JP2006222241A - 有機物除去装置および除去方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 半導体ウェハの有機物汚染を軽減する有機物除去装置および除去方法を提供する。
【解決手段】 本発明の有機物除去方法は、減圧された処理室5内に配置される半導体ウェハWに付着した有機物の除去を行う。半導体ウェハWに波長200nm以下の紫外線を照射し、半導体ウェハに付着した有機物を分解する。そして、処理室5内に、酸素マイナスイオンラジカルまたは酸化物イオンと酸素マイナスイオンラジカルを含む単原子イオンから成るマイナスイオンを供給して、マイナスイオンを紫外線により分解された有機物と反応させる。この酸化反応によって、有機物が半導体ウェハWから、気体として放出され除去される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、半導体ウェハに付着した有機物の除去装置および除去方法に関する。
半導体ウェハの有機物の汚染は、半導体デバイスの特性に悪影響を与えることで知られている。そのため、半導体の製造ラインは、クリーンルームと呼ばれる空気中の塵や埃などの浮遊粒子を、天井、床または壁の一部に設けられた通気口の間で、フィルタにより捕獲あるいは薬品を用いて化学的に分解して、清浄度を保たれている。
このようなクリーンルーム内に半導体ラインを設置して、半導体デバイスを製造することで、半導体ウェハ上に不純物が付着することを防止し、製品の歩留まりの向上を図っている。
しかしながら、近年の集積密度の飛躍的な向上や、半導体ウェハの面積の増加に伴い、従来のクリーンルームでは製品の歩留まりの維持向上に、十分な環境を実現することが困難になってきた。
半導体回路の集積密度の向上(デザインルールの縮小)に伴い、パーティクルや付着有機物の大きさや濃度の制限が厳しくなっている。また、クリーンルーム内でも、ウェハボックスやウェハキャリアなどのプラスチックからプラスチックの添加剤や原料の一部などの有機物が発散していることが知られている。
半導体ウェハに付着したこれらの有機物を除去するために、紫外線(UV)−オゾン(O)を使用する洗浄方法が提案されている(例えば、非特許文献1または特許文献1参照)。
「精密洗浄装置と最新応用技術」第IV編8章 UV洗浄装置、pp.447-458、精密洗浄技術と最新応用技術編集委員会/(株)工業資料センター(1991年11月) 特許第3034720号公報
UV−O洗浄では、原理的には、UVで有機物の結合にエネルギーを与えて分解し、その分解した低分子の有機物にOから発生した活性酸素原子(この場合は活性酸素原子、Oを指す)を作用させて揮発成分にして除去すると説明されている。大気を導入して200nm以下の波長のUVを照射して生成されるか、あるいは導入されたOのうち反応に寄与するOは、活性酸素を生成させている。しかし、実際のプロセスとしては、処理雰囲気に酸素分子(O)が含まれていると、UVのエネルギーのほとんどは酸素分子に吸収されてしまい(Oや活性酸素を作るエネルギーとして使用され)、有機物の分解にはほとんど活性酸素のみが作用することが示唆されている。このため、高分子の有機物が付着していた場合、UV−O洗浄では分解が十分行われないことがあった。また、付着有機物を酸化除去する場合、処理温度は約80〜150℃であり、この温度では上記のように有機物の分解が不十分なことがあった。
また、Oには生体に悪影響を及ぼすので、排出基準も厳しく、適当な排気処理装置を用意する必要があった。
本願発明はこのような不都合を解消するために発明されたもので、半導体ウェハの有機物汚染を削減する有機物除去装置および除去方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本願における有機物除去装置の第一の解決手段として代表的な発明は、処理室内に配置される半導体ウェハに付着した有機物の除去を行う有機物除去装置であって、半導体ウェハに紫外線を照射する照射手段と、処理室内にマイナスイオンを供給するマイナスイオン供給手段と、マイナスイオンと、紫外線が照射された半導体ウェハの有機物が反応して生成された気体を、処理室から排気する排気手段とを有することを特徴とする。
前記半導体ウェハに付着した有機物は、炭素を主成分にする有機物であって、マイナスイオンはO又はO2−とOを含む単原子イオンから構成されることを特徴としてもよい。
