JP2005272902A - オルガノポリシロキサン膜の除去方法および成膜装置 - Google Patents

オルガノポリシロキサン膜の除去方法および成膜装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、基材に付着したオルガノポリシロキサン膜を、効率よく除去することができるオルガノポリシロキサン膜の除去方法および成膜装置を提供すること。
【解決手段】本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法は、基材に付着したオルガノポリシロキサン膜2’を、プラズマエッチングによって除去するオルガノポリシロキサン膜の除去方法であって、オルガノポリシロキサン膜2’のSi−C結合の少なくとも一部を切断し、Si−O結合を形成する酸化工程と、基材が接触する雰囲気に、クリーニングガスを供給し、プラズマを発生させることによって、酸化された前記オルガノポリシロキサン膜2’をエッチングするエッチング工程とを有する。オルガノポリシロキサン膜を酸化するための処理としては、酸素プラズマ処理等が挙げられる。また、クリーニングガスとしては、フッ素系ガス等が用いられる。
【選択図】図2

Description

本発明は、オルガノポリシロキサン膜の除去方法および成膜装置に関するものである。
チャンバ内で、膜材料または膜材料の前駆体を微粒子化し、この微粒子を母材上に飛来、堆積させることによって膜を形成する成膜装置においては、膜を形成すべき母材表面のみならずチャンバの内壁面等にも不要な膜が形成される。このような膜を放置したままにすると、装置の性能の低下や故障の原因となるため、一般に、メンテナンスとして、この不要な膜を除去するためのクリーニングが行われている。
このクリーニングは、チャンバ内に、CF、C等のフッ素系ガス(クリーニングガス)を供給し、プラズマを形成することによって行うのが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。フッ素系ガスのプラズマ中では、フッ素イオン、フッ素ラジカル等の活性種が存在し、これら活性種のエッチング作用によってチャンバの内壁面等の基材に付着した膜が除去される。例えば、除去しようとする膜がSiO膜の場合には、これら活性種によってSi−O−Si結合が切断され、生成したSiF、O等が気体となって放出される。
ところで、各種母材の撥液性や潤滑性等を制御する膜として、オルガノポリシロキサン膜が知られている。このオルガノポリシロキサン膜は、オルガノシロキサンをプラズマ重合することによって成膜される高分子(有機ポリシロキサン)の膜であり、オルガノシロキサンが有する有機基の構造を制御することで、基材に所望の表面性を付与することができる。
しかしながら、オルガノポリシロキサン膜の成膜を行った成膜装置を、フッ素系ガスのプラズマによってクリーニングしようとすると、以下のような理由から成膜装置に付着したオルガノポリシロキサン膜を効率よく除去することができない。
すなわち、オルガノポリシロキサン膜が付着したチャンバ内にフッ素系ガスを供給し、プラズマを形成すると、プラズマ中に発生したフッ素イオンまたはフッ素ラジカルの一部が、オルガノポリシロキサン膜が有する有機基の水素と反応してしまうため、Si−O−Si結合の切断に寄与する活性種が少なくなり、オルガノポリシロキサン膜のエッチングを効率よく行うことができない。
このため、オルガノポリシロキサン膜が付着した成膜装置をクリーニングする場合には、フッ素系ガスの供給量を多めにしたり、プラズマ発生のための電力を高めに設定しなければならず、クリーニングに要するコストが高くなるといった問題がある。
また、フッ素ラジカルが有機基の水素と反応し消費されてしまうと、その分、CF、CF、CF等のラジカル量が増加する。これらラジカル同士が結合したフッ素系ポリマーがオルガノポリシロキサン膜に被着し、オルガノポリシロキサン膜のエッチングに対する耐性を増加させる。これによって、さらに、オルガノポリシロキサン膜のエッチングの効率が低くなる。
特開平9−232299号公報
本発明の目的は、基材に付着したオルガノポリシロキサン膜を、効率よく除去することができるオルガノポリシロキサン膜の除去方法およびメンテナンスが容易な成膜装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成させる。
