同様にAlである。
最後に、スピンコート法により、誘電体層20上に紫外線硬化性アクリル樹脂を塗布し、100μmの厚さに展延してから、紫外線を照射して硬化させた。
このようにして得られた光記録媒体を光記録媒体評価装置DDU1000(パルステック工業株式会社製)に順次セットし、レーザ光記録パワーPwを3mWから12mWまで除々に上昇させて、記録層に8Tの長さの記録マークを形成し、データを記録した。尚、他の条件は以下のように設定した。
レーザ光波長 :405nm
対物レンズの開口数NA:0.85
変調方式 :(1、7)RLL
記録線速度 :5.3m/sec
チャンネルビット長 :0.12μm
チャンネルロック :66MHz
記録方式 :オングルーブ記録
再生パワー :0.3mW
中間パワー :2.0mW
基底パワー :1.0mW
次に、上述の光記録媒体評価装置を用いて、レーザビームを以下の条件で各光記録媒体に順次照射し、記録層に記録された8Tの長さの記録マークを再生して、再生信号の変調度及びC/N比を測定した。C/N比の測定には、スペクトラムアナライザーXK180(アドバンテスト株式会社製)を用いた。再生時の条件は以下のように設定した。
レーザ光波長 :405nm
再生パワーPr :0.3mW
対物レンズの開口数NA:0.85
図5は、Ag、Cu、Oの原子数の比率と、8Tの長さの記録マークの再生信号のC/N比と、の関係を示す三元系状態図である。図5において、○はC/N比が55dB以上、□はC/N比が50〜55dB、△はC/N比が45〜50dB、×はC/N比が45dB以下を示す。記録されたデータの良好な再生を得るためには、C/N比が45dB以上であることが好ましく、C/N比が50dB以上であれば記録されたデータを確実に再生できることが知られている。従って、図5中のIを付した多角形の領域内に、Ag、Cu、Oの原子数の比率を制限すれば、光記録媒体に記録されたデータを確実に再生することができる。
又、未記録部分の8T信号に相当する周波数(4.1MHz)のノイズのレベルを測定した。
次に、データが記録されたサンプルを、温度80℃、相対湿度85%の高温、高湿環境下に約50時間保存してから再度、未記録部分の8T信号に相当する周波数(4.1MHz)のノイズのレベルを測定した。
図6は、Ag、Cu、Oの原子数の比率と、高温高湿試験前に対する高温高湿試験後のノイズの悪化量と、の関係を示す三元系状態図である。図6において、○はノイズの悪化量が3dB以下、□はノイズの悪化量が3〜5dB、△はノイズの悪化量が5〜10dB、×はノイズの悪化量が10dB以上を示す。長期間の保存後、光記録媒体に記録されたデータの良好な再生を得るためには、高温高湿試験前に対する高温高湿試験後のノイズの悪化量が5dB以下であることが好ましく、図6中のIIを付した多角形の領域内に、Ag、Cu、Oの原子数の比率を制限すれば、長期間の保存後であっても、光記録媒体に記録されたデータの良好な再生が得られることがわかる。
即ち、前記図2に示されるように、(Iを付した多角形の領域に含まれる)IIを付した多角形の領域である、A点、B点、C点、D点、E点、F点、G点、H点を頂点とする多角形の領域内に、Ag、Cu、Oの原子数の比率を制限すれば、初期及び長期間の保存後のいずれの場合であっても、光記録媒体に記録されたデータの良好な再生が得られることがわかる。
又、高温高湿試験後、各光記録媒体の記録層の未記録部分に、上記と同様の条件で、レーザビームを順次照射して8Tの長さの記録マークを記録してから該記録マークを再生し、再生信号のC/N比を測定した。
図7は、Ag、Cu、Oの原子数の比率と、高温高湿試験後に記録された8Tの長さの記録マークの再生信号のC/N比と、の関係を示す三元系状態図である。図7において、□はC/N比が50〜55dB、△はC/N比が45〜50dB、×はC/N比が45dB以下を示す。図7より、光記録媒体の記録層中のAg、Cu、Oの原子数の比率がIIIを付した多角形の領域内、即ち、前記A点、前記B点、前記C点、前記F点、前記G点、前記H点を頂点とする多角形の領域内に制限されていれば、長期間保存されていた光記録媒体にデータを記録した場合でも、記録されたデータの良好な再生が得られることがわかる。
尚、0.5μmよりも大きいトラックピッチでトラックが形成され、照射光として青色、青紫色のレーザ光の波長よりも長い波長のレーザ光が用いられる光記録媒体についても、記録層中のAg、Cu、Oの原子数の比率をIIIを付した多角形の領域内に制限することにより、長期間保存された後に記録されるデータを良好に再生できる効果が得られ、好ましい。
又、Ag、Cu、Oの原子数の比率がC点で示される記録層の光透過率を測定した。具体的には、光学式膜厚測定装置ETA−RT(Steag ETA−OPTIK株式会社製)を用いて、記録層にレーザ光を照射し、記録マークが形成された領域と、記録マークが形成されていない領域について、吸収率を測定し、この吸収率から光透過率を算出した。尚、表面反射の影響があるため、その影響を除いた光透過率の値を求めた。即ち、次式により光透過率を算出した。
光透過率=100−反射率−吸収率