また、本願の第二の解決手段として代表的な発明は、半導体ウェハに付着した有機物の除去を行う有機物除去方法であって、半導体ウェハに紫外線を照射した後に、マイナスイオンを供給して、紫外線が照射された半導体ウェハに付着している有機物と、マイナスイオンを反応させて、半導体ウェハに付着した有機物の除去を行う。
さらに、本願の第三の解決手段として代表的な発明は、処理室内に配置される半導体ウェハに付着した有機物の除去を行う有機物除去方法であって、半導体ウェハに紫外線を照射する紫外線照射工程と、処理室内にマイナスイオンを供給するマイナスイオン供給工程と、マイナスイオンと、紫外線が照射された半導体ウェハに付着している有機物とを、処理室内で反応させる反応工程と、反応工程で生成された気体を、処理室から排気する排気工程と、を有することを特徴とする。
本発明の有機物除去装置および除去方法によれば、半導体ウェハの有機物汚染を軽減することができる。
以下、本発明の実施の形態に係る有機物除去装置および除去方法について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第一の実施形態に係るマルチチャンバ型半導体製造装置を示す図である。半導体製造装置1は、半導体ウェハを搬入し加熱、成膜、有機物除去などの一連の処理を行うことができる枚葉式のマルチチャンバ型を採用している。
半導体製造装置1は、特に制限されないが、本実施の形態では、ロードロック室2、搬送室3、処理室4、有機物除去室5、処理室6の5つのチャンバから構成されている。半導体製造装置1は、半導体ウェハを、ロードロック室2から搬送室3を介して、処理室4、有機物除去室5、処理室6のそれぞれのチャンバに搬入し、目的に応じた成膜が行われる。そして、成膜が完了あるいは別の半導体製造装置へ移送される場合は、ロードロック室2から半導体ウェハを搬出する。
ロードロック室2は、半導体ウェハを半導体製造装置1の外部から搬入し、処理が終了した時に、半導体ウェハを外部へ搬出するロードロック機構を有している。具体的には、半導体ウェハを搬入すると、ロードロック室2は、室内雰囲気を外部および搬送室3から隔離し、大気圧から真空状態に雰囲気を変化させる。そして、真空状態になったら、ロードロック室2は、半導体ウェハを搬送室3へ搬入する。
搬送室3は、ロボットアームなどを有する半導体ウェハの搬送チャンバである。搬送室3は、特に制限されないが、本図のように各チャンバの中心に配置しており、各チャンバ間の半導体ウェハの移動を行う。
処理室4は、半導体ウェハ上に半導体を成膜するチャンバである。処理室4は、CVD成膜処理やプラズマクリーニングやスパッタ処理などの、様々な成膜装置やクリーニング装置で構成してもよく、製造する半導体の種類に応じて変更が可能である。
有機物除去室5は、半導体ウェハに付着した有機物の除去を行うチャンバであって、チャンバ内にマイナスイオンを供給して、半導体ウェハに付着している有機物と、マイナスイオンを反応させて、半導体ウェハに付着した有機物の除去を行う。
本実施の形態では、マイナスイオンは、酸素マイナスイオンラジカル(O)もしくは酸素マイナスイオンラジカルと酸化物イオン(O2−)の混合物(酸素単原子のイオン)から構成されている。これにより、炭素を主成分にする有機物が半導体ウェハに付着している場合などに高い除去効率を期待することができる。なお、有機物除去室5の構成例については、図2に詳述する。
そして、本実施の形態の有機物の除去工程においては、マイナスイオンを供給する前に、半導体ウェハに紫外線を照射してもよい。これにより、半導体ウェハに付着した有機物を分解することができ、後のマイナスイオンと有機物との反応を促進することができる。
処理室6は、半導体ウェハ上に半導体を成膜するチャンバであり、処理室4と同様に、CVD成膜処理やプラズマクリーニングやスパッタ処理などの様々な成膜装置やクリーニング装置で構成してもよい。製造する半導体の種類に応じて、処理室4と処理室6の組み合わせは、種々変更が可能である。
なお、本実施形態では、半導体製造装置1をロードロック室2、搬送室3、処理室4、有機物除去室5、処理室6の5つのチャンバから構成したが、成膜する半導体の種類に応じて、種々変更が可能である。また、本実施の形態では、半導体ウェハの加熱用のチャンバを特に設けていないが、加熱用チャンバを別途設けてもよい。
