JP2005272445A - 涙液分泌促進ペプチドおよびその組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来の涙液成分の補充療法ではなく、涙液分泌促進療法において、安全かつ効果的に用いることのできる涙液分泌組成物を提供する。
【解決手段】 副交感神経に作用し、涙液分泌を促進する作用を有する活性ペプチドおよび/または涙液分泌促進ペプチド、これらの活性ペプチドおよび/または涙液分泌促進ペプチドを含むことを特徴とする涙液分泌促進組成物、および、これらの組成物を保持および/または含有するコンタクトレンズ。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、涙液分泌減少に伴う眼疾患、すなわち、乾燥眼(ドライアイ)、角膜上皮剥離、角膜炎、角膜潰瘍、結膜炎等を治療および/または予防するための涙液分泌促進ペプチドおよびその組成物に関する。さらには、該涙液分泌促進組成物を含有する、DDS(ドラッグデリバリーシステム)製剤、経皮吸収製剤、局所眼用剤(点眼剤、眼軟膏等)およびコンタクトレンズ用組成物に関する。
近年、コンタクトレンズの普及やVDT作業の増加と共にドライアイ患者が増加している。ドライアイは、眼乾燥、角膜充血、異物感および掻痒感等の症状を呈し、主として涙液の分泌量低下により角膜障害をきたす疾患である。また、ドライアイは重度になると視力障害や眼精疲労も引き起こすと言われている。
涙液の分泌量低下の原因として、ライリー・デイ(Riley-day)症候群、シャイ・ダラガー(Shy-Drager)症候群、シェーグレン(Sjoegren)症候群、サルコイドーシス、アミロイドーシス、放射線照射治療の後遺症、兎眼症、ビタミンA欠乏症、スティーブンス・ジョンソン(Stevens-Johnson)症候群、眼類天疱瘡、眼瞼縁炎、マイボーム腺炎、眼内手術の後遺症、コンタクトレンズ障害、糖尿病性角膜上皮症、VDT作業あるいは長時間にわたる運転等が考えられている。
涙液は眼球と大気が接する境界部に存在し、眼球の最外層を覆う厚さ約7μmの薄い液層である。涙液は、外側から油層・水層・ムチン層の3層構造を有しており、各層とも眼球の乾燥防止に重要な役割を担っている。涙液の厚さの大部分を占める水層は、油層とムチン層の間に存在することにより水層の減少を防止し、眼球の湿潤性を維持している。油層は、主にマイボーム腺と呼ばれる瞼の周りに存在する腺から産生され、水層全体を覆うことにより水分蒸発を防止している。ゆえに、マイボーム腺炎により油層の産生が低下すると水層が蒸発しやすくなり、ドライアイの症状を呈することとなる。ムチン層は疎水性である角膜上皮の表面を覆うことにより親水性に変え、水層を角膜上皮の表面に保持する機能を有している。
涙液はドライアイ防止のみならず様々な機能を有している。涙液が有するその他の機能としては、例えば、角膜と結膜の保護、静菌作用、細菌・真菌およびウイルス等からの感染防御、角膜への酸素や種々の栄養の供給と炭酸ガスや代謝産物の除去、角膜や結膜に障害が加わった場合の障害性刺激の希釈と除去、創傷治癒に関与する上皮成長因子等の液性成分やフィブロネクチン等の血液成分の障害部位への運搬、角膜や結膜上皮細胞の保持および創傷治癒の調節等がある。
現在、涙液分泌減少を治療することを目的として、様々な人工涙液型点眼剤が市販されている。しかしながら、これらの多くは無機塩類や金属キレート剤を含んだ製剤で涙液補充を目的として使用されており、涙液の減少に伴う眼の乾燥感の解消には一時的には有用であるが、涙液の分泌量自体には変化を及ぼさないため効果に持続性がない。また、ドライアイによるコンタクトレンズ装着時の異物感や痒み、眼の灼熱感等の不快感を持続的に除去させるのは困難である。さらに、マイボーム腺での油層の産生量が少ない人が点眼回数を増加させると、油層およびムチン層が洗い流されることにより、眼の乾燥感がさらに強くなる。これは、涙液の分泌量自体を増加させる涙液分泌促進療法ではなく、涙液成分の補充療法を行っているという問題に帰一する。
上記したように、眼科医およびドライアイ患者からは、従来の涙液成分の補充療法ではなく、涙液分泌促進療法において、安全で効果的に用いることのできる涙液分泌促進組成物の開発が望まれていた。
特開平2001−181208号には、例えば、アミノ酸配列:Ser-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2を有するペプチドがPAR(Protease-activated receptor)のサブタイプであるPAR−2を活性化させ、その結果として、涙液分泌を促進させる発明が開示されている。
特開平2001−181208号公報
本発明は上記従来技術に鑑みて行われたものであり、本発明の目的は、安全で効果的な涙液分泌促進組成物を提供することである。
すなわち、本発明は、従来の涙液成分の補充を目的とした人工涙液型点眼剤等による副作用の問題を解決できる、新たな涙液分泌促進作用を有する組成物を適用することを目的とする。
特に、本発明は、副交感神経に作用して、涙液分泌を促進する組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、涙液分泌促進組成物として好ましい薬剤を開発すべく研究を行った結果、イソロイシン(Ile)、グリシン(Gly)、アルギニン(Arg)、ロイシン(Leu)のアミノ酸うち、3種または4種のアミノ酸が連続したペプチド成分を、涙液分泌促進作用の活性中心として含有するペプチドにより涙液分泌が惹起されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) イソロイシン(Ile)、グリシン(Gly)、アルギニン(Arg)およびロイシン(Leu)よりなる群から重複することなく選択される3個または4個のアミノ酸からなる、涙液分泌促進作用を有する活性ペプチド、
(2) グリシン(Gly)−アルギニン(Arg)−ロイシン(Leu)である、(1)に記載の活性ペプチド、
(3) イソロイシン(Ile)−グリシン(Gly)−アルギニン(Arg)である、(1)に記載の活性ペプチド、
(4) イソロイシン(Ile)−グリシン(Gly)−アルギニン(Arg)−ロイシン(Leu)である、(1)に記載の活性ペプチド、
(5) (1)〜(4)のいずれか1に記載の活性ペプチドを、涙液分泌促進作用を有するペプチドの活性中心として含有することを特徴とする、涙液分泌促進ペプチド、
(6) 前記涙液分泌促進ペプチドが、ロイシン(Leu)−セリン(Ser)−イソロイシン(Ile)−グリシン(Gly)−アルギニン(Arg)−ロイシン(Leu)である、(5)に記載の涙液分泌促進ペプチド、
(7) (1)〜(4)のいずれか1に記載の活性ペプチドを含み、かつ、薬理学的および薬剤学的に許容されるように製剤化された涙液分泌促進組成物、
(8) (5)または(6)に記載の涙液分泌促進ペプチドを含み、かつ、薬理学的および薬剤学的に許容されるように製剤化された涙液分泌促進組成物、
(9) 前記活性ペプチドの失活化または分解を阻害する物質を配合することを特徴とする(7)または(8)に記載の涙液分泌促進組成物、
(10) 前記失活化または分解を阻害する物質がペプチダーゼ阻害薬であることを特徴とする(9)に記載の涙液分泌促進組成物、
(11) ペプチダーゼ阻害薬がアマスタチンであることを特徴とする(10)に記載の涙液分泌促進組成物、
(12) DDS製剤化されていることを特徴とする(7)〜(11)のいずれか1に記載の涙液分泌促進組成物、
(13) 経皮吸収製剤化されていることを特徴とする(7)〜(12)のいずれか1に記載の涙液分泌促進組成物、
(14) 経粘膜吸収製剤化されていることを特徴とする(7)〜(12)のいずれか1に記載の涙液分泌促進組成物、
(15) 眼科用組成物であることを特徴とする(7)〜(11)のいずれか1に記載の涙液分泌促進組成物、
(16) 眼科用組成物が洗眼剤、点眼剤、眼軟膏剤または眼用ゲル剤の形態であることを特徴とする(15)に記載の涙液分泌促進組成物、
(17) 眼科用組成物がコンタクトレンズ用点眼剤、コンタクトレンズ用保存液、またはコンタクトレンズ用洗浄液の形態であることを特徴とする(15)に記載の涙液分泌促進組成物、
(18) (7)〜(11)のいずれか1に記載の涙液分泌促進組成物を保持および/または含有することを特徴とするコンタクトレンズ、
(19) 前記涙液分泌促進組成物を持続的に放出するように、保持および/または含有することを特徴とする(18)記載のコンタクトレンズ、
(20) (7)〜(11)のいずれか1に記載の涙液分泌促進組成物を含むことを特徴とする眼疾患治療剤または予防剤、
(21) 眼疾患が、ドライアイ、角膜上皮剥離、角膜炎、角膜潰瘍または結膜炎であることを特徴とする(20)に記載の眼疾患治療剤または予防剤、
を提供するものである。
本発明の涙液分泌促進組成物は、優れた涙液分泌促進作用を有し、薬剤の副作用、疾患あるいは涙液分泌の機能低下等によるドライアイに対し、優れた治療薬となる。また、これによりドライアイに伴う眼乾燥、角膜充血、異物感、掻痒感等、視力障害、眼精疲労、不快感および灼熱感等を治療あるいは予防することもできる。
また、本発明の涙液分泌促進組成物はコンタクトレンズ用点眼液、コンタクトレンズ用洗浄液およびコンタクトレンズ用保存液さらにはコンタクトレンズ組成物にも応用できる物である。
本明細書で用いる「活性ペプチド」とは、イソロイシン(Ile)、グリシン(Gly)、アルギニン(Arg)、ロイシン(Leu)よりなる群から重複することなく選択される3または4個のアミノ酸からなるペプチドであって、涙液分泌促進作用を有するペプチドをいう。
活性ペプチドとしては、グリシン(Gly)−アルギニン(Arg)−ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)−グリシン(Gly)−アルギニン(Arg)、イソロイシン(Ile)−グリシン(Gly)−アルギニン(Arg)−ロイシン(Leu)が好ましい。
本明細書で用いる「涙液分泌促進ペプチド」とは、前記活性ペプチドを活性中心として含有するペプチドをいう。前記活性ペプチドを除去または改変するなどした場合、前記涙液分泌促進ペプチドの涙液分泌促進作用が50%以上減少すれば、前記活性ペプチドは涙液分泌促進ペプチドの活性中心として含まれているといえる。
