JP2005274273A - インク濃度の測定方法 - Google Patents

Abstract

【課題】これから使用しようとする水性顔料インクのインク濃度を簡単に、かつリアルタイムに測定する。
【解決手段】インク濃度が異なる複数の水性顔料インクのそれぞれの所定距離間での超音波の伝播速度を測定してこれを照合値としておき、インク濃度が未知の水性顔料インクを上記照合値の測定と同一条件でこれの超音波の伝播速度を測定し、この測定値を上記照合値と照合することによりインク濃度を判定するようにした。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェットプリンタに用いられるインクで、特に水性顔料を用いたインクの濃度を測定する方法に関するものである。

従来のインク濃度の測定方法としては、実際にインクを用いた印刷物を使用し、その印刷物のインク濃度を色彩計等を用いて測定していた（例えば、特許文献１参照）。また簡易的な方法として、実際に使用するインクのサンプルより希釈液を蒸発させて残った顔料の量を測定してインクの濃度を測定する方法がある。

また、液体トナーの濃度を測定するための方法として超音波を用いたものがある（例えば、特許文献２参照）。これは、液体トナー中を超音波が伝播する間にこれの減衰率を測定し、その値によりトナー濃度を検出するようにしたものである。

特開２００３−３４１０３０号公報 特開２００１−１４２３０６号公報

上記したインク濃度の測定方法の特許文献１に示された方法では、これの測定に非常に長い時間を必要としており、また測定精度が得られないという問題があった。

また、特許文献２に示された方法にて水性顔料インクの濃度測定をしたところ顔料の濃度の差が超音波の減衰率に表れず、この方法では水性顔料インクの濃度を測定することができなかった。

これは、水性顔料インクの顔料粒子はトナー粒子より小さく、この顔料中に超音波が伝搬してもこれが減衰しないことによるものと思われる。

水性顔料インクは、顔料の濃度により顔料粒子の密度（濃度）が異なるため、この中に超音波を伝播させたときに、この超音波の伝播速度が異なり、濃度が高いほど伝播速度が速くなる。

本発明はこの性質を利用したもので、インク濃度が異なる複数の水性顔料インクのそれぞれの所定距離間での超音波の伝播速度を測定してこれを照合値としておき、インク濃度が未知の水性顔料インクを上記照合値の測定と同一条件でこれの超音波の伝播速度を測定し、この測定値を上記照合値と照合することによりインク濃度を判定するようにした。

本発明によれば、これから使用しようとする水性顔料インクのインク濃度を、簡単に、かつリアルタイムに測定することができる。そしてこのインク濃度の測定を、インクを紙等の媒体に付着させることなく行うことができることにより、紙等の媒体に影響されることなく高精度にインク濃度を測定することができる。

図１は本発明方法を実施する装置を概略的に示すもので、図中１は水性顔料インク（以下これを単にインクという）２を入れるインク容器で、この中に超音波送信器３と超音波受信器４とを所定の距離、例えば１００ｍｍ離隔して対向配置してある。

そして上記インク容器１内に濃度測定しようとするインク２を入れる。次いで、超音波送信器３から２０ＭＨｚの周波数を送信し、インク２中において、これの超音波受信器４に到達するまでの時間△ｔを超音波受信器４にて測定する。この到達時間△ｔはインク２の濃度、すなわち溶媒に対する顔料の含有量（ｗｔ％）により異なり、この測定された到達時間△ｔを、あらかじめ同じ条件で測定してある複数の異なる濃度の複数のインクの測定値を示した表中の各濃度のインクと比較する。そしてこれに該当するインクの濃度がインク容器１内に入れたインクの濃度となる。

水性顔料インクの成分は、インクジェットインクの例として表１に示したものがある。

表２に上記成分のインクでのそれぞれ異なる各インク濃度における超音波の伝播時間（ｕｓｅｃ）と、これを電圧に換算した測定電圧（Ｖ）を示す。この各値の測定は図１に示した装置にて行ったものである。

表中の測定回数１〜１４は、インク濃度１２０％の４００ｇのインクに１０ｇずつ希釈液（溶媒）を入れて薄めていき、このときの各数値を測定したものである。

なお、インク濃度％の表示はメーカー呼称で、インク濃度１００％のインク中の顔料の重量比が５ｗｔ％である。表２中の各インク濃度％における顔料の量（ｇ）はこれに基づいて示した。またこのときのインクはシアンインクを用いた。