さらに、成膜される対象は、必ずしも半導体ウェハに限られるものではなく、たとえば液晶表示装置用の基板であってもよい。特に、ソーダガラスなどの本質的に有機物などの不純物を多く含んだ基板において、本実施の形態の有機物除去工程によって、歩留まりの向上が期待できる。
図2は、図1に示す有機物除去室5の構成例を示す図である。有機物除去室5は、マイナスイオンを半導体ウェハWに供給して、半導体ウェハWに付着した有機物の除去を行う有機物除去装置である。有機物除去室5は、イオン取り出しユニット21、イオン搬送ユニット22および有機物除去ユニット23から構成される。
イオン取り出しユニット21は、処理室31、接触電極31a、引出し電極31b、ヒータ31c、温度センサ31d、圧力センサ31e、直流電源32、ガス供給装置33、排気装置34、制御装置35、ガス供給管36およびガス排気管37から構成される。
処理室31は、マイナスイオンソースSからマイナスイオンを取り出すための処理室である。酸素マイナスイオンラジカル(O)もしくは酸素マイナスイオンラジカルと酸化物イオン(O2−)の混合物(単原子イオン)を生成するマイナスイオンソースSには、たとえば、細野 秀雄 他、セラミックス37(2002)No.12、p968−971「ナノポーラス結晶 12CaO・7Alを舞台とした活性酸素のエンジニアリングとその応用」および、K.Hayashi et al.,Nature vol.419,p462(2002)「Light−induced conversion of an insulating refractory oxide into a persistent electronic conductor」に開示されている材料を適用することが可能である。
処理室31は、接触電極31a、引出し電極31b、ヒータ31c、温度センサ31dおよび圧力センサ31eから構成されている。そして、マイナスイオンソースSは、接触電極31a上にセットされ、引出し電極31bは接触電極31aと対向して配置される。
接触電極31aは、ガス供給装置33によって供給される原料ガスが通過する1以上の開口を有する。図3(a)および図3(b)に示すように、接触電極31aは、その外形状に応じた開口形状を有する。この開口を介して、原料ガスが、マイナスイオンソースSの接触電極31aに接している面にのみ供給される。接触電極31aのマイナスイオンソースSと反対側の面には、ヒータ31cが配置されている。
引出し電極31bは、マイナスイオンソースSから取り出されたマイナスイオンが通過する開口を有する。
温度センサ31dは、ヒータ31cの温度を測定するセンサである。ヒータ31cは、マイナスイオンソースSからマイナスイオンが容易に取り出せる温度に設定されている。たとえば、処理室内の温度は、本実施の形態においては、約250℃〜約1000℃、好ましくは約400℃〜約800℃、より好ましくは約700℃に設定されている。250℃以下ではマイナスイオンソースS中のマイナスイオンが活性化せず、取り出すのが困難になる。1000℃以上では、活性なマイナスイオンが通常に比して非常に多く発生し、マイナスイオンソースSは変性するおそれがある。また、マイナスイオンソースSを取り付ける部分の耐熱性を確保するため特殊なセラミックや金属が必要になるなど、装置上の制約が多くなる。
圧力センサ31eは、処理室31内の圧力を測定する。処理室31内の圧力は、マイナスイオンソースSから取り出されたマイナスイオンが、イオン搬送ユニット22にスムースに供給される圧力に設定されている。たとえば、処理室内の圧力は、本実施の形態においては、約10Paに設定されている。
直流電源32は、制御装置35の制御にしたがって接触電極31aと引出し電極31bとの間に所定の電圧を印加する。これにより、マイナスイオンソースSに、マイナスイオンを取り出すために最適な電圧が印加される。
マイナスイオンソースSが、ヒータ31cによって所定の温度に加熱されると、印加された電界によって、マイナスイオンソースSからマイナスイオンが取り出される。この際に、印加された電界が弱すぎると、処理に必要なマイナスイオンを取り出すことができない。一方で、印加される電界が強すぎると、有機物の除去に必要な量を超えたマイナスイオンが取り出される。
必要以上のマイナスイオンが取り出されると、処理対象物以外の部分(引出し電極31b、ヒータ31cまたは処理室31の内壁など)において生じるマイナスイオンとの反応が、本来必要な処理に影響を与えることとなる。