本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法は、基材上に形成されたオルガノポリシロキサン膜を、プラズマエッチングによって除去するオルガノポリシロキサン膜の除去方法であって、
前記オルガノポリシロキサン膜のSi−C結合の少なくとも一部を切断し、Si−O結合を形成する酸化工程と、
クリーニングガス雰囲気中で、プラズマを発生させることによって、Si−O結合を形成した前記オルガノポリシロキサン膜をエッチングするエッチング工程とを有することを特徴とする。
これにより、基材上に形成されたオルガノポリシロキサン膜を、効率よく除去することができる。
本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法では、前記酸化工程は、酸素を含む雰囲気中においてプラズマを発生させることにより行うことが好ましい。
これにより、オルガノポリシロキサン膜に対して、より確実に酸化処理を施すことができ、エッチング工程における膜のエッチング効率を十分に向上させることができる。
本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法では、前記酸化工程は、紫外線を照射することにより行うことが好ましい。
これにより、オルガノポリシロキサン膜に対して、より確実に酸化処理を施すことができ、エッチング工程における膜のエッチング効率を十分に向上させることができる。
本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法では、前記クリーニングガスは、フッ素系ガスであることが好ましい。
フッ素系ガスのプラズマ中に生成されるフッ素イオン、フッ素ラジカル等の活性種は、極めて活性が高いため、酸化されたオルガノポリシロキサン膜を効率よく除去することができる。
本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法では、前記酸化工程において、酸素を100〜1000sccmで供給することが好ましい。
これにより、より確実に真空チャンバ内に酸素プラズマを発生させることができる。
本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法では、前記酸化工程において、プラズマを発生させるための電力は、100〜1000Wであることが好ましい。
これにより、効率よく真空チャンバ内に酸素プラズマを発生させることができる。
本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法では、前記エッチング工程において、クリーニングガスを100〜1000sccmで供給することが好ましい。
これにより、より確実に酸化されたオルガノポリシロキサン膜を除去することができる。
本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法では、前記エッチング工程において、プラズマを発生させるための電力は、100〜1000Wであることが好ましい。
これにより、クリーニングガスのプラズマをより確実に発生させることができる。
本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法では、母材上にオルガノポリシロキサン膜を成膜する成膜装置に適用される方法であって、
前記基材は、前記母材以外の前記成膜装置を構成する部位の少なくとも一部であることが好ましい。
本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法は、オルガノポリシロキサン膜を成膜する成膜装置に好適に適用することができる。
本発明の成膜装置は、母材上にオルガノポリシロキサン膜を形成するための成膜装置であって、
前記成膜装置内の前記母材以外の部位に形成されたオルガノポリシロキサン膜のSi−C結合の少なくとも一部を切断し、Si−O結合を形成し、
クリーニングガス雰囲気中で、プラズマを発生させることによって、Si−O結合を形成した前記オルガノポリシロキサン膜をエッチングする、オルガノポリシロキサン膜の除去手段を備えることを特徴とする。
これにより、メンテナンスの容易な成膜装置を提供することができる。
以下、本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法は、基材上に付着したオルガノポリシロキサン膜をプラズマエッチングによって除去する方法である。
