JP2005279864A - アクチュエータの製造方法およびアクチュエータ - Google Patents

アクチュエータの製造方法およびアクチュエータ Download PDF

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Abstract

【課題】設計自由度の向上を図って、低電圧駆動が可能で、かつ、振れ角(振幅)の大きいアクチュエータの製造方法およびアクチュエータを提供すること。
【解決手段】シリコンを主材料として構成された基体2と、シリコンを主材料として構成された対向基板3との少なくとも一方に、主として可動イオンを含むガラスで構成された接合層4を形成する第1の工程と、接合層4を介して基体2と対向基板3とを陽極接合する第2の工程とを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、アクチュエータの製造方法およびアクチュエータに関するものである。
例えば、レーザープリンタ等に用いられるアクチュエータとしてポリゴンミラー(回転多面体)が知られている。
しかし、このようなポリゴンミラーにおいて、より高解像度で品質のよい印字と高速印刷を達成するには、ポリゴンミラーの回転をさらに高速にしなければならない。
現在のポリゴンミラーには高速安定回転を維持するためにエアーベアリングが使用されているが、今以上の高速回転を得るのは困難となっている。また、高速にするためには、大型のモーターが必要であり、機器の小型化の面で不利であるという問題がある。
このようなポリゴンミラーを用いると、構造が複雑となり、コストが高くなるといった問題も生じる。
また、図13に示すような、平行平板状に電極を配置した1自由度のねじり振動子は、その構造が簡単なことから、アクチュエータの研究初期から提案されている(例えば、非特許文献1参照)。また、前記ねじり振動子をカンチレバー方式とした1自由度静電駆動型振動子も提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
図13の1自由度静電駆動型ねじり振動子は、ガラス基板1000上の両端部にスぺーサ1200を介してシリコンの単結晶板からなる可動電極板1300の両端固定部1300aを固定し、この可動電極板1300の両端固定部1300a間に、細巾のトーションバー1300bを介して可動電極部1300cを支持させ、また、その可動電極部1300cに電極間隔を置いて対向させる固定電極1400を、ガラス基板1000上において前記可動電極部1300cに対し平行配置している。可動電極板1300と固定電極1400との間にはスイッチ1600を介して電源1500が接続される。
前記構成を有するねじり振動子は、可動電極部1300cと固定電極1400との間に電圧を印加すると、静電引力によりトーションバー1300bを軸として可動電極部1300cが回転するものである。しかるに、静電引力は電極間隔の二乗に反比例するため、この種の静電アクチュエータにおいては電極間隔を小さくすることが望まれる。しかし、上述した1自由度の構造では、可動電極部1300cが電極と可動部を兼ねるため、電極間隔を狭くすると変位(回転角)に制約が生じ、また可動範囲を大きくとるためには電極間隔を大きくする必要がある。このため、低電圧駆動と大振幅の両立が困難であるという問題がある。
また、かかる1自由度静電駆動型ねじり振動子は、高精度な加工の難しいガラス基板1000を用いているので、設計自由度が低く、前記両立を図ることが困難である。
K.E.Petersen:"Silicon Torsional Scanning Mirror",IBMJ.Res.Develop.,vol.24(1980)、P.631 河村他:"Siを用いたマイクロメカニクスの研究"、昭和61年度精密工学会秋季大会学術講演会論文集、P.753
本発明の目的は、設計自由度の向上を図って、低電圧駆動が可能で、かつ、振れ角(振幅)の大きいアクチュエータの製造方法およびアクチュエータを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成され3る。
本発明のアクチュエータの製造方法は、2自由度振動系を有する基体に、前記2自由度振動系に対向するように対向基板を接合して、アクチュエータを得るアクチュエータの製造方法であって、
少なくとも前記接合に供される部分がシリコンを主材料として構成された前記基体と、シリコンを主材料として構成された前記対向基板との間に、可動イオンを含むガラスを介在させた状態で、前記基体と前記対向基板とを陽極接合することを特徴とする。
これにより、基体と対向基板とがともにシリコンを主材料とするものであっても、これらを接合できる。また、対向基板がシリコンを主材料として構成されているので、対向基板に対し高精度の加工を容易に行うことができる。したがって、アクチュエータの設計時の自由度が比較的高く、対向基板を好適に加工して、アクチュエータの駆動電圧の低電圧化と振幅の大振幅化とを図ることができる。
本発明のアクチュエータの製造方法は、2自由度振動系を有する基体に、前記2自由度振動系に対向するように対向基板を接合して、アクチュエータを得るアクチュエータの製造方法であって、
少なくとも前記接合に供される部分がシリコンを主材料として構成された前記基体と、シリコンを主材料として構成された前記対向基板との少なくとも一方に、主として可動イオンを含むガラスで構成された接合層を形成する第1の工程と、
前記接合層を介して前記基体と前記対向基板とを陽極接合する第2の工程とを有することを特徴とする。
これにより、基体と対向基板とがともにシリコンを主材料とするものであっても、これらを接合できる。また、対向基板がシリコンを主材料として構成されているので、対向基板に対し高精度の加工を容易に行うことができる。したがって、対向基板を好適に加工して、アクチュエータの駆動電圧の低電圧化と振幅の大振幅化とを図ることができる。
本発明のアクチュエータの製造方法では、前記第1の工程では、前記基体に前記接合層を形成することが好ましい。
これにより、接合層の形成のためのガラスの使用量を最小限に抑えて、接合層を介して、基体と対向基板とを陽極接合することができる。
本発明のアクチュエータの製造方法では、前記第1の工程では、前記対向基板に前記接合層を形成することが好ましい。
これにより、接合層を介して、基体と対向基板とを陽極接合することができる。