このため、直流電源32が印加する電圧の大きさは、マイナスイオンソースSに印加される電界の強さが、半導体ウェハWの処理に必要な量のマイナスイオンを取り出すことができるような強さに設定されている。具体的には、マイナスイオンソースSに印加される電界の大きさが、約100〜約600V/cm、好ましくは約200〜500V/cm、さらに好ましくは300V/cm近傍になるように、直流電源32が印加する電圧の大きさが設定される。600V/cm以上では電極31a,31b間で放電の可能性が生じ、100V/cm未満ではマイナスイオンが取り出せないことがある。
ガス供給装置33は、ガス供給管36を介して処理室31に接続されている。ガス供給装置33は、制御装置35の制御にしたがって、マイナスイオンが取り出されたマイナスイオンソースSに、新たなマイナスイオンを補充するためのガスを、処理室31内の接触電極31a側に所定の圧力で供給する。本実施の形態では、処理室31内の圧力よりも高い分圧、たとえば2×10Paで、酸素ガスを供給する。マイナスイオンソースSの両面に酸素分圧の勾配が形成され、マイナスイオンソース中を引出し電極側に流れるイオン流の駆動力となるため、処理が行われている工程中において、継続的にマイナスイオンを取り出すことができる。
排気装置34は、ガス排気管37を介して処理室31に接続されている。排気装置34は、排気ポンプなどを備え、制御装置35の制御にしたがって、処理室31内のガスを排気し、処理室31内の圧力を所定の圧力に設定する。
制御装置35は、マイクロコンピュータなどで制御され、マイナスイオンをマイナスイオンソースSから取り出すためのプログラムを記憶している。制御装置35は、記憶しているプログラムにしたがってイオン取り出しユニット21の動作を制御し、マイナスイオンをマイナスイオンソースSから取り出す。
イオン搬送ユニット22は、ガス供給装置41およびイオン搬送管42から構成される。イオン搬送ユニット22は、イオン取り出しユニット21で取り出したマイナスイオンを、有機物除去ユニット23に搬送するために設けられている。
ガス供給装置41は、イオン搬送管42を介して、イオン取り出しユニット21および有機物除去ユニット23に接続される。ガス供給装置41は、キャリアガスを供給して、イオン取り出しユニット21で取り出したマイナスイオンを、有機物除去ユニット23に搬送する。本実施の形態では、不活性ガス、もしくは不活性ガスと原料ガスの混合ガスから成るキャリアガスを、処理室31内の圧力に対応させて、約50sccmで供給する。
有機物除去ユニット23は、イオン取り出しユニット21で取り出され、イオン搬送ユニット22で搬送されたマイナスイオンを、処理室51内に配置される半導体ウェハWに供給し反応させることによって、付着した有機物の除去を行うユニットである。有機物除去ユニット23は、処理室51、排気装置52、制御装置53、ガス排気管54および紫外線照射装置55から構成される。
処理室51には、処理対象の半導体ウェハWが設置されている。半導体ウェハWは、テーブル51a上に配置されており、この半導体ウェハWを過熱するためのヒータ51bと、テーブル51aの温度を測定するための温度センサ51c、処理室51内の圧力を測定するための圧力センサ51dから構成される。
なお、ヒータ51bによって加熱される半導体ウェハWの温度は、半導体ウェハW上に付着した有機物を除去するのに適した温度に設定される。
マイナスイオンは高い反応性を有するが、半導体ウェハWの温度が低すぎれば、酸化反応が十分行われない場合がある。従って、ヒータ51bによって加熱される半導体ウェハWの温度は、約30〜約200℃、好ましくは約50〜約180℃、さらに好ましくは100℃に設定される。200℃以上は、半導体ウェハ表面の自然酸化膜が成長し、極薄酸化膜や高誘電率膜の効果が抑制されるため、絶縁膜形成プロセスに好ましくない。
これにより、たとえ、絶縁膜にマイナスイオンが付着しても、絶縁膜とマイナスイオンとの反応は無視できる程度となり、また、電気的反発力によって、絶縁膜を1層のマイナスイオンで覆う以上のマイナスイオンが付着することが防止される。
排気装置52は、ガス排気管54を介して処理室51に接続される。排気装置52は、排気ポンプ等を備え、制御装置53の制御に従って、処理室51内のガスを排気し、処理室51内の圧力を所定の圧力(例えば準大気圧)に設定する。