オルガノポリシロキサン膜は、一般式RSiO−(RSiO)−SiR(但し、Rは有機基であり、R同士は互いに同じであっても、異なっていてもよい。また、nは整数である。)で表される高分子(有機ポリシロキサン)を主とする膜である。このオルガノポリシロキサン膜において、有機基は特に限定されず、例えばメチル基、フェニル基等が挙げられる。
オルガノポリシロキサン膜の除去が行われる基材は、特に限定されず、例えば、オルガノポリシロキサン膜が汚染物として付着した各種機器等が挙げられる。具体的には、後述するような成膜装置を構成する部位の少なくとも一部、例えば、チャンバの内壁面、電極表面、各種配管の内壁面等や、オルガノポリシロキサン膜の成型に用いられる金型等が挙げられる。なお、以下の説明では、本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法を、成膜装置の内部に不本意に形成されたオルガノポリシロキサン膜を除去する場合を例にして説明する。
<成膜装置の構成>
まず、本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去が適用される成膜装置について説明する。
図1は、オルガノポリシロキサン膜を成膜する成膜装置を模式的に表した縦断面図、図2は、本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法を説明するための模式図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上部」、下側を「下部」と言う。
図1に示す成膜装置は、チャンバ内に原料ガスを供給し、プラズマを形成することによって、原料ガスのプラズマ重合膜(オルガノポリシロキサン膜)を被処理基板(母材)上に形成するための成膜装置である。
この成膜装置10は、図1に示すように、真空チャンバ12と、真空チャンバ12内に設けられた電極13と、ステージ14とを有している。
また、真空チャンバ12には、その内部の気体を排出する真空ポンプ11が接続されている。
電極13は、真空チャンバ12の上部に絶縁体121を介して取り付けられ、真空チャンバ12の外部に配設された高周波電源15に接続されている。
ステージ14は、被処理基板(母材)1が載置されるものであり、真空チャンバ12の下部に、電極13と対向するように配設されている。また、このステージ14は、被処理基板1の温度を調整する機能を有している。
また、真空チャンバ12には、ガス供給管16、原料供給管17およびクリーニングガス供給管40が接続されている。
ガス供給管16には、ガス供給源18が接続されている。
ガス供給源18は、真空チャンバ12に、例えば、アルゴンガス、ネオンガス、窒素ガス等のプラズマを発生させるのに用いるガスを供給する機能を有している。また、ガス供給源18は、後述する酸化工程において、オルガノポリシロキサン膜を酸化するのに用いるガス(例えば、酸素を含むガス等)を供給する機能も有している。
また、ガス供給管16には、流量制御弁161が設けられており、流量制御弁161の開閉操作によって、ガス供給源18から真空チャンバ12へ供給されるガスの流量が調整される。
原料供給管17には、オルガノポリシロキサン膜2の原料を収納する原料容器19が接続されている。この原料容器19の下部にはヒータ20が設置され、原料容器19内の原料30を気化し得るよう構成されている。
原料容器19内で気化した原料ガスは、真空チャンバ12の負圧により吸引され、原料供給管17を通って真空チャンバ12に供給される。
原料供給管17には、流量制御弁171が設けられており、流量制御弁171の開閉操作によって、真空チャンバ12へ供給される原料ガスの流量が調節される。
クリーニングガス供給管40には、クリーニングガス供給源50が接続されている。
クリーニングガス供給源50は、真空チャンバ12に、後に詳述するクリーニングガスを供給する機能を有している。
また、クリーニングガス供給管40には、流量制御弁401が設けられており、流量制御弁401の開閉操作によって、真空チャンバ12へ供給されるクリーニングガスの流量が調整される。
上述したような成膜装置10によるオルガノポリシロキサン膜の成膜は、例えば、以下のようにして行われる。
まず、オルガノポリシロキサン膜の原料となるオルガノシロキサンを用意する。
オルガノシロキサンとしては、特に限定されず、例えば、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタンシロキサン、オクラメチルシクロテトラシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ヘキサフェニルジシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等が挙げられる。