本発明のアクチュエータの製造方法では、前記基体は、前記2自由度振動系として、第1の質量部と、第2の質量部と、支持部と、前記第1の質量部を前記支持部に対して回動可能とするように前記第1の質量部と前記支持部とを連結する少なくとも一対の第1の弾性連結部と、前記第2の質量部を前記第1の質量部に対して回動可能とするように前記第1の質量部と前記第2の質量部とを連結する少なくとも一対の第2の弾性連結部とを有し、交流電圧の印加により、前記第1の質量部が回動駆動され、この回動駆動に伴い前記第2の質量部が回動されるものであることが好ましい。
これにより、接合層を介して、基体と対向基板とを陽極接合することができる。
本発明のアクチュエータの製造方法では、前記第1の工程では、前記接合層を、前記対向基板における前記基体との接合部位から前記第1の質量部に対応する部位にわたって形成し、しかる後に、前記接合層上の前記第1の質量部に対応する部位に電極を設けることが好ましい。
これにより、接合層の厚さを調整することで、電極と第1の質量部との間のギャップを調整することができる。
本発明のアクチュエータの製造方法では、前記基体は、前記対向基板側の面の前記第1の質量部および前記第2の質量部に対応する部位に、前記第2の質量部の回動のための空間をなす凹部が形成されていることが好ましい。
これにより、基体に形成された凹部により、第1の質量部および第2の質量部が振動(回動)し得る十分なスペースを確保することができる。また、前記凹部の形成により、第1の質量部および第2の質量部の低質量化が図られる。このようなことから、得られるアクチュエータを、低電圧駆動が可能で、かつ、振れ角(振幅)が大きいものとすることができる。
本発明のアクチュエータの製造方法では、前記対向基板の前記第2の質量部に対応する位置には、前記第2の質量部が回動したとき、該第2の質量部が前記対向基板に接触するのを防止するための逃げ部が形成されていることが好ましい。
これにより、第1の質量部と電極との間のギャップを小さくしつつ、第2の質量部と対向基板との接触を防止できるので、得られるアクチュエータは、駆動電圧の低電圧化と振幅の大振幅化とを図ることができる。
本発明のアクチュエータの製造方法では、前記第2の工程に先立って、前記対向基板の前記基体側の面の前記第1の質量部に対応する部位に電極を設けることが好ましい。
これにより、得られるアクチュエータは、電極に交流電圧を印加することで、第1の質量部を回動させ、これに伴い第2の質量部を回動させる。
本発明のアクチュエータの製造方法では、前記基体の全体が、シリコンを主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、安価なシリコン基板で基体が構成されているので、安価に、アクチュエータを製造することができる。
本発明のアクチュエータの製造方法では、前記ガラスは、硼珪酸ガラスであることが好ましい。
これにより、接合層を構成する硼珪酸ガラス中の可動イオンが陽極接合時に好適に作用するので、より確実に、接合層を介して、基体と対向基板とを陽極接合することができる。
本発明のアクチュエータの製造方法では、前記ガラスは、アルカリ金属が添加されたものであることが好ましい。
これにより、接合層を構成するガラス中のアルカリ金属イオンが陽極接合時に好適に作用するので、より確実に、接合層を介して、基体と対向基板とを陽極接合することができる。
本発明のアクチュエータの製造方法では、前記接合層の平均厚さは、1〜30μmであることが好ましい。
これにより、より確実に、接合層を介して、基体と対向基板とを陽極接合することができる。
本発明のアクチュエータの製造方法では、前記接合層の熱膨張係数と、前記基体および前記対向基板の熱膨張係数との差は、50×10−7−1以下であることが好ましい。
これにより、接合層を介して、基体と対向基板とをより強固に陽極接合することができるとともに、陽極接合後に、温度変化などによって基体と対向基板との接合部が損傷するのをより確実に防止できる。
本発明のアクチュエータは、本発明の製造方法によって製造されたことを特徴とする。
これにより、低電圧駆動が可能で、かつ、振れ角(振幅)が大きいアクチュエータを得ることができる。
本発明のアクチュエータは、2自由度振動系を有する基体と、前記2自由度振動系に対向して前記基板に接合される対向基板とを有し、前記基体のうちの少なくとも前記対向基板と接合される部分がシリコンを主材料として構成されているアクチュエータであって、
前記対向基板は、シリコンを主材料として構成され、
前記基体と前記対向基板とが、可動イオンを含むガラスで構成された接合層を介して、陽極接合されていることを特徴とする。
これにより、低電圧駆動が可能で、かつ、振れ角(振幅)が大きいアクチュエータを得ることができる。
以下、本発明のアクチュエータの好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明のアクチュエータおよびその製造方法の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明のアクチュエータの第1実施形態を示す平面図(内部透視図)、図2は、図1中のA−A線断面図、図3は、図1に示すアクチュエータの電極の配置を示す平面図、図4は、印加する交流電圧の一例を示す図、図5は、印加した交流電圧の周波数と、第1の質量部および第2の質量部の共振曲線を示すグラフである。なお、以下では、説明の便宜上、図1および図3中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言い、図2中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
アクチュエータ1は、図1に示すような2自由度振動系を有する基体2を有しており、図2に示すように、この基体2の下部には、対向基板3が接合層4を介して接合されている。
基体2は、一対の第1の質量部(駆動部)21、22と、上面(後述する対向基板3とは反対側の面)に光反射部231が設けられた第2の質量部(可動部)23と、これらを囲む枠状の支持部24とを備えている。
具体的には、基体2は、第2の質量部23を中心として、その一端側(図1および図2中、左側)に第1の質量部21が設けられ、他端側(図1および図2中、右側)に第1の質量部22が設けられて構成されている。
また、本実施形態では、第1の質量部21、22は、互いにほぼ同一形状かつほぼ同一寸法をなし、第2の質量部23を介して、ほぼ対称に設けられている。
さらに、基体2は、図1および図2に示すように、第1の質量部21、22と支持部24とを連結する一対の第1の弾性連結部25、25と、第1の質量部21、22と第2の質量部23とを連結する一対の第2の弾性連結部26、26とを備えている。
各第1の弾性連結部25、25および各第2の弾性連結部26、26は、同軸的に設けられており、これらを回動中心軸(回転軸)27として、第1の質量部21、22が支持部24に対して、また、第2の質量部23が第1の質量部21、22に対して回動可能となっている。