制御装置53は、マイクロコンピュータ等から構成され、半導体ウェハW上に形成された有機物を除去するためのプログラムを記憶している。制御装置53は、記憶しているプログラムに従って有機物除去ユニット23の動作を制御し、半導体ウェハWに付着した有機物を除去する。
紫外線照射装置55は、半導体ウェハWに波長200nm以下の紫外線を照射する。この紫外線の照射は、半導体ウェハWに付着した有機物をあらかじめ分解するために行う。これにより、後の有機物とマイナスイオンの反応を促進することが可能となる。
次に、上記した有機物除去室5の動作について説明する。マイナスイオンソースSは、予め接触電極31a上に固定されている。処理対象の半導体ウェハWは、例えばマルチチャンバ型半導体製造装置の搬送アームによって、処理室51の図示せぬ搬送口からテーブル51a上に載置される。
イオン取出ユニット21の制御装置35、イオン搬送ユニット22のガス供給装置41および有機物除去ユニット23の制御装置53は、例えばオペレータの処理開始指示に応答して、以下に示す動作をそれぞれ開始する。
制御装置35は、初めに、ガス供給装置33を制御して、酸素ガス(または酸素ガスと不活性ガスとの混合ガス)を処理室31内に供給する。続いて、制御装置35は、圧力センサ31eによる測定結果を用い、排気装置34を制御して処理室31内の圧力を所定の圧力(たとえば約104Pa)に設定する。
また、制御装置35は、温度センサ31dによる測定結果を用い、ヒータ31cを制御して接触電極31a上にセットされたマイナスイオンソースSを約700℃に加熱する。その後、制御装置35は、直流電源32を制御して、接触31aと引出し電極31bとの間に電圧を印加することにより、上記した強さの電界をマイナスイオンソースSに印加する。これにより、マイナスイオンソースS内のマイナスイオンが印加された電界によって取り出され、引出し電極31bが有する開口を介してイオン搬送ユニット22に供給される。
この時点で、処理室51内の半導体ウェハWには、紫外線照射装置55によって、紫外線が単位面積あたりの強度0.5W/cmで約10秒〜1分、好ましくは約30秒照射され、有機物の分解が促されている。そして、マイナスイオンが処理室51内に供給される前に、紫外線照射装置55からの紫外線の照射は終了する。
上記イオン取出ユニット21で取り出されたマイナスイオンは、イオン搬送ユニット22のガス供給装置41によって、キャリアガスと共に有機物除去ユニット23の処理室51内に搬送される。有機物除去ユニット23の制御装置53は、温度センサ51cによる測定結果を用い、ヒータ51bを制御してテーブル51a上に載置された半導体ウェハWを上記した温度に加熱する。
また、制御装置53は、圧力センサ51dによる測定結果を用い、排気装置52を制御して処理室51内の圧力を準大気圧(例えば1×103〜1×104Pa)に設定する。
ガス供給装置41によって処理室51内に供給されたマイナスイオンは、半導体ウェハW上の有機物と反応し消費される。詳細には、酸素マイナスイオンラジカルまたは酸素マイナスイオンラジカルと酸化物イオンを含む単原子イオンから構成される酸素マイナスイオンが有機物と反応する。
半導体ウェハWに付着している炭素(C)は、酸素マイナスイオンと酸化反応して、二酸化炭素となって、半導体ウェハWから放出される。酸素マイナスイオンは、半導体ウェハWに膜が形成されている場合であっても、膜の内部まで反応させることができるので、すでに成膜されている層まで入り込んだ有機物も除去が可能である。そして、排気装置52は、制御装置53の指示にしたがって、二酸化炭素を半導体製造装置1の外部へ排気する。
上記のマイナスイオン発生条件で、直径300mmのマイナスイオンソースSに単位面積あたり約0.1μA/cmの電流値(70μAのイオン電流)が生成されたとき、直径300mmの半導体ウェハは、汚染有機物中の炭素が1×1013個/cm存在する場合、約1分で処理可能である。
汚染有機物中の炭素が1×1013個/cm存在する場合、汚染有機物中の全炭素数の2倍の酸素マイナスイオンが反応すると仮定すると、マイナスイオンは1μAあたり6.25×1012個/s存在する。たとえばイオン電流が70μAのとき、半導体ウェハ上で反応するマイナスイオンの割合が50%としても処理に必要な時間は64秒となる。
