本発明の実施の形態の第一例である磁性体濃度計測装置及び検出感度向上方法を説明する。図1は本発明の実施の形態の第一例を上位概念で示す概略図、図2は本発明の実施の形態の第一例において、異なる周波数を重ね合わせて処理する状態を示す概略図、図3は本発明の実施の形態の第一例を具体的な一例で示す概略図、図4は本発明の実施の形態の第一例を具体的な他の例で示す概略図、図5は本発明の実施の形態の第一例を具体的な更に他の例で示す概略図、図6は本発明の実施の形態の第一例を具体的な別の例で示す概略図、図7は本発明の実施の形態の第一例を具体的な更に別の例で示す概略図である。
第一例の磁性体濃度計測装置及び検出感度向上方法は、図1〜図7に示す如く具体的な例が五つあり、具体的な一例は、図3の如く、実測用のLC発振回路21と、補正用のLC発振回路22と、比較用のLC発振回路23と、データの処理手段24とを備えている。実測用のLC発振回路21は、流体が流れる配管25の近傍もしくは配管25内に第一コイル26を配置し(図3〜図7では配管25の近傍に配置した状態で示す)、第一コイル26を含む回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。又、補正用のLC発振回路22は、流体の流れる配管25から所定の距離を介することにより、流体中の磁性体の影響を受けない位置もしくは流体中の磁性体の影響が少ない位置に、第二コイル27を配置し、第二コイル27を含む回路構成により所定の発振周波(発振波)を発振するように構成されている。更に、比較用のLC発振回路23は、補正用のLC発振回路22と略同様に、流体の流れる配管25から所定の距離を介することにより、流体中の磁性体の影響を受けない位置もしくは流体中の磁性体の影響が少ない位置に、第三コイル28を配置し、第三コイル28を含む回路構成により所定の発振周波(発振波)を発振するように構成されている。
ここで、実測用のLC発振回路21と補正用のLC発振回路22と比較用のLC発振回路23は、夫々、周波数が数〜数十%の範囲で互いに異なるよう構成してもよいし、同じになるよう構成してもよい。又、夫々の回路構成は、コレクタ形、ハートレー形、コルピッツ形等のどのような構成でもよいが、実測用のLC発振回路21と補正用のLC発振回路22を同一の型にすることが好ましく、特に好ましくは三つとも同一の型にすることが好ましい。
このような実測用のLC発振回路21と、補正用のLC発振回路22と、比較用のLC発振回路23は、
f:周波数
L:インダクタンス
C:キャパシタンス(コンデンサの静電容量)
の式により、夫々のコイルのインダクタンスLが変化することにより発振周波数fが変化している。なお、夫々のLC発振回路21,22,23は、周波数fとインピーダンスZは相関性はない。
一方、データの処理手段24は、実測用のLC発振回路21及び比較用のLC発振回路23に接続されて両者の発振周波数の差(両者の発振波の共振現象によるうなり)を求める前段の第一処理器29と、補正用のLC発振回路22及び比較用のLC発振回路23に接続されて両者の発振周波数の差(両者の発振波の共振現象によるうなり)を求める前段の第二処理器30と、前段の第一処理器29及び前段の第二処理器30に接続されて両者の波形の差(両者の波形の共振現象によるうなり)を求める中段の処理器31と、中段の処理器31に接続されて周波数を電圧信号に変換するF/Vコンバータ(周波数−電圧変換器)32と、F/Vコンバータ32に接続され且つ予め磁性体の濃度と電圧値の相関関係を示す対比データが入力された後段の処理器33と、後段の処理器33に接続されて画面表示し得る磁性体濃度表示器34とを備えている。ここで、処理手段24を構成する前段の第一処理器29、前段の第二処理器30、中段の処理器31、F/Vコンバータ32、後段の処理器33、磁性体濃度表示器34は、まとめて一つの機器で構成されてもよいし、バラバラで構成されてもよいし、所定の組み合わせで構成されてもよい。
以下、本実施の形態の第一例における具体的な一例の作用を説明する。
流体中に含まれる磁性体の濃度を測定する際には、実測用のLC発振回路21により、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱と共に磁性体の影響による信号を含んだ発振周波数(発振波)を発振して処理手段24の前段の第一処理器29に送ると共に、補正用のLC発振回路22により、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱を含んだ発振周波数(発振波)を発振して処理手段24の前段の第二処理器30に送り、且つ、同時に、比較用のLC発振回路23により、ノイズ等の外乱を含んだ発振周波数(発振波)を発振して処理手段24の前段の第一処理器29及び前段の第二処理器30に送る。ここで、実測用のLC発振回路21における磁性体の検出による変化率(検出感度)を、周波数の仮定の数値で説明すると、実測用のLC発振回路21の発振周波数が100KHzであると共に、補正用のLC発振回路22の発振周波数が99KHzであり、且つ比較用のLC発振回路23の発振周波数が90KHzであり、更に実測用のLC発振回路21には10Hzの磁性体による変化量が生じている際には、実測用のLC発振回路21での磁性体の検出による変化率(検出感度)は、10Hz/(100KHz+10Hz)より約0.01%になる。
次に、処理手段24の前段の第一処理器29では、実測用のLC発振回路21の発振波と比較用のLC発振回路23の発振波を重ね合わせ、共振現象のうなりにより、二つの周波数の差(計測データの差)であるうなりの周期(波形)を求め、第一データとして中段の処理器31に送る。同時に、処理手段24の前段の第二処理器30では、補正用のLC発振回路22の発振波と比較用のLC発振回路23の発振波を重ね合わせ、共振現象のうなりにより、二つの周波数の差(計測データの差)であるうなりの周期(波形)を求め、第二データとして中段の処理器31に送る。ここで、第一処理器29における磁性体の検出による変化率(検出感度)を、周波数の仮定の数値で説明すると、上述の段落の条件で、二つの周波数の差(計測データの差)は、(100KHz+10Hz)−90KHzから10KHz+10Hzとなり、磁性体の検出による変化率(検出感度)は、10Hz/(10KHz+10Hz)より約0.1%になる。又、一方で、第二処理器30における周波数の差(計測データの差)は、99KHz−90KHzから9KHzとなる。
中段の処理器31では、第一データの波形と第二データの波形を重ね合わせ、共振現象のうなりにより、二つの周波数の差(データ差)であるうなりの周期(波形)を求めて外乱を取り除き、同時に、中段の処理器31では、二つの周波数の差(データ差)であるうなりの周期を基準にして、磁性体の影響による変化量を対比させる。ここで、中段の処理器31における、二つの周波数の差(データ差)であるうなりの周期を基準にした磁性体の検出による変化率(検出感度)を、周波数の仮定の数値で説明すると、上述の段落の条件で、二つの周波数の差(データ差)は、(10KHz+10Hz)−9KHzから1KHz+10Hzとなり、磁性体の検出による変化率(検出感度)は、10Hz/(1KHz+10Hz)より約1.0%になる。又、異なる周波数を重ね合わせて処理する状態を図2により波形で示すと、前段の第一処理器29では、実測用のLC発振回路21の発振波と比較用のLC発振回路23の周波数を重ね合わせた際には、図2のF1の如き波形になり、この波形を整えることによりF2の如き波形になって実測用のLC発振回路21の発振波と比較用のLC発振回路23の周波数の差(計測データの差)になる。同様に、前段の第二処理器30では、補正用のLC発振回路22の発振波と比較用のLC発振回路23の周波数を重ね合わせた際には、図2のF3の如き波形になり、この波形を整えることによりF4の如き波形になって補正用のLC発振回路22の発振波と比較用のLC発振回路23の周波数の差(計測データの差)になる。更に、中段の処理器31では、第一データの波形(計測データの差)と第二データの波形(計測データの差)を増幅して重ね合わせた際には、図2のF5の如き、うなりの周期の波形になり、このうなりの周期が、実測用のLC発振回路と補正用のLC発振回路の周波数の差(データ差)になる。
続いて、うなりの周期(波形)をF/Vコンバータ32に送り、F/Vコンバータ32では、うなりの周期(波形)を電圧信号(電圧値の差)に変換して後段の処理器33に送り、後段の処理器33では、磁性体の濃度と電圧値の相関関係を示す対比データと、電圧信号(電圧値の差)とを比較して磁性体の濃度に換算し、磁性体濃度表示器34により、流体中の磁性体の濃度を示す。この時、磁性体の濃度は連続的に計測及び表示が行われる。
このように第一例における具体的な一例によれば、実測用のLC発振回路21の発振周波数、補正用のLC発振回路22の発振周波数、及び比較用のLC発振回路23の発振周波数から計測データを処理して磁性体の濃度に換算するので、流体中の磁性体からの信号により常に外乱を取り除いて補正し、磁性体の濃度を連続的に計測することができる。又、実測用のLC発振回路21、補正用のLC発振回路22、比較用のLC発振回路23により発振される発振周波数は微量な磁性体により変化するので、磁性体の濃度を数ppmオーダの分解能で好適に計測することができる。更に、補正用のLC発振回路22の第二コイル27及び比較用のLC発振回路23の第三コイル28を、流体中の磁性体の影響を受けない位置もしくは流体中の磁性体の影響が少ない位置に配置するので、磁気ノイズ等の外乱を適切に排除し、磁性体の濃度計測を単純な構成で行うことができる。ここで、実測用のLC発振回路21の第一コイル26は、配管25の近傍に配置されるので、流体が通過する配管25等の配置に影響を受けることがなく、実測用のLC発振回路21の構成を容易に配置することができる。更に、実測用のLC発振回路21、補正用のLC発振回路22及び比較用のLC発振回路23は、冷却媒体の使用を不要にして手間を低減すると共に、超電導量子素子の如く高価な部品を不要にして低コストで構成することができる。