このように、基体2は、第1の質量部21、22と第1の弾性連結部25、25とからなる第1の振動系と、第2の質量部23と第2の弾性連結部26、26とからなる第2の振動系とを有する2自由度振動系を構成する。
このような2自由度振動系は、基体2の全体の厚さよりも薄く形成されているとともに、図2にて上下方向で基体2の上部に位置している。換言すれば、基体2には、基体2の全体の厚さよりも薄い部分(以下、薄肉部という)が形成されており、この薄肉部に異形孔が形成されることにより、第1の質量部21、22と第2の質量部23と第1の弾性連結部25、25と第2の弾性連結部26、26とが形成されている。
本実施形態では、前記薄肉部の上面が支持部24の上面と同一面上に位置することにより、前記薄肉部の下方には、各質量部21、22、23の回動のための空間(凹部)28が形成される。
このような基体2は、例えば、シリコンを主材料として構成されていて、第1の質量部21、22と、第2の質量部23と、支持部24と、第1の弾性連結部25、25と、第2の弾性連結部26、26とが一体的に形成されている。
なお、基体2は、SOI基板等の積層構造の基板から、第1の質量部21、22と、第2の質量部23と、支持部24と、第1の弾性連結部25、25と、第2の弾性連結部26、26を形成したものであってもよい。
対向基板3は、シリコンを主材料として構成されている。
対向基板3の上面には、図2および図3に示すように、第2の質量部23に対応する部分に開口部31が形成されている。
この開口部31は、第2の質量部23が回動(振動)する際に、対向基板3に接触するのを防止する逃げ部を構成する。開口部(逃げ部)31を設けることにより、アクチュエータ1全体の大型化を防止しつつ、第2の質量部23の振れ角(振幅)をより大きく設定することができる。本発明のアクチュエータ1は、対向基板3がシリコンを主材料として構成されているため、ガラス材料などで対向基板が構成されている場合に比し、前述のような開口部などの逃げ部を簡単にそして高精度(高アスペクト比)に形成することができる。
なお、逃げ部は、前記効果を十分に発揮し得る構成であれば、必ずしも対向基板3の下面(第2の質量部23と反対側の面)で開放(開口)していなくてもよい。すなわち、逃げ部は、対向基板3の上面に形成された凹部で構成することもできる。また、空間28の深さが第2の質量部23の振れ角(振幅)に対し大きい場合などには、逃げ部を設けなくともよい。
また、対向基板3の上面には、図3に示すように、第1の質量部21に対応する部分に、後述の接合層4を介して、一対の電極32が回動中心軸27を中心にほぼ対称となるように設けられ、また、第1の質量部22に対応する部分に、後述の接合層4を介して、一対の電極32が回動中心軸27を中心にほぼ対称となるように設けられている。すなわち、本実施形態では、一対の電極32が2組(合計4個)、設けられている。
第1の質量部21、22と各電極32とは、図示しない電源に接続されており、第1の質量部21、22と各電極32との間に交流電圧(駆動電圧)を印加できるよう構成されている。
なお、第1の質量部21、22は、各電極32と対向する面に、それぞれ、絶縁膜(図示せず)が設けられている。これにより、第1の質量部21、22と各電極32との間での短絡が発生するのが好適に防止される。
接合層4は、可動イオンを含むガラスで構成されている。この接合層4は、ともにシリコンを主材料として構成された基体2と対向基板3とを、陽極接合させるための層である。また、本実施形態では、接合層4の上面に上述の電極32が設けられている。これにより、電極32と第1の質量部21、22との間のギャップを調整するとともに、電極32と対向基板3との間の絶縁性を確保する役割をも有している。なお、接合層4を構成するガラスや、陽極接合については、後に詳述する。
以上のような構成のアクチュエータ1は、次のようにして駆動する。
すなわち、第1の質量部21、22と各電極32との間に、例えば、正弦波(交流電圧)等を印加する。具体的には、例えば、第1の質量部21、22をアースしておき、図3中上側の2つの電極32に、図4(a)に示すような波形の電圧を印加し、図3中下側の2つの電極32に、図4(b)に示すような波形の電圧を印加する。すると、第1の質量部21、22と各電極32との間に静電気力(クーロン力)が生じる。
この静電気力により、第1の質量部21、22が、各電極32の方へ引きつけられる力が正弦波の位相により変化し、回動中心軸27(第1の弾性連結部25)を軸に、基体2の板面(図1における紙面)に対して傾斜するように振動(回動)する。
そして、この第1の質量部21、22の振動(駆動)に伴って、第2の弾性連結部26を介して連結されている第2の質量部23も、回動中心軸27(第2の弾性連結部26)を軸に、基体2の板面(図1における紙面)に対して傾斜するように振動(回動)する。
ここで、このアクチュエータ1では、前述したように、対向基板3における、第2の質量部23に対応する部分に、開口部31が形成され、また、図2にて基体2の下面に空間28が形成され、かつ、平面視で第1の質量部21、22が空間(凹部)28内に位置するように設けられている。
このような構成により、第2の質量部23が振動し得るスペース、および、第1の質量部21、22が振動し得るスペースとして、大きなスペースが確保されている。したがって、第1の質量部21、22の質量を比較的小さく設定すること等により、第1の質量部21、22を大きな振れ角で振動させた場合や、さらに第2の質量部23が共振によって大きな振れ角で振動した場合でも、各質量部21、22、23(2自由度振動系)が対向基板3に接触することを好適に防止することができる。
このため、このようなアクチュエータ1を、例えば光スキャナに適用した場合には、より解像度の高いスキャニングを行うことが可能となる。
ここで、第1の質量部21の回動中心軸27に対して、ほぼ垂直な方向(長手方向)の端部211との間の距離(長さ)をLとし、第1の質量部22の回動中心軸27に対して、ほぼ垂直な方向(長手方向)の端部221との間の距離(長さ)をLとし、第2の質量部23の回動中心軸27に対して、ほぼ垂直な方向の端部232との間の距離(長さ)をLとしたとき、本実施形態では、第1の質量部21、22が、それぞれ独立して設けられているため、第1の質量部21、22と、第2の質量部23とが干渉せず、第2の質量部23の大きさ(長さL)にかかわらず、LおよびLを小さくすることができる。これにより、第1の質量部21、22の回転角度(振れ角)を大きくすることができ、第2の質量部23の回転角度を大きくすることができる。