涙液分泌促進ペプチドとしては、グリシン(Gly)−アルギニン(Arg)−ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)−グリシン(Gly)−アルギニン(Arg)、イソロイシン(Ile)−グリシン(Gly)−アルギニン(Arg)−ロイシン(Leu)を含むものが好ましく、ロイシン(Leu)−セリン(Ser)−イソロイシン(Ile)−グリシン(Gly)−アルギニン(Arg)−ロイシン(Leu)が好ましい。また、涙液分泌促進ペプチドは、好ましくは3〜20アミノ酸残基、より好ましくは3〜10アミノ酸残基、さらに好ましくは3〜6アミノ酸残基である。
本発明による活性ペプチドおよび涙液分泌促進ペプチドは、副交感神経に作用して涙液分泌を促進するものであれば、天然に存在するものであってもよく、または化学的に合成されたものであってもよい。ペプチドは、例えば、Carpino, L. A. et al., J. Org. Chem., 37, 3404-3409, 1972に記載されるような公知の方法に従って合成することができる。さらに、ペプチドは修飾または非天然アミノ酸残基を含んでいてもよい。
涙液分泌量は、例えばラットを用いる伊賀らの方法 (Iga, Y. et al., Jpn. J. Pharmacol., 78, 373-80, 1998) などの公知の方法にしたがって、測定することができる。詳細には、ラットをペントバルビタール(50mg/kg腹腔内投与)で麻酔し、幅2mmに細切したヒト涙液分泌機能検査紙、シルナル試験紙(昭和薬品化工業株式会社)をラット下眼瞼に挿入する。一定時間経過後、試験紙を取り去り、試験紙の濡れている長さを、ノギスを用いて測定する。試験物質を投与した際に、統計学的に有意な涙液分泌量の増加が観察されれば、その物質は涙液分泌促進作用を有するといえる。
本発明の涙液分泌促進組成物は、ドライアイ、角膜上皮剥離、角膜炎、角膜潰瘍または結膜炎などの、治療または予防することが可能な眼疾患の治療剤または予防剤として有用である。治療剤または予防剤として用いる場合、本発明の涙液分泌促進組成物を、そのままあるいは水に希釈する等の各種処理を施して使用することができ、また、医薬品、医薬部外品、特に点眼用組成物、経粘膜吸収製剤および経皮吸収製剤等に配合して使用することができる。涙液分泌促進剤の配合量は製品に応じて適宜選択されるところではあるが、通常全身投与製剤の場合には、0.001〜50重量%、特に0.01〜10重量%とすることができ、0.001%より少ないと満足する涙液分泌促進作用が認められない可能性があり、また、50%を越えると製品そのものの安定性や香味等の特性が損なわれる可能性がある。
本発明の涙液分泌促進組成物に含まれる活性ペプチドおよび/または涙液分泌促進ペプチドは、薬剤学的に許容される塩として製剤中に含有されていてもよい。薬剤学的に許容される塩としては、例えば無機塩基、有機塩基等の塩基との塩、無機酸、有機酸、塩基性または酸性アミノ酸などの酸付加塩等が挙げられる。無機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、アンモニウム等が挙げられる。有機塩基としては、例えば、エタノールアミン等の第一級アミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン等の第二級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、トリエタノールアミン等の第三級アミン等が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、乳酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、安息香酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等が挙げられる。塩基性アミノ酸としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチン等が挙げられる。酸性アミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。
また、ペプチドは生体に存在するペプチダーゼにより分解されることから、ペプチダーゼインヒビターであるアマスタチン等の薬物と併用あるいは配合することにより、作用の持続性を高めることができる。
本発明の医薬組成物の投与方法として、経口投与、眼局所投与、静脈内投与、経粘膜投与、経皮投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸内投与等が適宜選択でき、その投与方法に応じて、種々の製剤として用いることができる。
以下に、各製剤について記載するが、本発明において用いられる剤型はこれらに限定されるものではなく、医薬製剤の分野において通常用いられる各種製剤として用いることができる。
(全身投与製剤)
涙液分泌低下の治療薬として用いる場合には、活性ペプチドおよび/または涙液分泌促進ペプチドの経口投与量は、3mg/kg〜300mg/kgの範囲が好ましく、より好ましくは10mg/kg〜100mg/kgである。全身投与を行う場合、特に静脈内投与の場合には老若男女または体型等により変動があるが、有効血中濃度が2μg/mL〜200μg/mL、より好ましくは5μg/mL〜100μg/mLの範囲となるように投与すべきである。
経口投与を行う場合の剤型として、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、錠剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤およびシロップ剤等があり、適宜選択することができる。また、それら製剤について徐放化、安定化、易崩壊化、難崩壊化、腸溶性化、易吸収化等の修飾を目的に応じて施すことができる。また、口腔内投与を行う場合の剤型として、咀嚼剤、舌下剤、バッカル剤、トローチ剤、軟膏剤、貼布剤、液剤等があり、適宜選択することができる。また、それら製剤について徐放化、安定化、易崩壊化、難崩壊化、腸溶性化、易吸収化等の修飾を施すことができる。
上記の各剤型について、公知のドラッグデリバリーシステム(DDS)の技術を採用することができる。本明細書に言うDDS製剤とは、徐放化製剤、局所適用製剤(トローチ、バッカル錠、舌下錠等)、薬物放出制御製剤、腸溶性製剤および胃溶性製剤等、投与経路、バイオアベイラビリティー、副作用等を勘案した上で、最適の製剤形態にした製剤をいう。
DDSの構成要素には基本的に薬物、薬物放出モジュール、被膜および治療プログラムがあり、各々の構成要素について、特に放出を停止させた時に速やかに血中濃度が低下する半減期の短い薬物が好ましく、投与部位の生体組織と反応しない被膜が好ましく、さらに、設定された期間において最良の薬物濃度を維持する治療プログラムを有するのが好ましい。薬物放出モジュールは、基本的に薬物貯蔵庫、放出制御部、エネルギー源および放出孔または放出表面を有している。これら基本的構成要素は全て揃っている必要はなく、適宜追加あるいは削除等を行い、最良の形態を選択することができる。
DDSに使用できる材料としては、高分子、シクロデキストリン誘導体、レシチン等がある。高分子には不溶性高分子(シリコーン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチルセルロース、セルロースアセテート等)、水溶性高分子およびヒドロキシルゲル形成高分子(ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート架橋体、ポリアクリル架橋体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、水溶性セルロース誘導体、架橋ポロキサマー、キチン、キトサン等)、徐溶解性高分子(エチルセルロース、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体の部分エステル等)、胃溶性高分子(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、マクロゴール、ポリビニルピロリドン、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル・メタアクリル酸メチルコポリマー等)、腸溶性高分子(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、アクリル酸系ポリマー等)、生分解性高分子(熱凝固または架橋アルブミン、架橋ゼラチン、コラーゲン、フィブリン、ポリシアノアクリレート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリβ−ヒドロキシ酢酸、ポリカプロラクトン等)があり、剤型によって適宜選択することができる。
特に、シリコーン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体の部分エステルは、薬物の放出制御に使用でき、セルロースアセテートは浸透圧ポンプの材料として使用でき、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースは徐放性製剤の膜素材として使用でき、ポリアクリル架橋体は口腔粘膜あるいは眼粘膜付着剤として使用できる。
また、製剤中にはその剤形(経口投与剤、注射剤、座剤、経皮吸収製剤等の公知の剤形)に応じて、溶剤、賦形剤、コーティング剤、基剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、溶解補助剤、懸濁化剤、粘稠剤、乳化剤、安定剤、緩衝剤、等張化剤、無痛化剤、保存剤、矯味剤、芳香剤、着色剤等の添加剤を加えて製造することができる。
これらの各添加剤について、それぞれ具体例を挙げて例示するが、これらに特に限定されるものではない。