又、具体的な一例によれば、実測用のLC発振回路21と補正用のLC発振回路22と比較用のLC発振回路23が、夫々異なる発振周波数を発振した際には、二度の差をとったデータ差を基準にしてデータ差と磁性体の影響による変化量を対比するので、磁性体の影響による変化量における見かけ上の数値割合を大きく増やし(上記の仮定の数値の場合は100倍)、磁性体の検出感度を向上させ、結果的に磁性体の濃度が微量であっても一層好適に検出することができる。更に、二度の差をとって処理するので、磁性体の影響による変化量と対比するデータ差を容易に調整することができる。更に又、第一データと第二データとからデータ差を求めて磁性体の濃度に換算するので、比較用の発振周波数により流体中の磁性体から温度変化のノイズ等の外乱を更に取り除いて一層正しく補正することができる。
計測データの差を求める処理手段24は、発振波を重ね合わせて発生するうなりを検出して計測データの差を求めるよう構成すると、周波数の微小な差を検出できるため、発振数周波数の数万分の一の如き微小な計測データの変化であっても好適に検出し、磁性体の濃度を厳密に計測することができる。
次に、第一例の磁性体濃度計測装置であって具体的な他の例は、図4の如く、先の具体的な一例と略同様な実測用のLC発振回路21、補正用のLC発振回路22、比較用のLC発振回路23、処理手段の前段の第一処理器29、前段の第二処理器30を備えると共に、処理手段24の他の部分を新たな処理手段24aに変更したものである。ここで、図4において図3と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
データの処理手段24aは、前段の第一処理器29に接続されて周波数を電圧信号に変換する第一のF/Vコンバータ(周波数−電圧変換器)35と、前段の第二処理器30に接続されて周波数を電圧信号に変換する第二のF/Vコンバータ(周波数−電圧変換器)36と、第一のF/Vコンバータ35及び第二のF/Vコンバータ36に接続されて両者の電圧値の差(計測データの差)を求める中段の処理器37と、中段の処理器37に接続され且つ予め磁性体の濃度と電圧値の相関関係を示す対比データが入力された後段の処理器38と、後段の処理器38に接続されて画面表示し得る磁性体濃度表示器34とを備えている。ここで、処理手段24aを構成する前段の第一処理器29、前段の第二処理器30、第一のF/Vコンバータ35、第二のF/Vコンバータ36、中段の処理器37、後段の処理器38、磁性体濃度表示器34は、まとめて一つの機器で構成されてもよいし、バラバラで構成されてもよいし、所定の組み合わせで構成されてもよい。
以下、本実施の形態の第一例における具体的な他の例の作用を説明する。
流体中に含まれる磁性体の濃度を測定する際には、先の具体的な一例と略同様に、実測用のLC発振回路21により、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱と共に磁性体の影響による信号を含んだ発振周波数(発振波)を発振して処理手段24aの前段の第一処理器29に送ると共に、補正用のLC発振回路22により、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱を含んだ発振周波数(発振波)を発振して処理手段24aの前段の第二処理器30に送り、且つ、同時に、比較用のLC発振回路23により、ノイズ等の外乱を含んだ発振周波数(発振波)を発振して処理手段24aの前段の第一処理器29及び前段の第二処理器30に送る。
次に、前段の第一処理器29では、実測用のLC発振回路21の発振波と比較用のLC発振回路23の発振波を重ね合わせ、共振現象のうなりにより、二つの周波数の差(計測データの差)であるうなりの周期(波形)を求め、第一データとして第一のF/Vコンバータ35に送る。同時に、処理手段24aの前段の第二処理器30では、補正用のLC発振回路22の発振波と比較用のLC発振回路23の発振波を重ね合わせ、共振現象のうなりにより、二つの周波数の差(計測データの差)であるうなりの周期(波形)を求め、第二データとして第二のF/Vコンバータ36に送る。
第一のF/Vコンバータ35、第二のF/Vコンバータ36では、夫々の波形を電圧信号に変換して中段の処理器37に送り、中段の処理器37では、電圧値の差(計測データの差)を求めて後段の処理器38に送り、後段の処理器38では、磁性体の濃度と電圧値の相関関係を示す対比データと、電圧値の差(計測データの差)とを比較して磁性体の濃度に換算し、磁性体濃度表示器34により、流体中の磁性体の濃度を示す。この時、磁性体の濃度は連続的に計測及び表示が行われる。
このように第一例における具体的な他の例によれば、先の具体的な一例と略同様な作用効果を得ることができる。
次に、第一例の磁性体濃度計測装置であって具体的な更に他の例は、図5の如く、先の具体的な一例と略同様な実測用のLC発振回路21、補正用のLC発振回路22、比較用のLC発振回路23を備えると共に、データの処理手段24を新たな処理手段24bに変更したものである。ここで、図5において図3と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
データの処理手段24bは、実測用のLC発振回路21に接続されて周波数を電圧信号に変換する第一のF/Vコンバータ(周波数−電圧変換器)39と、補正用のLC発振回路22に接続されて周波数を電圧信号に変換する第二のF/Vコンバータ(周波数−電圧変換器)40と、比較用のLC発振回路23に接続されて周波数を電圧信号に変換する第三のF/Vコンバータ(周波数−電圧変換器)41及び第四のF/Vコンバータ(周波数−電圧変換器)42と、第一のF/Vコンバータ39及び第三のF/Vコンバータ41に接続されて両者の電圧値の差(計測データの差)を求める前段の第一処理器43と、第二のF/Vコンバータ40及び第四のF/Vコンバータ42に接続されて両者の電圧値の差(計測データの差)を求める前段の第二処理器44と、前段の第一処理器43及び前段の第二処理器44に接続されて両者の電圧値の差(計測データの差)を求める中段の処理器45と、中段の処理器45に接続され且つ予め磁性体の濃度と電圧値の相関関係を示す対比データが入力された後段の処理器46と、後段の処理器46に接続されて画面表示し得る磁性体濃度表示器34とを備えている。ここで、処理手段24bを構成する第一のF/Vコンバータ39、第二のF/Vコンバータ40、第三のF/Vコンバータ41、第四のF/Vコンバータ42、前段の第一処理器43、前段の第二処理器44、中段の処理器45、後段の処理器46、磁性体濃度表示器34は、まとめて一つの機器で構成されてもよいし、バラバラで構成されてもよいし、所定の組み合わせで構成されてもよい。
以下、本実施の形態の第一例における具体的な更に他の例の作用を説明する。
流体中に含まれる磁性体の濃度を測定する際には、実測用のLC発振回路21により、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱と共に磁性体の影響による信号を含んだ発振周波数(発振波)を発振して処理手段24bの第一のF/Vコンバータ39に送ると共に、補正用のLC発振回路22により、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱を含んだ発振周波数(発振波)を発振して処理手段24bの第二のF/Vコンバータ40に送り、且つ、同時に、比較用のLC発振回路23により、ノイズ等の外乱を含んだ発振周波数(発振波)を発振して処理手段24bの第三のF/Vコンバータ41及び第四のF/Vコンバータ42に送る。
第一のF/Vコンバータ39、第三のF/Vコンバータ41では、夫々の発振周波数を電圧信号に変換して前段の第一処理器43に送ると共に、第二のF/Vコンバータ40、第四のF/Vコンバータ42では、夫々の発振周波数を電圧信号に変換して前段の第二処理器44に送る。前段の第一処理器43では、電圧値の差(計測データの差)を求めて中段の処理器45に送ると共に、前段の第二処理器44では、電圧値の差(計測データの差)を求めて同様に中段の処理器45に送る。中段の処理器45では、更に電圧値の差(計測データの差)を求めて後段の処理器46に送り、後段の処理器46では、磁性体の濃度と電圧値の相関関係を示す対比データと、電圧値の差(計測データの差)とを比較して磁性体の濃度に換算し、磁性体濃度表示器34により、流体中の磁性体の濃度を示す。この時、磁性体の濃度は計測及び表示を連続的に行っている。
このように第一例における具体的な更に他の例によれば、先の具体的な一例と略同様な作用効果を得ることができる。
計測データの差を求める際は、周波数をF/Vコンバータ39,40,41,42で電圧信号に変換して電圧値の差により計測データの差を求めるよう構成すると、一般に市販される機器を組み合わせて構成し得るので、一層低コストにすることができる。
次に、第一例の磁性体濃度計測装置であって具体的な別の例は、図6の如く、先の具体的な一例と略同様な実測用のLC発振回路21、補正用のLC発振回路22、比較用のLC発振回路23を備えると共に、データの処理手段24を新たな処理手段24cに変更したものである。ここで、図6において図3と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