また、LおよびLを小さくすることにより、第1の質量部21、22と各電極32との間の距離を小さくすることができ、これにより、静電気力が大きくなり、第1の質量部21、22と各電極32に印加する交流電圧を小さくすることができる。
ここで、第1の質量部21、22および第2の質量部23の寸法は、それぞれ、L<LかつL<Lなる関係を満足するよう設定されるのが好ましい。
前記関係を満たすことにより、LおよびLをより小さくすることができ、第1の質量部21、22の回転角度をより大きくすることができ、第2の質量部23の回転角度をさらに大きくすることができる。
この場合、第2の質量部23の最大回転角度が、20°以上となるように構成されるのが好ましい。
また、このように、LおよびLを小さくすることにより、第1の質量部21、22と各電極32との間の距離をより小さくすることができ、第1の質量部21、22と各電極32に印加する交流電圧をさらに小さくすることができる。
これらによって、第1の質量部21、22の低電圧駆動と、第2の質量部23の大回転角度での振動(回動)とを実現することができる。
このため、このようなアクチュエータ1を、例えばレーザープリンタや、走査型共焦点レーザー顕微鏡等の装置に用いられる光スキャナに適用した場合には、より容易に装置を小型化することができる。
なお、前述したように、本実施形態では、LとLとはほぼ等しく設定されているが、LとLとが異なっていてもよいことは言うまでもない。
ところで、このような質量部21、22、23よりなる振動系(2自由度振動系)では、第1の質量部21、22および第2の質量部23の振幅(振れ角)と、印加する交流電圧の周波数との間に、図5に示すような周波数特性が存在している。
すなわち、かかる振動系は、第1の質量部21、22の振幅と、第2の質量部23の振幅とが大きくなる2つの共振周波数fm[kHz]、fm[kHz](ただし、fm<fm)と、第1の質量部21、22の振幅がほぼ0となる、1つの反共振周波数fm[kHz]とを有している。
この振動系では、第1の質量部21、22と電極32との間に印加する交流電圧の周波数Fが、2つの共振周波数のうち低いもの、すなわち、fmとほぼ等しくなるように設定するのが好ましい。これにより、第1の質量部21、22の振幅を抑制しつつ、第2の質量部23の振れ角(回転角度)を大きくすることができる。
なお、本明細書中では、F[kHz]とfm[kHz]とがほぼ等しいとは、(fm−1)≦F≦(fm+1)の条件を満足することを意味する。
第1の質量部21、22の平均厚さは、それぞれ、1〜1500μmであるのが好ましく、10〜300μmであるのがより好ましい。
第2の質量部23の平均厚さは、1〜1500μmであるのが好ましく、10〜300μmであるのがより好ましい。
第1の弾性連結部25のばね定数kは、1×10−4〜1×10Nm/radであるのが好ましく、1×10−2〜1×10Nm/radであるのがより好ましく、1×10−1〜1×10Nm/radであるのがさらに好ましい。これにより、第2の質量部23の回転角度(振れ角)をより大きくすることができる。
一方、第2の弾性連結部26のばね定数kは、1×10−4〜1×10Nm/radであるのが好ましく、1×10−2〜1×10Nm/radであるのがより好ましく、1×10−1〜1×10Nm/radであるのがさらに好ましい。これにより、第1の質量部21、22の振れ角を抑制しつつ、第2の質量部23の振れ角をより大きくすることができる。
また、第1の弾性連結部25のばね定数kと第2の弾性連結部26のばね定数をkとは、k>kなる関係を満足するのが好ましい。これにより、第1の質量部21、22の振れ角を抑制しつつ、第2の質量部23の回転角度(振れ角)をより大きくすることができる。
さらに、第1の質量部21、22の慣性モーメントをJとし、第2の質量部23の慣性モーメントをJとしたとき、JとJとは、J≦Jなる関係を満足することが好ましく、J<Jなる関係を満足することがより好ましい。これにより、第1の質量部21、22の振れ角を抑制しつつ、第2の質量部23の回転角度(振れ角)をより大きくすることができる。
ところで、第1の質量部21、22と第1の弾性連結部25、25とからなる第1の振動系の固有振動数ωは、第1の質量部21、22の慣性モーメントJと、第1の弾性連結部25のばね定数kとにより、ω=(k/J1/2によって与えられる。一方、第2の質量部23と第2の弾性連結部26、26とからなる第2の振動系の固有振動数ωは、第2の質量部23の慣性モーメントJと、第2の弾性連結部26のばね定数kとにより、ω=(k/J1/2によって与えられる。
このようにして求められる第1の振動系の固有振動数ωと第2の振動系の固有振動数ωとは、ω>ωなる関係を満足するのが好ましい。これにより、第1の質量部21、22の振れ角を抑制しつつ、第2の質量部23の回転角度(振れ角)をより大きくすることができる。
なお、本実施形態の振動系は、一対の第1の弾性連結部25および一対の第2の弾性連結部26のうち少なくとも1つが、その内部にピエゾ抵抗素子を備えたものであるのが好ましい。これにより、例えば、回転角度および回転周波数を検出したりすることができ、また、その検出結果を、第2の質量部23の姿勢の制御に利用することができる。
このようなアクチュエータ1は、例えば、次のようにして製造することができる。
図6、図7は、それぞれ、第1実施形態のアクチュエータの製造方法を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下では、説明の便宜上、図6、図7中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
[A1] まず、図6(a)に示すように、シリコン基板5を用意する。
次に、シリコン基板5の一方の面に、図6(b)に示すように、支持部24と各質量部21、22、23との形状に対応するように、例えば、アルミニウム等により金属マスク6を形成する。
そして、図6(c)に示すように、シリコン基板5の他方の面に、フォトレジストを塗布し、露光、現像を行う。これにより、図6(c)に示すように、支持部24の形状に対応するように、レジストマスク7を形成する。なお、レジストマスク7の形成は、金属マスク6の形成よりも先に行ってもよい。
次に、このレジストマスク7を介して、シリコン基板5の前記他方の面をエッチングした後、レジストマスク7を除去する。これにより、図6(d)に示すように、支持部24に対応する部分以外の領域に凹部51が形成される。