次に、オルガノポリシロキサン膜を形成すべき被処理基板1を用意し、真空チャンバ12内のステージ14上に配置する。配置された被処理基板1は、ステージ14の温度調整機構により、30℃以上の温度に保たれる。これにより、被処理基板1上における、原料の重合を促進することができる。
また、前述したようなオルガノシロキサンを原料容器19内に収納する。収納されたオルガノシロキサンは、ヒータ20により加熱され気化し、オルガノシロキサン蒸気(原料ガス)となる。
次に、ポンプ11を作動させることにより、真空チャンバ12内を減圧する。
次に、流量制御弁161を開き、ガス供給源18より、アルゴンガスを真空チャンバ12内に供給する。
また、流量制御弁171を開き、原料容器19より、気化した原料ガスを真空チャンバ12内に供給する。
アルゴンガスの供給量は、10〜100sccmであるのが好ましく、10〜50sccmであるのがより好ましい。
また、原料ガスの供給量は、1〜10sccmであるのが好ましく、1〜5sccmであるのがより好ましい。
アルゴンガスおよび原料ガスを供給した真空チャンバ12内の圧力は、0.02〜0.03Paとなっているのが好ましく、0.02〜0.025Paとなっているのがより好ましい。これにより、より好適にオルガノポリシロキサン膜を成膜することができる。
次に、高周波電源15よって電力を電極13に印加する。これにより、真空チャンバ12内にアルゴンプラズマが発生する。
電極13に印加する電力は、100〜500W程度とするのが好ましく、200〜400W程度とするのがより好ましい。
真空チャンバ12内に供給された原料ガスは、発生したアルゴンプラズマによって結合の弱い部分が切断され、被処理基板1の表面近傍で重合反応を生じる。そして、この重合反応によって生じた生成物が被処理基板1の表面に結合することによって、プラズマ重合膜(オルガノポリシロキサン膜)2が成膜される。
ところで、以上のような成膜装置10では、被処理基板1の表面のみならず、例えば、真空チャンバ12の内壁面、電極13表面、各種配管16、17、40の内壁面等の装置を構成する部位の少なくとも一部、すなわち、原料ガスが接触し得る部位(基材)にも、オルガノポリシロキサン膜2’が形成される。
従来より、このように成膜装置の内部に不本意に形成された膜(例えば、シリコーン膜等)を除去する方法として、フッ素系ガスを供給し、プラズマを発生させて膜を除去(エッチング)することが行われている。しかし、従来の方法を用いてオルガノポリシロキサン膜を除去しようとすると、オルガノポリシロキサン膜の有する有機基の水素と、プラズマ中に発生したフッ素イオンまたはフッ素ラジカルの一部とが反応し、Si−O−Si結合の切断に寄与する活性種が少なくなり、オルガノポリシロキサン膜のエッチングを効率よく行うことが困難であった。
さらに、残ったCF、CF、CF等のラジカル同士が結合して、オルガノポリシロキサン膜の表面にフッ素系ポリマーの膜が形成されてしまい、エッチングに対する耐性が増加し、オルガノポリシロキサン膜のエッチングの効率の低下がより顕著になるという問題があった。
そこで、本発明者は、オルガノポリシロキサン膜のSi−C結合の少なくとも一部を切断し、Si−O結合を形成して、有機基の一部を除去(酸化)した後に、エッチングを施すことで、オルガノポリシロキサン膜を効果的に除去できることを見出した。
このような不本意に形成されたオルガノポリシロキサン膜2’は、例えば、以下のようにして除去することができる。
本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法は、[1]オルガノポリシロキサン膜の酸化工程と、[2]酸化されたオルガノポリシロキサン膜のエッチング工程とを有している。以下、これらの各工程について、順次説明する。
[1]オルガノポリシロキサン膜の酸化工程(酸化処理)
オルガノポリシロキサン膜のSi−C結合を切断し、Si−O結合を形成する方法(酸化処理方法)としては、特に限定されず、例えば、酸素を含む雰囲気中において酸素プラズマを発生させることにより行う方法、酸素を含む雰囲気中において紫外線を照射することにより行う方法等が挙げられる。
以下の説明では、代表的に、酸素を含む雰囲気中において酸素プラズマを発生させることにより、オルガノポリシロキサン膜に酸化処理を施す場合について説明する。
まず、ポンプ11を作動させ、真空チャンバ12内を減圧する。