データの処理手段24cは、実測用のLC発振回路21に接続されて周波数を数値に変換する第一のパルスカウンタ47と、補正用のLC発振回路22に接続されて周波数を数値に変換する第二のパルスカウンタ48と、比較用のLC発振回路23に接続されて周波数を数値に変換する第三のパルスカウンタ49及び第四のパルスカウンタ50と、第一のパルスカウンタ47及び第三のパルスカウンタ49に接続されて両者の数値の差(計測データの差)を求める前段の第一処理器51と、第二のパルスカウンタ48及び第四のパルスカウンタ50に接続されて両者の数値の差(計測データの差)を求める前段の第二処理器52と、前段の第一処理器51と前段の第二処理器52に接続されて両者の数値の差(計測データの差)を求める中段の処理器53と、中段の処理器53に接続され且つ予め磁性体の濃度と数値の相関関係を示す対比データが入力された後段の処理器54と、後段の処理器54に接続されて画面表示し得る磁性体濃度表示器34とを備えている。ここで、処理手段24cを構成する第一のパルスカウンタ47、第二のパルスカウンタ48、第三のパルスカウンタ49、第四のパルスカウンタ50、前段の第一処理器51、前段の第二処理器52、中段の処理器53、後段の処理器54、磁性体濃度表示器34は、まとめて一つの機器で構成されてもよいし、バラバラで構成されてもよいし、所定の組み合わせで構成されてもよい。
以下、本実施の形態の第一例における具体的な別の例の作用を説明する。
流体中に含まれる磁性体の濃度を測定する際には、実測用のLC発振回路21により、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱と共に磁性体の影響による信号を含んだ発振周波数(発振波)を発振して処理手段24cの第一のパルスカウンタ47に送ると共に、補正用のLC発振回路22により、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱を含んだ発振周波数(発振波)を発振して処理手段24cの第二のパルスカウンタ48に送り、且つ、同時に、比較用のLC発振回路23により、ノイズ等の外乱を含んだ発振周波数(発振波)を発振して処理手段24cの第三のパルスカウンタ49及び第四のパルスカウンタ50に送る。
第一のパルスカウンタ47、第三のパルスカウンタ49では、夫々の発振周波数を数値に変換して前段の第一処理器51に送ると共に、第二のパルスカウンタ48、第四のパルスカウンタ50では、夫々の発振周波数を数値に変換して前段の第二処理器52に送る。前段の第一処理器51では、数値の差(計測データの差)を求めて中段の処理器53に送ると共に、前段の第二処理器52では、数値の差(計測データの差)を求めて同様に中段の処理器53に送る。中段の処理器53では、更に数値の差(計測データの差)を求めて後段の処理器54に送り、後段の処理器54では、磁性体の濃度と数値の相関関係を示す対比データと、数値の差(計測データの差)とを比較して磁性体の濃度に換算し、磁性体濃度表示器34により、流体中の磁性体の濃度を示す。この時、磁性体の濃度は連続的に計測及び表示が行われる。
このように第一例における具体的な別の例によれば、先の具体的な一例、他の例、更に他の例と略同様な作用効果を得ることができる。
計測データの差を求める際は、周波数をパルスカウンタ47,48,49,50で数値に変換して演算により計測データの差を求めるよう構成すると、一般に市販される機器を組み合わせて構成し得るので、一層低コストにすることができる。
次に、第一例の磁性体濃度計測装置であって具体的な更に別の例は、図7の如く、先の具体的な一例と略同様な実測用のLC発振回路21、補正用のLC発振回路22、比較用のLC発振回路23、前段の第一処理器29、前段の第二処理器30を備えると共に、処理手段24の他の部分を新たな処理手段24dに変更したものである。ここで、図7において図3と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
データの処理手段24dは、前段の第一処理器29に接続されて周波数を電圧信号に変換する第一のパルスカウンタ55と、前段の第二処理器30に接続されて周波数を電圧信号に変換する第二のパルスカウンタ56と、第一のパルスカウンタ55及び第二のパルスカウンタ56に接続されて両者の数値の差(計測データの差)を求める中段の処理器57と、中段の処理器57に接続され且つ予め磁性体の濃度と数値の相関関係を示す対比データが入力された後段の処理器58と、後段の処理器58に接続されて画面表示し得る磁性体濃度表示器34とを備えている。ここで、処理手段24dを構成する前段の第一処理器29、前段の第二処理器30、第一のパルスカウンタ55、第二のパルスカウンタ56、中段の処理器57、後段の処理器58、磁性体濃度表示器34は、まとめて一つの機器で構成されてもよいし、バラバラで構成されてもよいし、所定の組み合わせで構成されてもよい。
以下、本実施の形態の第一例における具体的な更に別の例の作用を説明する。
流体中に含まれる磁性体の濃度を測定する際には、先の具体的な一例と略同様に、実測用のLC発振回路21により、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱と共に磁性体の影響による信号を含んだ発振周波数(発振波)を発振して処理手段24dの前段の第一処理器29に送ると共に、補正用のLC発振回路22により、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱を含んだ発振周波数(発振波)を発振して処理手段24dの前段の第二処理器30に送り、且つ、同時に、比較用のLC発振回路23により、ノイズ等の外乱を含んだ発振周波数(発振波)を発振して処理手段24dの前段の第一処理器29及び前段の第二処理器30に送る。
次に、前段の第一処理器29では、実測用のLC発振回路21の発振波と比較用のLC発振回路23の発振波を重ね合わせ、共振現象のうなりにより、二つの周波数の差(計測データの差)であるうなりの周期(波形)を求め、第一データとして第一のパルスカウンタ55に送る。同時に、処理手段24dの前段の第二処理器30では、補正用のLC発振回路22の発振波と比較用のLC発振回路23の発振波を重ね合わせ、共振現象のうなりにより、二つの周波数の差(計測データの差)であるうなりの周期(波形)を求め、第二データとして第二のパルスカウンタ56に送る。
第一のパルスカウンタ55、第二のパルスカウンタ56では、夫々の波形を数値に変換して中段の処理器57に送り、中段の処理器57では、数値の差(計測データの差)を求めて後段の処理器58に送り、後段の処理器58では、磁性体の濃度と数値の相関関係を示す対比データと、数値の差(計測データの差)とを比較して磁性体の濃度に換算し、磁性体濃度表示器34により、流体中の磁性体の濃度を示す。この時、磁性体の濃度は、実測用の発振周波数、補正用の発振周波数及び比較用の発振周波数を用いることにより連続的に計測及び表示が行われる。
このように第一例における具体的な他の例によれば、先の具体的な夫々の例と略同様な作用効果を得ることができる。
本発明の実施の形態の第二例である磁性体濃度計測装置及びゼロ点補償方法を説明する。図8は本発明の実施の形態の第二例においてゼロ点補償の処理を示すフロー、図9は本発明の実施の形態の第二例において流路とLC発振回路の構成の一例を示す概略図、図10は本発明の実施の形態の第二例において時間経過によるゼロ点の変化と計測値の関係を示すグラフ、図11は本発明の実施の形態の第二例において流路とLC発振回路の構成の他の例を示す概略図、図12は本発明の実施の形態の第二例において流路とLC発振回路の構成の更に他の例を示す概略図、図13は本発明の実施の形態の第二例において流路とLC発振回路の構成の別の例を示す概略図、図14は本発明の実施の形態の第二例において流路とLC発振回路の構成の更に別の例を示す概略図、図15は本発明の実施の形態の第二例においてデータの処理手段を示す概略図、図16は本発明の実施の形態の第二例においてデータの処理手段の他の例を示す概略図、図17は本発明の実施の形態の第二例においてデータの処理手段の更に他の例を示す概略図である。
第二例の磁性体濃度計測装置及びゼロ点補償方法は図8〜図17に示す如く具体的な例が五つあり、具体的な一例は、図8〜図10の如く、第一のLC発振回路1と、第二のLC発振回路2と、図15〜17に示す如くデータの処理手段3とを備えている。
第一のLC発振回路1は、流体が流れる配管60の近傍又は配管60内に第一コイル5を固定し、第一コイル5を含む回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。又、第二のLC発振回路2は、配管60の延在方向に沿うよう第一のLC発振回路1と略並列に配置されて、配管60の近傍又は配管60内に第二コイル6を固定し、第二コイル6を含む回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。
一方、流体の流れる配管60には、第一コイル5の近傍位置より上流側で開閉し得る第一開閉弁61と、第一コイル5の近傍位置と第二コイル6の近傍位置の間で開閉し得る第二開閉弁62と、第二コイル6の近傍位置より下流側で開閉し得る第三開閉弁63とを備えている。
ここで、第一のLC発振回路1と第二のLC発振回路2は、周波数が数〜数十%の範囲で互いに異なるように構成されてもよいし、同じになるように構成されてもよい。又、第一のLC発振回路1の回路構成及び第二のLC発振回路2の回路構成は、コレクタ形、ハートレー形、コルピッツ形等のどのような構成でもよいが、両者を同一の型にすることが好ましい。
このような第一のLC発振回路1と、第二のLC発振回路2は、
f:周波数
L:インダクタンス
C:キャパシタンス(コンデンサの静電容量)
の式により、夫々のコイルのインダクタンスLが変化することにより発振周波数fが変化している。なお、夫々のLC発振回路1,2は、周波数fとインピーダンスZは相関性はない。