溶剤としては、例えば、精製水、注射用水、生理食塩水、ラッカセイ油、エタノール、グリセリン等が挙げられる。
賦形剤としては、例えば、デンプン類、乳糖、ブドウ糖、白糖、結晶セルロース、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、トレハロース、キシリトール等が挙げられる。
コーティング剤としては、例えば、白糖、ゼラチン、酢酸フタル酸セルロースおよび上記した高分子等が挙げられる。
基剤としては、例えば、ワセリン、植物油、マクロゴール、水中油型乳剤性基剤、油中水型乳剤性基剤等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、デンプンおよびその誘導体、セルロースおよびその誘導体、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、トラガント、アラビアゴム等の天然高分子化合物、ポリビニルピロリドン等の合成高分子化合物、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸およびその塩類、タルク、ワックス類、コムギデンプン、マクロゴール、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、デンプンおよびその誘導体、寒天、ゼラチン末、炭酸水素ナトリウム、セルロースおよびその誘導体、カルメロースカルシウム、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースおよびその塩類ならびにその架橋体、低置換型ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
溶解補助剤としては、例えば、シクロデキストリン、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
懸濁化剤としては、例えば、アラビアゴム、トラガント、アルギン酸ナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム、クエン酸、各種界面活性剤等が挙げられる。
粘稠剤としては、例えば、カルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ホドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、トラガント、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
乳化剤としては、例えば、アラビアゴム、コレステロール、トラガント、メチルセルロース、各種界面活性剤、レシチン等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、トコフェロール、キレート剤、不活性ガス、還元性物質等が挙げられる。
緩衝剤としては、例えば、リン酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸等が挙げられる。
等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖等が挙げられる。
無痛化剤としては、例えば、塩酸プロカイン、リドカイン、ベンジルアルコール等が挙げられる。
保存剤としては、例えば、安息香酸およびその塩類、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、逆性石けん、ベンジルアルコール、フェノール、チロメサール等が挙げられる。
矯味剤としては、例えば、白糖、サッカリン、カンゾウエキス、ソルビトール、キシリトール、グリセリン等が挙げられる。
芳香剤としては、例えば、トウヒチンキ、ローズ油等が挙げられる。
着色剤としては、例えば、水溶性食用色素、レーキ色素等が挙げられる。
上記したように、医薬品を徐放化製剤、腸溶性製剤または薬物放出制御製剤等のDDS製剤化することにより、薬物の有効血中濃度の持続化、バイオアベイラビリティーの向上等の効果が期待できる。しかし、活性ペプチドおよび/または涙液分泌促進ペプチドは生体内で失活化または分解され、その結果、所望の効果が低下または消失する可能性がある。例えば、ペプチドの多くは生体内においてアミノペプチダーゼにより分解されることが知られている(Godin, D. et al., Eur. J. Pharmacol., 253, 225-30, 1994)。従って、活性ペプチドおよび/または涙液分泌促進ペプチドを失活化または分解する物質を阻害する物質(例えば、アミノペプチダーゼを阻害する物質)を本発明の涙液分泌促進組成物と併用することにより、成分の効果をさらに持続化させ得る。
アミノペプチダーゼ阻害薬としては、アマスタチン、アファメニンA、アファメニンBおよびベスタチンなどが知られている。これらの化合物を製剤中に配合してもよく、または別々に投与してもよい。上記成分がペプチドでない場合、当業者は適切に、この成分を失活化または分解する物質を同定し、これを阻害する物質を選択し、配合あるいは併用することができる。
製剤中には、上記以外の添加物として通常の組成物に使用されている成分を用いることができ、これらの成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
本発明の涙液分泌促進組成物は皮膚にも適用できる。皮膚適用製剤としては、特に限定されるものではなく、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、パスタ剤、プラスター剤、貼付剤、パッチ剤、パップ剤、テープ剤、経皮吸収治療システム(Transdermal Therapeutic System; TTS)製剤等が挙げられる。適用部位としては胸部、下腹部、背部、下腿部、頬、瞼、下瞼、腕部、首部等、特に制限されない。本明細書中に記載の経皮吸収製剤とは、広義にはこれら全てを指し、狭義にはプラスター剤、貼付剤、パッチ剤、パップ剤、テープ剤、TTS製剤等の支持体を有する製剤を指す。
特に支持体を有する経皮吸収製剤に用いられる粘着剤ポリマーとしては、アクリル酸系、ゴム系、シリコーン系等があるが、生物学的に許容されるものであれば特に制限されない。
アクリル酸系としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主体とする(共)重合体が好適に使用できるが、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび該(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能なモノマーの共重合体であってもよい。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主体とする(共)重合体の構成成分中、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は20重量%以上が好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル等が挙げられ、これらは単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。
上記の共重合可能なモノマーとしては官能性モノマーが好ましく、例えば、側鎖にエーテル結合を有するアルコキシ基を含むモノマー、水酸基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、アミド基を有するモノマー、アミノ基を有するモノマー、スルホキシル基を有するモノマー、アルコキシ基を有するモノマー、窒素含有複素環を有するモノマー等が挙げられる。以下にそれらの具体例を示す。
側鎖にエーテル結合を有するアルコキシ基を含むモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシジエチルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピレングリコールエステル等が挙げられる。
水酸基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸等のα−またはβ−不飽和カルボン酸、マレイン酸ブチル等のマレイン酸モノアルキルエステル、(無水)マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。
アミド基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド等のアルキル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、エトキシメチルアクリルアミド等のN−アルコキシ(メチル)アクリルアミド等が挙げられる。
アミノ基を有するモノマーとしては、例えば、ジメチルアミノアクリレート等が挙げられる。
スルホキシル基を有するモノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、アクリルスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
アルコキシ基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル等が挙げられる。
窒素含有複素環有するモノマーとしては、例えば、ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピペラジン、ビニルイミダゾール等が挙げられる。
その他、上記にあげたモノマー以外に、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブタジエン等も使用可能である。
上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主体とする(共)重合体は、通常、重合開始剤の存在下で上記したようなモノマーを配合して溶液重合を行うことにより調製される。溶液重合を行う場合は、所定量の各種モノマーに酢酸エチルまたはその他の重合溶液を加え、撹拌装置および冷却装置を備えた反応容器中で、アゾビス系、過酸化物系等の重合開始剤の存在下、窒素雰囲気中で50〜90℃、5〜100時間反応させればよい。