エッチング方法としては、例えば、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、以下の各工程におけるエッチングにおいても、同様の方法を用いることができる。
次に、金属マスク6を介して、シリコン基板5の前記一方の面側を、前記凹部51に対応する部分が貫通するまでエッチングする。
そして、金属マスク6を除去した場合、この後、第2の質量部23上に金属膜を成膜し、光反射部231を形成する。
なお、ここで、シリコン基板5をエッチングを行った後、金属マスク6は除去してもよく、除去せずに残存させてもよい。金属マスク6を除去しない場合、第2の質量部23上に残存した金属マスク6は光反射部231として用いることができる。
金属膜の成膜方法としては、真空蒸着、スパッタリング(低温スパッタリング)、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、金属箔の接合等が挙げられる。なお、以下の各工程における金属膜の成膜においても、同様の方法を用いることができる。
以上の工程により、図6(e)に示すように、各質量部21、22、23および支持部24が一体的に形成された構造体、すなわち基体2が得られる。
[A2] 次に、図7(f)に示すように、対向基板3を形成するためのシリコン基板9を用意する。
そして、シリコン基板9の一方の面に、開口部31を形成する領域を除いた部分に対応するように、例えば、アルミニウム等により金属マスクを形成する。
次に、この金属マスクを介して、シリコン基板9の一方の面側をエッチングした後、金属マスクを除去する。これにより、開口部31が形成された対向基板3が得られる。
しかる後に、可動イオンを含むガラスで対向基板3の一方の面に成膜して、図7(g)に示すように、対向基板3上に接合層4を形成する。
接合層4を構成するガラスとしては、可動イオン(拡散イオン)を含むガラスであれば、特に限定されない。
特に、このようなガラスの中でも、パイレックスガラス(登録商標)などの硼珪酸ガラスを用いることが好ましい。これにより、硼珪酸ガラス中の可動イオンが接合層4が基体2と対向基板3との陽極接合時に好適に作用するので、基体2と接合層4との間の界面と、対向基板3と接合層4との間の界面とで強固な静電気力が発生し、陽極接合がより確実に行われる。
また、接合層4を構成するガラスは、ナトリウムなどのアルカリ金属が添加されているものが好ましい。これにより、接合層4を構成するガラス中のアルカリ金属イオンが可動イオンとしての機能を好適に発揮するので、接合層4が基体2と対向基板3との陽極接合をより確実に行わせしめる。
また、接合層4の平均厚さは、1〜30μmであるのが好ましく、10〜20μmであるのがより好ましい。これにより、後述の工程で、より確実に、接合層4を介して、基体2と対向基板3とを陽極接合することができる。
これに対し、接合層4の平均厚さが前記下限値未満であると、基体2や対向基板3の表面粗さなどによっては、接合層4の厚さが不均一となって、基体2と対向基板3との接合強度を十分なものとすることができないおそれがある。一方、接合層4の平均厚さが前記上限値を超えると、陽極接合時における加熱や電圧などの条件によっては、基体2と対向基板3との接合強度を十分なものとすることができないおそれがある。
また、接合層4の熱膨張係数と、基体2および対向基板3の熱膨張係数との差は、50×10−7−1以下であるのが好ましく、1〜30×10−7−1であるのがより好ましい。これにより、接合層4を介して、基体2と対向基板3とをより強固に陽極接合することができるとともに、陽極接合後に、温度変化などによって基体2と対向基板3との接合部がこれらと接合層との熱膨張差に起因して損傷するのをより確実に防止できる。また、陽極接合後に、基体2および対向基板3と接合層4との間に生じる残留応力を低減できるので、外部から衝撃によって基体2と対向基板3との接合部が損傷するのをより確実に防止できる。
次に、接合層4上に、図7(h)に示すように、電極32を形成する。これにより、接合層4の厚さを調整することで、電極32と第1の質量部21、22との間のギャップを調整することができる。
電極32は、接合層4に金属膜を成膜し、電極32の形状に対応するマスクを介して金属膜をエッチングを行った後、マスクを除去することにより形成することができる。
次に、図7(i)に示すように、前記工程[A1]で得られた構造体の基体2と、前記工程[A2]で接合層4が成膜された対向基板3とを、陽極接合により接合してアクチュエータ1を得る。
陽極接合における基体2および対向基板3と接合層4との間に印加される電圧は、基体2と対向基板3との陽極接合がなされれば、特に限定はされないが、200〜2000Vであるのが好ましく、500〜1000Vであるのがより好ましい。これにより、接合層4を介して基体2と対向基板3との陽極接合がより確実にそしてより強固になされる。
また、陽極接合における接合層4の加熱温度は、基体2と対向基板3との陽極接合がなされれば、特に限定はされないが、300〜500℃であるのが好ましく、300〜400℃であるのがより好ましい。これにより、接合層4を介して基体2と対向基板3との陽極接合がより確実にそしてより強固になされる。
以上のようにして、第1実施形態のアクチュエータ1が製造される。
このような製造方法では、基体2および対向基板3をともにシリコンを主材料として構成し、接合層4を介して陽極接合により基体2と対向基板3とを接合するので、直接接合等に比し、小さなエネルギーで、かつ、強固に、基体2と対向基板3とを接合できる。
また、基体2のみならず、対向基板3をシリコンを主材料として構成するので、対向基板3に開口部31を精度よく形成できる。これにより、第2の質量部23の回動スペースを開口部31で確保しつつ、左右の電極32同士間の距離を小さくすることができる。換言すれば、電極32をより第2の質量部23寄りに配置して、第1の質量部21と第1の質量部22との間の距離を小さくできる。その結果、装置の左右方向での寸法を小さくでき、装置の小型化が図れる。
また、本実施形態では、基体2を、高価なSOI基板を用いることなく、シリコンを主材料とする安価なシリコン基板5のみから作るので、安価にアクチュエータ1を得ることができる。
また、本実施形態では、シリコン基板5(基体2)に凹部51(空間28)を形成することで、各質量部21、22、23と対向基板3との接触を防止するとともに、各質量部21、22、23の低質量化が図られるので、駆動電圧の低電圧化、および、各質量部21、22、23の高周波数化を図ることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明のアクチュエータの第2実施形態について説明する。