一方、データの処理手段3は、図15に示すごとく、第一のLC発振回路1及び第二のLC発振回路2に接続されて両者の発振周波数の差(両者の発振波の共振現象によるうなりの周期)を求める前段の処理器7と、前段の処理器7に接続されて周波数を電圧信号に変換するF/Vコンバータ(周波数−電圧変換器)8と、F/Vコンバータ8に接続され且つ予め磁性体の濃度と電圧値の相関関係を示す対比データが入力された後段の処理器9と、後段の処理器9に接続されて画面表示し得る磁性体濃度表示器10とを備えている。又、データの処理手段3は、図16に示す如く、第一のLC発振回路1に接続されて周波数を電圧信号に変換する第一のF/Vコンバータ(周波数−電圧変換器)11と、第二のLC発振回路2に接続されて周波数を電圧信号に変換する第二のF/Vコンバータ(周波数−電圧変換器)12と、第一のF/Vコンバータ11及び第二のF/Vコンバータ12に接続されて両者の電圧値の差(計測データの差)を求める前段の処理器13と、前段の処理器13に接続され且つ予め磁性体の濃度と電圧値の相関関係を示す対比データが入力された後段の処理器14と、後段の処理器14に接続されて画面表示し得る磁性体濃度表示器10とを備えてよい。更に、データの処理手段3は、図17に示す如く、第一のLC発振回路1に接続されて周波数を数値に変換する第一のパルスカウンタ15と、第二のLC発振回路2に接続されて周波数を数値に変換する第二のパルスカウンタ16と、第一のパルスカウンタ15及び第二のパルスカウンタ16に接続されて両者の数値の差(計測データの差)を求める前段の処理器17と、前段の処理器17に接続され且つ予め磁性体の濃度と数値の相関関係を示す対比データが入力された後段の処理器18と、後段の処理器18に接続されて画面表示し得る磁性体濃度表示器10とを備えてもよい。なお、処理手段3の構成は、まとめて一つの機器で構成されてもよいし、バラバラで構成されてもよいし、所定の組み合わせで構成されてもよい。
以下、本実施の形態の第二例における具体的な一例の作用を説明する。
流体中に含まれる磁性体の濃度を測定する際には、計測開始(図8のステップS1;以下、各ステップは図8に示す)から、第一開閉弁61及び第三開閉弁63を開くと共に第二開閉弁62を閉じることにより配管60の第一コイル5の近傍位置のみに流体を充填し、流体の磁性体の影響を、第一コイル5を介して第一のLC発振回路1のみに与える(ステップS2)。この時、第一のLC発振回路1は、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱と共に磁性体の影響による信号を含んだ発振周波数(発振波)を発振し、同時に、第二のLC発振回路2は、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱を含んだ発振周波数(発振波)を発振することにより、夫々の周波数を処理手段3の前段の処理器7に送り、第一のLC発振回路1の周波数と第二のLC発振回路2の周波数との差を計測し(ステップS3)、周波数の差(第一データ)を前段の処理器7で記録する(ステップS4)。ここで、周波数の差(第一データ)を仮定の数値で説明すると、第一のLC発振回路1の発振周波数が50KHzであると共に、第二のLC発振回路2の発振周波数が45KHzであり、更に第一のLC発振回路1には10Hzの磁性体による変化量が生じている際には、周波数の差(第一データ)は(50KHz+10Hz)−45KHz=5KHz+10Hzになる。
次に第一開閉弁61及び第三開閉弁63を閉じると共に第二開閉弁62を開くことにより、流体を、配管60の第一コイル5の近傍位置から第二コイル6の近傍位置へ移動させ、流体の磁性体の影響を、第二コイル6を介して第二のLC発振回路2のみに与える(ステップS5)。この時、第一のLC発振回路1は、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱を含んだ発振周波数(発振波)を発振し、同時に、第二のLC発振回路22は、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱と共に磁性体の影響による信号を含んだ発振周波数(発振波)を発振することにより、夫々の周波数を処理手段3の前段の処理器7に送り、第一のLC発振回路1の周波数と第二のLC発振回路22の周波数との差を計測し(ステップS6)、周波数の差(第二データ)を前段の処理器7で記録する(ステップS7)。ここで、周波数の差(第二データ)を仮定の数値で説明すると、第一のLC発振回路1の発振周波数が50KHzであると共に、第二のLC発振回路2の発振周波数が45KHzであり、更に第二のLC発振回路2には10Hzの磁性体による変化量が生じている際には、周波数の差(第二データ)は50KHz−(45KHz+10Hz)=5KHz−10Hzになる。なお、第一のLC発振回路1のみに磁性体の影響を与えた場合と、第二のLC発振回路2のみに磁性体の影響を与えた場合とでは変化量の増減は夫々逆になる。
続いて、第一のLC発振回路1のみに流体の磁性体の影響を与えた際の周波数の差(第一データ)と、第二のLC発振回路2のみに流体の磁性体の影響を与えた際の周波数の差(第二データ)とから差を計測し(ステップS8)、F/Vコンバータ8等を介して、後段の処理器9で、磁性体の濃度と電圧値の相関関係を示す対比データと、電圧信号(電圧値の差)とを比較して磁性体の濃度に換算し(ステップS9)、磁性体濃度表示器10により、流体中の磁性体の濃度を示す。ここで、周波数の差(第一データ)と、周波数の差(第二データ)とから差の計測を仮定の数値で説明すると、上段の段落の条件で、(5KHz+10Hz)−(5KHz−10Hz)から20Hzとなり、この値を対比データより磁性体の濃度に換算する。
一方、第二のLC発振回路2のみに流体の磁性体の影響を与えて周波数の差(第二データ)を求めた後には、第一開閉弁61、第二開閉弁62、第三開閉弁63は、計測開始(ステップS1)以下の流れと同じ処理で順に開閉し、連続的に磁性体の濃度を求める。ここで、時間経過によるゼロ点の変化と計測値の関係からグラフに表すと、図10に示す如く、第一のLC発振回路1のみに流体の磁性体の影響を与えた際の周波数の差(第一データ)はP1、第二のLC発振回路2のみに流体の磁性体の影響を与えた際の周波数の差(第二データ)はP2であり、この両者の差の値ΔV1が対比データにより磁性体の濃度に換算されるものとなる。又、続いて連続的に第一のLC発振回路1のみに流体の磁性体の影響を与えた際の2回目の周波数の差(第一データ)はP3、第二のLC発振回路2のみに流体の磁性体の影響を与えた際の2回目の周波数の差(第一データ)はP4であり、この両者の差の値ΔV2が対比データにより磁性体の濃度に換算されるものとなる。以下、周波数の差を連続的に求めることが可能となる。
このように第二例における具体的な一例によれば、先の第一例と略同様な作用効果を得ることができると共に、ゼロ点のズレを解消して磁性体の影響による変化量を残し、磁性体の影響による変化量から磁性体の濃度を求めるので、ゼロ点のズレの変化を考慮することなく、磁性体の濃度計測を行うことができる。更に、第一コイル5及び第二コイル6に磁性体の影響を与え得るよう、第一開閉弁61、第二開閉弁62、第三開閉弁63によって流体の流路を開閉するよう構成すると、第一のLC発振回路1及び第二のLC発振回路2を固定して計測し得るので、LC発振回路1,2においてノイズが生じることを防止することができる。
又、第二例の実施の形態を実行することにより、図10に示すようにゼロ点が変化しても、ゼロ点の変化の影響を取り除いた計測値が自動的に得られるため、操作、保守が容易になり、計測精度が向上し、結果的に、濃度が明らかなゼロ点用標準物質等の使用を不要にすることができる。
次に、第二例の磁性体濃度計測装置及びゼロ点補償方法であって具体的な他の例は、図11の如く、図15〜図17と略同様なデータの処理手段3を備えると共に、第一のLC発振回路1、第二のLC発振回路2、流体の流れる流路の構成を備えたものである。ここで、図11において図15〜図17と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
流体の流れる配管65は、中途位置で第一配管65aと第二配管65bに分岐して下流側で合流するように構成されており、配管65の分岐地点には流路を切替える第一切替弁66を備えると共に、配管65の下流の合流地点には同様に流路を切替える第二切替弁67を備えている。
一方、第一のLC発振回路1は、第一配管65aの近傍又は第一配管65a内に第一コイル5を固定し、第一コイル5を含む回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。又、第二のLC発振回路2は、第二配管65bの近傍又は第二配管65b内に第二コイル6を固定し、第二コイル6を含む回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。
以下、本実施の形態の第二例における具体的な他の例の作用を説明する。
流体の磁性体の影響を、第一コイル5を介して第一のLC発振回路1のみに与える際には、図11の如く、第一切替弁66により第一配管65aへ流体を流すと共に、第二切替弁67により第二配管65bから流体を排出している。一方、流体の磁性体の影響を、第二コイル6を介して第二のLC発振回路2のみに与える際には、第一切替弁66により第二配管65bへ流体を流すと共に、第二切替弁67により第一配管65aから流体を排出している。なお、第一切替弁66、第二切替弁67は、以下、同じ処理で開閉し、連続的に磁性体の濃度を求める。
流体中に含まれる磁性体の濃度を測定する際には、先の第二例における具体的な一例と略同様な手順で、流体の磁性体の影響を、第一コイル5を介して第一のLC発振回路1のみに与えて周波数の差(第一データ)を求めると共に、第二コイル6を介して第二のLC発振回路2のみに与えて周波数の差(第二データ)を求め、両者の差を計測して対比データより磁性体の濃度に換算する。
このように第二例における具体的な他の例によれば、先の第二例における具体的な一例と略同様な作用効果を得ることができる。又、第一コイル5及び第二コイル6に磁性体の影響を与え得るよう、第一切替弁66、第二切替弁67によって流体の流路を開閉可能に構成すると、第一のLC発振回路1及び第二のLC発振回路2を固定して計測し得るので、LC発振回路1,2においてノイズが生じることを防止することができる。