重合用有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、エチルベンゼン、ブチルベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、酢酸ヒドロキシエチル、安息香酸メチル、アセトン、メチルセロソルブ、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルアルコール、プロピルアルコール等が挙げられる。アゾビス系重合開始剤としては、2,2−アゾビス−イソ−ブチロニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレリニトリル)等が挙げられ、過酸化物系重合開始剤としては、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル等が挙げられる。
上記のゴム系粘着剤としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ポリイソブチレン、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等が用いられる。
上記のシリコーン系粘着剤としては、例えば、ポリオルガノシロキサン等のシリコーンゴムが用いられる。
その他、粘着剤として、特開平9−208605号、特開平10−94595号、特開平10−94596号、特開平10−298068号等に記載されるような、経皮吸収製剤の製造において一般的に用いられる粘着剤を使用できる。
上記したような粘着剤層は、シート状あるいはテープ状の支持体上に形成することができる。支持体は粘着剤層に含有される経皮吸収用薬物が支持体を通って背面から失われて含量低下を起こさないもの、すなわち、薬物が不透過である材質のものが好適に利用できる。
支持体としては、ナイロン、ポリ塩化ビニル、可塑化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、酢酸セルロース、エチルセルロース、可塑化酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリウレタン、ポリエステル−ポリエチレン・酢酸ビニル共重合体積層体、ポリエチレン・酢酸ビニル共重合体−レーヨン不織布積層体、ポリエステル不織布−ポリエステルフィルム積層体、ビニロン製不織布−ポリエステル製フィルム積層体(特開平10−310521号参照)、アルミニウムシート等のフィルムを使用することができ、これらの素材は単層で用いてもよく、または、2種以上の積層体として用いてもよい。支持体の厚みとしては2000μm以下が好ましく、2〜300μmがより好ましい。
本発明の涙液分泌促進組成物は、粘着剤層中に分散させたポリマー微粒子中にも含有させることができる。ポリマー微粒子としては、例えば、架橋型ポリビニルピロリドン、架橋型セルロース、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体等が挙げられ、ポリマー微粒子の材質は薬物の種類等によって適宜選択される。ポリマーの微粒子の粒径は、200μm以下が好ましく、より好ましくは50μm以下である。また、ポリマー微粒子に含有された薬物は、溶解状態で存在させてもよく、非溶解状態で存在させてもよい。ポリマー微粒子に薬物を含有させる場合に用いる溶媒としては、薬物の種類やポリマー微粒子の種類によって適宜選択されるところではあるが、例えば、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
本発明の経皮吸収製剤の調製において、粘着剤層を形成するには通常の粘着テープの製造方法が適用でき、例えば、溶剤塗工法、ホットメルト塗工法、電子線硬化エマルジョン塗工法等が挙げられる。
上記の溶剤塗工法では、粘着剤、薬物および必要に応じてその他の添加剤を適当な溶媒に溶解または分散させ、得られた溶解液または分散液を支持体表面に塗布し、乾燥させて溶媒を除去することにより、支持体の上に所定の厚みの粘着剤層が形成できる。また、上記の溶解液または分散液を剥離紙上に一旦塗工し、乾燥させた後、得られた粘着剤層を支持体表面に密着させてもよい。必要であれば予め薬物を含有したポリマー微粒子を用いることにより、粘着剤層中に薬物を含有したポリマー微粒子が分散された経皮吸収製剤を得ることができる。溶媒としては、例えば、ベンジルアルコール、ブチルベンゾエート、ミリスチン酸イソプロピル、オクタノール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール等が挙げられる。
上記の溶解液または分散液を直接支持体表面に塗布せず、シリコーン樹脂等をコーティングした剥離紙に塗布し、乾燥後に支持体と密着させてもよい。このような剥離紙は、使用時までテープ剤等の経皮吸収製剤の粘着剤層表面を保護するために用いることができる。剥離紙としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面をシリコーン処理したものを用いることができる。剥離紙の厚みとしては1000μm以下が好ましく、10μm〜300μmがより好ましい。
上記したような粘着剤層の厚さは、使用目的あるいは適用部位により異なるが、薄くなると経皮吸収製剤の単位面積当たりの薬物含有量が不足し、粘着力が低下する。また、厚くなると支持体付近の粘着剤層に含有される薬物が十分に拡散せず、薬物放出率が低下するおそれがある。具体的には、3μm〜1000μmの間に調製するのが好ましく、10μm〜500μmの間に調製するのがより好ましい。さらに、粘着剤層には架橋処理が施されていてもよい。
上記の粘着剤層には、必要に応じて、可塑剤、吸収促進剤または皮膚刺激低下剤、酸化防止剤等の添加剤を加えてもよい。添加剤の使用量は、その種類に応じて異なるが、粘着剤層総重量の1〜50重量%が好ましく、1〜10重量%とするのがより好ましい。使用量が1重量%未満では粘着力低減化作用が小さくなり、50重量%を超えると皮膚への粘着力が弱すぎたり、凝集力低下により糊のこり等が生じたりするおそれがある。
可塑剤は皮膚表面に対する接着力を調節でき、皮膚から剥離する際の刺激を低減させることができる。可塑剤としては、例えばジイソプロピルアジペート、フタル酸エステル、ジエチルセバケート、高級脂肪酸エステル類、特開平10−179711号に記載の軟化剤等を用いることができ、これらを2種以上混合して用いることもできる。
吸収促進剤は、粘着剤層中での薬物の溶解性や分散性を高める化合物、角質の保水能、角質軟化性、角質浸透性等を変化させる化合物およびキャリアーとして働くもの化合物等を用いることができる。
溶解性や分散性を高める化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、オリーブ油、ヒマシ油、スクアレン、ラノリン等の油脂類等が挙げられ、角質の保水能、角質軟化性、角質浸透性等を変化させる化合物としては、1−ドデシルアゾシクロヘプタン−2−オン(1-dodecylazocycloheptane-2-one)、オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル、中鎖脂肪酸モノグリセリド、モノテルペン類、l−メントール、d−リモネン尿素、アラントイン、サリチル酸、メチルオクチルスルホキシド、ジメチルラウリルアミド、ドデシルピロリドン、イソソルビトール、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。キャリアーとして働く化合物としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、N−メチル−2−ピロリドン、プロピレングリコール等が挙げられる。また、毛孔開孔剤であるニコチン酸ベンジル、酸化防止剤であるジブチルヒドロキシトルエン等も使用できる。上記吸収促進剤を2種以上併用することにより、相加的あるいは相乗的に吸収促進効果が期待できる。
その他、炭化水素類、各種界面活性剤、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール等の脂肪族アルコール、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の直鎖脂肪酸、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸プロピル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸プロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ラウリル、ステアリン酸ミリスチル、ナノデカン酸メチル等の脂肪族エステル等が挙げられる。
架橋方法としては、紫外線、電子線、X腺、β線、γ線照射などの放射線照射による物理的架橋や、ポリイソシアネート化合物、有機過酸化物、有機金属塩、金属アルコラート、金属キレート化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物等の架橋剤を用いた化学的架橋処理が挙げられる。架橋剤の配合量は粘着剤層の0.001〜10%、好ましくは0.05〜1%である。
経皮吸収製剤中に含有される薬物量は、薬物種や貼付部位に応じて適宜設定されるところであるが、通常、粘着剤層中に1〜60重量%、好ましくは2〜40重量%程度の範囲で配合するとよい。含有量が1重量%未満であると治療や予防に有効な量の薬物放出が期待できない場合があり、60重量%を超えると薬物を増量したほどの効果が期待できない場合があり経済的にも不利である。なお、本発明において、経皮吸収製剤中に含有される薬物は、本発明の目的を妨げない限り、粘着剤層中にその全てが溶解している必要はなく、粘着剤層中に対する溶解度以上の薬物を含有させ、未溶解状態で薬物が分散された状態であってもよい。