前述の第1実施形態ではシリコン基板5から基体2を形成したが、本実施形態では、SOI基板5’から基体2’を形成し、これを用いて、アクチュエータを製造する。
図8、図9は、第2実施形態の製造方法を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下では、説明の便宜上、図6、図7中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、前述の第1実施形態と同様の事項に関しては、その説明を省略する。
[B1] まず、図8(a)に示すように、Si層、SiO層、Si層が順次積層されたSOI基板5’を用意する。
次に、SOI基板5’の一方の面に、図8(b)に示すように、支持部24と各質量部21、22、23との形状に対応するように、例えば、アルミニウム等により金属マスク6を形成する。
そして、図8(c)に示すように、SOI基板5’の他方の面に、フォトレジストを塗布し、露光、現像を行う。これにより、図8(c)に示すように、支持部24の形状に対応するように、レジストマスク7を形成する。なお、レジストマスク7の形成は、金属マスク6の形成よりも先に行ってもよい。
次に、このレジストマスク7を介して、SOI基板5’の前記他方の面をエッチングした後、レジストマスク7を除去する。これにより、図8(d)に示すように、支持部24’に対応する部分以外の領域に凹部51が形成される。このとき、SOI基板5’の中間層たるSIO層は、前記エッチングのストップ層として機能する。
エッチング方法としては、前述の第1実施形態と同様のものを用いることができる。
次に、金属マスク6を介して、SOI基板5’の前記一方の面側を、前記凹部51に対応する部分が貫通するまでエッチングする。
そして、金属マスク6を除去した場合、この後、第2の質量部23上に金属膜を成膜し、光反射部231を形成する。
金属膜の成膜方法としては、前述の第1実施形態と同様のものを用いることができる。
ついで、SOI基板5’に、可動イオンを含むガラスで成膜して、接合層4’を形成する。
前記ガラスとしては、前述の第1実施形態と同様のものを用いることができる。
以上の工程により、図8(e)に示すように、各質量部21、22、23および支持部24を有する基体2に接合層4’を設けたものが得られる。
[B2] 次に、図9(f)に示すように、対向基板3を形成するためのシリコン基板9を用意する。
そして、シリコン基板9の一方の面に、開口部31を形成する領域を除いた部分に対応するように、例えば、アルミニウム等により金属マスクを形成する。
次に、この金属マスクを介して、シリコン基板9の一方の面側をエッチングした後、金属マスクを除去する。これにより、図9(g)に示すように、開口部31が形成された対向基板3が得られる。
次に、対向基板3上に、図9(h)に示すように、電極32を形成する。
電極32は、対向基板3に金属膜を成膜し、電極32の形状に対応するマスクを介して金属膜をエッチングを行った後、マスクを除去することにより形成することができる。
次に、図9(i)に示すように、前記工程[B1]で得られた構造体の基体2’と、前記工程[B2]で接合層4’が成膜された対向基板3とを、陽極接合により接合してアクチュエータ1’を得る。
以上のようにして、アクチュエータ1’を得ることができる。
本実施形態の製造方法にあっては、特に、接合層4’を基体2’の支持部24’部のみに、基体2’と対向基板3との接合に必要な最小限の材料で形成するので、低コスト化を図ることができる。
なお、本実施形態では、接合層4’を基体2’の支持部24’部に成膜した後に、基体2’と対向基板3とを接合したが、接合層4’を対向基板3の支持部24’に対応する部分に成膜した後に、基体2’と対向基板3とを接合してもよい。
<第3実施形態>
次に、本発明のアクチュエータの第3実施形態について説明する。
図10は、本発明のアクチュエータの第3実施形態を示す平面図(内部透視図)である。なお、以下では、説明の便宜上、図10中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
以下、第3実施形態のアクチュエータについて、前記第1実施形態のアクチュエータとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第3実施形態のアクチュエータは、支持部24と、第1の質量部21、22と、第2の質量部23との連結構造が異なり、それ以外は、前記第1実施形態のアクチュエータ1と同様である。
すなわち、図10に示すように、第1の質量部21、22が支持部24に二対の第1の弾性連結部25’を介して連結され、また、第2の質量部23が第1の質量部21、22に二対の第2の弾性連結部26’を介して連結されている。
このような第3実施形態のアクチュエータ1によっても、前記第1実施形態のアクチュエータと同様に製造することができ、また作用・効果が得られる。
特に、本実施形態においては、第1の質量部21、22および第2の質量部23を、それぞれ、二対の弾性連結部を介して連結することにより、より確実に第2の質量部23の振幅(回転)を制御することができる。
なお、本実施形態のように、二対の第1の弾性連結部25’と二対の第2の弾性連結部26’を有する場合、前記実施形態で説明したばね定数k、kは、ほぼ同じ位置で連結している2つの弾性連結部を一体的なものとみなして求められるものである。
また、このようなアクチュエータ1は、基体2’’の製造工程において、第1の弾性連結部25’と第2の弾性連結部26’の形状が前述したような形状をなしている以外は、前述の第1実施形態と同様の方法によって、製造することができる。すなわち、基体2’’と対向基板3とを、可動イオンを含む接合層を介して陽極接合することができる。
<第4実施形態>
次に、本発明のアクチュエータの第4実施形態について説明する。
図11は、本発明のアクチュエータの第4実施形態を示す平面図(内部透視図)である。なお、以下では、説明の便宜上、図11中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
以下、第4実施形態のアクチュエータについて、前記第1実施形態のアクチュエータとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第4実施形態のアクチュエータは、電磁力(ローレンツ力)により駆動するように構成され、それ以外は、前記第1実施形態のアクチュエータ1と同様である。
すなわち、図11に示すアクチュエータ1は、支持部24に絶縁膜(図示せず)を介して設けられた4つの端子10と、第1の質量部21、22の上面に設けられたコイル20と、第1の質量部21、22を介して弾性連結部(回動中心軸27)を中心に対向(ほぼ対称に)配置された一対の永久磁石40とを有している。