処理が終了した半導体ウェハWは、搬送室3のロボットアームによって、処理室51の図示せぬ搬送口から取り出される。続いて、未処理の半導体ウェハWが、搬送室3のロボットアームによって、処理室51のテーブル51a上に載置され、上記と同様に除去処理を施される。
以上説明したように、紫外線のエネルギーを付着有機物に十分作用させ、一方、酸化作用の強い酸素マイナスイオンラジカルを作用させることで、有機物を完全に分解除去する。また、オゾンを導入する場合、オゾン発生器からの金属汚染が懸念されるが、本発明は、酸化物セラミックを主体とするマイナスイオンソースを使用し、発生する酸素マイナイスイオンの単色性(純度)が高いことから、半導体基板表面の洗浄に適している。マイナスイオンは、電気的に処理可能で、オゾンのように大気中での寿命が長くないので、処理後の排気装置を簡略化できる。
また、酸素を主成分とするマイナスイオンを用いることにより、低い温度で除去処理を実行することが可能となる。このため、製造される半導体装置の高い歩留まりを実現することができる。
さらに、準大気圧下で除去処理が行われるため、有機物除去ユニット23の排気装置52を、高性能の排気ポンプ等で構成する必要がなく、装置コストを抑えることができる。
マイナスイオンは、マイナスイオンソースSを加熱して電界を印加するという簡単な方法で得ることができる。これにより、イオン取出ユニット21を簡単な構成とすることができる。
また、本実施の形態では、有機物除去ユニット23の処理室51におけるマイナスイオンの吹出口としてシャワーヘッド型のものを示したが、半導体ウェハのサイズや除去装置の設定等に応じて、ノズル型など他のものを用いてもよい。
さらに、上記したように、マイナスイオンを用いた除去処理は、準大気圧下で実行可能であるため、上記した有機物除去ユニットを、複雑な圧力制御機構等を設けることなく、大気圧下で処理を実行する他の装置に搭載したり、組み合わせたりすることができる。
例えば、上記した除去装置を、洗浄装置、メッキ装置およびウェハプローバ装置等に搭載して、または、組み合わせて、大気圧下で行われる洗浄処理、メッキ処理およびプローブ処理の前や後に上記した除去処理を行うことができる。なお、メッキ装置やウェハプローバ装置では、金属が半導体ウェハ表面に存在し、酸化による有機物の除去は難しいため、水素を利用した還元により有機物を除去する。
本実施の形態の有機物除去室5は、必要に応じて種々の変更が可能であって、たとえば処理室31内の温度や圧力は、使用する環境やマイナスイオンソースに応じてそれぞれ異なる。
図4は、本発明の第2の実施形態に係るマルチチャンバ型半導体製造装置を示す図である。第一の実施の形態と異なる点は、紫外線照射室7を独立に設けている点である。すなわち、紫外線照射室7と有機物除去室5をそれぞれ別個に動作させることにより、装置全体の作業効率を向上させることができる。これにより、有機物の除去工程の迅速な処理を実現することができる。
なお、有機物除去室5あるいはUV照射室7は、必ずしも1つずつのチャンバである必要はなく、成膜する環境に応じて、複数のチャンバにすることができる。たとえば、有機物汚染の多い環境やマルチタスクが可能な半導体製造装置では、有機物除去室5をあるいはUV照射室7を複数設け、装置全体の稼働率の向上に寄与することができる。
図5は、図1に示す処理室6(あるいは処理室4)の構成例を示す図である。処理室6は、半導体製造装置1の目的に応じて、さまざまな構成を取ることができるが、本実施形態では、平行平板のプラズマCVD装置を採用している。
処理室6は、特に制限されないが、本実施の形態では、反応室61、上部電極62、下部電極63、シャワーヘッド64、ガス入力管65、ガス源66、排出管67およびポンプ68から構成されている。
反応室61は、半導体ウェハWを上部電極62と下部電極63の間に配置して、プラズマ雰囲気中にした状態で、目的に応じた反応ガスを供給し、所定の成膜を行う。
上部電極62は、いわゆるシャワーヘッド64を用いており、内部の空洞部にガス入力管65を介して、ガス源66のガスを供給する。下部電極63は、半導体ウェハWが保持可能なテーブルを有しており、直流電流が流されている。
ガス源66は、半導体製造装置1の目的に応じて、複数種類のガスタンクから構成されており、成膜やクリーニングの目的に応じて、さまざまなガスを反応室61に供給する。