公知の経皮吸収製剤技術として特開平9−77658号、特開平9−12448号、特開平9−176000号、特開平9−301853号、特開平9−169635号、特開平10−130172号、特開平10−179711号、特開平10−298067号、特開平10−306023号、特開平11−92361号、特開平11−104229号、特開平11−292794号等に記載される技術を挙げることができ、本発明の涙液分泌促進組成物はこれら公知の経皮吸収製剤技術を利用してもよい。
(眼局所投与用製剤)
本発明の涙液分泌促進組成物は、洗眼剤、点眼剤、眼軟膏剤、眼用ゲル剤などの眼局所投与製剤として用いることができる。
眼局所投与製剤の場合には、0.00001〜50w/v%、好ましくは0.0001〜5w/v%とすることができ、特に0.001〜0.01w/v%とするのが好ましい。0.00001w/v%より少ないと満足する涙液分泌促進作用が認められない可能性があり、50w/v%を越えると製品そのものの安定性等の特性が損なわれる可能性がある。また、水性点眼剤の浸透圧は230〜450mOsm、好ましくは260〜320mOsmとなるよう調製するのが好ましい。pHは3.5〜8.5、好ましくは5.0〜8.0程度とするのがよい。
眼の表面における涙液量は通常7μL程度、また表面の涙液の交換により薬物は希釈流出し半減期は7分程度と言われている。結膜嚢の薬液収納量は10〜30μLであり、溶液状態で多量の薬物を貯留させることはできないため、水性点眼剤の場合、1日1回〜数回の点眼を行うのが好ましい。
眼局所投与を行う場合の剤型として、液剤、軟膏剤、眼挿入剤、ゲル剤、乳剤、懸濁剤および固形状点眼剤等があり、適宜選択することができる。また、それら製剤についてさらに徐放化、安定化および易吸収化等の修飾を施すことができる。これらは例えば、除菌フィルターを通す濾過、加熱滅菌等によって無菌化される。また特に、眼軟膏剤等に含有される粒子の大きさは、75μm以下にするのが好ましい。
上記した剤型について、ドラッグデリバリーシステム(DDS)の技術を採用することができる。例えば、不溶性のエチレン酢酸ビニル共重合体を放出制御膜とし、膜の間にアルギン酸マトリックス中に本発明の涙液分泌促進組成物を含有させたDDS製剤を作製することも可能である。このようなDDS製剤は、瞼の内側に連続して装着することができ、かつ薬物が一定速度で連続して放出できる。放出速度は0.1μg/h〜10mg/hが好ましく、1μg/h〜100μg/hがより好ましい。
また、眼局所投与製剤の場合には、薬物の接触時間および貯留時間に影響する因子が重要となる。この目的で粘稠化剤の添加、油性あるいは水性懸濁液、油性溶液などの剤形として放出の持続化を計ることができる。例えば、徐溶解性の高分子(ポビドンと水溶性高分子)等を添加した粘性点眼剤や眼軟膏剤とすることができる。さらに、軟膏剤およびリポソームに薬物を封入することにより持続性、吸収性等を著しく増加させることができる。
水性点眼剤に使用する緩衝液は特に好ましくはホウ酸緩衝液である。緩衝液としてホウ酸緩衝剤を使用する場合、他の緩衝剤、例えばリン酸緩衝剤を使用する場合に比べ、低刺激性の液剤を得ることができる。この際、ホウ酸の添加量は0.01〜10w/v%、好ましくは0.1〜4w/v%、さらに好ましくは0.5〜2w/v%とするのがよい。
また、製剤中にはその剤形(液剤、軟膏剤、眼挿入剤、ゲル剤、乳剤、懸濁剤および固形状点眼剤等の公知の剤形)に応じて、溶剤、基剤、溶解補助剤、懸濁化剤、粘稠化剤、乳化剤、安定化剤、緩衝剤、等張化剤、無痛化剤、保存剤、矯味剤、芳香剤、着色剤、賦形剤、結合剤、滑沢剤等の添加剤を加えて製造することができる。その他、pH調整剤、ゲル化剤、可溶化剤、界面活性剤、甘味剤、吸収促進剤、分散剤、保存剤、溶解剤等の各種添加剤も使用できる。
これらの添加剤についてそれぞれ具体例を挙げて例示するが、これらに特に限定されるものではない。
溶剤としては、例えば、蒸留水、生理食塩液、植物油、流動パラフィン、鉱物油、プロピレングリコール、p−オクチルドデカノール、エタノール、エチレングリコール、マクロゴール、グリセリン、オリーブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、ヒマシ油等が挙げられる。
等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、ホウ酸、クエン酸ナトリウム、塩化カリウム、ホウ砂、プロピレングリコール、グリセリン、グルコース、ソルビトール、マンニトール、トレハロース等が挙げられる。
緩衝剤としては、例えば、ホウ酸、リン酸、酢酸、クエン酸、炭酸、酒石酸およびそれらの塩、ホウ砂、クエン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、プロピレングリコール等が挙げられる。
キレート剤としては、例えば、エデト酸およびその塩類、ニトリロ三酢酸およびその塩類、トリヒドロキシメチルアミノメタン、クエン酸、ヘキサメタリン酸ナトリウム等が挙げられる。
粘稠化剤としては、例えば、グリセリン、カルボキシビニルポリマー、コンドロイチン硫酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの塩類、アルギン酸ナトリウム、マクロゴール4000、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
基剤としては、例えば、ワセリン、精製ラノリン、ゼレン50、プラスチベース、マクロゴール、流動パラフィン、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
ゲル化剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、エチレン無水マレイン酸ポリマー、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ゲランゴム等が挙げられる。
賦形剤としては、例えば、結晶セルロース等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、硬化ヒマシ油、タルク等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、エデト酸塩類、クエン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸塩等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、コハク酸、アスコルビン酸、酢酸等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン等が挙げられる。
懸濁化剤としては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ポリソルベート80等が挙げられる。
殺菌薬としては、例えば、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール、システイン等が挙げられる。
着色剤としては、例えば、タール色素、リボフラビン、カンゾウエキス、酸化亜鉛等が挙げられる。
濡れ増強剤としては、例えば、テルペノイド類(メントール、ボルネオール、カンフル、ゲラニオール、アネトール、リモネン、オイゲノール)等が挙げられる。
上記の他に、本発明の涙液分泌促進組成物には本発明の目的を損なわない限り、例えば、抗生物質、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗アレルギー剤、血管収縮剤、局所麻酔薬、鎮痛剤、眼圧降下剤、免疫調節剤、ビタミン剤等の薬物を配合することができる。下記にそれらの例を示す。
抗生物質として、例えば、アミノグリコシド系、キノロン系、ニューキノロン系、マクロライド系、セフェム系等が挙げられる。
サルファ剤として、例えば、スルファメトキサゾール、スルフィソキサゾール、スルフィソミジン、スルファジアジン、スルファジメトキシン、スルファメトキシピリダジン等が挙げられる。
抗ウイルス剤として、例えば、ファムシクロビル、ペンシクロビル、アシクロビル等が挙げられる。
非ステロイド系抗炎症剤として、例えば、インドメタシン、ジクロフェナク、プラノプロフェン、チアプロフェン酸、トルフェナム酸等が挙げられる。
ステロイド性抗炎症剤として、例えば、プレドニゾロン等が挙げられる。
抗炎症剤として、例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン、ε−アミノカプロン酸、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、アズレンスルホン酸ナトリウム、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、塩化リゾチーム等が挙げられる。
抗アレルギー剤として、例えば、ケトチフェン、オキサトミド、セチリジン、クロモグリク酸ナトリウム等が挙げられる。
抗ヒスタミン薬として、例えば、メキタジン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン等が挙げられる。
血管収縮剤として、例えば、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、エフェドリン類、エピネフリン等およびこれらの塩類等が挙げられる。
局所麻酔薬として、例えば、塩酸リドカイン、塩酸プロカイン、塩酸ジブカイン等が挙げられる。
抗コリン薬として、例えば、ベラドンナアルカロイド、臭化フルトロピウム、トロピカミド等が挙げられる。
消炎酵素薬として、例えば、塩化リゾチーム、セラペプターゼ、ブロメライン等が挙げられる。
縮瞳剤として、例えば、塩酸ピロカルピン等が挙げられる。
生薬抽出物として、例えば、イカリソウ、カンゾウ、ゴオウ、ニンジン、ヨクイニン、トウキ、サイコ、ケイヒ、ゴミシ、シコン等が挙げられる。
香料および清涼化剤として、例えば、メントール類、カンフル類、ボルネオール類、ユーカリ類、ゲラニオール類、ウイキョウ類、ハッカ類等が挙げられる。
抗コリンエステラーゼ薬として、例えば、メチル硫酸ネオスチグミン等が挙げられる。