次に、流量制御弁161を開け、ガス供給源18より、酸素を真空チャンバ12内に供給し、真空チャンバ12内を一定の圧力に保持する。このときの真空チャンバ12内の圧力は、0.01〜0.02Pa程度であるのが好ましく、0.01〜0.015Pa程度であるのがより好ましい。これにより、より確実に真空チャンバ12内に酸素プラズマを発生させることができる。
次に、高周波電源15によって電力を電極13に印加する。これにより、真空チャンバ12内に酸素プラズマが発生する。
このプラズマにより、図2に示すようにオルガノポリシロキサン膜2’のSiと有機基の結合、すなわち、Si−C結合が切断され、Si−Oが形成される(酸化処理)。
酸素の供給量は、真空チャンバ12の大きさによっても異なるが、例えば、100〜1000sccmであるのが好ましく、200〜500sccmであるのがより好ましい。これにより、より確実に真空チャンバ12内に酸素プラズマを発生させることができる。これに対して、酸素ガスの供給量が少なすぎると、酸素ガス中に含まれる酸素の量等によっては、オルガノポリシロキサン膜2’が十分に酸化されず、後述するエッチング工程における膜のエッチング効率を十分に向上させるのが困難となる場合がある。ま一方、酸素ガスの供給量が多すぎると、酸素ガス中に含まれる酸素の量等によっては、供給量に見合うだけの効果が十分に得られない場合がある。
また、酸化工程における電極13に印加する電力は、100〜1000Wであるのが好ましく、200〜800Wであるのがより好ましい。これにより、効率よく真空チャンバ12内に酸素プラズマを発生させることができる。これに対して、電極13に印加する電力が小さすぎると、酸素ガス中に含まれる酸素の量等によっては、酸素プラズマを十分に発生させることができない場合があり、オルガノポリシロキサン膜2’を十分に酸化するのが困難となる場合がある。一方、電極13に印加する電力が大きすぎると、酸素ガス中に含まれる酸素の量等によっては、印加した電力に見合うだけの酸素プラズマを十分に発生させるのが困難となる場合がある。
酸化処理を施す時間は、1〜5分程度であるのが好ましく、2〜4分程度であるのがより好ましい。これにより、より確実にオルガノポリシロキサン膜2’に対し前述したような酸化処理を施すことができる。これに対し、処理時間が前記下限値未満であると、酸素ガス中に含まれる酸素の量等によっては、オルガノポリシロキサン膜2’が十分に酸化されず、後述するエッチング工程における膜のエッチング効率を十分に向上させるのが困難となる場合がある。一方、処理時間が前記上限値を超えると、酸素ガス中に含まれる酸素の量等によっては、処理時間に見合うだけの効果が十分に得られない場合がある。
酸化処理を施した後、電極13に印加している電力をゼロにする。
以上説明したような酸化処理は、酸素を含む雰囲気中において紫外線を照射することによっても施すことができる。これにより、前述と同様の効果が得られる。
酸化処理に用いる紫外線は、特に限定されないが、波長が150〜250nm程度のものを用いるのが好ましい。これにより、効率よくオルガノポリシロキサン膜2’に対し酸化処理を施すことができる。
酸化処理を紫外線照射によって施す場合、紫外線の照射量は、1〜30Mradであるのが好ましく、5〜15Mradであるのがより好ましい。これにより、オルガノポリシロキサン膜2’に対しより確実に酸化処理を施すことができる。これに対して、紫外線の照射量が少なすぎると、雰囲気中の酸素の量によっては、オルガノポリシロキサン膜2’が十分に酸化されず、後述するエッチング工程における膜のエッチング効率を十分に向上させるのが困難となる場合がある。一方、紫外線の照射量が多すぎると、照射量に見合うだけの効果が十分に得られない場合がある。
また、紫外線の照射時間は、1〜5分程度であるのが好ましく、2〜4分程度であるのがより好ましい。これにより、オルガノポリシロキサン膜2’に対しより確実に酸化処理を施すことができる。
なお、このような紫外線を照射する紫外線照射部材は、前述した成膜装置内に予め、設置されているものであってもよいし、酸化する際に装置内に設置するものであってもよい。
前述したプラズマを用いた方法、紫外線を用いた方法は、どちらか一方の方法を用いて、酸化処理を施してもよいし、両方の方法を組み合わせて酸化処理を施してもよい。両方の方法を組み合わせて酸化処理を施した場合、その相乗効果により、より短時間で、かつ、より確実にオルガノポリシロキサン膜2’に対して酸化処理を施すことができる。
[2] 酸化されたオルガノポリシロキサン膜のエッチング工程(エッチング処理)