一対の永久磁石40は、S極とN極とが互いに向かい合うようにして、対向基板3に固定設置されている。
また、コイル20の端部は、端子10と接続されている。
端子10は、図示せぬ電源に接続されており、コイル20に交流電圧を印加できるようになっている。
本実施形態のアクチュエータでは、コイル20に交流電圧を印加すると、コイル20(第1の質量部21、22)と永久磁石40との間でローレンツ力が生じ、そのローレンツ力によって、第1の質量部21、22が回動(駆動)し、この第1の質量部21、22の駆動に伴って、第2の質量部23が回動(駆動)する。
このような第4実施形態のアクチュエータによっても、前記第1実施形態のアクチュエータと同様に製造することができ、また同様の作用・効果が得られる。
具体的には、基体2’’’と対向基板3とを、可動イオンを含む接合層を介して陽極接合することができる。
<第5実施形態>
次に、本発明のアクチュエータの第5実施形態について説明する。
図12は、本発明のアクチュエータの第5実施形態を示す平面図(内部透視図)である。なお、以下では、説明の便宜上、図12中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
以下、第5実施形態のアクチュエータについて、前記第1実施形態のアクチュエータとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第5実施形態のアクチュエータは、ピエゾアクチュエータにより駆動するように構成され、それ以外は、前記第1実施形態のアクチュエータ1と同様である。
すなわち、図12に示すアクチュエータ1は、第1の質量部21、22の上面の端部に、それぞれ、1つのピエゾアクチュエータ(圧電素子を備えたアクチュエータ)400が設けられている。
このアクチュエータ1では、ピエゾアクチュエータ400の駆動により、第1の質量部21、22にひずみ(伸縮)が生じ、そのひずみによって、第2の質量部23を回動(駆動)する。
このような第5実施形態のアクチュエータ1によっても、前記第1実施形態のアクチュエータと同様に製造することができ、また同様の作用・効果が得られる。
具体的には、基体2’’’’と対向基板3とを、可動イオンを含む接合層を介して陽極接合することができる。
特に、本実施形態においては、ピエゾアクチュエータ400を第1の質量部21、22に設けたことにより、電極32が不要になり、生産コストを下げることができる。また、電極32を不要とすることにより、開口部31の左右方向での寸法を、第1の質量部21、22に対応する位置にまで大きくすることができる。これにより、第1の質量部21、22の回転角度をより大きくすることができる。
また、本実施形態では、第1の質量部21、22に、1つの(1層の)ピエゾアクチュエータ400を設けたが、これに限らず、例えば、バイモルフ型ピエゾアクチュエータ(2層構造のピエゾアクチュエータのうち、一方のピエゾアクチュエータを圧縮方向に振動させ、他方のピエゾアクチュエータを伸長方向に振動させる撓み振動を生じさせるアクチュエータ)等の2つ(2層)以上のピエゾアクチュエータを設けてもよい。
なお、本実施形態では、ピエゾアクチュエータ400を第1の質量部21、22の上面の端部にそれぞれ設けたが、これに限らず、例えば、第1の質量部21、22の上面の全面に設けてもよいし、第1の質量部21、22の下面(対向基板32側の面)の端部または全面に設けてもよい。
以上説明したようなアクチュエータは、例えば、レーザープリンタ、バーコードリーダー、走査型共焦点レーザー顕微鏡等の光スキャナ、イメージング用ディスプレイ等に好適に適用することができる。
以上、本発明のアクチュエータおよびその製造方法について、図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前述の第1実施形態および第2実施形態では、基体または対向基板に接合層を成膜した後にこれらを陽極接合したが、基体および対向基板の両方に接合層を成膜した後にこれらを接合してもよい。また、可動イオンを含むガラスを基体と対向基板との間に介在させた状態で、基体と対向基板との陽極接合してもよい。例えば、シート状や粉状などのガラスを基体と対向基板との間に介在させ、ガラスを陽極接合時の加熱により溶融させて接合層とするとともに、基体と対向基板とを陽極接合するようにしてもよい。
また、例えば、本発明のアクチュエータは、前記第1〜第5実施形態のうちの任意の2以上の構成を組み合わせるようにしてもよい。
また、本発明のアクチュエータでは、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、前述した実施形態では、第1の弾性連結部を一対または二対有するものとして説明したが、これに限定されず、例えば、三対以上であってもよい。
また、前述した実施形態では、第2の弾性連結部を一対または二対有するものとして説明したが、これに限定されず、例えば、三対以上であってもよい。
また、前述した実施形態では、光反射部231が第2の質量部23の上面に設けられている構成について説明したが、例えば、その逆の面に設けられている構成であってもよいし、両方の面に設けられている構成であってもよい。
また、前述した第1〜第3実施形態では、対向基板3上に電極32が設けられている構成について説明したが、対向基板3と第1の質量部21、22の両方に設けられていてもよい。
また、前述した第1〜第3実施形態では、第1の質量部21、22に対応する位置に、それぞれ一対の電極32を設けたが、これに限らず、それぞれ、電極32を1つ、もしくは3つ以上設けてもよい。
なお、第1の質量部21、22に対応する位置に、それぞれ1つの電極32を設けた場合は、例えば、オフセット電圧を加えた、最小電位がグランド電位である正弦波(交流電圧)等を印加するのが好ましい。
また、前述した実施形態では、第1の弾性連結部および第2の弾性連結部の形状として図示の構成のものについて説明したが、これに限定されず、例えば、その形状が、クランク形状等であってもよいし、分岐した構造を有するものであってもよい。
また、前述した第1〜第3実施形態では、第1の質量部21、22の電極32と対向する面に、短絡防止用の絶縁膜が設けられている構成について説明したが、例えば、このような絶縁膜は、電極32の表面に設けられていてもよいし、両方に設けられていてもよい。
また、前述した第4実施形態では、コイル20が第1の質量部21、22の上面に設けられている構成について説明したが、例えば、その逆の面に設けられていてもよいし、第1の質量部21、22の内部に設けられているものであってもよい。