また、眼局所投与用製剤には、ビタミン類として、公知のビタミン、例えばビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB、B、B、B12等またはそれらの誘導体をそれぞれ単独で、または2種以上組み合わせて使用できる。ビタミンAの誘導体としてはレチノール、ビタミンCの誘導体としてはアスコルビン酸塩、ビタミンEの誘導体としてはトコフェロールコハク酸、ビタミンBの誘導体としてはビスイブチアミン、ビタミンBの誘導体としてはフラビンアデニンジヌクレオチド、ビタミンBの誘導体としてはピリドキシンおよびピリドキサールの塩、ビタミンB12としてはヒドロキソコバラミン等を使用できる。また、ニコチン酸塩、パントテン酸塩、ビオチン等のその他のビタミンも使用できる。
点眼薬におけるビタミン類の好ましい配合量は、本発明の涙液分泌促進組成物全体に対し、ビタミンAおよびその誘導体は0.1〜10w/v%、好ましくは0.25〜5w/v%であり、ビタミンBおよびその誘導体は0.01〜0.5w/v%、好ましくは0.03〜0.3w/v%であり、ビタミンBおよびその誘導体は0.005〜0.3w/v%、好ましくは0.01〜0.2w/v%であり、ビタミンBおよびその誘導体は0.01〜0.5w/v%、好ましくは0.03〜0.3w/v%であり、ビタミンB12およびその誘導体は0.000005〜0.003w/v%、好ましくは0.00001〜0.0015w/v%であり、ビタミンCおよびその誘導体は0.005〜0.2w/v%、好ましくは0.01〜0.1w/v%であり、ビタミンEおよびその誘導体は0.005〜0.2w/v%、好ましくは0.01〜0.1w/v%である。ニコチン酸アミドを用いる場合、その濃度は0.01〜1w/v%とするのが好ましく、さらには0.05〜0.5w/v%とするのが好ましい。
また、浸透圧調節剤、栄養源等としてのアミノ酸、浸透圧調節剤、粘稠化剤等としての水溶性高分子、浸透圧剤、涙液成分同等化剤等としての中性塩類等を添加することができる。
アミノ酸としては、例えば、ε−アミノカプロン酸、グルタミン酸、リジン、ヒスチジン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン等が挙げられる。また、アミノ酸を本発明の水性点眼組成物に含有させるに当たっては、それら自体を添加してもよく、それらを塩の形で添加してもよい。そのような塩としては、例えばグルタミン酸ナトリウム、塩酸リジン、塩酸ヒスチジン等が挙げられる。アミノ酸を用いる場合、その濃度は0.01〜1w/v%とするのが好ましく、さらには0.05〜0.5w/v%とするのが好ましい。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。水溶性高分子の濃度は、0.1〜5w/v%とするのが好ましく、さらには0.3〜3w/v%とするのが好ましい。
中性塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウムが挙げられ、特に好ましくは塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムである。中性塩の濃度は、浸透圧を考慮した上で決定するのが好ましい。
本発明の眼局所投与用製剤には、溶解補助剤を用いてもよく、例えば、シクロデキストリン、ポリビニルピロリドン、カフェイン、プロピレングリコール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、マンニトール、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、タウリン、非イオン界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノ高級脂肪酸エステル(ポリオキシポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンオキシステアリン酸トリグリセリドなど)、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンモノステアリル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、デカグリセリルモノラウレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等が挙げられる。点眼剤等に使用される非イオン性界面活性剤は、粘膜や角膜に対する刺激性が比較的弱いことが知られており汎用されている。非イオン性界面活性剤の濃度は0.01〜10w/v%とするのが好ましく、さらには0.05〜5w/v%とするのが好ましく、さらには0.1〜2w/v%とするのがより好ましい。界面活性剤としては他に、陰イオン界面活性剤(アルキルサルフェート、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム)が存在するが、これらは溶解補助作用は強いが、粘膜等に対する刺激作用があるため、点眼薬として使用するのは好ましくない。
また、眼局所投与用製剤には、保存剤、防腐剤を配合することが好ましい。保存剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、パラオキシ安息香酸エステル等のフェノール性物質、クロロブタノール、プロピレングリコール等のアルコール類、安息香酸、デヒドロ酢酸等の酸性物質またはその塩類、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム塩、ポリエチレンオキシド含有高分子四級アンモニウム化合物、チメロサール等を挙げることができる。
防腐剤は0.0001w/v%〜5w/v%の間で調製するのが好ましく、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム等の四級アンモニウム塩類、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル類、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、クロロブタノール、チオメルサール、チメロサール、メチルパラベン、プロピルパラベン、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸およびその塩類、デヒドロ酢酸ナトリウム等を挙げることができる。
さらに、上記したように、活性ペプチドおよび/または涙液分泌促進ペプチドは生体内において、アミノペプチダーゼにより分解されることが知られていることから、アミノペプチダーゼ阻害薬を併用することにより、効果の持続化が期待できる。アミノペプチダーゼインヒビターには、アマスタチン、アファメニンA、アファメニンBおよびベスタチン等が知られており、これら化合物を製剤中に配合あるいは併用してもよい。また、上記成分がペプチドでない場合にも、この成分の失活化または分解を阻害する物質を、配合あるいは併用し、成分の効果を持続させることができる。
マイボーム腺機能不全による脂質分泌異常に伴うドライアイには、本発明の涙液分泌促進組成物に加え、ヒマシ油または流動パラフィン等の油を微量添加することができる。
製剤中には、上記以外の添加物として通常の組成物に使用されている成分を用いることができ、これらの成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
不溶性の薬物等を本発明の涙液分泌促進組成物に含有させる場合には、安定な水性懸濁液剤を得るために、特開平11−29463号に記載されるような公知技術を使用してもよい。
(コンタクトレンズ用製剤)
本発明の涙液分泌促進組成物は、コンタクトレンズ用点眼液、コンタクトレンズ用洗浄液およびコンタクトレンズ用保存液さらにはコンタクトレンズ組成物にも応用できる。
本発明の組成物を、コンタクトレンズ用点眼液、コンタクトレンズ用洗浄液およびコンタクトレンズ用保存液として用いる場合、界面活性剤を配合することが好ましい。界面活性剤を配合することによって、リン脂質類似重合体のコンタクトレンズへの吸着を防止する効果が期待できる。
界面活性剤の種類は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン置換エチレンジアミン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステアレート等の非イオン界面活性剤、アルキルポリアミノエチルグリシン等の両性界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等の陰イオン界面活性剤が挙げられるが、眼への安全性から、非イオン界面活性剤が最も好ましい。また、配合できる界面活性剤の量は0.001〜5%が好ましく、0.01〜1%がより好ましい。
コンタクトレンズ用点眼剤、コンタクトレンズ用洗浄液、コンタクトレンズ用保存液は、一般に用いられている組成を有するものを用いることができ、また、これらに用いる添加剤は、上記の眼局所投与用製剤について記載した添加剤の中から適宜選択して用いることができる。コンタクトレンズ用点眼剤、コンタクトレンズ用洗浄液、コンタクトレンズ用保存液は、上記の眼局所投与用製剤と同様の製造法により製造できる。
また、本発明の涙液分泌促進組成物をコンタクトレンズに保持および/または付着させた、薬剤徐放性コンタクトレンズとすることもできる。
コンタクトレンズは公知の材料を用いて製造することができる。例えば、特開平9−80358号記載の含水性軟質眼用レンズ用材料、特開平9−124715号記載の2−ヒドロキシエチルメタクリレート系重合体、特開平9−189887号記載の眼用レンズ材料、特開平11−197234号記載の眼科用コラーゲンゲル成形物、特開平9−101488号記載の脂質層で予め被覆されたヒドロゲルレンズ等を用いることができる。その他、メタクリル酸エステル系ポリマー、オリゴシロキサニルアルキル(メタ)アクリレート系モノマー−メタクリル酸エステル系モノマー共重合体等の公知材料であってもよい。