次に、以上のようにして酸化されたオルガノポリシロキサン膜2’を、プラズマエッチングによって除去する。
まず、ポンプ11を作動させ、前記酸化工程で残存する酸素等を排気し、真空チャンバ12内を減圧する。
次に、流量制御弁401を開け、クリーニングガスを真空チャンバ12内に供給する。
次に、高周波電源15によって電力を電極13に印加する。これにより、真空チャンバ12内にクリーニングガスのプラズマが形成される。そして、プラズマ中に存在するイオン、ラジカル等の活性種によって、オルガノポリシロキサン膜2’のSi−O−Si結合が切断され、さらにイオン、ラジカル等と反応することで生成された化合物(例えば、SiF等)やO等が気体となって排出され、酸化されたオルガノポリシロキサン膜2’が除去される。
このようなクリーニングガスとしては、フッ素系ガスを用いるのが好ましい。フッ素系ガスとしては、例えば、CF、C、C等のパーフロロカーボン類、SF、NF等が挙げられる。これらフッ素系ガスのプラズマ中に生成されるフッ素イオン、フッ素ラジカル等の活性種は、極めて活性が高いため、酸化されたオルガノポリシロキサン膜2’を効率よく除去することができる。なお、これらのクリーニングガスは、1種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法では、クリーニングガスのプラズマ処理の前に、オルガノポリシロキサン膜の少なくとも一部を酸化(SiO化)しているので、イオンまたはラジカル等の活性種が、例えば、オルガノポリシロキサン膜の有機基の水素と反応してしまうのを効果的に抑制することができる。したがって、プラズマ中に、十分量の活性種を保持することができる。また、例えばクリーニングガスがパーフロロカーボン類の場合には、フッ素イオンまたはフッ素ラジカルが十分量保持されることによって、CF、CF、CFのラジカル量の増加が抑えられる。したがって、オルガノポリシロキサン膜2’上にこれらラジカルが結合したフッ素系ポリマーが形成されるのが防止され、オルガノポリシロキサン膜の表面が十分にプラズマ雰囲気に露出される。したがって、Si−O−Si結合が効率よく切断され、オルガノポリシロキサン膜を確実に除去することができる。
エッチング工程における、クリーニングガスの供給量は、100〜1000sccmであるのが好ましく、200〜500sccmであるのがより好ましい。これにより、より確実に酸化されたオルガノポリシロキサン膜2’を除去することができる。
また、エッチング工程における、クリーニングガスを供給した真空チャンバ12内の圧力は、0.01〜0.03Paとなっているのが好ましく、0.015〜0.02Paとなっているのがより好ましい。これにより、より好適に酸化されたオルガノポリシロキサン膜を除去することができる。
また、エッチング工程における、電極13に印加する電力は、100〜1000Wであるのが好ましく、200〜800Wであるのがより好ましい。これにより、クリーニングガスのプラズマをより確実に発生させることができる。
また、上記エッチング処理を施す時間は、1〜5分程度であるのが好ましく、2〜4分程度であるのがより好ましい。これにより、より確実に酸化されたオルガノポリシロキサン膜2’を除去することができる。
以上説明したように、本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法では、オルガノポリシロキサン膜を酸化した後、クリーニングガスのプラズマによって酸化されたオルガノポリシロキサン膜をエッチングし、除去するので、オルガノポリシロキサン膜が有する有機基の水素と反応することによる活性種の損失が抑えられ、膜を効率よく除去することができる。したがって、クリーニングガスの使用量、電極に印加する電力量を小さく抑えながら、オルガノポリシロキサン膜を確実に除去することができる。これにより、成膜装置10のメンテナンスがより容易なものとなる。
以上、本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法および成膜装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法は、前述したような工程に、必要に応じて、1または2以上の任意の目的の工程を追加することもできる。
また、本発明の成膜装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、前述した実施形態では、本発明の成膜装置として、プラズマ重合装置に適用した場合について説明したが、これに限定されず、例えば、スパッタリング装置、イオンプレーティング装置、化学的気相成膜装置等の気相成膜装置等に適用することができる。