続いて、第二例の磁性体濃度計測装置及びゼロ点補償方法であって具体的な更に他の例は、図12の如く、図15〜図17と略同様なデータの処理手段3を備えると共に、第一のLC発振回路1、第二のLC発振回路2、流体の流れる流路の構成を備えたものである。ここで、図12において図15〜図17と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
流体の流れる配管68は、中途位置にコの字型の屈曲配管69を備えており、屈曲配管69は、駆動手段(図示せず)により回転を適宜行うように構成されている。
一方、第一のLC発振回路1は、屈曲配管69を一方で停止させた際の屈曲配管69の近傍に第一コイル5を固定し、第一コイル5を含む回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。又、第二のLC発振回路2は、屈曲配管69を他方で停止させた際の屈曲配管69の近傍に第二コイル6を固定し、第二コイル6を含む回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。
以下、本実施の形態の第二例における具体的な更に他の例の作用を説明する。
流体の磁性体の影響を、第一コイル5を介して第一のLC発振回路1のみに与える際には、図12の如く、屈曲配管69の回転により第一のLC発振回路1近傍に移動させ(図12の左側で実線部分)、第一のLC発振回路1に磁性体の影響を与えると共に、第二のLC発振回路2に磁性体の影響を与えないようにする。一方、流体の磁性体の影響を、第二コイル6を介して第二のLC発振回路2のみに与える際には、続けて屈曲配管69を180゜回転させ(図12の右側で仮想線部分)、第一のLC発振回路1に磁性体の影響を与えないようにすると共に、第二のLC発振回路2に磁性体の影響を与えるようにする。なお、屈曲配管69の回転は、以下、同じ動作を繰返し、連続的に磁性体の濃度を求める。
流体中に含まれる磁性体の濃度を測定する際には、先の第二例における具体的な一例と略同様な手順で、流体の磁性体の影響を、第一コイル5を介して第一のLC発振回路1のみに与えて周波数の差(第一データ)を求めると共に、第二コイル6を介して第二のLC発振回路2のみに与えて周波数の差(第二データ)を求め、両者の差を計測して対比データより磁性体の濃度に換算する。
このように第二例における具体的な更に他の例によれば、先の第二例における具体的な一例と略同様な作用効果を得ることができる。又、第一コイル5及び第二コイル6に磁性体の影響を与え得るよう、屈曲配管69の回転によって流体の流路を切替可能に構成すると、第一のLC発振回路1及び第二のLC発振回路2を固定して計測し得るので、LC発振回路1,2においてノイズが生じることを防止することができる。
次に、第二例の磁性体濃度計測装置及びゼロ点補償方法であって具体的な別の例は、図13の如く、図15〜図17と略同様なデータの処理手段3を備えると共に、第一のLC発振回路70、第二のLC発振回路71、流体の流れる流路の構成を備えたものである。ここで、図13において図15〜図17と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
第二例の磁性体濃度計測装置及びゼロ点補償方法を具体的な別の例で説明すると、第一のLC発振回路70は、流体が流れる配管4の近傍又は配管4内に第一コイル72を配置すると共に、流体中の磁性体の影響を受けない位置、もしくは流体中の磁性体の影響が少ない位置に第一予備コイル73を配置し、第一コイル72及び第一予備コイル73を第一スイッチ74により選択可能し、回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。又、第二のLC発振回路71は、配管4の延在方向に沿うよう第一のLC発振回路70と略並列に配置されて、配管4の近傍又は配管4内に第二コイル75を配置すると共に、流体中の磁性体の影響を受けない位置、もしくは流体中の磁性体の影響が少ない位置に第二予備コイル76を配置し、第二コイル75及び第二予備コイル76を第二スイッチ77により選択可能にし、回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。
以下、本実施の形態の第二例における具体的な別の例の作用を説明する。
流体の磁性体の影響を、第一のLC発振回路70のみに与える際には、図13の如く、第一スイッチ74によって第一のLC発振回路70の第一コイル72で周波数を発振させると共に、第二スイッチ77によって第二のLC発振回路71の第二予備コイル76で周波数を発振させることにより、第一のLC発振回路70に磁性体の影響を与えると共に、第二のLC発振回路71に磁性体の影響を与えないようにする。一方、流体の磁性体の影響を、第二のLC発振回路71のみに与える際には、第一スイッチ74によって第一のLC発振回路70の第一予備コイル73で周波数を発振させると共に、第二スイッチ77によって第二のLC発振回路71の第二コイル75で周波数を発振させることにより、第一のLC発振回路70に磁性体の影響を与えないようにすると共に、第二のLC発振回路71に磁性体の影響を与えるようにする。なお、第一スイッチ74及び第二スイッチ77を交互に切替えることにより、以下、同じ動作を繰返し、連続的に磁性体の濃度を求める。
流体中に含まれる磁性体の濃度を測定する際には、先の第二例における具体的な一例と略同様な手順で、流体の磁性体の影響を、第一コイル72を介して第一のLC発振回路70のみに与えて周波数の差(第一データ)を求めると共に、第二コイル75を介して第二のLC発振回路71のみに与えて周波数の差(第二データ)を求め、両者の差を計測して対比データより磁性体の濃度に換算する。
このように第二例における具体的な別の例によれば、先の第二例における具体的な一例と略同様な作用効果を得ることができる。又、第一コイル72又は第二コイル75に磁性体の影響を与え得るよう、第一スイッチ74及び第二スイッチ77の切替えによって第一コイル72又は第二コイル75の回路動作を切替可能に構成すると、流路を固定して計測し得るので、大掛かりな装置の構成を不要にし、一層低コストにすることができる。
続いて、第二例の磁性体濃度計測装置及びゼロ点補償方法であって具体的な更に別の例は、図15の如く、図15〜図17と略同様なデータの処理手段3を備えると共に、第一のLC発振回路80、第二のLC発振回路81、流体の流れる流路の構成を備えたものである。ここで、図14において図15〜図17と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
第二例の磁性体濃度計測装置及びゼロ点補償方法を具体的な更に別の例で説明すると、第一のLC発振回路80は、流体が流れる配管4の近傍又は配管4内に第一コイル82を配置すると共に、流体中の磁性体の影響を受けない位置、もしくは流体中の磁性体の影響が少ない位置に予備コイル83を配置し、第一コイル82及び予備コイル83を第一スイッチ84及び予備スイッチ85により選択可能にし、回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。又、第二のLC発振回路81は、配管4の延在方向に沿うよう第一のLC発振回路80と略並列に配置されて、配管4の近傍又は配管4内に第二コイル86を配置すると共に、第一LC発振回路80の予備コイル83に接続されており、第二コイル86及び予備コイル83を第二スイッチ87及び予備スイッチ85により選択可能にし、回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。
以下、本実施の形態の第二例における具体的な別の例の作用を説明する。
流体の磁性体の影響を、第一のLC発振回路80のみに与える際には、図14の如く、第一スイッチ84及び予備スイッチ85により第一コイル82で周波数を発振させると共に、第二スイッチ87及び予備スイッチ85により第二コイル86で周波数を発振させることなく、予備コイル83で周波数を発振させる。これにより、第一のLC発振回路80に磁性体の影響を与えると共に、第二のLC発振回路81に磁性体の影響を与えないようにする。一方、流体の磁性体の影響を、第二のLC発振回路81のみに与える際には、第一スイッチ84及び予備スイッチ85により第一コイル82で周波数を発振させることなく、予備コイル83で周波数を発振させると共に、第二スイッチ87により第二コイル86で周波数を発振させる。これにより、第一のLC発振回路80に磁性体の影響を与えないようにすると共に、第二のLC発振回路81に磁性体の影響を与えるようにする。なお、第一スイッチ84、第二スイッチ87、予備スイッチ85を交互に切替えることにより、以下、同じ動作を繰返し、連続的に磁性体の濃度を求める。
流体中に含まれる磁性体の濃度を測定する際には、先の第二例における具体的な一例と略同様な手順で、流体の磁性体の影響を、第一コイル82を介して第一のLC発振回路80のみに与えて周波数の差(第一データ)を求めると共に、第二コイル86を介して第二のLC発振回路81のみに与えて周波数の差(第二データ)を求め、両者の差を計測して対比データより磁性体の濃度に換算する。
このように第二例における具体的な更に別の例によれば、先の第二例における具体的な一例と略同様な作用効果を得ることができる。又、第一コイル82又は第二コイル86に磁性体の影響を与え得るよう、第一スイッチ84、第二スイッチ87及び予備スイッチ85の切替えによって第一コイル82又は第二コイル86の回路動作を切替可能に構成すると、流路を固定して計測し得るので、大掛かりな装置の構成を不要にし、一層低コストにすることができる。
本発明の実施の形態の第三例である磁性体濃度計測装置及びゼロ点補正方法を説明する。図18は本発明の実施の形態の第三例においてゼロ点補償の一例の処理を示すフロー、図19は本発明の実施の形態の第三例において流路とLC発振回路の構成の一例を示す概略図、図20は本発明の実施の形態の第三例においてゼロ点のズレと磁性体の濃度の関係を示すグラフ、図21は本発明の実施の形態の第三例において流路とLC発振回路の構成の他の例を示す概略図、図22は本発明の実施の形態の第三例において流路とLC発振回路の構成の更に他の例を示す概略図である。