コンタクトレンズは、これらの公知材料から製造される、ハードもしくは硬質角膜型レンズ、および、ゲル、ヒドロゲルもしくはソフト型レンズなどの一般に用いられるコンタクトレンズを用いることができる。
薬剤徐放性コンタクトレンズは、例えば、本発明の涙液分泌促進組成物を特開平8−24325号、特開平11−24010号および特開平10−339857号等に記載の公知の薬剤徐放性コンタクトレンズの製法に従って、コンタクトレンズに含有させるか、または、付着させることにより製造することもできる。
具体的には、本発明の活性ペプチドおよび/または涙液分泌促進ペプチドとポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸ナトリウムなどのポリマーから、微粉末状またはゲル状の薬剤徐放剤を調製し、これをコンタクトレンズの一部に付着させることにより、薬剤徐放性コンタクトレンズを製造できる。
また、コンタクトレンズを、レンズ前面部を形成する部材とレンズ後面部を形成する部材とで製造するなどして、薬剤貯蔵部を有する形状とすることによって薬剤徐放性コンタクトレンズを製造できる。これら以外の公知の薬剤徐放性コンタクトレンズの製造によっても、本発明のコンタクトレンズを製造できる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
実施例1:各種ペプチドの合成
本発明の活性ペプチドおよび/または涙液分泌促進ペプチドならびに比較のためのペプチドを、公知の方法(Carpino, L. A. et al., J. Org. Chem., 37, 3404-3409, 1972)に準じて合成した。
(1)4個のアミノ酸からなるペプチド(配列番号:1〜24)の合成方法
Fmoc-PAL-PEG-PS-樹脂(PEバイオシステムズ)を1.33g(0.17meq/g)秤取し、これにジメチルホルムアミド10mLを加えて2〜3時間放置し、樹脂を膨張させた後、ペプチド合成用のカラムに充填した。
上記方法に準じてペプチド合成用カラムを作製し、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(WAKO)、Fmoc-L-Arg(Pbf)-OH 519mg(PEバイオシステムズ)、Fmoc-L-Gly-OH 238mg(BACHEM)、Fmoc-L-Ile-OH 283mg(WAKO)を試験管に秤量し、これにHATU(0-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)(PEバイオシステムズ)を各380mg加えた。上記のアミノ酸をC末端から順に並べ、ペプチド合成機PIONEER(PEバイオシステムズ)を用いて合成を行った。合成したペプチド−樹脂をTFA-H20-フェノール-トリイソプロピルシラン(8.8:0.5:0.5:0.2)の混合溶液で3時間処理した後、樹脂を濾過し、濾液をエーテルで再結晶し、粗ペプチドを得た。次に、この粗ペプチドをHPLC(A:0.02%TFA含H2O、B:0.02%TFA含50%CH3CN)に供し精製した。得られたフラクションの凍結乾燥を行い、Ile-Gly-Arg-Leu-NH2(IGRL-NH2; 配列番号:1)を得た。
Fmoc-L-Leu-OH 283mg(WAKO)、Fmoc-L-Arg(Pbf)-OH 519mg(PEバイオシステムズ)、Fmoc-L-Gly-OH 238mg(BACHEM)、およびFmoc-L-Ile-OH 283mg(WAKO)を並べる順序を変更する以外は、上記と同様にして、4個のアミノ酸からなるペプチド(配列番号:2〜24)を得た。
得られたペプチドの配列を表1に示す。
(2)Leu-Ser-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2(配列番号:25)の合成方法
Fmoc-PAL-PEG-PS-樹脂(PEバイオシステムズ)を1.33g(0.17meq/g)秤取し、これにジメチルホルムアミド10mLを加えて2〜3時間放置し、樹脂を膨張させた後、ペプチド合成用のカラムに充填した。
上記方法に準じてペプチド合成用カラムを作製し、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(WAKO)、Fmoc-L-Arg(Pbf)-OH 519mg(PEバイオシステムズ)、Fmoc-L-Gly-OH 238mg(BACHEM)、Fmoc-L-Ile-OH 283mg(WAKO)、Fmoc-L-Ser(tBu)-OH 307mg(PEバイオシステムズ)、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(WAKO)、を試験管に秤量し、これにHATU(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)(PEバイオシステムズ)を各380mg加えた。上記のアミノ酸をC末端から順に並べ、ペプチド合成機PIONEER(PEバイオシステムズ)を用いて合成を行った。合成したペプチド−樹脂をTFA-H20-フェノール-トリイソプロピルシラン(8.8:0.5:0.5:0.2)の混合溶液で3時間処理した後、樹脂を濾過し、濾液をエーテルで再結晶し、粗ペプチドを得た。次に、この粗ペプチドをHPLC(A:0.02%TFA含H2O、B:0.02%TFA含50%CH3CN)に供し精製した。得られたフラクションの凍結乾燥を行い、Leu-Ser-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2(LSIGRL-NH2; 配列番号:25)を得た。
得られたペプチドの配列を表1に示す。
(3)Ser-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2(配列番号:26)の合成方法
比較のため、特開平2001−181208号においてPAR−2の活性を促進することによって涙液分泌を促進することが確認されているSer-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2(配列番号:26)も合成した。
Fmoc-PAL-PEG-PS-樹脂(PEバイオシステムズ)を1.33g(0.17meq/g)秤取し、これにジメチルホルムアミド10mLを加えて2〜3時間放置し、樹脂を膨張させた後、ペプチド合成用のカラムに充填した。
上記方法に準じてペプチド合成用カラムを作製し、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(WAKO)、Fmoc-L-Arg(Pbf)-OH 519mg(PEバイオシステムズ)、Fmoc-L-Gly-OH 238mg(BACHEM)、Fmoc-L-Ile-OH 283mg(WAKO)、Fmoc-L-Leu-OH 283mg(WAKO)、Fmoc-L-Ser(tBu)-OH 307mg(PEバイオシステムズ)、を試験管に秤量し、これにHATU(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)(PEバイオシステムズ)を各380mg加えた。上記のアミノ酸をC末端から順に並べ、ペプチド合成機PIONEER(PEバイオシステムズ)を用いて合成を行った。合成したペプチド−樹脂をTFA-H20-フェノール-トリイソプロピルシラン(8.8:0.5:0.5:0.2)の混合溶液で3時間処理した後、樹脂を濾過し、濾液をエーテルで再結晶し、粗ペプチドを得た。次に、この粗ペプチドをHPLC(A:0.02%TFA含H2O、B:0.02%TFA含50%CH3CN)に供し精製した。得られたフラクションの凍結乾燥を行い、Ser-Leu-Ile-Gly-Arg-Leu-NH2(SLIGRL-NH2; 配列番号:26)を得た。
得られたペプチドの配列を表1に示す。
Figure 2005272445
実施例2:イン・ビボにおけるラット涙液分泌に対する配列番号:1〜24のペプチドの影響
(1)使用動物および飼育環境
実験には6週齢のWistar系雄性ラットを使用した。各動物は室温23±2℃、湿度50±5%および12時間の明暗サイクル(明期:07:00から19:00)の環境下で1週間の予備飼育の後、実験に供した。予備飼育期間および実験期間中は水および固型飼料を自由に摂取させた。
(2)涙液分泌量測定方法
ラット涙液分泌量の測定は伊賀らの方法 (Iga, Y. et al., Jpn. J. Pharmacol., 78, 373-80, 1998) に準じて行った。即ち、ラットをペントバルビタール(50 mg/kg腹腔内投与)で麻酔し、幅2mmに細切したヒト涙液分泌機能検査紙、シルナル試験紙(昭和薬品化工業株式会社)をラット下眼瞼に挿入した。挿入6分後に試験紙を取り去り、ノギスを用いて試験紙の濡れている長さを測定して涙液分泌の指標とした。
また、結果は平均値(mm)±標準誤差で示し、有意差検定はTukeyの多重比較検定で行った。
(3)本発明のペプチドによるラット涙液分泌に対する促進作用
ラットにアミノペプチダーゼ阻害薬であるアマスタチンの生理食塩水溶液(2.5μmol/kg)を静脈内投与し、その1分間後、配列番号:1〜24のペプチドの生理食塩水溶液(5μmol/kg)を各々静脈内投与した。なお、測定はペプチド投与直後より開始した。
対照として、ペプチドを含有しない生理食塩水溶液(ブランク溶媒)を静脈内投与した場合の涙液分泌量も測定した。
涙液分泌量の測定結果を表2および図1に示す。
Figure 2005272445
5つのペプチド:IGRL-NH2(配列番号:1)、RLGI-NH2(配列番号:3)、GRLI-NH2(配列番号:6)、RGLI-NH2(配列番号:9)およびGRIL-NH2(配列番号:23)を投与すると、対照に対して涙液分泌量が約2倍に増加したことが確認された。
すなわち、Ile、Gly、ArgおよびLeuの4個のアミノ酸からなるペプチドのうち、特定の配列のものが涙液分泌を顕著に促進することが分かった。
実施例3:イン・ビボにおけるラット涙液分泌に対するIGRL−NHおよびLSIGRL−NHの影響
(1)使用動物および飼育環境