また、前述した実施形態では、本発明の装置を気相成膜法に適用した場合について説明したが、これに限定されず、例えば、溶射法等の方法にも適用することができる。
また、前述した実施形態では、酸化工程において、酸素を供給することによってプラズマを発生させるものとして説明したが、これに限定されず、例えば、オゾン等を供給するものであってもよい。
また、前述した実施形態では、母材上にオルガノポリシロキサン膜を形成する際に、アルゴンガスを用いてプラズマを発生させる場合について説明したが、これに限定されず、例えば、ネオンガス、窒素ガス等を用いてもよい。
本発明の成膜装置を模式的に表した縦断面図である。 本発明のオルガノポリシロキサン膜の除去方法を説明するための模式図である。
符号の説明
1……被処理基板 2、2’……オルガノポリシロキサン膜 10……成膜装置 11……真空ポンプ 12……真空チャンバ 121……絶縁体 13……電極 14……ステージ 15……高周波電源 16……ガス供給管 161……流量制御弁 17……原料供給管 171……流量制御弁 18……アルゴンガス供給源 19……原料容器 20……ヒータ 30……原料 40……クリーニングガス供給管 401……流量制御弁 50……クリーニングガス供給源

Claims (10)

  1. 基材上に形成されたオルガノポリシロキサン膜を、プラズマエッチングによって除去するオルガノポリシロキサン膜の除去方法であって、
    前記オルガノポリシロキサン膜のSi−C結合の少なくとも一部を切断し、Si−O結合を形成する酸化工程と、
    クリーニングガス雰囲気中で、プラズマを発生させることによって、Si−O結合を形成した前記オルガノポリシロキサン膜をエッチングするエッチング工程とを有することを特徴とするオルガノポリシロキサン膜の除去方法。
  2. 前記酸化工程は、酸素を含む雰囲気中においてプラズマを発生させることにより行う請求項1に記載のオルガノポリシロキサン膜の除去方法。
  3. 前記酸化工程は、紫外線を照射することにより行う請求項1または2に記載のオルガノポリシロキサン膜の除去方法。
  4. 前記クリーニングガスは、フッ素系ガスである請求項1ないし3のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン膜の除去方法。
  5. 前記酸化工程において、酸素を100〜1000sccmで供給する請求項1ないし4のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン膜の除去方法。
  6. 前記酸化工程において、プラズマを発生させるための電力は、100〜1000Wである請求項1ないし5のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン膜の除去方法。
  7. 前記エッチング工程において、クリーニングガスを100〜1000sccmで供給する請求項1ないし6のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン膜の除去方法。
  8. 前記エッチング工程において、プラズマを発生させるための電力は、100〜1000Wである請求項1ないし7のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン膜の除去方法。
  9. 母材上にオルガノポリシロキサン膜を成膜する成膜装置に適用される方法であって、
    前記基材は、前記母材以外の前記成膜装置を構成する部位の少なくとも一部である請求項1ないし8のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン膜の除去方法。
  10. 母材上にオルガノポリシロキサン膜を形成するための成膜装置であって、
    前記成膜装置内の前記母材以外の部位に形成されたオルガノポリシロキサン膜のSi−C結合の少なくとも一部を切断し、Si−O結合を形成し、
    クリーニングガス雰囲気中で、プラズマを発生させることによって、Si−O結合を形成した前記オルガノポリシロキサン膜をエッチングする、オルガノポリシロキサン膜の除去手段を備えることを特徴とする成膜装置。
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