排出管67は、反応室61の反応ガスを半導体製造装置1の外部へ排出する。排出管67は、ポンプ68と連結されており、本実施の形態では、ターボ分子ポンプを使用している。
なお、本発明においては、必要に応じて種々の変更が可能であって、たとえば、マルチチャンバ型の半導体製造装置構成ではなく、インライン型の半導体製造装置への利用も可能である。この場合に、有機物除去室5あるいはUV照射室7は、成膜する内容に応じて配置する。
上記の実施の形態では、処理室31の圧力は約1×10Paに設定されると説明したが、高真空(たとえば1×10−3Pa)でマイナスイオンを取り出してもよい。この場合、700℃、400V/cmの条件では、マイナスイオンソースSに生成する単位面積あたりのイオン電流値は1μA/cmとなることから、マイナスイオンソースSを小型化できる。面積100cmのマイナスイオンソースSを用いて、上記条件下で、イオン電流100μAが生成されるので、直径300mmの半導体ウェハは、汚染有機物中の炭素が1×1013個/cm存在する場合、約45秒で処理可能である。また、処理室51も高真空の場合、酸素分子が処理室51内にほとんど存在しないことから、半導体ウェハに紫外線を照射しつつ、マイナスイオンを供給してもよい。
本発明の第一の実施形態に係るマルチチャンバ型半導体製造装置を示す図である。 図1に示す有機物除去室の構成例を示す図である。 図2に示す有機物除去室の接触電極の構成を示す図である。 本発明の第ニの実施形態に係るマルチチャンバ型半導体製造装置を示す図である。 図1に示す処理室の構成例を示す図である。
符号の説明
1 半導体製造装置
2 ロードロック室
3 搬送室
4 処理室
5 有機物除去室
6 処理室
7 UV照射室
21 イオン取出ユニット
22 イオン搬送ユニット
23 有機物除去ユニット
31 処理室
31a 接触電極
31b 引出し電極
31c ヒータ
31d 温度センサ
31e 圧力センサ
32 直流電源
33 ガス供給装置
34 排気装置
35 制御装置
36 ガス供給管
37 ガス排気管
41 ガス供給装置
42 イオン搬送管
51 処理室
51a テーブル
51b ヒータ
51c 温度センサ
51d 圧力センサ
52 排気装置
53 制御装置
54 ガス排気管
55 紫外線照射装置
61 反応室
62 上部電極
63 下部電極
64 シャワーヘッド
65 ガス入力管
66 ガス源
67 排出管
68 ポンプ

Claims (4)

  1. 処理室内に配置される半導体ウェハに付着した有機物の除去を行う有機物除去装置であって、
    前記半導体ウェハに紫外線を照射する照射手段と、
    前記処理室内にマイナスイオンを供給するマイナスイオン供給手段と、
    前記マイナスイオンと、前記紫外線が照射された半導体ウェハの有機物が反応して生成された気体を、前記処理室から排気する排気手段とを有することを特徴とする有機物除去装置。
  2. 前記半導体ウェハに付着した有機物は、炭素を主成分にする有機物であって、前記マイナスイオンはO又はO2−とOを含む単原子イオンであることを特徴とする請求項1に記載の有機物除去装置。
  3. 半導体ウェハに付着した有機物の除去を行う有機物除去方法であって、前記半導体ウェハに紫外線を照射した後に、マイナスイオンを供給して、前記紫外線が照射された半導体ウェハに付着している有機物と、前記マイナスイオンを反応させて、前記半導体ウェハに付着した有機物の除去を行う有機物除去方法。
  4. 処理室内に配置される半導体ウェハに付着した有機物の除去を行う有機物除去方法であって、
    前記半導体ウェハに紫外線を照射する紫外線照射工程と、
    前記処理室内にマイナスイオンを供給するマイナスイオン供給工程と、
    前記マイナスイオンと、前記紫外線が照射された半導体ウェハに付着している有機物とを、前記処理室内で反応させる反応工程と、
    前記反応工程で生成された気体を、前記処理室から排気する排気工程と、を有することを特徴とする有機物除去方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104465297A (zh) * 2013-09-16 2015-03-25 中国科学院大连化学物理研究所 一种并联双离子迁移管的气体控制方法

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