第三例の磁性体濃度計測装置及びゼロ点補正方法は図18〜図22に示す如く具体的な例が三つあり、具体的な一例は、図18〜図20の如く、第一のLC発振回路1と、第二のLC発振回路2と、図15〜図17と略同様なデータの処理手段3とを備えている。ここで、図18〜図20において図15〜図17と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
第一のLC発振回路1は、流体が流れる配管90の近傍又は配管90内に第一コイル5を固定し、第一コイル5を含む回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。又、第二のLC発振回路2は、配管90の延在方向に沿うよう第一のLC発振回路1と略並列に配置されて配管90の近傍又は配管90内に第二コイル6を固定し、第二コイル6を含む回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。
一方、流体の流れる配管90には、第一コイル5の近傍位置より上流側で開閉し得る第一開閉弁91と、第一コイル5の近傍位置と第二コイル6の近傍位置の間で開閉し得る第二開閉弁92と、第二コイル6の近傍位置より下流側で開閉し得る第三開閉弁93とを備えている。
ここで、第一のLC発振回路1と第二のLC発振回路2は、周波数が数〜数十%の範囲で互いに異なるように構成されてもよいし、同じになるように構成されてもよい。又、第一のLC発振回路1の回路構成及び第二のLC発振回路2の回路構成は、コレクタ形、ハートレー形、コルピッツ形等のどのような構成でもよいが、両者を同一の型にすることが好ましい。
このような第一のLC発振回路1と、第二のLC発振回路2は、
f:周波数
L:インダクタンス
C:キャパシタンス(コンデンサの静電容量)
の式により、夫々のコイルのインダクタンスLが変化することにより発振周波数fが変化している。なお、夫々のLC発振回路1,2は、周波数fとインピーダンスZは相関性はない。
一方、データの処理手段3は、図15に示すごとく、第一のLC発振回路1及び第二のLC発振回路2に接続されて両者の発振周波数の差(両者の発振波の共振現象によるうなりの周期)を求める前段の処理器7と、前段の処理器7に接続されて周波数を電圧信号に変換するF/Vコンバータ(周波数−電圧変換器)8と、F/Vコンバータ8に接続され且つ予め磁性体の濃度と電圧値の相関関係を示す対比データが入力された後段の処理器9と、後段の処理器9に接続されて画面表示し得る磁性体濃度表示器10とを備えている。又、データの処理手段3は、図16に示す如く、第一のLC発振回路1に接続されて周波数を電圧信号に変換する第一のF/Vコンバータ(周波数−電圧変換器)11と、第二のLC発振回路2に接続されて周波数を電圧信号に変換する第二のF/Vコンバータ(周波数−電圧変換器)12と、第一のF/Vコンバータ11及び第二のF/Vコンバータ12に接続されて両者の電圧値の差(計測データの差)を求める前段の処理器13と、前段の処理器13に接続され且つ予め磁性体の濃度と電圧値の相関関係を示す対比データが入力された後段の処理器14と、後段の処理器14に接続されて画面表示し得る磁性体濃度表示器10とを備えてよい。更に、データの処理手段3は、図17に示す如く、第一のLC発振回路1に接続されて周波数を数値に変換する第一のパルスカウンタ15と、第二のLC発振回路2に接続されて周波数を数値に変換する第二のパルスカウンタ16と、第一のパルスカウンタ15及び第二のパルスカウンタ16に接続されて両者の数値の差(計測データの差)を求める前段の処理器17と、前段の処理器17に接続され且つ予め磁性体の濃度と数値の相関関係を示す対比データが入力された後段の処理器18と、後段の処理器18に接続されて画面表示し得る磁性体濃度表示器10とを備えてもよい。なお、処理手段3の構成は、まとめて一つの機器で構成されてもよいし、バラバラで構成されてもよいし、所定の組み合わせで構成されてもよい。
以下、本実施の形態の第三例における具体的な一例の作用を説明する。
流体中に含まれる磁性体の濃度を測定する際には、計測開始(図18のステップS11;以下、各ステップは図18に示す)から、初めにゼロ点確認を行うか判断する(ステップS12)。ゼロ点の確認を行う際には次の処理(ステップS13)へ移行し、ゼロ点の確認を行わない際には、磁性体の濃度を求めるよう周波数の差を求める処理(ステップS17)へ移行する。ここで、ゼロ点の確認は所定時間ごとでも良いし、任意の時間を設定してもよい。
次に、第一開閉弁91及び第二開閉弁92を開くと共に第三開閉弁93を閉じることにより配管90の第一コイル5の近傍位置及び第二コイル6の近傍位置に流体を充填し、流体の磁性体の影響を、第一コイル5を介して第一のLC発振回路1に与えると共に、第二コイル6を介して第二のLC発振回路2に与える(ステップS13)。この時、第一のLC発振回路1及び第二のLC発振回路2は、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱と共に磁性体の影響による信号を含んだ発振周波数(発振波)を発振することにより、夫々の周波数を処理手段3の前段の処理器7に送り、第一のLC発振回路1の周波数と第二のLC発振回路2の周波数との差を計測し(ステップS14)、周波数の差(計測データの差)をゼロ点として認識し(ステップS15)、前段の処理器7で記録する(ステップS16)。ここで、周波数の差(計測データの差)は、ゼロ点にズレがない場合には一定の所定値になり、ゼロ点がズレた場合には一定の値から数値が増減しており、図20のグラフではゼロ点の位置がズレた場合を示し、それに伴って磁性体の濃度(図20ではG’からGへ移動)がズレていることを示す。
次に第一開閉弁91及び第三開閉弁93を開くと共に第二開閉弁92を閉じることにより、流体を、配管90の第一コイル5の近傍位置のみに導入し、流体の磁性体の影響を、第一コイル5を介して第一のLC発振回路1のみに与える(ステップS17)。この時、第一のLC発振回路1は、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱を含んだ発振周波数(発振波)を発振し、同時に、第二のLC発振回路2は、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱を含んだ発振周波数(発振波)を発振することにより、夫々の周波数を処理手段3の前段の処理器7に送り、第一のLC発振回路1の周波数と第二のLC発振回路2の周波数との差を計測し(ステップS18)、周波数の差(計測データの差)として認識し(ステップS19)、周波数の差(計測データの差)を前段の処理器7で記録する(ステップS20)。ここで、周波数の差(計測データの差)として認識した際(ステップ19)には、ステップ20へ進む一方で、ゼロ点の確認の処理(ステップ12)へ戻り、連続的に処理している。
続いて、第一のLC発振回路1のみに流体の磁性体の影響を与えた際の周波数の差(計測データの差)と、ステップS13〜S16で求めたゼロ点との差を求め、最終の計測値とする(ステップS21)。ここで、最終の計測値は、ズレを含むゼロ点を引くことにより、ゼロ点のズレをキャンセルしたものになる。なお、ゼロ点を求めたステップS13〜S16の処理は、ステップS17〜S20の処理と逆の順番にしてもよい。
次に、最終の計測値をF/Vコンバータ8等を介して、後段の処理器9で、磁性体の濃度と電圧値の相関関係を示す対比データと、電圧信号(電圧値の差)とを比較して磁性体の濃度に換算し(ステップS22)、磁性体濃度表示器10により、流体中の磁性体の濃度を示す。
このように第三例における具体的な一例によれば、先の第一例と略同様な作用効果を得ることができると共に、ゼロ点のズレを適宜解消し、磁性体の濃度計測を容易に行うことができる。又、ゼロ点を所望のタイミングで自動的に計測してゼロ点のズレを解消し得るので、毎回計測の開始に先立って、ゼロ点の校正を行う必要がなく、ゼロ点の補正を容易にすることができる。更に、第一コイル5及び/又は第二コイル6に磁性体の影響を与え得るよう、第一開閉弁91、第二開閉弁92、第三開閉弁93によって流体の流路を開閉可能に構成すると、第一のLC発振回路1及び第二のLC発振回路2を固定して計測し得るので、LC発振回路1,2においてノイズが生じることを防止することができる。
又、第三例の実施の形態を実行することにより、ゼロ点の変化の補正した計測値が自動的に得られるため、操作、保守が容易になり、計測精度が向上し、結果的に、濃度が明らかなゼロ点用標準物質等の使用を不要にすることができる。
次に、第三例の磁性体濃度計測装置及びゼロ点補正方法であって具体的な他の例は、図21の如く、図15〜図17と略同様なデータの処理手段3を備えると共に、第一のLC発振回路1、第二のLC発振回路2、流体の流れる流路の構成を備えたものである。ここで、図21において図15〜図17と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
流体の流れる配管95は、中途位置にコの字型の屈曲配管96を備えており、屈曲配管96は、駆動手段(図示せず)により回転を適宜行うように構成されている。
一方、第一のLC発振回路1は、屈曲配管96を一方で停止させた際の屈曲配管96の近傍に第一コイル5を固定し、第一コイル5を含む回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。又、第二のLC発振回路2は、屈曲配管96の下流側に位置する通常の配管95の近傍又は配管内に第二コイル6を固定し、第二コイル6を含む回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。
以下、本実施の形態の第三例における具体的な他の例の作用を説明する。