また、前述した実施形態では、第1の質量部が一対で設けられる構成のものであったが、第1の質量部は、第2の質量部を囲むように設けられる構成のものであってもよい。
本発明のアクチュエータの第1実施形態を示す平面図である。 図1中のA−A線断面図である。 図1に示すアクチュエータの電極の配置を示す平面図である。 印加する交流電圧の一例を示す図である。 印加した交流電圧の周波数と、第1の質量部および第2の質量部の共振曲線を示すグラフである。 第1実施形態のアクチュエータの製造方法を説明するための図である。 第1実施形態のアクチュエータの製造方法を説明するための図である。 第2実施形態のアクチュエータの製造方法を説明するための図である。 第2実施形態のアクチュエータの製造方法を説明するための図である。 本発明のアクチュエータの第3実施形態を示す平面図である。 本発明のアクチュエータの第4実施形態を示す平面図である。 本発明のアクチュエータの第5実施形態を示す平面図である。 従来のアクチュエータを説明するための図である。
符号の説明
1、1’……アクチュエータ 2、2’、2’’、2’’’、2’’’’……基体 21、22……第1の質量部 211、221……端部 23……第2の質量部 231……光反射部 232……端部 24、24’……支持部 25、25’……第1の弾性連結部 26、26’……第2の弾性連結部 27……回動中心軸 28……空間 3……対向基板 31……開口部 32……電極 4、4’……接合層 34……スペーサ 5、5’……シリコン基板 51……凹部 6……金属マスク 7……レジストマスク 9……シリコン基板 10……端子 20……コイル 40……永久磁石 400……ピエゾアクチュエータ L、L、L……距離 1200……スペーサ 1300、1300a、1300b、1300c……可動電極 1400……固定電極 1500……電源 1600……スイッチ 1000……ガラス基板

Claims (16)

  1. 2自由度振動系を有する基体に、前記2自由度振動系に対向するように対向基板を接合して、アクチュエータを得るアクチュエータの製造方法であって、
    少なくとも前記接合に供される部分がシリコンを主材料として構成された前記基体と、シリコンを主材料として構成された前記対向基板との間に、可動イオンを含むガラスを介在させた状態で、前記基体と前記対向基板とを陽極接合することを特徴とするアクチュエータの製造方法。
  2. 2自由度振動系を有する基体に、前記2自由度振動系に対向するように対向基板を接合して、アクチュエータを得るアクチュエータの製造方法であって、
    少なくとも前記接合に供される部分がシリコンを主材料として構成された前記基体と、シリコンを主材料として構成された前記対向基板との少なくとも一方に、主として可動イオンを含むガラスで構成された接合層を形成する第1の工程と、
    前記接合層を介して前記基体と前記対向基板とを陽極接合する第2の工程とを有することを特徴とするアクチュエータの製造方法。
  3. 前記第1の工程では、前記基体に前記接合層を形成する請求項2に記載のアクチュエータの製造方法。
  4. 前記第1の工程では、前記対向基板に前記接合層を形成する請求項2または3に記載のアクチュエータの製造方法。
  5. 前記基体は、前記2自由度振動系として、第1の質量部と、第2の質量部と、支持部と、前記第1の質量部を前記支持部に対して回動可能とするように前記第1の質量部と前記支持部とを連結する少なくとも一対の第1の弾性連結部と、前記第2の質量部を前記第1の質量部に対して回動可能とするように前記第1の質量部と前記第2の質量部とを連結する少なくとも一対の第2の弾性連結部とを有し、交流電圧の印加により、前記第1の質量部が回動駆動され、この回動駆動に伴い前記第2の質量部が回動されるものである請求項1ないし4のいずれかに記載のアクチュエータの製造方法。
  6. 前記第1の工程では、前記接合層を、前記対向基板における前記基体との接合部位から前記第1の質量部に対応する部位にわたって形成し、しかる後に、前記接合層上の前記第1の質量部に対応する部位に電極を設ける請求項5に記載のアクチュエータの製造方法。
  7. 前記基体は、前記対向基板側の面の前記第1の質量部および前記第2の質量部に対応する部位に、前記第2の質量部の回動のための空間をなす凹部が形成されている請求項5または6に記載のアクチュエータの製造方法。
  8. 前記対向基板の前記第2の質量部に対応する位置には、前記第2の質量部が回動したとき、該第2の質量部が前記対向基板に接触するのを防止するための逃げ部が形成されている請求項5ないし7のいずれかに記載のアクチュエータの製造方法。
  9. 前記第2の工程に先立って、前記対向基板の前記基体側の面の前記第1の質量部に対応する部位に電極を設ける請求項5ないし8のいずれかに記載のアクチュエータの製造方法。
  10. 前記基体の全体が、シリコンを主材料として構成されている請求項1ないし9のいずれかに記載のアクチュエータの製造方法。
  11. 前記ガラスは、硼珪酸ガラスである請求項1ないし10のいずれかに記載のアクチュエータの製造方法。
  12. 前記ガラスは、アルカリ金属が添加されたものである請求項1ないし11のいずれかに記載のアクチュエータの製造方法。
  13. 前記接合層の平均厚さは、1〜30μmである請求項1ないし12のいずれかに記載のアクチュエータの製造方法。
  14. 前記接合層の熱膨張係数と、前記基体および前記対向基板の熱膨張係数との差は、50×10−7−1以下である請求項1ないし13のいずれかに記載のアクチュエータの製造方法。
  15. 請求項1ないし14のいずれかに記載の製造方法によって製造されたことを特徴とするアクチュエータ。
  16. 2自由度振動系を有する基体と、前記2自由度振動系に対向して前記基板に接合される対向基板とを有し、前記基体のうちの少なくとも前記対向基板と接合される部分がシリコンを主材料として構成されているアクチュエータであって、
    前記対向基板は、シリコンを主材料として構成され、
    前記基体と前記対向基板とが、可動イオンを含むガラスで構成された接合層を介して、陽極接合されていることを特徴とするアクチュエータ。
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JP2008039861A (ja) * 2006-08-01 2008-02-21 Seiko Epson Corp 光学デバイス

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