実験には6週齢のWistar系雄性ラットを使用した。各動物は室温23±2℃、湿度50±5%および12時間の明暗サイクル(明期:07:00から19:00)の環境下で1週間の予備飼育の後、実験に供した。予備飼育期間および実験期間中は水および固型飼料を自由に摂取させた。
(2)涙液分泌量測定方法
ラット涙液分泌量の測定は伊賀らの方法 (Iga, Y. et al., Jpn. J. Pharmacol., 78, 373-80, 1998) に準じて行った。即ち、ラットをペントバルビタール(50 mg/kg腹腔内投与)で麻酔し、幅2mmに細切したヒト涙液分泌機能検査紙、シルナル試験紙(昭和薬品化工業株式会社)をラット下眼瞼に挿入した。挿入6分後に試験紙を取り去り、ノギスを用いて試験紙の濡れている長さを測定して涙液分泌の指標とした。
また、結果は平均値(mm)±標準誤差で示し、有意差検定はTukeyの多重比較検定で行った。
(3)本発明のペプチドによるラット涙液分泌に対する促進作用
ラットにアミノペプチダーゼ阻害薬であるアマスタチンの生理食塩水溶液(2.5μmol/kg)を静脈内投与し、その1分間後、IGRL−NH(配列番号:1)の生理食塩水溶液(5μmol/kg)または、IGRL−NHのC末端側にさらにセリン(Ser)およびロイシン(Leu)の2つのアミノ酸を延長したペプチドであるLSIGRL−NH(配列番号:25)の生理食塩水溶液(5μmol/kg)を静脈内投与した。なお、測定はペプチド投与直後より開始した。
対照として、ペプチドを含有しない生理食塩水溶液(ブランク溶媒)を静脈内投与した場合の涙液分泌量も測定した。
涙液分泌量の測定結果を表3および図2に示す。
Figure 2005272445
本発明の活性ペプチドであるIGRL−NH(配列番号:1)を投与すると、対照に対して涙液分泌量が約3倍に増加したことが確認された。同様に、本発明の涙液分泌促進ペプチドであるLSIGRL−NH(配列番号:25)の投与によっても、対照に対して涙液分泌量が約3倍に増加したことが確認された。
すなわち、本発明の活性ペプチドおよび/または涙液分泌促進ペプチドは、涙液分泌を顕著に促進することが分かった。
実施例4:IGRL−NHおよびLSIGRL−NHの涙液分泌促進作用に対するアトロピンの拮抗作用
(1)IGRL−NH(配列番号:1)の涙液分泌促進作用に対するアトロピンの影響
ムスカリン性アセチルコリン受容体に結合して副交感神経を遮断し、分泌を抑制するアトロピンが、本発明の活性ペプチドであるIGRL−NH(配列番号:1)の涙液分泌促進作用に与える影響を調べた。
この実施例においては、まず、アトロピン1mg/kgを静脈内投与した。その20分間後、実施例2と同様にして、ラットにアミノペプチダーゼ阻害薬であるアマスタチンの生理食塩水溶液(2.5μmol/kg)を静脈内投与し、その1分間後、IGRL−NH(配列番号:1)の生理食塩水溶液(5μmol/kg)を静脈内投与した。なお、測定はペプチド投与直後より開始した。
対照として、アトロピンやペプチドを含有しない生理食塩水溶液(ブランク溶媒)を静脈内投与した場合の涙液分泌量も測定した。
涙液分泌量の測定結果を表4および図3に示す。
Figure 2005272445
アトロピンの投与自体が涙液分泌量を抑制するので、アトロピン投与の有無でそれぞれ対照実験を行い、それぞれの対照からの分泌量の変化を調べた。
アトロピンを投与しない場合、IGRL−NH投与によって、涙液分泌量は約3倍に増加したが、アトロピンを投与した場合には、IGRL−NHによる涙液分泌は完全に拮抗された。すなわち、アトロピンが副交感神経のムスカリン性アセチルコリン受容体に結合すると、本発明の活性ペプチドは涙液分泌を促進することができなくなった。
したがって、本発明の活性ペプチドは、副交感神経を介して、涙液分泌を促進するものと考えられる。
(2)LSIGRL−NH(配列番号:25)の涙液分泌促進作用に対するアトロピンの影響
同様にして、アトロピンが、本発明の涙液分泌促進ペプチドであるLSIGRL−NH(配列番号:25)の涙液分泌促進作用に与える影響を調べた。
涙液分泌量の測定結果を表5および図4に示す。
Figure 2005272445
アトロピンを投与しない場合、LSIGRL−NH投与によって、涙液分泌量は約3倍に増加したが、アトロピンを投与した場合には、LSIGRL−NHによる涙液分泌は完全に拮抗された。すなわち、アトロピンが副交感神経のムスカリン性アセチルコリン受容体に結合すると、本発明の涙液分泌促進ペプチドは涙液分泌を促進することができなくなった。
したがって、本発明の涙液分泌促進ペプチドは、副交感神経を介して、涙液分泌を促進するものと考えられる。
比較例1:PAR−2活性化成分であるSLIGRL−NHの涙液分泌促進作用に対するアトロピンの拮抗作用
この比較例においては、まず、アトロピン1mg/kgを静脈内投与した。その20分間後、実施例3と同様にして、ラットにアミノペプチダーゼ阻害薬であるアマスタチンの生理食塩水溶液(2.5μmol/kg)を静脈内投与し、その1分間後、SLIGRL−NH(配列番号:26)の生理食塩水溶液(5μmol/kg)を静脈内投与した。なお、測定はペプチド投与直後より開始した。
対照として、アトロピンやペプチドを含有しない生理食塩水溶液(ブランク溶媒)を静脈内投与した場合の涙液分泌量も測定した。
涙液分泌量の測定結果を表6および図5に示す。
Figure 2005272445
アトロピン投与の有無にかかわらず、SLIGRL−NH投与によって、涙液分泌量は約3倍に増加した。すなわち、アトロピンが副交感神経のムスカリン性アセチルコリン受容体に結合しても、PAR−2活性化成分ペプチドは涙液分泌を促進することが確認された。
このことから、本発明の活性ペプチドおよび涙液分泌促進ペプチドと、PAR−2活性化成分ペプチドとは、イン・ビボにおける作用点が異なり、涙液分泌促進作用のメカニズムが相違することが確認された。
イン・ビボにおける4個のアミノ酸:I、G、R、Lからなるペプチドのラット涙液分泌に対する促進作用を示すグラフ。 イン・ビボにおけるIGRL−NHおよびLSIGRL−NHのラット涙液分泌に対する促進作用を示すグラフ。 イン・ビボにおけるIGRL−NHによるラット涙液分泌促進作用に対するアトロピンの作用を示すグラフ。 イン・ビボにおけるLSIGRL−NHによるラット涙液分泌促進作用に対するアトロピンの作用を示すグラフ。 イン・ビボにおけるSLIGRL−NHによるラット涙液分泌促進作用に対するアトロピンの作用を示すグラフ。

Claims (21)

  1. イソロイシン(Ile)、グリシン(Gly)、アルギニン(Arg)およびロイシン(Leu)よりなる群から重複することなく選択される3個または4個のアミノ酸からなる、涙液分泌促進作用を有する活性ペプチド。
  2. グリシン(Gly)−アルギニン(Arg)−ロイシン(Leu)である、請求項1記載の活性ペプチド。
  3. イソロイシン(Ile)−グリシン(Gly)−アルギニン(Arg)である、請求項1記載の活性ペプチド。
  4. イソロイシン(Ile)−グリシン(Gly)−アルギニン(Arg)−ロイシン(Leu)である、請求項1記載の活性ペプチド。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の活性ペプチドを、涙液分泌促進作用を有するペプチドの活性中心として含有することを特徴とする、涙液分泌促進ペプチド。
  6. 前記涙液分泌促進ペプチドが、ロイシン(Leu)−セリン(Ser)−イソロイシン(Ile)−グリシン(Gly)−アルギニン(Arg)−ロイシン(Leu)である、請求項5記載の涙液分泌促進ペプチド。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項記載の活性ペプチドを含み、かつ、薬理学的および薬剤学的に許容されるように製剤化された涙液分泌促進組成物。
  8. 請求項5または6記載の涙液分泌促進ペプチドを含み、かつ、薬理学的および薬剤学的に許容されるように製剤化された涙液分泌促進組成物。
  9. 前記活性ペプチドの失活化または分解を阻害する物質を配合することを特徴とする請求項7または8記載の涙液分泌促進組成物。
  10. 前記失活化または分解を阻害する物質がペプチダーゼ阻害薬であることを特徴とする請求項9記載の涙液分泌促進組成物。
  11. ペプチダーゼ阻害薬がアマスタチンであることを特徴とする請求項10記載の涙液分泌促進組成物。
  12. DDS製剤化されていることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項記載の涙液分泌促進組成物。
  13. 経皮吸収製剤化されていることを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項記載の涙液分泌促進組成物。
  14. 経粘膜吸収製剤化されていることを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項記載の涙液分泌促進組成物。
  15. 眼科用組成物であることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項記載の涙液分泌促進組成物。
  16. 眼科用組成物が洗眼剤、点眼剤、眼軟膏剤または眼用ゲル剤の形態であることを特徴とする請求項15記載の涙液分泌促進組成物。
  17. 眼科用組成物がコンタクトレンズ用点眼剤、コンタクトレンズ用保存液、またはコンタクトレンズ用洗浄液の形態であることを特徴とする請求項15記載の涙液分泌促進組成物。
  18. 請求項7〜11のいずれか1項記載の涙液分泌促進組成物を保持および/または含有することを特徴とするコンタクトレンズ。
  19. 前記涙液分泌促進組成物を持続的に放出するように、保持および/または含有することを特徴とする請求項18記載のコンタクトレンズ。
  20. 請求項7〜11のいずれか1項記載の涙液分泌促進組成物を含むことを特徴とする眼疾患治療剤または予防剤。
  21. 眼疾患が、ドライアイ、角膜上皮剥離、角膜炎、角膜潰瘍または結膜炎であることを特徴とする請求項20記載の眼疾患治療剤または予防剤。
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