流体の磁性体の影響を、第一のLC発振回路1及び第二のLC発振回路2に与える際には、図21の如く、屈曲配管96の回転により第一のLC発振回路1近傍に移動させ(図21の右側で仮想線部分)、第一のLC発振回路1に磁性体の影響を与えると共に、第二のLC発振回路2に磁性体の影響を与える。一方、流体の磁性体の影響を、第二コイル6を介して第二のLC発振回路2のみに与える際には、続けて屈曲配管96を180゜回転させ(図21の左側で実線部分)、第一のLC発振回路1に磁性体の影響を与えないようにすると共に、第二のLC発振回路2に磁性体の影響を与えるようにする。なお、屈曲配管96の回転は、以下、同じ動作を繰返し、連続して磁性体の濃度を求める。
流体中に含まれる磁性体の濃度を測定する際には、先の第三例における具体的な一例と略同様な手順で、流体の磁性体の影響を、第一のLC発振回路1及び第二のLC発振回路2に与えて周波数の差(計測値データ)を求め、周波数の差(計測値データ)をゼロ点として認識すると共に、磁性体の影響を、第二のLC発振回路2のみに与えて第一LC発振回路との周波数の差(計測値データ)を記録し、第二のLC発振回路2のみに磁性体の影響を与えた際の周波数の差(計測データの差)と、ゼロ点との差を求め、対比データより磁性体の濃度に換算する。
このように第三例における具体的な他の例によれば、先の第三例における具体的な一例と略同様な作用効果を得ることができる。又、第一コイル5及び/又は第二コイル6に磁性体の影響を与え得るよう、屈曲配管96の回転によって流体の流路を切替可能に構成すると、第一のLC発振回路1及び第二のLC発振回路2を固定して計測し得るので、LC発振回路1,2においてノイズが生じることを防止することができる。
次に、第三例の磁性体濃度計測装置及びゼロ点補正方法であって具体的な更に他の例は、図22の如く、図15〜図17と略同様なデータの処理手段3を備えると共に、第一のLC発振回路101、第二のLC発振回路102、流体の流れる流路の構成を備えたものである。ここで、図22において図15〜図17と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
第三例の磁性体濃度計測装置及びゼロ点補正方法を具体的な別の例で説明すると、第一のLC発振回路101は、流体が流れる配管4の近傍又は配管4内に第一コイル103を配置し、回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。又、第二のLC発振回路102は、配管4の延在方向に沿うよう第一のLC発振回路101と略並列に配置されて、配管4の近傍又は配管4内に第二コイル104を配置すると共に、流体中の磁性体の影響を受けない位置、もしくは流体中の磁性体の影響が少ない位置に予備コイル105を配置し、第二コイル104及び予備コイル105をスイッチ106により選択可能にし、回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。
以下、本実施の形態の第三例における具体的な別の例の作用を説明する。
流体の磁性体の影響を、第一のLC発振回路101及び第二のLC発振回路102に与える際には、図22の如く、第一コイル103で周波数を発振させると共に、スイッチ106によって第二コイル104で周波数を発振させることにより、第一のLC発振回路101及び第二のLC発振回路102の両方に磁性体の影響を与えるようにする。一方、流体の磁性体の影響を、第一のLC発振回路101のみに与える際には、第一コイル103で周波数を発振させると共に、スイッチ106によって予備コイル105で周波数を発振させることにより、第一のLC発振回路101に磁性体の影響を与えると共に、第二のLC発振回路102に磁性体の影響を与えないようにする。なお、スイッチ106を切替えることにより、以下、同じ動作を繰返し、連続的に磁性体の濃度を求める。
流体中に含まれる磁性体の濃度を測定する際には、先の第三例における具体的な一例と略同様な手順で、流体の磁性体の影響を、第一のLC発振回路101及び第二のLC発振回路102に与えて周波数の差(計測値データ)を求め、周波数の差(計測値データ)をゼロ点として認識すると共に、磁性体の影響を、スイッチ106により第一のLC発振回路101のみに与えて第二LC発振回路との周波数の差(計測値データ)を記録し、第一のLC発振回路101のみに磁性体の影響を与えた際の周波数の差(計測データの差)と、ゼロ点との差を求め、対比データより磁性体の濃度に換算する。
このように第三例における具体的な別の例によれば、先の第三例における具体的な一例と略同様な作用効果を得ることができる。又、第一コイル103及び/又は第二コイル104に磁性体の影響を与え得るよう、スイッチ106の切替えによって第一コイル103及び/又は第二コイル104の回路動作を切替可能に構成すると、流路を固定して計測し得るので、大掛かりな装置の構成を不要にし、一層低コストにすることができる。
本発明の実施の形態の第四例である磁性体濃度計測装置及びゼロ点補正方法を説明する。図23は本発明の実施の形態の第四例においてゼロ点補償の他の例の処理を示すフロー、図24は本発明の実施の形態の第四例において流路とLC発振回路の構成の一例を示す概略図、図25は本発明の実施の形態の第四例において流路とLC発振回路の構成の他の例を示す概略図、図26は本発明の実施の形態の第四例において流路とLC発振回路の構成の更に他の例を示す概略図である。
第四例の磁性体濃度計測装置及びゼロ点補正方法は図23〜図26に示す如く具体的な例が3つあり、具体的な一例は、図23、図24の如く、第一のLC発振回路1と、第二のLC発振回路2と、図15〜図17と略同様なデータの処理手段3とを備えている。ここで、図23、図24において図15〜図17と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
第一のLC発振回路1は、流体が流れる配管110の近傍又は配管110内に第一コイル5を固定し、第一コイル5を含む回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。又、第二のLC発振回路2は、流体中の磁性体の影響を受けない位置、もしくは流体中の磁性体の影響が少ない位置に第二コイル6を固定し、第二コイル6を含む回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。
一方、流体の流れる配管110には、第一コイル5の近傍位置より上流側で開閉し得る第一開閉弁111と、第一コイル5の近傍位置より下流側で開閉し得る第二開閉弁112とを備えている。
ここで、第一のLC発振回路1と第二のLC発振回路2は、周波数が数〜数十%の範囲で互いに異なるように構成されてもよいし、同じになるように構成されてもよい。又、第一のLC発振回路1の回路構成及び第二のLC発振回路2の回路構成は、コレクタ形、ハートレー形、コルピッツ形等のどのような構成でもよいが、両者を同一の型にすることが好ましい。
このような第一のLC発振回路1と、第二のLC発振回路2は、
f:周波数
L:インダクタンス
C:キャパシタンス(コンデンサの静電容量)
の式により、夫々のコイルのインダクタンスLが変化することにより発振周波数fが変化している。なお、夫々のLC発振回路1,2は、周波数fとインピーダンスZは相関性はない。
一方、データの処理手段3は、図15に示すごとく、第一のLC発振回路1及び第二のLC発振回路2に接続されて両者の発振周波数の差(両者の発振波の共振現象によるうなりの周期)を求める前段の処理器7と、前段の処理器7に接続されて周波数を電圧信号に変換するF/Vコンバータ(周波数−電圧変換器)8と、F/Vコンバータ8に接続され且つ予め磁性体の濃度と電圧値の相関関係を示す対比データが入力された後段の処理器9と、後段の処理器9に接続されて画面表示し得る磁性体濃度表示器10とを備えている。又、データの処理手段3は、図16に示す如く、第一のLC発振回路1に接続されて周波数を電圧信号に変換する第一のF/Vコンバータ(周波数−電圧変換器)11と、第二のLC発振回路2に接続されて周波数を電圧信号に変換する第二のF/Vコンバータ(周波数−電圧変換器)12と、第一のF/Vコンバータ11及び第二のF/Vコンバータ12に接続されて両者の電圧値の差(計測データの差)を求める前段の処理器13と、前段の処理器13に接続され且つ予め磁性体の濃度と電圧値の相関関係を示す対比データが入力された後段の処理器14と、後段の処理器14に接続されて画面表示し得る磁性体濃度表示器10とを備えてよい。更に、データの処理手段3は、図17に示す如く、第一のLC発振回路1に接続されて周波数を数値に変換する第一のパルスカウンタ15と、第二のLC発振回路2に接続されて周波数を数値に変換する第二のパルスカウンタ16と、第一のパルスカウンタ15及び第二のパルスカウンタ16に接続されて両者の数値の差(計測データの差)を求める前段の処理器17と、前段の処理器17に接続され且つ予め磁性体の濃度と数値の相関関係を示す対比データが入力された後段の処理器18と、後段の処理器18に接続されて画面表示し得る磁性体濃度表示器10とを備えてもよい。なお、処理手段3の構成は、まとめて一つの機器で構成されてもよいし、バラバラで構成されてもよいし、所定の組み合わせで構成されてもよい。
以下、本実施の形態の第四例における具体的な一例の作用を説明する。
流体中に含まれる磁性体の濃度を測定する際には、計測開始(図23のステップS31;以下、各ステップは図23に示す)から、初めにゼロ点確認を行うか判断する(ステップS32)。ゼロ点の確認を行う際には次の処理(ステップS33)へ移行し、ゼロ点の確認を行わない際には、磁性体の濃度を求めるよう周波数の差を求める処理(ステップS37)へ移行する。ここで、ゼロ点の確認は所定時間ごとでも良いし、任意の時間を設定してもよい。