尚、反射率の測定には、上述の光記録媒体評価装置DDU1000を用い、記録マークが形成された領域と、記録マークが形成されていない領域について、反射率を測定した。算出された光透過率は、記録マークが形成された領域では約63%、記録マークが形成されていない領域では約64%であり、殆ど変化がなかった。このように、記録マークが形成された領域、記録マークが形成されていない領域のいずれにおいても光透過率が高く、且つ、光透過率がほぼ等しいので、2層以上の記録層を有する光記録媒体に好適であることがわかる。
最後に、記録層中のAg、Cu、Oの原子数の比率の測定方法について説明しておく。光記録媒体の記録層中のAg、Cu、Oの原子数の比率は、組成分析用のサンプルを作製して測定した。具体的には、厚さが0.5mmの複数のSi基板を用意し、これらのSi基板をスパッタリング装置に順次セットして、Agターゲット、Cuターゲットの成膜パワー、Arガス、Oガスの流量を、上記複数の光記録媒体を作製した時と同様の表1に示される条件に設定し、厚さが200nmとなるようにSi基板上に記録層を形成した。
次に、蛍光X線装置ZSX 100e(理学電気工業株式会社製)を用いて、Rh管の管電圧=30kV、管電流120mA(Ag、O)、20mA(Cu)にてX線を発生させ、薄膜FP法によって、記録層に含まれるAg、Cu及びOの含有量を測定した。Agの特性X線はAg−Lα線、Cuの特性X線はCu−Kα線、Oの特性X線はO−Kα線を用いた。FP法で必要なAg、Cuの装置感度校正係数は、それぞれのバルクを標準試料とし、Oの装置感度校正係数は、ブリケット法により作製した試料を用いた。内径30mm、高さ4mm、厚さ2mmのAlリングを保護リングとして使用し、このリング内にLi粉末(3mm程度)を敷いた後、AgO、CuO、CuFeの粉末をそれぞれ1mm程度載せて、約147000N程度でプレスすることで、2mm程度のブリケットを作製した。装置感度校正係数は、Agについては1.96288、Cuについては2.56226、Oについては0.488795だった。
本発明は、レーザ光が照射されて記録層の光学特性が変化することにより情報が記録される光記録媒体に利用することができる。
本発明の第1実施形態に係る光記録媒体の構造を模式的に示す側断面図 同光記録媒体の記録層の原子の構成比率を示す三元系状態図 同光記録媒体の製造工程の概要を示すフローチャート 本発明の第2実施形態に係る光記録媒体の構造を模式的に示す側断面図 実験例に係る光記録媒体の記録層の原子の構成比率と、高温高湿試験前に記録された記録データの再生信号のC/N比と、の関係を示す三元系状態図 同光記録媒体の記録層の原子の構成比率と、高温高湿試験前後のノイズの悪化量と、の関係を示す三元系状態図 同光記録媒体の記録層の原子の構成比率と、高温高湿試験後に記録された記録データの再生信号のC/N比と、の関係を示す三元系状態図
符号の説明
10、50…光記録媒体
12…基板
13…トラック
14…反射層
16、20…誘電体層
18…記録層
22…カバー層
52…スペーサ層
S102…基板成形工程
S104…反射層形成工程
S106…誘電体層形成工程
S108…記録層形成工程
S110…誘電体層形成工程
S112…カバー層形成工程

Claims (4)

  1. 記録マークを形成するためのトラックが0.1〜0.5μmの範囲のトラックピッチで形成された基板と、該基板上に形成され、レーザ光が照射されることにより光学特性が変化する記録層と、を有してなり、該記録層は、実質的にAg、Cu、Oからなり、且つ、これらAg、Cu、Oの原子数の比率が、三元系状態図におけるA点(Ag1%、Cu48%、O51%)、B点(Ag9%、Cu35%、O56%)、C点(Ag21%、Cu25%、O54%)、D点(Ag45%、Cu14%、O41%)、E点(Ag51%、Cu18%、O31%)、F点(Ag37%、Cu42%、O21%)、G点(Ag18%、Cu63%、O19%)、H点(Ag1%、Cu71%、O28%)を頂点とする多角形の領域内の比率であることを特徴とする光記録媒体。
  2. 請求項1において、
    前記記録層は、前記Ag、Cu、Oの原子数の比率が、前記三元系状態図における前記A点、前記B点、前記C点、前記F点、前記G点、前記H点を頂点とする多角形の領域内の比率であることを特徴とする光記録媒体。
  3. 基板と、該基板上に形成され、レーザ光が照射されることにより光学特性が変化する記録層と、を有してなり、該記録層は、実質的にAg、Cu、Oからなり、且つ、これらAg、Cu、Oの原子数の比率が、三元系状態図におけるA点(Ag1%、Cu48%、O51%)、B点(Ag9%、Cu35%、O56%)、C点(Ag21%、Cu25%、O54%)、F点(Ag37%、Cu42%、O21%)、G点(Ag18%、Cu63%、O19%)、H点(Ag1%、Cu71%、O28%)を頂点とする多角形の領域内の比率であることを特徴とする光記録媒体。
  4. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
    透光性を有するスペーサ層が備えられ、且つ、該スペーサ層を挟んで前記記録層が複数層形成されたことを特徴とする光記録媒体。
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