なお上記した各インク濃度における超音波の伝播時間は、超音波送信器３から送信したパルスが超音波受信器４に到達するまでのパルス数によって計算される。

例えば、インク量が４８０ｇ、顔料が２４ｇのインク濃度１００％のインクの場合、上記送信側から受信側に至る２０ＭＨｚのパルス数が５１Ｄｈ（１３０９パルス）カウントであり、このときの基準時間Ａは２０ＭＨｚの超音波の１パルスの時間が０．０５ｕｓｅｃであるから、
Ａ＝０．０５×１３０９＝６５．４５ｕｓｅｃ
となる。同様にインク濃度が異なるインク毎に上記パルス数が異なり、この各パルス数からそれぞれのインク濃度における伝播時間が計算される。

次に、上記超音波の伝播時間を電圧に変換する場合を説明する。
（イ）出力電圧基準を５Ｖに設定する。
（ロ）出力電圧変化量はパルス１個だけカウントが異なったときの電圧変化を０．１０２Ｖとする。
（ハ）ここでインク濃度を１０％増加する方に変えて１１０％としたときに出力電圧が１Ｖして６Ｖとなったとすると、カウント換算では、
１．００Ｖ／０．１０２Ｖ＝１０カウント
１０カウント×０．０５ｕｓｅｃ＝０．５ｕｓｅｃ
で、インク濃度が１００％のときの伝播時間である６５．４５ｕｓｅｃに対して１１０％のインク濃度の伝播時間は０．５ｕｓｅｃ減少して６４．９５ｕｓｅｃとなる。逆にインク濃度が１０％減少して９０％にしたときには、比例的に４Ｖとなり、時間換算でも０．５ｕｓｅｃ増加して６５．４５ｕｓｅｃ→６５．９５ｕｓｅｃとなる。

以上のことから、インク濃度１００％時の出力電力５Ｖを基準としたときに、インク濃度を±１０％変化させた場合、インク濃度で９０％から１１０％の変化で電圧は４Ｖから６Ｖに変化し、時間で６５．９５ｕｓｅｃ（９０％）、６５．４５ｕｓｅｃ（１００％）、６４．９５ｕｓｅｃ（１１０％）という比例関係があることがわかる（表２参照）。

よって、水性顔料インクにおいては、超音波の伝播時間（または電圧変化）を知ることにより、インク濃度を測定することが可能である。

なお、上記のことにおいて超音波の伝播時間はパルス測定器にて行い、またパルス数の変化に応じた電圧の出力はパルス−電圧変化装置で行われ、これらに表示される数字を読むことにより、各インク濃度が異なるインクの伝播時間あるいは測定電圧を知ることができる。

表２における各インク濃度における超音波の伝播時間を図２に、測定出力電圧を図３にそれぞれ示す。

上記方法において、図１に示したインク容器１内にインク濃度が未知のインクを入れてこれの濃度測定を行う。そしてこの測定結果、すなわち超音波伝播速度が例えば６５．１０ｕｓｅｃであった場合、この値を表２と照合することにより、このインクの濃度は１０７％であることを知ることができる。

また、このとき上記測定結果が、上記超音波伝播速度を電圧で表示する測定機器を用いた場合の測定結果は５．６８Ｖであり、これから濃度が１０７％であることを知ることができる。

さらに、上記測定結果の照合は、表２によることなく、この表２の数値をグラフに示した図２、図３を用いてインク濃度を知るようにしてもよい。

なお、インクジェット記録装置に用いる水性顔料インクの成分、機能はメーカーによって、あるいはその他の理由により、個々に多少異なることがある。このため、表２に示す照合表は上記個々のインク毎に作成しておき、濃度測定した測定値は、この濃度測定に用いたものと同一のインク照合表を用いる。

また、図１にて示した装置では、超音波送信器３と超音波受信器４とを１００ｍｍ離隔して対向配置した構成にしたが、超音波送信器と超音波受信器とを同一の位置に配置すると共に、これらから５０ｍｍの位置に反射板を配置し、送信器からの超音波を反射板にて反射させ、これを受信器にて受信するようにしてもよい。

本発明方法を実施するための装置の一例を示す概略的な説明図である。 インク濃度が異なる水性顔料インクのそれぞれの超音波伝播時間を示すグラフである。 インク濃度が異なる水性顔料インクのそれぞれの超音波伝播時間を電圧にて示したグラフである。

符号の説明

１…インク容器、２…水性顔料インク、３…超音波送信器、４…超音波受信器。

Claims (1)

1. インク濃度が異なる複数の水性顔料インクのそれぞれの所定距離間での超音波の伝播速度を測定してこれを照合値としておき、
   インク濃度が未知の水性顔料インクを上記照合値の測定と同一条件でこれの超音波の伝播速度を測定し、この測定値を上記照合値と照合することによりインク濃度を判定するようにしたことを特徴とするインク濃度の測定方法。
   
   

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