次に、第一開閉弁111を閉じると共に第二開閉弁112を開くことにより流体の磁性体の影響を、第一のLC発振回路1に与えないようにする(ステップS33)。この時、第一のLC発振回路1及び第二のLC発振回路2は、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱を含んだ発振周波数(発振波)を発振することにより、夫々の周波数を処理手段3の前段の処理器7に送り、第一のLC発振回路1の周波数と第二のLC発振回路2の周波数との差を計測し(ステップS34)、周波数の差(計測データの差)をゼロ点として認識し(ステップS35)、前段の処理器7で記録する(ステップS36)。ここで、周波数の差(計測データの差)は、ゼロ点にズレがない場合には一定の所定値になり、ゼロ点がズレた場合には一定の値から数値が増減している。
次に第一開閉弁111を開くと共に第二開閉弁112を閉じることにより、流体を、配管110の第一コイル5の近傍位置に導入し、流体の磁性体の影響を、第一コイル5を介して第一のLC発振回路1のみに与える(ステップS37)。この時、第一のLC発振回路1は、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱と共に磁性体の影響による信号を含んだ発振周波数(発振波)を発振し、同時に、第二のLC発振回路2は、磁気ノイズ、電磁波ノイズ、温度変化、電気的なノイズ等の外乱を含んだ発振周波数(発振波)を発振することにより、夫々の周波数を処理手段3の前段の処理器7に送り、第一のLC発振回路1の周波数と第二のLC発振回路2の周波数との差を計測し(ステップS38)、周波数の差(計測データの差)として認識し(ステップS39)、周波数の差(計測データの差)を前段の処理器7で記録する(ステップS40)。ここで、周波数の差(計測データの差)として認識した際(ステップS39)には、ステップS40へ進む一方で、ゼロ点の確認の処理(ステップS32)へ戻り、連続的に処理している。
続いて、第一のLC発振回路1のみに流体の磁性体の影響を与えた際の周波数の差(計測データの差)と、ステップS33〜S36で求めたゼロ点との差を求め、最終の計測値とする(ステップS41)。ここで、最終の計測値は、ズレを含むゼロ点を引くことにより、ゼロ点のズレをキャンセルしたものになる。なお、ゼロ点を求めたステップS33〜S36の処理は、ステップS37〜S40の処理と逆の順番にしてもよい。
次に、最終の計測値をF/Vコンバータ8等を介して、後段の処理器9で、磁性体の濃度と電圧値の相関関係を示す対比データと、電圧信号(電圧値の差)とを比較して磁性体の濃度に換算し(ステップS42)、磁性体濃度表示器10により、流体中の磁性体の濃度を示す。
このように第四例における具体的な一例によれば、先の第一例と略同様な作用効果を得ることができると共に、ゼロ点のズレを適宜解消し、磁性体の濃度計測を容易に行うことができる。又、ゼロ点を所望のタイミングで自動的に計測してゼロ点のズレを解消し得るので、毎回計測の開始に先立って、ゼロ点の校正を行う必要がなく、ゼロ点の補正を容易にすることができる。更に、第一コイル5及び/又は第二コイル6に磁性体の影響を与え得るよう、第一開閉弁111、第二開閉弁112によって流体の流路を開閉可能に構成すると、第一のLC発振回路1及び第二のLC発振回路2を固定して計測し得るので、LC発振回路1,2においてノイズが生じることを防止することができる。
又、第四例の実施の形態を実行することにより、ゼロ点の変化の補正した計測値が自動的に得られるため、操作、保守が容易になり、計測精度が向上し、結果的に、濃度が明らかなゼロ点用標準物質等の使用を不要にすることができる。
次に、第四例の磁性体濃度計測装置及びゼロ点補正方法であって具体的な他の例は、図25の如く、図15〜図17と略同様なデータの処理手段3を備えると共に、第一のLC発振回路1、第二のLC発振回路2、流体の流れる流路の構成を備えたものである。ここで、図25において図15〜図17と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
流体の流れる配管115は、中途位置にコの字型の屈曲配管116を備えており、屈曲配管116は、駆動手段(図示せず)により回転を適宜行うように構成されている。
一方、第一のLC発振回路1は、屈曲配管116を一方で停止させた際の屈曲配管116の近傍に第一コイル5を固定し、第一コイル5を含む回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。又、第二のLC発振回路2は、屈曲配管116の下流側に位置から流体中の磁性体の影響を受けない位置、もしくは流体中の磁性体の影響が少ない位置に第二コイル6を固定し、第二コイル6を含む回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。
以下、本実施の形態の第四例における具体的な他の例の作用を説明する。
流体の磁性体の影響を、第一のLC発振回路1及び第二のLC発振回路2に与えないようにする際には、図25の如く、屈曲配管116の回転により第一のLC発振回路1の近傍に移動させ(図25の左側で仮想線部分)、第一のLC発振回路1および第二のLC発振回路2に磁性体の影響を与えないようにする。一方、流体の磁性体の影響を、第一のLC発振回路1のみに与える際には、続けて屈曲配管116を180゜回転させ(図25の右側で実線部分)、第一のLC発振回路1に磁性体の影響を与えると共に、第二のLC発振回路2に磁性体の影響を与えないようにする。なお、屈曲配管116の回転は、以下、同じ動作を繰返し、連続的に磁性体の濃度を求める。
流体中に含まれる磁性体の濃度を測定する際には、先の第四例における具体的な一例と略同様な手順で、流体の磁性体の影響を、第一のLC発振回路1及び第二のLC発振回路2に与えないことにより周波数の差(計測値データ)をゼロ点として認識すると共に、磁性体の影響を、第一のLC発振回路1のみに与えて第一LC発振回路との周波数の差(計測値データ)を記録し、第一のLC発振回路1のみに磁性体の影響を与えた際の周波数の差(計測データの差)と、ゼロ点との差を計測し、対比データより磁性体の濃度に換算する。
このように第四例における具体的な他の例によれば、先の第四例における具体的な一例と略同様な作用効果を得ることができる。又、第一コイル5に磁性体の影響を与え得るよう、屈曲配管116の回転によって流体の流路を切替可能に構成すると、第一のLC発振回路1及び第二のLC発振回路2を固定して計測し得るので、LC発振回路1,2においてノイズが生じることを防止することができる。
次に、第四例の磁性体濃度計測装置及びゼロ点補正方法であって具体的な更に他の例は、図26の如く、図15〜図17と略同様なデータの処理手段3を備えると共に、第一のLC発振回路121、第二のLC発振回路122、流体の流れる流路の構成を備えたものである。ここで、図26において図15〜図17と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
第四例の磁性体濃度計測装置及びゼロ点補正方法を具体的な更に他の例で説明すると、第一のLC発振回路121は、流体が流れる配管4の近傍又は配管4内に第一コイル123を配置すると共に、流体中の磁性体の影響を受けない位置、もしくは流体中の磁性体の影響が少ない位置に予備コイル124を配置し、第一コイル123及び予備コイル124をスイッチ125により選択可能し、回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。又、第二のLC発振回路122は、配管4から流体中の磁性体の影響を受けない位置、もしくは流体中の磁性体の影響が少ない位置に第二コイル126を配置し、回路構成により所定の発振周波数(発振波)を発振するように構成されている。
以下、本実施の形態の第四例における具体的な更に他の例の作用を説明する。
流体の磁性体の影響を、第一のLC発振回路121及び第二のLC発振回路122に与えないようにする際には、図26の如く、スイッチ125によって予備コイル124で周波数を発振させることにより、第一のLC発振回路121及び第二のLC発振回路122に磁性体の影響を与えないようにする。一方、流体の磁性体の影響を、第一のLC発振回路121のみに与える際には、スイッチ125によって第一コイル123で周波数を発振させることにより、第一のLC発振回路121に磁性体の影響を与えると共に、第二のLC発振回路122に磁性体の影響を与えないようにする。なお、スイッチ125を切替えることにより、以下、同じ動作を繰返し、連続的に磁性体の濃度を求める。
流体中に含まれる磁性体の濃度を測定する際には、先の第四例における具体的な一例と略同様な手順で、流体の磁性体の影響を、第一のLC発振回路121及び第二のLC発振回路122に与えないことにより周波数の差(計測値データ)をゼロ点として認識すると共に、磁性体の影響を、スイッチ125により第一コイル123を介して第一のLC発振回路121のみに与えて第二LC発振回路との周波数の差(計測値データ)を記録し、第一のLC発振回路121のみに磁性体の影響を与えた際に周波数の差(計測データの差)と、ゼロ点との差を計測し、対比データより磁性体の濃度に換算する。
このように第四例における具体的な更に他の例によれば、先の第四例における具体的な一例と略同様な作用効果を得ることができる。又、第一コイル123のみに磁性体の影響を与え得るよう、スイッチ125の切替えによって第一コイル123及び予備コイル124の回路動作を切替可能に構成すると、流路を固定して計測し得るので、大掛かりな装置の構成を不要にし、一層低コストにすることができる。
なお、本発明の磁性体濃度計測装置、検出感度向上方法、ゼロ点補償方法及びゼロ点補正方法は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、流体は油を想定しているが、他の水溶液、水、ガス等でもよいこと、LC発振回路による周波数を用いて磁性体の濃度を補正し得るならば、どのような機器の組み合わせでもよいこと、データの差を算出する処理を他の方法に置き換えても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。